JP2017109753A - 電子部品包装用カバーテープ - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリアテープとの接着面における帯電防止性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供する。【解決手段】基材層と、前記基材層の一方の面側に設けられるシーラント層と、前記基材層の前記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層と、を有する電子部品包装用カバーテープであって、25℃、50%RHの条件下、所定の手法で測定した前記帯電防止層の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、電子部品包装用カバーテープに関する。
従来、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ等の電子部品は、電子機器の製造現場において、当該電子部品を収納することが可能なポケットが連続的に形成されたキャリアテープと、上記キャリアテープをシールするカバーテープとからなる包装体に収容して熱シール処理を施した後、紙製或いはプラスチック製のリールに巻かれた状態で、電子回路基板等に表面実装を行う作業領域まで搬送されている。そして、かかる電子部品は、上述した作業領域内で上記包装体のカバーテープを剥離した後、キャリアテープに形成された上記ポケットから取り出され、電子回路基板等に表面実装されることとなる。上記電子部品については、近年の電子機器の小型化に伴って、さらなる小型化、高度実装化が要求されている。そのため、近年の電子部品は、これまで以上に静電気による影響を受けやすくなってきている傾向にある。
こうした事情に鑑みて、近年、電子部品を搬送するために使用するカバーテープについても、後述する種々の特性を向上させることが要求されてきた。第1にカバーテープに要求される特性は、キャリアテープとの接着性と、キャリアテープから剥離する際に静電気の発生を防ぐことができる程度の剥離性とのバランスである。第2にカバーテープに要求される特性は、包装体の内部に収容した電子部品を検査することができる程度の透明性である。第3にカバーテープに要求される特性は、搬送中にカバーテープと電子部品とが摩擦することにより生じる静電気、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に生じる静電気、付着した埃や内容物から発生する静電気等により、包装体内に収容している電子部品が故障してしまうこと(静電破壊されること)を抑制できる程度の帯電防止性である。特に、カバーテープの帯電防止性を向上させる技術については、搬送中にカバーテープと電子部品とが摩擦することにより生じる静電気やキャリアテープからカバーテープを剥離する際に生じる静電気により受ける影響を抑制するという観点において、これまでに種々の検討がなされてきた。
たとえば、特許文献1には、キャリアテープからの剥離の際に発生する帯電を抑えるべく、基材層上に、シーラント層を備え、シーラント層がポリオレフィン系樹脂とポリエーテル/ポリオレフィン共重合体とを含むカバーテープが開示されている。
特許文献2には、カバーテープと電子部品との間の摩擦によって発生する帯電などを抑えるべく、シーラント層面の表面抵抗値が特定の条件を満たすように制御されたカバーテープが開示されている。
上記背景技術の項に前述したように、従来のカバーテープにおいても、上述した3つの特性を向上させることについては、種々検討されてきた。しかしながら、近年カバーテープの静電気対策という観点について要求される技術水準は、ますます高くなっている。本発明者は、従来のカバーテープに関し、以下のような課題を見出した。
具体的には、本発明者は、キャリアテープにシールするカバーテープが巻き出される際、又は電子部品を収容した包装体をリールに巻かれた状態で搬送する際にキャリアテープとカバーテープとを接着している面、すなわち、カバーテープにおけるシーラント層表面とは反対側の表面における摩擦により発生する静電気により、包装体内に収容している電子部品が故障する、又は基盤実装時に貼り付きなどのトラブルを引き起こす場合があることを知見した。このことから、本発明者は、従来のカバーテープについて、シーラント層表面とは反対側の表面における静電気対策という点に改善の余地があることを見出した。
具体的には、本発明者は、キャリアテープにシールするカバーテープが巻き出される際、又は電子部品を収容した包装体をリールに巻かれた状態で搬送する際にキャリアテープとカバーテープとを接着している面、すなわち、カバーテープにおけるシーラント層表面とは反対側の表面における摩擦により発生する静電気により、包装体内に収容している電子部品が故障する、又は基盤実装時に貼り付きなどのトラブルを引き起こす場合があることを知見した。このことから、本発明者は、従来のカバーテープについて、シーラント層表面とは反対側の表面における静電気対策という点に改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明は、キャリアテープとの接着面における帯電防止性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供する。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、キャリアテープとの接着面における帯電防止性を従来のカバーテープと比べて優れたものとするためには、使用時にキャリアテープと接着する面、すなわちカバーテープにおけるシーラント層表面とは反対側の表面について所定の条件で測定した摩擦帯電量の値を制御することが重要であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、基材層と、
前記基材層の一方の面側に設けられるシーラント層と、
前記基材層の前記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層と、
を有する電子部品包装用カバーテープであって、
以下の手順(a)〜(e)により25℃、50%RHで測定した前記帯電防止層の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下である、電子部品包装用カバーテープが提供される。
(a)当該電子部品包装用カバーテープを用い、前記帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)前記袋と前記樹脂ペレットを除電した後、前記樹脂ペレットを前記袋内に入れ密封する。
(d)前記(c)により密封した前記樹脂ペレット入り前記袋に対し1000rpmの振動を5分間与える。
(e)25℃、50%RHという条件下、前記袋の内部から取り出した前記樹脂ペレットの蓄積電気量を測定し、その測定値を摩擦帯電量とする。
前記基材層の一方の面側に設けられるシーラント層と、
前記基材層の前記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層と、
を有する電子部品包装用カバーテープであって、
以下の手順(a)〜(e)により25℃、50%RHで測定した前記帯電防止層の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下である、電子部品包装用カバーテープが提供される。
(a)当該電子部品包装用カバーテープを用い、前記帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)前記袋と前記樹脂ペレットを除電した後、前記樹脂ペレットを前記袋内に入れ密封する。
(d)前記(c)により密封した前記樹脂ペレット入り前記袋に対し1000rpmの振動を5分間与える。
(e)25℃、50%RHという条件下、前記袋の内部から取り出した前記樹脂ペレットの蓄積電気量を測定し、その測定値を摩擦帯電量とする。
本発明によれば、キャリアテープとの接着面における帯電防止性に優れた電子部品包装用カバーテープを提供することができる。
図1は、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープ10(以下、「カバーテープ」とも示す。)は、基材層1と、基材層1の一方の面側に設けられるシーラント層2と、基材層1の上記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層3と、を有するものである。そして、かかるカバーテープ10は、以下の手順(a)〜(e)により25℃、50%RHで測定した帯電防止層3の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下となるものである。こうすることで、キャリアテープの剥離に伴って発生した静電気に対する帯電防止性に優れたカバーテープを実現することができる。
(a)当該電子部品包装用カバーテープを用い、上記帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)上記袋と上記樹脂ペレットを除電した後、上記樹脂ペレットを上記袋内に入れ密封する。
(d)上記(c)により密封した上記樹脂ペレット入り上記袋に対し1000rpmの振動を5分間与える。
(e)25℃、50%RHという条件下、上記袋の内部から取り出した上記樹脂ペレットの蓄積電気量を測定し、その測定値を摩擦帯電量とする。
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープ10(以下、「カバーテープ」とも示す。)は、基材層1と、基材層1の一方の面側に設けられるシーラント層2と、基材層1の上記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層3と、を有するものである。そして、かかるカバーテープ10は、以下の手順(a)〜(e)により25℃、50%RHで測定した帯電防止層3の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下となるものである。こうすることで、キャリアテープの剥離に伴って発生した静電気に対する帯電防止性に優れたカバーテープを実現することができる。
(a)当該電子部品包装用カバーテープを用い、上記帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)上記袋と上記樹脂ペレットを除電した後、上記樹脂ペレットを上記袋内に入れ密封する。
(d)上記(c)により密封した上記樹脂ペレット入り上記袋に対し1000rpmの振動を5分間与える。
(e)25℃、50%RHという条件下、上記袋の内部から取り出した上記樹脂ペレットの蓄積電気量を測定し、その測定値を摩擦帯電量とする。
まず、カバーテープの使用方法について、図2を参照して説明する。
図2に示すように、カバーテープ10は、電子部品の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられたキャリアテープ20の蓋材として用いられる。具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(例えば、ヒートシール)させて使用する。なお、後述においては、カバーテープ10と、キャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品用の包装体100と称して説明する。
図2に示すように、カバーテープ10は、電子部品の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられたキャリアテープ20の蓋材として用いられる。具体的には、カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(例えば、ヒートシール)させて使用する。なお、後述においては、カバーテープ10と、キャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品用の包装体100と称して説明する。
実際、電子機器の製造現場においては、以下の手順で電子部品用の包装体100を作製する。まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品を収容する。次いで、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面にカバーテープ10を接着することで、電子部品が包装体100内に密封収容されてなる構造体を得ることができる。かかる電子部品を収容してなる構造体は、上記背景技術の項で述べたように、紙製或いはプラスチック製のリールに包装体100を巻いた状態で、電子回路基板等に表面実装を行う作業領域まで搬送される。上述したリールに包装体100を巻いた状態で電子部品を搬送する際、キャリアテープ20の底面20aは、カバーテープ10の表面10aと接触(摩擦)している。
本発明者は、従来のカバーテープを用いて作製した電子部品を収容してなる構造体を搬送する際、搬送時の振動によってキャリアテープとカバーテープとを接着している面、すなわち、カバーテープにおけるシーラント層表面とは反対側の表面における摩擦により発生する静電気により、包装体内に収容している電子部品が故障する、又は基板実装時に貼り付きなどのトラブルを引き起こす場合があることを知見した。このことから、従来のカバーテープは、シーラント層表面とは反対側の表面における静電気対策という点に改善の余地を有していた。
本発明者は、従来のカバーテープに関する上述した知見を踏まえ、キャリアテープとの接着面における帯電防止性に優れたカバーテープを実現するために鋭意研究を重ねた結果、使用時にキャリアテープと接着する面、すなわちカバーテープにおけるシーラント層表面とは反対側の表面について所定の条件で測定した摩擦帯電量という尺度が、キャリアテープとの接着面における帯電防止性を向上させるための設計指針として有効であることを見出した。
本実施形態に係るカバーテープは、上述したように、25℃、50%RHという条件下、所定の手法で測定した帯電防止層3の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下という特定の条件を満たすものである。こうすることで、電子部品を搬送する際の振動により、キャリアテープの底面とカバーテープの表面とが接触して発生する静電気が、キャリアテープとカバーテープとからなる包装体内に収容された電子部品に及ぼす影響を低減することが可能となる。そのため、電子部品を搬送する際の振動により、キャリアテープの底面とカバーテープの表面とが接触して発生する帯電により、電子部品が静電破壊されてしまう、又は基板実装時に貼り付きなどのトラブルを引き起こすという不都合が生じることを抑制できる。
ここで、上述した摩擦帯電量という尺度は、摩擦により発生した静電気を帯びた部材に帯電している電荷量を表すものである。一方、従来のカバーテープについて測定されていた摩擦帯電圧という尺度は、所定の部材に関する摩擦前後での表面電位差を表すものである。このように、従来の摩擦帯電圧という尺度は、たとえば、キャリアテープ等の当該カバーテープとの間に摩擦を生じさせる部材を形成する材料やその形状に依存するものである。一方、本実施形態に係る摩擦帯電量という尺度は、たとえば、キャリアテープ等の当該カバーテープとの間に摩擦を生じさせる部材を形成する材料やその形状に依存するものではないという点で相違している。こうした事情を踏まえると、摩擦帯電量という尺度の値を制御した本実施形態に係るカバーテープによれば、結果として、従来のカバーテープと比べて、キャリアテープと接着させる側の面における帯電防止性を高度に制御したものであるといえる。
本実施形態に係るカバーテープにおいて、上記摩擦帯電量の値は、−0.6nC以上0.6nC以下であるが、好ましくは、−0.55nC以上0.55nC以下であり、さらに好ましくは、−0.5nC以上0.5nC以下である。こうすることで、キャリアテープの剥離に伴う帯電防止性をより一層向上させることができる。具体的には、摩擦帯電量の値が、上記数値範囲を満たす場合には、電子機器の製造現場における作業環境が湿度30%RH程度の乾燥状態にある場合においても、搬送中にカバーテープと電子部品とが摩擦することにより発生した静電気、キャリアテープからカバーテープを剥離する際に発生した静電気、付着した埃や内容物から発生した静電気等に対する帯電特性に優れたカバーテープを実現することができる。
ここで、本実施形態に係るカバーテープ10は、当該カバーテープ10の帯電防止層3の表面に対して、ポリスチレンからなる材料により形成されたシートを重ね合わせ、上記シートを速度100mm/sで50mmの間隔で2回摩擦させてから5秒後に、23℃、50%RHで測定した摩擦帯電圧が、好ましくは、−2200V以上2200V以下であり、さらに好ましくは、−800V以上800V以下である。こうすることで、電子部品を搬送する際の振動により、キャリアテープ20の底面20aとカバーテープ10の表面10aとが接触して発生する静電気が、キャリアテープ20とカバーテープ10とからなる包装体100内に収容された電子部品に及ぼす影響をより一層低減することが可能である。
上記摩擦帯電圧は、たとえば、以下の方法で測定することができる。まず、上記カバーテープ10における帯電防止層3の表面と、上記カバーテープ10における帯電防止層3の表面と接触させる、たとえばキャリアテープ20等の対象物表面とを除電する。次いで、対象物表面に対してカバーテープ10における帯電防止層3の表面を、一方向に2回接触させ、公知の表面電位計を用いて上記摩擦帯電圧を測定する。なお、本実施形態に係る摩擦帯電圧は、公知の表面電位計により、帯電防止層3の表面における摩擦帯電圧を直接測定して得られた結果を採用してもよいし、対象物表面における摩擦帯電圧を測定して得られた結果から算出した結果を採用してもよい。
上記摩擦帯電圧は、たとえば、以下の方法で測定することができる。まず、上記カバーテープ10における帯電防止層3の表面と、上記カバーテープ10における帯電防止層3の表面と接触させる、たとえばキャリアテープ20等の対象物表面とを除電する。次いで、対象物表面に対してカバーテープ10における帯電防止層3の表面を、一方向に2回接触させ、公知の表面電位計を用いて上記摩擦帯電圧を測定する。なお、本実施形態に係る摩擦帯電圧は、公知の表面電位計により、帯電防止層3の表面における摩擦帯電圧を直接測定して得られた結果を採用してもよいし、対象物表面における摩擦帯電圧を測定して得られた結果から算出した結果を採用してもよい。
カバーテープ10全体の厚さは、好ましくは、20〜100μmであり、より好ましくは、40〜60μmである。カバーテープ10全体の厚さが上記数値範囲内にある場合、カバーテープ10をキャリアテープ20にシールする際に、カバーテープ10がねじれてしまうといった状況を回避でき、作業性を向上させることができる。
本実施形態に係るカバーテープ10の幅は、好ましくは、2mm以上100mm以下であり、さらに好ましくは、2mm以上80mm以下であり、最も好ましくは、2mm以上50mm以下である。
本実施形態に係るカバーテープ10の全光線透過率は、好ましくは、80%以上であり、さらに好ましくは、85%以上である。こうすることで、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる包装体において、上記キャリアテープのポケット内に電子部品が正しく収容されているか否かを検査することができる程度の透明性を付与することができる。言い換えれば、カバーテープ10の全光線透過率を上記下限値以上とすることにより、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる包装体の内部に収容した電子部品を、当該包装体の外部から視認して確認することが可能となる。なお、カバーテープの全光線透過率は、JIS K7105(1981)に準じて測定することが可能である。
次に、本実施形態に係るカバーテープ10を形成する各層の構成について説明する。
<基材層>
基材層1は、カバーテープ10を構成する主要な層である。そして、基材層1は、カバーテープ10の加工時、キャリアテープ20へのヒートシール時、使用時などに加わる外力に耐えうる機械的強度、及び、ヒートシール時の熱に耐えうる耐熱性があれば、種々の材料を加工したフィルムを用いることができる。
基材層1は、カバーテープ10を構成する主要な層である。そして、基材層1は、カバーテープ10の加工時、キャリアテープ20へのヒートシール時、使用時などに加わる外力に耐えうる機械的強度、及び、ヒートシール時の熱に耐えうる耐熱性があれば、種々の材料を加工したフィルムを用いることができる。
基材層1の全光線透過率は、好ましくは、85%以上であり、さらに好ましくは、90%以上である。こうすることで、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる包装体100において、上記キャリアテープ20のポケット21内に電子部品が正しく収容されているか否かを検査することができる程度の透明性を付与することができる。言い換えれば、基材層1の全光線透過率を上記下限値以上とすることにより、カバーテープ10とキャリアテープ20とからなる包装体100の内部に収容した電子部品を、当該包装体100の外部から視認して確認することが可能となる。なお、基材層1の全光線透過率は、JIS K7105(1981)に準じて測定することが可能である。
基材層1を構成する材料の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタアクリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。この中でも、基材層1を構成する材料としては、ポリエステル系樹脂が好ましく、機械的強度を向上させることができるポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、基材層1を構成する材料としてポリアミド系樹脂を選択する場合、機械的強度、柔軟性を向上させることができるナイロン6を用いることが好ましい。そして、基材層1は、その特性を損なわない範囲で、滑材を含有させてもよい。
なお、基材層1を構成する材料は、帯電防止層3の表面抵抗値が後記する所定値以下となるとともに、全光線透過率が前記した所定値以上となるように選択すればよい。
なお、基材層1を構成する材料は、帯電防止層3の表面抵抗値が後記する所定値以下となるとともに、全光線透過率が前記した所定値以上となるように選択すればよい。
基材層1は、上述した材料を含む単層フィルムにより形成してもよいし、上述した材料を各層に含む多層フィルムを用いて形成してもよい。
また、基材層1を形成するために使用するフィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、カバーテープの機械的強度を向上させる観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
また、基材層1を形成するために使用するフィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、カバーテープの機械的強度を向上させる観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
基材層1の厚さは、好ましくは、9μm以上25μm以下であり、さらに好ましくは、9μm以上16μm以下である。基材層1の厚さが上記上限値以下である場合、カバーテープ10の剛性が高くなりすぎず、シール後のキャリアテープ20に対して捻り応力がかかったとしても、カバーテープ10がキャリアテープ20の変形に追従し、剥離してしまう可能性を低減することができる。また、基材層1の厚さが上記下限値以上であることによって、カバーテープ10の機械的強度が好適なものとなり、キャリアテープ20からカバーテープ10を高速で剥離する場合であっても、カバーテープ10が破断してしまう可能性を低減することができる。
<シーラント層>
シーラント層2は、基材層1の一方の面側に設けられる層であり、カバーテープ10をキャリアテープ20にシール(例えば、ヒートシール)した際に、キャリアテープ20と接触する層である。
シーラント層2は、基材層1の一方の面側に設けられる層であり、カバーテープ10をキャリアテープ20にシール(例えば、ヒートシール)した際に、キャリアテープ20と接触する層である。
シーラント層2は、アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂と、帯電防止剤とを含んで構成される。帯電防止剤としては、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンなどの金属フィラー、及び、ポリオキシエチレンアルキルアミン、第四級アンモニウム、アルキルスルホネートなどの界面活性剤の中から選ばれるいずれか一種又はこれらの混合物が挙げられる。なお、カーボンは、カーボンブラック、ホワイトカーボン、カーボン繊維、カーボンチューブなどの炭素からなる種々の形状のフィラーを含む。
シーラント層2は、搬送中に生じるブロッキングの防止のために、ケイ素、マグネシウム、カルシウムのいずれかを主成分とする酸化物粒子、例えば、シリカ、タルクなど、又は、ポリエチレン粒子、ポリアクリレート粒子、ポリスチレン粒子の中から選ばれるいずれか一種もしくはこれらのアロイを含んでいてもよい。
また、シーラント層2は、速やかに静電気を放電できるように、その表面抵抗値が104〜1011Ω(測定条件:23℃−12%RH)となるように材料を調整するのが好ましい。
また、シーラント層2は、速やかに静電気を放電できるように、その表面抵抗値が104〜1011Ω(測定条件:23℃−12%RH)となるように材料を調整するのが好ましい。
シーラント層2の厚さは、シール作業と剥離作業とを好適に行うことができるように、1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。
<帯電防止層>
帯電防止層3は、基材層1の他方の面側(シーラント層2が設けられる面側とは逆の面側)に設けられる層であり、カバーテープ10の表面10aを構成する層である。
帯電防止層3は、基材層1の他方の面側(シーラント層2が設けられる面側とは逆の面側)に設けられる層であり、カバーテープ10の表面10aを構成する層である。
帯電防止層3の摩擦の対象(以下、適宜「摩擦対象」とする)としては、上述したとおり、キャリアテープ20の底面20aを想定しているが、包装体100の搬送時や電子部品の実装工程において帯電防止層3と接触する可能性のある物質を対象と考えてよい。
また、帯電防止層3の摩擦の対象となる材料(以下、適宜「摩擦対象の材料」とする)としては、キャリアテープ20の材料として用いるポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど、これらに限定されるものではなく、包装体100の搬送時や電子部品の実装工程上、接触する可能性のあるポリエチレン、ゴム(天然ゴム、合成ゴムなどを加工した材料)なども含む。
また、帯電防止層3の摩擦の対象となる材料(以下、適宜「摩擦対象の材料」とする)としては、キャリアテープ20の材料として用いるポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなど、これらに限定されるものではなく、包装体100の搬送時や電子部品の実装工程上、接触する可能性のあるポリエチレン、ゴム(天然ゴム、合成ゴムなどを加工した材料)なども含む。
帯電防止層3を形成する材料は、たとえば、キャリアテープの底面を形成する材料等の電子部品を収容して搬送する際に帯電防止層3の表面と接触する対象物を形成する材料と比べて帯電列において正側に位置する「正の化合物」と、上記対象物を形成する材料と比べて帯電列において負側に位置する「負の化合物」とを含むものであることが好ましい。なお、本実施形態においては、上記キャリアテープの底面を形成する材料がポリスチレン樹脂である場合を想定して、後述にその例示を示す。
それ故、後述に例示する帯電防止層3を形成する材料は、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて正極側に位置する正の化合物と、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて負極側に位置する負の化合物と、を含むものである。
こうすることで、帯電防止層3の表面が対象物と接触した際に、摩擦に伴う静電気の発生を確実に抑制することができる。この理由は、帯電防止層3の表面が対象物と接触した際に、当該帯電防止層3を形成する材料に含まれる正の化合物が正極性に帯電する一方、負の化合物は負極性に帯電することになるため、結果として、帯電防止層3内において電気的に中和することができるからである。
帯電防止層3は、摩擦対象の材料よりも帯電列において正側に位置する「正の化合物」と、摩擦対象の材料よりも帯電列において負側に位置する「負の化合物」と、を含むのが好ましい。
それ故、後述に例示する帯電防止層3を形成する材料は、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて正極側に位置する正の化合物と、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて負極側に位置する負の化合物と、を含むものである。
こうすることで、帯電防止層3の表面が対象物と接触した際に、摩擦に伴う静電気の発生を確実に抑制することができる。この理由は、帯電防止層3の表面が対象物と接触した際に、当該帯電防止層3を形成する材料に含まれる正の化合物が正極性に帯電する一方、負の化合物は負極性に帯電することになるため、結果として、帯電防止層3内において電気的に中和することができるからである。
帯電防止層3は、摩擦対象の材料よりも帯電列において正側に位置する「正の化合物」と、摩擦対象の材料よりも帯電列において負側に位置する「負の化合物」と、を含むのが好ましい。
正の化合物としては、キャリアテープ20の底面を形成する材料等の電子部品を収容して搬送する際に帯電防止層3の表面と接触する対象物を形成する材料がポリスチレンやゴム等を含む場合が多いことから、アジリジニル化合物とその開環化合物を含むものであることが好ましい。
かかるアジリジニル化合物は、一般に、アジリジニル基を有する化合物のことを指し、その具体例としては、N,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジカルボキシアミド)、N,N´−ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート)、N,N´−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、上記アジリジニル化合物として、日本触媒社製のケミタイトPZ−33、DZ−22E等の市販品を使用することもできる。なお、アジリジニル化合物の開環化合物は、アジリジニル化合物中のアジリジニル基が開環した状態にある化合物のことを指す。
かかるアジリジニル化合物は、一般に、アジリジニル基を有する化合物のことを指し、その具体例としては、N,N´−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジカルボキシアミド)、N,N´−ジフェニルメタン−4,4´−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート)、N,N´−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリエチレンメラミン、トリメチロールプロパン−トリ−β(2−メチルアジリジン)プロピオネート、ビスイソフタロイル−1−2−メチルアジリジン、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、トリス−1−2−メチルアジリジンフォスフィンオキサイド等が挙げられる。また、上記アジリジニル化合物として、日本触媒社製のケミタイトPZ−33、DZ−22E等の市販品を使用することもできる。なお、アジリジニル化合物の開環化合物は、アジリジニル化合物中のアジリジニル基が開環した状態にある化合物のことを指す。
上述した正の化合物の含有量は、帯電防止層を形成する材料全量に対して、0.2質量%以上98質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上90質量%以下であるとさらに好ましい。こうすることで、帯電防止層3自体の物理的な強度が高まり接触による帯電防止剤の滑落に強くなる。
負の化合物としては、キャリアテープ20の底面を形成する材料等の電子部品を収容して搬送する際に帯電防止層3の表面と接触する対象物を形成する材料がポリスチレンやゴム等を含む場合が多いことから、エステル化合物を含むものであることが好ましい。かかるエステル化合物とは、有機酸または無機酸とアルコールとが脱水反応により結合して生成した化合物のことを指し、その具体例としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやこれらの誘導体等が挙げられる。
上述した負の化合物の含有量は、帯電防止層を形成する材料全量に対して、0.2質量%以上98質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上90質量%以下であるとさらに好ましい。こうすることで、帯電防止層3自体の物理的な強度が高まり接触による帯電防止剤の滑落に強くなる。
本実施形態に係るカバーテープ10においては、帯電防止層3を形成する材料全量に対する正の化合物や負の化合物の含有量を調節することによって、上述した摩擦帯電量の値が所望の値となるように制御することができる。また、正の化合物や負の化合物は、物質によって様々な帯電傾向(帯電列における摩擦対象の材料との間隔)を有することから、使用する正の化合物や負の化合物を適切に選択することにより、上述した摩擦帯電量の値が所望の値となるようにより一層高度に制御することができる。
帯電防止層3を形成する材料は、当該帯電防止層3の表面抵抗値を低下させて摩擦に伴う静電気の発生を抑制する観点から、導電性ポリマーを含むことが好ましい。かかる導電性ポリマーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール等が挙げられ、中でもポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)系の化合物を好適に用いることができる。
また、帯電防止層3を形成する材料は、当該帯電防止層3を形成する際の濡れ性やレベリング性を向上させる観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。かかる界面活性剤は、低分子型の界面活性剤であっても、高分子型の界面活性剤であってもよいが、フッ素アルキル構造を含む界面活性剤を好適に用いることができる。
また、帯電防止層3を形成する材料は、当該帯電防止層3を形成する際の濡れ性やレベリング性を向上させる観点から、界面活性剤を含むことが好ましい。かかる界面活性剤は、低分子型の界面活性剤であっても、高分子型の界面活性剤であってもよいが、フッ素アルキル構造を含む界面活性剤を好適に用いることができる。
ここで、帯電防止層3の表面における表面抵抗値の値は、23℃、50%RHで測定した上記表面における表面抵抗値の値をR50とし、23℃、12%RHで測定した上記表面における表面抵抗値の値をR12としたとき、R50の値と、R12の値とが、いずれも、1×1011Ω以下であることが好ましく、1×109Ω以下であるとさらに好ましい。より厳密には、帯電防止層3の表面における表面抵抗値の値は、温度23℃、湿度12〜65%RHという環境下において、1×1011Ω以下であることが好ましく、1×109Ω以下であるとさらに好ましい。こうすることで、カバーテープ10の使用時に、仮に帯電してしまったとしても速やかに静電気を放電することが可能となる。また、表面抵抗値の値が上記数値以下に保たれることによって、カバーテープ10の剥離などの作業環境が乾燥状態であっても、速やかに静電気を放電することが可能であるが故、静電気に基づくトラブルの発生を防止することができる。
なお、上述した表面抵抗値については、IEC61340に規定されている方法によって測定することができる。
なお、上述した表面抵抗値については、IEC61340に規定されている方法によって測定することができる。
<その他の層>
カバーテープ10は、基材層1とシーラント層2の間に中間層(図示せず)を設けていてもよい。この中間層は、カバーテープ10全体のクッション性を向上させ、シール時のカバーテープ10とキャリアテープ20との密着性を向上させることができる。
カバーテープ10は、基材層1とシーラント層2の間に中間層(図示せず)を設けていてもよい。この中間層は、カバーテープ10全体のクッション性を向上させ、シール時のカバーテープ10とキャリアテープ20との密着性を向上させることができる。
上述した中間層を形成する材料には樹脂が含まれており、かかる樹脂の具体例としては、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂が挙げられる。中でも、接着対象であるキャリアテープとの密着性を向上させる観点から、オレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
中間層の厚さは、接着対象であるキャリアテープとの密着性を向上させる観点から、好ましくは、10μm以上30μm以下であり、さらに好ましくは、15μm以上25μm以下である。
カバーテープ10は、各層の間に接着層(図示せず)を設けていてもよい。この接着層によれば、各層の間の接着性を向上させることができる。
接着層を形成する材料は、樹脂と導電性物質とを含むことが好ましい。かかる樹脂の具体例としては、ウレタン系のドライラミネート用接着樹脂あるいはアンカーコート用接着樹脂が挙げられ、一般に、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリエステル組成物とイソシアネート化合物とを組み合わせたものが挙げられる。また、導電性物質の具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンなどの金属フィラー、及び、導電性ポリマーなどの有機導電物のいずれか一種又はこれらの混合物が挙げられる。なお、カーボンは、カーボンブラック、ホワイトカーボン、カーボン繊維、カーボンチューブなどの炭素からなる種々の形状のフィラーを含む。
なお、カバーテープ10の各層を形成する材料について上述した内容に関し、複数の物質を「含む」と記載した箇所については、物質間における反応の有無は問わない。具体的には、帯電防止層3に正の化合物としてアジリジニル化合物を含ませる場合、当該アジリジニル化合物は、他の化合物(負の化合物など)と反応していても反応していなくてもよいし、又、所定の化合物と反応させた後の状態で帯電防止層3に含ませてもよい。
次に、本実施形態に係るカバーテープ10の製造方法について説明する。
本実施形態におけるカバーテープ10の製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、後述する製造条件を高度に制御する必要がある。すなわち、以下の2つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって初めて、上述した摩擦帯電量の値が、上述した特定の条件を満たすカバーテープを得ることができる。
(1)帯電防止層3を形成する樹脂材料の配合組成
(2)帯電防止層3を形成する材料と基材層1を形成する材料との組み合わせ
本実施形態におけるカバーテープ10の製造方法は、従来の製造方法とは異なるものであって、後述する製造条件を高度に制御する必要がある。すなわち、以下の2つの条件に係る各種因子を高度に制御する製造方法によって初めて、上述した摩擦帯電量の値が、上述した特定の条件を満たすカバーテープを得ることができる。
(1)帯電防止層3を形成する樹脂材料の配合組成
(2)帯電防止層3を形成する材料と基材層1を形成する材料との組み合わせ
ただし、本実施形態におけるカバーテープ10は、上記2つの条件に係る各種因子を高度に制御することを前提に、たとえば、製造装置の温度設定などの具体的な製造条件は種々のものを採用することができる。言い換えれば、本実施形態におけるカバーテープ10は、上記2つの条件に係る各種因子を高度に制御すること以外の点については、公知の方法を採用して作製することが可能である。以下、上記2つの条件に係る各種因子を高度に制御していることを前提に、カバーテープ10の製造方法の一例を説明する。
まず、基材層1の一方の面に所定の材料を塗布し乾燥させることによって、帯電防止層3を形成する。次いで、基材層1の帯電防止層3を形成した面とは反対側の面にシーラント層2を押出しラミネート法によって積層する。このようにして、本実施形態に係るカバーテープ10は作製することができる。なお、シーラント層2を押出し加工法によりシート形成した後、基材層1の帯電防止層3を形成した面とは反対側の面に対して、かかるシーラント層2からなるシートを積層してもよい。
まず、基材層1の一方の面に所定の材料を塗布し乾燥させることによって、帯電防止層3を形成する。次いで、基材層1の帯電防止層3を形成した面とは反対側の面にシーラント層2を押出しラミネート法によって積層する。このようにして、本実施形態に係るカバーテープ10は作製することができる。なお、シーラント層2を押出し加工法によりシート形成した後、基材層1の帯電防止層3を形成した面とは反対側の面に対して、かかるシーラント層2からなるシートを積層してもよい。
また、上述した中間層を形成する場合には、基材層の帯電防止層を形成した面とは反対側の面に押出しラミネート法によって当該中間層を積層してもよいし、当該中間層を押出し加工法によりシート形成した後、基材層の帯電防止層を形成した面とは反対側の面に対して、中間層からなるシートを積層してもよい。
また、上述した接着層を形成する場合には、従来公知の塗布方法によって、対象となる面に接着層の材料を塗布すればよい。
本発明の実施例を以下に示すが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
各実施例及び比較例で帯電防止層の作製に用いた各原料成分を下記に示した。
(バインダー樹脂)
・正の化合物:アクリル酸エステル共重合体樹脂(東亜合成社製、ジュリマーFC−80)
・負の化合物:水溶性ポリエステル樹脂(互応化学社製、プラスコートZ565)
・正の化合物:アクリル酸エステル共重合体樹脂(東亜合成社製、ジュリマーFC−80)
・負の化合物:水溶性ポリエステル樹脂(互応化学社製、プラスコートZ565)
(帯電防止剤)
・帯電防止剤:ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)系の化合物を含む導電性ポリマー(日本アグフアマテリアルズ社製、Orgacon ICP1010)
・帯電防止剤:ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)系の化合物を含む導電性ポリマー(日本アグフアマテリアルズ社製、Orgacon ICP1010)
(その他)
・希釈溶剤:イソプロピルアルコール/水=1/1
・中和剤:トリエチルアミン(和光純薬社製:TEA)
・界面活性剤:ビックケミージャパン社製、BYK−3440
・希釈溶剤:イソプロピルアルコール/水=1/1
・中和剤:トリエチルアミン(和光純薬社製:TEA)
・界面活性剤:ビックケミージャパン社製、BYK−3440
≪実施例1〜3に係るカバーテープの作製≫
まず、基材層として、厚さが16μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製:E5102)を準備した。
まず、基材層として、厚さが16μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製:E5102)を準備した。
次に、帯電防止層を形成する材料を、以下の方法で準備した。なお、帯電防止層を形成する材料の配合組成は、表1に示す通りである。
帯電防止剤に対して、中和剤と希釈溶剤を加えながら30秒間撹拌した。次に、基材密着性および分散安定性を高めるため、バインダー樹脂と界面活性剤を加えてから30秒間撹拌した。このようにして、液体状の帯電防止層を形成する材料を準備した。
帯電防止剤に対して、中和剤と希釈溶剤を加えながら30秒間撹拌した。次に、基材密着性および分散安定性を高めるため、バインダー樹脂と界面活性剤を加えてから30秒間撹拌した。このようにして、液体状の帯電防止層を形成する材料を準備した。
次いで、得られた帯電防止層を形成する材料(液体状の)を基材層の一方の面に対して、バーコーター又はグラビアコーターを用いてwet厚みが4μmとなるように塗布した。その後、100℃で乾燥させることにより帯電防止層を製膜した。
次に、基材層における帯電防止層を製膜した面とは反対側の面に対し、押出しラミネート法によってシーラント層を積層した。かかるシーラント層を形成する材料としては、15量部のSt―MMA、65重量部のEMAおよび20重量部のPEG−PPからなる樹脂組成物を使用した。なお、シーラント層の厚みは、5μmであった。
以上の方法により、実施例1〜3に係るカバーテープを作製した。得られたカバーテープの幅は、いずれも、8mmであった。
<比較例1に係るカバーテープの製造>
帯電防止層を形成する材料中に正の化合物を混合しなかった点以外は、実施例1〜3と同様の方法でカバーテープを作製した。
帯電防止層を形成する材料中に正の化合物を混合しなかった点以外は、実施例1〜3と同様の方法でカバーテープを作製した。
<比較例2に係るカバーテープの製造>
帯電防止層を形成する材料中に負の化合物を混合しなかった点以外は、実施例1〜3と同様の方法でカバーテープを作製した。
帯電防止層を形成する材料中に負の化合物を混合しなかった点以外は、実施例1〜3と同様の方法でカバーテープを作製した。
実施例および比較例の各カバーテープを用いて、以下の評価を行った。
・摩擦帯電量:25℃、50%RHで測定した帯電防止層の表面における摩擦帯電量は、以下の手順(a)〜(e)で測定した。なお、単位は、nCである。
(a)カバーテープを用い、帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)袋と樹脂ペレットを除電した後、樹脂ペレットを袋内に入れ密封する。
(d)上記(c)により密封した樹脂ペレット入り袋に対し1000rpmの振動を振動機(サイエンティフィックインダストリー社製、VORTEXGENIE2 Digital)を用いて5分間与える。
(e)袋の内部から取り出した樹脂ペレットの蓄積電気量を、ファラデーカップ(electro−tech systems社製、FARADAY CUP MODEL231)を用いて測定する。
(a)カバーテープを用い、帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)袋と樹脂ペレットを除電した後、樹脂ペレットを袋内に入れ密封する。
(d)上記(c)により密封した樹脂ペレット入り袋に対し1000rpmの振動を振動機(サイエンティフィックインダストリー社製、VORTEXGENIE2 Digital)を用いて5分間与える。
(e)袋の内部から取り出した樹脂ペレットの蓄積電気量を、ファラデーカップ(electro−tech systems社製、FARADAY CUP MODEL231)を用いて測定する。
・表面抵抗値:23℃という温度にて50RH%、30RH%および12RH%の3つの湿度条件下での帯電防止層の表面における表面抵抗値を、IEC61340に準じて測定した。なお、単位は、Ωである。
・全光線透過率:カバーテープの全光線透過率は、JIS K7105(1981)に準じて測定した。なお、単位は%である。
上記評価項目に関する評価結果を、帯電防止層の配合組成とあわせて以下の表1に示す。
実施例のカバーテープは、いずれも、キャリアテープの剥離に伴う帯電防止性に優れたものであった。一方、比較例のカバーテープは、キャリアテープの剥離に伴う帯電防止性という点においては、要求水準を満たすものではなかった。
1 基材層
2 シーラント層
3 帯電防止層
10 電子部品包装用カバーテープ(カバーテープ)
10a カバーテープの表面(帯電防止層の表面)
20 キャリアテープ
20a キャリアテープの底面
21 ポケット
100 包装体
2 シーラント層
3 帯電防止層
10 電子部品包装用カバーテープ(カバーテープ)
10a カバーテープの表面(帯電防止層の表面)
20 キャリアテープ
20a キャリアテープの底面
21 ポケット
100 包装体
Claims (9)
- 基材層と、
前記基材層の一方の面側に設けられるシーラント層と、
前記基材層の前記一方の面とは反対側の面に設けられる帯電防止層と、
を有する電子部品包装用カバーテープであって、
以下の手順(a)〜(e)により25℃、50%RHで測定した前記帯電防止層の表面における摩擦帯電量が−0.6nC以上0.6nC以下である、電子部品包装用カバーテープ。
(a)当該電子部品包装用カバーテープを用い、前記帯電防止層の表面が内側となるように幅25mm、長さ100mmの円筒形状の袋を準備する。
(b)断面の短径が2.45mmであり、かつ長径が3.05mmであるとともに、ペレット長が3mmである楕円柱形状に加工されたポリスチレン樹脂からなる樹脂ペレットを準備する。
(c)前記袋と前記樹脂ペレットを除電した後、前記樹脂ペレットを前記袋内に入れ密封する。
(d)前記(c)により密封した前記樹脂ペレット入り前記袋に対し1000rpmの振動を5分間与える。
(e)25℃、50%RHという条件下、前記袋の内部から取り出した前記樹脂ペレットの蓄積電気量を測定し、その測定値を摩擦帯電量とする。 - 23℃、50%RHで測定した前記帯電防止層の表面における表面抵抗値の値をR50とし、23℃、12%RHで測定した前記帯電防止層の表面における表面抵抗値の値をR12としたとき、R50の値と、R12の値とが、いずれも、1×1011Ω以下である、請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 当該電子部品包装用カバーテープの全光線透過率が、80%以上である、請求項1または2に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 当該電子部品包装用カバーテープの幅が2mm以上100mm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 前記帯電防止層を形成する材料が、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて正極側に位置する正の化合物と、摩擦帯電列においてポリスチレン樹脂と比べて負極側に位置する負の化合物と、を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 前記帯電防止層を形成する前記材料全量に対し、前記正の化合物の含有量が、0.2質量%以上98質量%以下である、請求項5に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 前記帯電防止層を形成する前記材料全量に対し、前記負の化合物の含有量が、0.2質量%以上98質量%以下である、請求項5または6に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 前記帯電防止層を形成する前記材料がエステル化合物を含む、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
- 前記帯電防止層を形成する前記材料が、アジリジニル化合物または前記アジリジニル化合物の開環化合物を含む、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の電子部品包装用カバーテープ。
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