JP6600551B2 - セラミック焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体を提供することができるセラミック焼結体の製造方法に関する。
従来、曲面を有するセラミック製品は、製造予定のセラミック製品と同様の形状のキャビティを有する成形型を用いて成形体を作製し、これを焼成する方法、単純な形状のセラミック製品を製造した後に、加熱しながら変形させる方法等により製造されていた。
例えば、特許文献1には、セラミック断熱材の製造方法として、セラミック繊維や粉体を含む基材を溶媒に混合した溶液を所定の形状をなす成形型に流し込んで、流し込んだ溶液を成形型内で冷凍後、真空中で乾燥させ、乾燥させた基材を焼成することによりセラミック断熱材が得られることが開示されている(特許文献1の請求項1)。特許文献1のセラミック断熱材の製造方法によると、従来の方法のように脱水成形を必要としないので、自由な形状の成形型を選択でき、均質で低密度、高断熱性で強度に優れたセラミック断熱材を成形できることが開示されている(特許文献1の0007欄及び0008欄等)。
特許文献2には、塑性加工によりセラミックベント管を製造する方法として、遠心力泥しょう鋳込み成形法により成形された、粒径1μm以下のセラミック粒子からなる直管形状のセラミック成形体を焼成し、その焼成体の中空孔内に耐火物ビーズを充填したうえ、焼成体を1300〜1550℃程度の加熱下において10〜300kgの押圧荷重で曲げ加工することによって、セラミックベント管を製造する方法(特許文献2の請求項1、0019欄及び0020欄、図1等)が開示されている。
特開2000−247723号公報 特開平6−143237号公報
特許文献1に例示される成形型を用いたセラミック断熱材の製造方法では、複雑な形状を有するセラミック断熱材を製造する場合には、成形型も複雑な形状になるので、鋭角な角部等に対するセラミック繊維や粉体等の充填性が低下し、角部の機械的強度が低下するおそれがある。
特許文献2に例示されるような、加熱下において焼成体を曲げ加工するセラミックベント管の製造方法では、曲げ加工を施して形成した屈曲部における内側と外側とで応力差が発生するので、曲げ加工する前の状態に比べて内部応力が不均一になり、クラックが発生し易く、機械的強度が低下するおそれがある。また、1300〜1550℃という高温下で曲げ加工が行われるので、アルミナ等の原料を用いる場合には、アルミナ粒子が異常粒成長し、機械的強度が低下するおそれがある。さらに、焼成体の中空孔内に耐火物ビーズを充填するので、ビーズ擦れにより焼成体の内壁が削り取られて肉厚が薄くなり、それによって機械的強度が低下するおそれがある。また、特許文献2に例示される従来のセラミックベント管は内表面が粗いので、内部を流体が流れる際に、流体が内表面に引っ掛かることにより詰まりが発生し易く、それによって耐久性が低下するという問題がある。
この発明は、かかる問題に鑑みてなされたものである。すなわち、この発明は、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体を提供することができるセラミック焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、
(1) 原料粉末とバインダーとを含むワークを成形して密度の異なる少なくとも2つの領域を有する成形体を得る成形工程と、
前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体を得る焼成工程と、
を有し、
前記密度の異なる少なくとも2つの領域は、前記ワークに含まれる水の質量含有率、前記ワークが前記原料粉末と前記バインダーとを含む顆粒を有するときの前記顆粒の平均粒径、及び前記ワークを成形するときのプレス圧のうちの少なくとも1つを、前記領域を形成するワーク間で異ならせることにより形成することを特徴とするセラミック焼結体の製造方法である。
前記(1)の好ましい態様として、次の態様を挙げることができる。
(2) 前記(1)に記載のセラミック焼結体の製造方法において、前記成形工程において、前記水の質量含有率がW 質量%であり、前記顆粒の平均粒径がR μmであるワークを成形して得られたA領域と、前記水の質量含有率がW 質量%であり、前記顆粒の平均粒径がR μmであるワークを成形して得られたB領域と、を有し、W >W 、かつ、R >R を満たし、前記A領域の密度ρ と前記B領域の密度ρ とが、ρ >ρ を満たす成形体を得て、
前記焼成工程において、前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、前記領域Bが内側面及び前記領域Aが外側面を形成する湾曲形状を有するセラミックス焼結体を得る。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、原料粉末とバインダーとを含むワークを成形して密度の異なる少なくとも2つの領域を有する成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体を得る焼成工程とを有する。複雑な形状を有するセラミック焼結体を製造するために、複雑な内面形状のキャビティを有する成形型を用いて成形体を形成する場合、キャビティ内の角部への原料粉末の充填性が低下することにより、角部の機械的強度が低下するおそれがある。しかしながら、この発明によると、目的とするセラミック焼結体の形状より単純な形状に成形体を作製し、これを焼成することにより成形体を変形させて、成形体より複雑な形状を有するセラミック焼結体が得られるので、角部の機械的強度の低下を抑制することができる。
また、この発明によると、焼成により、成形体における密度差を緩和する方向に成形体が変形するので、例えば、特許文献2の曲げ加工を施して形成した屈曲部に比べて、屈曲部における内側と外側との応力差を小さくすることができ、その結果、機械的強度の低下を抑制することができる。
さらに、例えば、特許文献2のように、焼成後に加熱する工程を有さないので、アルミナ粒子等の異常粒成長によるセラミック焼結体の機械的強度の低下を抑制することができる。
以上から、この発明によると、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体を提供することができるセラミック焼結体の製造方法を提供することができる。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、前記成形工程において、前記水の含有率がW質量%であり、前記顆粒の平均粒径がRμmであるワークを成形して得られたA領域と、前記水の含有率がW質量%であり、前記顆粒の平均粒径がRμmであるワークを成形して得られた領域Bと、を有し、W>W、かつ、R>Rを満たし、前記A領域の密度ρと前記領域Bの密度ρとが、ρ>ρを満たす成形体を得る。B領域はA領域に比べて密度が小さいので、焼成による収縮率がA領域に比べて大きく、前記焼成工程において、前記成形体を焼成することにより、B領域が内側面及びA領域が外側面を形成する湾曲形状を有するセラミック焼結体が得られる。湾曲形状における内側面に配置される前記B領域は、前記A領域に比べて顆粒の平均粒径Rが小さく、表面粗さが小さいので、例えば、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法によりセラミックベント管を製造する場合、内部を流体が流れる際に、流体が内表面に引っ掛かり難くなることにより詰まりが発生し難くなり、その結果耐久性に優れたセラミックベント管を提供することができる。
図1(a)は、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の成形工程の一例において、金型内で圧縮成形された成形体を示す断面説明図である。図1(b)は、図1(a)に示す成形体を焼成して得られたセラミック焼結体を示す断面説明図である。 図2(a)は、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の成形工程の別の一例において、金型内で圧縮成形された成形体を示す断面説明図である。図2(b)は、図2(a)に示す成形体を焼成して得られたセラミック焼結体を示す断面説明図である。 図3(a)は、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の成形工程の別の一例において、金型内で圧縮成形された成形体を示す断面説明図である。図3(b)は、図2(a)に示す成形体を焼成して得られたセラミック焼結体を示す断面説明図である。 図4(a)は、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の成形工程の別の一例において、金型内で圧縮成形された成形体を示す断面説明図である。図4(b)は、図4(a)に示す成形体を焼成して得られたセラミック焼結体を示す断面説明図である。 図5(a)は、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法で形成された成形体の別の一例を示す平面説明図である。図5(b)は、図5(a)に示す成形体の断面説明図である。図5(c)は、図5(a)に示す成形体を焼成して得られたセラミック焼結体を示す平面図である。図5(d)は、図5(c)に示す成形体の断面説明図である。 図6は、実施例で得られたセラミック焼結体の平均曲り角度の測定方法を説明するための説明図である。 図7は、実施例1〜7で得られた成形体における、第1領域と第2領域との平均密度差と、セラミック焼結体の平均曲り角度との関係を示す図である。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、原料粉末とバインダーとを含むワークを成形して密度の異なる少なくとも2つの領域を有する成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体を得る焼成工程と、を有する。
[第1実施形態]
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法の一例を、製造工程に沿って説明する。
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、原料粉末とバインダーと水を含む溶媒とを含有するワークを作製するワーク作製工程と、前記ワークを成形型に充填して得られる未成形体を成形し、密度の異なる少なくとも2つの領域を有する成形体を得る成形工程と、前記成形体の脱脂を行う脱脂工程と、脱脂した成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体を得る焼成工程と、を有する。
(ワーク作製工程)
ワーク作製工程は、スラリー作製サブ工程と顆粒作製サブ工程とを有する。スラリー作製サブ工程では、セラミック焼結体の原料粉末とバインダーと水を含む溶媒とを含有するスラリーを作製する。スラリーは、原料粉末とバインダーと溶媒とをボールミル等で混合することにより得ることができる。原料粉末、バインダー、及び溶媒の混合方法は特に限定されず、原料粉末と溶媒とを混合した後に、これにバインダーを添加する方法、バインダーと溶媒とを混合して、エマルジョン又は溶液の状態にして、これと原料粉末とを混合する方法等を挙げることができる。
原料粉末の種類は、焼成することによりセラミック焼結体が得られる限り特に限定されない。原料粉末としては、例えば、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、マグネシア粉末、及びフェライト粉末等の金属酸化物の粉末、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン等の金属炭化物の粉末、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物の粉末、及びチタン、タングステン、ニオブ等の金属粉末等を挙げることができる。原料粉末としては、例えば、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。原料粉末の平均粒径は特に限定されないが、0.1μm〜1000μmが例示される。原料粉末の平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置により測定することができる。
バインダーは、セラミック焼結体を製造するのに使用される公知のバインダーを用いることができる。バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂等を挙げることができる。バインダーの含有率は、バインダーの種類により異なるが、圧縮成形により成形体を形成する場合、通常、原料粉末の全質量に対して0.5質量%以上15質量%以下である。
溶媒は、少なくとも水を含み、その他にセラミック焼結体を製造するのに使用される公知の溶媒を使用することができる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等の有機溶媒、水等を挙げることができる。溶媒の含有率は、溶媒の種類により異なるが、通常、原料粉末の全質量に対して100質量%程度である。
次いで、顆粒作製サブ工程で、得られたスラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより、顆粒を作製する。顆粒における水の含有率は、原料粉末の全質量に対して0.1質量%〜2.0質量%が例示される。水を含む溶媒の含有率は、原料粉末の全質量に対して0.01質量%〜5.0質量%が例示される。前記範囲内で水が含有されていると、原料粉末の粒子同士が密着し易くなり、顆粒が形成され易くなる。この実施形態では、水分含有率の少ない顆粒1及び水分含有率の多い顆粒2の2種類の顆粒を作製する。顆粒における水の含有率を変更する方法としては、スラリーにおける水の含有率、スプレードライをする際のスラリーの温度、スプレードライ後の顆粒の乾燥条件等を適宜調整する方法を挙げることができる。この実施形態では、顆粒1の水の含有率W及び顆粒2の水の含有率WがW<W、の関係を満たすように顆粒を作製することにより、後述するように、密度の異なる2つの領域を有する成形体を得ることができる。顆粒1の水の含有率Wと顆粒2の水の含有率Wとの比(W/W)は、1〜40であるのが好ましい。比(W/W)が1〜40であると、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体が得られ易い。なお、比(W/W)は、大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。顆粒における水の含有率は、水分計により測定することができる。
顆粒の平均粒径は、特に限定されないが、通常、原料粉末より大きく、1μm〜1000μmが例示される。顆粒の平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置により測定することができる。このようにして、原料粉末とバインダーと水とを含む顆粒を有する、第1ワーク及び第2ワークが形成される。
(成形工程)
成形工程では、第1ワーク及び第2ワークを成形型の一例である金型に投入して未成形体を得て、これを圧縮成形して、密度の異なる2つの領域を有する成形体を得る。金型におけるワークが投入されるキャビティの形状は、目的とするセラミック焼結体の形状に応じて適宜設定される。従来のセラミック焼結体の製造方法では、焼成により成形体の形状は変わらず、焼成により均一に収縮して成形体に対して相似形状のセラミック焼結体が得られる。一方、この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、焼成により成形体を所望のように変形させることにより目的の形状を有するセラミック焼結体が得られる。したがって、目的とするセラミック焼結体の形状に比べて単純な形状、例えば、角柱形状、円板形状等といった形状に成形体を形成することができるので、金型のキャビティの隅々まで均一にワークを充填することができる。例えば、この実施形態のセラミック焼結体の製造方法によると、図1(a)に示すように、角柱形状の成形体10を作製し、これを焼成することにより成形体10を湾曲させて、図1(b)に示すように、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体1を得ることができる。
金型内における第1ワーク及び第2ワークの配置の仕方は、目的とするセラミック焼結体の形状によって適宜調整する。例えば、図1(b)に示すように、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体1を製造する場合には、図1(a)に示す角柱状のキャビティを有する金型4を長手方向に分割する2つの領域において、一方の領域に第1ワークを充填し、他方の領域に第2ワークを充填し、これを圧縮成形して第1領域12と第2領域13とを有する成形体10を得る。ワークにおける水の含有率が大きいほど顆粒が軟らかくなり、圧縮成形により顆粒同士が密着して成形体の密度が大きくなる傾向にある。第1ワークにおける水の含有率Wと第2ワークにおける水の含有率Wとが、W<Wを満たすとき、第1ワークが圧縮成形されて形成された第1領域12の密度ρと第2ワークが圧縮成形されて形成された第2領域13の密度ρとは、ρ<ρを満たす。このように、キャビティ内に水の含有率の異なるワークを配置して圧縮成形することにより、密度の異なる領域を有する成形体が得られる。第1領域12の密度ρと第2領域13の密度ρとは、少なくとも異なっていればよく、密度差(ρ−ρ)は0.01g/cm以上であるのが好ましく、密度差が大きくなるほど焼成前後における成形体10とセラミック焼結体1との変形量が大きくなる。
圧縮成形するときのプレス圧は、特に限定されず、原料粉末の種類及び粒径、顆粒の粒径、バインダーの種類及び含有率等に応じて適宜設定される。
金型4にてワークを圧縮成形した後に、金型4内から成形体10を取り出すことにより、密度の異なる2つの第1領域12及び第2領域13を有する成形体10が得られる。
成形体10の密度は、単位体積当たりの成形体10の質量を示すかさ密度である。この密度は、アルキメデス法により測定することができる。具体的には、成形体10を切断して第1領域及び第2領域それぞれに相当する部分を切り出し、それぞれの密度をアルキメデス法により測定する。
(脱脂工程)
得られた成形体10を加熱することにより脱脂を行う。脱脂により、成形体10に含まれるバインダーが取り除かれる。脱脂工程では、バインダーを完全に取り除くのではなく、脱脂後の成形体にバインダーの分解物である炭素が残留する程度の加熱温度及び加熱時間で、成形体10を加熱する。
(焼成工程)
脱脂した成形体に荷重をかけることなく焼成することのみにより成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体1を得る。焼成温度及び焼成時間は、原料粉末の種類、粒径等により、適宜設定することができる。
成形体を焼成する前後で形状が変化するのは、成形体に密度の異なる領域が存在するからである。密度の異なる領域は、焼成による収縮率が異なる。成形体10において密度が他の部位よりも相対的に小さい部位は、焼成により収縮率が大きくなる傾向にある。したがって、図1(a)に示す成形体10は、焼成工程において、第1領域12の収縮率は第2領域13の収縮率よりも大きく、角柱状の成形体10は、図1(b)に示すように、第1領域2が湾曲部分の内側、第2領域3が湾曲部分の外側になるように湾曲し、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体1が得られる。すなわち、第1領域2における第2領域3と接している面とは反対側の面が内側面2aを形成し、第2領域3における第1領域2と接している面とは反対側の面が外側面3aを形成する湾曲形状のセラミック焼結体1が得られる。
この実施形態のセラミック焼結体1の製造方法によると、水の含有率の異なる2種類のワークを準備して、これを金型4に投入して圧縮成形することにより密度の異なる2つの第1領域12及び第2領域13を有する角柱形状の成形体10を得る成形工程を有するので、この成形体10を焼成工程で焼成することにより、例えば、角柱形状の成形体10が湾曲して、密度が相対的に小さい第1領域2が湾曲部分の内側面2aを形成し、密度が相対的に大きい第2領域3が外側面3aを形成する湾曲形状のセラミック焼結体1が得られる。すなわち、目的とするセラミック焼結体1の形状に比べて単純な形状に成形体10を作製し、これを焼成することにより成形体10を変形させて、成形体10に比べて複雑な形状を有するセラミック焼結体1が得られるので、成形型のキャビティの隅々まで確実にワークを充填させることができ、角部の機械的強度の低下を抑制することができる。
また、この実施形態のセラミック焼結体1の製造方法によると、焼成により、成形体10における密度差を緩和する方向に成形体10が変形するので、例えば、特許文献2の曲げ加工を施して形成した屈曲部に比べて、屈曲部における内側と外側との応力差を小さくすることができ、その結果、機械的強度の低下を抑制することができる。
さらに、例えば、特許文献2のように、焼成後に加熱する工程を有さないので、アルミナ粒子等の異常粒成長によるセラミック焼結体の機械的強度の低下を抑制することができる。
以上から、この実施形態のセラミック焼結体1の製造方法によると、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体を提供することができるセラミック焼結体の製造方法を提供することができる。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、曲面を有するセラミック焼結体を製造するのに好適に用いられる。セラミック焼結体の形状としては、例えば、角柱体、円柱体、及び筒体等が湾曲又は屈曲した形状、円板体の外縁部が内側に曲がった形状、板体の平面の任意の箇所に凹部を有する形状等を挙げることができる。この発明に係るセラミック焼結体製のセラミック製品としては、例えば、エルボウ管及びU字管等のベンド管、フライパン、人工骨、陶器等を挙げることができる。
[第2実施形態]
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、第1実施形態のワーク作製工程において、水の含有率が異なる第1ワークと第2ワークとを作製したことに代えて、ワーク作製工程において、平均粒径の異なる顆粒を有する、第3ワークと第4ワークとを作製し、これによって密度の異なる2つの第3領域と第4領域とを有する成形体を形成したこと以外は、第1実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。
この実施形態では、第1実施形態のスラリー作製サブ工程と同様にして、原料粉末とバインダーと所望により溶媒とを含むスラリーを作製する。
次いで、顆粒作製サブ工程において、スラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより顆粒を作製し、例えば、第3ワークにおける顆粒の平均粒径Rと、第4ワークにおける顆粒の平均粒径RとがR>Rを満たすように、平均粒径の異なる顆粒を有する2つのワークを作製する。平均粒径の異なる顆粒を有する2つのワークを作製することにより、後述するように、密度の異なる2つの領域を有する成形体を得ることができる。第3ワーク及び第4ワークにおける顆粒の平均粒径の範囲は、第1実施形態と同様である。第3ワークにおける顆粒の平均粒径Rと第2ワークにおける顆粒の平均粒径Rとの比(R/R)は、1.1〜10であるのが好ましい。比(R/R)が1.1〜10であると、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体が得られ易い。顆粒の平均粒径は、顆粒を造粒する際に使用するスプレードライヤーのノズル径、原料粉末のボールミル等を用いた粉砕における時間等を変更することにより、調整することができる。なお、比(R/R)は大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。
次いで、図2(a)に示すように、第1実施形態の成形工程と同様にして、角柱状のキャビティを有する金型104を長手方向に分割する2つの領域において、一方の領域に第3ワークを充填し、他方の領域に第4ワークを充填して未成形体を得て、これを圧縮成形して第3領域112と第4領域113とを有する成形体110を得る。ワークにおける顆粒の平均粒径が小さいほど、圧縮成形により顆粒同士の間の間隙が小さくなり、成形体の密度が大きくなる傾向にある。第3ワークにおける顆粒の平均粒径Rと、第4ワークにおける顆粒の平均粒径Rとが、R>Rを満たすとき、第3ワークが圧縮成形されて形成された第3領域112の密度ρと第4ワークが圧縮成形されて形成された第4領域113の密度ρとはρ<ρを満たす。このように、キャビティ内に平均粒径の異なる顆粒を有するワークを配置して圧縮成形することにより、密度の異なる領域を有する成形体110が得られる。
得られた成形体110は、図2(a)に示すように、ρ<ρを満たす第3領域112と第4領域113とを有する。したがって、焼成工程において、第3領域112の収縮率は第4領域113の収縮率よりも大きくなり、角柱状の成形体110は、図2(b)に示すように、第3領域102が湾曲部分の内側、第4領域103が湾曲部分の外側になるように湾曲し、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体101が得られる。すなわち、第3領域102における第4領域103と接している面とは反対側の面が内側面102aを形成し、第4領域103における第3領域102と接している面とは反対側の面が外側面103aを形成する湾曲形状のセラミック焼結体101が得られる。
[第3実施形態]
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、第1実施形態のワーク作製工程において、水の含有率が異なる第1ワークと第2ワークとを作製したことに代えて、成形工程において、ワークを圧縮成形するときのプレス圧をある領域と他の領域とで異ならせ、これによって密度の異なる2つの第5領域と第6領域とを有する成形体を形成したこと以外は、第1実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。
この実施形態では、第1実施形態のスラリー作製サブ工程と同様にして、原料粉末とバインダーと所望により溶媒とを含むスラリーを作製する。
次いで、第1実施形態の顆粒作製サブ工程と同様にして、スラリーをスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより顆粒を造粒し、1種類のワークを作製する。
次いで、図3(a)に示すように、成形工程において、成形型の一例である金型204にワークを投入し、ワークを圧縮成形するときのプレス圧をある領域と他の領域とで異ならせ、これによって密度の異なる2つの第5領域212及び第6領域213とを有する成形体210を形成する。領域毎にプレス圧を異ならせることにより密度の異なる第5領域212と第6領域213とを有する成形体210を形成する方法は、特に限定されない。例えば、図3(a)に示すように、角柱状のキャビティを有する金型204を長手方向に分割する2つの領域において、一方の領域(紙面下側の領域)にワークを充填し、所定のプレス圧で圧縮成形した後に、さらに他方の領域(紙面上側の領域)にワークを充填し、先に圧縮成形した領域に比べて小さいプレス圧でワーク全体を圧縮成形する方法を挙げることができる。この他にも、キャビティにワークを充填した後に、一方の領域と他方の領域とで異なるパンチを用いて、異なるプレス圧で圧縮成形する方法を挙げることができる。第5領域212におけるプレス圧Pと第6領域213におけるプレス圧Pとの比(P/P)は、1.0〜4.0であるのが好ましい。比(P/P)が1.0〜4.0であると、機械的強度の低下を抑制しつつ所望の形状を有するセラミック焼結体が得られ易い。なお、比(P/P)は大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。
ワークを圧縮成形するときのプレス圧が大きいほど成形体の密度が大きくなる傾向にある。第5領域212におけるプレス圧Pと第6領域213におけるプレス圧Pとが、P<Pを満たすとき、第5領域212の密度ρと第6領域213の密度ρとは、ρ<ρを満たす。このように、キャビティ内に充填されたワークを領域毎に異なるプレス圧で圧縮成形することにより、密度の異なる領域を有する成形体が得られる。
得られた成形体210は、図3(a)に示すように、ρ<ρを満たす第5領域212と第6領域213とを有する。したがって、焼成工程において、第5領域212の収縮率は第6領域213の収縮率よりも大きくなり、角柱状の成形体210は、図3(b)に示すように、第5領域202が湾曲部分の内側、第6領域203が湾曲部分の外側になるように湾曲し、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体201が得られる。すなわち、第5領域202における第6領域203と接している面とは反対側の面が内側面102aを形成し、第6領域203における第5領域202と接している面とは反対側の面が外側面203aを形成する湾曲形状のセラミック焼結体201が得られる。
[第4実施形態]
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法は、第1実施形態のワーク作製工程において、水の含有率が異なる第1ワークと第2ワークとを作製したことに代えて、ワーク作製工程において、水の含有率だけでなく顆粒の平均粒径が異なるワークA及びワークBを作製し、これによって密度の異なる2つのA領域とB領域とを有する成形体を形成したこと以外は、第1実施形態のセラミック焼結体の製造方法と同様である。
この実施形態では、第1実施形態のスラリー作製サブ工程と同様にして、原料粉末とバインダーと水を含む溶媒とを含有するスラリーを作製する。
次いで、第1実施形態の顆粒作製サブ工程と同様にして、スラリーをそれぞれスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより、顆粒を作製する。この実施形態では、原料粉末の全質量に対する水の含有率がW質量%であり、平均粒径がRμmである顆粒Aと原料粉末の全質量に対する水の含有率がW質量%であり、平均粒径がRμmである顆粒Bとを、W>W、かつ、R>Rを満たすように作製する。すなわち、顆粒Aを含むワークAと顆粒Bを含むワークBとは、W>W、かつ、R>Rを満たす。顆粒における水分の含有率及び平均粒径を変更する方法としては、原料粉末の平均粒径、スラリーにおける水の含有率、スプレードライをする際のスラリーの温度、スプレードライ後の顆粒の乾燥条件等を適宜調整する方法を挙げることができる。この実施形態のセラミック焼結体の製造方法により例えばセラミックベンド管を形成する場合には、後述するように、焼成により成形体が変形してワークBが配置される領域が内側面を形成するので、ワークBにおける顆粒の平均粒径Rが1〜100μmの範囲にあり、粒径のバラツキが小さいすなわち粒度分布の標準偏差が小さいものが好ましい。顆粒の平均粒径が前記範囲にあると、内表面が滑らかなセラミックベンド管を製造することができる。
次いで、第1実施形態の成形工程と同様にして、図4(a)に示すように、角柱状のキャビティを有する金型304を長手方向に分割する2つの領域において、一方の領域にワークAを充填し、他方の領域にワークBを充填し、ワークAを圧縮成形して形成されたA領域312の密度ρとワークBを圧縮成形して形成されたB領域313の密度ρとが、ρ>ρを満たす成形体310を得る。水の含有率が大きいほど成形体の密度が大きくなる傾向にあり、ワークAとワークBとが、W>Wを満たすことから、A領域312の密度ρとB領域313の密度ρとが、ρ>ρを満たす傾向にある。一方で、ワークにおける顆粒の平均粒径が小さいほど、成形体の密度が大きくなる傾向にあり、ワークAとワークBとが、R>Rを満たすことから、A領域312の密度ρとB領域313の密度ρとが、ρ<ρを満たす傾向にある。この実施形態における成形体310は、ワークにおける水の含有率による成形体310の密度への影響が顆粒の平均粒径による成形体310の密度への影響に比べて大きくなるように、ワークにおける水の含有率及び顆粒の平均粒径を設定することにより、ρ>ρを満たす成形体310を得る。このように、成形体の密度に影響を与える複数の特性が領域間で逆の傾向を示す場合には、密度への影響が相対的に大きい特性に対応した密度の異なる領域を有する成形体が得られる。
得られた成形体310は、ρ>ρを満たすA領域312とB領域313とを有する。したがって、焼成工程において、B領域313の収縮率はA領域312の収縮率よりも大きくなり、角柱状の成形体310は、図4(b)に示すように、B領域303が湾曲部分の内側、A領域302が湾曲部分の外側になるように湾曲し、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体301が得られる。すなわち、B領域313におけるA領域312と接している面とは反対側の面が内側面303aを形成し、A領域302におけるB領域303と接している面とは反対側の面が外側面302aを形成する湾曲形状のセラミック焼結体301が得られる。
この実施形態のセラミック焼結体の製造方法によると、湾曲形状における内側面に配置されるB領域313は、A領域312に比べて顆粒の平均粒径が小さく、表面粗さが小さいので、例えば、この実施形態のセラミック焼結体301の製造方法によりセラミックベント管を製造した場合、内部を流体が流れる際に、流体が内表面に引っ掛かり難くなることにより詰まりが発生し難くなり、その結果、耐久性に優れたセラミックベント管を提供することができる。このように、水の含有率及び顆粒の平均粒径が互いに異なる複数のワークを用いて密度の異なる領域を有する成形体を形成することにより、所望の形状及び表面粗さを有するセラミック焼結体を得ることができる。
この発明に係るセラミック焼結体の製造方法は、前述した実施形態に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、第1実施形態〜第4実施形態における成形体は、ワークを金型に充填した後に圧縮成形する金型プレス成形法により成形しているが、成形体の成形方法は特に限定されず、ラバープレス成形法、射出成型法、冷間等方圧加圧法(CIP)等によって成形体を成形してもよい。ワークに含まれる原料粉末の粒径、含有率、バインダー及び溶媒の種類、含有率等は、成形方法に応じて適宜調整すればよい。
また、第1実施形態〜第4実施形態における成形体は、密度の異なる2つの領域を有する角柱形状の成形体を作製しているが、成形体の形状、密度の異なる領域の数及び配置等は、目的とするセラミック焼結体の形状により適宜設定することができ、特に限定されない。成形体の形状としては、セラミック焼結体の形状に比べて単純な形状を有することにより、キャビティの隅々まで原料粉末を確実に充填することができ、セラミック焼結体の機械的強度の低下を抑制することができる形状を有するのが好ましく、例えば、円柱体、円板体、角柱体、角板体等を挙げることができる。第1実施形態〜第4実施形態における成形体とは異なる形状等を有する成形体の例として、例えば、図5(a)及び(b)に示すように、密度の異なる3つの領域を有する円板状の成形体410を挙げることができる。成形体410は、成形体410の大部分を占める第7領域412と、円板状の成形体410の一方の面における外縁部に配置された第8領域413と、第8領域413より半径方向外側に配置された第9領域414とを有する。第7領域412の密度ρと第8領域413の密度ρと第9領域414の密度ρとは、ρ>ρ>ρを満たす。図5(a)及び(b)に示す円板状の成形体410を焼成すると、第8領域413及び第9領域414の収縮率は第7領域412の収縮率に比べて大きいことから、図5(c)及び(d)に示すように、第8領域403及び第9領域404が湾曲部分の内側、第7領域402が湾曲部分の外側になるように湾曲し、円板体の外縁部が湾曲した形状を有するセラミック焼結体401が得られる。
また、第4実施形態では、ワークにおける水の含有率と顆粒の平均粒径とをA領域とB領域とで異ならせることにより密度の異なる領域を有する成形体310を形成しているが、密度を調整する方法は特に限定されず、例えば、顆粒の平均粒径とプレス圧とをA領域とB領域とで異ならせることにより密度の異なる領域を有する成形体を形成してもよい。
(実施例1)
平均粒径0.1μmのアルミナ粉末を主成分とする原料粉末と、バインダーと、水を含む溶媒とを含有するスラリーをボールミルで混合し、第1スラリーを得た。また、スラリーに含まれる水の含有率を変更したこと以外は、第1スラリーと同様にして第2スラリーを得た。第1スラリー及び第2スラリーをそれぞれスプレードライヤーで噴霧乾燥して造粒することにより顆粒を作製し、第1ワーク及び第2ワークを得た。第1ワーク及び第2ワークそれぞれにおける原料粉末に対する水の含有率W及びWを水分計で測定し、比(W/W)を算出したところ2.75であった。比(W/W)は、大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。
第1ワーク及び第2ワークそれぞれの顆粒の平均粒径を日機装株式会社製 MT3000 で測定したところ、第1ワークに含まれる顆粒の平均粒径、及び第2ワークに含まれる顆粒の平均粒径は、共に100μmであった。
第1ワークと第2ワークとを、図1(a)に示す金型と同様の形状を有する金型に充填して圧縮成形することにより、図1(a)に示す成形体10と同様の形状を有し、縦12
mm、横80mm、高さ8.0mmの角柱状の成形体1を5体得た。
得られた成形体を、電気炉にて900℃で1時間加熱することにより、脱脂を行った。次いで、脱脂後の成形体を、電気炉にて1600℃で1時間加熱することにより焼成し、図1に示すように、角柱体が湾曲した形状を有するセラミック焼結体1を5体得た。
なお、同様にして得られた成形体1を切断し、第1ワークを圧縮成形して得られた第1領域の密度ρ、及び第2ワークを圧縮成形して得られた第2領域の密度ρをそれぞれアルキメデス法により測定し、その差(ρ−ρ)を算出し、5体の算術平均を平均密度差として図7に示した。
湾曲した形状のセラミック焼結体の平均曲り角度は、次のようにして測定した。
まず、図6に示すように、セラミック焼結体の湾曲した状態が最もよく見える方向からセラミック焼結体を写真撮影する。得られた写真において、セラミック焼結体の長手方向の両端面a,bにおけるそれぞれの角を通る線分Ia、Ibを描く。次いで、端面a,bそれぞれの中点Ta,Tbを結ぶ線分IIを描く。次いで、中点Taを通り、線分Iaに直交する線分IIIaを描く。同様にして、中点Tbを通り、線分Ibに直交する線分IIIbを描く。線分IIと線分IIIaとのなす角θa、及び線分IIと線分IIIbとのなす角θbを測定する。なす角θaの絶対値となす角θbの絶対値との算術平均を算出し、これを平均曲がり角度とした。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
(実施例2)
第2スラリーに含まれる水の含有率及びスプレードライした後の顆粒の乾燥条件等を変更し、第1ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wと第2ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wとの比(W/W)を1.64にしたこと以外は、実施例1と同様にして成形体2及びセラミック焼結体2を得た。
成形体2における第1領域と第2領域とにおける平均密度差と、セラミック焼結体2の平均曲り角度とを実施例1と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
(実施例3)
第1ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wと第2ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wとの比(W/W)を1にして、さらに、第2スラリーで顆粒を形成する際に、網目のサイズが異なる篩を使用して顆粒の平均粒径を変更したこと以外は、実施例1と同様にして成形体3及びセラミック焼結体3を得た。
第1ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rと、第2ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rとの比(R/R)は1.20であった。比(R/R)は、大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。
成形体3における第1領域と第2領域とにおける平均密度差と、セラミック焼結体3の平均曲り角度とを実施例1と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
(実施例4)
第2ワークに含まれる顆粒の平均粒径を変更したこと以外は、実施例3と同様にして成形体4及びセラミック焼結体4を得た。
第1ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rと、第2ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rとの比(R/R)は1.25であった。
成形体4における第1領域と第2領域とにおける平均密度差と、セラミック焼結体4の平均曲り角度とを実施例1と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
(実施例5)
第1ワークを金型に充填し、所定のプレス圧で圧縮成形した後に、さらに第1ワークを金型に充填し、ワーク全体を先に圧縮成形した領域に比べて小さいプレス圧で圧縮成形することにより、領域毎にプレス圧を変更して圧縮成形して密度の異なる領域を有する成形体5を得たこと以外は、実施例1と同様にして成形体5及びセラミック焼結体5を得た。
第1領域におけるプレス圧Pと第2領域におけるプレス圧Pとの比(P/P)は、1.83であった。比(P/P)は、大きい値を小さい値で割ったときの値を示す。
成形体5における第1領域と第2領域とにおける平均密度差と、セラミック焼結体5の平均曲り角度とを実施例1と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
(実施例6)
第1領域におけるプレス圧Pと第2領域におけるプレス圧Pとの比(P/P)を変更したこと以外は、実施例5と同様にして成形体6及びセラミック焼結体6を得た。
第1領域におけるプレス圧Pと第2領域におけるプレス圧Pとの比(P/P)は、1.42であった。
成形体6における第1領域と第2領域における平均密度差と、セラミック焼結体6における平均曲り角度とを実施例5と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図5に示す。
(実施例7)
第1領域におけるプレス圧Pと第2領域におけるプレス圧Pとの比(P/P)を変更したこと以外は、実施例5と同様にして成形体7及びセラミック焼結体7を得た。
第1領域におけるプレス圧Pと第2領域におけるプレス圧Pとの比(P/P)は、1.20であった。
成形体7における第1領域と第2領域とにおける平均密度差と、セラミック焼結体7の平均曲り角度とを実施例5と同様にして求めた。平均密度差と平均曲り角度との関係を図7に示す。
図7に示されるように、顆粒における水の含有率の比(W/W)、顆粒の平均粒径の比(R/R)、及びプレス圧の比(P/P)が大きくなるほど平均密度差が大きくなる傾向にあることが分かる。また、平均密度差が大きくなるほど平均曲り角度が大きくなる傾向にあることが分かる。したがって、顆粒における水の含有率、顆粒の平均粒径、及びプレス圧等を領域毎に適宜変更することにより、成形体における任意の領域毎に密度を調整することができる。また、領域毎に密度を適宜調整することにより、所望のように成形体を変形させて、所望の形状を有するセラミック焼結体を得ることができる。
(実施例8)
第1ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wと、第2ワークにおける原料粉末に対する水の含有率Wとの比(W/W)を1.5にして、さらに、第1ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rと、第2ワークに含まれる顆粒の平均粒径Rとの比(R/R)を1.2にしたこと以外は、実施例1と同様にして成形体8及びセラミック焼結体8を得た。
得られたセラミック焼結体8は、第2領域が内側面及び第1領域が外側面を形成する、角柱体が湾曲した形状であった。
成形体8における第1領域と第2領域における平均密度差は0.07g/cmであり、セラミック焼結体8における平均曲り角度は3.5°であった。
第2領域の内側面及び第1領域の外側面の粗さをレーザー顕微鏡で測定したところ、第2領域の内側面の平均粗さはRa=0.1であり、第1領域の外側面の平均粗さはRa=0.5であり、第2領域の内側面は、第1領域の外側面に比べて滑らかな面が形成されていた。
実施例8の結果から、例えば、セラミックベンド管の内側面となる領域は、成形体において、顆粒の平均粒径を小さくし、密度を他の部分の密度に比べて小さくなるように形成することにより、内側面が滑らかなセラミックベンド管を製造することができることが分かる。したがって、このようなセラミックベンド管の内部を流体が流れる場合、流体が内側面に引っ掛かり難くなることにより詰まりが発生し難くなり、その結果、耐久性に優れる。
1、101、201、301、401 セラミック焼結体
2、12 第1領域
3、13 第2領域
2a、303a 内側面
3a、302a 外側面
4、104、204、304 金型
10、110、210、310、410 成形体
102、112 第3領域
103、113 第4領域
202、212 第5領域
203、213 第6領域
302、312 A領域
303、313 B領域
402、412 第7領域
403、413 第8領域
404、414 第9領域

Claims (2)

  1. 原料粉末とバインダーとを含むワークを成形して密度の異なる少なくとも2つの領域を有する成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、目的の形状を有するセラミック焼結体を得る焼成工程と、
    を有し、
    前記密度の異なる少なくとも2つの領域は、前記ワークに含まれる水の質量含有率、前記ワークが前記原料粉末と前記バインダーとを含む顆粒を有するときの前記顆粒の平均粒径、及び前記ワークを成形するときのプレス圧のうちの少なくとも1つを、前記領域を形成するワーク間で異ならせることにより形成することを特徴とするセラミック焼結体の製造方法。
  2. 前記成形工程において、前記水の質量含有率がW質量%であり、前記顆粒の平均粒径がRμmであるワークを成形して得られたA領域と、前記水の質量含有率がW質量%であり、前記顆粒の平均粒径がRμmであるワークを成形して得られたB領域と、を有し、W>W、かつ、R>Rを満たし、前記A領域の密度ρと前記B領域の密度ρとが、ρ>ρを満たす成形体を得て、
    前記焼成工程において、前記成形体を焼成することにより前記成形体を変形させて、前記領域Bが内側面及び前記領域Aが外側面を形成する湾曲形状を有するセラミックス焼結体を得ることを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼結体の製造方法。
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