JP2017112290A - 積層型フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも有利に用いられ得る、扁平化が有利に可能ならしめられる積層型フィルムコンデンサを提供すること。【解決手段】積層型フィルムコンデンサ(10)において、積層型フィルムコンデンサ素子(12)を、メタリコン電極(14)を直交する方向の長さよりも、かかる方向に直交する方向の長さが長い、長手矩形厚板形状に構成すると共に、メタリコン電極(14)を、複数の主電極部(30)と、主電極部(30)よりも薄肉の薄肉電極部(32)及び/又は隙間の一つ以上のものから構成し、隣接する二つの主電極部(30、30)間に、一つの薄肉電極部(32)又は隙間を配置し、複数の主電極部(30)のそれぞれに、複数の端子(18)のうちの少なくとも一つを接合して、構成した。【選択図】図1
Description
本発明は、積層型フィルムコンデンサに係り、特に、効果的に扁平化が図られ得ると共に、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも有利に用いられ得る積層型フィルムコンデンサに関するものである。
従来から、車両や産業用機械等に組み込まれている電力変換装置(インバータ等)の電子回路上には、電圧の平滑化等を目的として、コンデンサが配置されている。そのようなコンデンサとして、巻回型や積層型のフィルムコンデンサが知られている。
それらのフィルムコンデンサは、例えば、絶縁性の樹脂フィルム等からなる誘電体膜と金属蒸着膜とが積層形成された積層フィルム(金属化フィルム)を用いて構成されるフィルムコンデンサ素子を備え、各メタリコン電極にそれぞれ接合された端子を介して、外部電源と電気的に接続されることとなる。具体的には、特開2011−061191号公報(特許文献1)や特開2011−181885号公報(特許文献2)等に示されるように、巻回型フィルムコンデンサを構成する巻回型フィルムコンデンサ素子は、誘電体膜と金属蒸着膜とが交互に位置するように積層フィルムが巻回されることにより構成される一方、積層型フィルムコンデンサを構成する積層型フィルムコンデンサ素子は、誘電体膜と金属蒸着膜とが交互に位置するように複数の積層フィルムが積層されることにより構成される。
ところで、近年では、各種機器の高性能化や小型化に伴い、フィルムコンデンサに対しては、より優れた性能(静電容量等)が求められていると共に、電子回路への配設の観点から求められる寸法や形状等に関する要求(以下、レイアウト上の要求という)が、より厳しくなってきている。かかる状況下、巻回型フィルムコンデンサは、形状自由度が低く、各種機器に応じた性能やレイアウト上の要求に柔軟に対応することが出来ないという問題を内在している。
そこで、本発明者らは、その外形形状を比較的自由に設定することが出来る積層型フィルムコンデンサ素子にあっては、目的とする性能を確保しつつ、誘電体膜及び金属蒸着膜の積層方向(厚さ方向)の寸法を小さくして扁平化することで、レイアウト上の要求に有利に対応することが出来るのではないかと考え、積層型フィルムコンデンサの新規な構成について鋭意、検討を開始した。
しかしながら、そのように積層型フィルムコンデンサの厚さ方向の寸法を小さくして扁平化を図ると、相対的にメタリコン電極の長さが長くなる。そうすると、例えば、積層型フィルムコンデンサが自動車に搭載される等して、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件(印加電圧等)で長期に亘って用いられた場合に、誘電体膜等とメタリコン電極との変形量の差によって、メタリコン電極に繰り返し応力(熱応力)が作用して、メタリコン電極にクラック(割れ)が発生したり、誘電体膜等とメタリコン電極とが剥離してしまったりする恐れがある。そして、そのようなクラックや剥離が生じることで、積層型フィルムコンデンサの性能が十分に発揮されなくなるという新たな問題があることが明らかとなったのである。
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも有利に用いられ得る、扁平化が有利に可能ならしめられる積層型フィルムコンデンサを提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、誘電体膜と金属蒸着膜とが交互に位置するように積層された積層体の、相対向する一対の側面のそれぞれにメタリコン電極が形成されてなる積層型フィルムコンデンサ素子を備え、各メタリコン電極にそれぞれ接合された複数の端子を介して、外部電源と電気的に接続される積層型フィルムコンデンサであって、前記積層型フィルムコンデンサ素子が、前記メタリコン電極を直交する方向の長さよりも該方向に直交する方向の長さが長い、前記誘電体膜及び前記金属蒸着膜の積層方向を厚さ方向とする長手矩形厚板形状を呈していると共に、前記メタリコン電極は、複数の主電極部と、該主電極部よりも薄肉の薄肉電極部及び/又は隙間の一つ以上のものから構成されており、隣接する二つの該主電極部間に、前記厚さ方向に延びる一つの該薄肉電極部又は隙間が配置せしめられており、前記複数の主電極部のそれぞれに、前記複数の端子のうちの少なくとも一つが接合されていることを特徴とする積層型フィルムコンデンサを、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従う積層型フィルムコンデンサの望ましい態様の一つによれば、前記複数の主電極部における、前記積層型フィルムコンデンサ素子の長手方向の長さが同一である。
また、本発明にあっては、前記複数の主電極部における、前記積層型フィルムコンデンサ素子の長手方向の中央部位に、前記複数の端子のうちの少なくとも一つが接合されていることが、望ましい。
本発明に従う積層型フィルムコンデンサにあっては、積層型フィルムコンデンサ素子の長手方向に延びるようにして形成されることとなるメタリコン電極が、複数の主電極部と、かかる主電極部よりも薄肉の薄肉電極部及び/又は隙間の一つ以上のものから構成されており、隣接する二つの主電極部間に、積層型フィルムコンデンサ素子の厚さ方向に延びる一つの薄肉電極部又は隙間が配置せしめられている。そのため、温度変化による、誘電体膜及び金属蒸着膜が積層されてなる積層体とメタリコン電極との変形量の差が、薄肉電極部において優先的に生じるクラックにより形成される隙間や、予め設けられた隙間において、有利に吸収されることとなり、以て、メタリコン電極の各主電極部に作用する熱応力が有利に緩和されることとなるのである。
そして、そのようにしてメタリコン電極の各主電極部に作用する熱応力が有利に緩和されることとなるところから、メタリコン電極における端子との接合部位やメタリコン電極の複数箇所等の意図しない不適切な部位にクラックが生じたり、積層体とメタリコン電極とが剥離したりすること等が有利に阻止されることとなる。従って、本発明に従う積層型フィルムコンデンサは、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも、性能低下や故障が防止されて、有利に用いられ得るものとなっているのである。
また、本発明に従う積層型フィルムコンデンサにあっては、複数の主電極部のそれぞれに、複数の端子のうちの少なくとも一つが接合されているところから、各端子を介して、各主電極部が個別に外部電源と電気的に接続される。そのため、積層型フィルムコンデンサ素子の略全体に、有利に均一に電圧が印加されることとなり、以て、積層型フィルムコンデンサの性能(静電容量等)が効率的に発揮されるという特徴が発揮されるのである。
このように本発明の積層型フィルムコンデンサにあっては、積層型フィルムコンデンサ素子の相対向する一対の側面のそれぞれに形成されるメタリコン電極が、特徴的な構成を有するものである。従って、本発明において、積層型フィルムコンデンサ素子として、メタリコン電極を直交する方向の長さよりも、かかる方向に直交する方向の長さが長い、誘電体膜及び金属蒸着膜の積層方向を厚さ方向とする長手矩形厚板形状を呈するものを用いた場合にあっても、上述した優れた効果を有利に享受することが可能であり、上述した効果と共に、積層型フィルムコンデンサの扁平化を有利に図ることが可能なものとなっているのである。それ故に、先述したレイアウト上の要求に対しても、本発明の積層型フィルムコンデンサは、有利に対応可能なものとなっているのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う積層型フィルムコンデンサの一例が、斜視図の形態で示されている。そこにおいて、積層型フィルムコンデンサ10(以下、コンデンサ10とも称する)は、長手矩形厚板形状を呈する積層型フィルムコンデンサ素子12(以下、コンデンサ素子12とも称する)を備え、かかるコンデンサ素子12が、一対のメタリコン電極14、14にそれぞれ接合された、バスバー16の複数の端子18を介して、外部電源(図示せず)と電気的に接続される構造を有している。
なお、一般に、自動車等において用いられるコンデンサ10は、耐湿性等に係る性能を満足するため、コンデンサ素子12が、筐体状のケース内においてエポキシ樹脂やウレタン樹脂等の合成樹脂材料により封止された状態で、構成されることとなる。本実施形態においては、そのようなケース及び封止材に係る構成については省略することとし、以下、それらの説明についても省略する。
ここで用いられるコンデンサ素子12は、誘電体膜と金属蒸着膜とが交互に位置するように積層された積層体20の、相対向する一対の側面のそれぞれにメタリコン電極14が形成されてなる、所謂積層型のフィルムコンデンサ素子である。具体的には、図2に示されるように、積層体20は、誘電体膜としての樹脂フィルム22上に金属蒸着膜24が形成されてなる構造の金属化フィルムの複数(ここでは、四枚)が重ね合わされ、積層されてなる構造を有している。なお、図2では、本実施形態におけるコンデンサ素子12の構造の理解を容易とするために、樹脂フィルム22及び金属蒸着膜24の厚さが、実際とは異なる誇張された大きさで示されていることが、理解されるべきである。
誘電体膜を構成する樹脂フィルム22は、ポリプロピレン製の延伸フィルムからなり、1〜10μm程度の適度に薄い厚さを有している。樹脂フィルム22を構成する樹脂材料としては、ポリプロピレンに何等限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン等の、従来からフィルムコンデンサにおいて樹脂フィルムの形成材料として使用される絶縁性の樹脂材料が、適宜に用いられ得る。
金属蒸着膜24は、コンデンサ素子12における内部電極膜として機能するものである。このような金属蒸着膜24は、アルミニウムや亜鉛等の公知の金属材料を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、樹脂フィルム22上に形成されるものであって、膜抵抗値が1〜50Ω/cm2 程度となるように、その形成材料や膜厚等が適宜に決定されることとなる。ここでは、金属蒸着膜24はアルミニウムにて構成されている。
なお、各樹脂フィルム22上には、それぞれ、金属蒸着膜24が何等形成されていないマージン部26が設けられている。図2に示されているように、コンデンサ素子12においては、各マージン部26が、コンデンサ素子12のメタリコン電極14を直交する方向(図2における左右方向。以下、電極方向とも称する。)において、それぞれ互い違いに位置するように、配置されている。
また、樹脂フィルム22と金属蒸着膜24との積層方向(図2における上下方向)の両側には、樹脂製の保護フィルム28、28が配設されている。これにより、コンデンサ素子12の保護や、コンデンサ素子12乃至はコンデンサ10の作製に係る作業性の向上が図られる。
コンデンサ素子12において、相対向する一対の側面(図2における左右の側面)に形成されたメタリコン電極14、14は、コンデンサ素子12の外部電極としての機能を発揮するものであり、それぞれ、所定の金属材料を用いて、公知の手法で溶射することにより形成された金属被覆膜にて、構成されている。このようなメタリコン電極の形成材料としては、特に限定されるものではなく、アルミニウムや亜鉛等の金属材料又はそれらを含む合金が、適宜に用いられ得る。ここでは、メタリコン電極14、14は亜鉛合金からなっている。
ここで、図1に示されているように、コンデンサ10を構成するコンデンサ素子12は、樹脂フィルム22と金属蒸着膜24との積層方向を厚さ方向とし、そのような厚さ方向の寸法をTcとする一方、メタリコン電極14を直交する方向(電極方向)の長さをXc(電極方向寸法)とし、かかる電極方向に直交する方向(以下、長手方向とも称する)の長さをYc(長手方向寸法)とすると、電極方向寸法:Xcよりも長手方向寸法:Ycが長くされている。かくして、コンデンサ素子12が、樹脂フィルム22と金属蒸着膜24との積層方向を厚さ方向とする長手矩形厚板形状を呈するように構成されているのである。また、コンデンサ素子12は、その厚さ寸法:Tcが、電極方向寸法:Xc及び長手方向寸法:Ycに対して、十分に小さくされている。
ところで、本実施形態に係るコンデンサ10にあっては、コンデンサ素子12を構成するメタリコン電極14、14が、それぞれ、複数の主電極部30と、かかる主電極部30よりも薄肉の薄肉電極部32とから構成されており、隣接する二つの主電極部30、30間に、コンデンサ素子12の厚さ方向に延びる一つの薄肉電極部32が配置せしめられているところに、大きな特徴を有しているのである。
より詳細には、図3及び図4に示されるように、コンデンサ素子12のメタリコン電極14においては、略一定の肉厚:Tmとされた主電極部30、30、30、30が、コンデンサ素子12の長手方向に沿って複数(ここでは、四つ)形成されている。ここでは、それら主電極部30、30、30、30における、コンデンサ素子12の長手方向の長さ:Lmが、全て同一とされている。
そして、隣接する二つの主電極部30、30間には、コンデンサ素子12の厚さ方向に延びる一つの薄肉電極部32が配置せしめられている。メタリコン電極14、14には、それぞれ、三つの薄肉電極部32、32、32が形成されている。かかる薄肉電極部32は、図4に詳細に示されるように、隣接する二つの主電極部30、30の間において、コンデンサ素子12の長手方向に所定の長さ:Lnに亘って形成されており、その肉厚が、長手方向の中央部位において最も薄肉(肉厚:Tn)となるように漸減せしめられている。これによって、隣接する二つの主電極部30、30間に、かかる主電極部30に対して比較的強度が低くされてなる薄肉の薄肉電極部32が形成されているのである。
また、図1に示されるように、コンデンサ10において、所定の位置に配設された二つのバスバー16、16は、それぞれ、コンデンサ素子12の長手方向に延びる矩形板状の本体部34を有し、かかる本体部34の長手方向一方側の端部部位に設けられた外部接続部36において、外部電源と電気的に接続されるようになっている。
さらに、バスバー16、16のそれぞれには、本体部34の長手方向に延びる端縁部から、コンデンサ素子12に向かって立ち上がるように、長手方向に所定の間隔(P)を隔てて、複数(ここでは、四つ)の端子18、18、18、18が形成されている。それらの端子18、18、18、18は、コンデンサ素子12のメタリコン電極14に対して、半田付け等の公知の手段を用いて、電気的に接続されている。なお、ここでは、図3に示されるように、隣接する端子18、18同士の間隔:Pが、全て同一とされている。
特に、コンデンサ10においては、図3から明らかなように、複数の端子18が、複数の主電極部30のそれぞれに一つずつ接合されている。また、各端子18は、各主電極部30における、コンデンサ素子12の長手方向の中央部位に接合されている。このようにして、コンデンサ10にあっては、メタリコン電極14の各主電極部30が、バスバー16の各端子18を介して、それぞれ個別に外部電源と電気的に接続されているのである。
このように、本実施形態にあっては、コンデンサ10を構成するコンデンサ素子12が、メタリコン電極14を直交する方向(電極方向)の長さ:Xcよりも、かかる方向に直交する方向(長手方向)の長さ:Ycが長い、樹脂フィルム22及び金属蒸着膜24の積層方向を厚さ方向(厚さ:Tc)とする長手矩形厚板形状を呈しているところから、そのようなコンデンサ素子12を備えるコンデンサ10が効果的に扁平化されることとなる。それ故に、コンデンサ10に対するレイアウト上の要求に有利に対応することが出来るという利点がある。
しかも、コンデンサ10にあっては、コンデンサ素子12の長手方向に延びるようにして形成されることとなるメタリコン電極14が、複数の主電極部30と、かかる主電極部30よりも薄肉の薄肉電極部32の一つ以上のものから構成されており、隣接する二つの主電極部30、30間に、コンデンサ素子12の厚さ方向に延びる一つの薄肉電極部32が配置せしめられている。そのため、雰囲気温度の変化や使用時(通電時)におけるコンデンサ素子12の発熱等に起因する温度変化による、樹脂フィルム22及び金属蒸着膜24が積層されてなる積層体20とメタリコン電極14との変形量の差が、図5に示されるように、薄肉電極部32において優先的に生じるクラックにより形成される隙間38において、有利に吸収されることとなる。
具体的には、メタリコン電極14において、薄肉電極部32の力学的強度は、主電極部30の力学的強度より劣るものであるところ、そのようなメタリコン電極14と積層体20との間において温度変化によって変形量の差が発生すると、薄肉電極部32において優先的にクラックが生じることとなる。そして、そのようなクラックにより生じる隙間38が存在することによって、積層体20が比較的自由に変形し得るため、積層体20とメタリコン電極14との変形量の差が有利に吸収されることとなる。これによって、メタリコン電極14の各主電極部30に作用する熱応力が、有利に緩和されることとなるのである。
そして、そのようにしてメタリコン電極14の各主電極部30に作用する熱応力が有利に緩和されることとなるところから、コンデンサ10が、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件で長期に亘って用いられた場合であっても、メタリコン電極14における端子18との接合部位やメタリコン電極14の複数箇所等の意図しない不適切な部位にクラックが生じたり、積層体20とメタリコン電極14とが剥離したりすること等が有利に阻止されることとなる。なお、メタリコン電極の意図しない不適切な部位に生じるクラック、及び積層体とメタリコン電極との剥離については、後述する。従って、コンデンサ10は、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも、性能低下や故障が防止されて、有利に用いられ得るものとなっているのである。
さらに、コンデンサ10にあっては、複数の主電極部30のそれぞれに、複数の端子18のうちの少なくとも一つが接合されているところから、各端子18を介して、各主電極部30が個別に外部電源と電気的に接続される。そのため、コンデンサ素子12の略全体に、有利に均一に電圧が印加されることとなり、以て、コンデンサ10の性能(静電容量等)が効率的に発揮されるという特徴が発揮されるのである。
ここで、一般に、電子回路を構成する部品としてのコンデンサは、極性が交互に変化する交流電圧に対応して充電、放電を繰り返すことで、交流電流を通過させる性質があるところから、これを電流が流れることと同等とみなし、コンデンサ素子12の内部における一対のメタリコン電極14、14間の電流の流れを、図5において白抜き矢印にて模式的に示すこととする。
要するに、コンデンサ10においては、図5に示されるように、薄肉電極部32においてクラック(隙間38)が発生したとしても、各端子18を介して、各主電極部30に確実に電圧が印加されることとなるところから、コンデンサ素子12の長手方向の全長に亘って、コンデンサ素子12の内部におけるメタリコン電極14、14間に、略一様な電流の流れが確保されることとなるのであり、以て、コンデンサ10の性能(静電容量等)が効率的に発揮され得るのである。
これに対し、従来の如き構造を有するコンデンサ(100)においては、温度変化によりメタリコン電極(102)に作用する熱応力によって、例えば、図6の(a)に示されるように、メタリコン電極(102)の隣接する二つの端子(104、104)間に二つのクラック(106、106)が生じたり、図6の(b)に示されるように、メタリコン電極(102)と端子(104)との接合部位にクラック(106)が生じたり、図6の(c)に示されるように、メタリコン電極(102)と積層体(108)との剥離が生じたりする恐れがある。そして、それら何れの場合においても、図中に白抜き矢印で模式的に示されるように、コンデンサ素子(110)の内部における一様な電流の流れが確保出来なくなるか、若しくはメタリコン電極(102)から積層体(108)への電流経路が狭くなり、電流損失が大きくなるところから、コンデンサ(100)が、その性能を十分に発揮出来なくなるのである。
また、本実施形態のコンデンサ10は、複数の主電極部30における、コンデンサ素子12の長手方向の長さ:Lmが、全て同一とされている。これによって、複数の主電極部30のそれぞれを通じて、より均一にコンデンサ素子12に電圧を印加することが可能となるのであり、以て、コンデンサ10の性能をより効率的に発揮せしめることが可能となるのである。
さらに、コンデンサ10は、複数の主電極部30における、コンデンサ素子12の長手方向の中央部位に、複数の端子18のうちの少なくとも一つが接合されている。これによって、複数の主電極部30のそれぞれにおいて、端子18の接合部位からかかる主電極部30の両端部までの距離が互いに同一とされるところから、各端子18から各主電極部30に対して、より有利に均一に電圧を印加せしめることが可能となる利点がある。
なお、本実施形態の如き薄肉電極部32は、メタリコン電極14を形成する際に、溶射装置(溶射ガン)の送り速度を適宜調整することで、容易に形成することが出来る。即ち、薄肉電極部32を形成する際の送り速度を、主電極部30を形成する際の送り速度と比較して早くすることで、形成されるメタリコン電極14の肉厚を部分的に薄くするのである。このような手法を採用することにより、薄肉電極部32を、特別な工程を追加することなく形成することが可能である。
次に、図7には、本発明に従う構造を有する別の実施形態が、断面形態において、それぞれ示されている。なお、図7に示されるコンデンサ40において、先の実施形態に係るコンデンサ10と対応する構造の部分には、同一の符号を付して、詳細な説明は省略することとする。
すなわち、かかる図7に示されるコンデンサ40において、先の実施形態に係るコンデンサ10と異なる点は、隣接する二つの主電極部30、30間に、コンデンサ素子12の長手方向に所定の長さ:dに亘って、コンデンサ素子12の厚さ方向に延びる、メタリコン電極14が何等形成されていない隙間42が配置せしめられている点である。
このようなコンデンサ50にあっては、隣接する二つの主電極部30、30間に、予め形成された隙間42において、温度変化による積層体20とメタリコン電極14との変形量の差が吸収される。そのため、メタリコン電極14の各主電極部30に作用する熱応力が、有利に緩和されることとなる。従って、本実施形態に係るコンデンサ40にあっても、熱応力によりメタリコン電極14の意図しない不適切な部位にクラックが生じることや積層体20とメタリコン電極14との剥離が生じること等が阻止され、以て、温度変化の大きい過酷な環境や使用条件でも、有利に用いられ得るものとなっているのである。
なお、このような隙間42は、メタリコン電極14を形成する際に、積層体20の隙間42に対応する部位をマスキングしておく手法、又は、当該部位に糸状又は帯状の部材を配置しておき、金属材料の溶射後に、かかる糸状又は帯状の部材を除去するのに伴ってメタリコン電極14の一部を除去する手法等により形成することが可能である。
以上、本発明の代表的な実施形態について幾つか詳述してきたが、それらは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、薄肉電極部32の形態については、上述の如き形態に何等限定されるものではなく、図8や図9に例示されるような形態が、何れも採用され得る。先ず、図8に示される薄肉電極部32は、その肉厚が一様に薄くされている。また、図9には、薄肉電極部として断面V字状の溝(ノッチ)44を形成したものが示されている。このような溝44においては、溝の底部において応力が集中することとなり、この底部若しくはその近傍にてクラックを生じさせることが可能である。なお、このような溝44は、従来通りメタリコン電極14を平坦に形成した後に、メタリコン電極14の一部を削ることにより、形成することが可能である。薄肉電極部32の形態としては、ここに例示した形態以外のものであっても、何等差支えないことは言うまでもないところである。
また、複数の主電極部30における、コンデンサ素子12の長手方向の長さは、それぞれ、異なる長さとされていてもよい。例えば、図10に示されるコンデンサ50のように、比較的クラックや剥離の発生し易い、コンデンサ素子12の長手方向端部側部位においては主電極部30(30a)の長さを短くする一方、比較的クラックや剥離の発生し難い、コンデンサ素子12の長手方向中央部位においては主電極部30(30b)の長さを長くすることも可能である。
なお、メタリコン電極14は、例示の如き単層構造のものに何等限られるものではなく、公知の各種の金属材料からなる層を有する複層構造とされていてもよい。要するに、かかるメタリコン電極14が、全体として、複数の主電極部30と、かかる主電極部30よりも薄肉の薄肉電極部32及び/又は隙間42から構成されていればよいのである。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
10、40、50 積層型フィルムコンデンサ
12 積層型フィルムコンデンサ素子
14 メタリコン電極 16 バスバー
18 端子 20 積層体
22 樹脂フィルム 24 金属蒸着膜
30 主電極部 32 薄肉電極部
42 隙間 44 溝
12 積層型フィルムコンデンサ素子
14 メタリコン電極 16 バスバー
18 端子 20 積層体
22 樹脂フィルム 24 金属蒸着膜
30 主電極部 32 薄肉電極部
42 隙間 44 溝
Claims (3)
- 誘電体膜と金属蒸着膜とが交互に位置するように積層された積層体の、相対向する一対の側面のそれぞれにメタリコン電極が形成されてなる積層型フィルムコンデンサ素子を備え、各メタリコン電極にそれぞれ接合された複数の端子を介して、外部電源と電気的に接続される積層型フィルムコンデンサであって、
前記積層型フィルムコンデンサ素子が、前記メタリコン電極を直交する方向の長さよりも該方向に直交する方向の長さが長い、前記誘電体膜及び前記金属蒸着膜の積層方向を厚さ方向とする長手矩形厚板形状を呈していると共に、
前記メタリコン電極は、複数の主電極部と、該主電極部よりも薄肉の薄肉電極部及び/又は隙間の一つ以上のものから構成されており、隣接する二つの該主電極部間に、前記厚さ方向に延びる一つの該薄肉電極部又は隙間が配置せしめられており、
前記複数の主電極部のそれぞれに、前記複数の端子のうちの少なくとも一つが接合されていることを特徴とする積層型フィルムコンデンサ。 - 前記複数の主電極部における、前記積層型フィルムコンデンサ素子の長手方向の長さが同一である請求項1に記載の積層型フィルムコンデンサ。
- 前記複数の主電極部における、前記積層型フィルムコンデンサ素子の長手方向の中央部位に、前記複数の端子のうちの少なくとも一つが接合されている請求項1又は請求項2に記載の積層型フィルムコンデンサ。
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