JP2017110474A - クラックの補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】壁面に生じたクラックを簡単に補修できるクラックの補修方法を提供すること。【解決手段】コンクリート壁面10において、クラック12の開口部分に案内溝14を形成すると共に、クラック12の最上部分から上方に向けて延びる補修剤注入溝16を形成する。案内溝14を覆うように粘着テープ18をコンクリート壁面10に固定する。補修剤注入溝16から補充剤22を注入し、クラック12に補充剤22を浸透させ、硬化させる。【選択図】図3

Description

本発明は、クラックの補修方法に関する。
従来は、例えば、コンクリート壁面に生じたクラックの補修に、特別な器具を用いてエポキシ樹脂をクラックの内部に加圧注入していた(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−197669号公報
しかしながら、従来の補修方法では、エポキシ樹脂を加圧注入するための特別な器具としてエアーガンを用いており、エアーガンを使用するにはコンプレッサーや、コンプレッサーの電源等も必要となるため、装置が大掛かりとなってしまう。
本発明は上記事実を考慮し、加圧機器等の特別な器具を用いずに、壁面に生じたクラックを簡単に補修できるクラックの補修方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載のクラックの補修方法は、構造物の壁面に生じたクラックの一部に注入口を形成する注入口形成工程と、前記注入口を除いて前記クラックの表面を液漏れ防止部材で覆うと共に、前記液漏れ防止部材と前記壁面との間の隙間を封止する封止工程と、前記注入口より液体の補修剤を注入し、前記クラックの内部に前記補修剤を浸透させ、硬化させる補修剤浸透硬化工程と、を有する。
請求項1に記載のクラックの補修方法では、先ず、注入口形成工程において、構造物の壁面に生じたクラックの一部に注入口を形成する。
次の封止工程では、注入口を除いてクラックの表面を液漏れ防止部材で覆うと共に、液漏れ防止部材と壁面との間の隙間を封止する。
次の補修剤浸透硬化工程では、注入口より液体の補修剤を注入し、クラックの内部に補修剤を浸透させ、硬化させる。補充剤を注入口に注入すると、補充剤はクラックの内部に浸透するので、加圧装置等を使用して補充剤をクラック内に加圧充填する必要がない。
クラックの内部に浸透した補修剤が硬化することで、クラックが塞がれ、補修が終了する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクラックの補修方法において、前記壁面の前記クラックの開口部分全体に、前記注入口と連通するように前記補修剤が流れる前記クラックよりも幅広の溝を形成する溝形成工程を備え、前記補修剤浸透硬化工程では、前記注入口から前記液漏れ防止部材で覆われた前記溝の中に前記補修剤を流し、前記溝を介して前記クラックの内部に前記補修剤を浸透させる。
請求項2に記載のクラックの補修方法では、溝形成工程で、壁面のクラックの開口部分に、注入口と連通するように補修剤が流れるクラックよりも幅広の溝を形成する。
そして、補修剤浸透硬化工程では、注入口から液漏れ防止部材で覆われた溝の中に補修剤を流すことで、溝を介してクラックの内部に補修剤を浸透させる。溝は、クラックよりも幅広であるため、注入口から補充剤を注入すると、補充剤がクラックの開口部分に形成された溝内を迅速に流れ込んで溜まる。これにより、クラックの開口部分の長手方向の全体から補充剤をクラック内に浸透させることができるため、溝が無い場合に比較して、クラック内部全体に補充剤を迅速に浸透させることが出来る。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のクラックの補修方法において、前記注入口に注入する前記補修剤は、粘度が0.6Pa・S以下あり、かつシランカップリング剤を含んでいるエポキシ系の接着剤である。
請求項3に記載の発明では、注入口に注入する液体状態の補修剤は、粘度が0.6Pa・S以下あり、かつシランカップリング剤を含んでいるため、クラックに浸透する時間を短くすることができる。シランカップリング剤が含まれている接着剤は、シランカップリング剤が含まれていない同じ粘度の接着剤に比較して、例えば、コンクリート等の構造物に対して濡れ性が向上し、濡れ性の向上によってクラックに浸透する時間が短くなる。
以上説明したように、本発明のクラックの補修方法によれば、壁面に生じたクラックを簡単に補修できる、という優れた効果を有する。
(A)は横方向に延びるクラックの形成されたコンクリート壁面を示す正面図であり、(B)は図1(A)に示すコンクリート壁面を示す縦断面図(図1(A)の1B−1B線断面図)である。 (A)は、案内溝、及び補修剤注入溝を形成したコンクリート壁面を示す正面図であり、(B)は図2(A)に示すコンクリート壁面を示す縦断面図(図2(A)の2B−2B線断面図)であり、(C)は図2(A)に示すコンクリート壁面を示す水平方向断面図(図2(A)の2C−2C線断面図)である。 (A)は粘着テープを貼り付けたコンクリート壁面を示す正面図であり、(B)は図3(A)に示すコンクリート壁面を示す縦断面図(図3(A)の3B−3B線断面図)である。 コンクリート壁面の裏面を示す正面図である。 クラックに補修剤が浸透して硬化したコンクリート壁面を示す縦断面図である。 (A)は、補修剤硬化後の粘着テープを剥がしたコンクリート壁面を示す正面図であり、(B)は補修剤硬化後の粘着テープを剥がしたコンクリート壁面を示す縦断面図(図6(A)の6B−6B線断面図)である。 補修完了後のコンクリート壁面を示す断面図である。 (A)〜(D)は、第2の実施形態に係るクラックの補修方法の手順を示すコンクリート壁面の正面図である。
[第1の実施形態]
図1〜図7を用いて、本発明の第1の実施形態に係るクラックの補修方法について説明する。
図1(A)は、コンクリート壁面10の正面図であり、図1(B)は、図1(A)に示すコンクリート壁面10の縦断面図(図1(A)の1B−1B断面図)である。
本実施形態のコンクリート壁面10は垂直面であり、図1(A)、(B)に示すように、コンクリート壁面10には、横方向に延びるクラック12が形成されている。本実施形態のクラック12は、図面右側の大部分が右下がりに傾斜しており、図面左側の一部が左下がりに傾斜しているものである。また、本実施形態のクラック12は、コンクリート壁面10の表面10Aから裏面10Bへ貫通しているものである。
次に、このクラック12の補修手順(1)〜(6)を、以下に説明する。
なお、本実施形態の補修方法は、最大幅が1〜2mmのクラック12に適用できる。
(1) 図2(A)〜(C)に示すように、コンクリート壁面10のクラック12の開口部分の全長に渡って断面V字状の案内溝14を形成すると共に、クラック12の最上部分から上方に向けて延びる補修剤注入口としての補修剤注入溝16を案内溝14に連結するように形成する。この手順(1)の補修剤注入溝16を形成する工程が、本発明の「注入口形成工程」に相当する。また、手順(1)の案内溝14を形成する工程が、本発明の「溝形成工程」に相当する。
案内溝14、及び補修剤注入溝16は、コンクリートカッタ、グラインダー等を用いて形成することができる。この案内溝14の幅は、クラック12の幅よりも幅広とする。なお、案内溝14の幅、及び深さについて特に実寸法上で規定は無いが、後述する液状の補修剤22が流れやすい寸法とする。
(2) 図3に示すように、案内溝14の全体を覆うように、粘着テープ18をコンクリート壁面10に貼り付ける。このとき、補修剤注入溝16は、コンクリート壁面10の表面10Aに露出するように粘着テープ18で覆わない。
(3) 粘着テープ18とコンクリート壁面10の表面10Aとの間に、万が一、隙間が生じた場合、この隙間から後述する液状の補修剤22が漏れ出ないように、粘着テープ18の外周縁部分にパテ20を盛り付け、粘着テープ18をコンクリート壁面10に確実に固定する。
粘着テープ18は、透明であってもよく、不透明であってもよく、また、メッシュ等の補強部材が含まれているものであってもよい。粘着テープ18は、コンクリート壁面10に対する粘着力が高いものが好ましい。粘着テープ18は、手でカットできるものが作業性の観点から好ましい。
パテ20は、作業性の観点から速硬化タイプのものを用いることが好ましい。パテ20としては、一例として、タックダイン 速硬性パテ材「M−1」(商品名:ファイバーダイン社製)を用いることができるが、他のものを用いても良い。
なお、以上の手順(2)、(3)が、本発明の「注入口を除いてクラックの表面を液漏れ防止部材で覆うと共に、液漏れ防止部材とコンクリート壁面との間の隙間を封止する封止工程」に相当する。
(4) また、本実施形態のクラック12は、コンクリート壁面10を表面10Aから裏面10Bに貫通しているので、後述する補修剤22が裏面10Bに開口したクラック12から流れ出さないように、図4に示すように、裏面10Bにおいて、クラック12は、上部の一部分を除いて全体をパテ38で塞ぐ。クラック12の上部の一部分は、後述する補修剤22がクラック内に充填完了したか否かを確認するための確認部位となる。
(5) パテ20が硬化して粘着テープ18が確実に固定された後、図3(A)に示すように、粘着テープ18の上方に露出している補修剤注入溝16から案内溝14の中へ、液状の補修剤22を注入する。
補修剤22は、補修対象、本実施形態ではコンクリートに対して接着性の良いものを選択することが好ましい。補修剤22は、注入時には液状であり、クラック12に浸透した後に固化するものを用いる。補修剤22としては、主剤と硬化剤とを混合する2液混合タイプの接着用エポキシ樹脂を用いることができるが、アクリル系等、他の種類の接着用樹脂を用いることも出来る。
補修剤22としては、クラック12に対し、加圧することなく、自重で浸透する粘度が低いものを用いる。補修剤22としては、一例として、エポキシ系の接着剤であるタックダイン クラック浸透性接着剤「CP−10」(商品名:ファイバーダイン社製)を用いることができるが、他のものを用いても良い。補修剤22は、自重(重力)でクラック12に浸透するものであれば良く、特に粘度の規定は無いが、クラック12の最大幅が1〜2mm程度であれば、一例として、0.6Pa・s(600cp。20°C)のものを用いることができ、0.5Pa・s以下のものを用いることが好ましい。また、補修剤22は、接着対象であるコンクリートに対して濡れ性の良いものが好ましい。上記「CP−10」は、粘度が0.5Pa・sであり、コンクリートに対して濡れ性を向上させるシランカップリング剤が含まれている。このため、上記「CP−10」は、シランカップリング剤が含まれていない同粘度のエポキシ系接着に比較して、クラック12に浸透する時間が短くなっている。言い換えれば、上記「CP−10」は、クラック12に浸透し易い特性を有している。
補修剤22は、例えば、ノズル24の付いた樹脂製のボトル(例えば、化学の実験で用いる洗浄瓶とも呼ばれるもの等)26を用いて簡単に注入することができる。なお、液状の補修剤22を注入できるものであれば、シリンジ等、図示したボトル26以外のものを用いても良い。
補修剤注入溝16に注入された液状の補修剤22は、案内溝14の最上部分から、左右に分かれて案内溝14の最上部分から下側に位置する案内溝14の左右の端部に向けて自重で流れると共に、案内溝14の内部に補修剤22が溜まる。そして、案内溝14に溜まった補修剤22は、クラック12の開口部分の長手方向全体から順次クラック12の内部へと自重で浸透する。
補修剤注入溝16から液状の補修剤22を注入し、液状の補修剤22が案内溝14を介して順次クラック12に浸透して行くと、補修剤注入溝16に注入した補修剤22の液面が下がるので、液面が低下したら補修剤注入溝16から溢れないように補修剤22を再度注入する。
液面の低下毎に補修剤22の注入を繰り返し、補修剤22がクラック12全体に行き渡ると、コンクリート壁面10の裏面10B側において、クラック12の上部で補修剤22が滲む。裏面10B側のクラック12を目視して、クラック12の上部で補修剤22が滲んでいることが確認できれば補修剤22のクラック12への浸透が完了したことの合図となるため、補修剤22の注入を停止する。
(6) その後、クラック12に浸透した補修剤22が、クラック12内部で硬化し接着するまで放置する(図5参照)。
以上の手順(4)、(5)が、本発明の「注入口より液体の補修剤を注入し、クラックの内部に補修剤を浸透させ、硬化させる補修剤浸透硬化工程」に相当する。
(7) 補修剤22が硬化した後、図6に示すように粘着テープ18を取り除くと共に、不要なパテ20を除去する。また、コンクリート壁面10の裏面10Bのパテ38も除去する。
以上により、コンクリート壁面10のクラック12の補修が完了する。
なお、図6(B)に示すように、案内溝14、及び補修剤注入溝16(図6(B)では図示せず)において、固化した補修剤22の表面に凹部27が生じている場合には、図7に示すように、凹部27にパテ28を充填することができ、さらにコンクリート壁面10に塗装30等の仕上げを行うことができる。
以上のように、本実施形態のクラックの補修方法によれば、補充剤22をクラック12に浸透させるので、補充剤22を加圧する特殊な器具等を用いることなく、簡単にクラック12の補修を行うことができる。
また、クラック12の開口部分の全長に渡って案内溝14が形成されているので、案内溝14を介してクラック12全体に迅速に補充剤22を浸透させることができる。
本実施形態の補充剤22は、シランカップリング剤が含まれているため、シランカップリング剤が含まれていない同粘度のエポキシ系接着に比較して、クラック12に浸透する時間が短くなっており、作業時間を短縮することができる。
また、コンクリート壁面10の表面10Aに粘着テープ18を貼り付け、クラック12及び案内溝14を粘着テープ18で覆うことで、コンクリート壁面10の表面10Aに余分(不要)な補充剤22を付着させることがない。さらに、コンクリート壁面10の裏面10Bにおいては、クラック12の上部の一部を除いてクラック12の全体をパテ38で塞いでいるので、クラック12の中の補充剤22が、裏面10Bに流れ出ることが抑えられ、裏面10Bに不要な補充剤22を付着させることが無い。
なお、粘着テープ18を透明なものとすれば、案内溝14の補修剤22の様子を目視することができる。また、コンクリート壁面10から剥がせることができるのであれば、粘着テープ18に代えて接着テープを用いても良い。
[第2の実施形態]
図8を用いて、本発明の第2の実施形態に係るクラックの補修方法について説明する。
第1の実施形態では、横方向に延びたクラック12を補修する手順を説明したが、本実施形態では、図8に基づいて、上下方向に延びたクラック32を補修する場合の手順を説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8(A)に示す上下方向に延びたクラック32の補修手順(1)〜(5)を、以下に説明する。
(1) 図8(B)に示すように、コンクリート壁面10のクラック32の開口部分の全長に渡って断面V字状の案内溝34を形成すると共に、クラック32の最上部分から上方に向けて延びる補修剤注入口としての補修剤注入溝36を案内溝34に連結するように形成する。
(2) 図8(C)に示すように、案内溝34の全体を覆うように、粘着テープ18をコンクリート壁面10に両面テープ等(図示せず)を用いて貼り付ける。このとき、補修剤注入溝36は、コンクリート壁面10の表面10Aに露出するように粘着テープ18で覆わない。
(3) 粘着テープ18の外周縁部分(補修剤注入溝36を除く)にパテ20を盛り付け、粘着テープ18をコンクリート壁面10に確実に固定する。なお、図示は省略するが、コンクリート壁面10の裏面において、補修剤22がクラック32から流れ出さないように、クラック32の上部の一部を除いてクラック32の全体をパテで塞ぐ。
(4) 粘着テープ18が確実に固定された後、粘着テープ18の上方に露出している補修剤注入溝36から案内溝34の中へ液状の補修剤22を注入し、案内溝34に補修剤22を溜める。そして、補修剤注入溝36において補修剤22の液面が低下したら補修剤22を再度注入する。
第1の実施形態と同様に、裏面10B側のクラック32を目視して、クラック32の上部において補修剤22が滲んでいることが確認できれば補修剤22のクラック32への浸透が完了したことの合図となるため、補修剤22の注入を停止する。
(5) クラック32に浸透した補修剤22が硬化した後、粘着テープ18を取り除くと共に、不要な表面10Aのパテ20、及び裏面のパテ(図示せず)を除去する(図8(D)参照)
以上により、コンクリート壁面10の上下方向に延びるクラック32の補修が完了する。
その後は、第1の実施形態と同様に、案内溝34、及び補修剤注入溝36に凹部が生じている場合には、凹部にパテ28を充填してからコンクリート壁面10に塗装30等を行う。
本実施形態においても、補充剤22をクラック32に浸透させるので、補充剤22を加圧する特殊な器具等を用いることなく、簡単にクラック32の補修を行うことができる。
また、クラック32の開口部分の全長に渡って案内溝34が形成されているので、案内溝34を介してクラック32全体に迅速に補充剤22を浸透させることができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、コンクリート壁面10に粘着テープ18を貼り付けてパテ20で固定して案内溝14、又は案内溝34を粘着テープ18で覆ったが、粘着テープ18の代わりに、案内溝14、又は案内溝34を覆うように、例えば、プレート(薄板)をコンクリート壁面10に固定してもよい。この場合、プレートは、補修剤22が接着し難い合成樹脂で形成されていることが好ましい。これにより、補修剤22が硬化後、プレートが剥がしやすくなる。
上記実施形態では、案内溝14、補修剤注入溝16、案内溝34、及び補修剤注入溝36が、断面V字状の溝であったが、溝の断面形状は、半円形、U字形、四角形等であってもよく、補充剤22が流れ易ければ断面形状は特に問わない。
補充剤22を注入する注入口としての補修剤注入溝16、及び補修剤注入溝36は、例えば、穴(凹部)であっても良い。
上記実施形態では、横方向に延びるクラック12、及び上下方向に延びるクラック32を補修したが、本発明はこれに限らず、横方向に延びるクラックと上下方向に延びるクラックとが組み合わさったクラック等、種々の形状のクラックを補修可能である。何れの場合においても、クラックの最上部分に補充剤注入溝を形成し、補充剤22が自重で落下してクラック内に浸透するようにすることが好ましい。なお、注入口はクラックの最上部に形成することが好ましいが、クラックの開口部分に形成した溝に補充剤が流れ込めば、注入口は、必ずしもクラックの最上部に形成しなくても良い、
上記実施形態のコンクリート壁面10は、垂直面であったが、本発明は、傾斜面等、垂直面以外のコンクリート壁面においても適用可能である。
上記実施形態では、コンクリート壁面10を貫通しているクラック12、及びクラック32を補修する例を示したが、本発明は、コンクリート壁面10を貫通していないクラックの補修にも適用できる。補修剤22がクラックに浸透したことが、コンクリート壁面10の裏面10Bから確認ができない場合には、例えば、ある程度の時間放置して(補充剤22が硬化する時間よりも短い時間)、補充剤注入溝に注入した補充剤22の液面が下がらなくなったことで、クラック内に補充剤22が行き渡ったことが確認できる。
上記実施形態では、コンクリート壁面に生じたクラックの補修を行う例を説明したが、本発明はこれに限らず、コンクリート以外の、例えば、石材等の部材に生じたクラックについても補修可能である。
例えば、第1の実施形態では、クラック12の開口部分に案内溝14を形成したが、少なくともクラック12の上部に連通するように補修剤注入溝16を形成すればよく、場合によっては案内溝14を設けなくても良い。クラック12の上部に連通するように補修剤注入溝16を形成して補修剤注入溝16から補修剤22を注入すれば、案内溝14を設けた場合に比較して時間は掛るが、補修剤注入溝16を介してクラック12に補修剤22を浸透させることはできる。
なお、粘度の低い補充剤22を用いることで、補充剤22を毛細管現象で幅の狭いクラック12、及びクラック32に浸透させることもできる。
第1の実施形態では、最大幅が1〜2mmのクラック12を補修する例を示したが、クラック12の最大幅、補修剤22の粘度は第1の実施形態で示したものに限定されない。本発明は、最大幅が1〜2mm未満のクラックの補修にも適用でき、最大幅が1〜2mmよりも広いクラックにも適用できる。なお、クラックの最大幅が1〜2mmよりも広い場合には、補修剤22の粘度を高くすることもできる。
上記実施形態では、構造物であるコンクリート壁面10の表面10A側に粘着テープ18を貼り付けて表面10A側から補修剤22を注入する例を説明したが、本発明はこれに限らず、表面10Aに加工を施したくない場合等、コンクリート壁面10の裏面10B側に粘着テープ18を貼り付けて裏面10B側から補修剤22を注入して補修を行っても良い。この場合、表面10Aに案内溝14、補修剤注入溝16等が見えない。
10 コンクリート壁面(壁面)
12 クラック
14 案内溝(溝)
16 補修剤注入溝(注入口)
22 補修剤
32 クラック
34 案内溝(溝)
36 補修剤注入溝(注入口)

Claims (3)

  1. 構造物の壁面に生じたクラックの一部に注入口を形成する注入口形成工程と、
    前記注入口を除いて前記クラックの表面を液漏れ防止部材で覆うと共に、前記液漏れ防止部材と前記壁面との間の隙間を封止する封止工程と、
    前記注入口より液体の補修剤を注入し、前記クラックの内部に前記補修剤を浸透させ、硬化させる補修剤浸透硬化工程と、
    を有するクラックの補修方法。
  2. 前記壁面の前記クラックの開口部分全体に、前記注入口と連通するように前記補修剤が流れる前記クラックよりも幅広の溝を形成する溝形成工程を備え、
    前記補修剤浸透硬化工程では、前記注入口から前記液漏れ防止部材で覆われた前記溝の中に前記補修剤を流し、前記溝を介して前記クラックの内部に前記補修剤を浸透させる、請求項1に記載のクラックの補修方法。
  3. 前記注入口に注入する前記補修剤は、粘度が0.6Pa・S以下あり、かつシランカップリング剤を含んでいる接着剤である、請求項1または請求項2に記載のクラックの補修方法。
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