JP2017117631A - 燃料電池装置、その制御方法、及び燃料電池システム - Google Patents

燃料電池装置、その制御方法、及び燃料電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】新たな補機を追加することなく実際のガス組成に基づいて安定して発電できる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】ガスを用いて発電するホットモジュール20と、位置情報を取得する位置情報取得部16と、位置情報に基づいてガスの組成情報を取得し、ガスの組成情報に基づいてホットモジュール20を制御する制御部10とを備える燃料電池装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池装置、その制御方法、及び燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、都市ガス、LPG等のガスを用いて発電する。ガスは、メタン、エタン、又はその他の成分を含むが、これらの成分の比率(ガスの組成)によって、燃料電池システムで発電する際の発熱量及び発電量が変化する。このため、発電に用いられるガスの組成を制御に反映させるために、ガスの組成を示すパラメータを手動で入力して設定できる燃料電池システムもある。また、発電に用いられるガスの組成を制御に反映させるために、ガスの組成を計測するためのレーザ燃料組成計を備える燃料電池システムもある(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−220125号公報
しかしながら、ガスの組成を示すパラメータを手動で入力して設定できる燃料電池システムでは、パラメータの手動設定の際にミスが起こりうる。誤ったパラメータが設定された場合、燃料電池システム内部の温度が上昇したり、発電量が変動したりするなどの不具合が発生しうる。
また、レーザ燃料組成計を備える燃料電池システムは、発電動作に直接関係のない高価な補機を備えることとなり、コストアップの要因となる。
そこで本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、新たな補機を追加することなく実際のガス組成に基づいて発電できる燃料電池装置、その制御方法、及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る燃料電池装置は、ガスを用いて発電するホットモジュールと、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得し、前記ガスの組成情報に基づいて前記ホットモジュールを制御する制御部とを備える。
また、上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る燃料電池装置の制御方法は、ガスを用いて発電するホットモジュールを備える燃料電池装置の制御方法であって、位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得するステップと、前記ガスの組成情報に基づいて前記ホットモジュールを制御するステップとを含む。
上記課題を解決するために本発明の一実施形態に係る燃料電池システムは、ガスを用いて発電するホットモジュールと、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得し、前記ガスの組成情報に基づいて前記ホットモジュールを制御する制御部と、前記ホットモジュールにより生成される湯を貯える貯湯タンクとを備える。
本発明の一実施形態に係る燃料電池装置、その制御方法、及び燃料電池システムによれば、新たな補機を追加することなく実際のガス組成に基づいて発電できる。
実施形態1に係る燃料電池システムの概略構成例を示すブロック図である。 電気化学反応により放出されるエネルギーの例を示す表である。 原料ガスの組成の一例を示す表である。 実施形態1に係る燃料電池装置の制御方法を示すフローチャートである。 実施形態2に係る燃料電池装置の制御方法を示すフローチャートである。 変形例1に係る燃料電池装置の制御方法を示すフローチャートである。 変形例2に係る燃料電池装置の制御方法を示すフローチャートである。
(実施形態1)
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[システム構成]
図1を参照して、一実施形態に係る燃料電池システム100の概略構成を説明する。燃料電池システム100は、燃料電池装置1と、貯湯タンク60とを備える。また、燃料電池装置1は、制御部10と、記憶部12と、通信部14と、位置情報取得部16と、ホットモジュール20と、供給部30と、インバータ40と、排熱回収処理部50と、循環水処理部52とを備える。
制御部10は、記憶部12と、通信部14と、位置情報取得部16と、ホットモジュール20と、供給部30とに接続され、燃料電池装置1の各部を制御する。制御部10は、例えばプロセッサ等により構成される。制御部10は、記憶部12に格納されているプログラムを取得して、このプログラムを実行することにより、燃料電池装置1の各部に係る種々の機能を実現する。
記憶部12は、制御部10から取得した情報を格納する。また記憶部12は、制御部10によって実行されるプログラム等を格納する。記憶部12は、例えば半導体メモリ、又は磁気ディスク等により構成されるが、これらに限られるものではない。
通信部14は、サーバ7に接続され、サーバ7から情報を取得して制御部10に出力したり、制御部10から取得した情報を例えばサーバ7に出力したりする。サーバ7は、燃料電池装置1にガスを供給するガス会社等のサーバであってもよいし、燃料電池装置1の管理を行うメンテナンス事業者等のサーバであってもよい。通信部14は、サーバ7に限られず、他の外部装置又は外部サーバ等にも接続されうる。
位置情報取得部16は、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報を取得し、制御部10に出力する。位置情報取得部16は、例えばGPS等の測位デバイスであるが、これに限られるものではない。位置情報には、例えば、燃料電池装置1の設置場所の緯度・経度が含まれる。また、位置情報には、燃料電池装置1の設置場所の高度が含まれてもよい。また位置情報は、燃料電池装置1のホットモジュール20の設置場所に係るものであってもよい。
ホットモジュール20は、改質器22と、セルスタック24とを備え、供給部30から供給されるガスなどを用いて発電し、インバータ40に直流電力を出力する。
改質器22は、供給部30から供給されるガス、空気、及び改質水を用いて、水素及び/又は一酸化炭素を生成する。
セルスタック24は、改質器22で生成された水素及び/又は一酸化炭素と空気中の酸素とを反応させて発電する。セルスタック24は、例えばSOFC(固体酸化物型燃料電池)であるがこれに限られるものではない。
ホットモジュール20は、改質器22及びセルスタック24を含む系全体の温度を所定の範囲内に保つことにより、発電効率を維持する。ホットモジュール20は、その温度及び/又は発電量を制御部10に出力する。制御部10は、ホットモジュール20の温度及び/又は発電量に基づいて、ホットモジュール20に対する制御指示を生成する。ホットモジュール20は、制御部10から制御指示を取得し、発電する。以下、制御部10がホットモジュール20を制御するために、制御部10とホットモジュール20との間で互いに取得される情報のことを、ホットモジュール20の制御情報ともいう。ホットモジュール20の制御情報には、ホットモジュール20の温度若しくは発電量、又は制御部10が生成する制御指示等が含まれる。
供給部30は、ガス処理部32と、空気処理部34と、改質水処理部36とを備え、ホットモジュール20にガス、空気、及び改質水を供給する。
ガス処理部32は、ホットモジュール20に供給するガスの量を制御する。またガス処理部32は、ガスの脱硫処理を行ってもよいし、ガスを予備的に加熱してもよい。ガスを加熱する熱源として、ホットモジュール20の排熱が用いられてもよい。ガスは、例えば、都市ガス、又はLPG等であるが、これらに限られるものではない。
空気処理部34は、ホットモジュール20に供給する空気の量を制御する。また空気処理部34は、外部から取り込んだ空気を予備的に加熱して、ホットモジュール20に供給してもよい。空気を加熱する熱源としては、ホットモジュール20の排熱が用いられてもよい。
改質水処理部36は、ホットモジュール20に供給する水蒸気を生成し、供給する水蒸気の量を制御する。改質水処理部36は、ホットモジュール20の排気から回収された水を原料として水蒸気を生成してもよい。水蒸気を生成する熱源としては、ホットモジュール20の排熱が用いられてもよい。
インバータ40は、ホットモジュール20により発電された直流電力を交流電力に変換する。インバータ40は分電盤81に接続され、分電盤81には負荷82が接続される。負荷82は、分電盤81を介して、インバータ40から出力された電力を受電する。また、分電盤81は電力網8に接続され、負荷82は、分電盤81を介して、電力網8からも受電することができる。なお図1において、インバータ40は、制御部10と接続されていないが、制御部10と接続されてもよい。この場合、制御部10は、インバータ40による交流電力の出力を制御することができる。
排熱回収処理部50は、ホットモジュール20の発電動作で生じる排気から排熱を回収する。排熱回収処理部50は、例えば熱交換器等である。排熱回収処理部50は、循環水処理部52及び貯湯タンク60に接続される。循環水処理部52は、貯湯タンク60から排熱回収処理部50へ水を循環させる。排熱回収処理部50に供給された水は、排熱回収処理部50で回収された熱によって加熱され、貯湯タンク60に戻る。排熱回収処理部50は、排熱を回収した排気を外部に排出する。また、上述のように、排熱回収処理部50で回収された熱は、ガス、空気、又は改質水の加熱に用いられてもよい。
貯湯タンク60は、排熱回収処理部50及び循環水処理部52に接続され、ホットモジュール20から回収された排熱を利用して生成された湯を貯える。
[ホットモジュールの発電動作]
上述の通り、ホットモジュール20は、供給部30から供給されるガス、空気及び改質水を用いて発電する。ホットモジュール20は、改質器22における水素等の生成と、セルスタック24における電気化学反応とにより発電することができる。
ホットモジュール20の発電動作をさらに詳しく説明する。改質器22では、例えばガスに含まれるメタンと水蒸気とが反応し、水素と一酸化炭素とが生成する。この反応は、エタン、プロパン、又はブタン等でも同様である。例えば、炭素数nの鎖式飽和炭化水素(アルカン)と水蒸気との反応式は、以下の式(1)で示され、炭素数nに応じて生成される一酸化炭素と水素との比率が定められることが分かる。
n2(n+1) + nH2O → nCO + (2n+1)H2 (1)
また、改質器22では、一酸化炭素と水蒸気とから、水素と二酸化炭素とが生成する反応も起こる。改質器22における反応によって生成された水素及び一酸化炭素は、セルスタック24に供給される。以下、改質器22における反応に用いられるメタン等の炭化水素を原料ガスともいう。
セルスタック24は、燃料極と空気極とを備え、燃料極には改質器22で生成された水素又は一酸化炭素が供給され、空気極には空気中の酸素が供給される。以下、燃料極に供給される水素及び/又は一酸化炭素を燃料ガスともいう。空気極においては、触媒反応によって酸素が電子を受け取って酸素イオンとなり、酸素イオンは燃料極に移動する。そして、燃料極において、水素と酸素イオンとの電気化学反応、又は一酸化炭素と酸素イオンとの電気化学反応が起こり、水又は二酸化炭素が発生するとともに、電子が放出される。燃料極における電気化学反応の反応式は以下の式(2)及び(3)で示される。
2 + O2- → H2O + 2e- (2)
CO + O2- → CO2 + 2e- (3)
以上の通り、セルスタック24における電気化学反応によって、セルスタック24の燃料極で放出される電子が、空気極で受け取られる。このような電子の授受によって、セルスタック24の燃料極と空気極との間に電位差が発生し、ホットモジュール20は直流発電することができる。
なお、セルスタック24がSOFCである場合、燃料極における電気化学反応を起こさせるための温度は、例えば700〜800℃である。このため、発電動作中のホットモジュール20の温度は、例えば、700〜1000℃となる。
[電気化学反応により放出されるエネルギー]
図2を参照して、上述の式(2)及び(3)に示される電気化学反応が25℃で起こった場合に放出されるエネルギーについて説明する。図2の1列目には、燃料極に供給される燃料ガスの種類が示され、2列目には、反応式が示される。また、図2に示される表の3列目には、反応式に係る反応の前後における系全体のエンタルピーの変化量であるΔH(kJ/mol)が示される。ΔHは、反応により放出されるエネルギーに対応している。
図2に示される表の4列目には、反応式に係る反応の前後における系全体のギブスの自由エネルギーの変化量であるΔG(kJ/mol)が示される。ΔGは、反応式に係る反応で放出されるエネルギーであるΔHのうち外部への仕事に変換されうるエネルギーに対応している。理論的には、自由エネルギーを全て電気エネルギーとして取り出すことが可能である。また、図2に示される表の5列目には、反応式に係る反応で発生する熱量であるQ(kJ/mol)が示されている。
反応により放出されるエネルギーは、外部への仕事、又は、発熱で消費される。ここで、ΔH=ΔG+Qの関係が成立する。図2に示される表の6列目には、反応式に係る反応により放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する際の変換効率の理論値であるε(%)が示されている。上述の通り、ΔGで示されるエネルギーが電気エネルギーに変換されうるので、ε=ΔG/ΔHである。
図2に示される表の1行目(タイトル行を除く)には、燃料極に供給される燃料ガスが水素である場合の反応式と、この反応式に係るエネルギーが示されている。燃料ガスが水素である場合、電気エネルギーへの変換効率の理論値は83%である。また、図2に示される表の2行目には、燃料極に供給される燃料ガスが一酸化炭素である場合の反応式と、この反応式に係るエネルギーが示されている。燃料ガスが一酸化炭素である場合、電気エネルギーへの変換効率の理論値は91%である。
以上、図2を参照して説明してきたように、燃料極において酸素イオンと電気化学反応を起こす燃料ガスの種類によって、電気化学反応から取り出される電気エネルギー、及び、電気化学反応による発熱量が異なる。
[原料ガスの組成の設定]
式(2)及び(3)に示されるように、水素と酸素イオンとの反応モル比(反応係数比)、及び、一酸化炭素と酸素イオンとの反応モル比は1である。よって、制御部10は、燃料極に供給される水素又は一酸化炭素と酸素イオンとのモル比が所定の比率に保たれるように、供給部30からホットモジュール20に供給される原料ガス、空気、及び改質水の量を制御することが好ましい。このようにすることで、セルスタック24における反応効率を高めて、原料ガス又は空気の利用効率を高めることができる。
燃料ガスは、改質器22において、上述の式(1)に係る反応等によって生成される。例えば、1molのメタン(CH4)からは、3molの水素と1molの一酸化炭素とが生成され、メタンから生成される水素と一酸化炭素とのモル比は3である。また、1molのエタン(C26)からは、5molの水素と2molの一酸化炭素とが生成され、エタンから生成される水素と一酸化炭素とのモル比は2.5である。つまり、改質器22において1molの原料ガスから生成される水素及び一酸化炭素のモル数は、原料ガスの種類によって異なる。よって、ホットモジュール20に供給される原料ガスの量は、原料ガスの組成(例えば、メタン、エタン、プロパン、又はブタンの含有比率等)に応じて制御されることが好ましい。
ここで、原料ガスの組成は、その供給元により異なる。例えば図3に示されるように、A社を供給元とする原料ガスの組成と、B社を供給元とする原料ガスの組成とは異なる。また、同じC社を供給元とする原料ガスの組成であっても、供給先の地域がD地域であるかE地域であるかによって異なる。このように、燃料電池装置1の設置場所により、供給される原料ガスの組成は異なる。
そこで、本実施形態に係る燃料電池装置1の制御部10は、その設置場所において供給される原料ガスの組成情報をパラメータとして設定し、記憶部12に格納する。また制御部10は、設定された原料ガスの組成に応じて、ガス処理部32がホットモジュール20に供給する原料ガスの量を制御する。
制御部10が設定するパラメータは、原料ガスの組成そのものを示す情報であってもよいが、これに限られず、例えば、原料ガスの供給元を特定する情報であってもよい。パラメータとして原料ガスの供給元を特定する情報が設定される場合、制御部10はさらに、原料ガスの供給元に対応する原料ガスの組成情報をサーバ7から取得してもよいし、供給元のサーバから取得してもよい。あるいは、原料ガスの供給元と組成とが予め関連付けられて記憶部12に格納され、制御部10は、原料ガスの供給元に対応する原料ガスの組成を記憶部12から取得してもよい。
このように、燃料電池装置1に供給される原料ガスの組成情報がパラメータとして設定されることにより、制御部10は、原料ガスの利用効率を高めるように制御することができる。
<比較例:原料ガスの組成の設定に誤りがある場合>
ここで比較例として、パラメータとして設定された原料ガスの組成に誤りがある場合について説明する。この場合、パラメータとして設定された原料ガスの組成と、実際にガス処理部32からホットモジュール20に供給される原料ガスの組成とが異なる。そして、改質器22で生成される燃料ガス中の水素及び一酸化炭素の量(以下、水素等の量ともいう)は、設定されたパラメータから算出される水素等の量(制御部10が想定している水素等の量)とは異なる可能性がある。
例えば、燃料電池装置1が設置されている地域における原料ガスの供給元がA社であるにもかかわらず、B社を供給元とする原料ガスの組成がパラメータとして設定された場合について説明する。図3によれば、A社、B社を供給元とする原料ガスにおけるメタンの含有率は、それぞれ89.6%、88.9%である。つまりこの場合、燃料電池装置1に供給される原料ガスに実際に含まれるメタンの比率(A社の89.6%)は、パラメータとして設定されているメタンの比率(B社の88.9%)よりも大きい。同じモル数のメタン及びエタン等の他のアルカンから生成される水素の量を比較すれば、メタンから生成される水素の量はエタン等の他のアルカンから生成される水素の量よりも少ない。また、一酸化炭素の量についても同様である。よってこの場合には、改質器22において実際に生成される水素等の量は、設定されたパラメータから算出される水素等の量よりも少なくなる。
このように、制御部10が想定している燃料ガス中の水素等の量が実際の燃料ガス中の水素等の量とは異なる場合、制御部10は、ホットモジュール20の発電量、及び、ホットモジュール20の温度を、制御しようとする目標値に合わせることができなくなる可能性がある。このような状況は、燃料電池装置1のパラメータ設定を手動で行う際にヒューマンエラーが介在するなどにより起こりうる。
<本実施形態:原料ガスの組成を自動設定する場合>
上述の比較例に対して、本実施形態においては、原料ガスの組成の設定が自動的に行われる。このようにすることで、制御部10が想定している燃料ガス中の水素等の量が実際の燃料ガス中の水素等の量とは異なるというような比較例に示される状況を防ぐことができる。以下、制御部10が原料ガスの組成の設定を自動的に行うための制御方法の一例について、図4に示されるフローチャートを用いて説明する。
まず制御部10は、位置情報取得部16から、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報を取得する(ステップS11)。
続いて制御部10は、通信部14を用いて、サーバ7に対して位置情報を送信する(ステップS12)。
続いて制御部10は、通信部14を用いて、位置情報に対応する原料ガスの組成情報をサーバ7から取得する(ステップS13)。
続いて制御部10は、原料ガスの組成情報を記憶部12に格納し、記憶部12に格納されている原料ガスの組成を更新する(ステップS14)。
以上、原料ガスの組成が自動的に設定される手順の一例について説明してきた。このようにすることで、ヒューマンエラーが介在する余地を低減し、原料ガスの組成情報の設定が正しく行われるようにできる。そして、原料ガスの組成にかかわらず、燃料電池装置1を安定して動作させることができる。
原料ガスの組成情報が自動的に設定される手順は、例えば、燃料電池装置1が新規に設置された場合、又は移設された場合などの所定のタイミングに実行される。またこの手順は、定期的に実行されてもよい。またこの手順は、ユーザ又はサービスマン等による操作入力に応じて実行されてもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、所定のタイミングで原料ガスの組成情報が自動的に設定される。以下、実施形態2として、原料ガスの組成が設定されるタイミングを、ホットモジュール20の状態に応じて判定する構成について、図5に示されるフローチャートを参照して説明する。燃料電池装置1の構成は、ここまで説明してきた実施形態1と重複するため、説明を省略する。
本実施形態において、まず制御部10は、ホットモジュール20の状態を取得し、ホットモジュール20の状態の基準値として記憶部12に格納する(ステップS21)。ホットモジュール20の状態は、例えば、ホットモジュール20の発電量、又は温度等を含む。ホットモジュール20の発電量及び/又は温度は、ホットモジュール20の制御情報に含まれる。また、ホットモジュール20の状態が取得され、基準値として設定されるタイミングは、例えば、燃料電池装置1が新規に設置された後、安定動作を開始した時点であるが、これには限られず、所定のタイミングとすることができる。
続いて制御部10は、記憶部12に格納されている基準値と、ホットモジュール20の現在の状態を示す値とに基づき判定する。例えば、基準値と現在の状態を示す値との差が判定閾値以上であるか判定する(ステップS22)。ここで、判定閾値とは、適宜定められうる所定の閾値である。また、基準値と現在の状態を示す値との間の大小関係を考慮して、現在の状態を示す値が基準値よりも判定閾値以上大きいか判定するようにしてもよいし、基準値が現在の状態を示す値よりも判定閾値以上大きいか判定するようにしてもよい。あるいは、基準値と現在の状態を示す値との差の絶対値が判定閾値以上であるか判定されるようにしてもよい。
例えば、ホットモジュール20の状態を示す値として発電量が用いられる場合、制御部10は、記憶部12に格納されている発電量の基準値と、現在の発電量との差が判定閾値以上であるか判定する。
また例えば、ホットモジュール20の状態を示す値として温度が用いられる場合、制御部10は、記憶部12に格納されている温度の基準値と、現在の温度との差が判定閾値以上であるか判定する。
基準値と現在の状態を示す値との差が判定閾値以上である場合(ステップS22:YES)、制御部10は、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報をサーバ7に送信して、原料ガスの組成をサーバ7に問い合わせる(ステップS23)。この際、制御部10は、位置情報取得部16から位置情報を再度取得してもよい。あるいは、燃料電池装置1の運転開始時に記憶部12に格納された位置情報を取得してもよい。
続いて制御部10は、原料ガスの組成情報をサーバ7から取得する(ステップS24)。ステップS24は、図4のステップS13と同様のステップである。
続いて制御部10は、原料ガスの組成情報を記憶部12に格納し、記憶部12に格納されている原料ガスの組成を更新する(ステップS25)。ステップS25は、図4のステップS14と同様のステップである。
その後、制御部10は、図5のフローチャートに示される手順の実行を終了する。
ステップS22に戻って、基準値と現在の状態を示す値との差が判定閾値未満である場合(ステップS22:NO)、制御部10は、図5のフローチャートに示される手順の実行を終了する。
制御部10は、図5のフローチャートに示される手順の実行を終了した後、図5のフローチャートに示される手順の実行を再度開始してもよい。この場合、ステップS22から実行を開始してよい。
以上、実施形態2として、原料ガスの組成情報が設定されるタイミングを、ホットモジュール20の状態に応じて判定する構成について説明してきた。このようにすることで、ホットモジュール20の状態の変化をトリガとして、原料ガスの組成が変化しているかどうか確認し、原料ガスの組成情報を更新することができる。そして、原料ガスの組成が変化した場合にも、燃料電池装置1を安定して動作させることができる。
(変形例1)
実施形態2において、原料ガスの組成情報を取得した後に、原料ガスの組成が変化しているか判定するステップをさらに含む構成について、図6に示されるフローチャートを参照して変形例1として説明する。
図6のステップS21からステップS24までは、図5と同じであるため、説明を省略する。ステップS24に続いて、制御部10は、記憶部12に格納されている原料ガスの組成情報(パラメータとして設定されている原料ガスの組成)と、ステップS24で取得した原料ガスの組成情報とが同じか判定する(ステップS31)。
パラメータとして設定されている原料ガスの組成情報と取得した原料ガスの組成情報とが同じ場合(ステップS31:YES)、制御部10は、判定閾値を更新する(ステップS32)。このようにする理由は、ホットモジュール20の状態の変化が原料ガスの組成の変化によるものではなく、ホットモジュール20自身の変化によるものである可能性があるためである。判定閾値をどのような値に更新するかは適宜定められる。
あるいは、ステップS32では、制御部10は、ホットモジュール20の状態の基準値を更新するようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS22で判定した時点におけるホットモジュール200の状態を示す値が、新たな基準値として記憶部12に格納されてもよい。
ステップS32の後、制御部10は、図6のフローチャートに示される手順の実行を終了する。
ステップS31に戻って、格納されている原料ガスの組成情報と取得した原料ガスの組成情報とが異なる場合(ステップS31:NO)、制御部10は、原料ガスの組成を更新する(ステップS25)。ステップS25は、図5のステップS25と同じステップである。ステップS25の後、制御部10は、図6のフローチャートに示される手順の実行を終了する。
以上、変形例1として、原料ガスの組成が変化しているか判定するステップを含む構成について説明してきた。このようにすることで、ホットモジュール20の状態に応じた判定をより適切に行うことができる。
(変形例2)
実施形態1において、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報をサーバ7に送信して、サーバ7から原料ガスの組成情報を取得した。以下、変形例2として、位置情報と原料ガスの組成情報とが対応づけられて記憶部12に格納されている構成について、図7に示されるフローチャートを参照して説明する。
図7のステップS11は、図4のステップS11と同じであるため、説明を省略する。ステップS11に続いて、制御部10は、ステップS11で取得した燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報を用いて、記憶部12に格納されている原料ガスの組成情報を取得する(ステップS41)。ここで、予め記憶部12には、位置情報と、位置情報が示す場所において供給される原料ガスの組成情報とが対応づけられて格納されている。あるいは、記憶部12には、位置情報と、位置情報が示す場所への原料ガスの供給元に係る情報とが対応づけられて格納され、供給元と原料ガスの組成情報とがさらに対応づけられて格納されていてもよい。
続いて制御部10は、原料ガスの組成を更新する(ステップS14)。ステップS14は、図4のステップS14と同様のステップである。ステップS14の後、制御部10は、図7のフローチャートに示される手順の実行を終了する。
以上、変形例2として、位置情報と原料ガスの組成情報とが対応づけられて記憶部12に格納されている構成について説明してきた。このようにすることで、燃料電池装置1の設置時のパラメータ設定をネットワーク経由で行う必要がなくなり、スタンドアロンで行うことができる。
(変形例3)
実施形態1において、燃料電池装置1の設置場所の高度を考慮して燃料電池装置1を制御することが考えられる。以下、変形例3として、設置場所の高度を考慮した場合における制御方法を説明する。
図4のステップS11において、制御部10は、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報を取得する。制御部10は、その際に、位置情報に対応する高度、つまり燃料電池装置1の設置場所の高度をさらに取得してもよい。位置情報に対応する高度は、記憶部12に予め格納されている位置情報と高度とが対応づけられているテーブルから取得されてもよい。
制御部10は、燃料電池装置1の設置場所の高度に基づいて、燃料電池装置1の設置場所における空気中の酸素濃度を取得する。空気中の酸素濃度と高度との関係は、記憶部12に予め格納されていてもよいし、サーバ7から取得してもよい。
また、図4のステップS13において、制御部10は、燃料電池装置1の設置場所に係る位置情報に対応する原料ガスの組成をサーバ7から取得する。制御部10は、その際に、燃料電池装置1の設置場所の高度をサーバ7からさらに取得してもよいし、設置場所における空気中の酸素濃度をサーバ7からさらに取得してもよい。
制御部10は、燃料電池装置1の設置場所における空気中の酸素濃度を取得した場合、酸素濃度を記憶部12に格納してもよい。また、設置場所における空気中の酸素濃度に基づいて供給部30の空気処理部34等を制御してもよい。このように、空気中の酸素濃度を取得して、燃料電池装置1の制御に反映させることにより、燃料電池装置1がより精度よく制御されうる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。また、本発明について装置を中心に説明してきたが、本発明は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
100 燃料電池システム
1 燃料電池装置
10 制御部
12 記憶部
14 通信部
16 位置情報取得部
20 ホットモジュール
22 改質器
24 セルスタック
30 供給部
32 ガス処理部
34 空気処理部
36 改質水処理部
40 インバータ
50 排熱回収処理部
52 循環水処理部
60 貯湯タンク
7 サーバ
8 電力網
81 分電盤
82 負荷

Claims (5)

  1. ガスを用いて発電するホットモジュールと、
    位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得し、前記ガスの組成情報に基づいて前記ホットモジュールを制御する制御部と
    を備える燃料電池装置。
  2. 前記ホットモジュールの制御情報を格納する記憶部をさらに備え、
    前記ホットモジュールの制御情報は、前記ホットモジュールの発電量を含み、
    前記制御部は、
    所定のタイミングで前記ホットモジュールの発電量を前記記憶部に格納し、
    前記記憶部に格納された前記ホットモジュールの発電量と、現在の前記ホットモジュールの発電量との差が所定の閾値以上である場合、前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得する、請求項1に記載の燃料電池装置。
  3. 前記ホットモジュールの制御情報を格納する記憶部をさらに備え、
    前記ホットモジュールの制御情報は、前記ホットモジュールの温度を含み、
    前記制御部は、
    所定のタイミングで前記ホットモジュールの温度を前記記憶部に格納し、
    前記記憶部に格納された前記ホットモジュールの温度と、現在の前記ホットモジュールの温度との差が所定の閾値以上である場合、前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得する、請求項1に記載の燃料電池装置。
  4. ガスを用いて発電するホットモジュールを備える燃料電池装置の制御方法であって、
    位置情報を取得するステップと、
    前記位置情報に基づいて前記ガスの組成情報を取得するステップと、
    前記ガスの組成情報に基づいて前記ホットモジュールを制御するステップと
    を含む燃料電池装置の制御方法。
  5. ガスを用いて発電するホットモジュールと、
    位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記位置情報に基づいて前記ガスの組成を取得し、前記ガスの組成に基づいて前記ホットモジュールを制御する制御部と、
    前記ホットモジュールにより生成される湯を貯える貯湯タンクと
    を備える燃料電池システム。
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