JP2017120790A - 蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチルメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅)からなるリチウム電池本体及びそれらを包装する外装体等からなる。
このようなリチウム2次電池の用途としては、例えば、パソコン、携帯端末(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等多岐にわたる。なお、本明細書において、上記正極集電材と正極活性物質層とを正極ともいい、上記負極集電材と負極活性物質層とを負極ともいう。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用の包装材料として、例えば、基材層/接着層/金属層/シーラント層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている。このようなフィルム状の電池用包装材料では、シーラント層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱溶着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
また、上記フィルム状の包装材料が用いられる傾向にある理由としては、電池が高温下で使用されて内部圧力が異常に高まった場合、金属製缶からなる外装体は、爆発、発火が起こるまで外装体が耐えるために危険であるといった問題があるのに対し、熱接着部で密封される上記フィルム状の包装材料は、内部圧力が異常に高まった場合、該熱接着部が剥離して内部圧力を逃がす安全弁の働きをするため、電池としての機能は失われるものの金属製缶からなる外装体に比べて爆発、発火の危険性を少なくすることができるためでもある。
そして、この積層体Aを図3(a)に示すように袋状〔図3(a)上はピロータイプの包装袋であるが三方タイプ、四方タイプ等の包装袋であってもよい〕に加工し、リチウム電池本体30と、これの正極及び負極の各々に接続された金属端子31とを外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封するなり、或いは、この積層体Aを図4(a)に示すように上記熱接着性樹脂層A3が内側に位置するようにプレス成形して凹部を形成し、この凹部にリチウム電池本体30と、これの正極及び負極の各々に接続された金属端子31とを外側に突出した状態で収納し、別途用意したシート状の積層体A(図示せず)の上記熱接着性樹脂層A3が、上記凹部側に位置するようにして上記凹部を被覆した後、該凹部の周縁を熱接着して密封することにより、図3(b)、或いは、図4(b)に示すリチウム電池10として用いられている。なお、符号Sは熱接着部を示す。
このため、金属端子31と熱接着性樹脂層A3との間には、これらの接着性を高めることなどを目的として、接着性フィルムが配されることがある。
そして、プレス成形して凹部を形成した図4(a)に示す積層体Aの該凹部にリチウム電池本体30を収納すると共に、別途用意したシート状の積層体A(図示せず)で上記凹部を被覆してリチウム電池本体30の金属端子31を備える周縁を含む3つの周縁を熱接着して後に1つの未接着部の周縁から電解質を注入し、その後に上記未接着部を熱接着して密封することにより図4(b)に示すリチウム電池10となる。
ところで、リチウム電池10の金属端子31は、蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム1’を備えた部位で上記包装体(積層体A)に挟持された状態で熱接着されるが、金属端子31は、その厚さが少なくとも50μm程度、幅としては少なくとも2.5mm程度であり、金属端子31の両側部の空隙を蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム1’と上記包装体(積層体A)の熱接着性樹脂層A3とで埋めて密封状態を確保するためには、熱接着するための熱と圧力とが必要となる。
しかしながら、これにより蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム1’と上記包装体(積層体A)の熱接着性樹脂層A3とが加圧部の外に押出されて該加圧部が薄肉となり、また、一般に金属端子31の両側端部には小幅に裁断するときに数μm〜数十μmのバリが発生しており、これが原因となり上記包装体(積層体A)のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層A2と金属端子31とが接触して短絡するという問題があった。
しかしながら、特許文献1に記載の金属端子部密封用接着性シートは、樹脂成分として酸変性ポリオレフィン系樹脂を用いたフィルムであったため、熱接着する際に加えられる熱及び圧力により薄肉となって絶縁性の面で充分とは言えないことがあり、より絶縁性を向上させた金属端子部密封用接着性シートが求められていた。
なお、このような問題は、リチウム電池本体を収納したリチウム電池以外に、キャパシタ、電気二重層キャパシタを収納した場合にも同様の問題が生じる。
また、本発明の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルムは、上記耐熱基材層の絶縁層側と反対面側に、変性ポリオレフィン層を備えることが好ましい。
また、本発明の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルムは、耐熱基材層の両面側に絶縁層を備えることが好ましい。
また、絶縁層の耐熱基材層側と反対面側に、変性ポリオレフィン層を備えることが好ましい。
上記絶縁層の軟化温度が180℃以上240℃以下であることが好ましい。
また、上記絶縁層は、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変性された変性ポリオレフィンと、硬化剤とを含む絶縁層用組成物の硬化物からなることが好ましく、上記硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物及びオキサゾリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種類であることが好ましい。
本発明者らは、鋭意検討した結果、蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム(以下、単に接着性フィルムともいう)として、耐熱基材層と所定の硬度を備えた絶縁層とが積層された構成とすることで、絶縁性を極めて向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記包装体としては、図2に示す、少なくとも基材層A1、アルミニウム等の金属箔からなるバリアー層A2、ポリオレフィン系樹脂からなる熱接着性樹脂層A3が積層された構成を有する積層体Aが用いられる。
基材層A1としては、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ナイロンフィルム、或いは、これらの積層体を挙げることができ、その厚さとしては概ね6〜30μm程度である。
また、バリアー層A2としては、例えば、アルミニウムやニッケル、ステンレス等の金属箔を挙げることができ、その厚さとしては概ね15μm以上80μm以下程度である。
また、熱接着性樹脂層A3を形成するポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物を挙げることができ、その厚さとしては概ね20μm以上100μm以下である。
なお、図1(a)は、本発明の接着性フィルムの代表的な層構成を図解的に示す図であり、図1(b)は、絶縁層の硬さ(インデンテーション硬度)の測定方法を説明する模式図であり、図2は、蓄電デバイスに用いる包装体の基本的な層構成を図解的に示す図、図3は、蓄電デバイスに用いる包装体の一実施例を説明する図、図4は、蓄電デバイスに用いる包装体の他の実施例を説明する図、図5は、蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルムの設け方の一例を説明する図であり、図中の1,1’は蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム、2は耐熱基材層、3は絶縁層、10はリチウム電池、30はリチウム電池本体、31は金属端子、Aは積層体、A1は基材層、A2は金属箔からなるバリアー層、A3は熱接着性樹脂層をそれぞれ示す。
耐熱基材層2は、本発明の接着性フィルムの耐熱性を担保する層であり、該耐熱基材層2を有さないと、リチウム電池等の蓄電デバイス製造時の熱接着時に本発明の接着性フィルムが熱収縮を起こして反りや熱しわが発生することなどにより、金属端子31と積層体Aのバリアー層A2の端部とが短絡しやすくなり、得られるリチウム電池の絶縁性が低下することがある。
また、耐熱基材層2は、熱収縮率(温度:210℃、圧力:1MPa・3秒)が10%以下であることが好ましい。上記熱収縮率が10%を超えると、上記熱接着時に本発明の接着性フィルムが収縮して、絶縁性が低下するおそれがある。
このような本発明の接着性フィルムは、図1(a)に示したように、耐熱基材層2の両面側に絶縁層3が積層されていることが好ましい。
耐熱基材層2の両面側に絶縁層3が積層された構成であることで、本発明の接着性フィルムは、上述した熱接着時の熱と圧力とにより溶融し押し潰されない耐熱性と電解液に対する耐性がより優れたものとなると共に、構成する層間の接着強度も優れたものとなる。
絶縁層3の硬度が上記範囲内にあることで、本発明の接着性フィルムは、絶縁性能に極めて優れたものとなる。これは、このような硬度を備えた絶縁層3は、上記熱接着時に潰されることが無く、加圧部が肉薄となることがなく、電極活物質や電極タブの破片などの微小な異物が、電極タブと熱接着性樹脂層A3との間などのヒートシールされる部分に存在する場合にも、異物によってつぶされにくいため、優れた絶縁性能が発揮されると考えられる。
さらに、本発明の接着性フィルムにおいて、上記絶縁層は、2層以上の多層構造としてもよい。これにより、第1の絶縁層に薄肉部分や貫通孔が形成された場合にも、第2、第3の絶縁層で絶縁性を保つことができる。
絶縁層3の硬度の好ましい下限は15MPa、好ましい上限は250MPaであり、より好ましい下限は20MPa、より好ましい上限は220MPaである。
本発明の接着性フィルムは、積層体Aと金属端子31の間に介在させて使用する為、少なくとも片面に金属接着性が必要であり、変性ポリオレフィンを使用することで金属接着性を付与することができる。また、オレフィンを変性することで硬化剤との反応点が生じ、適切な硬さの絶縁層3を形成することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」又は「メタアクリル酸エステル」を意味する。
上記変性ポリオレフィンは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記オレフィンを含む樹脂としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンの少なくとも一方により構成されたものが挙げられ、ポリプロピレンにより構成されたものであることが好ましい。
また、ポリプロピレンとしては、例えば、ホモポリプロピレン及びプロピレンコポリマーの少なくとも一方により構成されたものが挙げられる。
また、上記プロピレンコポリマーとしては、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−プロピレン−ブテンコポリマー等のプロピレンと他のオレフィンとのコポリマー等が挙げられる。
また、上記ポリエチレンに含まれるエチレン単位の割合は、電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより高める観点から、50モル%〜100モル%程度とすることが好ましく、80モル%〜100モル%程度とすることがより好ましい。
また、上記エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれであってもよい。
また、上記エチレンコポリマー及びプロピレンコポリマーは、それぞれ、結晶性、非晶性のいずれであってもよく、これらの共重合物または混合物であってもよい。
また、上記ポリオレフィンは、1種類のホモポリマー又はコポリマーにより形成されていてもよいし、2種類以上のホモポリマー又はコポリマーにより形成されていてもよい。
また、上記酸無水物としては、上記例示した不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましく、無水マレイン酸及び無水イタコン酸がより好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
上記ポリオレフィンの変性において、(メタ)アクリル酸エステルは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
上記変性ポリオレフィンの重量平均分子量は8000以上15万以下程度であることがより好ましい。なお、本発明において、上記変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。
上記変性ポリオレフィンの融点は50℃以上100℃以下程度であることがより好ましい。なお、本発明において、変性ポリオレフィンの融点とは、示差走査熱量測定における吸熱ピーク温度をいう。
このような共重合としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)等が挙げられ、好ましくはグラフト共重合が挙げられる。
上記多官能イソシアネート化合物の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物等が挙げられる。
なかでも、上記カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
特に好ましいカルボジイミド化合物の具体例としては、下記一般式(1):
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
下記一般式(2):
で表される繰り返し単位を有するポリカルボジイミド化合物、
及び下記一般式(3):
で表されるポリカルボジイミド化合物が挙げられる。一般式(1)〜(3)において、nは、通常30以下の整数であり、好ましくは3〜20の整数である。
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記エポキシ化合物としては、分子内に存在するエポキシ基によって架橋構造を形成することが可能な樹脂であれば特に制限されず、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。
上記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、50〜2000の範囲が好ましい。電池用包装材料の絶縁性や耐久性をより一層高める観点からは、エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは100〜1000程度、より好ましくは200〜800程度が挙げられる。なお、本発明において、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。
上記オキサゾリン化合物としては、具体的には、日本触媒社製のエポクロスシリーズ等が挙げられる。
上記絶縁層用組成物において、上記硬化剤の含有量は、変性ポリオレフィン100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下の範囲にあることが好ましく、0.1質量部以上30質量部以下の範囲にあることがより好ましい。
また、上記絶縁層用組成物において、上記硬化剤の含有量は、変性ポリオレフィン中のカルボキシル基1当量に対して、硬化剤中の反応基として1当量以上30当量以下の範囲にあることが好ましく、1当量以上20当量以下の範囲にあることがより好ましい。これにより、絶縁性や耐久性をより高め得る。
なお、上記変性ポリオレフィンの軟化温度は、JIS K7196:2012の規定に準拠した方法で測定された値であり、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定された値である。
上記変性ポリオレフィン層を有することで、本発明の接着性フィルムの蓄電デバイスの金属端子31や、上述した包装材に対する密着性が極めて優れたものとなる。
なお、防湿性、耐熱性を考慮すると、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、特に不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン樹脂が好ましい。
すなわち、本発明の接着性フィルムの好ましい構成としては、例えば、変性ポリオレフィン層/絶縁層/耐熱基材層/絶縁層、絶縁層/耐熱基材層/絶縁層/変性ポリオレフィン層、変性ポリオレフィン層/絶縁層/耐熱基材層/絶縁層/変性ポリオレフィン層、耐熱基材層/絶縁層/変性ポリオレフィン層、 変性ポリオレフィン層/耐熱基材層/絶縁層/変性ポリオレフィン層等が挙げられる。
上記厚み残存率のより好ましい下限は75%であり、より好ましい上限は90%である。
このような本発明の接着性フィルムは、上述した蓄電デバイスの金属端子31の密封に極めて好適に用いられる。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
予め、フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)したアルミニウム箔(40μm厚さ)の一方の面と、25μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムとをウレタン系接着剤を介して積層し、上記アルミニウム箔の他方の面と30μm厚さの未延伸ポリプロピレンフィルムとを酸変性ポリプロピレン樹脂(不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン)でサンドイッチラミネーションすると共に、熱風により上記酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して実施例に供する積層体を作製した。
PEN(二軸延伸ポリエチレンナフタレート)フィルム(12μm)の両面に、主剤として変性ポリプロピレン系樹脂(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、重量平均分子量10万、融点100℃、ポリプロピレン主骨格中のエチレン含有量2.1mol%、無水マレイン酸変性度3.0重量%)を、硬化剤としてプレポリマータイプのジフェニルメタンジイソシアネート(NCO含有量、31重量%)を含む絶縁層用組成物を10μmになるように塗布し、80℃で60秒乾燥させて絶縁層を形成した。
なお、硬化剤の含有量は、変性ポリプロピレン系樹脂中のカルボキシル基1当量に対して、硬化剤中の反応基として、実施例1では10当量、実施例2では1当量、実施例3では30当量とした。
次に、それぞれの絶縁層の上に、酸変性ポリプロピレン樹脂をTダイ押出機で30μmの厚さに順次押出し、その後70℃で24時間エージングして、実施例1〜3の接着性フィルムを得た。
硬化剤としてカルボジイミド化合物(重量平均分子量2000、カルボジイミド当量200)を使用した以外は実施例1と同様にして接着性フィルムを得た。
硬化剤としてエポキシ化合物(jER828、三菱化学製)を使用した以外は実施例1と同様にして接着性フィルムを得た。
硬化剤としてオキサゾリン化合物(エポクロスWS−500、日本触媒製)を使用した以外は実施例1と同様にして接着性フィルムを得た。
PEN(二軸延伸ポリエチレンナフタレート)フィルム(12μm)の両面に、主剤として変性ポリプロピレン系樹脂(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、重量平均分子量10万、融点100℃、ポリプロピレン主骨格中のエチレン含有量2.1mol%、無水マレイン酸変性度3.0重量%)を、硬化剤としてプレポリマータイプのジフェニルメタンジイソシアネート(NCO含有量、31重量%)を含む絶縁層用組成物を10μmになるように塗布し、80℃で60秒乾燥させて絶縁層を形成した。次に絶縁層の上に、酸変性ポリプロピレン樹脂をTダイ押出機で50μmの厚さに片側だけ押出し、その後70℃で24時間エージングして、実施例7の接着性フィルムを得た。
PEN(二軸延伸ポリエチレンナフタレート)フィルム(12μm)の両面に、主剤として変性ポリプロピレン系樹脂(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、重量平均分子量10万、融点100℃、ポリプロピレン主骨格中のエチレン含有量2.1mol%、無水マレイン酸変性度3.0重量%)を、硬化剤としてプレポリマータイプのジフェニルメタンジイソシアネート(NCO含有量、31重量%)を含む絶縁層用組成物を10μmになるように塗布し、80℃で60秒乾燥させて絶縁層を形成した。その後70℃で24時間エージングして、実施例8の接着性フィルムを得た。
PEN(二軸延伸ポリエチレンナフタレート)フィルム(12μm)の片面に、主剤として変性ポリプロピレン系樹脂(無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、重量平均分子量10万、融点100℃、ポリプロピレン主骨格中のエチレン含有量2.1mol%、無水マレイン酸変性度3.0重量%)を、硬化剤としてプレポリマータイプのジフェニルメタンジイソシアネート(NCO含有量、31重量%)を含む絶縁層用組成物を10μmになるように塗布し、80℃で60秒乾燥させて絶縁層を形成した。次に絶縁層をコートした反対面に、イソシアネート系の接着促進剤を50mg/m2塗布すると共に、酸変性ポリプロピレン樹脂をTダイ押出機で50μmの厚さに片側だけ押出し、その後70℃で24時間エージングして、実施例9の接着性フィルムを得た。
PEN(二軸延伸ポリエチレンナフタレート)フィルム(12μm)の片面に、イソシアネート系の接着促進剤を50mg/m2塗布すると共に、酸変性ポリプロピレン樹脂をTダイ押出機で40μmの厚さに押出し、その後他方の面にもイソシアネート系の接着促進剤を50mg/m2塗布すると共に、酸変性ポリプロピレン樹脂をTダイ押出機で40μmの厚さに押出し、45℃で72時間エージングして、比較例1の接着性フィルムを得た。
硬化剤を添加しない以外は実施例1と同様にして接着性フィルムを得た。
厚さ100μmの酸変性ポリプロピレンフィルムを比較例3の接着性フィルムとした。
・軟化温度JIS K7196:2012の規定に準拠し、セイコーインスツルメンツ社製のEXSTAR6000を用いて測定した。
蓄電デバイス包装用の積層体を60mm×60mm(2枚)、接着性フィルムを60mm×60mm(2枚)に裁断する。
次いで、積層体を未延伸プロピレンフィルム同士が対面するように重ね、その間に接着性フィルムを挟み、さらに接着性フィルム同士の間に、幅4mm、長さ80mm、厚さ100μmのニッケル箔を挟む。
ニッケル箔とラミネートフィルムのアルミニウム箔にテスターの端子を接続し、その状態でニッケル箔の長さ方向に直交する方向に7mm幅の熱板でシール(シール条件:190℃、1MPa)した。このとき、ニッケル箔とアルミニウム箔とが短絡するまでの時間を測定し、以下の基準で絶縁性を評価した。
○:150秒以上
△:120秒以上150秒未満
×:120秒未満
接着性フィルムを15×70mm幅に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを20×70mm幅に裁断し、2枚の二軸延伸ポリエチレンフィルムの間に接着性フィルムを挟む。この状態で190℃、1MPa、3秒の条件で熱圧をかけたのちのフィルムの収縮率を測定し、以下の基準で耐熱収縮性を評価した。
○:収縮率が10%以下
×:収縮率が10%より大きい
ナノインデンター(HYSITRON社製のTriboIndenterTI950)を用いて、絶縁層の硬さを測定した。ナノインデンターにおいて、先端がダイヤモンドチップからなる正三角錐の圧子(バーコビッチ圧子)を用いた。実施例及び比較例で得られた接着性フィルムをそれぞれ積層方向に切断して絶縁層の断面を露出させた。
次に、ナノインデンターを用い、以下の条件で絶縁層の断面のほぼ中央となる場所(5か所)に対して垂直方向に圧子を押し込み荷重−変位曲線を測定し硬度を算出した。なお、表1中の絶縁層の硬度は5回測定した値の平均値である。
測定条件
・測定温度 23℃
・相対湿度 70%
・押し込み深さ 150nm
・押し込み深さ到達時間 10sec
・荷重保持時間 5sec
・押し込み深さ除荷時間 10sec
実施例及び比較例で得られた接着性フィルムを、190℃・1MPa・3秒間の熱圧をかける前後で、それぞれ積層方向に切断した断面から絶縁層の厚みを測定し、下記計算式により残存率を求めた。
残存率(%)=熱圧をかけた後の絶縁層厚み/熱圧をかける前の絶縁層厚み×100
接着性フィルムを15×70mm幅に裁断し、酢酸エチルを接着界面に塗布しながら端面より部分剥離した後、引張試験機(島津製作所製、商品名:AGS−50D)にて酸変性ポリプロピレン/PEN層間の剥離強度を測定し、平均強度を測定値とした(引張速度:50mm/min)。
接着性フィルムを30×70mmに裁断し、これを電解液に7日間どぶ漬けした後に取り出して、両端を7.5mmずつトリミングし、15×70mmの測定用サンプルを作製した。作製した測定用サンプルを用い、初期ラミネート強度と同様にしてラミネート強度を測定した。
なお、電解液は、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=1:1:1の容積比で混合した溶液に6フッ化リン酸リチウムを混合して得られたものとした。
また、絶縁層用組成物中の硬化剤の含有量が少なかった実施例2に係る接着性フィルムは、他の実施例と比較して、軟化温度が低く絶縁性も若干劣っており、絶縁層を耐熱基材層の一方の面側にだけ積層した実施例9の接着性フィルムは、他の実施例に係る接着性フィルムと比較して、絶縁性が150秒付近と若干劣る傾向にあり、また、耐電解液ラミネート強度においては、他の実施例に係る接着性フィルムと比較して劣っていた。
比較例1の接着性フィルムは、絶縁層を積層していなかったため、絶縁性及び耐電解液ラミネート強度の評価に劣り、比較例2の接着性フィルムは絶縁層の厚み残存率が低かった為に絶縁性に劣り、酸変性ポリオレフィン層のみを用いた比較例3に係る接着性フィルムは、絶縁性及び耐熱収縮性に劣っていた。
2 耐熱基材層
3 絶縁層
3a 断面
10 リチウム電池
12 圧子
13 くぼみ
30 リチウム電池本体
31 金属端子
A 積層体
A1 基材層
A2 金属箔からなるバリアー層
A3 熱接着性樹脂層
Claims (8)
- 少なくとも、耐熱基材層と絶縁層とを備える構成を有する蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルムであって、
前記絶縁層の厚み方向における断面に対して、ナノインデンテーション法により測定したときの硬度が10MPa以上300MPa以下であることを特徴とする蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。 - 190℃、1MPa、3秒の条件で熱圧をかけたときの前記絶縁層の厚み残存率が70%以上95%以下である請求項1記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 前記耐熱基材層の前記絶縁層側と反対面側に、変性ポリオレフィン層を備える請求項1又は2記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 前記耐熱基材層の両面側に絶縁層を備える請求項1又は2記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 前記絶縁層の耐熱基材層側と反対面側に、変性ポリオレフィン層を備える請求項4記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 絶縁層の軟化温度が180℃以上240℃以下である請求項1、2、3、4又は5記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 絶縁層は、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変性された変性ポリオレフィンと、硬化剤とを含む絶縁層用組成物の硬化物である請求項1、2、3、4、5又は6記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
- 硬化剤は、多官能イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物及びオキサゾリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種類である請求項7記載の蓄電デバイス金属端子部密封用接着性フィルム。
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