JP2017109877A - ダイヤモンド基板 - Google Patents

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Hideo Aida
英雄 会田
浩司 小山
Koji Koyama
浩司 小山
憲次朗 池尻
Kenjiro Ikejiri
憲次朗 池尻
聖祐 金
Seongwoo Kim
聖祐 金
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Abstract

【課題】ダイヤモンド単結晶から成り高熱伝導率を有し、厚み方向のダイヤモンド基板の最高部と最低部との差分を、所定の範囲内(0μm超485μm以下)に抑制可能になると共に、大面積化にも対応可能なダイヤモンド基板の提供。【解決手段】ダイヤモンド単結晶から形成し、熱伝導率5W/cm・K以上で、ダイヤモンド基板の厚み方向の最高部と最低部との差分(反り量ΔH)を0μm超485μm以下に設定したダイヤモンド基板1。更に好ましくは、熱伝導率が5〜20W/cm、差分が0〜130μm、更に好ましくは0〜65μmであり、うねりを有し、ダイヤモンド基板1の平面方向の形状が、方形状、円形状、又はオリフラ面が設けられた円形状であり、方形状の場合は対角線の長さは10mm以上、円形状状の場合は直径が0.4インチ以上であるダイヤモンド基板。好ましくは、対角線の長さが50.8〜203.2mmか直径が2〜8インチである基板。【選択図】図2

Description

本発明は、ダイヤモンド基板に関する。
ダイヤモンドは材料中でも最高クラスの熱伝導率を有する。このため、発熱量の多いデバイスである、例えば高出力半導体レーザ(通信用、光メモリ溶解用、固体レーザ冷気用など)や、高出力・高速動作デバイスには、その放熱部材としてダイヤモンド製のヒートシンクが用いられている。現状ではこのダイヤモンド製のヒートシンクには、天然もしくは合成のダイヤモンド単結晶が主に使用されており、今後さらなる需要や用途の拡大により、大面積で安価、かつ安定したヒートシンクの製造・供給が要求されると想像される。
しかし、工業用途として現状用いられている天然のダイヤモンド単結晶は、10mm角程度の小形サイズであり、既存のデバイス製造プロセスに適用することができなかった。一方、合成された人工のダイヤモンド単結晶は主に、HTHP法(High Temperature High Pressure:高温高圧法)で製造されており、市場に流通する人工のダイヤモンド単結晶の大多数がこの方法で生産されている。
しかし従来のHTHP法でも、製造可能なダイヤモンド単結晶の大きさはせいぜい10mm角程度が限界で、既存のデバイス製造プロセスに適用することができなかった。
この問題を解決するために、ダイヤモンド結晶をMgO基板上に成長させるヘテロエピタキシャル成長が開発され(例えば、特許文献1参照)、大面積な人工のダイヤモンド単結晶が現実的なものになりつつある。
特許第5066651号公報
発熱量の多いデバイスの放熱効率を上げるためには、ヒートシンクの大面積化だけで無く、ヒートシンクとデバイスとの接触面積を大きく確保することも要求される。従って、大面積で熱伝導率の高いダイヤモンド単結晶から成る基板が出来ても、反り量が大きいとそのダイヤモンド基板を放熱対象物に備え付けた際に、ダイヤモンド基板と放熱対象物との間で充分な接触面積が確保されず、放熱効率が低下してしまう。従って、ヒートシンクに用いるダイヤモンド基板は、反り量が少なく平坦に近い基板ほど望ましい。
しかし、ヘテロエピタキシャル成長法では反り量が小さいダイヤモンド単結晶から成る基板を実現した例は無い。その理由として、ヘテロエピタキシャル成長法を用いて大面積なダイヤモンド基板を作製しようとすると、下地基板上に成長されるダイヤモンド単結晶が、下地基板との熱膨張係数差や格子定数差によって反ってしまうためである。従って、ヘテロエピタキシャル成長法により大面積なダイヤモンド結晶が成長できたとしても、大面積になるほど反り量も大きくなってしまい、高い脆性を有し、大面積なダイヤモンド単結晶の加工が困難となり、ヒートシンクとしての検討が不可能だった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ダイヤモンド単結晶から成ることで高熱伝導率を有すると共に、厚み方向におけるダイヤモンド基板の最高部と最低部との差分を、所定の範囲内(0μm超485μm以下)に抑制可能になることで放熱効率が高く、大面積化にも対応可能なダイヤモンド基板を提供することを課題とする。
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明のダイヤモンド基板はダイヤモンド単結晶から成り、熱伝導率5W/cm・K以上で、ダイヤモンド基板の厚み方向における最高部と最低部との差分が、0μm超485μm以下であることを特徴とする。
本発明のダイヤモンド基板の一実施形態は、平面方向の形状が方形状、円形状、又はオリフラ面が設けられた円形状であり、方形状の場合は対角線の長さが10mm以上であり、円形状の場合は直径が0.4インチ以上であることが好ましい。
本発明に係るダイヤモンド基板に依れば、ダイヤモンド基板の全面に亘り熱伝導率5W/cm・K以上の高熱伝導率を実現出来ると共に、ダイヤモンド基板の厚み方向における最高部と最低部との差分を、予め0μm超485μm以下に抑えることが可能になる。ダイヤモンド基板の最高部と最低部との差分が抑えられることにより、ダイヤモンド基板と放熱対象物との接触面積を確保することが可能となり、高熱伝導率とも相俟って放熱対象物の放熱効率を向上させることが可能となる。
更に、前記差分が抑えられて放熱対象物との接触面積が確保されることで、ダイヤモンド基板面内の温度をより均一にすることが可能となる。従って、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。
更に、大型のダイヤモンド基板の製造が可能となり、高熱を発する対象物(放熱対象物)との接触面積をより増加させることが出来る。従って、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。
本実施形態に係るダイヤモンド基板の一例を模式的に示す斜視図である。 本実施形態に係るダイヤモンド基板の反り形態の、一例を模式的に示す側断面図である。 本実施形態に係るダイヤモンド基板の製造方法の実施形態に係る下地基板を示す模式説明図である。 ダイヤモンド基板の製造方法の実施形態の、ダイヤモンド層付き下地基板の状態を示す模式説明図である。 複数の柱状ダイヤモンドが形成された下地基板を示す模式図である。 複数の柱状ダイヤモンドが形成された下地基板を示す斜視図である。 ダイヤモンド基板層が形成された、柱状ダイヤモンド付き下地基板を示す模式図である。 ダイヤモンド基板層が形成された、柱状ダイヤモンド付き下地基板を示す斜視図である。 引張り応力が発生して凸状に反った、ダイヤモンド基板層、下地基板、及び各柱状ダイヤモンドを示す模式説明図である。 柱状ダイヤモンドが破壊され、ダイヤモンド基板層と、下地基板が分離される状態を示す模式図である。 複数の柱状ダイヤモンドが形成された下地基板の別形態を示す模式図である。
本実施の形態の第一の特徴は、ダイヤモンド単結晶から成り、熱伝導率5W/cm・K以上で、ダイヤモンド基板の厚み方向における最高部と最低部との差分が、0μm超485μm以下であるダイヤモンド基板としたことである。
なお本発明において、厚み方向とは、ダイヤモンド基板1の最高部の面方向(最高部面箇所の接線方向)に対して垂直な法線方向、とする。
この構成に依れば、ダイヤモンド基板の最高部と最低部との差分が抑えられ、高熱を発する対象物(放熱対象物)にダイヤモンド基板を備えた時、ダイヤモンド基板と放熱対象物との接触面積を確保することが可能となり、高熱伝導率とも相俟って放熱対象物の放熱効率を向上させることが可能となる。
更に、差分が抑えられて放熱対象物との接触面積が確保されることで、ダイヤモンド基板面内の温度をより均一にすることが可能となる。従って、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。
本実施の形態の第二の特徴は、熱伝導率が5W/cm・K以上20W/cm・K以下であるダイヤモンド基板としたことである。
この構成に依れば、発熱量の多いデバイスである、例えば高出力半導体レーザ(通信用、光メモリ溶解用、固体レーザ冷気用など)や、高出力・高速動作デバイスに対するヒートシンク又はヒートスプレッダ用途として望ましいダイヤモンド基板を形成することが出来る。
本実施の形態の第三の特徴は、差分が0μm超130μm以下であるダイヤモンド基板としたことである。更に、本実施の形態の第四の特徴は、差分が0μm超65μm以下であるダイヤモンド基板としたことである。
これらの構成に依れば、ダイヤモンド基板の面内の温度をより均一にすることが可能となるため、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
本実施の形態の第五の特徴は、ダイヤモンド基板がうねりを有することである。
これらの構成に依れば、反り量自体を小さくすることが出来るので、高熱を発する対象物(放熱対象物)にダイヤモンド基板を備えた時、ダイヤモンド基板と放熱対象物との接触面積が確保され、ダイヤモンド基板の面内の温度をより均一にすることが可能となる。従って、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
なお本発明において、うねりとは、ダイヤモンド基板を側面から見たときにその基板の厚み方向において、凸方向と凹方向の反りが、少なくとも一箇所ずつ現れており、基板全面に凸部と凹部が混在する状態、とする。
本実施の形態の第六の特徴は、平面方向の形状が方形状、円形状、又はオリフラ面が設けられた円形状であり、方形状の場合は対角線の長さが10mm以上であり、円形状の場合は直径が0.4インチ以上であるダイヤモンド基板としたことである。更に、本実施の形態の第七の特徴は、対角線の長さが50.8mm以上203.2mm以下か、または直径が2インチ以上8インチ以下であるダイヤモンド基板としたことである。
これらの構成に依れば、ダイヤモンド基板の大型化が実現される。従って、高熱を発する対象物(放熱対象物)との接触面積をより増加させることが出来るので、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。
なお本発明において、直径2インチとは、50.8mmの2%に当たる1.0mmを減算した、直径49.8mm以上〜50.8mmの範囲も2インチに該当する、と定義する。
以下、図1を参照して、本実施形態に係るダイヤモンド基板を詳細に説明する。本実施形態に係るダイヤモンド基板の平面方向の形状は方形状等でも良い。また円形状の場合、図1に示すようにオリフラ面(オリエンテーションフラット面)が設けられた円形状でも良い。
ダイヤモンド基板1(以下、必要に応じて単に「基板1」と記載)の形状が円形状、またはオリフラ面が設けられた円形状の場合、直径は0.4インチ(約10mm)以上が大型化の観点から好ましい。更に、実用的で大型のヒートシンクの作製という観点から、直径は2インチ(約50.8mm)以上が好ましく、3インチ(約76.2mm)以上であることがより好ましく、6インチ(約152.4mm)以上であることが更に好ましい。なお基板1の寸法公差を考慮し、本発明では、直径2インチに関しては50.8mmの2%に当たる1.0mmを減算した、直径49.8mm以上〜50.8mmの範囲も2インチに該当すると定義する。
なお、直径の上限値は特に限定されないが、実用上の観点から8インチ(約203.2mm)以下が好ましい。また、直径2インチと同等以上の面積を有する、方形状の基板を用いても良い。方形状の場合、対角線の長さは10mm以上が大型化の観点から好ましい。更に、実用的で大型のヒートシンクの作製という観点から、対角線は50.8mm以上が好ましい。対角線の上限値も特に限定されないが、実用上の観点から203.2mm以下が好ましい。
また、基板1の厚みtは任意に設定可能であるが、ヒートシンク用途として自立した基板の場合3.0mm以下であることが好ましい。一方、厚みtの下限値は特に限定されないが、基板1の剛性を確保して亀裂や断裂またはクラックの発生を防止するとの観点から、0.05mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。
ここで本発明における「自立した基板」とは、自らの形状を保持できるだけでなく、ハンドリングに不都合が生じない程度の強度を有する基板を指す。このような強度を有するためには、厚みtは0.3mm以上とするのが好ましい。またダイヤモンドは極めて硬い材料なので、劈開の容易性等を考慮すると自立基板としての厚みtの上限は3.0mm以下が好ましい。
ダイヤモンド基板はダイヤモンド単結晶から成り、そのダイヤモンド単結晶は、Ia型、Ib型、IIa型、又はIIb型の何れでも良い。
基板1の表面2には、ラッピング、研磨、又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)加工が施される。一方、基板1の裏面には、ラッピング且つ/又は研磨が施される。望ましくは、表面2と裏面を同一条件で加工することが、基板としてより一層の平坦性が確保できる点で好ましい。表面2の加工は、主に平坦な基板形状を達成するために施され、裏面の加工は、主に所望の厚みtを達成するために施される。
表面2の結晶面の面方位は、(111)、(110)、(100)の何れでも良く、これら面方位に限定されない。
また基板1を、バルク体のダイヤモンド単結晶で作製することで、5W/cm・K以上の高熱伝導率を実現する。更に発熱量の多いデバイスである、例えば高出力半導体レーザ(通信用、光メモリ溶解用、固体レーザ冷気用など)や、高出力・高速動作デバイスに対するヒートシンク又はヒートスプレッダ用途としては、5W/cm・K以上で20W/cm・K以下までの高熱伝導率範囲のダイヤモンド基板が望ましい。
本実施形態に係る基板1は外観上、表面2及び裏面が平坦で平行に形成された平板型に成形されている。更により詳細な成形の形態は図2に示すように、基板1がうねりを有する形態を包含する。なお、うねりとは、基板1を側面から見たときに基板1の厚み方向において、凸方向と凹方向の反りが、少なくとも一箇所ずつ現れており、基板全面に凸部と凹部が混在する状態を指すものである。このように基板1を、うねりを有する形態とすることにより、反り量自体を小さくすることが出来るので、高熱を発する対象物(放熱対象物)に基板1を備えた時、基板1と放熱対象物との接触面積が確保され、基板面内の温度をより均一にすることが可能となる。従って、放熱対象物に備えた時に基板1の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
更に図2のうねりを有する形態において、基板1の厚み方向における最高部と最低部との差分を0μm超485μm以下と設定する。
図2の基板1における差分とは、基板1の厚み方向におけるうねりに伴う最高部と最低部との差分である。図2の基板1では厚み方向における、最高部の裏面箇所と最低部の裏面箇所との差分が、反り量ΔHである。
なお、本発明における「厚み方向」とは、基板1の最高部の面方向(最高部面箇所の接線方向)に対して垂直な法線方向、と定義する。
本発明の基板1では、このようなうねりを有する形態を許容する。しかしながら、前記最高部と最低部との差分を一定範囲に収めることを特徴とする。
差分を、0μm超485μm以下に収めることにより、高熱を発する対象物(放熱対象物)に本発明に係るダイヤモンド基板を備えた時、ダイヤモンド基板と放熱対象物との接触面積を確保することが可能となることを見出した。よって、前述の高熱伝導率とも相俟って放熱対象物の放熱効率を向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
基板1の差分が485μm超では、基板1の面内温度の均一性が低下する。
更に基板1の差分を0μm超130μm以下とすることにより、例えば2インチの直径を有する基板1面内の温度をより均一にすることが可能となるため、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
更に基板1の差分を0μm超65μm以下とすることにより、基板面内の温度をより均一にすることが可能となるため、放熱対象物に備えた時にダイヤモンド基板の全面からより均一に放熱対象物の放熱を行うことが可能となり、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。更に、ダイヤモンド基板の全面における熱伝導特性の、面内ばらつき発生を抑制することが可能となる。
更に前記の通り、方形状の場合は対角線の長さを10mm以上、円形状の場合は直径を0.4インチ以上に設定することにより、基板1の大型化が実現される。従って、高熱を発する対象物(放熱対象物)との接触面積をより増加させることが出来るので、放熱対象物の放熱効率をより向上させることが可能となる。
次に、図3〜図11を参照して、本実施形態に係るダイヤモンド基板の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明は図3〜図11図示の形態の製法に限定されない。まず、図3に示すように下地基板4を用意する。下地基板4の材質は、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(α−Al2O3:サファイア)、Si、石英、白金、イリジウム、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等が挙げられる。
また下地基板4は、少なくとも片面4aが鏡面研磨されたものを用いる。後述するダイヤモンド層の成長工程において、ダイヤモンド層は鏡面研磨された面側(片面4aの面上)に成長形成される。
鏡面研磨は、目安としては表面粗さRaで10nm以下まで研磨することが好ましい。片面4aのRaが10nmを超えると、片面4a上に成長させるダイヤモンド層の品質悪化を招いてしまう。Raの測定は、表面粗さ測定機により行う。
下地基板4を用意したら、次に片面4aに図4に示すようにダイヤモンド単結晶から成るダイヤモンド層5を成長させて形成する。ダイヤモンド層5の成長方法は特に限定されず、公知の方法が利用できる。成長方法の具体例としては、パルスレーザ蒸着(PLD:Pulsed Laser Deposition)法や、化学気相蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法等の気相成長法等を用いることが好ましい。
なおダイヤモンド層5の成長前に、前処理として下地基板4の面上に、イリジウム(Ir)単結晶膜を成膜し、そのIr単結晶膜の上にダイヤモンド層5を成長形成しても良い。
図4に示すダイヤモンド層5の厚みd5は、形成しようとする柱状ダイヤモンドの高さとなるように設定し、30μm以上500μm以下の厚みで成長することが好ましい。なお図11に示すように、厚みd9の底部の一部厚みに相当するダイヤモンド層9を残して、柱状ダイヤモンド11を形成しても良い。
次に図5及び図6に示すように、ダイヤモンド層5から、複数の柱状ダイヤモンド6を形成する。その形成には、エッチングやフォトリソグラフィ、レーザ加工等で柱状ダイヤモンド6を形成すれば良い。
下地基板4に対してダイヤモンド層5はヘテロエピタキシャル成長により形成されるため、ダイヤモンド層5には結晶欠陥が多く形成されるものの、複数の柱状ダイヤモンド6とすることにより、欠陥を間引くことが可能となる。
次に、柱状ダイヤモンド6の先端に、ダイヤモンド基板層7(以下、必要に応じて単に「層7」と表記)を成長させて形成する。各柱状ダイヤモンド6の先端からダイヤモンド単結晶を成長させることにより、どの柱状ダイヤモンド6からも均等にダイヤモンド単結晶の成長を進行させることが出来る。そして、各柱状ダイヤモンド6の高さ方向に対して横方向に成長させることにより、同じタイミングで各柱状ダイヤモンド6から成長されたダイヤモンド単結晶のコアレッセンス(coalescence)を開始させることが可能となる。
各柱状ダイヤモンド6から成長させたダイヤモンド単結晶どうしをコアレッセンスすることで、図7及び図8に示すように層7を成長させる。下地基板4の対角線の長さや直径に応じて、形成できる柱状ダイヤモンド6の本数も変わり、下地基板4の対角線の長さや直径が大きくなるに伴い柱状ダイヤモンド6の本数も増やすことが出来る。作製しようとする基板1の大きさに応じて、柱状ダイヤモンド6の本数を増減させることにより、所望の大きさの基板1を作製する事が出来る。
層7の形成後、柱状ダイヤモンド6部分で層7を下地基板4から分離する。本実施形態では層7の成長時に、下地基板4と層7に発生する反りにより柱状ダイヤモンド6に応力を発生させ、その応力により柱状ダイヤモンド6を破壊し、層7を下地基板4から分離する。
例えば、図9に示すようにMgO単結晶製の下地基板4は、その熱膨張係数及び格子乗数がダイヤモンド単結晶製の層7よりも大きい。従って、層7の成長後の冷却時において、層7側に中心部から端部側に向かって、矢印で示すように引張り応力が発生する。引張り応力は、下地基板4と層7との格子定数差によって発生する応力、及び/又は、下地基板4と層7との熱膨張係数差によって発生する。その結果、図9に示すように層7側が凸状となるように、層7、下地基板4、及び各柱状ダイヤモンド6全体が反る。
更に、各柱状ダイヤモンド6に大きな引張り応力が加わり、各柱状ダイヤモンド6にクラックが発生する。このクラック発生が進行することにより、図10に示すように柱状ダイヤモンド6が破壊され、層7が下地基板4から分離される。
層7の大型化に伴い、層7で発生する応力が大きくなっても、柱状ダイヤモンド6の破壊により層7の応力が外部に解放される。従って、層7へのクラック発生が防止され、この点でも大型の基板1の製造を可能としている。また、層7の応力が外部に解放されることで、層7の過大な反り量の発生が防止される。
更に、下地基板4と層7との格子定数差によって発生する応力、及び/又は、下地基板4と層7との熱膨張係数差によって発生する応力を分離に用いることにより、層7の成長後に別途、分離のための装置や器具または工程が不必要となる。従って、基板1の製造工程の簡略化および分離工程の容易化が可能になる。
なお、柱状ダイヤモンド6の高さ方向を、ダイヤモンド層5及び各柱状ダイヤモンド6を形成するダイヤモンド単結晶の(001)面に対して、垂直な方向に設定することにより、応力付加による柱状ダイヤモンド6の破壊が円滑に進行するので好ましい。
図5〜図11における各柱状ダイヤモンド6のアスペクト比は、層7の成長時に各柱状ダイヤモンド6が埋まり切らないような値とし、具体的には5以上が望ましい。
更に、各柱状ダイヤモンド6の直径は、サブミクロン〜5μm程度と設定し、高さ方向において柱状ダイヤモンドの中心部分の直径を、両端の先端部分の直径よりも細く形成することが、柱状ダイヤモンド6の破壊をより容易に且つ円滑に進行可能となり、好ましい。
下地基板4から層7を分離後、層7を研磨して残存する柱状ダイヤモンド6を除去し、スライス、及び円抜き加工して円板を切り出す。更に、その円板にラッピング、研磨、CMP等の種々の加工、及び必要に応じて鏡面研磨を施すことにより、層7から基板1を製造する。従って、層7の厚みd7は、研磨代等を考慮し、前記tよりも若干厚く設定する。
前述の通り、分離した層7の過大な反り量の発生が防止されるため、研磨加工時の荷重印加に伴う層7の割れも防止され、本発明に係る基板1を形成することが出来る。
このように層7から基板1を製造することにより、対角線が10mm以上または直径0.4インチ以上という大型の基板1の製造が可能になる。
以上、本実施形態に係る基板1の製造方法では、層7の成長時及び成長後に、柱状ダイヤモンド6を破壊することで、層7を下地基板4から分離している。よって層7で応力が発生しても、柱状ダイヤモンド6の破壊により層7の応力が外部に解放される。従って、層7での結晶歪みの発生が抑制され、図2に図示したように、基板1の厚み方向における最高部と最低部との差分を、0μm超485μm以下に収めることが可能になることが見出された。
また、柱状ダイヤモンド6の破壊により層7の応力が外部に解放されるため、層7及び基板1へのクラック発生が防止される。
1 ダイヤモンド基板
2 ダイヤモンド基板の表面
4 下地基板
5 ダイヤモンド層
6 柱状ダイヤモンド
7 ダイヤモンド基板層
4a 下地基板の片面
4b 下地基板の裏面
ΔH ダイヤモンド基板の反り量
t ダイヤモンド基板の厚み
d4 下地基板の厚み
d5 ダイヤモンド層の厚み
d7 ダイヤモンド基板層の厚み

Claims (7)

  1. ダイヤモンド基板はダイヤモンド単結晶から成り、
    熱伝導率5W/cm・K以上で、
    ダイヤモンド基板の厚み方向における最高部と最低部との差分が、0μm超485μm以下であることを特徴とするダイヤモンド基板。
  2. 前記熱伝導率が5W/cm・K以上20W/cm・K以下であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド基板。
  3. 前記差分が0μm超130μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイヤモンド基板。
  4. 前記差分が0μm超65μm以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のダイヤモンド基板。
  5. 前記ダイヤモンド基板がうねりを有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のダイヤモンド基板。
  6. 平面方向の形状が方形状、円形状、又はオリフラ面が設けられた円形状であり、
    方形状の場合は対角線の長さが10mm以上であり、円形状の場合は直径が0.4インチ以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のダイヤモンド基板。
  7. 前記対角線の長さが50.8mm以上203.2mm以下か、または前記直径が2インチ以上8インチ以下であることを特徴とする請求項6に記載のダイヤモンド基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7487702B2 (ja) 2021-04-26 2024-05-21 信越半導体株式会社 単結晶ダイヤモンド基板の製造方法

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