以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリル酸」等の類似の表現についても同様である。
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、楕円形状の開口部を複数有する絶縁層を形成する工程を備える。上記楕円形状の開口部の少なくとも一部は、開口の長径方向が同方向になるように配置されている。以下では、楕円形状を有し、開口の長径方向が同方向になるように配置されている複数の開口部を、場合により、「本実施形態に係る開口部」という。
図1〜3は、本実施形態に係るプリント配線板の製造過程を模式的に示す端面図である。図1に示すように、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法では、まず、基材10と、当該基材10上に設けられた、回路パターンを有する導体層20(例えば、配線)と、を備える基板100を用意し(図1中の(a))、基板100の導体層上に樹脂層1を形成する(図1中の(b))。
基板100は、特に限定されるものではないが、例えば、銅張積層板の銅箔をパターニングして回路パターンを形成することにより得られる基板であってよい。また、上記の他、ビルドアップ基板等を用いることができる。
樹脂層1は樹脂組成物を用いて形成される。すなわち、樹脂層1は樹脂組成物からなる。樹脂組成物は、絶縁性を示すものであれば特に限定されず、例えば、硬化後に絶縁性を示す硬化性樹脂組成物であってよい。硬化性樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)であってよく、感光性樹脂を含む樹脂組成物(感光性樹脂組成物)であってもよい。また、樹脂組成物は熱可塑性樹脂組成物であってもよい。
樹脂層1を形成する方法は、特に限定されず、樹脂組成物の形状に応じて変更できる。樹脂組成物がフィルムタイプである場合、ラミネート等の方法により樹脂層1を積層してよい。例えば、支持体と、当該支持体上に配置された樹脂層1(フィルムタイプの樹脂組成物)と、当該樹脂層1上に配置された保護フィルムとを備える感光性エレメントを用いる場合、保護フィルムを樹脂層1から剥離し、樹脂層1の露出した面を基板100の導体層20側の面にラミネートすることにより、導体層20を覆うように、樹脂層1を基板100に密着させる。密着性及び追従性向上の観点から、減圧下で積層する方法も好ましい。樹脂組成物が液状タイプである場合、樹脂組成物を公知の方法により基材10上に塗布して樹脂層1を形成してよい。塗布方法は、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法等の方法であってよい。感光性エレメントを用いる場合、上記支持体は露光前に除去してもよいし、露光後に除去してもよい。
次に、基板100上に形成された樹脂層1に対して、本実施形態に係る開口部を形成する。以下では、樹脂組成物として感光性樹脂組成物を用いる態様の一例について、図2を用いて説明する。なお、感光性樹脂組成物を用いて形成された樹脂層1を感光層ともいう。
まず、図2中の(a)に示すように、感光層を、活性光線を用いて露光して光硬化部を形成する(露光工程)。具体的には、感光層の所定部分に活性光線を照射し、感光層の照射された部分を光硬化させる。活性光線を照射する方法としては、従来公知の方法を適用することができるが、直接描画方式、投影露光方式等のマスクデータを用いる方式、又は、感光層に直接接触しないようにネガマスクを配置する露光方式、直接ネガマスクを配置するコンタクト露光方式等の露光用マスク11を用いる方式を好適に適用することができる。露光用マスク11としては、楕円形状のパターンを有し、当該楕円形状のパターンが、楕円形状の長径方向が同方向になるように配置されているものであればよい。楕円形状の大きさ、配置等は、目的とする楕円形状の開口部の大きさ、配置等に応じて、適宜変更してよい。なお、上記説明において、感光層にはネガ型の感光性樹脂組成物を用いているが、ネガ型の感光性樹脂組成物に代えて、ポジ型の感光性樹脂組成物を用いてもよい。この場合、活性光線を露光した部分が後述する現像工程により除去される。
露光工程における露光量は、形成する開口部の形状、配置、面積等に応じて適宜調節してよい。
次に、図2中の(b)に示すように、ウエット現像又はドライ現像で光硬化部以外の領域(未露光部)を除去し、開口部1aを形成する(現像工程)。これにより、基板100上に、開口部1aを有する絶縁層2が形成される。絶縁層2は、感光性樹脂組成物の硬化物を含む層であり、感光性樹脂組成物を含んでいてもよい。絶縁層2は、感光性樹脂組成物の硬化物からなる層であってもよい。ここで、開口部1aは、本実施形態に係る開口部を有する。
ウエット現像の場合、現像液としては、アルカリ性水溶液等の水系現像液、有機溶剤系現像液など、安全かつ安定であり操作性が良好なものが、感光性樹脂組成物の種類に対応して用いられる。
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、アルカリ金属、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムの水酸化物である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、アルカリ金属、アンモニウム等の炭酸塩又は重炭酸塩である炭酸アルカリ又は重炭酸アルカリ、アルカリ金属のリン酸塩であるリン酸ナトリウム、リン酸カリウム等、アルカリ金属のピロリン酸塩であるピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンなどが挙げられ、安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。
このようなアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が好ましい。そのpHは、現像処理が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、8〜12であることが好ましく、9〜11であることがより好ましく、pH9〜10であることが更に好ましい。また、このようなアルカリ性水溶液の温度は感光層の現像性に合わせて調節され、20〜50℃とすることが好ましい。更に、上記アルカリ性水溶液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
上記有機溶剤系現像液に含有される有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが用いられる。このような有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%であることが好ましい。また、このような有機溶剤の温度は、現像性にあわせて調節することができる。このような有機溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。単独で用いる有機溶剤としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。さらに、上記有機溶剤系現像液中には、現像を促進させるために界面活性剤、消泡剤等の少量の有機溶剤を混入させてもよい。
水系現像液として、水と、一種以上の有機溶剤と、場合によりアルカリ性水溶液と、を含むものを用いてもよい。有機溶剤としては上述したものが挙げられる。
現像方法としては、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、高圧スプレー方式、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法が適宜採用される。高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。本実施形態に係る開口部の形成においては、必要に応じて、上述した2種類以上の現像方法を併用して用いてもよい。
上記現像工程終了後、はんだ耐熱性及び耐薬品性等を向上させる目的で、高圧水銀ランプによる紫外線照射及び/又は加熱を行うことが好ましい。紫外線を照射させる場合は、必要に応じてその照射量を調整することができる。照射量は、例えば、0.05〜10J/cm2であってよい。また、感光層を加熱する場合は、130〜200℃程度の範囲で15〜90分程加熱することが好ましい。
紫外線照射及び加熱は、両方を行ってもよい。この場合、両方を同時に行ってもよく、いずれか一方を実施した後に他方を実施してもよい。紫外線照射と加熱とを同時に行う場合は、はんだ耐熱性及び耐薬品性をより良好に付与する観点から、60〜150℃に加熱することが好ましい。
以上が感光性樹脂組成物を用いた絶縁層2の形成に関する詳しい説明だが、上述するように、本発明の適用部位に応じて、感光性樹脂組成物以外の樹脂組成物(例えば、熱硬化性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂組成物)を用いて絶縁層2を形成してよい。例えば、絶縁層2が配線板内のビルドアップ層である場合には、熱硬化性樹脂組成物が一般的に好適であり、開口部の形成にはビア形成時のレーザー12等を適用すればよい(図3)。例えば、図3(a)、(b)、(c)及び(d)に示すように、開口部1aを一つずつ形成してよい。開口部1aの形成は、樹脂層1に対して行ってよく、硬化後の樹脂層に対して行ってもよい。
図4に示すように、上述の方法により形成された絶縁層2は、楕円形状の開口部を複数有し、楕円形状の開口部の少なくとも一部は、開口の長径方向が同方向になるように配置されている。すなわち、絶縁層2に形成された開口部1aの少なくとも2以上は、楕円形状の開口部であり、楕円形状の開口部の少なくとも一部は、開口の長径方向が同方向になるように配置されている。楕円形状の開口部は、楕円形状の開口部を長径方向に平行に配置した角度を0°とした場合の傾きが0〜30°であればよいが、0〜15°であることが好ましく、0〜5°であることがより好ましく、略0°であることが更に好ましい。
開口の長径方向が同方向になるように配置されている楕円形状の開口部の数は、絶縁層2が有する開口部全体の数の50%以上を占めてよく、80%以上を占めてもよい。楕円形状の開口部は、その全てが、開口の長径方向が同方向になるように配置されていてもよい。
開口部1aは、開口の長径方向が異なる方向に配置された楕円形状の開口部を有していいてよく、長径方向が垂直方向(楕円形状の開口部を長径方向に平行に配置した角度を0°とした場合、傾きが90°)になるように配置された楕円形状の開口部を有していてもよい。
楕円形状の開口部は、絶縁層2のどこに配置してもよく、ビア部、半導体素子周辺部及び全面に配置できる。なお、楕円形状の開口部は、ビア部であってよい。
開口部1aは、他の形状(楕円形状以外の形状)を有していてもよいが、デスミア性に更に優れる観点で、楕円形状の開口部は、絶縁層2が有する開口部1a全体の開口数の50%以上を占めることが好ましく、80%以上を占めることが更に好ましく、100%を占めてもよい。
楕円形状の開口部における高さ方向に平行な断面の形状は、矩形状、台形状等であってよい。また、この断面の形状は、内部(基板100側)にいくほどテーパーが付いた形状であってもよい。この場合、断面の形状は、略矩形状であるものの、基板100に近付くほど先細りした形状となり、絶縁層2の基板100側の表面における開口部の辺の長さが、絶縁層2の基板100とは反対側の表面における開口部の辺の長さよりも短い形状となっている。楕円形状の開口部における高さ方向に平行な断面の形状がこのようなテーパー状(テーパーが付いた略矩形状)の断面形状である場合、液回りが更に良好となり、デスミア性に更に優れる傾向がある。このようなテーパー状の断面形状は、感光層への活性光線又はレーザーの照射条件を調整すること等により意図的に形成してもよく、意図せずに形成されてもよい。また、開口部の断面形状が台形状である場合にも、液回りが更に良好となり、デスミア性に更に優れる傾向がある。なお、開口部の断面形状は、絶縁層2の基板100側の表面における開口部の長径(又は辺)の長さと、絶縁層2の基板100とは反対側の表面における開口部の長径(又は辺)の長さとが等しい矩形状、すなわちテーパーのない矩形状であってもよい。
楕円形状の開口部は、少なくとも絶縁層2の基板100とは反対側の表面における開口(上底部)が楕円形状であればよく、例えば絶縁層2の基板100側の表面における開口(下底部)は楕円形状でなくてもよい。なお、楕円形状の開口部は、液回り及びデスミア性がより良好となることから、上記下底部も楕円形状であることが好ましく、開口部における高さ方向に垂直な断面の全てが楕円形状であることがより好ましい。
楕円形状の開口部の長径は、液回りが更に向上しデスミア性に更に優れる観点で、短径に対して1.2〜5倍、1.2〜4倍、1.2〜3倍、又は、1.2〜2倍であってもよい。また、長径の異なる複数の開口部が混在していてもよい。なお、楕円形状の開口部の長径及び短径とは、上底部の長径及び短径を意味する。
楕円形状の開口部の長径は、生産性が向上する観点で、50μm以下、30μm以下、又は、10μm以下であってもよい。また、長径の下限値は、開口部の形成性が向上する観点で、1μm以上、3μm以上、又は、5μm以上であってもよい。
楕円形状の開口部における下底部が楕円形状である場合、上底部と下底部の長径及び短径は、同一であってもよいし異なっていてもよい。上底部の長径aに対する、下底部の長径a’の比(a’/a)は、液回りが更に向上する観点から、0.4〜1.0であってよく、0.4〜0.8であってよく、0.4〜0.6であってよい。
液回りが更に向上しデスミア性に更に優れる観点から、楕円形状の開口部の少なくとも一部は、長径方向に並んで配置されていてよい。また、楕円形状の開口部の少なくとも一部は、短径方向に並んで配置されていてもよい。また、長径方向に並ぶ楕円形状の開口部と、短径方向に並ぶ開口部とが混在していてもよい。
本実施形態において、楕円形状の開口部の長径及び短径は、光干渉方式の非接触表面形状計測装置を用いて測定することができる。測定装置はこれに限られたものではなく、表面形状を計測するレーザー顕微鏡等を用いてもよい。
次に、デスミア処理を行い、開口部1aのスミア2aの除去及び残渣の除去を行う(図2中の(c))。デスミア処理の方法は特に限定されないが、例えば、過マンガン酸塩などの酸化性化合物の溶液(デスミア液)を接触させる方法が挙げられる。具体的には、過マンガン酸ナトリウム濃度60g/リットル、水酸化ナトリウム濃度28g/リットルになるように調整した60〜80℃の水溶液に、開口部1aを形成した絶縁層2を1〜50分間揺動浸漬することにより、デスミア処理を行なうことができる。
以上の工程により、本実施形態に係るプリント配線板200が得られるが、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁層2及び露出した第1の導体層20上に、回路パターンを有する第2の導体層(例えば配線層)を形成する工程を更に備えていてもよい。
第2の導体層を形成する方法は、第2の導体層を形成する範囲に一面に導電性材料の層を形成してから、回路パターンを形成するために不要な導電性材料を除去する方法(サブトラクティブ法)であってよく、回路パターンを有するように導電性材料の層を形成する方法(アディティブ法)であってもよい。
サブトラクティブ法を適用する場合の例としては、プリント配線板200の絶縁層2側の面の全面に導電性材料の層を形成し、次いで、その導電性材料の層の回路パターンとして残したい部分にエッチングレジスト液を塗布してエッチングレジスト膜を形成した後、エッチング液に浸漬することにより不要な導電性材料を除去し、その後、レジスト膜を剥離する方法が挙げられる。エッチングレジスト膜の形成時には、エッチングレジスト液の塗布後、必要に応じて、露光及び現像を行ってもよい。
アディティブ法を適用する場合の例としては、回路パターンを形成するにあたり導電性材料が不要な部分にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、次いで、部分的にレジスト膜が形成されたプリント配線板200上に導電性材料の層を形成し、その後、レジスト膜を剥離する方法が挙げられる。レジスト膜の形成時には、レジスト液の塗布後、必要に応じて、露光及び現像を行ってもよい。
第2の導体層を形成した後は、絶縁層2(電気絶縁膜)と第2の導体層(例えば配線)との密着性を向上させる観点から、アニール処理を行うことが好ましい。アニール処理の手法は特に限定されないが、例えば、プリント配線板をオーブンに入れて絶縁層2を加熱する手法、及び、プレス板、加熱ロール等を用いてプリント配線板を加圧しながら絶縁層2を加熱する手法が挙げられる。アニール処理における加熱温度及び加熱時間は、特に限定されない。
導電性材料の層は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。無電解めっき法を採用する場合は、通常、絶縁層2及び現像工程により露出した導体層20上に、還元触媒として働く銀、パラジウム、亜鉛、コバルト、金、白金、イリジウム、ルテニウム、オスミニウムなどの触媒核を吸着させる。無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、例えば、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いることができる。無電解めっき液に含まれる成分は適宜選択してよく、例えば、金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度等が挙げられる。無電解めっき液の例としては、次亜リン酸アンモニウム又は次亜リン酸、水素化ホウ素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液、ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液、無電解パラジウムめっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液、無電解金めっき液、無電解銀めっき液、次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液などが挙げられる。なお、無電解めっき法により形成した導電性材料の層には、防錆剤と接触させるなどの防錆処理を行うことが好ましい。
無電解めっき法により形成した導電性材料の層上に電解めっき法を適用して導電性材料の層を成長させてもよい。この場合、電解めっき液としては、公知の電解めっき液を用いることができ、例えば、硫酸銅めっき液、ピロリン酸銅めっき液、電解ニッケルめっき液等を用いることができる。また、電解めっき液は、必要に応じて錯化剤、光沢剤、安定剤、緩衝剤等の添加剤を含んでいてよい。
本実施形態に係る製造方法は、洗浄工程を更に備えていてもよい。洗浄工程では、デスミア処理液、めっき液等の処理液の除去を行う。洗浄方法は特に限定されず、公知の方法であってよい。例えば、洗浄工程は、公知の洗浄液を用いて実施することができる。
図5は、本実施形態に係るプリント配線板を備える半導体装置の形態を示す端面図である。図5に示すように、上記製造方法により得られるプリント配線板は、半導体装置の製造に好適に用いることができる。例えば、上記方法により得られたプリント配線板に、ワイヤーボンディング、C4はんだ接続等の方法により半導体素子等の電子部品を実装することにより、パソコン等の電子機器へ装着するための半導体装置を得ることができる(図5中の(a)及び(b))。また、絶縁層2を再配線層を形成するための材料として用いることができるため、上記方法により得られたプリント配線板は、例えば、ウェハレベルパッケージ用途にも用いることができる(図5中の(c))。なお、図5中の(a)、(b)及び(c)に示す半導体装置300a、300b及び300cは、プリント配線板200a、200b又は200cと、当該プリント配線板に搭載された半導体素子5とを備えており、当該プリント配線板は、絶縁層2及び第1の導体層20を備える基板200(プリント配線板200)と、当該基板200上に形成された第2の導体層22と、当該基板200上で第2の導体層22を覆うように形成されたソルダレジスト4とを備える。図5中の(a)及び(b)に示す半導体装置300a及び300bでは、プリント配線板200aと半導体素子5とは、アンダーフィル6で充填されている。図5中の(b)及び(c)に示す半導体装置300b及び300cでは、半導体素子5が、封止材7によって封止されている。
(感光性樹脂組成物)
次に、本実施形態に係る絶縁層2の形成に用いられる感光性樹脂組成物の詳細を説明する。なお、「形成に用いられる」とは、絶縁層2を形成するための材料として用いられることを意味する。したがって、絶縁層2には、感光性樹脂組成物がそのまま含有されていてもよいし、感光性樹脂組成物の硬化物が含有されていてもよい。
感光性樹脂組成物としては、光ラジカル重合、光カチオン重合、その他の方式の感光性樹脂組成物全般を用いることができる。その中でも酸素阻害の少ない、光カチオン重合系の樹脂組成物を好適に用いることができる。そのような樹脂組成物としては、例えば、光カチオン重合開始剤、エポキシ樹脂又はオキセタン樹脂を含む化合物が挙げられる。特にエポキシ樹脂を含む樹脂組成物は、銅との密着性及び耐熱性に優れる点で有効であり、半導体パッケージ用途における各種信頼性を満足させるのに適している。
光ラジカル重合系の樹脂組成物も好適に用いることができる。このような樹脂組成物としては、例えば、(a)分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する感光性プレポリマー(以下、「(a)感光性プレポリマー」ともいう。)、(b)光重合開始剤、(c)光反応性化合物、(d)多官能エポキシ樹脂、(e)無機充填材を含む樹脂組成物が挙げられる。
(a)感光性プレポリマーは、分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する樹脂であれば、特に制限はないが、例えば、エポキシ樹脂(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)とのエステル化物に、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)を付加して得られる反応物(付加反応物)等を用いることができる。これらは、次の二段階の反応によって得ることができる。最初の反応(以下、便宜的に「第一の反応」という。)では、エポキシ樹脂(a1)と不飽和モノカルボン酸(a2)とが反応する。次の反応(以下、便宜的に「第二の反応」という。)では、第一の反応で生成したエステル化物と、飽和又は不飽和多塩基酸無水物(a3)とが反応する。
エポキシ樹脂(a1)としては、特に制限はないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型とエピクロルヒドリンとの反応物が適しており、BASF社製の「GY−260」、「GY−255」及び「XB−2615」、三菱化学社製の「エピコート828」、「エピコート1007」及び「エピコート807」等の、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリブタジエン変性エポキシ樹脂などが好適に用いられる。
不飽和モノカルボン酸(a2)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物と、1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類又は飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類と、の反応物が挙げられる。この反応物としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸等と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等とを、常法により、等モル比で反応させて得られる反応物などが挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は単独又は混合して用いることができる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。
飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。
上述した感光性プレポリマーとしては、CCR−1218H、CCR−1159H、CCR−1222H、PCR−1050、TCR−1335H、ZAR−1035、ZAR−2001H、ZFR−1185及びZCR−1569H(以上、日本化薬社製、商品名)、EXP−2810(DIC社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
(a)感光性プレポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。樹脂の屈折率は、用いる樹脂の構造により様々であるが、上述の構造のものを用いた場合、1.4〜1.7であり、多くは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の屈折率である1.57付近である。感光性プレポリマーは、屈折率が1.5〜1.6のものを用いることが好ましい。
(a)感光性プレポリマーの酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましく、30〜150mgKOH/gであることがより好ましく、40〜120mgKOH/gであることが更に好ましい。これにより、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液による現像性が良好となり、優れた解像度が得られるようになる。
ここで、酸価は以下の方法により測定することができる。まず、測定樹脂溶液約1gを精秤した後、その樹脂溶液にアセトンを30g添加し、樹脂溶液を均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行う。そして、次式により酸価を算出する。
A=10×Vf×56.1/(Wp×I)
なお、式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示し、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは測定樹脂溶液重量(g)を示し、Iは測定樹脂溶液の不揮発分の割合(質量%)を示す。
(a)感光性プレポリマーの重量平均分子量は、塗膜性の観点から、3000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましく、7000〜15000であることが特に好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めることができる。
(b)光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン系化合物、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、等のアシルホスフィン系化合物、9−フェニルアクリジン、9−アミノアクリジン、9−ペンチルアミノアクリジン、1,2−ビス(9−アクリジニル)エタン、1,3−ビス(9−アクリジニル)プロパン、1,4−ビス(9−アクリジニル)ブタン、1,5−ビス(9−アクリジニル)ペンタン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のビス(9−アクリジニル)アルカン、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、9−ピラジニルアクリジン、9−モノペンチルアミノアクリジン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−オキサプロパン、1,3−ビス(9−アクリジニル)−2−チアプロパン、1,5−ビス(9−アクリジニル)−3−チアペンタン等のアクリジン環を有する化合物、(2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン)、(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))等のオキシムエステルを有する化合物などが挙げられる。これらは組み合わせて用いることもできる。これらの中で、アシルホスフィン系化合物を用いることが好ましい。
(b)光重合開始剤としては、例えば、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379EG、IRGACURE 819、LUCIRIN TPO(いずれもBASF社製)、DAROCURE−TPO(BASF社製、商品名)、カヤキュアDETX−S(日本化薬社製、商品名)として市販品を入手可能である。
(c)光反応性化合物としては、感度、解像性の点で、分子内に2個以上のエチレン性不飽和基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する光重合性モノマーを含有することが好ましい。光重合性モノマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できるが、エチレン性不飽和基を1分子内に3つ以上有する多官能光重合モノマーを少なくとも1種類以上含有することが望ましい。中でもエチレン性不飽和基を1分子内に6つ以上有する多官能光重合モノマーがリフロー実装時のクラック耐性の向上に有効である。そのような化合物としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとその類似構造体のものが挙げられ、商業的には、KAYARAD DPHA、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、30、KAYARAD DPCA−60、120(いずれも日本化薬社製、商品名)として入手可能である。エチレン性不飽和基を1分子内に3つ以上有する多官能光重合モノマーとしては、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート(SR−454、日本化薬社製、商品名)等が商業的に入手可能である。
本実施形態の感光性樹脂組成物に使用可能なその他の(c)光反応性化合物としては、特に制限がなく、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ウレタンオリゴマーなどが挙げられる。また、これら以外にも、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、EO変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
光ラジカル重合系の樹脂組成物は、アルカリ現像性を良好にする観点から、その他の(c)光反応性化合物として、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、FA−321M(日立化成社製、商品名)又はBPE−500(新中村化学工業社製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)は、BPE−1300(新中村化学工業社製、商品名)として商業的に入手可能である。
(d)多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び、それらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ−トなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの化合物としては市販のものを用いることができる。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとしてはエピコート828、エピコート1001、エピコート1002(いずれも三菱化学社製、商品名)等を挙げることができる。ビスフェノールFジグリシジルエーテルとしてはエピコート807(三菱化学社製、商品名)、YSLV−80(新日鉄住金化学株式会社製、商品名)等を挙げることができ、ビスフェノールSジグリシジルエーテルとしてはEBPS−200(日本化薬社製、商品名)、エピクロンEXA−1514(DIC社製、商品名)等を挙げることができる。また、ビフェノールジグリシジルエーテルとしてはYL6121(三菱化学社製、商品名)等を挙げることができ、ビキシレノールジグリシジルエーテルとしてはYX4000H(三菱化学社製、商品名)等を挙げることができる。更に、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルとしてはST−2004、ST−2007(いずれも新日鉄住金化学社製、商品名)等を挙げることができ、上述した二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としてはST−5100及びST−5080(いずれも新日鉄住金化学社製、商品名)、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂としては、NC−3000、NC−3000H(いずれも日本化薬社製、商品名)、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ−トとしては、TEPIC−S、TEPIC−VL、TEPIC−PASB26(日産化学工業社製)、アラルダイドPT810(BASF社製、商品名)等を挙げることができる。また、その他、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂のJER157S(三菱化学社製、商品名)等、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂のJERYL−931(三菱化学社製、商品名)、アラルダイド163(BASF社製)等、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂のZX−1063(新日鉄住金化学社製)等、ナフタレン基含有エポキシ樹脂のESN−190、ESN−360(新日鉄住金化学社製、商品名)、HP−4032、EXA−4750、EXA−4700(DIC社製、商品名)等、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂のHP−7200、HP−7200H(DIC社製、商品名)等、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂のCP−50S、CP−50M(日本油脂社製、商品名)等、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体のPB−3600、PB−4700(ダイセル化学工業社製、商品名)等、CTBN変性エポキシ樹脂のYR−102、YR−450(新日鉄住金化学社、商品名)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(e)無機充填材としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉が使用できる。光ラジカル重合系の樹脂組成物は、上記の中でも、硫酸バリウム又はシリカフィラーを含有することが好ましい。
(e)無機充填材の平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、30nm〜800nmであることがより好ましく、50nm〜600nmであることが更に好ましい。また、(e)無機充填材の最大粒径は、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
(e)無機充填材の含有量は、感光性樹脂組成物全量を基準として、10〜90質量%であると好ましく、20〜80質量%であるとより好ましく、30〜70質量%であると更に好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて顔料成分を含む。例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック、アゾ系の有機顔料等の着色剤、染料などを用いることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン、ニトロソ化合物等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤、メラミン等の密着性向上剤、ジシアンジアミド等の硬化促進剤などを、感光性樹脂組成物の所望の特性に影響を与えない範囲で更に含んでいてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含むことが望ましい。また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、必要に応じてエラストマ成分を含有してもよい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、石油ナフサ等の一般的な溶剤を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
なお、溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物を液状のまま使用する場合には、全重量中の5〜60質量%であることが好ましい。
感光性樹脂組成物はフィルムタイプを使用してもよいし、液状タイプを使用してもよい。