JP2017109890A - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 原料粉末と熱可塑性樹脂とを含む顆粒を形成する顆粒形成工程と、
前記顆粒を成形型に投入し、前記顆粒を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度Tにした状態で圧縮成形して圧粉体を得る成形工程と、
前記圧粉体を焼成してセラミック焼結体を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするセラミック焼結体の製造方法である。
(2) 前記顆粒成形工程において、原料粉末と熱可塑性樹脂と溶媒とを含む顆粒を形成し、
前記成形工程において、前記顆粒を成形型に投入した後に、前記顆粒が充填されている空間を気密にした状態で、前記顆粒を前記温度Tにする。
(3) 前記(1)又は前記(2)に記載のセラミック焼結体の製造方法において、前記成形型は、開口部を有すると共に前記顆粒が充填される空間を有する本体部と、前記開口部から挿入して前記圧縮成形の際に前記空間を移動するパンチとを有する金型であり、
前記成形工程において、前記空間に前記パンチを配置した状態で、かつ前記顆粒を圧縮成形する前に、前記本体部及び前記パンチを加熱することにより、前記顆粒が充填されている空間を気密にした状態で、前記顆粒を前記温度Tにする。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の一例を、製造工程に沿って説明する。
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、原料粉末と熱可塑性樹脂とを含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、顆粒を形成する顆粒形成工程と、前記顆粒を成形型に投入し、前記顆粒を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融点未満の温度Tにした状態で圧縮成形して圧粉体を得る成形工程と、前記圧粉体の脱脂を行う脱脂工程と、脱脂した圧粉体を焼成してセラミック焼結体を得る焼成工程とを有する。
まず、セラミック焼結体の原料粉末と熱可塑性樹脂とを含むスラリーを作製する。スラリーは、原料粉末と熱可塑性樹脂と所望により溶媒とをボールミル等で混合することにより得ることができる。この実施形態では、原料粉末と熱可塑性樹脂と溶媒とを混合してスラリーを得る。原料粉末、熱可塑性樹脂、及び溶媒の混合方法は特に限定されず、原料粉末と溶媒とを混合した後に、これに熱可塑性樹脂を添加する方法、熱可塑性樹脂と溶媒とを混合して、エマルジョン又は溶液の状態にして、これと原料粉末とを混合する方法等を挙げることができる。
得られたスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより、顆粒を作製する。顆粒における溶媒の含有率の好ましい範囲は、溶媒の種類により異なるが、顆粒形成工程後の原料粉末の全質量に対して0.5質量%以上5質量%以下であるのが好ましい。溶媒の含有率が5質量%より多いと、後述する圧粉体の内部に多量の気孔が残留し易くなる。溶媒は、熱可塑性樹脂を軟らかくするので、熱可塑性樹脂と共に含有するのが好ましく、1質量%以上含有するのがより好ましい。顆粒における溶媒の含有率は、スプレードライをする際のスラリーの温度、スプレードライ後の顆粒の乾燥条件等により調整することができる。顆粒における溶媒の含有率は、顆粒の質量m1と、顆粒を加熱して溶媒を除去した後の質量m2とを測定し、次の式(1)によって算出することができる。
(m1−m2)/m1×100(%)・・・(1)
顆粒の平均粒径は、特に限定されないが、通常、原料粉末より大きく、1.0μm〜200μmが例示される。この平均粒径は日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置(MT−3000)によりレーザ回折法で測定した値である。
得られた顆粒を成形型に投入し、顆粒を熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度Tにした状態で圧縮成形して圧粉体を得る。顆粒を前記温度Tにした状態で圧縮成形すると、顆粒に含まれる熱可塑性樹脂が軟らかい状態で圧縮成形されるから、顆粒が潰れ易くなり、隣接する顆粒同士が隙間なく密着し、得られた圧粉体の内部に粗大な気孔が残るのを抑制することができる。そのため、内部欠陥が少ないセラミック焼結体を提供することができる。なお、前記温度Tは、通常融点未満である。
図1に示す筒部2は、円筒形の一体物であるが、複数の領域に分割可能に形成されていてもよい。また、筒部2の内周面の断面形状は、円形以外に、多角形、及び楕円形等でもよい。
圧縮成形するときのプレス圧は、特に限定されず、原料粉末の種類、粒径、熱可塑性樹脂の種類、添加率等に応じて適宜設定される。
顆粒7を圧縮成形した後に金型1から圧粉体を取り出すことにより圧粉体が得られる。
得られた圧粉体を加熱することにより脱脂を行う。脱脂により、圧粉体に含まれる熱可塑性樹脂及び溶媒等が取り除かれる。脱脂工程では、熱可塑性樹脂を完全に取り除く加熱温度及び加熱時間、または、脱脂後の圧粉体に熱可塑性樹脂の分解物である炭素が残留する程度の加熱温度及び加熱時間で、圧粉体を加熱する。
脱脂した圧粉体を焼成することにより、セラミック焼結体が得られる。焼成温度及び焼成時間は、原料粉末の種類、粒径等により、適宜設定される。
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、顆粒形成工程において、原料粉末と熱可塑性樹脂と溶媒とを含む顆粒を形成し、成形工程において、顆粒7を本体部8に投入した後に、顆粒7が充填されている空間6を気密にした状態で、顆粒7を前記温度Tにすること以外は、第1実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。具体的には、空間6に第1パンチ3を配置した状態で、かつ顆粒7を圧縮成形する前に、同じ材質で形成された、本体部8と第1パンチ3とを異なる温度に加熱することにより顆粒7が充填されている空間6を気密にした状態で、顆粒7を前記温度Tにする。以下では、第1実施形態のセラミック焼結体の製造方法とは異なる点を中心にして説明する。
ΔL=L×α×ΔT・・・・(1)
(ΔL:前記内周又は前記外周の長さの変化量、L:常温(20℃)における前記内周又は前記外周の長さ、α:線熱膨張係数、ΔT:常温(20℃)との温度差)
このように、筒部2と第1パンチ3とが同じ材質である場合、第1パンチ3の温度が筒部2の温度よりも高くなるように加熱することにより、筒部2の内周面と第1パンチ3の外周面とを接触させて顆粒7が充填されている空間6を気密にすることができる。
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、成形工程において、顆粒7を本体部8に投入した後に、空間6に第1パンチ3を配置した状態で、かつ顆粒7を圧縮成形する前に、異なる材質で形成された、本体部8と第1パンチ部3とを略同じ温度に加熱することにより顆粒7が充填されている空間6を気密にした状態で、顆粒7を前記温度Tにすること以外は、第2実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。以下では、第2実施形態のセラミック焼結体の製造方法とは異なる点を中心にして説明する。
この実施形態の成形工程で使用される金型1は、第1パンチ3の材質が筒部2に比べて熱膨張率が大きい材質であり、加熱工程で筒部2と第1パンチ3とを略同じ温度に加熱すること以外は第2実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。この実施形態の金型1は、第1パンチ3の材質が筒部2に比べて熱膨張率が大きい材質であるので、筒部2と第1パンチ3とを略同じ温度に加熱した場合に、第1パンチ3は筒部2よりも熱膨張して筒部2に比べて体積が大きくなる。筒部2及び第1パンチ5それぞれの材質は、筒部2と第1パンチ3とを略同じ温度に加熱したときに、筒部2の内周面と第1パンチ3の外周面との間の少なくとも一部が接触し、第1パンチ3の外周面と筒部2の内周面との間の間隙がなくなり、顆粒7が充填されている空間6が気密になるように、適宜選択される。このような気密な空間6で顆粒7を前記温度Tにすることにより、顆粒7に含まれる溶媒が揮発するのを抑制することができる。
2、102、202、302、402 筒部
3、103、203、303、403 第1パンチ
4a、4b、104a、104b、204a、204b、304a、304b、404a、404b 開口部
5、105、205、305、405 第2パンチ
6、106、206、306、406 空間
7、107、207、307、407 顆粒
8、108、208、308、408 本体部
9a、9b、9c 流路
213、313、215、315、225 円盤体
223、323、325 棒状体
Claims (3)
- 原料粉末と熱可塑性樹脂とを含む顆粒を形成する顆粒形成工程と、
前記顆粒を成形型に投入し、前記顆粒を前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度Tにした状態で圧縮成形して圧粉体を得る成形工程と、
前記圧粉体を焼成してセラミック焼結体を得る焼成工程と、
を有することを特徴とするセラミック焼結体の製造方法。 - 前記顆粒成形工程において、原料粉末と熱可塑性樹脂と溶媒とを含む顆粒を形成し、
前記成形工程において、前記顆粒を成形型に投入した後に、前記顆粒が充填されている空間を気密にした状態で、前記顆粒を前記温度Tにすることを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼結体の製造方法。 - 前記成形型は、開口部を有すると共に前記顆粒が充填される空間を有する本体部と、前記開口部から挿入して前記圧縮成形の際に前記空間を移動するパンチとを有する金型であり、
前記成形工程において、前記空間に前記パンチを配置した状態で、かつ前記顆粒を圧縮成形する前に、前記本体部及び前記パンチを加熱することにより、前記顆粒が充填されている空間を気密にした状態で、前記顆粒を前記温度Tにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミック焼結体の製造方法。
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