JP2017108736A - 核酸増幅用組成物及び核酸増幅法 - Google Patents
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Abstract
Description
項1.テトラメチルアンモニウム塩、L−カルニチン及びテトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする核酸増幅用組成物。
項2.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが、終濃度が50mM以上のテトラメチルアンモニウム塩存在下で阻害されないDNAポリメラーゼである項1に記載の核酸増幅用組成物。
項3.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号19と90%以上の同一性があるDNAポリメラーゼである項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
項4.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがTth DNAポリメラーゼである項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
項5.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがZ05 DNAポリメラーゼである項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
項6.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の変異体である項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
項7.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の少なくともE507位、またはE742位が改変されたDNAポリメラーゼである項6に記載の核酸増幅用組成物。
項8.前記テトラメチルアンモニウム塩が、酢酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項1〜7のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項9.グリコール類を含むことを特徴とする項1〜8のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項10.グリコール類の炭素数が4以下である項1〜9のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項11.グリコール類がエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項1〜10のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項12.反応液中に生体試料を直接添加する項1〜11のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項13.前記生体試料が、血液、血漿または血清等の血液由来試料、唾液、髄液、尿、乳からなる群より選ばれた少なくとも1種の試料である項1〜12のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項14.前記生体試料中のウィルス、細菌、真菌、原虫及び細胞をターゲットとして検出する項1〜13のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項15.少なくとも抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む項1〜14のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項16.少なくとも逆転写酵素、抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む項1〜15のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項17.核酸増幅反応がPCRである項1〜16のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項18.核酸増幅反応がワンステップRT−PCRである項1〜17のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
項19.テトラメチルアンモニウム塩、L−カルニチン及びテトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする核酸増幅法。
項20.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが、終濃度が50mMのテトラメチルアンモニウム塩存在下で阻害されないDNAポリメラーゼである項19に記載の核酸増幅法。
項21.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号19と90%以上の同一性があるDNAポリメラーゼである項20または21に記載の核酸増幅法。
項22.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがTth DNAポリメラーゼである項19〜21のいずれかに記載の核酸増幅法。
項23.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがZ05 DNAポリメラーゼである項19〜22のいずれかに記載の核酸増幅法。
項24.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の変異体である項19〜23のいずれかに記載の核酸増幅法。
項25.前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の少なくともE507位、またはE742位が改変されたDNAポリメラーゼである項19〜24のいずれかに記載の核酸増幅法。
項26.前記テトラメチルアンモニウム塩が、酢酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項19〜25のいずれかに記載の核酸増幅法。
項27.グリコール類を含むことを特徴とする項19〜26のいずれかに記載の核酸増幅法。
項28.グリコール類の炭素数が4以下である項19〜27のいずれかに記載の核酸増幅法。
項29.グリコール類が、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である項19〜28のいずれかに記載の核酸増幅法。
項30.反応液中に生体試料を直接添加する項19〜29のいずれかに記載の核酸増幅法。
項31.前記生体試料が、血液由来試料、唾液、髄液、尿、乳からなる群より選ばれた少なくとも1種の試料である項19〜30のいずれかに記載の核酸増幅法。
項32.前記生体試料中のウィルス、細菌、真菌、原虫及び細胞をターゲットとして検出する項19〜31のいずれかに記載の核酸増幅法。
項33.少なくとも抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む項19〜32のいずれかに記載の核酸増幅法。
項34.少なくとも逆転写酵素、抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む項19〜33のいずれかに記載の核酸増幅法。
項35.核酸増幅反応がPCRである項19〜34のいずれかに記載の核酸増幅法。
項36.核酸増幅反応がワンステップRT−PCRである項19〜35のいずれかに記載の核酸増幅法。
配列番号:1
配列の長さ:20
配列の型:核酸
配列の種類:合成
配列:GAGTCTCCGGGGCTCTATGG
配列番号:2
配列の長さ:28
配列の型:核酸
配列の種類:合成
配列:TCTGAATGTCATCGTCCACTCAGCCACT
5’にFAM、3‘にTAMRAを標識したTaqMan(登録商標)プローブである。
配列番号:3
配列の長さ:20
配列の型:核酸
配列の種類:合成
配列:GCCGCTGAAGGGCTTTTGAA
DNAポリメラーゼのテトラメチルアンモニウム塩耐性評価
BlendTaq(Toyobo製)添付の10×PCR Bufferを用い、1×PCR Buffer、0.2mM dNTPs、50ngヒトゲノム、β―アクチン1.3kbを増幅する15pmolの配列番号4及び5に記載のプライマーを含む50μlの反応液中に、耐性の有無を判定したい酵素を2.5Uになるよう添加する。酢酸テトラメチルアンモニウムを終濃度0、50、100、150、200mMになるように添加し、94℃、30秒の前反応の後、94℃、30秒→60℃、30秒→72℃、90秒を30サイクル繰り返すスケジュールでPCRを行う。増幅産物を電気泳動で確認し、酢酸テトラメチルアンモニウムを添加したものと酢酸テトラメチルアンモニウムを添加していないものを比較し、増幅量が変わらなければ、その濃度までテトラメチルアンモニウム塩に耐性があるということができる。
また、テトラメチルアンモニウム塩に耐性を持たせるためにTaq DNAポリメラーゼに変異を加えたものであってもよい。より好ましくは配列番号6におけるE507位、E742位に変異を入れたものであってもよいが、それ以外にDNAポリメラーゼ活性を維持する範囲で改変されたものであっても良く特に限定されない。また、Tth DNAポリメラーゼの場合には、配列番号19と90%以上、好ましくは95%以上の同一性があるDNAポリメラーゼであってもよい。
100mM 酢酸テトラメチルアンモニウム及び0.3M L−カルニチン及び4% 1,3−プロパンジオールを含むバッファー、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチンを含むバッファー、酢酸テトラメチルアンモニウムを含むバッファー、L−カルニチンを含むバッファー、3種類の試薬を含まないバッファーを調製した。各々のバッファーでリアルタイムRT−PCRを実施した。この時、50μL反応系に10μLの血液を添加した時(血液(+)と記載)と、血液の代わりに滅菌水を添加した時(血液(−)と記載)を比較した。
(1)RNAサンプル
RNAサンプルとして、K562由来Total RNAを使用した。K562由来Total RNAは、K562細胞を培養し、セパゾールRNAを使用してRNA抽出を行い、取得した。K562由来Total RNAを2ng/μLから2pg/μLコピーまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
(2)RT−PCR反応
ReverTra Ace(東洋紡) 1unit、
RNase inhibitor(東洋紡) 1unit、
rTth DNA Polymerase(東洋紡) 1unit、
抗Tth抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer)
10mM dNTPs(東洋紡) 1.0μL、
50μM BCR−ABLフォアードプライマー(配列番号1) 0.3μL、
100μM BCR−ABLプローブ(配列番号2) 0.1μL、
50μM BCR−ABLリバースプライマー(配列番号3) 0.3μL、
RNA 5μL、
血液 10μL、
を含む反応液50μLを、以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 10分
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 45秒 45サイクル
その結果を図1、図2、図3、図4に示す。図1及び図2は、50μL反応系に10μLの血液を添加した時(血液(+)と記載)のデータである。図1は、縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値を取りグラフ化した図である。図2は、リアルタイムRT−PCRを実施したときの増幅曲線を示した図である。図2Aは、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチン及び1,3−プロパンジオールを含むバッファーで実施した結果であり、図2Bは、3種類の試薬を含まないバッファーで実施した結果である。
さらに、図3及び図4は、50μL反応系に血液の代わりに10μLの滅菌水を添加した時(血液(+)と記載)のデータである。図3は縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値をとりグラフ化した図である。図4は、リアルタイムRT−PCRを実施したときの増幅曲線を示した図である。図4Aは、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチン及び1,3−プロパンジオールを含むバッファーで実施した結果であり、図4Bは、3種類の試薬を含まないバッファーで実施した結果である。驚くべきことに、血液添加時は、3種類の試薬を含まないバッファーで検出した場合は、検出できなかったのに対し、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチンを添加したバッファー、または、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチン及び1,3−プロパンジオールを含むバッファーで検出した場合は、血液中の核酸を検出できた。
100mM 酢酸テトラメチルアンモニウム及び0.3M L−カルニチン及び4% 1,3−プロパンジオールを含むバッファーを調製した。調製したバッファーで、Tth DNAポリメラーゼ及びTaq DNAポリメラーゼでリアルタイムRT−PCRを実施した。
(1)RNAサンプル
RNAサンプルとして、K562由来Total RNAを使用した。K562由来Total RNAは、K562細胞を培養し、セパゾールRNAを使用してRNA抽出を行い、取得した。K562由来Total RNAを2ng/μLから2pg/μLコピーまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
(2)RT−PCR反応
ReverTra Ace(東洋紡) 1unit、
RNase inhibitor(東洋紡) 1unit、
rTth DNA Polymerase(東洋紡) 1unit、
抗Tth抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer)
10mM dNTPs(東洋紡) 1.0μL、
50μM BCR−ABLフォアードプライマー(配列番号1) 0.3μL、
100μM BCR−ABLプローブ(配列番号2) 0.1μL、
50μM BCR−ABLリバースプライマー(配列番号3) 0.3μL、
RNA 5μL、
血液 10μL、
を含む反応液50μLを、以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 10分
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 45秒 45サイクル
その結果を図5、図6に示す。図5は、縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値を取りグラフ化した図である。図6Aは、Tth DNAポリメラーゼ、図4Bは、Taq DNAポリメラーゼでリアルタイムRT−PCRを実施した時の増幅曲線である。驚くべきことに、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチン及び1,3−プロパンジオールを含むバッファーはTth DNAポリメラーゼとの組み合わせにより、血液中の核酸を検出できた。一方、Taq DNAポリメラーゼとの組み合わせでは検出不可能であった。
100mM 酢酸テトラメチルアンモニウム及び0.3M L−カルニチン及び4% 1,3−プロパンジオールの代わりに4% エチレングリコール、4% 1,2−プロパンジオール、4% グリセロールを添加したバッファーをそれぞれ調製した。調製した各々のバッファーでリアルタイムRT−PCRを実施した。
(1)RNAサンプル
RNAサンプルとして、K562由来Total RNAを使用した。K562由来Total RNAは、K562細胞を培養し、セパゾールRNAを使用してRNA抽出を行い、取得した。K562由来Total RNAを2ng/μLから2pg/μLコピーまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
(2)RT−PCR反応
ReverTra Ace(東洋紡) 1unit、
RNase inhibitor(東洋紡) 1unit、
rTth DNA Polymerase(東洋紡) 1unit、
抗Tth抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer)
10mM dNTPs(東洋紡) 1.0μL、
50μM BCR−ABLフォアードプライマー(配列番号1) 0.3μL、
100μM BCR−ABLプローブ(配列番号2) 0.1μL、
50μM BCR−ABLリバースプライマー(配列番号3) 0.3μL、
RNA 5μL、
血液 10μL、
を含む反応液50μLを、以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 10分
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 45秒 45サイクル
その結果を図7、図8に示す。図7は縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値を取りグラフ化した図である。図8のAは1,3−プロパンジオール、Bはエチレングリコール、Cは1,2−プロパンジオール、DはグリセロールでリアルタイムRT−PCRを実施した時の増幅曲線である。驚くべきことに、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、グリセロールなどの様々なグリコール類を使用した場合も、1,3−プロパンジオールと同様に血液中の核酸を検出できた。
100mM 酢酸テトラメチルアンモニウム及び0.3M L−カルニチン及び4% 1,3−プロパンジオール、100mM 酢酸テトラメチルアンモニウムの代わりに100mM 塩化テトラメチルアンモニウムを添加したバッファーをそれぞれ調製した。調製した各々のバッファーでリアルタイムRT−PCRを実施した。
(1)RNAサンプル
RNAサンプルとして、K562由来Total RNAを使用した。K562由来Total RNAは、K562細胞を培養し、セパゾールRNAを使用してRNA抽出を行い、取得した。K562由来Total RNAを2ng/μLから2pg/μLコピーまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
(2)RT−PCR反応
ReverTra Ace(東洋紡) 1unit、
RNase inhibitor(東洋紡) 1unit、
rTth DNA Polymerase(東洋紡) 1unit、
抗Tth抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer)
10mM dNTPs(東洋紡) 1.0μL、
50μM BCR−ABLフォアードプライマー(配列番号1) 0.3μL、
100μM BCR−ABLプローブ(配列番号2) 0.1μL、
50μM BCR−ABLリバースプライマー(配列番号3) 0.3μL、
RNA 5μL、
血液 10μL、
を含む反応液50μLを、以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 10分
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 45秒 45サイクル
その結果を図9、図10に示す。図9は、縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値をとりグラフ化した図である。図10Aは、酢酸テトラメチルアンモニウム、Bは塩化テトラメチルアンモニウムでリアルタイムRT−PCRを実施した時の増幅曲線である。驚くべきことに、塩化テトラメチルアンモニウムを使用した場合も酢酸テトラメチルアンモニウムと同様に検出感度が向上した。
100mM 酢酸テトラメチルアンモニウム及び0.3M L−カルニチン及び4% 1,3−プロパンジオールを含むバッファーを調製した。50μL反応系に1μL、2μL、3μL、5μL、10μLおよび15μLの血液を添加してリアルタイムRT−PCRを実施した。
(1)サンプル(培養細胞)
サンプルとして、RNAを使用せずに、K562細胞を使用した。培養したK562細胞の細胞数を計測し、回収、遠心分離した。その後、計測した細胞数より、2000cells/μLになるように、PBS(−)に懸濁させた。これを1/10ずつ段階希釈し、200cells/μLから0.2cells/μLまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
(2)RT−PCR反応
ReverTra Ace(東洋紡) 1unit、
RNase inhibitor(東洋紡) 1unit、
rTth DNA Polymerase(東洋紡) 1unit、
抗Tth抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer)
10mM dNTPs(東洋紡) 1.0μL、
50μM BCR−ABLフォアードプライマー(配列番号1) 0.3μL、
100μM BCR−ABLプローブ(配列番号2) 0.1μL、
50μM BCR−ABLリバースプライマー(配列番号3) 0.3μL、
RNA 5μL、
血液 10μL、
を含む反応液50μLを、以下の温度サイクルで反応した。
50℃ 10分
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 45秒 45サイクル
その結果を図11、図12に示す。図11は、縦軸にCt値、横軸にRNAの対数値を取りグラフ化した図である。図12Aは血液1μL添加時、図12Bは血液2μL添加時、図12Cは血液3μL添加時、図12Dは血液5μL添加時、図12Eは血液10μL添加時、図12Fは血液15μL添加時の増幅曲線の図である。驚くべきことに、酢酸テトラメチルアンモニウム及びL−カルニチン及び1,3−プロパンジオールを含むバッファーは、血液中の細胞から直接RNAを検出することが可能であった。
Taq変異体の作製
Thermus aquaticus由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号7)を含有するプラスミド、pTaq E507K、pTaq E507R、pTaq E742K、pTaq E742Rを作製した。
Tth変異体の作製
Thermus thermophilus由来の改変型耐熱性DNAポリメラーゼ遺伝子(配列番号20)を含有するプラスミド、pTth Q509K、pTth Q509R、pTth E744K、pTth E744Rを作製した。
耐熱性DNAポリメラーゼの作製
実施例6、7で得られた菌体の培養は、以下のようにして実施した。まず、滅菌処理した100μg/mlのアンピシリンを含有するTB培地(Molecular cloning 2nd edition、p.A.2)80mLを、500mL坂口フラスコに分注した。この培地に予め100μg/mlのアンピシリンを含有する3mlのLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム;ギブコ製)で37℃、16時間培養したエシェリシア・コリJM109(プラスミド形質転換株)(試験管使用)を接種し、37℃にて16時間通気培養した。培養液より菌体を遠心分離により回収し、50mlの破砕緩衝液(30mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、30mM NaCl、0.1mM EDTA)に懸濁後、ソニケーション処理により菌体を破砕し、細胞破砕液を得た。次に細胞破砕液を80℃にて15分間処理した後、遠心分離にて不溶性画分を除去した。更に、ポリエチレンイミンを用いた除核酸処理、硫安塩析、ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行い、最後に保存緩衝液(50mM Tris−HCl緩衝液(pH8.0)、50mM 塩化カリウム、1mM ジチオスレイトール、0.1% Tween20、0.1%ノニデットP40、50%グリセリン)に置換し、耐熱性DNAポリメラーゼを得た。
A液: 40mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)、16mM 塩化マグネシウム、15mM ジチオスレイトール、100μg/ml BSA
B液: 1.5μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C液: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol [3H]dTTP)
D液: 20% トリクロロ酢酸(2mM ピロリン酸ナトリウム)
E液: 1mg/ml 仔牛胸腺DNA
A液25μl、B液5μl、C液5μl及び滅菌水10μlをマイクロチューブに加えて攪拌混合後、上記精製酵素希釈液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後冷却し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後更に10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマン製GF/Cフィルター)で濾過し、0.1N塩酸及びエタノールで十分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード製Tri−Carb2810 TR)を用いて計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定した。酵素活性の1単位はこの条件下で30分当り10nmolのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とした。
DNAポリメラーゼのテトラメチルアンモニウム塩耐性評価
上記のテトラメチルアンモニウム塩耐性評価方法で、実施例7で得られた改変型Taq DNAポリメラーゼ、及び野生型Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡)、Tth DNAポリメラーゼ(東洋紡)、Z05 DNAポリメラーゼ(Roche)を評価した。
120mM(終濃度)酢酸テトラメチルアンモニウム、0.3M カルニチン、4% トリメチレングリコールを含むバッファーで、Taq DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、Z05 DNAポリメラーゼ、及び改変型Taq DNAポリメラーゼ(Taq E507K、Taq E507R)で血液を鋳型にリアルタイムPCRを実施した。
(1)鋳型
鋳型として、血液1μlを使用した。
(2)PCR反応
酢酸テトラメチルアンモニウム、カルニチン、トリメチレングリコール以外の組成を下記に示す。
Taq DNA Polymerase(東洋紡)または改変型Taq DNA Polymerase、Tth DNA Polymerase、Z05 DNA Polymerase 1unit、
抗ポリメラーゼ抗体 0.4μg、
10×Buffer(東洋紡 rTth DNA PolymeraseのBuffer) 2μL、
10mM dNTPs(東洋紡) 0.4μL、
10μM プライマー(配列番号16) 0.6μL、
10μM プローブ(配列番号17) 0.6μL、
10μM プライマー(配列番号18) 0.4μL、
血液 1μL、
を含む反応液20μLを、以下の温度サイクルで反応した。
95℃ 1分
95℃ 15秒−60℃ 60秒 40サイクル
その結果を図12に示す。図12はそれぞれの酵素で行った増幅曲線を示す。Taq DNAポリメラーゼでは増幅が見られないものの、改変型Taq DNAポリメラーゼ(E507K、E742K)では立ち上がりが見られ、血液から直接、精製を経ることなく増幅できることが示された。改変型Taq DNAポリメラーゼ(E507R、E742R)、Tth DNAポリメラーゼ、Z05 DNAポリメラーゼでも同様の結果が得られた。テトラメチルアンモニウム塩の効果でPCRの効率が向上し、血液の阻害を受けることなくPCRが成功したと考えられる。
Claims (36)
- テトラメチルアンモニウム塩、L−カルニチン及びテトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが、終濃度が50mM以上のテトラメチルアンモニウム塩存在下で阻害されないDNAポリメラーゼである請求項1に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号19と90%以上の同一性があるDNAポリメラーゼである請求項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがTth DNAポリメラーゼである請求項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがZ05 DNAポリメラーゼである請求項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の変異体である請求項1または2に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の少なくともE507位、またはE742位が改変されたDNAポリメラーゼである請求項6に記載の核酸増幅用組成物。
- 前記テトラメチルアンモニウム塩が、酢酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- グリコール類を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- グリコール類の炭素数が4以下である請求項1〜9のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- グリコール類がエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜10のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 反応液中に生体試料を直接添加する請求項1〜11のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 前記生体試料が、血液、血漿または血清等の血液由来試料、唾液、髄液、尿、乳からなる群より選ばれた少なくとも1種の試料である請求項1〜12のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 前記生体試料中のウィルス、細菌、真菌、原虫及び細胞をターゲットとして検出する請求項1〜13のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 少なくとも抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む請求項1〜14のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 少なくとも逆転写酵素、抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む請求項1〜15のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 核酸増幅反応がPCRである請求項1〜16のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- 核酸増幅反応がワンステップRT−PCRである請求項1〜17のいずれかに記載の核酸増幅用組成物。
- テトラメチルアンモニウム塩、L−カルニチン及びテトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが、終濃度が50mMのテトラメチルアンモニウム塩存在下で阻害されないDNAポリメラーゼである請求項19に記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号19と90%以上の同一性があるDNAポリメラーゼである請求項20または21に記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがTth DNAポリメラーゼである請求項19〜21のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼがZ05 DNAポリメラーゼである請求項19〜22のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の変異体である請求項19〜23のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム耐性DNAポリメラーゼが配列番号6の少なくともE507位、またはE742位が改変されたDNAポリメラーゼである請求項19〜24のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記テトラメチルアンモニウム塩が、酢酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項19〜25のいずれかに記載の核酸増幅法。
- グリコール類を含むことを特徴とする請求項19〜26のいずれかに記載の核酸増幅法。
- グリコール類の炭素数が4以下である請求項19〜27のいずれかに記載の核酸増幅法。
- グリコール類が、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項19〜28のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 反応液中に生体試料を直接添加する請求項19〜29のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記生体試料が、血液由来試料、唾液、髄液、尿、乳からなる群より選ばれた少なくとも1種の試料である請求項19〜30のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 前記生体試料中のウィルス、細菌、真菌、原虫及び細胞をターゲットとして検出する請求項19〜31のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 少なくとも抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む請求項19〜32のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 少なくとも逆転写酵素、抗体、反応緩衝剤および金属イオンを含む請求項19〜33のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 核酸増幅反応がPCRである請求項19〜34のいずれかに記載の核酸増幅法。
- 核酸増幅反応がワンステップRT−PCRである請求項19〜35のいずれかに記載の核酸増幅法。
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