JP2017125867A - 光送信装置及び電源電圧制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低消費電力化を図ることができる光送信装置を提供する。
【解決手段】光送信装置は、光源1と、光源1からの光を変調する光変調器2と、光変調器2の動作点に対するバイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報を出力するフィードバック部と、電源電圧を出力する電源回路4と、電源電圧を受けて動作し、バイアス電圧を光変調器2に供給するバイアス電圧供給回路5と、バイアス電圧供給回路5のバイアス電圧の供給動作及び電源回路4の電源電圧の出力動作を制御する制御部10と、を有する。制御部10は、フィードバック情報に基づいて、バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて電源電圧を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、外部光変調方式の光送信装置及びその電源電圧制御方法に関する。
最近の光送信装置、例えば、デジタルコヒーレント光送信器には、外部光変調方式を採用しているものが多い。外部光変調方式は、光源(例えばレーザ光源)からの光を光変調器で変調する方式である。
外部光変調方式の光送信装置では、光変調器として、LiNbO3(ニオブ酸リチウム:略称LN)などの誘電体材料による電気光学効果を利用した変調器や、InP(インジウム)などの半導体材料による電界吸収効果を利用した変調器が用いられている。LiNbO3を用いたものをLN変調器と呼び、InPを用いたものをInP変調器と呼ぶ。
LN変調器は、高速変調が可能である。しかし、LN変調器に特有な現象として、LN変調器の動作点が温度変化や経時変化によりドリフト(変化)するドリフト現象が知られている。温度変化がもたらす焦電効果によるものを熱(温度)ドリフトと呼び、経時変化によるものをDCドリフトと呼ぶ。
通常、LN変調器を備えた光送信装置では、ドリフト現象の影響を補償するため、LN変調器の動作点が一定となるようにフィードバック制御が行われる。
図4に、フィードバック制御が行われる光送信装置の構成を示す。
図4を参照すると、光送信装置は、光源101、光変調器102、RF(Radio Frequency)駆動回路103、電源回路104、バイアス供給回路105、光検出部106及び制御部100を有する。
光源101は、レーザー光源であって、制御信号S1に従ってレーザー光を出力する。光変調器102は、LN位相変調器である。LN位相変調器は、LN基板上に、一本の光導波路を形成し、さらに、この光導波路に近接して、RF駆動用電極及びバイアス調整用電極を形成したものである。
光検出部106は、光変調器102の出力光(モニタ光)を検出する。RF駆動回路103は、変調信号(デジタル信号)であるRF電気信号(高周波信号)を2Vπの駆動信号(アナログ信号)に変換し、その駆動信号を光変調器102に供給する。電源回路104は、電源電圧をバイアス供給回路105に供給する。バイアス供給回路105は、電源回路104からの電源電圧を受けて動作し、駆動制御信号S2に従ってバイアス電圧VBを光変調器102に供給する。
制御部100は、制御信号S1を光源101に供給し、駆動制御信号S2をバイアス供給回路105に供給する。制御部100は、光検出部106からのモニタ光検出信号S3に基づいて、バイアス電圧VBが光変調器102の動作点である電圧値(最適値)になるようにバイアス供給回路105を制御する。
図5は、光変調器102の変調曲線及び動作点を説明するための図である。縦軸に光強度をとり、横軸にバイアス電圧値をとった2次元座標系に、光変調器102の変調曲線が示されている。
光変調器102の変調曲線は、COS2乗の関数曲線であり、この変調曲線上に光変調器102の動作点を設定する。光変調器102の動作点は、変調方式に応じて適宜に設定する。ここでは、位相変調であるため、変調曲線上の極小点を動作点(丸印で示した点)とする。
光変調器102では、動作点を基準にして、RF駆動回路103からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。具体的には、RF電気信号が「0」であるときは、駆動電圧V1がRF駆動用電極に供給され、RF電気信号が「1」であるときは、駆動電圧V2がRF駆動用電極に供給される。ここで、駆動電圧V1、V2はそれぞれ、動作点を基準にした電圧値であって、変調曲線上の動作点の左右に位置する極大点の電圧値に設定される。駆動電圧V1は−Vπであり、駆動電圧V2は+Vπである。「Vπ」は導波路中を伝搬する光の位相を半波長だけ変化させる半波長電圧である。例えば、駆動電圧V1(−Vπ)を供給した場合の光の位相と、駆動電圧V2(+Vπ)を供給した場合の光の位相との間には、2πの位相変化量を生じる。
しかし、図5に示すように、時間の経過とともに光変調器102の動作点はドリフト(変化)する。
実線で示した曲線が電源投入時の変調曲線であり、動作点Aの電圧値はVB1である。制御部100は、バイアス電圧VBが電圧値VB1になるようにバイアス供給回路105を制御する。これにより、光変調器102では、動作点Aを基準にして、RF駆動回路103からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。
破線で示した曲線が電源投入後、ある時間を経過した後の変調曲線であり、動作点Bの電圧値VB2は、動作点Aの電圧VB1と異なる。すなわち、動作点の電圧値がVB1からVB2にシフトしている。この場合、バイアス電圧VBを電圧値VB1に設定した状態では、バイアス電圧VBが最適値である電圧値VB2から外れるため、光変調器102の出力波形に波形歪が生じる。
バイアス電圧VBが最適値である場合に、モニタ光検出信号S3の値と基準値との差分が0になる。制御部100は、モニタ光検出信号S3の値が基準値になるように、バイアス電圧VBを変化させる。これにより、バイアス電圧VBは、最適値である電圧値VB2に設定され、その結果、光変調器102では、動作点Bを基準にして、RF駆動回路103からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。
図4に示した光送信装置において、長期信頼性を確保するためには、例えば、±50Vといった広範囲な動作点の変動にも対応する必要がある。このため、電源回路104は、光変調器102のバイアス電圧仕様の上限値をカバーできるように、50Vの電源電圧を固定的に出力する。
外部変調方式の光送信装置のバイアス電圧制御に関連する技術が特許文献1、2に記載されている。
特許文献1には、マッハツェンダ型LN変調器を備えた光送信装置が記載されている。この光送信装置では、低周波数のディザ信号を重畳した駆動信号によりマッハツェンダ型LN変調器を駆動する。そして、マッハツェンダ型LN変調器の出力信号から抽出したディザ信号と重畳前のディザ信号との位相比較結果に基づいて、マッハツェンダ型LN変調器の動作点ドリフトを補償するバイアス電圧を発生する。
特許文献2には、マッハツェンダ型LN変調器の出力光(モニタ光)をPD(フォトディテクタ)で検出し、PDの出力値に基づいてバイアス電圧を制御するフィードバック制御が記載されている。
特開2004−37647号公報 特開2003−233047号公報
しかしながら、図4に示した光送信装置においては、電源回路104は、光変調器102のバイアス電圧仕様の上限値をカバーできる電圧(例えば、50V)を固定的に出力するため、以下のような問題を生じる。
電源投入から短期的な期間(数時間や数日)においては、光変調器102の動作点の変動量は数Vであるにも関わらず、図4に示した光送信装置では、光変調器102のバイアス電圧仕様の上限値をカバーできる電源電圧がバイアス供給回路105に供給される。すなわち、図4に示した光送信装置では、光変調器102に供給されるバイアス電圧に対して、必要以上に大きな電源電圧がバイアス供給回路105に供給される。このため、消費電力が増大するという問題を生じる。
特許文献1、2に記載の光送信装置も、電源電圧が固定であるため、上記の消費電力増大の問題を生じる。
本発明の目的は、上記問題を解決し、低消費電力化を図ることができる光送信装置およびその電源電圧制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
光源と、
駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って前記光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、
前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報を出力するフィードバック部と、
電源電圧を出力する電源回路と、
前記電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路と、
前記バイアス電圧供給回路の前記バイアス電圧の供給動作及び前記電源回路の前記電源電圧の出力動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記フィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて前記電源電圧を変化させる、光送信装置が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路とを備えた光送信装置の電源電圧制御方法であって、
前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて、前記電源電圧を変化させる、電源電圧制御方法が提供される。
本発明によれば、バイアス電圧を供給するのに必要最低限の電源電圧がバイアス供給回路に供給されるので、消費電力を削減することができる。
本発明の一実施形態による光送信装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す光送信装置の光変調器の動作点ドリフトとバイアス電圧及び電源電圧の関係を説明するための図である。 図1に示す光送信装置におけるバイアス電圧の最適値と電源電圧の変化を説明するための図である。 フィードバック制御が行われる光送信装置の構成を示すブロック図である。 図4に示す光送信装置の光変調器の変調曲線及び動作点を説明するための図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による光送信装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、光送信装置は、光源1、光変調器2、RF駆動回路3、電源回路4、バイアス供給回路5、光検出部6及び制御部10を有する。光源1、RF駆動回路3及びバイアス供給回路5は、図4に示した光源101、RF駆動回路103及びバイアス供給回路105と同じである。
光変調器2は、LN変調器であって、光源1からの光を変調する。LN変調器には、強度変調、位相変調、偏波変調といった変調方式のものがあり、光変調器2は、いずれの変調方式のものも適用することができる。ここでは、光変調器2として、LN位相変調器を用いている。
LN位相変調器は、LN基板上に、一本の光導波路を形成し、さらに、この光導波路に近接して、RF駆動用電極及びバイアス調整用電極を形成したものである。光源1からの光が光導波路の一端より入射する。入射した光は、光導波路内を伝搬し、光導波路の他端より出射される。光導波路内を伝搬する光に対して、RF駆動用電極に供給される駆動電圧に応じた位相変化を生じさせる。
光検出部6は、光変調器2の出力光を検出するものであって、例えば、PD(フォトダイオード)を備える。Y分岐導波路又は3dB方向性結合器を用いて光変調器2の出力光を2つに分岐し、一方の分岐光をモニタ光としてPDに供給する。PDの出力信号がモニタ光検出信号S3として制御部10に供給される。なお、光検出部6は、光変調器2に組み込まれてもよい。
電源回路4は、電源電圧をバイアス供給回路5に供給するものであって、電源制御信号S4に従って電源電圧を増減するように構成されている。このような電源電圧が可変の電源回路4は、例えば、出力電圧可変のDC−DCコンバータにより構成することができる。
制御部10は、制御信号S1を光源1に供給し、駆動制御信号S2をバイアス供給回路5に供給し、電源制御信号S4を電源回路4に供給する。制御部10は、光検出部6からのモニタ光検出信号S3に基づいて、バイアス電圧VBが光変調器2の動作点の電圧値になるようにバイアス電圧制御を行うとともに、必要最小限の電源電圧でバイアス電圧VBの供給動作を行わせる電源電圧制御を行う。
具体的には、制御部10は、光検出部6からのモニタ光検出信号S3と基準値との差分が0になるように、バイアス供給回路5により供給されるバイアス電圧VBを変化させ、さらに、そのバイアス電圧VBの変化量に応じて、電源回路4により供給される電源電圧を変化させる。
なお、基準値は、バイアス電圧VBが最適値のときのモニタ光検出信号S3の値に相当する。したがって、モニタ光検出信号S3と基準値との差分が0である場合に、バイアス電圧VBが最適値であると判断することができる。
また、バイアス供給回路5がバイアス電圧VBを供給するのに必要な最低限の電源電圧V0は、V0=VB+αで与えられる。ここで、「α」は、バイアス供給回路5の構成等を考慮して予め設定されたマージン(固定値)である。例えば、電源回路4が電源電圧V0(=VB+α)をバイアス供給回路5に供給している状態で、バイアス電圧VBをΔVだけ変化させる場合は、電源電圧V0もΔVだけ変化させる。これにより、バイアス供給回路5がバイアス電圧VBを供給するのに必要な最低限の電源電圧V0を供給することが可能である。
図2は、光変調器2の動作点ドリフトとバイアス電圧の最適値及び最低必要な電源電圧の関係を説明するための図である。縦軸に光強度をとり、横軸にバイアス電圧値をとった2次元座標系に、光変調器2の変調曲線が示されている。実線で示した曲線が電源投入時の変調曲線であり、破線で示した曲線が電源投入後、ある時間を経過した後の変調曲線である。光変調器2のバイアス電圧仕様上限値はVmaxである。
光変調器2の変調曲線は、COS2乗の関数曲線であり、この変調曲線上に光変調器2の動作点を設定する。光変調器2の動作点は、変調方式に応じて適宜に設定する。ここでは、位相変調であるため、変調曲線上の極小点を動作点(丸印で示した点)とする。
光変調器2では、動作点を基準にして、RF駆動回路3からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。具体的には、RF電気信号が「0」であるときは、駆動電圧V1がRF駆動用電極に供給され、RF電気信号が「1」であるときは、駆動電圧V2がRF駆動用電極に供給される。ここで、駆動電圧V1、V2はそれぞれ、動作点を基準にした電圧値であって、変調曲線上の動作点の左右に位置する極大点の電圧値に設定される。駆動電圧V1は−Vπであり、駆動電圧V2は+Vπである。「Vπ」は導波路中を伝搬する光の位相を半波長だけ変化させる半波長電圧である。例えば、駆動電圧V1(−Vπ)を供給した場合の光の位相と、駆動電圧V2(+Vπ)を供給した場合の光の位相との間には、2πの位相変化量を生じる。
電源投入時は、光変調器2の動作点(図2中の動作点A)の電圧値はVB1である。バイアス電圧供給回路5が、電圧値VB1のバイアス電圧VBを光変調器2に供給するのに最低必要な電源電圧値はVMin1である。[VMin1−VB1]の値が上記「α」に相当する。
制御部10は、バイアス電圧VBが電圧値VB1になるようにバイアス電圧供給回路5を制御すると同時に、電源電圧V0が電圧値VMin1になるように電源回路4を制御する。これにより、バイアス電圧供給回路5では、必要な電圧制御範囲を確保でき、光変調器2では、動作点Aを基準にして、RF駆動回路3からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。この場合、図5に示した例と比較して、電源電圧は[Vmax−VMin1]だけ低いので、バイアス電圧回路5による消費電力を削減することができる。
電源投入後、時間の経過とともに、光変調器2の動作点は、動作点Aから動作点Bに変化する。動作点Bの電圧値はVB2である。バイアス電圧供給回路5が、電圧値VB2のバイアス電圧VBを光変調器2に供給するのに最低必要な電源電圧値はVMin2(>VMin1)である。[VMin2−VB2]の値が上記「α」に相当する。
制御部10は、バイアス電圧VBが電圧値VB2になるようにバイアス電圧供給回路5を制御すると同時に、電源電圧V0が電圧値VMin2になるように電源回路4を制御する。これにより、バイアス電圧供給回路5では、必要な電圧制御範囲を確保でき、光変調器2では、動作点Bを基準にして、RF駆動回路3からの駆動信号に基づく位相変調が行われる。この場合、図5に示した例と比較して、電源電圧は[Vmax−VMin2]だけ低いので、バイアス電圧回路5による消費電力を削減することができる。
図3は、バイアス電圧の最適値(動作点の電圧)の変化とバイアス供給回路5へ供給する電源電圧の変化を説明するための図である。縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。グラフG1は、バイアス電圧の最適値(動作点の電圧)の変化を示す。グラフG2は、電源電圧の変化を示す。斜線の領域Sは、消費電力の削減量を示す。
グラフG1に示すように、バイアス電圧VBは動作点の変化に伴って徐々に増大する。また、グラフG2に示すように、電源電圧V0はバイアス電圧VBの変化に伴って徐々に増大する。バイアス電圧VBと電源電圧V0の差は、上記「α」に相当する。斜線の領域Sから分かるように、消費電力の削減効果は、電源投入時が最も大きく、その後、時間の経過とともに徐々に小さくなっていく。
なお、固定割合で電源電圧を徐々に増大させる手法も考えられる。しかし、この手法の場合は、光変調器2の動作点ドリフトの速度は一定ではなく、動作条件や光変調器2の特性(固有な特性)によって異なるため、バイアス電圧VBを最適値とするのに必要な電源電圧を得られない場合がある。本実施形態では、バイアス電圧VBの変化に応じて電源電圧V0を変化させているので、バイアス電圧VBを最適値とするのに必要な電源電圧を確実に確保することができる。
以上のように、本実施形態の光送信装置によれば、光変調器2の動作点が変動してもバイアス電圧VBを最適値で維持できるので、光変調器2の出力光の波形に歪が生じるといった問題は生じない。
加えて、バイアス電圧回路5を光変調器2の動作点の電圧値よりも少し大きな電源電圧(必要最低限の電源電圧)で動作させるので、消費電力の削減が可能である。なお、RF電気信号に基づく駆動電圧は、AC結合での印加であるため、AC振幅分まで考慮して、バイアス電圧を印加する必要はない。
消費電力の削減効果は、光変調器2の構成によって異なるが、長期信頼性を考慮した仕様のものと比較して、消費電力量を1/4程度に削減できる。例えば、バイアス電圧仕様が±50Vの変調器を用いた場合に、動作点が10V程度であれば、バイアス供給回路5の電源電圧は12V程度でよい。この場合、長期信頼性を考慮した仕様のものと比較して、電源電圧を38V程度低くすることができる。
また、光変調器2の特性上、一度、マイナス方向へ動作点がドリフトした後、プラス方向に動作点がドリフトする場合がある。本実施形態によれば、動作点がプラス方向及びマイナス方向のいずれの方向に移動しても、バイアス電圧VBの変化及び電源電圧V0の変化を追随させることができる。
以上説明した光送信装置は、本発明の一例であり、その構成および動作は適宜に変更することができる。
光変調器2は、LN位相変調器に限定されない。例えば、光変調器2は、LN強度変調器であってもよい。
以下に、変形例として、光変調器2をLN強度変調器で構成した光送信装置を説明する。
LN強度変調器は、LN基板上に、マッハツェンダ型干渉計を構成する第1及び第2の光導波路を形成し、さらに、これら第1及び第2の光導波路に近接して、RF駆動用電極及びバイアス調整用電極を形成したものである。
第1及び第2の光導波路の一端は、第1のY分岐導波路に結合され、他端は第2のY分岐導波路に結合されている。光源1からの光は、第1のY分岐導波路を介して第1及び第2の光導波路に供給される。第1及び第2の光導波路をそれぞれ伝搬した光は、第2のY分岐導波路にて合波される。光検出部6は、第2のY分岐導波路を介して出力される出力光の一部をモニタ光として検出する。
光変調器2の動作点は、図2に示した変調曲線の極大点と極小点の中間に設定される。RF電気信号が「0」であるときの駆動電圧V1が極小点の電圧値とされ、RF電気信号が「1」であるときの駆動電圧V2が極大点の電圧値とされる。
駆動電圧V1が供給された場合、第1及び第2の光導波路それぞれを伝搬する光の間に位相差は生じない。このため、第2のY分岐導波路では、第1の光導波路からの光と第2の光導波路からの光はそのまま足されて光変調器2より出力される。
一方、駆動電圧V2が供給された場合、第1及び第2の光導波路それぞれを伝搬する光の間には180°の位相差が生じる。この場合、第2のY分岐導波路では、第1の光導波路からの光と第2の光導波路からの光は互いに打ち消し合うため、光変調器2から光は出力されない。
LN強度変調器を用いた本変形例においても、制御部10は、光検出部6からのモニタ光検出信号S3に基づいて、バイアス電圧VBが光変調器2の動作点の電圧値になるようにバイアス電圧制御を行うとともに、必要最小限の電源電圧でバイアス電圧の供給動作を行わせる電源電圧制御を行う。具体的には、制御部10は、光検出部6からのモニタ光検出信号S3と基準値との差分が0になるように、バイアス供給回路5により供給されるバイアス電圧VBを変化させ、さらに、そのバイアス電圧VBの変化量に応じて、電源回路4により供給される電源電圧を変化させる。これにより、LN位相変調器を用いた場合と同様の作用及び効果を奏する。
また、本発明は、別の変形も可能である。例えば、光変調器2に、4ビットのデータを割り当てるDP−QPSK(Dual Polarization Quadrature Phase Shift Keying)の変調方式を採用してもよい。この場合は、消費電力の削減効果は、さらに大きくなる。例えば、制御対象端子数が6個、各端子を制御するためのオペアンプ等のIC(消費電流10mA程度)の数が6個であると仮定すると、消費電力の削減量は、38V(電圧降下分)×6(端子)×10(mA)=2.3Wとなる。
さらに、光変調器2は、LN以外の材料、例えばLiTaO3やKTiOPO4などの電気光学効果を有する材料を用いて形成してもよい。
さらに、光源1の出力光を検出する第2の光検出部を設け、この第2の光検出部の検出値を基準値として、モニタ光検出信号S3と基準値との差分が0になるようにバイアス電圧制御を行ってもよい。
上記の他、バイアス電圧制御には、様々な手法を適用することが可能である。本発明は、バイアス電圧制御が行われる光変調器全般に適用可能である。
また、本発明は、以下の付記1〜7のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
[付記1]
光源と、
駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って前記光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、
前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報を出力するフィードバック部と、
電源電圧を出力する電源回路と、
前記電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路と、
前記バイアス電圧供給回路の前記バイアス電圧の供給動作及び前記電源回路の前記電源電圧の出力動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記フィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて前記電源電圧を変化させる、光送信装置。
[付記2]
前記電源電圧と前記バイアス電圧の差が一定である、付記1に記載の光送信装置。
[付記3]
前記電源回路は、出力電圧可変のDC−DCコンバータよりなる、付記1または2に記載の光送信装置。
[付記4]
前記フィードバック部は、前記出力光の強度を検出し、該検出値を前記フィードバック情報として前記制御部に供給する光検出部よりなり、
前記制御部は、前記検出値と基準値との差分が0になるように前記バイアス電圧を変化させる、付記1から3のいずれか1つに記載の光送信装置。
[付記5]
前記光検出部は、前記光変調器に組み込まれている、付記4に記載の光送信装置。
[付記6]
前記光変調器は、ニオブ酸リチウムよりなる、付記1から5のいずれか1つに記載の光送信装置。
[付記7]
駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路とを備えた光送信装置の電源電圧制御方法であって、
前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて、前記電源電圧を変化させる、電源電圧制御方法。
上記光送信装置及び電源電圧制御方法において、光変調器の動作点を安定化できるのであれば、フィードバック情報はどのような手法で取得してもよい。例えば、図1に示した光送信装置と同様の手法でフィードバック情報(モニタ光検出信号S3と基準値との差分に相当する)を取得してもよい。
また、特許文献1に記載された手法を用いてフィードバック情報を取得してもよい。具体的には、低周波数のディザ信号を重畳した駆動信号によりマッハツェンダ型LN変調器を駆動する。そして、マッハツェンダ型LN変調器の出力信号から抽出したディザ信号と重畳前のディザ信号との位相比較結果をフィードバック情報として用いる。
上記光送信装置において、光源、光変調器、フィードバック部、電源回路、バイアス電圧供給回路及び制御部は、それぞれ図1に示した光源1、光変調器2、光検出部6、電源回路4、バイアス供給回路5及び制御部10により構成されてもよい。
1 光源
2 光変調器
3 RF駆動回路
4 電源回路
5 バイアス供給回路
6 光検出部
10 制御部

Claims (7)

  1. 光源と、
    駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って前記光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、
    前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報を出力するフィードバック部と、
    電源電圧を出力する電源回路と、
    前記電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路と、
    前記バイアス電圧供給回路の前記バイアス電圧の供給動作及び前記電源回路の前記電源電圧の出力動作を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記フィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて前記電源電圧を変化させる、光送信装置。
  2. 前記電源電圧と前記バイアス電圧の差が一定である、請求項1に記載の光送信装置。
  3. 前記電源回路は、出力電圧可変のDC−DCコンバータよりなる、請求項1または2に記載の光送信装置。
  4. 前記フィードバック部は、前記出力光の強度を検出し、該検出値を前記フィードバック情報として前記制御部に供給する光検出部よりなり、
    前記制御部は、前記検出値と基準値との差分が0になるように前記バイアス電圧を変化させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の光送信装置。
  5. 前記光検出部は、前記光変調器に組み込まれている、請求項4に記載の光送信装置。
  6. 前記光変調器は、ニオブ酸リチウムよりなる、請求項1から5のいずれか1項に記載の光送信装置。
  7. 駆動信号及びバイアス電圧をそれぞれ入力とし、前記駆動信号に従って光源からの光を変調するとともに、前記バイアス電圧に応じて出力光の強度が変化する光変調器と、電源電圧を受けて動作し、前記バイアス電圧を前記光変調器に供給するバイアス電圧供給回路とを備えた光送信装置の電源電圧制御方法であって、
    前記出力光の強度が所定値とされる前記光変調器の動作点に対する前記バイアス電圧のずれ量を示すフィードバック情報に基づいて、前記バイアス電圧を変化させるとともに、該バイアス電圧の値に応じて、前記電源電圧を変化させる、電源電圧制御方法。
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