JP2017125226A - 無電解めっき用プライマー組成物、無電解めっき用プライマー部材及びめっき物 - Google Patents

無電解めっき用プライマー組成物、無電解めっき用プライマー部材及びめっき物 Download PDF

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Abstract

【課題】PBT、PPS等の難接着性樹脂基材、及び、無電解めっきにより析出しためっき金属膜に対する接着性に優れ、かつ、プライマー層とした場合に、表面状態が良好なめっき金属膜を好適に形成することができる無電解めっき用プライマー組成物を提供すること。【解決手段】(A)アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有することを特徴とする無電解めっき用プライマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、無電解めっき用プライマー組成物、無電解めっき用プライマー部材及びめっき物に関する。詳細には、電磁波シールド部材、回路部品等の製造に好適に使用されるポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の難接着性樹脂基材に対する無電解めっき用プライマー組成物等に関する。
近年、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等の耐熱性に優れるものの難接着性である樹脂基材の表面に金属膜を形成することにより、電磁波シールド部材、回路部品等を製造するという要望が高まっている。電磁波シールド性の向上や回路の配線抵抗軽減のため、金属膜には、膜厚が均一であること、クラック等の欠損がないこと、及び、厚膜(例えば、膜厚が1μm以上)であることが要求される。基材の表面に金属膜を形成する技術としては、金属蒸着法、金属スパッタ法、めっき法等が知られている。金属蒸着法及び金属スパッタ法は、基材が非導電性であっても成膜可能ではあるものの、成膜速度が小さいために金属厚膜の形成が困難であり、基本的に水平面にしか成膜できないという問題がある。めっき法は基材が三次元形成品である場合にも適用可能であり、導電体基材には電解めっき法が、PBT等の非導電体基材には無電解めっき法が適用される。無電解めっき法は、電解めっき法と比較して成膜速度が小さく、また、厚膜形成が困難なため、必要に応じて、無電解めっき法により非導電性基材上に金属薄膜を形成した後に、金属薄膜を導電体とした電解めっき法により金属厚膜が形成されることがある。
一般的な樹脂基材に無電解めっき法を行うと、めっき金属が析出しない又は不均一に析出し、めっき金属膜が形成された部分であっても、樹脂基材との接着性が不十分であるという問題がある。そこで、めっき金属膜と基材との接着性を向上させるため、基材に対してクロム酸等の強酸化性薬液によるウェット処理、又は、コロナやサンドブラスト等のドライ処理を行うことにより基材表面を粗化する手法が知られている。しかし、ウェット処理は、粗化のための添加剤が添加されためっき専用グレードの樹脂からなる基材にしか適用することができず、また、クロム酸が有害物質であるため作業環境に対する悪影響が大きいという問題がある。ドライ処理は、基材の材質(樹脂の種類)に対する制限は少ないものの、突起物周りや孔の側壁など、影になる部分を処理できないため、複雑な形状の三次元形成品の表面全体を均一に処理することが困難であるという問題がある。また、基材表面の粗化のみでは、基材とめっき金属膜との接着性を向上することはできても、めっき金属の析出性を改善することは困難である。
一方、無電解めっき用プライマー組成物を基材に塗布してプライマー層(以下、無電解めっき用プライマー組成物を塗布して得られた塗膜のことを単にプライマー層という場合がある)を形成した後、無電解めっきを行う方法も知られている。特許文献1には、アミノ基等の窒素・水素結合を有する化学構造と、カルボキシル基、スルフォン酸基及びリン酸基等の造塩性官能基とを組み合わせて有する無電解めっき用樹脂組成物が報告されている。しかし、該組成物は親水性の高い造塩性官能基を多数含有するため、耐湿熱性に劣るという問題がある。
特許文献2には、少なくとも1個のアミノ基又はウレイド基を有するシランカップリング剤を含む合成樹脂組成物を、無電解めっき用プライマー組成物として用いることが記載されている。また、特許文献3には、ポリエステル樹脂及び/又はポリウレタン樹脂を含む易めっき性樹脂組成物が記載されている。しかし、これらの組成物はPBT、PPS等の難接着性樹脂基材に対する接着性が不十分であり、また、無電解めっき法によるめっき金属の析出性が不十分であるという問題がある。
特許文献4には、銀鏡反応を利用した銀めっき法において、銀鏡層との接着性を向上させるため、金属めっき層のアンダーコート層にベンゾトリアゾールを含有させることが記載されている。しかし、アンダーコート層中のベンゾトリアゾールが無電解めっき浴中に溶出し、無電解めっき浴の活性を低下させる場合があるという問題がある。
特許文献5には、金めっきの下地層を形成後に、1,2,3ベンゾトリアゾール液により表面処理することが記載されている。しかし、該文献ははんだ濡れ性の向上を目的としており、基材やめっき金属膜に対する接着性については一切検討していない。
特開平10−183358号公報 特開2011−86786号公報 特開2011−35220号公報 特開2007−169685号公報 特開平05−90741号公報
本発明は、PBT、PPS等の難接着性樹脂基材、及び、無電解めっきにより析出しためっき金属膜に対する接着性に優れ、かつ、プライマー層とした場合に、表面状態が良好なめっき金属膜を好適に形成することができる無電解めっき用プライマー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、無電解めっき用プライマー組成物にアミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有させることにより、無電解めっき浴の活性を低下させることなく、めっき金属膜に対する接着性を向上させることができることを見出した。また、無電解めっき用プライマー組成物に、特定のガラス転移温度(Tg)及び特定の水酸基価を有するポリエステルと、ポリメチレンフェニルポリイソシアネートとを特定の割合で含有させることにより、めっき金属膜に対する接着性がさらに向上することを見出した。
すなわち、本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、
(A)アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有することを特徴とする。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物において、(A)ベンゾトリアゾール化合物が下記一般式(1)又は(2)で表される化合物であることが好ましい:
Figure 2017125226
[一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す]
Figure 2017125226
[一般式(2)中、Rは水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し、Rは水素又はヒドロキシアルキル基を表す]。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、さらに、(B)ガラス転移温度が0〜20℃、かつ、水酸基価が2〜10mgKOH/gであるポリエステル(但し、ポリエステルウレタンを除く)を含有することが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、さらに、(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネートを含有することが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物において、(A)〜(C)成分の重量比は、(A)ベンゾトリアゾール化合物:(B)ポリエステル:(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネート=0.5〜10:100:3〜40であることが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物において、(B)ポリエステルの酸価が2mgKOH/g未満であることが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、さらに、(D)硬化触媒を含有することが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、さらに、(E)有機溶剤を含み、全固形分の合計が2〜25重量%であることが好ましい。
本発明の無電解めっき用プライマー部材は、基材上に、本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いて得られるプライマー層を備えたことを特徴とする。
本発明の無電解めっき用プライマー部材は、基材が表面粗化処理されていないものであることが好ましい。
本発明のめっき物は、本発明の無電解めっき用プライマー部材を用いて得られることを特徴とする。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有するため、PBT、PPS等の難接着性樹脂基材、及び、無電解めっきにより析出しためっき金属膜に対する接着性に優れ、かつ、プライマー層とした場合に、表面状態が良好なめっき金属膜を好適に形成することができる。また、耐湿熱試験等を行った後でも良好な接着性を維持することができる。
また、本発明の無電解めっき用プライマー部材は、本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いて得られるプライマー層を備えるため、表面粗化処理されていない基材を用いた場合でもなお、基材とプライマー層との接着性に優れる。また、無電解めっき法により、表面状態が良好なめっき金属膜を形成するのに好適に用いられる。さらに、本発明のめっき物は、本発明の無電解めっき用プライマー部材を用いて得られるため、基材とプライマー層との接着性、及び、プライマー層とめっき金属膜との接着性に優れ、また、表面状態が良好なめっき金属膜を備える。
<<無電解めっき用プライマー組成物>>
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、(A)アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有することを特徴とする。
<(A)ベンゾトリアゾール化合物>
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、めっき金属膜との接着性向上剤として、(A)アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物(以下、単に(A)成分ともいう)を含有する。
通常、ベンゾトリアゾール化合物としては、無置換のものや、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の置換基を有するものが挙げられるが、これらの中でもアミノ基又はヒドロキシル基を有するものが好ましい理由としては、本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いてプライマー層を形成した際に、めっき金属膜との接着性を向上させつつも、無電解めっきを行う際にめっき浴への溶出が低く抑えられ得る点が挙げられる。
(A)成分としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。(A)成分としては、特定の種類のものを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
Figure 2017125226
[一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す]
Figure 2017125226
[一般式(2)中、Rは水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し、Rは水素又はヒドロキシアルキル基を表す]
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール等が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール等が挙げられる。
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、本発明の無電解めっき用プライマー組成物中0.02〜3重量%であることが好ましく、0.05〜2重量%であることがより好ましい。(A)成分の含有量が0.02重量%未満であると、密着性向上効果が不十分となることがあり、3重量%を超えると、めっき析出性が悪くなることがある。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物が後述する(B)成分を含有する場合、(A)成分の含有量は、特に限定されないが、(B)成分100重量部に対して0.5〜10重量部であることが好ましい。(A)成分の含有量が0.5重量部未満であると、めっき金属膜との接着性向上効果が不十分となることがあり、10重量部を超えるとめっき金属析出性が低下する場合がある。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は、(A)成分に加えて、本発明の目的を損なわない範囲内で、任意に他の成分を含有していても良い。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、(B)ガラス転移温度が0〜20℃、かつ、水酸基価が2〜10mgKOH/gであるポリエステル(但し、ポリエステルウレタンを除く)、(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネート、(D)硬化触媒、(E)有機溶剤等が挙げられる。
<(B)ポリエステル>
本発明の無電解めっき用プライマー組成物はバインダーを含有しても良く、特に、(B)ガラス転移温度が0〜20℃、かつ、水酸基価が2〜10mgKOH/gであるポリエステル(但し、ポリエステルウレタンを除く)(以下、単に(B)成分ともいう)を含有しても良い。
(B)成分としては、分子内に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物と、分子内に2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物とを重縮合して得られた高分子化合物であって、ガラス転移温度が0〜20℃、かつ、水酸基価が2〜10mgKOH/gであるものであれば特に限定されない。(B)成分としては、特定の種類のものを単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。但し、析出しためっき金属膜とプライマー層との接着性が得られないことがあるため、本発明の無電解めっき用プライマー組成物において、ポリエステルウレタンを(B)成分として用いることはできない。
(B)成分のガラス転移温度(Tg)は、0〜20℃であるが、5〜15℃が好ましい。ガラス転移温度が0℃未満であると、めっき析出性が不十分となることがあり、20℃を超えると、めっき金属膜とプライマー層との接着性が不十分となることがある。
(B)成分の水酸基価は、2〜10mgKOH/gであるが、4〜8mgKOH/gが好ましい。水酸基価が2mgKOH/g未満であると、硬化が不十分となり、プライマー層の強度が不十分となることがあり、10mgKOH/gを超えると、めっき金属膜とプライマー層との接着性が不十分となることがある。
(B)成分の酸価は、特に限定されないが、2mgKOH/g未満が好ましい。酸価が2mgKOH/g以上であると、耐湿熱性が不十分となることがある。(B)成分の酸価は、酸性部位と反応する反応基を有する物質と反応させることにより、2mgKOH/g未満に調節することができる。
(B)成分の分子量は、特に限定されないが、5,000〜100,000が好ましく、10,000〜50,000がより好ましい。分子量が5,000未満であると、プライマー層の強度が不十分となることがあり、100,000を超えると、塗布性の低下により均一なプライマー層が得られないことがある。
(B)成分として使用できる市販品としては、例えば、バイロン630(東洋紡株式会社製、ガラス転移温度7℃、水酸基価5mgKOH/g、酸価<2mgKOH/g)、バイロンGK340(東洋紡株式会社製、ガラス転移温度0℃、水酸基価7mgKOH/g、酸価5mgKOH/g)等が挙げられる。
<(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネート>
本発明の無電解めっき用プライマー組成物は硬化剤を含有しても良く、特に、(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネート(以下、単に(C)成分ともいう)を含有しても良い。(C)成分は、ポリメリックMDI又はクルードMDIとも呼称される。硬化剤を含有することにより、硬化剤中の反応性基と(A)成分のアミノ基又はヒドロキシル基とが、反応及び/又は相互作用を起こすと考えられる。これにより(A)成分と(A)成分以外の成分との結合力が強まり、めっき浴への溶出が特に抑えられると考えられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物が(B)成分及び(C)成分を含有する場合、(C)成分の含有量は、特に限定されないが、(B)成分100重量部に対して3〜40重量部であることが好ましく、10〜30重量部であることがより好ましく、10〜20重量部であることがさらに好ましい。(C)成分の含有量が3重量部未満であると、めっき析出性が不十分となることがあり、40重量部を超えると、めっき金属膜とプライマー層との接着性が不十分となることがある。
(C)成分として使用できる市販品としては、例えば、ルプラネートM5S(BASF INOAC ポリウレタン株式会社製)、コスモネートM−200(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
<(D)硬化触媒>
(D)硬化触媒(以下、単に(D)成分ともいう)としては、特に限定されないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート等の錫化合物、オクチル酸ビスマス等のビスマス化合物、テトラオクチルチタネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタン化合物、ジルコニウムモノアセチルアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセテート等のジルコニウム化合物、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)等のアミン類等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、本発明の無電解めっき用プライマー組成物中0.01〜2重量%であることが好ましく、0.02〜1重量%であることがより好ましい。(D)成分の含有量が0.01重量%未満であると、触媒効果が得られないことがあり、2重量%を超えると、本発明の無電解めっき用プライマー組成物の可使時間が極端に短くなることがある。
<(E)有機溶剤>
(E)有機溶剤(以下、単に(E)成分ともいう)としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、ナフタレン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族系炭化水素、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物において、全固形分の合計量は、特に限定されないが、2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。全固形分の合計量が2重量%未満であると、所定の膜厚を得るために大量の無電解めっき用プライマー組成物を塗布することになり不経済であり、また、無電解めっき用プライマー組成物の塗布性低下により均一なプライマー層が得られないことがある。一方、25重量%を超えると、無電解めっき用プライマー組成物の塗布性低下により均一なプライマー層が得られないことがある。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物には、チオール基を有する化合物が混入することがある。チオール基を有する化合物の含有量は、特に限定されないが、全固形分に対して2重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましい。含有量が2重量%を超えると、めっき金属膜にクラック等の異常が発生し、めっき金属膜とプライマー層との接着性、特に耐湿熱試験後の接着性が低下することがある。チオール基を有する化合物の含有量は、使用する添加剤に含まれるチオール基を有する化合物の含有量等から算出することができる。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物を得る際には、前記成分を配合した後で、必要に応じて分散処理を行っても良い。分散処理としては、当該分野で通常用いられる手段を用いた処理を行えば良く、例えば、ディスパー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ビーズミル等の手段を用いた処理が挙げられる。これらの中では、簡便な処理で良好な分散とすることが出来ることから、超音波ホモジナイザーを用いた処理が好ましい。
<<無電解めっき用プライマー部材>>
本発明の無電解めっき用プライマー部材は、基材上に、本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いて得られるプライマー層を備えたことを特徴とする。本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いることで、無電解めっき用プライマー組成物の塗布前に基材を表面粗化処理しない場合であっても、基材とプライマー層との接着性に優れた本発明の無電解めっき用プライマー部材を得ることができる。
<基材>
基材としては、特に限定されないが、例えば、PBT、PPS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)等の材質からなる基材が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いてプライマー層を形成する際、常法に従い、基材に対して予め表面粗化処理を行っても良いが、本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いた場合、表面粗化処理をせずとも基材とプライマー層との接着性が良好となるため、表面粗化処理を行わなくても良い。
本発明の無電解めっき用プライマー部材において、基材を表面粗化処理する手間を省き、作業を簡略化する観点からは、基材は表面粗化処理されていないものであることが好ましいが、本発明では、基材とプライマー層との接着性をさらに強固なものとするために基材を表面粗化処理することが排除されるわけではない。
本発明の無電解めっき用プライマー組成物を用いてプライマー層を形成する方法としては、特に限定されないが、無電解めっき用プライマー組成物を基材上に塗布した後、加熱処理、光照射処理等する方法等が挙げられる。無電解めっき用プライマー組成物を基材上に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、ブレードコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法等を用いることができる。これらの中では、特にスプレーコート法が好ましい。
基材上に塗布された無電解めっき用プライマー組成物を加熱処理、光照射処理等することにより、基材上にプライマー層を形成することができる。加熱処理は、特に限定されず公知の方法により行えば良く、例えば、送風オーブン、赤外線オーブン、真空オーブン等を用いて行えば良い。なお、無電解めっき用プライマー組成物が含有する(E)有機溶剤は、加熱処理により除去される。
加熱処理は、特に限定されないが、150℃以下の温度条件で行うことが好ましい。加熱処理の温度が150℃を超えると、用いる基材の材質が限定され、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂等の材質からなる基材を用いることが出来なくなる。
加熱処理の温度は、60〜140℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。加熱処理の処理時間は、特に限定されないが、0.1〜60分間であることが好ましく、0.5〜30分間であることがより好ましい。
光照射処理には、特に限定されないが、主に、紫外線、可視光、電子線、電離放射線等を使用する。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源から発する紫外線等を使用することができる。ここで、エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜5000mJ/cm程度である。
プライマー層の表面粗さ(Ra)は、1000nm以上が好ましく、2000nm以上がより好ましい。表面粗さが1000nm未満であると、めっき金属膜との接着性が不十分となることがある。
プライマー層の厚さは、特に限定されないが、2〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。厚さが2μm未満であると、めっき金属膜とプライマー層との接着性が不十分となることがあり、50μmを超えると、不経済である。
<<めっき物>>
本発明のめっき物は、本発明の無電解めっき用プライマー部材を用いて得られることを特徴とする。
本発明の無電解めっき用プライマー部材を用いてめっき物を得る方法としては、例えば、無電解めっき用プライマー部材に対して無電解めっき法を行い、析出しためっき金属膜を導電体としてさらに電解めっき法を行う方法等が挙げられる。無電解めっき法、電解めっき法は、それぞれ公知の方法により行えば良い。
本発明のめっき物において、めっき金属膜の膜厚は、特に限定されないが、1μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。膜厚が1μm未満であると、電磁波シールド特性が不十分であったり、配線抵抗が大きい等の不具合が発生することがある。
本発明のめっき物の用途は、導電性が要求される用途であれば特に限定されないが、例えば、電磁波シールド部材、回路部品等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
1.使用材料
1−1.(A)成分
・1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製、BT−LX)
・1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール(東京化成工業株式会社試薬、BT−MeOH)
1−2.(A)成分以外のベンゾトリアゾール化合物
・1,2,3−ベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製、BT120)
・カルボキシベンゾトリアゾール(城北化学工業株式会社製、CBT−1)
・2−(ヒドロキシメチル)ベンゾイミダゾール(東京化成工業株式会社製試薬、2HBI)
1−3.(B)成分
・ポリエステル(東洋紡株式会社製、バイロン630、ガラス転移温度7℃、水酸基価5mgKOH/g、酸価<2mgKOH/g)
1−4.(C)成分
・ポリメリックMDI(BASF INOAC ポリウレタン株式会社製、ルプラネートM5S)
1−5.(D)成分
・1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)
1−6.(E)成分
・芳香族系炭化水素溶剤(東燃ゼネラル石油株式会社製、ソルベッソ100)
・芳香族系炭化水素溶剤(東燃ゼネラル石油株式会社製、ソルベッソ150)
・トルエン
・メチルエチルケトン(MEK)
2.評価方法
2−1.基材接着性
基材上に形成したプライマー層にセロハンテープを張り付け、一気に剥がした後、プライマー層の剥離状態を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:剥離は観察されない。
△:一部に剥離が観察される。
×:全体に剥離が観察される。
2−2.めっき金属析出性
プライマー層の表面全体に対する、無電解めっき法によりめっき金属が析出した部分の割合(析出率)を目視により概算し、下記の基準で評価した。
○:析出率は95%以上である。
△:析出率は90%以上95%未満である。
×:析出率は90%未満である。
2−3.めっき金属膜外観
無電解めっき法により得られためっき金属膜の表面状態を、目視及び光学顕微鏡で観察し、外観異常(クラック、孔、しわ等)の有無を評価した。
2−4.めっき金属膜接着性
電解めっき法により得られためっき金属膜(及びプライマー層)に、幅10mm、長さ30mmの切り込みを入れた。ハンディデジタルフォースゲージ(日本計測システム株式会社製、フォースゲージHF−10)及び自動縦型サーボスタンド(日本計測システム株式会社製、サーボスタンドJSV−H1000)を用いて、幅10mm、長さ25mmの引き剥がし(ピール)強度を測定し、下記の基準で評価した。
○:ピール強度が5N/cm以上である。
△:ピール強度が3N/cm以上5N/cm未満である。
×:ピール強度が3N/cm未満である。
剥離:ピール強度測定前にめっき金属膜の一部又は全てがプライマー層から既に剥離している。
ピール強度の測定は、電解めっき法を行った直後(初期)、及び、温度85℃、湿度85%の条件下で3週間保管後(耐湿熱試験後)の2回ずつ行った。
(実施例1〜6、比較例1〜4)
表1に記載した重量比で各成分を混合し、無電解めっき用プライマー組成物を作製した。常法に従い作製したグラスファイバー30%含有PBT製の基材(80×50×2mm)の表面を、イソプロピルアルコール(IPA)を浸み込ませたウェスを用いて脱脂した。作製した無電解めっき用プライマー組成物をワイヤーバーNo.75を用いて、無電解めっき用プライマー組成物を基材に塗布した。その後、常温で5分間静置した後、オーブン(東京理化器械株式会社製)にて100℃で30分間加熱処理することにより、無電解めっき用プライマー組成物を乾燥させ、プライマー層を形成して無電解めっき用プライマー部材を得た。ここで、上記2−1.に記載した方法により基材接着性を評価した。
以下の方法により無電解めっき法を行った。
一連の無電解めっき用薬液はアトテックジャパン株式会社の薬液を使用した。まず無電解めっき用プライマー部材をプリディップネオガントB希釈液を用いて常温で1分間浸漬処理した。次に触媒液としてアクチベーター834調整液を用いて40℃で5分間浸漬した後、水洗を行った。次に還元液としてリデューサーネオガントWA801調整液を用いて常温で5分間浸漬処理した後、水洗を行った。次に無電解めっき液としてプリントガントV調整液を用いて34℃で5分間、エアバブリングしながら浸漬処理した後、水洗を行った。最後にエアガンで水切りしたのち、常温で12時間以上自然乾燥を行った。
ここで、上記2−2.〜2−3.に記載した方法により、めっき金属析出性及びめっき金属膜外観を評価した。
以下の方法により電解めっき法を行った。
電解めっき用薬液としてアトテックジャパン株式会社のCUPLEX330調整液、アノードとしてハルセル陽極板 含燐銅(株式会社山本鍍金試験機社製)、電源としてHKD−1530F(株式会社三社電機作成所製)を使用した。電解めっき用薬液を入れためっき浴にめっき対象物をセットして電源を接続し、1.8アンペアで常温、24分間の条件で電解めっきを行った。電解めっき後に水洗を行い、最後に80℃のオーブンで60分間乾燥した。
ここで、上記2−4.に記載した方法により、めっき金属膜接着性を評価した。以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2017125226

Claims (11)

  1. (A)アミノ基又はヒドロキシル基を有するベンゾトリアゾール化合物を含有することを特徴とする無電解めっき用プライマー組成物。
  2. (A)ベンゾトリアゾール化合物が下記一般式(1)又は(2)で表される化合物である、請求項1に記載の無電解めっき用プライマー組成物:
    Figure 2017125226
    [一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す]
    Figure 2017125226
    [一般式(2)中、Rは水素、アルキル基又はヒドロキシアルキル基を表し、Rは水素又はヒドロキシアルキル基を表す]。
  3. さらに、(B)ガラス転移温度が0〜20℃、かつ、水酸基価が2〜10mgKOH/gであるポリエステル(但し、ポリエステルウレタンを除く)を含有する、請求項1又は2に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  4. さらに、(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネートを含有する、請求項3に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  5. (A)〜(C)成分の重量比は、(A)ベンゾトリアゾール化合物:(B)ポリエステル:(C)ポリメチレンフェニルポリイソシアネート=0.5〜10:100:3〜40である、請求項4に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  6. (B)ポリエステルの酸価が2mgKOH/g未満である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  7. さらに、(D)硬化触媒を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  8. さらに、(E)有機溶剤を含み、全固形分の合計が2〜25重量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の無電解めっき用プライマー組成物。
  9. 基材上に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の無電解めっき用プライマー組成物を用いて得られるプライマー層を備えたことを特徴とする無電解めっき用プライマー部材。
  10. 基材が表面粗化処理されていないものである、請求項9に記載の無電解めっき用プライマー部材。
  11. 請求項9又は10に記載の無電解めっき用プライマー部材を用いて得られることを特徴とするめっき物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023085246A1 (ja) * 2021-11-11 2023-05-19 コニカミノルタ株式会社 非感光性表面改質剤、積層体、プリント基板及び電子デバイス

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