JP2017115080A - 高性能タイヤ - Google Patents

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隆行 永瀬
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Abstract

【課題】高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能がバランス良く改善されたトレットを有する高性能タイヤの提供。
【解決手段】エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤ。フェノール系樹脂及びエポキシ化天然ゴムの含有量が、0.1≦(フェノール系樹脂の含有量(質量部)/エポキシ化天然ゴムの含有量(質量部))≦15を満たす該高性能タイヤ。エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、10〜60モル%である該高性能タイヤ。ゴム成分100質量%中のエポキシ化天然ゴムの含有量が5〜50質量%であり、スチレンブタジエンゴムの含有量が50〜95質量%である高性能タイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤに関する。
高性能タイヤ用のトレッドには、様々な路面でのグリップ性能と耐久性が要求される。なかでも、特に乾燥路面(ドライ路面)における優れた操縦安定性(グリップ性能)と耐久性能(耐アブレージョン摩耗性能)を保つことが望まれている。
なかでも、気温が高い夏場の高温路面条件でのこれらの性能の両立は重要な課題である。なぜなら、路面温度が高くなると、おのずと走行中のトレッドゴムの温度も高くなるためである。ゴム物性の一般特性として、温度が上がる程、グリップへの寄与が高い、ゴム物性の1つである、ヒステリシスロス(tanδ)は低くなる傾向にあるため、温度が高くなるほどに、グリップ性能は低下する傾向にある。また、耐久性能(耐アブレージョン摩耗性能)に寄与が高い、高温での破壊強度についても、温度が高くなるほど低下する傾向にある。
このように、高温路面でのグリップ性能および耐久性能向上は、高性能タイヤにとって非常に重要でかつ、難しい課題を持っている。
そこで、従来から、グリップ性能を向上させる目的として、トレッドゴム組成物において、ヒステリシスロスを大きくするために、例えば樹脂を充填する手法が取られている(例えば、特許文献1参照。)。また、耐久性能の向上には、天然ゴムを配合する手法が取られている。しかし、これらの手法は、前者は高いグリップ性能が得られる代償として、耐アブレージョン摩耗性能が悪化する傾向にあり、後者は高い耐アブレージョン摩耗性能が得られる代償として、グリップ性能が悪化する傾向にあった。
特開2004−137463号公報
本発明は、前記課題を解決し、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能がバランス良く改善された高性能タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤに関する。
フェノール系樹脂及びエポキシ化天然ゴムの含有量が、0.1≦(フェノール系樹脂の含有量(質量部)/エポキシ化天然ゴムの含有量(質量部))≦15を満たすことが好ましい。
エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、10〜60モル%であることが好ましい。
ゴム成分100質量%中のエポキシ化天然ゴムの含有量が5〜50質量%、スチレンブタジエンゴムの含有量が50〜95質量%であることが好ましい。
スチレンブタジエンゴムの油展量が、ゴム固形分100質量部に対して、0〜50質量部であることが好ましい。
スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量が、10〜60質量%であることが好ましい。
前記ゴム組成物の100℃雰囲気に於ける硬度(Hs)が15〜50であることが好ましい。
前記高性能タイヤが、高性能ドライタイヤであることが好ましい。
本発明によれば、エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤであるので、特にドライ路面における、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能がバランス良く改善されている。
本発明の高性能タイヤは、エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する。
上述の通り、樹脂を使用した場合は高いグリップ性能が得られる代償として、耐アブレージョン摩耗性能が悪化する傾向にあり、天然ゴムを使用した場合は高い耐アブレージョン摩耗性能が得られる代償として、グリップ性能が悪化する傾向にあった。また、エポキシ化天然ゴムを使用した場合は、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能の改善効果が充分ではなかった。このように、従来の技術では、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能をバランス良く改善することはできなかった。
一方、本発明では、エポキシ化天然ゴムと、フェノール系樹脂とを併用することにより、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能を相乗的に改善でき、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能をバランス良く改善できる。
フェノール系樹脂に含まれるフェノール性水酸基とエポキシ化天然ゴムに含まれるエポキシ基が水素結合を形成することにより、高温でのヒステリシスロスが向上し、高温路面でのグリップ性能が向上するものと推測される。更に、エポキシ化天然ゴムと、フェノール系樹脂とを併用したゴム組成物(加硫後)の損失正接(tanδ)をその測定温度に対してプロットして得られるtanδの温度分布曲線では、特異な山(こぶ)が存在する。具体的には、温度分布曲線の高温域において小さな複分散ピークが存在するため、高温路面(高温ドライ路面)でのグリップ性能が向上するものと推測される。
また、グリップ性能が向上することで、タイヤ表面の滑り量が抑制されることにより、高温路面での耐アブレージョン摩耗性能も改善するものと推測される。
なお、本明細書において、耐アブレージョン摩耗性能とは、ゴム表面にアブレージョンが発生する摩耗形態の耐摩耗性能を意味する。
また、本明細書では、単にグリップ性能と記載した場合は、高温路面でのグリップ性能以外にも初期グリップ性能(低温路面でのグリップ性能)を含むこととする。
同様に、本明細書では、単に耐アブレージョン摩耗性能と記載した場合は、高温路面での耐アブレージョン摩耗性能以外にも低温路面での耐アブレージョン摩耗性能を含むこととする。
更に、本明細書では、単に耐摩耗性と記載した場合は、耐アブレージョン摩耗性能以外にもゲージが減少することによる一般的な摩耗形態の耐摩耗性能を含むこととする。
本発明では、ゴム成分としてエポキシ化天然ゴム(ENR)を含有する。
ENRとしては特に限定されず、市販のエポキシ化天然ゴムでも、天然ゴム(NR)をエポキシ化したものでもよい。天然ゴムをエポキシ化する方法は、特に限定されず、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などがあげられる(特公平4−26617号公報、特開平2−110182号公報、英国特許第2113692号明細書等)。過酸法としては例えば、天然ゴムに過酢酸や過ギ酸などの有機過酸を反応させる方法などがあげられる。なお、有機過酸の量や反応時間を調整することにより、様々なエポキシ化率のエポキシ化天然ゴムを調製することができる。
なお、本明細書において、エポキシ化率とは、エポキシ化される前のゴム中の二重結合の総数に対するエポキシ化された二重結合の数の割合(モル%)のことである。また、本明細書において、エポキシ化率は、核磁気共鳴(NMR)分光分析法によって測定できる。
エポキシ化される天然ゴムとしては、特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ENRのエポキシ化率は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上である。エポキシ化率が5モル%未満では、グリップ性能(特に、高温路面でのグリップ性能)及び耐アブレージョン摩耗性能(特に、高温路面での耐アブレージョン摩耗性能)が充分に得られない傾向がある。また、エポキシ化率は、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下、更に好ましくは40モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。エポキシ化率が60モル%をこえると、耐摩耗性が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、高温路面でのグリップ性能が良好に得られない傾向がある。エポキシ化率が上記範囲内であると、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能がよりバランスよく得られる。
ゴム成分100質量%中のENRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。5質量%未満であると、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能が充分に得られない傾向にある。ENRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。90質量%を超えると、耐アブレージョン摩耗性能(特に、高温路面での耐アブレージョン摩耗性能)が低下する傾向にある。
本発明で使用できるENR以外のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、グリップ性能及び耐摩耗性がバランスよく得られるという理由からNR、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分なグリップ性能が得られない傾向がある。また、上記スチレン含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。60質量%を超えると、耐摩耗性が低下するだけでなく、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、高温路面でのグリップ性能が良好に得られない傾向がある。なお、本発明において、SBRのスチレン含有量は、H−NMR測定により算出される。
SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、ゴム固形分100質量部に対して、好ましくは0〜50質量部、より好ましくは15〜45質量部である。
SBRを配合する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。10質量%未満であると、十分な耐熱性、グリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。SBRの含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。95質量%を超えると、ENRの含有量が少なくなり、本発明の効果が充分に得られないおそれがある。
ゴム成分100質量%中のENR及びSBRの合計含有量は、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
なお、本明細書において、ゴム成分の量、SBRの量は、それぞれの固形分の量を意味する。
本発明に係るゴム組成物は、フェノール系樹脂を含有する。
フェノール系樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、フェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるフェノールアルデヒド縮合樹脂;フェノール類と、アセチレンなどのアルキンとを反応させて得られるフェノールアルキン縮合樹脂;アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物等が挙げられる。これらの樹脂は2種類以上を併用してもよい。また、これらの樹脂は、カシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどの化合物を用いて変性されていてもよい。
フェノール類としては、特に限定されず、例えば、フェノール、アルキルフェノール等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、アルキルフェノールが好ましい。
アルキルフェノールが有するアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜5が更に好ましい。アルキルフェノールとしては、アルキル基の炭素数が異なるものを組み合わせて使用してもよい。
アルキルフェノールが有するアルキル基の数は、特に限定されないが、1個が好ましく、p位にアルキル基を有することが好ましい。また、アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、分岐状が好ましい。
アルキルフェノールとしては、特に限定されないが、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等が挙げられる。なかでも、t−ブチルフェノール等の分枝状アルキル基を有するフェノールが好ましく、t−ブチルフェノールがより好ましく、p−t−ブチルフェノールが更に好ましい。
上記フェノールアルキン縮合樹脂を構成するアルキンとしては、炭素数2〜10のアルキンが好ましく、炭素数2〜5のアルキンがより好ましく、アセチレンが特に好ましい。
アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物としては特に限定されないが、良好な低発熱性、硬度が得られるという点から、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017115080
(式(I)中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数5〜12のアルキル基を表す。x及びyは、同一若しくは異なって、2〜4の整数を表す。tは0〜250の整数を表す。)
tは、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物のゴム成分中への分散性が良い点から、0〜100の整数が好ましい。x及びyは、高硬度が効率良く発現できる点から、ともに2が好ましい。R〜Rは、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物のゴム成分中への分散性が良い点から、炭素数6〜9のアルキル基が好ましい。
上記アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物は、公知の方法で調製でき、例えば、アルキルフェノールと塩化硫黄とを、モル比1:0.9〜1.25などで反応させる方法などが挙げられる。アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物の具体例として、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(下記式(II))などが挙げられる。
Figure 2017115080
(式中、tは0〜100の整数を表す。)
フェノール系樹脂のなかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、フェノールアルキン縮合樹脂が好ましく、アルキルフェノールと、アセチレンなどのアルキンとを反応させて得られるアルキルフェノールアルキン縮合樹脂がより好ましく、アルキルフェノールと、アセチレンとを反応させて得られるアルキルフェノールアセチレン縮合樹脂が更に好ましい。
上記アルキルフェノールアセチレン縮合樹脂として、BASF社製のKoresin等が挙げられる。
フェノール系樹脂の軟化点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上、最も好ましくは140℃以上である。また、該軟化点は、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、フェノール系樹脂の軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
フェノール系樹脂の酸価は、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは50mgKOH/g以上、更に好ましくは100mgKOH/g以上、特に好ましくは150mgKOH/g以上、最も好ましくは180mgKOH/g以上である。また、該酸価の上限は特に限定されないが、好ましくは300mgKOH/g以下であり、より好ましくは220mgKOH/g以下である。20mgKOH/g未満であると、高温路面でのグリップ性能が充分に得られないおそれがあり、300mgKOH/gを超えると、ゴム成分との相溶性が悪くなり、充分な破壊特性が得られず、耐摩耗性が著しく悪化するおそれがある。フェノール系樹脂の酸価が上記範囲内であると、フェノール系樹脂に含まれるフェノール性水酸基とエポキシ化天然ゴムに含まれるエポキシ基との水素結合がより好適に形成され、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本発明において、フェノール系樹脂の酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K 0070:1992)により測定した値である。
フェノール系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下、最も好ましくは50質量部以下である。5質量部未満であると、本発明の効果が充分に得られない傾向があり、150質量部を超えると、ゴム成分への分散が難しく、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
本発明では、フェノール系樹脂に含まれるフェノール性水酸基とエポキシ化天然ゴムに含まれるエポキシ基との水素結合がより好適に形成され、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、フェノール系樹脂及びエポキシ化天然ゴムの含有量が、以下の式を満たすことが好ましい。以下の式において、0.1未満であると、水素結合量が少なすぎることで、ヒステリシスロスの向上代が小さく、グリップ性能の向上代が小さいおそれがある。また15を超えると、フェノール系樹脂の配合量過多により、温度依存性の大幅な悪化(高温路面でのグリップ性能の低下)および耐摩耗性の悪化が生じるおそれがある。下限は、好ましくは0.2、より好ましくは0.25である。一方、上限は、好ましくは10.0、より好ましくは5.0、更に好ましくは3.0、特に好ましくは2.0である。
0.1≦(フェノール系樹脂の含有量(質量部)/エポキシ化天然ゴムの含有量(質量部))≦15
本発明では、フェノール系樹脂と共に、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂を使用してもよい。芳香族系石油樹脂としては例えば、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などが挙げられる。クマロンインデン樹脂としては例えばエスクロン(新日鉄化学社製)、ネオポリマー(新日本石油化学株式会社製)などが挙げられる。スチレン樹脂としては例えばSylvatraxx 4401 (Arizona chemical社製)などが挙げられる。テルペン樹脂としては例えばTR7125(Arizona chemical社製)、TO125、M125(ヤスハラケミカル社製)などが挙げられる。これらの樹脂は2種類以上を併用してもよい。
本発明に係るゴム組成物は、更に、凝固温度が−10℃以下の低温可塑剤を含有することが好ましい。これにより、良好な耐摩耗性を確保しつつ、初期グリップ(低温路面でのグリップ性能)及び、高温路面でのグリップ性能(特にドライ路面における初期グリップ性能及び高温路面でのグリップ性能)を更に高次元に両立できる。
上記低温可塑剤は、凝固温度が−10℃以下である。このような低凝固温度の低温可塑剤は、SP値がポリマー、樹脂両方のSP値に近く、その化学組成も相まって、ゴム物性上はゴム組成物の配合Tgや脆化温度を低下させる効果があり、かつ、高軟化点や高SP値の樹脂を溶解させ易いことから、ゴム中に樹脂を高度に分散させる効果、すなわち、走行中の樹脂の持続的ブルーム、更には持続的グリップを向上させる効果がある。
上記低温可塑剤の凝固温度の上限は、−15℃以下が好ましい。一方、下限は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−80℃以上である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
なお、本発明において、凝固温度は、下記方法で測定される値である。
試料をアルミニウムセルの中に密閉し、当該アルミニウムセルを示差走査熱量測定器((株)島津製作所製、DSC−60A)のサンプルホルダーに挿入した後、当該サンプルホルダーを窒素雰囲気下10℃/分で150℃まで加熱しながら吸熱ピークを観察し、得られた吸熱ピークを凝固点とした。
上記低温可塑剤は、上記ジエン系ゴムとの相溶性を確保するために、SP値が8〜9.5であることが好ましい。ここでSP値とは、ハンセン(Hansen)の数式を用いて算出される溶解度パラメータを意味する。また、特にSBR、NRとの構造的類似上、相溶性を高める点で、エチルヘキシル基やフェニル基を含有することが好ましい。
なお、上記低温可塑剤には、プロセスオイルは含まれない。
上記低温可塑剤は、バンバリー混練り時に発火する可能性があることから、引火点が200℃以上であるものが好ましい。例えば、混練時の排出温度を180℃に設定した場合、局部的なゴム組成物の最高温度は195℃にもなる。引火点が200℃以上である低温可塑剤を採用することにより、発火の可能性を低減することができる。
なお、本発明において、上記低温可塑剤の引火点は、JIS K 2265−4:2007に準拠したクリーブランド開放法によって測定した値である。
上記低温可塑剤は、元来、塩化ビニル、セルロース、樹脂プラスチック、各種ゴム等に広く用いられる。本発明のゴム組成物においては、隣接部材への移行を防ぎ、引火点を高くする意味で、重量平均分子量(Mw)400以上が好ましい。
なお、本明細書において、低温可塑剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
上記低温可塑剤として、例えば、リン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族多塩基酸エステル、トリメリット酸エステル、酢酸エステル及びリシノール酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むものを好適に使用できる。なかでも、本発明の効果がより良好に得られるという点から、リン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族多塩基酸エステルが好ましい。更にリンの使用量を抑えられる点から、脂肪族多塩基酸エステルが好適である。
上記化合物のSP値は、8.3以上であることが好ましく、8.5以上であることがより好ましい。また、該SP値は、9.5以下であることが好ましく、9.0以下であることがより好ましく、8.8以下であることが更に好ましい。上記範囲のSP値にすることで、ENRやSBR等のジエン系ゴムとの相溶性が確保される。
上記化合物の凝固温度は、好ましくは−100℃以上、より好ましくは−80℃以上である。また、該凝固温度は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−15℃以下である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
リン酸エステルとしては、リン酸と、炭素数1〜12のモノアルコール又はその(ポリ)オキシアルキレン付加物とのモノ、ジ又はトリエステルなど、公知のリン酸エステル系可塑剤を使用できる。具体的には、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等が挙げられる。
フタル酸エステルとしては、フタル酸と炭素数1〜13程度のアルコールとのジエステルなど、公知のフタル酸エステル系可塑剤を使用できる。具体的には、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
脂肪族多塩基酸エステルとしては、例えば、脂肪族二塩基酸エステル、脂肪族三塩基酸エステル等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより良好に得られるという点から、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル等の脂肪族二塩基酸エステルが好ましい。
このような脂肪族二塩基酸エステルのなかでも、下記式(1)で表される化合物を特に好適に使用できる。
Figure 2017115080
〔式(1)中、R11は、2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。R12及びR13は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐のアルキル基、又は−(R14−O)−R15(n個のR14は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐のアルキレン基を表す。R15は、分岐若しくは非分岐のアルキル基を表す。nは整数を表す。)で表される基を表す。〕
11の2価の飽和又は不飽和炭化水素基は、分岐、非分岐のいずれでもよく、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基などが挙げられる。前記飽和又は不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは6〜10である。具体的には、アルキレン基として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基など、アルケニレン基として、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基など、アリーレン基として、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基など、が挙げられる。
12及びR13について、分岐若しくは非分岐のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15、より好ましくは4〜10である。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、等が挙げられる。
12及び13の−(R14−O)−R15で表される基について、R14の分岐若しくは非分岐のアルキレン基の炭素数は、1〜3が好ましい。R15の分岐若しくは非分岐のアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜6である。該アルキレン基、該アルキル基の具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。整数nは、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、R11は、アルキレン基であることが好ましく、R12及び13は、少なくとも1つが分岐のアルキル基であることが好ましく、両方が当該基であることがより好ましい。
前記式(1)で表される脂肪族二塩基酸エステルの好適例としては、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジn−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペートの他、ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]アジペート等の前記−(R14−O)−R15で表される基を有するビス(アルコキシアルコキシアルキル)アジペート、等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を併用してもよい。
トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸と炭素数8〜13の飽和脂肪族アルコールとのトリエステル等、公知のトリメリット酸エステル系可塑剤を使用できる。具体的には、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等が挙げられる。
酢酸エステルとしては、酢酸とモノ又はポリグリセリンとのエステル等、公知の酢酸エステル系可塑剤を使用できる。具体的には、グリセリルトリアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、ポリグリセリンの重合度2〜4、アセチル化率50〜100%のポリグリセリン酢酸エステル等が挙げられる。
リシノール酸エステルとしては、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレートなどのアルキルアセチルリシノレート(アルキル基:炭素数1〜10)等、公知のリシノール酸エステル系可塑剤が挙げられる。
上記低温可塑剤は、上記化合物以外に、他の成分を含むものでもよい。他の成分としては、上記化合物以外の公知の可塑剤、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテル、等が挙げられる。
上記低温可塑剤100質量%中の上記化合物の含有率は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。上記含有率で上記化合物を配合することで、本発明の効果がより良好に得られる。
上記低温可塑剤は、例えば、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOP、凝固温度−70℃以下、引火点204℃、SP値8.1、Mw435)、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート(DOS、凝固温度−62℃、引火点222℃、SP値8.4、Mw427)、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP、凝固温度−51℃、引火点218℃、SP値8.9、Mw391)、ビス[2−(2−ブトキシエトキシエチル)エチル]アジペート(BXA、凝固温度−19℃、引火点207℃、SP値8.7、Mw435)等が挙げられる。なかでも、ゴム成分との相溶性に優れ、引火点が200℃以上であり、重量平均分子量が400以上と高いことからDOS、TOP、BXAが好適である。
上記低温可塑剤を配合する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。1質量部未満であると、グリップ性能が十分に得られないおそれがある。該含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。30質量部を超えると、グリップ性能、耐摩耗性、引張性能が低下するおそれがある。
上記低温可塑剤がリン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族多塩基酸エステル、トリメリット酸エステル、酢酸エステル及びリシノール酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を配合する場合、本発明のゴム組成物中の該化合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、該含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。
本発明では、初期グリップ性能、高温路面でのグリップ性能などの観点から、軟化剤を配合することが好ましい。軟化剤としては特に限定されないが、オイル、液状ジエン系重合体などが挙げられる。
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。なかでも、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
オイルを配合する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは15質量部以上、より好ましくは25質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは85質量部以下、より好ましくは75質量部以下である。15質量部未満では、添加による効果が得られないおそれがあり、85質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
液状ジエン系重合体は、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体である。
液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10〜2.0×10であることが好ましく、3.0×10〜1.5×10であることがより好ましい。1.0×10未満では、耐摩耗性、破壊特性が低下し、十分な耐久性が確保できないおそれがある。一方、2.0×10を超えると、重合溶液の粘度が高くなり過ぎ生産性が悪化するおそれがある。なお、本発明において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。なかでも、耐摩耗性と高温路面でのグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、液状SBRが好ましい。
液状ジエン系重合体を配合する場合、液状ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。20質量部未満では、十分なグリップ性能が得られない傾向があり、120質量部を超えると、耐摩耗性が悪化する傾向がある。
フェノール系樹脂、フェノール系樹脂以外の樹脂、低温可塑剤、オイル、及び液状ジエン系重合体の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは100〜200質量部、更に好ましくは120〜180質量部である。上記含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明に係るゴム組成物は、耐摩耗性が優れているという点で、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネス法により製造されたカーボンブラックなどが挙げられ、2種類以上のコロイダル特性の異なるものを併用してもよい。具体的にはGPF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、なかでも、ISAF、SAFが好適である。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、80m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましく、120m/g以上が更に好ましい。また、該NSAは、600m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましく、180m/g以下が更に好ましい。80m/g未満では、グリップ性能が低下する傾向があり、600m/gを超えると、良好な分散が得られにくく、耐摩耗性が低下する傾向がある。なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K 6217−2:2001に準拠して求められる。
カーボンブラックのオイル吸油量(OAN)は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。また、該OANは、250ml/100g以下が好ましく、200ml/100g以下がより好ましく、135ml/100g以下がさらに好ましい。50ml/100g未満では、十分な耐摩耗性が得られないおそれがあり、250ml/100gを超えると、グリップ性能が低下するおそれがある。なお、カーボンブラックのOANは、JIS K6217−4:2008に準拠して測定される。
カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。50質量部未満では十分な耐摩耗性、グリップ性能が得られないおそれがあり、200質量部を超えると、グリップ性能が低下するおそれがある。
本発明では、補強用充填剤として、カーボンブラックの他に、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなど、従来タイヤ用ゴム組成物で慣用されるものも使用できる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、ワックス、酸化亜鉛、老化防止剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等の材料を適宜配合してもよい。
本発明で使用される酸化亜鉛としては、特に限定されず、タイヤなどのゴム分野で使用されているものなどが挙げられる。ここで、酸化亜鉛のなかでは、本発明の効果がより好適に得られる観点から、微粒子酸化亜鉛を好適に使用できる。具体的には、平均一次粒子径200nm以下の酸化亜鉛を使用することが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは80nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上である。なお、酸化亜鉛の平均一次粒子径は、窒素吸着によるBET法により測定した比表面積から換算された平均粒子径(平均一次粒子径)を表す。
酸化亜鉛を配合する場合、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜10質量部以下、より好ましくは1〜5質量部である。酸化亜鉛の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、グアニジン系加硫促進剤などが挙げられ、なかでも、本発明では、チアゾール系、チウラム系加硫促進剤を好適に使用できる。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドなどが挙げられ、なかでも、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドが好ましい。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)などが挙げられ、なかでも、TOT−Nが好ましい。
加硫促進剤を配合する場合、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。1質量部未満では、充分な加硫速度が得られず、良好なグリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向があり、15質量部を超えると、ブルーミングを起こし、グリップ性能、耐摩耗性が低下するおそれがある。
本発明に係るゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、高性能タイヤのトレッドに使用される。
本発明に係るゴム組成物(加硫ゴム)の100℃雰囲気に於ける硬度(Hs)は、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、好ましくは15〜50、より好ましくは35〜45である。
本発明の高性能タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂と、必要に応じて上記各種配合剤とを配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することで、本発明の高性能タイヤが得られる。
本発明の高性能タイヤは、高性能ドライタイヤとして好適に使用できる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。また、本明細書において、ドライタイヤとは、ドライグリップ性能に特に優れたタイヤを意味する。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR:ランクセス(株)製のVSL5025−2HM(スチレン含有量:25質量%、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
ENR1:クンプーランガスリー社製のENR25(エポキシ化率25モル%)
ENR2:クンプーランガスリー社製のENR50(エポキシ化率50モル%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN134(NSA:148m/g、OAN吸油量:127ml/100g)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
液状ジエン系共重合体:(株)クラレ製のL−SBR−841(液状SBR、スチレン含有量:45質量%、Mw:10000)
樹脂1:JX日鉱日石エネルギー(株)製の日石ネオポリマー170S(芳香族系石油樹脂、軟化点:160℃)
樹脂2:BASF社製のKoresin(p−t−ブチルフェノール及びアセチレンの縮合樹脂(アルキルフェノールアセチレン縮合樹脂)、Tg:98℃、酸価:193mgKOH/g、軟化点:160℃)
低温可塑剤:大八化学社製、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート(脂肪族二塩基酸エステル、凝固温度−62℃、引火点222℃、SP値8.5、Mw427)
酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製のジンコックスーパーF−2(平均1次粒子径:65nm)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤1:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:住友化学(株)製のアンチゲンRD(ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン))
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーTOT−N(テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド)
<実施例及び比較例>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼(株)製1.7Lバンバリーを用いて硫黄及び加硫促進剤以外の配合材料を混練りした。得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、150℃の条件下で30分間加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:215/45R17)を得た。
上記製造で得た試験用タイヤについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(高温グリップ性能)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコース(気温40℃/路面温度58℃)にて10周の実車走行を行った。操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした(高温グリップ性能指数)。数値が大きいほど高温路面でのグリップ性能が高いことを示す。指数値が110以上の場合に特に良好であると判断した。
(耐摩耗性)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコース(気温40℃/路面温度58℃)にて実車走行を行った。その際におけるタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し(新品時15mm)、それぞれ比較例1の残溝量を100として指数表示した(耐摩耗性指数)。数値が大きいほど、耐摩耗性(特に、高温路面での耐アブレージョン摩耗性能)が高いことを示す。
(Hs@100℃)
JIS−K6253−3に準拠して、100℃雰囲気に於ける硬度(Hs)を測定した。
Figure 2017115080
表1より、エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する実施例のタイヤは、特にドライ路面における、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能がバランス良く改善されていることが分かった。
また、比較例1、5、8、実施例1の比較により、エポキシ化天然ゴムと、フェノール系樹脂とを併用することにより、高温路面でのグリップ性能及び耐アブレージョン摩耗性能を相乗的に改善できることが分かった。

Claims (8)

  1. エポキシ化天然ゴムを含有するゴム成分と、フェノール系樹脂とを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する高性能タイヤ。
  2. フェノール系樹脂及びエポキシ化天然ゴムの含有量が、0.1≦(フェノール系樹脂の含有量(質量部)/エポキシ化天然ゴムの含有量(質量部))≦15を満たす請求項1記載の高性能タイヤ。
  3. エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、10〜60モル%である請求項1又は2記載の高性能タイヤ。
  4. ゴム成分100質量%中のエポキシ化天然ゴムの含有量が5〜50質量%、スチレンブタジエンゴムの含有量が50〜95質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の高性能タイヤ。
  5. スチレンブタジエンゴムの油展量が、ゴム固形分100質量部に対して、0〜50質量部である請求項4記載の高性能タイヤ。
  6. スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量が、10〜60質量%である請求項4又は5記載の高性能タイヤ。
  7. 前記ゴム組成物の100℃雰囲気に於ける硬度(Hs)が15〜50である請求項1〜6のいずれかに記載の高性能タイヤ。
  8. 高性能ドライタイヤである請求項1〜7のいずれかに記載の高性能タイヤ。
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