JP2017120793A - 電磁接触器 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、熱交換量が飽和することなく、アークの冷却を十分に行って、アークの消弧を容易に行うことができる電磁接触器を提供することを目的としている。
また、アーク長が短くなると、遮断完了までの時間(アーク持続時間)が短くなり、固定接触子及び可動接触子の接点の消耗を抑制することが可能となり、コンタクタとしての長寿命化を図ることができる。
図1は本発明に係る電磁接触器の一例を示す断面図、図2は図1のII−II線上における接点装置の断面図である。図3は図1のIII−III線上の断面図である。
これら図1〜図3において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
金属角筒体104は、例えばステンレス鋼で形成され、そのフランジ部103が後述する電磁石ユニット200の上部磁気ヨーク210にシール接合されて固定されている。
また、固定接点支持絶縁基板105は、平板上のセラミック絶縁基板で構成され、中央部に後述する一対の固定接触子111及び112を挿通する貫通孔106及び107が所定間隔を保って形成されている。
ここで、支持導体部114とC字状部115とは、支持導体部114の下端面に突出形成されたピン114aをC字状部115の上板部116に形成された貫通孔120内に挿
通した状態で例えばロウ付け等によって固定されている。なお、支持導体部114及びC字状部115の固定は、ロウ付け等に限らず、ピン114aを貫通孔120に嵌合させたり、ピン114aに雄ねじを形成し、貫通孔120に雌ねじを形成して両者を螺合させたりしてもよい。
このように、固定接触子111及び112のC字状部115に絶縁カバー121を装着することにより、このC字状部115の内周面では下板部118の上面側のみが露出されて接点部118aとされている。
そして、固定接触子111及び112のC字状部115内に両端部を配置するように可動接触子130が配設されている。この可動接触子130は後述する電磁石ユニット200の可動プランジャ215に固定された連結軸131に支持されている。この可動接触子130は、中央部の連結軸131の近傍が下方に突出する凹部132が形成され、この凹部132に連結軸131を挿通する貫通孔133が形成されている。
この可動接触子130は、釈放状態で、両端の接点部と固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118の接点部118aとが所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子130は、投入位置で、両端の接点部が固定接触子111及び112のC字状部115の下板部118の接点部118aに、接触スプリング134による所定の接触圧で接触するように設定されている。
このアーク消弧用永久磁石143及び144は、厚み方向に互いの対向面が同極例えばN極となるように着磁されている。そして、磁石収納ポケット141及び142の左右方向の外側で且つ一対の固定接触子111,112の接点118aと可動接触子130の接点130aとの接触位置にそれぞれアーク消弧室145及び146が形成されている。
スプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
そして、スプール204の中央円筒部205内に、底部と磁気ヨーク201の底板部202との間に復帰スプリング214を配設した可動プランジャ215が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ215には、上部磁気ヨーク210から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部216が形成されている。
また、可動プランジャ215が、図1に示すように、非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ230で覆われ、このキャップ230の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部231が上部磁気ヨーク210の下面にシール接合されている。これによって、接点収納ケース102及びキャップ230が上部磁気ヨーク210の貫通孔210aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、接点収納ケース102及びキャップ230で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF6等のガスが封入されている。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態では、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動プランジャ215が復帰スプリング214によって、上部磁気ヨーク210から離れる上方向に付勢される。
このため、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている接点機構101の可動接触子130の接点部130aが固定接触子111及び112の接点部118aから上方に所定距離だけ離間している。このため、固定接触子111及び112間の電流路が遮断状態にあり、接点機構101が開極状態となっている。
この釈放状態から、電磁石ユニット200の励磁コイル208を励磁すると、この電磁石ユニット200で励磁力を発生させて、可動プランジャ215を復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して下方に押し下げる。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
しかしながら、固定接触子111及び112は、図1に示すように、上板部116、中間板部117及び下板部118によってC字状部115が形成されているので、上板部116及び下板部118とこれに対向する可動接触子130とで逆方向の電流が流れることになる。
このローレンツ力によって、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130a間に発生する開極方向の電磁反発力に抗することが可能となり、可動接触子130の接点部130aが開極することを確実に防止することができる。
この接点機構101の閉極状態から、負荷への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット200の励磁コイル208の励磁を停止する。
これによって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力によって上昇し、周鍔部216が補助ヨーク225に近づくに従って環状永久磁石220の吸引力が増加する。
この開極状態となると、固定接触子111及び112の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間にアークが発生し、このアークによって電流の通電状態が継続される。
また、C字状部115の上板部116及び中間板部117が絶縁カバー121で覆われている。このため、可動接触子130の両端部とC字状部115の上板部116及び中間板部117の間の絶縁カバー121によって絶縁距離を確保することができ、可動接触子130の可動方向の高さを短縮することができる。したがって、接点装置100を小型化することができる。
このため、固定接触子111の接点部118aと可動接触子130の接点部130aとの間では、図4(b)に示すように、電流Iが固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図4(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の接点部118aと可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧室145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
このように、アークがアーク消弧室145の内壁面に沿う状態となると、アーク消弧室145の内壁面を構成する絶縁筒体140が通常使用する不飽和ポリエステル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化樹脂でなる合成樹脂成型材の熱伝導率(0.2W/mK)より高く、接点収納ケース102に封入する水素の高温(4000℃,1atm)での熱伝導率(20W/mK)より高い伝導率のアルミナセラミックス(熱伝導率30W/mK)、窒化アルミナ(熱伝導率180W/mK)、窒化ホウ素(63W/mK)等の高熱伝導性材で構成されている。
この結果、アーク電界を高めることができ、所定のアーク電圧を得るためのアーク長を短くすることができる。したがって、アーク151を引き伸ばすための消弧スペースを小さくすることができ、接点装置100の小型化・軽量化を図ることができる。
また、アーク長が短くなると、遮断完了までの時間(アーク持続時間)が短くなり、固定接触子及び可動接触子の接点の消耗を抑制することが可能となり、コンタクタとしての長寿命化を図ることができる。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144は絶縁筒体140に形成された磁石収納ポケット141及び142内に配置されているので、アーク151が直接アーク消弧用永久磁石143及び144に接触することがない。このため、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁気特性を安定して維持することができ、遮断性能を安定化させることができる。
さらに、絶縁機能、アーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能及びアーク消弧用永久磁石143及び144のアークからの保護機能を1つの絶縁筒体140で行うことができるので、製造コストを低減させることができる。
なお、絶縁筒体140の材質は、絶縁性を有し且つ通常使用する不飽和ポリエステル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化樹脂でなる合成樹脂成型材の熱伝導率(0.2W/mK)より高い熱伝導率を有すれば任意の高熱伝導性材を適用することができる。
この第2の実施形態では、絶縁筒体の構成を変更したものである。
すなわち、第2の実施形態では、絶縁筒体140を図6に示すように、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂147に、この熱硬化性樹脂より熱伝導率の高いアルミナセラミックス、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、鉄、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い粉末等でなる熱伝導率フィラー148を混入させて成型樹脂材の絶縁性能を維持しながら熱伝導率を高めた合成樹脂成型材としている。その他の構成については前述した第1の実施形態と同様の構成を有する。
ここで、熱伝導率フィラー148としては、上述した熱硬化性樹脂より熱伝導率の高いアルミナセラミックス、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、鉄、アルミニウム、銅等の熱伝導率の高い粉末等に限らず、熱硬化性樹脂より熱伝導率が高い任意の高熱伝導率材を適用することができ、性状としては粉状に限らず、短い繊維状等の任意の性状とすることができる。
この第3の実施形態は、絶縁筒体140の表面に高熱伝導材をインサート成型したものである。
すなわち、第3の実施形態では、図7に示すように、前述した不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂でなる熱硬化性樹脂材で絶縁筒体140を成型する際に、銅、CuW、等の熱硬化性樹脂材より熱伝導率の高い金属製の高熱伝導性材としての高熱伝導率板149を内壁面側となるようにインサート成型している。その他の構成については前述した第1の実施形態と同様の構成を有する。
この第3の実施形態によると、絶縁筒体140の内壁面に高熱伝導性材としての金属の高熱伝導率板149をインサート成型しているので、開極時に発生するアーク151が引き伸ばされて絶縁筒体140の内壁面の近傍に到達したときに、アーク151の熱をアーク消弧室145の壁面内に効率よく伝熱することができる。したがって、アーク151の冷却を十分に行うことが可能となる。
なお、上記第3の実施形態においては、高熱伝導率板149をインサート成型する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、絶縁筒体140の内周面にこの絶縁筒体を構成する熱硬化性樹脂材より高い熱伝導率を有する任意の金属材やセラミックスをコーティングするようにしてもよい。
また、熱硬化性樹脂材よりも熱伝導率の高い金属の高熱伝導率板149に、絶縁材をコーティングしたものを絶縁筒体140の内壁に、インサート成型又は接着、ネジ止めして固定してもよい。
この第4の実施形態では、高熱伝導率板をインサート成型する場合に代えて絶縁筒体140の内周面を覆う金属熱伝導材を装着したものである。
すなわち、第4の実施形態では、図8に示すように、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で構成された絶縁筒体140の内周面に、銅、CuW、等の熱硬化性樹脂材より熱伝導率の高い高熱伝導性材で構成された高熱伝導率筒体150を密着させて配置している。高熱伝導率筒体150の配置方法は、接着、ネジ止めなどの機械的な結合を採用している。その他の構成については前述した第1の実施形態と同様の構成を有する。
ここで、高熱伝導率筒体150の材質は絶縁筒体140を構成する熱硬化性樹脂より熱伝導率が高ければ任意の高熱伝導性材を適用することができる。
なお、上記第1〜第4の実施形態においては、絶縁筒体を高熱伝導率化するか、アーク151と接触する内壁面に高熱伝導性材を配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、絶縁筒体を高熱伝導率化するとともに、絶縁筒体の内壁面に高熱伝導性材を配置するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、接点装置100の接点収納ケース102を金属角筒体104と固定接点支持絶縁基板105と絶縁筒体140とで構成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、固定接点支持絶縁基板105を省略して、金属角筒体104と下端を開放した桶状の絶縁筒体とその下面を覆う絶縁底板とで構成することができる。
例えば、図9(a)及び(b)に示すように、支持導体部114にC字状部115における上板部116を省略した形状となるL字状部160を連結するようにしてもよい。この場合でも、固定接触子111及び112に可動接触子130を接触させた閉極状態で、L字状部160の垂直板部を流れる電流によって生じる磁束を固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部に作用させることができる。このため、固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部における磁束密度を高めて電磁反発力に抗するローレンツ力を発生させることができる。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、可動プランジャ215に連結軸131を螺合させる場合について説明したが、螺合に限らず、任意の接続方法を適用することができ、さらには可動プランジャ215と連結軸131とを一体に形成するようにしてもよい。
また、連結軸131と可動接触子130との連結が、連結軸131の先端部にフランジ部131aを形成し、接触スプリング134及び可動接触子130を挿通してから可動接触子130の下端をCリングで固定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、連結軸131のCリング位置に半径方向に突出する位置決め大径部を形成し、これに可動接触子130を当接させてから接触スプリング134を配置し、この接触スプリング134の上端をCリングによって固定するようにしてもよい。
また、上記第1〜第4の実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で密封容器を構成し、この密封容器内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
Claims (16)
- 一対の固定接触子と該固定接触子に対して接離可能に配置された可動接触子を収納する接点収納ケースと、前記可動接触子を駆動する電磁石ユニットとでガスが封入された密封容器を形成し、
前記接点収納ケースは、金属角筒体と、前記金属角筒体の一端を閉塞するセラミック絶縁基板と、前記金属角筒体の内周側に配置され、高熱伝導材で形成される絶縁筒体とを備える電磁接触器。 - 前記ガスは、水素ガスである請求項1に記載の電磁接触器。
- 前記ガスは、水素および窒素の混合ガスである請求項1に記載の電磁接触器。
- 前記高熱伝導材は、前記ガスの熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する請求項1乃至3の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記高熱伝導材の熱伝導率は、20W/mK以上である請求項1乃至4の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記高熱伝導材は、セラミックスである請求項1乃至5の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記セラミックスは、アルミナセラミックス、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の何れかである請求項6に記載の電磁接触器。
- 前記高熱伝導材は、熱伝導フィラーが混入された合成樹脂成型材である請求項1乃至5の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記合成樹脂成型材は、熱硬化性樹脂である請求項8に記載の電磁接触器。
- 前記熱伝導フィラーは、前記合成樹脂成型材よりも熱伝導率が高い材料である請求項8または9に記載の電磁接触器。
- 前記熱伝導フィラーは、アルミナセラミックス、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、鉄、アルミニウム、銅の何れかを含んでいる請求項8乃至10の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記絶縁筒体は、前記可動接触子および固定接触子が配置される消弧室と、前記電磁石ユニットとを隔離する隔壁を有する請求項1乃至11の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記絶縁筒体の内壁面に金属熱伝導材が配置されている請求項1乃至12の何れか一項に記載の電磁接触器。
- 前記金属熱伝導材は、前記絶縁筒体にインサート成形されている請求項13に記載の電磁接触器。
- 前記金属熱伝導材は、前記絶縁筒体の内壁面にコーティングされている請求項13に記載の電磁接触器。
- 前記絶縁筒体の内壁面にセラミックスがコーティングされている請求項8乃至12の何れか一項に記載の電磁接触器。
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