JP2017121752A - 軽量気泡コンクリートコーナーパネルの製造方法 - Google Patents

軽量気泡コンクリートコーナーパネルの製造方法 Download PDF

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重樹 平田
Shigeki Hirata
重樹 平田
竜也 内山
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竜也 内山
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【課題】軽量気泡コンクリートコーナーパネル(ALCコーナーパネル)の製造において、型枠内に配置された補強用鉄筋を従来よりも高い安定性の下で固定して、これにより、ALCコーナーパネルの品質を更に向上させることを目的とする。【解決手段】軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋2を硬化用の型枠内に設置する際に、補強用鉄筋2を型枠内の所定位置に固定するために用いるセットピン1を、条材からなる軸部材11と、軸部材11の軸方向に対して垂直な一方向に向けて突起する態様で形成されている浮き止め爪121及び沈み止め爪122とからなる1対の挟持用部材12と、前記一方向と反対方向に向けて突起する態様で形成されている1つの補助浮き止め爪13と、を有するセットピン1とする。【選択図】図2

Description

本発明は、軽量気泡コンクリートコーナーパネル(ALCコーナーパネル)の製造方法に関する。
軽量気泡コンクリート(ALC)は、通常のコンクリートよりも軽量であると同時に、耐火性、断熱性、施工性に優れている。このような特性を有する軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)は、建築材料として建築物の壁、屋根、床等に広く使用されている。
例えば、図5に示すように、建築物において、ALCパネル200によってコーナー部を含む壁構造400を躯体300上に構成する際、その隅部においては、軽量気泡コンクリートからなり断面L字形状のブロック体であるALCコーナーパネル100を配置して、コーナー部を含む壁構造400を構成することが一般的に行われている。
一般的に、ALCコーナーパネルの製造は、L字状の副筋と格子状に配設される直線状の主筋とからなる補強用鉄筋(図4参照)を型枠内に設置した後、ALCスラリーを同型枠内に注入して得た半可塑性体3を、所定サイズに切り出し、更に高温高圧で養生後、製品毎に所定のサイズ及び形状に加工することにより行われる。
ALCコーナーパネルの製造においては、通常、図4に示すように、補強用鉄筋21、22、23は、型枠内に、上下方向に複数重ねられて配置される。最終製品の表面に補強用鉄筋21、22、23の一部が露出して不良品となることを回避するためには、型枠内に配置された補強用鉄筋21、22、23が結合されてなる補強用鉄筋(ブロック体)2の一部が、ALCスラリーの硬化中に、型枠内で不要に移動しないように安定的に固定されていることが必要である。ところが、ALCコーナーパネルの補強用鉄筋を安定的に固定することは構造上甚だ困難であり、この問題を解決するために、補強用鉄筋の複数の主筋を挟む2つの爪を有するセットピンで補強用鉄筋を固定することにより、型枠内での補強鉄筋の不要な移動を防止する方法が提案されている(特許文献1、特に図10等参照)。
特開2000−141350号公報
特許文献1に記載のセットピンによれば、単純な構造の単一種類のセットピンにより、補強用鉄筋を固定することができる。しかしながら、これらのセットピンのように、条材の片側のみに鉄筋を挟持するための爪部分を有する構造のセットピンでは、補強用鉄筋の固定の安定性について、尚、不十分であり、改善の余地があった。例えば、図3Aに示すように、軸部材11の片側に補強用鉄筋の浮き止め爪121と沈み止め爪122とを有する構造からなる従来構造のセットピン1Bで補強用鉄筋(ブロック体)2を固定した場合においては、図3Bに示すように、型枠内のALCスラリー中で、補強用鉄筋(ブロック体)2の全体が斜めに傾いてしまい、主筋211aが浮き止め爪121に掛からなくなり、補強用鉄筋(ブロック体)2が浮き上がってしまうという現象を十分に防ぐことができていなかった。
本発明は、ALCコーナーパネルの製造において、型枠内に配置された補強用鉄筋を従来よりも高い安定性の下で固定して、これにより、ALCコーナーパネルの品質を更に向上させることを目的とする。
本発明者は、補強用鉄筋の固定用セットピンを、その軸部材の片側に鉄筋の浮き止めと沈み止めを1対有し、更にその反対側に浮き止め1を1ケ有する構造とすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋を硬化用の型枠内に設置する際に、前記補強用鉄筋を前記型枠内の所定位置に固定するために用いるセットピンであって、条材からなる軸部材と、該軸部材の軸方向に対して垂直な一方向に向けて突起する態様で形成されている浮き止め爪及び沈み止め爪とからなる1対の挟持用部材と、前記一方向と反対方向に向けて突起する態様で形成されている1つの補助浮き止め爪と、を有するセットピン。
(1)の発明によれば、従来公知の形状のセットピン等、その他の固定手段によっては、尚、十分な安定性を得ることが困難であった、軽量気泡コンクリートコーナーパネルの硬化用の型枠内での、補強用鉄筋の配置位置での固定を、十分な安定性の下で行うことができる。
(2) (1)に記載のセットピンを用いて、前記1対の挟持用部材によって、複数の主筋を挟持し、前記補助浮き止め爪を、いずれかの主筋又は横筋に干渉させた状態で、軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋を前記型枠内に固定し、該型枠にALCスラリーを注入し乾燥して半可塑性体を得る工程を行うALCコーナーパネルの製造方法。
(2)の発明によれば、(1)の発明の上記効果を享受して、ALCコーナーパネルの品質向上に寄与することができる。
本発明によれば、ALCコーナーパネルの製造において、型枠内に配置された補強用鉄筋を従来よりも高い安定性の下で固定して、これにより、ALCコーナーパネルの品質を更に向上させることができる。
本発明のセットピンの正面図である。 本発明のセットピンによるコーナーパネル用の補強用鉄筋の固定の態様を示す正面図である。 従来公知のセットピンによるコーナーパネル用の補強用鉄筋の固定の態様を示す正面図である。 従来公知のセットピンによるコーナーパネル用の補強用鉄筋の固定態様の正面図であり、従来構造の問題点の説明に供する図面である。 本発明のセットピンを用いて、軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋を型枠内に固定した状態を示す斜視図である。 本発明の製造方法によって製造された軽量気泡コンクリートコーナーパネルを用いてなる建物の壁構造の一例を示す斜視図である。
以下、本発明のセットピンと、それを用いた軽量気泡コンクリートコーナーパネルの製造方法の実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
<軽量気泡コンクリートコーナーパネルの製造方法>
本発明の軽量気泡コンクリートコーナーパネル(ALCコーナーパネル)の製造方法は、従来公知のセットピンに代えて、本願発明に係る独自形状からなるセットピンを用いることによって、型枠内に配置するALCコーナーパネル用の補強用鉄筋の型枠内での固定の安定性を、従来よりも顕著に向上させた点に特徴がある。この製造方法は、例えば、特許文献1に記載のALCコーナーパネルの製造方法も含め、従来公知の製造方法にも広く適用可能な製造方法である。
本発明の製造方法においては、先ず、箱状の型枠に、図4に示すような補強用鉄筋21、22、23が3段に連結されてなる補強用鉄筋(ブロック体)2を、例えば、2本1組のセットピン1によりセットする。補強用鉄筋21、22、23は、図2及び図4に示すように、直径3mm〜6mm程度の鉄筋を、中央から直角に折り曲げた横筋(212、222、232)の、各々の一方の辺に、同じく直径3mm〜6mm程度の直線状の2本の主筋(211a、211b、221a、221b、231a、231b)を溶接し、各々の他方の辺に同じ長さの2本の主筋(211c、211d、221c、221d、231c、231d)を溶接したものである。尚、各段の補強用鉄筋21、22、23の水平な主筋を、複数の連結用鉄筋20で連結することが好ましい。尚、本明細書において単に「補強用鉄筋」という場合には、図4に示す、個々の補強用鉄筋21、22、23及び、それらが連結されてなる補強用鉄筋(ブロック体)2のいずれをも含むもののことを言うものとする。
このようにして型枠内に補強用鉄筋(ブロック体)2が高い安定性の下で固定された後、ALCスラリーが同型枠内に注入される。所望時間経過後、ALCスラリーが半可塑性状態に硬化した段階で、セットピン1の突出部分を切除、或いは90°程度軸改定することにより、セットピン1から半可塑性体を開放して、型枠から取り出し、切断装置のピアノ線で次工程に投入するために適切な所定サイズに分断する。
この後、オートクレーブ養生、更なる切断、そして、断面L字条の角柱形状とするための面取り加工等を経て、ALCコーナーパネル100(図5参照)を得ることができる。
<補強用鉄筋固定用のセットピン>
図1及び図2に示す通り、本発明のセットピン1は、軸部材11に、その軸方向に対して垂直な一方向に向けて突起する態様で形成されている1対の挟持用部材12と、挟持用部材12と反対方向に向けて突起する態様で形成されている1つの補助浮き止め爪13とが形成されている。挟持用部材12は、浮き止め爪121と、浮き止め爪121と所定の間隔をおいて対向する位置に、浮き止め爪121と同一方向に向けて突起する態様で形成されている沈み止め爪122と、を一対とする構成として形成されている。上記の「所定の間隔」は、挟持する対象である補強用鉄筋の主筋の配置によって決定される。例えば、図2に示すように、補強用鉄筋(ブロック体)2の主筋211aと主筋221aを挟持可能な配置であればよい。
軸部材11は鉄筋等の各種の条材を用いて形成することができる。この条材としては、直径8mm〜12mm程度の円形若しくは短径が8mm程度の楕円形の断面形状を有する円柱若しくは楕円柱棒状の鉄筋を好ましく用いることができる。軸部材11の端部には、使用時に型枠の上部にわたすピンブリッジに懸架するための懸垂用頭部14を設けられていることが好ましい。
挟持用部材12を構成する浮き止め爪121と沈み止め爪122も、軸部材11と同様の鉄等の金属からなるものであることが好ましい。挟持用部材12を構成する浮き止め爪121と、沈み止め爪122の、最も一般的な形状を図1、図2及び図4に示したが、図2に示すように、補強用鉄筋の主筋(例えば主筋211aと主筋221a)を挟持可能な形状であればこれに限定されるものではない。但し、これらを挟持するときに各補強用鉄筋と直接接触する挟持面となる部分については、軸部材11の軸回転によって挟持した補強用鉄筋を開放することができるようにするために、表面が平滑な平面形状であることが好ましい。補助浮き止め爪13の材料と形状についても同様である。
尚、セットピン1は上記の通り1対の挟持用部材12と1つの補助浮き止め爪13とが形成されている部分を1ユニットとして、それらが軸方向に多数連結されている複数ユニットの連結体であってもよい。上記単一ユニットを軸方向に複数連結してなるセットピンも本発明の範囲内である。
ここで、図3Aに示す従来構造のセットピンを用いた場合には、図3Bに示すような態様での浮き上がり、即ち、補強用鉄筋2の全体が斜めに傾いてしまい、主筋211aが浮き止め爪121に係合しなくなり、この状態でALCスラリーが発泡した場合の補強用鉄筋2の浮き上がりを十分に防ぐことができなかった。
しかしながら、図2に示すように、1対の挟持用部材12と、更に、補助浮き止め爪13とを有する本願発明に係るセットピン1を用いることにより、主筋221aが浮き止め爪121に、主筋221aが沈み止め爪122に係合することで、補強用鉄筋(ブロック体)2の浮きと沈みを防止でき、更に、主筋211cが補助浮き止め爪13に干渉していることにより、補強用鉄筋(ブロック体)2が、図3Bに示すように斜めに傾いてしまうことを防止し、補強用鉄筋(ブロック体)2のあらゆる態様での浮き沈みを防いで、補強用鉄筋(ブロック体)2を、ALCスラリーが注入された型枠内の所定の位置に安定的に固定することができる。
尚、ALCスラリーが型枠内で半可塑性体3となった後、セットピン1を90°軸方向回りに回転することにより、挟持用部材12及び補助浮き止め爪13は補強用鉄筋2と干渉しなくなり、セットピンは容易に引き上げることができる。
以上より、本発明によれば、ALCコーナーパネルの製造において、型枠内に配置された補強用鉄筋を、従来方法よりも、高い安定性の下で所望の位置に固定して、これにより、ALCコーナーパネルの品質を更に向上させることができることが分かる。
1 セットピン
11 軸部材
12 挟持用部材
121 浮き止め爪
122 沈み止め爪
13 補助浮き止め爪
14 懸垂用頭部
2 補強用鉄筋(ブロック体)
21、22、23 補強用鉄筋
211、221、231 主筋
212、222、232 横筋
20 連結用鉄筋
3 半可塑性体
100 軽量気泡コンクリートコーナーパネル
200 軽量気泡コンクリートパネル
300 躯体
400 コーナー部を含む壁構造

Claims (2)

  1. 軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋を硬化用の型枠内に設置する際に、前記補強用鉄筋を前記型枠内の所定位置に固定するために用いるセットピンであって、
    条材からなる軸部材と、該軸部材の軸方向に対して垂直な一方向に向けて突起する態様で形成されている浮き止め爪及び沈み止め爪とからなる1対の挟持用部材と、前記一方向と反対方向に向けて突起する態様で形成されている1つの補助浮き止め爪と、を有するセットピン。
  2. 請求項1に記載のセットピンを用いて、前記1対の挟持用部材によって、複数の主筋を挟持し、前記補助浮き止め爪を、いずれかの主筋又は横筋に干渉させた状態で、軽量気泡コンクリートコーナーパネル用の補強用鉄筋を前記型枠内に固定し、該型枠にALCスラリーを注入し乾燥して半可塑性体を得る工程を行うALCコーナーパネルの製造方法。
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