JP2017112895A - キノコの菌床栽培方法及びこれに用いる菌床栽培用袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種菌接種後、子実体の収穫までの間に行う、菌床をいれた袋又は容器の開封、密封などの繰り返し作業、さらに発芽などに際して行う袋破り、袋カットなどの作業を低減、削減できる菌床栽培方法、及び当該栽培方法に用いる菌床栽培用袋を提供する。【解決手段】 キノコの種菌が接種された固体培地を、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布で被覆する工程を含む。前記被覆工程後、子実体の収穫までの間に行う前記固体培地への水分供給は、被覆しているポリビニルアルコールから形成される不織布の外側からの給水により行うことができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、食用キノコ、特にシイタケに好適なキノコの菌床栽培方法に関し、菌床を袋又は容器内に保管して行う場合のキノコ菌床栽培の労力、手間の軽減を図ることができるキノコの栽培方法、及び、それに用いる菌床栽培用袋に関するものである。
近年、食用キノコの人工栽培が急速に拡大している。食用キノコの栽培は、従来は、ナラやクヌギなどの原木に種菌を接種して行う原木栽培が主流であったが、近年は、種菌の接種から収穫までの期間を短縮でき、屋内で栽培できる菌床栽培が広く行われるようになっている。
菌床栽培は、通常、瓶やプラスチック製の容器又はプラスチック製の袋に、おが屑や米ぬかなどの栄養源を充填して人工培地を形成し、これに種菌を接種し、空調設備などを備えた施設内で菌を蔓延させてキノコを発生させる方法である。
瓶栽培は、えのき茸や平茸のようなキノコには適用できるものの、なめこ、まいたけ、シイタケ等では瓶の口が狭く、瓶の側壁からはキノコを採取することができないため、これらのキノコについては、一般に利用されていない。まいたけ、なめこ、シイタケ等の人工栽培では、ポリエチレン又はポリプロピレンの袋又は容器内に培地を充填し、キノコ種菌を接種した培養袋による栽培、あるいは所定形状に成形した固体培地を袋又は容器にいれて栽培する方法が一般的である。培地全体に菌糸体を蔓延させた菌床は、所定の環境条件に保持されたキノコ栽培室に保管して、キノコを生育、栽培している。
培養に用いる袋又は容器は、種菌の接種後、菌が蔓延するまでの間、雑菌の侵入を防止する必要があることから、通常、ヒートシール又は蓋体などにより開口部を閉じて用いる。一方、菌の生育には空気が必要であるため、袋又は容器の場合には、通気用の孔を設けるなど、空気の通過を確保するとともに、雑菌や害虫の侵入を防止する必要がある。
例えば、特許文献1では、培養工程途中で、培養袋の一部を切り取り、または切れ目を入れることにより、袋体内部を外気と強制的に連通させることで、培養を促進することが提案されている。
また、特許文献2では、フィルム相互の密着により、培養機内の空気の循環が不足すると、キノコの菌糸体が不良になると考え、プラスチックフィルムの表面に凹凸模様を設けることで、フィルム同士が密着することにより生じる空気流路の遮断を防止することを提案している。
広範囲にわたって通気性を有し、しかも雑菌の侵入を防止することができ、機械的強度を確保できるキノコ栽培用袋体としては、例えば、特許文献3には、合成樹脂製フィルムの表面に極微細な有底凹部を複数形成し、該合成樹脂フィルムを袋体にして上記有底凹部の底部によって通気性を持たせた栽培用袋が提案されている。
さらに、密封した袋又は容器については、通気性の確保だけでなく、発芽した後、子実体が十分に生育できるようにする必要がある。
例えば、特許文献4には、シイタケの菌床及び菌床栽培方法として、ポリエチレン製の円筒薄袋を菌床袋とし、培地を封入し、シイタケ菌を接種して菌床とする。培地全体に菌を蔓延させた後、袋に通気孔を設けて培地全体に菌糸を熟成させ、発芽が観察されたら、シイタケの新芽が貫通可能な孔を設ける栽培方法が提案されている。
また、特許文献5には、培養済培地の上端面に付着した菌床をヘラ等を用いて欠き取る、いわゆる菌欠き、キノコの生育に際して生育状態の良いキノコの子実体を残して周囲の生育状態の悪いキノコの子実体を取り除く、所謂芽欠き作業の手間を省くことができる栽培として、培養済培地の周囲を覆う容器又は袋の周囲壁の複数箇所にV字状又はU字状の切れ目を入れ、かかる切れ目から、キノコの子実体を発芽させて、キノコの子実体により切れ目片を外方に押し上げさせて、キノコの子実体を容器又は袋の外方へ生育させる栽培方法が提案されている。
特開2005−40018号公報 特開平6−141678号公報 特開平9−51723号公報 特開2004−8194号公報 特開2004−154036号公報
このようにキノコの菌床栽培、特に袋体を用いる菌床栽培において、キノコの培養、育成効率を上げるための袋体、栽培方法について種々の提案がされている。
培養の効率を上げるためには、通気性と密封性をバランスよく調整することが必要である。また、子実体の生育には、水分が必要であることから、密封状態と菌床の湿潤状態とをバランスすることも重要である。
従来より一般に用いられているポリエチレンやポリプロピレン製の袋では、開口部をヒートシールすることにより、高い気密性、密封性を実現でき、雑菌や害虫の侵入防止に有用であるが、上記特許文献で提案されているように、通気、給水のための工夫が必要である。さらには発芽時に、袋破りや芽出しのための袋カットなどの作業が必要となる。
キノコの人工栽培のコスト低減、効率的栽培のためには、培養、育成の間の作業、労力の削減が求められる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種菌接種後、子実体の収穫までの間に行う、袋の開封、密封などの繰り返し作業、さらに発芽などに際して行う袋破り、袋カットなどの作業を低減、削減できる菌床栽培方法、及び当該栽培方法に用いるキノコ菌床栽培用袋を提供することにある。
本発明は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、キノコ類をポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布で被覆することにより、被覆されたままキノコ類を生育できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、キノコの種菌が接種された固体培地を、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、ポリビニルアルコール系樹脂をPVA系樹脂という。)から形成される不織布で被覆する工程を含むキノコの菌床栽培方法に関するものである。
また、本発明は、PVA系樹脂から形成される不織布で構成されている菌床栽培用袋も提供するものである。
本発明の栽培方法によれば、容器や袋の開封、密封、袋カットなどの作業を行う必要がなく、しかも固体培地を被覆した状態を保持できるので、培養、育成の期間、害虫、雑菌の混入を有効に防止することができる。
本発明の菌床栽培方法を説明するための図である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明のキノコの菌床栽培方法は、キノコの種菌が接種された固体培地を、PVA系樹脂から形成される不織布で被覆する工程を含む。前記被覆工程後、子実体の収穫までの間に行う前記固体培地への水分供給は、被覆しているPVA系樹脂から形成される不織布の外側から供給することにより行う栽培方法である。
本発明のPVA系樹脂から形成される不織布は、PVA系樹脂繊維から形成されるものであり、まずは、PVA系樹脂繊維に用いられるPVA系樹脂について説明する。
〔PVA系樹脂〕
本発明で用いられるPVA系樹脂は、通常ビニルアルコール単位と未ケン化部分の酢酸ビニル単位、更には任意の共重合成分を有するものである。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、70モル%以上であり、好ましくは80〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%であり、更に好ましくは87〜90モル%である。かかるケン化度が低すぎると、透湿性が高くなりすぎる傾向がある。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常は200〜4000、好ましくは250〜2000、特に好ましくは280〜1000である。かかる平均重合度が低すぎると、強度が不充分となる傾向があり、逆に高すぎると、繊維状への成形が困難となる傾向がある。
本発明で用いられるPVA系樹脂としては、未変性PVAでも変性PVA系樹脂でもよく、変性PVA系樹脂としては、例えば、共重合変性PVAと後変性PVAとがある。
その変性量としては、変性基の性質により異なるが、通常1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは1〜10モル%である。
上記の共重合変性PVAは、酢酸ビニルと、酢酸ビニルと共重合可能な他の不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化することにより製造することができる。
上記他の不飽和単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
また、共重合変性PVAとして、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂を用いることもできる。一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。
次に、前記の後変性PVAは、未変性のPVAを後変性することにより製造することができる。かかる後変性の方法としては、未変性のPVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、リン酸エステル化する方法等が挙げられる。
上記の中でも、保湿性、成形性の点から、側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂が好ましい。一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。
側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂としては、例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすい点で、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂が好ましい。
本発明で用いられる側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、70モル%以上であり、好ましくは80〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%であり、更に好ましくは87〜90モル%である。かかるケン化度が低すぎると透湿性が高くなりすぎる傾向がある。
また本発明におけるケン化度とは、主鎖の水酸基及び側鎖1,2ジオール構造の水酸基の割合である。側鎖の部分は通常、ケン化度は100モル%である。
また、側鎖に一級水酸基を有する構造の含有量(変性度)としては、通常0.1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。
かかる含有量が小さすぎると成形加工性が低下する傾向があり、高すぎるとPVA系樹脂自体の製造が困難となる傾向がある。
本発明の側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂としては、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂(以下、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂ということがある)を用いることが特に好ましい。
以下、かかる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂について詳細に説明する。
本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂は、例えば、下記一般式(1)で表される構造単位を有するものである。
Figure 2017112895
(式中、R1,R2,およびR3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4,R5,及びR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
前記炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよいが、R1〜R6のすべてが水素原子であることが好ましい。
前記結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。)が挙げられる。熱安定性の点や高温下/酸性条件下での構造安定性の点から、単結合が最も好ましい。
したがって、上記一般式(1)で表わされる1,2ジオール構造単位のうち、最も好ましい構造は、R1〜R6のすべてが水素原子で、Xが単結合である構造単位である。
また、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂は、公知の方法で製造することができ、例えば、特開2013−227530の段落[0030]〜[0039]に記載の方法で製造される。
次に、本発明のPVA系樹脂から形成される不織布の材料となるPVA系樹脂繊維の製造方法について説明する。
〔PVA系樹脂繊維〕
本発明のPVA系樹脂繊維は通常、溶融紡糸にて製造される。かかる溶融紡糸の方法としては、特に限定されないが、公知の溶融紡糸機を用い、単一ノズルまたは複合ノズルから溶融紡糸される。紡糸温度は、水溶性PVAが溶融し、かつ変質しない温度で実施され、通常は120〜230℃、さらには140〜225℃、特には150〜220℃の範囲で行われる。このような紡糸工程の後、必要に応じて延伸され、その際の延伸温度は80〜190℃が好ましく、延伸倍率2倍以上で処理すると、繊維強度が向上するため好ましい。さらに、必要に応じて、捲縮付与装置で捲縮を与え、巻き取られて本発明で用いられるPVA系樹脂繊維が得られる。
このように、PVA系樹脂を含有する形成材料を用いて繊維状に成形した場合の繊維の繊度は、成形方法および用途等に応じて適宜に設定されるが、例えば、好ましくは0.005〜50000デニール、より好ましくは0.01〜500デニール、特に好ましくは0.05〜5デニールの範囲に設定する。このような範囲に設定することにより、繊維強度と柔軟性、水溶性が得られ、特に不織布としたときの強度と低温での良好な水溶性が両立するという効果を奏するようになる。
次に本発明のPVA系樹脂から形成される不織布(以下、PVA系樹脂製不織布ということがある)について説明する。
〔PVA系樹脂から形成される不織布〕
上記不織布の製法としては、例えば、長繊維不織布の作製に適したスパンボンド法やメルトブローン法、あるいは上述の繊維を所定の長さに切断し、これをカード法、エアレイ法等の乾式法によってウェブ化して短繊維不織布を得る方法等があげられるが、原料PVAから直接製造することができ、長繊維であるため強度に優れた不織布が得られることから、スパンボンド法が好ましく用いられる。
上記スパンボンド法とは、溶融押出機によりポリマーを溶融混練し、溶融したポリマー流を紡糸ヘッドに導いてノズル孔から吐出させ、この吐出糸条を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズル等の吸引装置を用いて、目的の繊度となるように高速気流で牽引した後、開繊しながら移動式の捕集面の上に堆積させてウェブを形成させ、このウェブを加熱等により部分圧着して巻き取ることによって長繊維不織布を得る方法である。
本発明のPVA系樹脂から形成される不織布の目付けおよび密度は、その用途に応じて適宜設定されるが、例えば、目付けは、好ましくは5〜200g/m2、特に10〜100g/m2、密度は0.03〜1g/cm3であることが好ましい。
次にキノコ類の栽培方法について詳細に説明する。
〔対象とするキノコ〕
本発明の菌床栽培方法は、培養袋を用いて菌床栽培できるキノコであれば適用可能であり、例えば、エノキタケ、平茸、シイタケ、なめこ、マイタケ、ぶなしめじなどの落葉分解菌、木材腐朽菌が挙げられる。これらのうち、瓶栽培が困難なキノコ、特にシイタケに有用である。
〔培地〕
培地基材としては、栽培するキノコの種類により異なるが、一般に、ブナ、コナラ、クヌギ、シイ、カシ、スギ、エゾマツなどのおがこ、チップ、腐食土壌、パルプ、紙、稲わら、麦わらなどが用いられる。培地は、上記培地基材に、米ぬか、ふすま、とうもろこし、おから、パン粉、堆肥、その他市販の栄養剤を配合して調製される。
これらの培地基材及び栄養剤を所定形状に固形化した固体培地として調製される。
固体培地の調製は、上記培地基材、栄養剤、及び水を所定割合で混合した混合物を、所定形状の容器に充填し、圧縮成形することにより作製することができる。
あるいは、上記培地基材、栄養剤、さらにバインダーを配合して、所定形状に成形することにより作製してもよい。バインダーとしては、ポリビニルアルコール、デンプン、水溶性セルロース等の水溶性または生分解性高分子を用いる。
床(固体培地)のサイズ、形状は、特に限定しないが、直径又は1辺10〜50cm、好ましくは10〜30cmで、高さ10〜100cm、好ましくは20〜50cmの略円柱状、立方体状、直方体状の固体培地が好ましく用いられる。
以上のようにして作製した培地は、オートクレーブ、紫外線殺菌灯等を用いて滅菌して用いられる。
〔栽培方法〕
(1)種菌の接種
滅菌済み培地に、種菌を接種する。
種菌の接種は、無菌室で、固化した培地表面または形成した接種孔に行う方法が一般的である。種菌を仕込んだ培地を、作製した固体培地表面に塗りつけるようにしてもよい。
(2)PVA系樹脂製不織布による固体培地の被覆
接種後、PVA系樹脂製不織布で固体培地を被覆する。
固体培地を被覆する方法は特に限定しない。PVA系樹脂製不織布で作製した袋体に、調製した固体培地をいれた後、開口部をヒートシール等して密封する方法;固体培地をPVA系樹脂製不織布で適宜包装し、PVA系樹脂製不織布の端縁を接着又はヒートシールして、密封包装する方法;2枚のPVA系樹脂製不織布で固形化培地を挟み、4周縁をヒートシールする方法などが挙げられる。いずれの方法も、開口部が残らない気密な被覆方法とすることができる。
図1(a)は、種菌が接種された固体培地1をPVA系樹脂製不織布で被覆した状態を示している。図1(a)の態様では、PVA系樹脂製不織布の4周縁をヒートシールすることで、栽培用袋2を形成している。図1(a)中、3はヒートシール部を示している。
(3)種菌の培養
固体培地を被覆した状態で、種菌を培養する。
培養は、空気の流通をよくした状態で、相対湿度60〜70%、温度5〜28℃で、30〜70日間程度、行う。この培養で、容器本体内の培地全体に菌糸が蔓延する。
菌糸体の成長に光は不要であるが、呼吸により発生する二酸化炭素の濃度が高くなると生育不良を起こすので、袋内と外気が通気できる状態にあることが好ましい。また、時間の経過とともに、菌床中の水分量が減少するため、適宜、水分を供給する必要がある。
本発明の栽培方法によれば、種菌が接種された固体培地1を栽培用袋内に封入した状態で、外部から霧吹き等で吹き付ける(図1(b))、あるいは固体培地に向けて、適宜散水、注水することにより水分を供給することができる。
本発明の菌床を覆っているPVA系樹脂製不織布は親水性であることから、外部から供給された水分を保持することができ、不織布で包まれた内部空間、固体培地を湿潤状態に保持することができる。したがって、培養期間中、水分供給のための開封、密封作業を繰り返す必要はなく、しかもクリーンルームなどの無菌室の環境でなくても、雑菌、害虫が菌床に侵入することを防止できる。
PVA系樹脂製不織布は、吸湿により強度が低下する性質を有しているが、本発明の栽培方法においては、培養途中で、散水、注水のための袋の開封作業等が必要ないため、強度が低下しても、開封、再度の密封に伴う負担がかからないので、強度の低下は不利な特性とならずに済む。
(4)発芽(子実体の発生)、育成
菌床に菌糸が蔓延した状態で、さらに菌床を熟成させて、発芽させる。子実体の発生、育成のために、菌を蔓延させた後、子実体の発生、生育に適した温湿度条件に変えてもよい。子実体の生育の間、菌床が乾燥しないように、適宜水分を供給する必要があるが、本発明の栽培方法では、培養期間と同様に、栽培用袋の外部から、霧吹き、散水、注水などにより水分を供給することができる。
従来、ポリエチレン製やポリプロピレン製の培養袋で密封性を確保していた栽培方法においては、除袋、あるいは培養袋の一部を切り取り又は切れ目をいれて、子実体を発生させる必要があった。この点、本発明の栽培方法では、キノコは、自らの成長の力(袋を押す力)で、破袋して、発芽することができる。図1(c)に示すように、子実体5は、PVA系樹脂製不織布栽培用袋2を突き破って発芽している。図中、6は発芽により袋が破れた部分を示している。本発明の栽培用袋を構成するPVA系樹脂製不織布は、高湿度下での保存の間に、吸湿により強度が低下するため、子実体は自らの力で芽出しし、さらにできた袋の開口部を押し広げて、成長することができる。要するに、本発明の栽培方法では、芽出しのための袋カット作業が不要となる。
子実体の発生は、キノコの種類にもよるが、シイタケの場合で5〜20日程度で発生し、さらに子実体の発生から2〜10日後に収穫可能となる。
以上のように、本発明の栽培方法によれば、水分供給にあたって、固体培地を封入している栽培用袋の開封作業等は不要であり、さらに発芽のための袋破り等も不要である。従って、種菌接種後に、PVA系樹脂製不織布で種菌接種した固形化培地(菌床)を被覆した菌床は、培養、育成に適した環境条件の施設内で、必要な水分供給をしながら、菌の培養、さらには子実体の生育を続けて行うことができるので、人工栽培に要する作業労力は大幅に軽減される。
そして、このように水分供給作業、発芽に伴う作業が軽減、削減されたにもかかわらず、害虫、雑菌の侵入を有効に防止できる密封性を確保しつつ、呼吸に必要な通気性を確保でき、さらにPVA系樹脂製不織布の親水性に基づき、湿潤状態の保持が容易である。
よって、本発明の栽培方法によれば、作業労力を大幅に軽減できて、しかも効率よくキノコを栽培することができる。
尚、上記説明においては、PVA系樹脂製不織布による固体培地の被覆工程(2)、種菌の培養(3)を行ったが、種菌が蔓延した培地をまず作製し、これをPVA系樹脂製不織布で被覆し、栽培してもよい。要するに、本発明の栽培方法は、種菌の接種後、発芽までの間の培養、栽培期間中のいずれかの時点で、PVA系樹脂製不織布で被覆する工程を含む方法である。
本発明のキノコの菌床栽培方法は、シイタケの栽培に好適である。
また、本発明は、キノコの菌床栽培にあたり、キノコの種菌が接種された固体培地を封入するための栽培用袋であって、PVA系樹脂から形成される不織布で構成されている菌床栽培用袋も包含する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
栽培例1:
(1)PVA系樹脂繊維から形成される不織布の作製
<側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂1の作製>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル400部、メタノール380部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン24部を仕込み、アセチルパーオキサイドを対仕込み酢酸ビニル0.058モル%投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、酢酸ビニル600部、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン36部を10時間等速滴下しながら重合を開始した。また、重合反応中にアセチルパーオキサイドを対酢酸ビニル0.021mol%を4回追加した。酢酸ビニルの重合率が95%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液を濃度55%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.6ミリモルとなる割合で水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂を作製した。
得られたPVA系樹脂(A)のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、89モル%であった。また、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、360であった。また、一般式(1)で表される構造単位の含有量は、1H−NMR(300MHz プロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、3モル%であった。
<PVA系樹脂組成物のペレットの作製>
上記で得られたPVA系樹脂96部と、グリセリンにエチレンオキシドを8モル%反応させた化合物(ユニオックスG−450 日本油脂(株)製)4部を、二軸押出機を用いて配合し、下記の条件にて樹脂温190℃で溶融押出ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットを以下のように評価した。
ペレット化条件
押出機 :単軸押出機(15mmφ L/D=60)
スクリューパターン=フルフライト CR=3.12
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D
=90/120/150/170/180/180/
190/190/190℃
スクリーンメッシュ:90/90
スクリューパターン:フルフライト
スクリュー回転数:200rpm
その他:真空ベント 冷却ベルト ペレタイザー
上記で得られたPVA系樹脂組成物ペレットのMFR(210℃、荷重2160g)は、44g/10minであった。
また、DSC(FirstRun:−30〜215℃(10℃/min昇温)、SecondRun:−30〜230℃(10℃/min昇温))にて融点を測定したところ、融点は173℃であった。
<PVA系樹脂製不織布の作製>
下記の条件にて、上記で得られたPVA系樹脂組成物ペレットを用いて、不織布を作製した。
単軸押出機:スクリュー径φ65mm、L/D=30
温度条件:C1/C2/C3/C4/C5/ダイ=190/210/210/210/210/210℃
フィルター:ノズルパックフィルター(200メッシュ+350メッシュ+60メッシュ+30メッシュ+20メッシュ)
ノズル:φ0.5mm、501ホール、千鳥配列
吐出量:0.72g/分・孔
熱ロール:表面に凹凸模様のあるエンボスロール(100℃)とフラットロール(100℃)とを用いて、線圧40kg/cmで熱圧着することにより、繊維を部分的に熱融着させ、PVA系樹脂製不織布を得た。
上記で得られた不織布の繊維径は、直径平均30μmであり、目付けが60g/m2、厚みが230μmであった。
(2)菌床
市販のシイタケの菌床(森産業株式会社製「もりのシイタケ農園」)を用いた。当該菌床は、円柱状の固体培地にシイタケ菌が接種され、培地に菌を蔓延させた状態にあり、菌床の乾燥を防止するためにポリエチレン製の袋に密封包装されている。
この菌床をポリエチレン製の袋から取り出し、上記で作製したPVA系樹脂製不織布で作製された菌床栽培用袋で新たに包み込こんだ。
(3)発芽及び生育
菌床を密封した状態で、20℃、湿度90%雰囲気下に静置し、袋の外側から1日1回、霧吹きして、加湿した。
菌接種から2日後、シイタケが、菌床栽培用袋を突き破って発芽した。その後、7日間、加湿しながら子実体を育成させ、シイタケを収穫することができた。
栽培例2:
栽培例1と同様の菌床を用いた。ポリエチレン製袋から取り出し、菌床表面を水にぬらした後、ポリエチレン製の袋に菌床をいれて、密封した。
栽培例1と同様に、1日3回、袋の外側から霧吹きにより加湿した。7日間経過しても、発芽は認められなかった。袋を破って固体培地を取り出したところ、固体培地は乾燥していた。
本発明のキノコの菌床栽培方法は、種菌接種後、収穫までの間に、袋を開封して行う注水、散水、さらには発芽のための袋破り、袋切りなどを行う必要がないので、キノコの菌床栽培における労力の軽減を図ることができ、有用である。
1 固体培地
2 PVA系樹脂製不織布製栽培用袋
3 ヒートシール部
4 霧吹き
5 子実体
6 袋の破れた部分

Claims (7)

  1. キノコの種菌が接種された固体培地を、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布で被覆する工程を含むことを特徴とするキノコの菌床栽培方法。
  2. 前記被覆工程後、子実体の収穫までの間に行う前記固体培地への水分供給は、被覆しているポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布の外側から供給することにより行うことを特徴とする請求項1に記載のキノコの菌床栽培方法。
  3. 前記ポリビニルアルコール系樹脂が、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のキノコの菌床栽培方法。
  4. 前記ポリビニルアルコール系樹脂が、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のキノコの菌床栽培方法。
  5. 前記ポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布の厚みは、50〜1000μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のキノコの菌床栽培方法。
  6. 前記キノコは、シイタケであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のキノコの菌床栽培方法。
  7. キノコの菌床栽培にあたり、キノコの種菌が接種された固体培地を封入するための栽培用袋であって、ポリビニルアルコール系樹脂から形成される不織布で構成されていることを特徴とする菌床栽培用袋。
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