JP2017113205A - ミシン - Google Patents

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Yasunori Suzuki
靖典 鈴木
廣瀬 弘和
Hirokazu Hirose
弘和 廣瀬
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    • D05B47/00Needle-thread tensioning devices; Applications of tensometers
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Abstract

【課題】ユーザが上糸を容易に導引できるミシンを提供する。
【解決手段】ミシンは、上糸に張力を作用させる糸調子機構、上糸の移動を検出する糸送りセンサ、縫針を上下動させることによって縫製を実行する縫製部、及び、制御部を備える。制御部は、縫製部による縫製が停止されている停止状態において、糸調子機構によって上糸に第1張力が作用する第1状態である場合、糸送りセンサによって上糸の移動が検出されたことを条件として(S43:YES、S45:NO)、糸調子機構を第2状態とする(S49)ことによって、上糸に作用する張力を、前記第1張力よりも小さい第2張力とする。制御部は、縫製部による縫製が実行されている縫製状態において、糸調子機構を第3状態とすることによって、上糸に作用する張力を、第2張力以上の第3張力とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、ミシンに関する。
例えば、特許文献1に記載されたミシンにおいて、縫製の開始前、糸駒から上糸が導引され、糸調子器及び天秤に掛けられる。上糸は更に導引され、針棒の下端に取付けられた縫針の針孔に通される。ミシンは、縫製可能な状態になる。
特開2007−229291号公報
糸調子器は、上糸に張力を付与するために、上糸の移動を制限する。ユーザが糸調子器を経由して上糸を縫針の針孔まで導引するときに、上糸の移動が糸調子器によって制限される場合がある。この場合、上糸が導引されるときにユーザは力を要する。従って、ユーザは、上糸を針孔まで容易に導引できないという問題点がある。
本発明の目的は、ユーザが上糸を容易に導引できるミシンを提供することである。
本発明に係るミシンは、上糸に張力を作用させる糸調子機構、前記上糸の移動を検出する糸送りセンサ、縫針を上下動させることによって縫製を実行する縫製部、及び、制御部を備えたミシンであって、前記制御部は、前記縫製部による縫製が停止されている停止状態において、前記糸調子機構が、前記上糸に第1張力が作用する第1状態である場合、前記糸送りセンサによって前記上糸の移動が検出されたことを条件として、前記糸調子機構を第2状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を、前記第1張力よりも小さい第2張力とし、前記糸調子機構を第3状態とすることによって、前記縫製部による縫製が実行されている縫製状態において前記上糸に作用する張力を、前記第2張力以上の第3張力とすることを特徴とする。
上記のミシンは、上糸に作用する張力を第2張力以上の第3張力とした状態で、縫製部による縫製を実行する。又、ミシンは、停止状態において上糸の移動が検出された場合、上糸に作用する張力を、第1張力よりも小さい第2張力とする。このためミシンは、例えばユーザによって上糸が針孔まで導引される過程で上糸が移動した場合、上糸に作用する張力を、縫製の停止時よりも弱い張力とすることができる。従って、ユーザは、上糸に作用する張力が、縫製の停止時における第1張力とされた状態に比べて、上糸を弱い力で導引できる。このため、ミシンは、ユーザが上糸を針孔まで導引する操作を容易に実行させることができる。
ミシン1の斜視図である。 頭部5の右斜め後方から見た斜視図(通常時)である。 図2に示すW3領域の部分拡大図である。 図2に示すW4領域の部分拡大図である。 頭部5の右側面図(ラック部材45:上側位置)である。 図5に示すW6領域の部分拡大図である。 頭部5の右側面図(ラック部材45:下側位置)である。 図7に示すW7領域の部分拡大図である。 ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。 メイン処理のフローチャートである。 張力制御処理のフローチャートである。
図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。図1の上側、下側、左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側を、夫々、ミシン1の上側、下側、前側、後側、左側、右側と定義する。ミシン1の左右方向、前後方向を、夫々、X軸方向、Y軸方向と定義する。
<ミシン1の全体構成>
ミシン1の構成について説明する。図1に示すように、ミシン1は、ベッド部2、脚柱部3、アーム部4、頭部5、操作パネル9等を備える。ベッド部2はミシン1全体を支持する。ベッド部2は平面視略U字状に形成され、本体部2A、及び一対の脚部2B,2Cを備える。本体部2Aは、ベッド部2の左右方向略中央に位置する。脚部2B,2Cは、本体部2Aの左右両端部に夫々位置し、本体部2Aの前面よりも前方に延びている。
本体部2Aの前面の略中央には、シリンダベッド7が設けられている。シリンダベッド7は、本体部2Aから前方へ延びている。シリンダベッド7の上面には、加工布(図示略)が載置される。シリンダベッド7の内部には、釜機構(図示略)が設けられている。釜機構は釜(図示略)を回転駆動する。釜はシリンダベッド7の先端側に設けられ、下糸(図示略)が巻回されたボビン(図示略)を収容する。シリンダベッド7の先端部上面には、針板10が設けられている。針板10には、針穴10Aが設けられている。針穴10Aには、後述する縫針8が上下方向に挿通される。
脚部2B,2Cの夫々の上面には、Y軸方向に対して平行に延びる案内溝21、22が設けられている。案内溝21、22は、キャリッジ17のY軸方向への移動を案内する。キャリッジ17は、脚部2B,2C間に架け渡されている。ベッド部2には、Y軸移動機構(図示略)が設けられている。Y軸移動機構は、Y軸モータ503(図9参照)が駆動することで、キャリッジ17をY軸方向に移動させる。キャリッジ17の前面には、装着部17AがX軸方向に移動可能に設けられている。装着部17Aには、加工布を保持する刺繍枠(図示略)を装着可能である。キャリッジ17の内部には、X軸移動機構(図示略)が設けられている。X軸移動機構は、X軸モータ502(図9参照)が駆動することで、装着部17AをX軸方向に移動させる。ミシン1は刺繍縫製を行う場合、Y軸移動機構によるキャリッジ17の前後方向への移動と、X軸移動機構による装着部17Aの左右方向への移動とにより、刺繍枠を前後左右に移動させる。
脚部2B,2Cには、平板状のテーブル(図示略)を装着可能である。テーブルは、ミシン1の動作モードがフリーモーションモードに設定された状態で縫製が行われる場合に使用される。フリーモーションモードについては後述する。
脚柱部3は、本体部2Aの上面後端側に立設されている。アーム部4は、脚柱部3の上端部から前方へ、且つシリンダベッド7の上面に対向して延びている。アーム部4の上面には、糸立台30が設けられている。糸立台30の上面には、4本の糸立棒32が等間隔に設けられている。各糸立棒32には、上糸12が巻回された糸駒37が回転可能に支持されている。糸立台30の後方には、案内部材33が設けられている。案内部材33は、アーム部4の上面に立設された支柱34と、該支柱34の上端部から左右方向に延びる案内棒35とを備える。案内棒35には、上糸12を挿通させる為の4つの孔35Aが等間隔に設けられている。
頭部5は、アーム部4の前端部に設けられている。頭部5には針棒ケース15が設けられている。図2に示すように、針棒ケース15の内側には、針棒駆動機構(図示略)、天秤機構(図示略)、糸通し機構120、調節機構130等が夫々設けられている。針棒駆動機構は、頭部5の前側に設けられ、針棒6(図5,図7参照)を上下動可能に支持する。針棒6は、頭部5の下端部から下方に延び、その下端部には縫針8が着脱可能に装着されている。縫針8には、上糸12が通される針孔8A(図4参照)が形成されている。縫針8が針棒6に装着された状態では、針孔8Aは前後方向に向いている。縫針8の左方には、正面視略L字状の押え部材11(図1参照)が設けられる。押え部材11の下端部は、縫針8の下端(先端)よりも下方に位置し、縫針8が挿通する穴(図示略)が形成されている。押え部材11の右側面には、板厚が薄い平板からなる糸保持板68が固定されている。糸保持板68の下端部は、図4に示すように、略V字状に形成され、押え部材11よりも前方に突出する。
図1に示すように、天秤機構は、針棒6の上下動に合わせて天秤16を上下動させる。天秤16は、針棒ケース15の前面15Aに設けられたスリット151に沿って上下動する。ミシン1の縫製動作時、針棒6及び縫針8は釜と協働し、上糸12を、釜が収容するボビンから引き出された下糸に絡める。天秤16は、下糸に絡んだ上糸12を針板10上に引き上げる。これにより、加工布に縫目が形成される。
針棒ケース15の上面には、傾斜面15Bが設けられている。傾斜面15Bには、上糸12に張力を付与する為の糸調子機構25が設けられている。糸調子機構25は、上糸12が糸駒37から送り出される方向(以下、「供給方向」という。)の上流側から下流側に向かって順に、副糸調子器27、主糸調子器26、副糸調子器28を備えている。主糸調子器26は、後述する回転皿82(図2参照)を備え、該回転皿82が上糸12の移動量に連動して回転することで、上糸12に張力を付与する。副糸調子器27,28は、夫々、後述する挟持部103(図3参照)で上糸12を挟持することで、上糸12に張力を付与する。なお、主糸調子器26、副糸調子器27,28の夫々の具体的な構造と張力付与の仕組みについては後述する。
針棒ケース15の前面15Aの下端部前方には、糸保持部材18が前後方向に揺動可能に支持されている。糸保持部材18は、前面15Aの前方に引き出され、縫針8の針孔8Aに上糸12を通す(以下、「糸通し」と呼ぶ)前に、後述する糸通しフック61(図4参照)に掛けられた上糸12の端部を一時的に保持する。糸保持部材18の内部には、上糸12を切断する刃部(図示略)と、該刃部で切断された上糸12の端部を挟持して保持する挟持部(図示略)とが設けられている。ユーザは、上糸12を、糸保持部材18に左方から右方へ通して挟持部に挟持させた後、下方に引く。これにより、上糸12が刃部で切断され、挟持部により上糸12の端部が挟持される。
針棒ケース15の前面15Aの下側には、後方に向かって窪んだ凹部152が設けられている。凹部152の内側下面の略中央には、ガイド孔153が設けられている。ガイド孔153は、天秤16を経由した上糸12を挿通させ、縫針8側に案内する。
操作パネル9は、頭部5の右隣に設けられ、液晶ディスプレイ191(以下「LCD191」と呼ぶ)、タッチパネル192(図9参照)、スタート/ストップキー193(以下「S/Sキー193」と呼ぶ)、糸通しキー194等を備える。LCD191には、例えば、ユーザが指示を入力する為の操作画面、ミシン1の後述する各種動作モードを選択する為の選択画面等、各種情報が表示される。タッチパネル192は、LCD191上で指が触れた位置を検出することで、ユーザからの指示を受け付ける。S/Sキー193は、縫製の開始又は停止を指示する為のキーである。糸通しキー194は、糸通し機構120の駆動指示を受け付けるキーである。
<糸調子機構25>
糸調子機構25の支持構造について説明する。図2に示すように、針棒ケース15を取り外した頭部5の上部には、糸調子台70が設けられている。糸調子台70は断面略逆U字状に形成されている。糸調子台70は、上壁71、右側壁72、左側壁73、前側支持部74、後側支持部75、糸案内部77等を備える。上壁71は、頭部5の上部に配置され、後方から前方に向けて下り傾斜している。上壁71の上面には、主糸調子器26が固定されている。右側壁72は、上壁71の右端部から下方に延設され、頭部5の右側面に固定されている。左側壁73は、上壁71の左端部から下方に延設され、頭部5の左側面に固定されている。
前側支持部74は、上壁71の前端部に設けられている。前側支持部74は、側面視逆L字型に形成され、上壁71の前端部から垂直上方に延び、さらにその上端側が前方に向けて略直角に屈曲して延びている。前側支持部74の前方に延びる部分の上面には、副糸調子器28が設けられている。後側支持部75は、上壁71の後端部に設けられている。後側支持部75は、前側支持部74とは対象形状である。後側支持部75は、上壁71の後端部から垂直上方に延び、さらにその上端側が後方に向けて略直角に屈曲して延びている。後側支持部75の後方に延びる部分の上面に、副糸調子器27が設けられている。副糸調子器27が設けられる部分には、ネジ穴75A、及び貫通穴75B(図3参照)が夫々設けられている。ネジ穴75Aには、後述する副糸調子器27の軸部102が締結される。貫通穴75Bには、後述する副糸調子器27の挟持部103に設けられたピン105が挿通される。
糸案内部77は、図3に示すように、後側支持部75の後方に屈曲して延びる部分の後端部に設けられ、断面略U字状に形成されている。糸案内部77の後端側の壁部77Aの略中央には、円形状のガイド孔78が設けられている。ガイド孔78は、案内部材33(図1参照)から搬送される上糸12を挿通させ、副糸調子器27に向けてガイドする。
図3を参照し、主糸調子器26の構造について説明する。主糸調子器26は、下から順に、本体部材83、回転皿82、調節ダイヤル81等を備える。本体部材83は、略円柱状に形成され、糸調子台70の上壁71の上面にネジで固定されている。回転皿82は、本体部材83の上部において外部に露出して回転可能に軸支されている。回転皿82には、上糸12が1回転巻回される。調節ダイヤル81は、回転皿82を上方から付勢し且つその付勢力を調整することで、回転皿82の回転抵抗を調節する部材である。より具体的には、調節ダイヤル81は、内部に糸調子皿(図示略)と、該糸調子皿を上方から付勢するコイルバネ(図示略)とを備える。それ故、回転皿82は、上方から糸調子皿を介してコイルバネにより付勢されている。よって、主糸調子器26は、その付勢による回転抵抗力を、回転皿82に巻回された上糸12に作用させることができる。なお、主糸調子器26の回転皿82によって上糸12に付与される張力は、後述する副糸調子器27によって上糸12に付与される張力に比べて非常に弱い。具体的には、主糸調子器26は、上糸12が回転皿82から外れない程度の非常に弱い張力を付与する。本体部材83には、糸送りセンサ19(図9参照)が内蔵されている。糸送りセンサ19は、回転皿82の回転量を検出可能である。
図3を参照し、副糸調子器27,28の構造について説明する。なお、副糸調子器27,28は互いに共通する構造であるので、ここでは、副糸調子器27について説明する。副糸調子器27は、キャップ部101、軸部102、挟持部103、コイルバネ110等を備える。軸部102は、例えば外周面にネジ山が形成されたボルトであり、糸調子台70の後側支持部75に設けられたネジ穴75Aに螺合される。ネジ穴75Aに対する軸部102のネジ込み量を調節することで、軸部102の高さを調節できる。キャップ部101は略円柱状であって、軸部102の頭部(図示略)に着脱可能に取り付けられる。
挟持部103は、後側支持部75の上面に配置される平面視略長方形状の金属製の板部材である。挟持部103の略中央には、円形の孔部103A(図8参照)が設けられている。孔部103Aには、軸部102が挿通される。挟持部103は、平面視半円弧状に形成され、その長手方向略中央部には、下方に屈曲して突出するピン105が設けられている。ピン105は、糸調子台70の後側支持部75に設けられた貫通穴75Bを挿通し、後側支持部75の裏面から下方に突出している。
コイルバネ110は、軸部102に外挿され、その軸方向の一端側は、キャップ部101の底面に当接し、他端部は挟持部103の上面に当接している。よって、コイルバネ110は、キャップ部101と挟持部103との間で圧縮され、挟持部103を後側支持部75の上面に対して常時付勢する。この状態で、挟持部103と後側支持部75の上面との間に上糸12を挟むことによって、上糸12に張力が付与される。また、ネジ穴75Aに対する軸部102のネジ込み量を調節すると、コイルバネ110の圧縮量が変化するので、挟持部103への付勢力を変更できる。副糸調子器28は、主糸調子器26から搬送される上糸12にさらに張力を付与するが、副糸調子器28が上糸12に付与する張力は、副糸調子器27に比べて非常に弱い。具体的には、副糸調子器28は、上糸12が副糸調子器28から外れない程度の非常に弱い張力を付与する。
<糸通し機構120>
糸通し機構120の構成について説明する。図2に示すように、糸通し機構120は、糸通しモータ504(図9参照)、ラック部材45、クランク板54、ガイドフレーム55、リンクブロック60を備える。糸通しモータ504の出力軸41は、ミシンフレーム13に設けられた孔(図示略)を介して右側方に突出する。出力軸41の先端部には、ピニオンギア42が固定されている。
ラック部材45は、上下方向に延びる略長方形の板状に形成され、ピニオンギア42の後方に隣接して設けられている。ラック部材45の前端部に設けられたギア部45Aは、ピニオンギア42と噛合する。ラック部材45には、自身の長手方向に平行なガイド溝46が設けられている。ガイド溝46は、ミシンフレーム13に固定されたガイドピン51,52と係合している。ガイドピン51,52は互いに上下方向に離間して配置されている。よって、ガイド溝46がガイドピン51,52に係合した状態で上下方向に移動することで、ラック部材45が上下方向にガイドされる。頭部5を右側方から見た場合、糸通しモータ504の出力軸41及びピニオンギア42が時計回りに回転すると、ラック部材45は下方に移動する。出力軸41及びピニオンギア42が反時計回りに回転すると、ラック部材45は上方に移動する。
図4に示すように、ガイドフレーム55は、ミシンフレーム13の下部に固定されている。ガイドフレーム55は、ミシンフレーム13の下部から前側に下り傾斜し、さらにその前端側が前方に屈曲して略水平に延びている。ガイドフレーム55の略水平に延びる前端部は、縫針8の右側で且つ縫針8の下端部と略同一高さに位置する。ガイドフレーム55には、ガイド溝58が形成されている。ガイド溝58は、ガイドフレーム55の形状に合わせて、傾斜部58Aと水平部58Bを有する。ガイド溝58には、棒状の係合ピン57が摺動可能に係合している。係合ピン57は、ガイド溝58を介して左右方向に延び、ガイドフレーム55の左側にて、後述するリンクブロック60の後端部と連結している。さらに、係合ピン57は、ガイドフレーム55の右側にて、後述するクランク板54の下端部と回動可能に連結している。また、係合ピン57の前側には、当接部59が固定されている。当接部59は、係合ピン57と共にガイド溝58に沿って摺動し、水平部58Bを前方に移動した時に、水平部58Bの前端部に当接させることによって、係合ピン57の移動を停止させる。
クランク板54は、ラック部材45の下端部と、ガイドフレーム55との間に配置され、頭部5を正面から見た場合に、長手方向の一端部と他端部の間が略Z字状に屈曲して形成されている。クランク板54の一端部は、ラック部材45の下端部の内面に軸支部53を介して回動可能に連結され、他端部はガイドフレーム55の右側にて、係合ピン57に回動可能に連結されている。
リンクブロック60は、ガイドフレーム55の左側にて、自身の後端部が係合ピン57に連結されている。リンクブロック60は、略直方体状に形成され、係合ピン57の軸方向に直交する方向へ、且つガイドフレーム55の形状に沿うように延びている。リンクブロック60の先端部には、左右一対の糸掛部材62,63が設けられている。糸掛部材62,63の間には、糸通しフック61が設けられている。糸掛部材62,63の下端部には、リンクブロック60の後方に向かって斜め上方に傾斜する傾斜部62A,63Aが夫々設けられている。リンクブロック60は、係合ピン57がガイド溝58の後方の最奥部から傾斜部58A、水平部58Bの順に摺動することにより、最初は前方に下り傾斜してガイドされ、その後水平方向前方にガイドされる。このとき、リンクブロック60の先端部は、縫針8の針孔8Aに向かって移動し、糸通しフック61は縫針8の針孔8Aを挿通する。ガイド溝58の前端部に当接部59が当接した時、係合ピン57と共にリンクブロック60が停止する。
<調節機構130>
調節機構130の構成について説明する。図2に示すように、調節機構130は、頭部5の背面側の上部に設けられ、副糸調子器27によって上糸12に作用する張力を調節する。調節機構130は、係合ピン66、リンク部材86、コイルバネ85、支軸89、調節部材90を備え、糸通し機構120の糸通しモータ504(図9参照)を共通の駆動源とする。
係合ピン66は、ミシンフレーム13の上側に設けられた長孔65に沿って摺動可能に係合している。長孔65は、ミシンフレーム13におけるラック部材45が上下動する範囲の上部に対応する位置に設けられ、上下方向に長い長方形状に形成されている。係合ピン66には、上下動するラック部材45が下側から接離する。リンク部材86は、糸調子台70とミシンフレーム13との間に配置され、上下方向に延設された細長長方形状の板部材である。リンク部材86の上端部と下端部の間の略中央部は、クランク状に屈曲している。リンク部材86の下端部は、係合ピン66に連結され、上端部は、後述する調節部材90の右側壁91(図3参照)に軸支部88を介して回動可能に連結されている。
リンク部材86の前端部であってクランク状の屈曲部分よりもやや上側には、半円弧状に前方に突出する突出片87が設けられている。突出片87の略中央には円形のバネ係止孔87Aが設けられている。バネ係止孔87Aには、コイルバネ85の一端部が係止されている。コイルバネ85の他端部は、ミシンフレーム13の上端部で且つリンク部材86よりも前側に設けられた係止孔67に係止されている。コイルバネ85は、リンク部材86を常時下方に付勢する。これに伴い、係合ピン66は、ラック部材45が後述する基準位置Pよりも下方に位置する場合は、長孔65の上端部よりも下方に押し下げられる。
図3に示すように、調節部材90は、正面視略U字状に形成され、糸調子台70の内側に設けられた支軸89を中心に揺動可能に設けられている。支軸89は、左右方向に延び、糸調子台70の右側壁72と左側壁73の間に渡設されている。調節部材90は、右側壁91、左側壁92、底壁93、アーム部94を備える。右側壁91及び左側壁92は、平面視略長方形状の底壁93の左右両端部に夫々立設されている。右側壁91は糸調子台70の右側壁72の右側に、左側壁92は右側壁72の左側に、底壁93は右側壁72の下方に夫々配置されている。そして、右側壁91及び左側壁92の夫々の前端側に、支軸89が挿通されている。これにより、調節部材90は支軸89を中心に後端側が上下方向に揺動可能に支持される。
アーム部94は、左側壁92の後端部の上部から後方略水平に延び、さらに斜め上方に傾斜してその先端側が上方に延設されている。アーム部94の先端部には、右側方に略直角に屈曲する押し上げ部95が設けられている。押し上げ部95は、糸調子台70の後側支持部75に設けられた貫通穴75Bの下方に配置されている。調節部材90の右側壁91の後端側の下側角部に、軸支部88を介してリンク部材86の上端部が回動可能に連結されている。
調節機構130では、上述のように、リンク部材86はコイルバネ85により常時下方に付勢されている。それ故、係合ピン66がラック部材45によって押し上げられていない状態において、リンク部材86は、調節部材90の右側壁91を、軸支部88を介して引き下げる。よって、調節部材90は、支軸89を中心に右側面視時計回りに揺動する。アーム部94は、支軸89を中心に下方に揺動するので、押し上げ部95は、貫通穴75Bから下方に突出するピン105の先端部よりも下方に位置する。この状態では、副糸調子器27の挟持部103は、ピン105によって押し上げられない。
図2を参照し、ラック部材45の移動範囲とその基準位置Pについて説明する。ラック部材45は、上述のように、ガイドピン51,52によって上下方向にガイドされる。その移動範囲は、ガイドピン51,52の夫々の位置とガイド溝46の長さによって調整される。ミシン1では、糸通し機構120及び調節機構130を何れも駆動させていない状態では、ラック部材45は基準位置Pに配置される。基準位置Pは、例えば、ラック部材45の上端部が、長孔65に係合する係合ピン66の最下点と同一高さとなる位置である。この状態の係合ピン66は、長孔65における移動範囲の最下端に位置し、ラック部材45によって上方に付勢されていない状態である。ミシン1は、糸通しモータ504の正転と逆転により、ラック部材45を移動させる。基準位置Pに対して下側にラック部材45が移動したときに糸通し機構120が動作し、基準位置Pに対して上側にラック部材45が移動したときに調節機構130が動作する。これにより、ミシン1は、ラック部材45の移動範囲に応じて、糸通し機構120及び調節機構130を使い分けている。
<糸通し機構120による糸通し動作>
糸通し機構120による糸通し動作について説明する。図4に示すように、ミシン1の縫製動作前の準備段階において、係合ピン57はガイド溝58の後方の最奥部に位置する。それ故、リンクブロック60は、頭部5下部の後方に位置する。このとき、糸通しフック61は待機位置にある。ラック部材45は、基準位置Pに配置されている。
ユーザが糸通しキー194を押下すると、糸通しモータ504(図9参照)が正転駆動し、出力軸41と共にピニオンギア42が右側面視時計回りに回転する。すると、図5に示すように、ラック部材45がガイドピン51,52によって下方にガイドされ、基準位置Pから下方に移動する。ラック部材45の下端部に軸支部53を介して一端部が連結されたクランク板54の他端部が、係合ピン57を押し下げる。これにより、係合ピン57は、ガイド溝58に沿って、傾斜部58A及び水平部58Bの順に摺動する。これに伴い、リンクブロック60は、傾斜部58Aに沿って前方に下り傾斜して移動し、その後水平部58Bに沿って水平方向前方に移動する。そして、水平部58Bの前端部に当接部59が当接したとき、リンクブロック60は停止する。水平部58Bの前端部に当接部59が当接した状態におけるラック部材45の位置を、「下側位置」という。このとき、図6に示すように、糸通しフック61は縫針8の針孔8A(図4参照)を挿通する。糸通しモータ504の正転駆動は停止される。
ユーザは、凹部152内のガイド孔153(図1参照)に挿通された上糸12を、右方から左方に向かって、糸掛部材62、糸通しフック61、糸掛部材63、及び糸保持板68の下端部に順々に引っ掛ける。その後、その上糸12を糸保持部材18(図1参照)の挟持部で保持させた後に刃部(図示略)で切断する。切断した上糸12の端部は、挟持部に保持される。次いで、ユーザが操作パネル9に表示された糸通しキー194を再度押下すると、糸通しモータ504が逆転駆動し、糸通しフック61が後方に移動する。糸通しフック61が針孔8Aから抜けて後方に離間する所定位置に移動した時点で、糸通しモータ504が停止する。このとき、針孔8Aと糸通しフック61との間に、ループ状の糸ループが形成される。
次いで、糸ループを解消する為に、糸引き部材(図示略)を駆動する別の駆動モータ(図示略)が駆動される。糸引き部材が駆動されて前方斜め下方に移動し、糸引き部材の先端部が糸ループを引っ掛ける。その後、糸引き部材を、駆動モータにより元の後方位置まで上昇させると、糸通しフック61と針孔8Aとの間に保持された糸ループの自由端側が引かれて、糸通しフック61から外れる。このように、上糸12が完全に針孔8Aに通された状態になる。その後、糸通しモータ504が逆転駆動し、糸通しフック61を待機位置へと戻し、糸通しが終了する。ラック部材45は、基準位置Pまで上方に移動した後、停止する。
<調節機構130による張力の調整動作>
調節機構130による上糸12の張力の調節動作について説明する。糸通しモータ504(図9参照)が逆転駆動して、出力軸41と共にピニオンギア42が右側面視反時計回りに回転する。図7に示すように、ラック部材45がガイドピン51,52によって上方にガイドされ、基準位置Pよりも上方に移動する。ラック部材45の上端部が、長孔65に係合する係合ピン66に下方から接触し、係合ピン66を上方に押し上げる。これに伴い、リンク部材86は、コイルバネ85の付勢力に抗して、上方に押し上げられる。さらに、そのリンク部材86の上端部が軸支部88を介して、調節部材90の右側壁91の後端側を上方に押し上げるので、調節部材90は、支軸89を中心に右側面視反時計回りに揺動する。係合ピン66は、長孔65の上端部に接触するまで上方に移動する。ラック部材45の上方への移動は、長孔65の上端部に係合ピン66が接触することによって、停止される。糸通しモータ504の逆転駆動は停止される。長孔65の上端部に係合ピン66が接触した状態におけるラック部材45の位置を、「上側位置」という。
図8に示すように、アーム部94が上方に揺動し、アーム部94の先端部に設けられた押し上げ部95が、貫通穴75Bから下方に突出するピン105に当接して押し上げる。副糸調子器27の挟持部103が押し上げられ、挟持部103と後側支持部75の上面との間に隙間が生じる。挟持部103と後側支持部75とは互いに離隔する。この場合、上糸12が供給方向に移動したときに副糸調子器27によって上糸12に作用する張力は最も小さくなり、略0になる。このため、上糸12は供給方向に自由に移動可能となる。以下、ラック部材45が上側位置に配置された場合の副糸調子器27の状態を、「第2状態」という。副糸調子器27が第2状態のときに上糸12に作用する張力を、「第2張力」という。
副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75とが上糸12を挟む力は、アーム部94の押し上げ部95が挟持部103を押し上げる程度に応じて変化する。ラック部材45が上側位置よりも僅かに下側の位置(以下、「第1中間位置」という。)に配置された場合、ラック部材45が上側位置に配置された場合と比べて、副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75との間の隙間は小さくなる。この場合、上糸12が供給方向に移動したときに上糸12に作用する張力は、第2張力よりも大きくなる。以下、ラック部材45が第1中間位置に配置された場合の副糸調子器27の状態を、「第4状態」という。副糸調子器27が第4状態のときに上糸に作用する張力を、「第4張力」という。
一方、ラック部材45が基準位置Pに配置されているか、又は、糸通し動作を実行するために基準位置Pよりも下方の下側位置に配置された場合、副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75とは、上糸12が間に介在しない場合において互いに接触し、挟持部103と後側支持部75との間に隙間は生じない。この場合、上糸12が間に介在する状態で上糸12が供給方向に移動したとき、上糸12に作用する張力は最も大きくなる。以下、ラック部材45が基準位置P又は基準位置Pよりも下方(下側位置を含む。)に配置された状態における副糸調子器27の状態を、「第1状態」又は「第3状態」という。本実施形態において第1状態及び第3状態は、いずれも、上糸12が間に介在しない状態で副糸調子器27の挟持部103が後側支持部75と互いに接する状態であり、同一の状態を示す。詳細は後述するが、以下では、ミシン1の状態に応じて、第1状態と第3状態とが使い分けられる。本実施形態において、第1状態は、ミシン1による縫製が停止された状態における副糸調子器27の状態であり、第3状態は、後述するように、糸通しキー194が押下され、ミシン1による縫製が行われる際の副糸調子器27の状態である。副糸調子器27が第1状態のときに上糸12に作用する張力を、「第1張力」という。副糸調子器27が第3状態のときに上糸12に作用する張力を、「第3張力」という。本実施形態では、第1張力及び第3張力は同一の大きさを示す。第1張力及び第3張力は、何れも、第2張力及び第4張力よりも大きくなる。
<動作モード>
操作パネル9で選択可能なミシン1の動作モードについて説明する。ユーザは、操作パネル9に表示される選択画面において、ミシン1の動作モードを選択できる。動作モードには、例えば、刺繍縫製モードとフリーモーションモードがある。刺繍縫製モードは、上下動する縫針8に対して、加工布を保持する刺繍枠をX軸方向及びY軸方向に自動で移動させながら刺繍縫製を行うモードである。刺繍枠は、キャリッジ17の装着部17Aに装着される。他方、フリーモーションモードは、刺繍枠を使わずに、ユーザが手動で加工布を移動させながら縫製を行うモードである。例えば、キルティング縫いを行う場合、ユーザはフリーモーションモードを操作パネル9で選択する。フリーモーションモードが操作パネル9で選択された場合、キャリッジ17は後方に移動する。この状態で、ユーザは、脚部2B,2Cにテーブルを装着し、テーブル上に加工布を載置する。ユーザは、上下動する縫針8に対し、テーブル上で加工布を手動で移動させることによってキルティング縫いを行うことができる。
<電気的構成>
図9を参照し、ミシン1の電気的構成を説明する。ミシン1は、制御部600、駆動回路501A〜504A、ミシンモータ501、X軸モータ502、Y軸モータ503、糸通しモータ504、糸送りセンサ19、操作パネル9等を備える。操作パネル9は、LCD191、タッチパネル192、S/Sキー193、糸通しキー194を含む。制御部600は、CPU601、ROM602、RAM603、EEPROM(登録商標)604、入出力インターフェイス(I/O)606等を備え、これらは信号線605で相互に接続されている。CPU601は、ミシン1の主制御を司り、縫製に関わる各種演算及び処理を実行する。ROM602は各種プログラム、及び、パラメータ等を記憶する。ROM602に記憶されるパラメータとして、後述する第1所定量及び第2所定量等がある。RAM603は、CPU601が演算処理した演算結果等の各種情報を記憶する。EEPROM604は、縫製する刺繍模様の模様データ、及び、後述するフラグ情報等を記憶する。
I/O606には、駆動回路501A〜504A、糸送りセンサ19、LCD191、タッチパネル192、S/Sキー193、糸通しキー194が接続されている。駆動回路501Aは、制御部600からの制御信号に従ってミシンモータ501を駆動する。駆動回路502Aは、制御部600からの制御信号に従ってX軸モータ502を駆動する。駆動回路503Aは、制御部600からの制御信号に従ってY軸モータ503を駆動する。駆動回路504Aは、制御部600からの制御信号に従って糸通しモータ504を駆動する。
ミシン1において、ミシンモータ501が駆動されると、主軸(図示略)が回転し、針棒6及び天秤16が同期して上下駆動される。そして、シリンダベッド7の前端部に設けられた回転釜(図示略)と協動することで、シリンダベッド7の上側で、例えば、刺繍枠に保持された加工布に縫目が形成される。
<メイン処理>
図10、図11を参照し、CPU601が実行するメイン処理を説明する。CPU601は、ミシン1の電源が投入された場合、ROM602からメインプログラムを読み込む。CPU601は、読み込んだメインプログラムに基づき、メイン処理を開始させる。メイン処理の開始直後、ミシンモータ501の回転は停止し、主軸、針棒6、天秤16、及び、回転釜は駆動していない状態である。つまり、ミシン1による縫製は停止された状態である。なお、ユーザは、今回の電源の投入前、つまり、過去に電源が投入されていた状態で、操作パネル9に表示される選択画面を介して動作モード(刺繍縫製モード及びフリーモーションモードの何れか)を選択しているとする。又、メイン処理の開始時点で、入力された動作モードを示すフラグ情報がEEPROM604に記憶されているとする。
図10に示すように、CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を基準位置P(図2参照)に移動する。副糸調子器27は第1状態(図3参照)となる(S11)。
例えばユーザは、糸駒37から上糸12を供給方向に送り出し、案内棒35の孔35Aに上糸12を通す。ユーザはさらに上糸12を供給方向に送り出す。上糸12は、副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75との間に配置される。この状態で、電源が投入される。S11の処理が実行されることによって、挟持部103と後側支持部75との間に上糸12が挟持される。このため、例えばこの状態で、ユーザによって上糸12が供給方向にさらに送り出された場合、上糸12に第1張力が作用する。
CPU601は、主糸調子器26の回転皿82が回転したことを、糸送りセンサ19を介して検出したか判定する(S13)。CPU601は、回転皿82の回転が検出されていないと判定された場合(S13:NO)、処理をS13に戻す。一方、CPU601は、回転皿82の回転が検出されたと判定された場合(S13:YES)、処理をS15に進める。CPU601は、回転皿82の回転量を、糸送りセンサ19を介して特定する。CPU601は、特定された回転量を、RAM603に記憶する(S15)。CPU601は、張力制御処理(図11参照)を実行する(S17)。
例えばユーザは、副糸調子器27を経由した上糸12を、供給方向に送り出しながら主糸調子器26の回転皿82に巻回する。上糸12が回転皿82に巻回される過程で、回転皿82は回転する。この場合、回転皿82の回転が糸送りセンサ19によって検出される(S13:YES)。つまり、上糸12の供給方向への移動が、回転皿82の回転によって検出されることになる。回転皿82の回転量が糸送りセンサ19を介して特定され、RAM603に記憶される(S15)。
図11を参照し、張力制御処理について説明する。CPU601は、S15(図10参照)の処理によってRAM603に記憶された回転量に基づき、メイン処理が開始されてからの上糸12の供給方向への移動量(以下、「糸送り量」という。)の総量を算出する(S41)。CPU601は、算出された糸送り量の総量が第2所定量以上か判定する(S43)。CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量よりも小さいと判定した場合(S43:NO)、処理をS51に進める。CPU601は、ラック部材45を継続して基準位置P(図2参照)に配置させ、副糸調子器27を第1状態(図3参照)のまま維持する(S51)。CPU601は張力制御処理を終了させ、処理をメイン処理(図10参照)に戻す。一方、CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量以上と判定された場合(S43:YES)、処理をS45に進める。
なお、第2所定量として例えば、回転皿82が1回転したときの上糸12の移動量が設定される。この場合、副糸調子器27を経由した上糸12の回転皿82に対する1回転分の巻回が完了していない間、回転量は1回転よりも小さくなるので、糸送り量の総量は第2所定量よりも小さいと判定される(S43:NO)。一方、副糸調子器27を経由した上糸12の回転皿82に対する1回転分の巻回が完了した場合、回転量は1回転よりも大きくなるので、糸送り量の総量は第2所定量以上と判定される(S43:YES)。
CPU601は、S45の処理において、S41の処理によって算出された糸送り量の総量が第1所定量以上か判定する(S45)。第1所定量は、第2所定量よりも大きい値に設定される。CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量より小さい場合と判定された場合(S45:NO)、処理をS49に進める。CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を基準位置P(図2参照)から上側位置(図7参照)まで移動させる。副糸調子器27は第2状態(図8参照)となる(S49)。副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75とは互いに離隔し、間に隙間が形成される。CPU601は張力制御処理を終了させ、処理をメイン処理(図10参照)に戻す。一方、CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量以上と判定された場合(S45:YES)、処理をS47に進める。
例えばユーザによって、回転皿82に上糸12が1回転分巻回された後、副糸調子器27が第2状態とされた状態で上糸12が供給方向にさらに送り出された場合、第1張力よりも小さい第2張力が上糸12に作用する。第2張力は略0であるので、ユーザは上糸12を供給方向に非常に軽い力で送り出すことができるようになる。又、第1所定量として例えば、回転皿82に上糸12が巻回された状態から、副糸調子器28、天秤16、及び、凹部152のガイド孔153まで上糸12が供給方向に移動されたときの上糸12の移動量に設定される。この場合、回転皿82に上糸12が巻回された後、ガイド孔153まで上糸12が移動されるまでの間、糸送り量の総量は第1所定量よりも小さいと判定され(S45:NO)、副糸調子器27は第2状態とされる(S49)。このため、例えばユーザがガイド孔153まで上糸12を移動させるときに必要となる力(第2張力)は、ユーザが回転皿82に上糸12を1回転分巻回するまでの間に必要となる力(第1張力)よりも小さくなる。一方、ガイド孔153まで上糸12が供給方向に移動された後、糸送り量の総量は、第1所定量以上と判定される(S45:YES)。
CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量以上と判定された場合(S45:YES)、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を上側位置(図7参照)から第1中間位置まで移動させる。副糸調子器27は第4状態となる(S47)。この場合、副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75との間の隙間は、第2状態の場合と比べて小さくなる。CPU601は張力制御処理を終了させ、処理をメイン処理(図10参照)に戻す。
例えばユーザによって、凹部152のガイド孔153まで上糸12が移動された後、上糸12が供給方向にさらに送り出された場合、上糸12には、第2張力よりも大きく、且つ、第1張力及び第3張力よりも小さい第4張力が作用する。このため、例えばユーザによって、後述にて糸通し処理を実行するために必要な長さ分の上糸12がガイド孔153から供給方向に送り出されるときに必要となる力(第4張力)は、ユーザによって凹部152のガイド孔153まで上糸12が移動されるときに必要となる力(第2張力)よりも大きくなる。このため、ユーザが上糸12を糸掛部材62等に順々に引っ掛ける場合、上糸12が供給方向に余分に送り出されることが抑制される。
図10に示すように、CPU601は、張力制御処理(S17)の終了後、糸通しキー194の押下が検出されたか判定する(S19)。CPU601は、糸通しキー194の押下が検出されていないと判定された場合(S19:NO)、処理をS13に戻す。一方、CPU601は、糸通しキー194の押下が検出されたと判定された場合(S19:YES)、処理をS21に進める。CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を基準位置P(図2参照)まで移動させる。上述のように、本実施形態では、ミシン1による縫製が停止された状態における副糸調子器27の状態、すなわち第1状態における第1張力と、ミシン1による縫製が行われる際の副糸調子器27の状態、すなわち第3状態における第3張力とは同一の大きさを示す。そのため、以下、糸通しキー194が押下された後の状態において、第1状態を第3状態と言い換え、第1張力を第3張力と言い換える。副糸調子器27は第3状態(図3参照)となる(S21)。
CPU601は、糸通し処理を次のようにして実行する(S23)。CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を基準位置Pから下側位置(図5、図6参照)まで移動させる。糸通しフック61は、縫針8の針孔8A(図4参照)を挿通する。なお、ラック部材45が下側位置に配置された場合も、副糸調子器27は第3状態で維持される。
ユーザは、凹部152内のガイド孔153から送り出された状態の上糸12を、糸掛部材62、糸通しフック61、糸掛部材63、及び糸保持板68の下端部に順々に引っ掛ける。ユーザは、上糸12を糸保持部材18の挟持部で保持させ、刃部(図示略)で切断する。なお、副糸調子器27は第3状態であるので、上糸12が供給方向に送り出される場合、上糸12には第3張力が作用する。第3張力は、第2張力及び第4張力よりも大きい。
ユーザは糸通しキー194を再度押下する。糸通しモータ504は駆動される。ラック部材45は、下側位置から、下側位置と基準位置Pとの間の位置(以下、「第2中間位置」という。)まで移動する。糸通しフック61は後方に移動する。針孔8Aと糸通しフック61との間に糸ループが形成される。糸引き部材(図示略)によって糸ループが解消される。上糸12が針孔8Aに通された状態になる。糸通しモータ504は駆動され、ラック部材45は第2中間位置から基準位置P(図2参照)まで移動する。糸通し処理は終了される。なお、糸通し処理の間、副糸調子器27は第3状態(図3参照)で維持される。
CPU601は、動作モードを示すフラグ情報をEEPROM604から読み出す。CPU601は、読み出されたフラグ情報に基づいて、動作モードが刺繍縫製モード及びフリーモーションモードの何れであるか判定する(S25)。CPU601は、動作モードが刺繍縫製モードであると判定された場合(S25:YES)、処理をS27に進める。CPU601は、ラック部材45を継続して基準位置P(図2参照)に配置させる。副糸調子器27は、第3状態(図3参照)で維持される(S27)。例えばこの状態で、上糸12が供給方向に送り出される場合、上糸12に第3張力が作用する。
CPU601は、ユーザによる操作パネル9の操作によって選択された刺繍模様を取得する(S28)。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されたか判定する(S29)。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されていないと判定された場合(S29:NO)、処理をS29に戻す。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されたと判定された場合(S29:YES)、処理をS37に進める。CPU601は、駆動回路501Aに制御信号を出力することによって、ミシンモータ501を駆動し、主軸、針棒6、天秤16、及び、回転釜を駆動させる。これによって、刺繍縫製モードでの縫製が開始され、S28の処理によって取得された刺繍模様の縫製が実行される(S37)。なお、縫製が実行されている間、副糸調子器27は第3状態で維持され、上糸12に第3張力が継続して作用する。CPU601はメイン処理を終了させる。
一方、CPU601は、動作モードがフリーモーションモードであると判定された場合(S25:NO)、処理をS31に進める。CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を基準位置P(図2参照)から上側位置(図7参照)まで移動させる。副糸調子器27は、第3状態(図3参照)から第2状態(図8参照)に変化する(S31)。例えばこの状態で、上糸12が供給方向に送り出された場合、上糸12に第2張力が作用する。
CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されたか判定する(S33)。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されていないと判定された場合(S33:NO)、処理をS33に戻す。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出されたと判定された場合(S33:YES)、処理をS35に進める。CPU601は、駆動回路504Aに制御信号を出力することによって、糸通しモータ504を駆動し、ラック部材45を上側位置(図7参照)から基準位置P(図2参照)まで移動させる。副糸調子器27は、第2状態(図8参照)から第3状態(図3参照)に変化する(S35)。例えばこの状態で、上糸12が供給方向に送り出される場合、上糸12に第3張力が作用する。CPU601は、処理をS37に進める。CPU601は、駆動回路501Aに制御信号を出力することによって、ミシンモータ501を駆動し、主軸、針棒6、天秤16、及び、回転釜を駆動させる。これによって、フリーモーションモードでの縫製が開始される(S37)。
CPU601は、S37で開始された縫製が完了した場合、ユーザによる操作パネル9の操作により、他の刺繍模様の縫製を行う指示が入力されたかを判断する(S39)。CPU601は、他の刺繍模様の縫製を行う指示が入力されたと判断された場合(S39:YES)、処理をS25に進める。CPU601は、他の刺繍模様の縫製を行う指示が入力されていないと判断された場合(S39:NO)、メイン処理を終了させる。
<本実施形態の主たる作用、効果>
以上説明したように、ミシン1のCPU601は、停止状態において上糸12の移動が検出される前の間、上糸12に作用する張力を第1張力とする(S11、S51)。CPU601は、上糸12に作用する張力を第3張力とした状態(S27、S35)で、縫製を実行する(S37)。CPU601は、停止状態において上糸12の移動が検出された場合(S13:YES)、上糸12に作用する張力を、第1張力及び第3張力よりも小さい第2張力、又は第4張力とする(S47、S49)。
このためCPU601は、例えばユーザによって回転皿82に上糸12が1回転分巻回されてから、副糸調子器28、天秤16、及び、凹部152のガイド孔153まで上糸12が供給方向に順番に移動される過程の張力を、縫製の停止時において上糸12の移動が検出されない間、及び、縫製が実行されている間よりも小さくできる。従って、ユーザは、第1張力及び第3張力が上糸12に作用する状態と比べて、上糸12を弱い力(第2張力、第4張力)で供給方向に移動させることができる。このため、ミシン1は、ユーザが上糸12をガイド孔153まで移動させて糸通し動作を開始させるまでの操作を、容易に実行させることができる。
糸通しキー194の押下が検出された(S19:YES)時点で刺繍縫製モードが選択されている場合(S25:YES)、糸通し動作(S23)後、縫製が続けて実行される可能性が高い。従って、CPU601は、糸通し動作後、上糸12に作用する張力を第3張力とし(S27)、縫製を直ぐに開始できる状態とする。これによって、ミシン1は、例えば縫製を開始させるためにS/Sキー193が押下された場合(S29:YES)、刺繍縫製モードでの縫製をスムーズに開始させることができる。
一方、糸通しキー194の押下が検出された(S19:YES)時点でフリーモーションモードが選択されている場合(S25:NO)、糸通し動作(S23)後、縫製が続けて実行される可能性が低くなる。従って、CPU601は、糸通し動作後、上糸12に作用する張力を一旦第2張力とする(S31)。これによって、ミシン1は、糸通し動作の後もユーザによる上糸12の移動操作が容易な状態を維持できる。又、CPU601は、この状態で縫製を開始させるためにS/Sキー193が押下された場合(S29:YES)、上糸12に作用する張力を第3張力に戻した後、フリーモーションモードでの縫製を開始させることができる。
ミシン1は、上側位置と下側位置との間で移動可能なラック部材45を有する。ラック部材45が上側位置に移動した場合(図7参照)、副糸調子器27は第2状態となる(S31、S49)。CPU601は、ラック部材45を上側位置に移動させることによって、上糸12に第2張力を作用させる。一方、ラック部材45が下側位置に移動した場合(図5参照)、副糸調子器27は第3状態となる(S21)。CPU601は、ラック部材45を下側位置に移動させることによって、上糸12に第3張力を作用させた状態で糸通し機構120によって糸通し動作を実行させる。
以上のように、ミシン1は、同一の糸通しモータ504を用いてラック部材45を上下方向に移動させることによって、糸通し機構120による糸通し動作と、副糸調子器27によって上糸12に第3張力を作用させる動作とを連動させて実行できる。又、糸通し機構120による糸通し動作が実行される状態と、副糸調子器27によって上糸12に第2張力が作用される状態とは重複しないので、糸通し機構120及び副糸調子器27を夫々のタイミングで動作させることができる。更に、糸通し機構120による糸通し動作が実行される場合、副糸調子器27によって上糸12に第3張力が常に作用し、第2張力は作用しない。このため、ミシン1は、糸通し機構120による糸通し動作時において上糸12に張力を適切に作用させることができるので、糸通し動作を適切に実行できる。
CPU601は、縫製が停止している間において上糸12の移動が検出された場合(S13:YES)、糸送り量の総量と第2所定量とを比較する(S43)。CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量となるまで(S43:NO)、上糸12の張力を、相対的に大きい第1張力とする(S51)。CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量以上となった後(S43:YES)、上糸12の張力を、相対的に小さい第2張力とする(S49)。このため、ミシン1は、回転皿82に上糸12が巻回されるまでの間、上糸12に第1張力が作用させることができる。このため、ユーザは、回転皿82に上糸12を巻回する操作を容易に実行できる。
CPU601は、縫製が停止している間において上糸12の移動が検出された場合(S13:YES)、糸送り量の総量と第1所定量とを比較する(S45)。CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量となるまで(S45:NO)、上糸12の張力を、相対的に小さい第2張力とする(S49)。このため、ミシン1は、回転皿82に上糸12が巻回された状態から、副糸調子器28、天秤16、及び、凹部152のガイド孔153まで上糸12を供給方向に順番に移動させるときの操作を、ユーザに容易に実行させることができる。又、CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量以上となった後(S45:YES)、上糸12の張力を、相対的に大きい第4張力とする(S47)。このため、ユーザは、糸通し動作を開始させる前に糸掛部材62、糸通しフック61、糸掛部材63、及び糸保持板68の下端部に順々に上糸12を引っ掛ける操作を、上糸12に適度に張力が作用した状態で実行できる。従って、ユーザは、上記の操作を容易に実行できる。
副糸調子器27は、挟持部103と後側支持部75とを有する。副糸調子器27が第1状態及び第3状態の場合、挟持部103と後側支持部75とは、上糸12が間に介在しない場合において互いに接触する。一方、副糸調子器27が第2状態の場合、挟持部103と後側支持部75とは、上糸12が間に介在しない場合において互いに離隔する。このように、ミシン1は、挟持部103と後側支持部75とが互いに接触した状態と離隔した状態とに切り替えることによって、上糸12に作用する張力を、第1張力又は第3張力と第2張力とに容易に切り替えることができる。又、ミシン1は、挟持部103と後側支持部75との離隔の程度を調整することによって、上糸12に作用する張力を容易に調節できる。
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記において、第1状態及び第3状態は、副糸調子器27における同一の状態を示した。このため、副糸調子器27が第1状態のときに上糸12に作用する第1張力と、副糸調子器27が第3状態のときに上糸12に作用する第3張力とは同一であった。これに対し、副糸調子器27における第1状態及び第3状態は相違してもよい。第1張力と第3張力とは、第2張力よりも大きいという条件を満たす範囲で相違してもよい。又、上記において、副糸調子器27が第2状態のときに上糸12に作用する第2張力を、第3張力よりも小さくした。これに対し、第2張力が第3張力と同一となるように、副糸調子器27の第2状態が調整されてもよい。
副糸調子器27が第2状態の場合、挟持部103と後側支持部75とは互いに離隔し、上糸12に作用する第2張力は略「0」とされた。これに対し、副糸調子器27が第2状態の場合、挟持部103と後側支持部75とは、上糸12が間に介在しない状態で接触してもよい。第2張力は、略「0」よりも大きくてもよい。上記において、CPU601は、糸通しキー194の押下が検出された場合(S19:YES)、ラック部材45を基準位置Pまで移動させ、副糸調子器27を第3状態とした(S21)。これに対し、CPU601は、糸通しキー194の押下以外の条件を充足する場合にも、副糸調子器27を第3状態としてもよい。例えば、CPU601は、張力制御処理(S17)が実行されてから所定時間の経過後、副糸調子器27を第3状態としてもよい。
CPU601は、動作モードが刺繍縫製モードであると判定された場合(S25:YES)、副糸調子器27を第3状態のまま維持した(S27)。これに対し、CPU601は、動作モードが刺繍縫製モードであると判定された場合、副糸調子器27を第3状態から第2状態に一旦変化させ、上糸12に第2張力を作用させてもよい。CPU601は、S/Sキー193の押下が検出された場合(S29:YES)、副糸調子器27を第2状態から第3状態に戻し、上糸12に第3張力を作用させてもよい。
CPU601は、動作モードがフリーモーションモードであると判定された場合(S25:NO)、副糸調子器27を第3状態から第2状態に一旦変化させた(S31)。これに対し、CPU601は、動作モードがフリーモーションモードであると判定された場合、副糸調子器27を第3状態のまま維持し、上糸12に第3張力を作用させてもよい。ミシン1は、刺繍縫製モード又はフリーモーションモードの何れかの動作モードによって動作可能であった。これに対し、ミシン1は、刺繍縫製モード又はフリーモーションモードの何れかの動作モードでのみ動作可能であってもよい。
ミシン1は、基準位置Pよりも上側の上側位置にラック部材45を移動することによって、副糸調子器27の状態を第2状態とし、第1中間位置にラック部材45を移動することによって、副糸調子器27の状態を第4状態とした。又、ミシン1は、基準位置P、及び、基準位置Pよりも下側(下側位置及び第2中間位置を含む。)にラック部材45を移動することによって、副糸調子器27の状態を第1状態又は第3状態とした。ミシン1は、ラック部材45と異なる部材によって、副糸調子器27の状態を切り替えてもよい。例えばミシン1は、糸通し機構120と副糸調子器27とを別々のモータによって駆動してもよい。
CPU601は、糸送りセンサ19によって回転皿82の回転量を検出し(S13)、この回転量に基づいて、糸送り量の総量を算出した(S41)。CPU601は、糸送り量の総量を別の方法で特定してもよい。例えば、ミシン1は、糸駒37の回転量を検出することが可能なセンサを備えていてもよい。CPU601は、このセンサの回転量に基づいて、糸送り量の総量を算出してもよい。CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量以上且つ第1所定量よりも小さい場合(S43:YES、S45:NO)、副糸調子器27を第2状態とした。CPU601は、糸送り量の総量が第1所定量以上の場合(S43:YES、S45:YES)、副糸調子器27を第4状態とした。これに対し、CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量以上の場合、副糸調子器27を常に第2状態とすることによって第2張力を上糸12に作用させてもよい。
CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量よりも小さい場合(S43:NO)、副糸調子器27を第1状態とし、上糸12に第1張力を作用させた。これに対し、CPU601は、糸送り量の総量が第2所定量よりも小さい場合にも、副糸調子器27を第2状態としてもよい。
ミシン1は、副糸調子器27の挟持部103と後側支持部75との間の隙間を調整することによって、上糸12が送り方向に送り出されるときに作用する張力を調整した。ミシン1は、上記と別の方法で、上糸12に作用する張力を調整してもよい。例えば、ミシン1は、糸駒37、又は、回転皿82の回転トルクを調整することによって、上糸12に作用する張力を調整してもよい。
<その他>
副糸調子器27は、本発明の「糸調子機構」の一例である。ミシンモータ501及び針棒駆動機構は、本発明の「縫製部」の一例である。CPU601は本発明の「制御部」の一例である。糸通しキー194は、本発明の「受付部」の一例である。糸通しキー194を押下する操作は、本発明の「針孔に上糸を通す指示」の一例である。ラック部材45は、本発明の「移動部材」の一例である。上側位置は、本発明の「第1位置」の一例である。下側位置は、本発明の「第2位置」の一例である。副糸調子器27の挟持部103及び後側支持部75は、本発明の「挟持部」の一例である。
1 :ミシン
8 :縫針
8A :針孔
12 :上糸
19 :糸送りセンサ
25 :糸調子機構
26 :主糸調子器
27 :副糸調子器
28 :副糸調子器
61 :糸通しフック
120 :糸通し機構
130 :解放機構
194 :糸通しキー
601 :CPU

Claims (7)

  1. 上糸に張力を作用させる糸調子機構、前記上糸の移動を検出する糸送りセンサ、縫針を上下動させることによって縫製を実行する縫製部、及び、制御部を備えたミシンであって、
    前記制御部は、
    前記縫製部による縫製が停止されている停止状態において、前記糸調子機構が、前記上糸に第1張力が作用する第1状態である場合、前記糸送りセンサによって前記上糸の移動が検出されたことを条件として、前記糸調子機構を第2状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を、前記第1張力よりも小さい第2張力とし、
    前記糸調子機構を第3状態とすることによって、前記縫製部による縫製が実行されている縫製状態において前記上糸に作用する張力を、前記第2張力以上の第3張力とすることを特徴とするミシン。
  2. 糸通しフックによって前記縫針の針孔に前記上糸を通す糸通し機構と、
    前記糸通し機構によって前記針孔に前記上糸を通す指示を受け付ける受付部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記停止状態において、前記受付部によって前記指示が受け付けられた場合、前記糸調子機構を前記第3状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を前記第3張力とすることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 動作モードとして、上下動する前記縫針に対して、加工布を保持する刺繍枠を自動で移動させながら刺繍縫製を実行する第1モードと、ユーザが手動で前記加工布を移動させながら刺繍縫製を行う第2モードとを選択可能であり、
    前記制御部は、
    前記受付部によって前記指示が受け付けられた時の前記動作モードが前記第1モードである場合、前記糸調子機構を前記第3状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を前記第3張力とし、
    前記受付部によって前記指示が受け付けられた時の前記動作モードが前記第2モードである場合、前記糸調子機構を前記第2状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を前記第2張力とすることを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. それぞれ異なる第1位置と第2位置との間で移動可能な部材であって、
    前記第1位置に移動した場合、前記糸調子機構を前記第2状態とし、
    前記第2位置に移動した場合、前記糸調子機構を前記第3状態とし、且つ、前記糸通し機構を駆動する移動部材を更に備え、
    前記制御部は、
    前記移動部材を前記第1位置に移動させることによって、前記上糸に前記第2張力を作用させ、
    前記移動部材を前記第2位置に移動させることによって、前記上糸に前記第3張力を作用させ、且つ、前記糸通し機構を駆動することを特徴とする請求項2又は3に記載のミシン。
  5. 前記糸送りセンサは、前記上糸の移動量を検出し、
    前記制御部は、
    前記停止状態において、前記糸送りセンサによって前記上糸の移動が検出された場合、
    前記移動量の総量が第1所定量よりも小さい場合、前記糸調子機構を前記第2状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を前記第2張力とし、
    前記移動量の総量が前記第1所定量以上の場合、前記糸調子機構を第4状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を、前記第2張力よりも大きく且つ前記第3張力よりも小さい第4張力とすることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のミシン。
  6. 前記制御部は、
    前記停止状態において、前記糸送りセンサによって前記上糸の移動が検出された場合、前記移動量の総量が、前記第1所定量より小さい第2所定量よりも小さい場合、前記糸調子機構を前記第1状態とすることによって、前記上糸に作用する張力を前記第1張力とすることを特徴とする請求項5に記載のミシン。
  7. 前記糸調子機構は、
    前記上糸を挟持する2つの挟持部を有し、
    前記第1状態、及び、前記第3状態において、前記2つの挟持部は互いに接触し、
    前記第2状態において、前記2つの挟持部は互いに離隔することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のミシン。
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