JP2008526216A - 熱不安定性阻害剤を使用するホットスタートポリメラーゼ反応 - Google Patents

熱不安定性阻害剤を使用するホットスタートポリメラーゼ反応 Download PDF

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Abstract

本発明は、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含めたホットスタートポリヌクレオチド合成用の組成物、方法、およびキットに関する。準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し熱安定性核酸ポリメラーゼへのその接触を妨げる、熱により不活性化した阻害性ポリメラーゼタンパク質により、ホットスタートを提供する。合成反応中に利用する高温は阻害性ポリメラーゼの変性を引き起こし、それによって熱安定性連続的運動性ポリメラーゼの作用を可能にする。本発明の組成物は、大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片の突然変異体である特異的な阻害性ポリメラーゼタンパク質を含む。この突然変異体は、ポリメラーゼ活性、連続的運動能、および3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を本質的に欠く。熱により不活性化した阻害性ポリメラーゼおよび熱安定性ポリメラーゼの使用によって、非特異的準備刺激および望ましくない増幅産物の蓄積が減少し、合成反応の特異性および感度が増大する。
【選択図】図1

Description

本発明は、核酸配列を増幅または延長するための組成物および方法に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では、非標的核酸またはプライマー自体における準備刺激ミス(mispriming)などの副反応による、非標的オリゴヌクレオチドの増幅は重大な問題である。バックグラウンド核酸の存在下で増幅を実施し、標的が低レベル、さらに1コピーまでで存在する可能性がある診断用PCR用途において、このことは特に当てはまる(Chouら、Nucleic Acid Res.、20: 1717〜1723(1992))。
Taqなどの熱安定性ポリメラーゼは70℃の範囲の温度でその最高活性を示すが、それらは20〜37℃の範囲の低い温度においても相当な活性を有する。したがって、周囲温度でのPCRの設定中に、非特異的配列における延長が、プライマーの3’端でのわずか数塩基対の形成によって起こる可能性がある。生じる生成物は競合的または阻害的である可能性がある。プライマー二量体は、標的鋳型と無関係に、互いに対形成するプライマーにおけるDNAポリメラーゼの作用によって形成される。プライマー間相互作用の確率は反応中のプライマー対の数と共に増大し、マルチプレックスPCRによって増大する。鋳型DNAにおける非特異的な準備刺激によって、さまざまな大きさの不適切なバンドが生じる可能性がある。生成する非特異的な延長生成物は所望の標的DNAと競合する可能性があり、あるいは結果の解釈を混乱させる可能性がある。
「ホットスタート」PCR法を設計して副反応を最小にし、それによって収率および特異性を改善する。ホットスタートPCRはさまざまな物理的、化学的、または生化学的方法によって実施することができる。物理的ホットスタート法は、高温に達するまでサンプルDNAから、DNAポリメラーゼあるいは1つまたは複数の反応要素を分離することに頼るものである。米国特許第5,599,660号および第5,411,876号中に開示されたように、ワックスバリヤを使用して物理的ホットスタートを実施することができる。Hebertら、Mol. Cell Probes 7: 249〜252(1993);Hortonら、Biotechniques 16: 42〜43(1994)も参照のこと。他のホットスタート法は、PE Applied BiosystemsによるAMPLITAQ GOLD(登録商標)などの、化学的に不活性であるDNAポリメラーゼに関するものである。加熱によって活性化することができる不活性形の酵素が提供される。他のホットスタート法は、DNAポリメラーゼとポリメラーゼに対する抗体を組み合わせることである。1つのこのような方法は、TaqDNAポリメラーゼに対して産生した不活性モノクローナル抗体を利用する。Scaliceら、J. Immun. Methods 172: 147〜163(1994);Sharkeyら、Biotechnology 12: 506〜509(1994);およびKelloggら、Biotechniques 16: 1134〜1137(1994)を参照のこと。抗体は周囲温度でポリメラーゼ活性を抑制するが、高温では熱変性によって不活性化される。ホットスタートPCRの他の方法は、循環温度で変性するまでそれらがアニーリングするのを妨げる二次構造を有する特別なプライマーに関するものである。Ailenbergら、Biotechniques 29: 1018〜1020および1022〜1024(2000)を参照のこと。
ホットスタートPCRを実施する現在の方法は、冗漫さ、高価さ、あるいはその他の欠点を有する。ワックス法では、例えば増幅後にワックスが硬化し、サンプルを除去するために使用するピペットの先端を塞ぐ傾向がある。ワックス法は交差汚染の問題にも苦しみ、PCR反応に干渉する。化学的に不活性であるポリメラーゼに関して、反応条件(95℃で10分間)は鋳型DNAを脱プリン化するほど充分厳しいものである。これらの酵素は、約200塩基対の小さな標的DNAを増幅させるとき最も有効であり、これらは数キロベースより長い標的に関して使用することはできない。熱安定性ポリメラーゼを抑制する抗体は高価であり、多量に使用しなければならず、PCR反応に干渉する可能性がある。特別に設計されるプライマーは標準プライマーより通常長く、注意深く設計しなければならない。
したがって、新規かつ改善されたホットスタートPCR法に関する必要性が存在する。
(発明の概要)
本発明は、核酸を増幅および延長するための新規の組成物および方法に関する。
本発明は、PCRによる標的核酸配列のホットスタート増幅に有用な組成物を提供する。特に本発明は、阻害性ポリメラーゼである熱不安定性阻害剤を提供する。阻害性ポリメラーゼは準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、かつその不活性化温度未満で、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼの準備刺激温度未満の不活性化温度を有する。阻害性ポリメラーゼは、37℃、45℃、50℃、60℃、70℃、または80℃を超える温度で不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長を実施する温度未満で、不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、または50℃未満で不活性状態になることがより好ましい。
好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである。より好ましくは阻害性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性および3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性に欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは低い連続的運動能(processivity)を有するか、あるいは非連続的運動性(non-processive)状態である。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは単離形の天然タンパク質である。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは大腸菌polIのクレノウ断片由来の突然変異体である。より好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
本発明はさらに、配列番号1に示すアミノ酸配列を含む突然変異型DNAポリメラーゼを提供する。本発明はさらに、配列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、例えば配列番号2に示すヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。本発明はさらに、配列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む、ベクターおよび宿主細胞を含む。
本発明の他の態様は、熱安定性(thermostable)連続的運動性(processive)核酸ポリメラーゼおよび阻害性ポリメラーゼを含む組成物である。核酸ポリメラーゼはTaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、またはTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物などのDNAポリメラーゼであってよい。阻害性ポリメラーゼは準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、かつその不活性化温度未満で、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼの準備刺激温度未満の不活性化温度を有する。阻害性ポリメラーゼは、37℃、45℃、50℃、60℃、70℃、または80℃を超える温度で不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長を実施する温度未満で、不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、または50℃未満で不活性状態になることがより好ましい。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである。より好ましくは阻害性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性および3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性に欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは低い連続的運動能を有するか、あるいは非連続的運動性状態である。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは単離形の天然タンパク質である。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは大腸菌polIのクレノウ断片由来の突然変異体である。より好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである。連続的運動性ポリメラーゼの準備刺激温度は、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高いことが好ましい。幾つかの実施形態では、組成物中の阻害性ポリメラーゼの濃度は、連続的運動性ポリメラーゼの濃度より高い。他の実施形態では、阻害性ポリメラーゼの濃度は連続的運動性ポリメラーゼの濃度以下であり、阻害性ポリメラーゼは、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して連続的運動性ポリメラーゼより高い親和性を有する。この組成物の幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは核酸ポリメラーゼであり、阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を部分的あるいは完全に抑制する抗体を、この組成物は含む。組成物は異なる量の抗体、10%、20%、30%、40%、50%、あるいはそれより多くの阻害性ポリメラーゼタンパク質と結合するのに充分な量の抗体などを含むことができる。阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性は、組成物中の抗体によって5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、あるいはそれより多く抑制され得る。
本発明の他の態様では、組成物はサンプル中の標的核酸配列を増幅させるためのキットの一部である。このキットは、熱安定性ポリメラーゼの阻害性ポリメラーゼを提供する。阻害性ポリメラーゼは準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、かつその不活性化温度未満で、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼの準備刺激温度未満の不活性化温度を有する。阻害性ポリメラーゼは、37℃、45℃、50℃、60℃、70℃、または80℃を超える温度で不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長を実施する温度未満で、不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、または50℃未満で不活性状態になることがより好ましい。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである。より好ましくは阻害性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性および3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性に欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは低い連続的運動能を有するか、あるいは非連続的運動性状態である。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは単離形の天然タンパク質である。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは大腸菌polIのクレノウ断片由来の突然変異体である。より好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである。幾つかの型のキットでは、阻害性ポリメラーゼは核酸ポリメラーゼであり、キットは阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を部分的あるいは完全に抑制する抗体を含む。例えば、阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性は、抗体によって5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、あるいはそれより多く抑制され得る。さらにキットは、異なる量の抗体、10%、20%、30%、40%、50%、あるいはそれより多くの阻害性ポリメラーゼタンパク質と結合するのに充分な量の抗体などを含むことができる。
キットは場合によっては、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを含む。核酸ポリメラーゼは例えばTaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、またはTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物などのDNAポリメラーゼであってよい。
キットは適切なバッファー、プライマー、デオキシリボヌクレオチドの混合物、およびそのパッケージ材料をさらに含むことができる。
本発明の他の実施形態は、プライマーを延長させる方法である。この方法は、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼの混合物を使用して、核酸鋳型にアニールしたオリゴヌクレオチドプライマーを延長させることを含む。阻害性ポリメラーゼは延長反応を開始させる前に加え、一方で反応混合物は阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満である。延長反応は、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い温度で実施する。幾つかの実施形態では、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを反応混合物にほぼ同時に加える。他の実施形態では、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを加える前に反応混合物に阻害性ポリメラーゼを加える。阻害性ポリメラーゼは準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、かつその不活性化温度未満で、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する。
本発明はさらに、ホットスタートPCRを実施するための方法を提供する。この方法は、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼおよび阻害性ポリメラーゼの存在下でPCR反応を実施することを含む。阻害性ポリメラーゼは第一の延長反応を開始させる前に加え、一方で反応混合物は阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満である。第一の延長反応は、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い温度で実施する。幾つかの実施形態では、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを反応混合物にほぼ同時に加える。他の実施形態では、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを加える前に反応混合物に阻害性ポリメラーゼを加える。阻害性ポリメラーゼは準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、かつその不活性化温度未満で、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する。
本発明のホットスタートPCR法では、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼは、TaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、またはTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物などのDNAポリメラーゼであってよい。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼの準備刺激温度未満の不活性化温度を有する。阻害性ポリメラーゼは、37℃、45℃、50℃、60℃、70℃、または80℃を超える温度で不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、熱安定性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長を実施する温度未満で、不活性状態になることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、または50℃未満で不活性状態になることがより好ましい。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである。より好ましくは阻害性ポリメラーゼは、ポリメラーゼ活性および3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性に欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは低い連続的運動能を有するか、あるいは非連続的運動性状態である。幾つかの実施形態では、阻害性ポリメラーゼは単離形の天然タンパク質である。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは大腸菌polIのクレノウ断片由来の突然変異体である。より好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
(発明の詳細な説明)
本発明は、準備刺激済ポリヌクレオチド基質と結合し、それによって連続的運動性ポリメラーゼによる延長または増幅を阻害する熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質を使用することによる、ホットスタートPCRを含めたホットスタートによる、ポリヌクレオチドの延長または増幅を実施するための新規の方法を提供する。阻害性ポリメラーゼタンパク質は、阻害性ポリメラーゼタンパク質が熱により不活性化するまで、連続的運動性ポリメラーゼによる準備刺激済ポリヌクレオチド基質への接触を妨げる。阻害性ポリメラーゼの熱による不活性化の後、連続的運動性ポリメラーゼは準備刺激済基質に接触し、次いで準備刺激済ポリヌクレオチド基質を自由に延長または増幅させる。
熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質は、延長または増幅に使用する連続的運動性ポリメラーゼの作用を実質的に抑制するように、準備刺激済ポリヌクレオチド基質と相互作用する任意のタンパク質であってよい。このような阻害性ポリメラーゼタンパク質の一例は、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合する能力を保持しているが本質的に非連続的運動性であり、そのポリメラーゼ活性を本質的に失っており、PCRにおける増幅に一般的に使用する高温で不活性状態である、突然変異型DNAポリメラーゼである。本発明者によって開発された1つの特定の突然変異体、大腸菌PolIのクレノウ断片のD705Pエクソ(−)突然変異体は、準備刺激済基質を熱安定性連続的運動性DNAポリメラーゼから有効に阻害し、熱安定性ポリメラーゼに対する抗体を使用して抗体の熱変性温度未満でその活性を低下させる既存のホットスタート抗体技術と、同程度有効に機能することが実証されてきている。D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼは準備刺激済基質と結合するので、高い熱安定性を有する任意の連続的運動性ポリメラーゼに関する共通のホットスタート技術として、このDNAポリメラーゼを使用することができる。
一般定義
本明細書で使用する「ポリヌクレオチド」は、1ヌクレオチドのペントースの3’位置がホスホジエステル基によって次のペントースの5’位置と連結している、共有結合したヌクレオチドの配列(すなわちRNAに関してリボヌクレオチド、およびDNAに関してデオキシリボヌクレオチド)を指す。用語「ポリヌクレオチド」は、一本鎖および二本鎖ポリヌクレオチドを非制限的に含む。本明細書で使用する用語「ポリヌクレオチド」は、化学的に、酵素によって、あるいは代謝によって修飾された形のポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド」は、しばしばオリゴヌクレオチドと呼ばれる短いポリヌクレオチドも含む(例えば、プライマーまたはプローブ)。ポリヌクレオチドは「5’末端」と「3’末端」を有する、何故ならポリヌクレオチドのホスホジエステル結合は、置換モノヌクレオチドのペントース環の5’炭素と3’炭素に生じるからである。新しい結合が5’炭素用であるポリヌクレオチドの端部が、その5’末端ヌクレオチドである。新しい結合が3’炭素用であるポリヌクレオチドの端部が、その3’末端ヌクレオチドである。本明細書で使用する末端ヌクレオチドは、3’または5’末端の端の位置におけるヌクレオチドである。本明細書で使用するポリヌクレオチド配列は、大きなポリヌクレオチドに対して内側に存在する場合でも(例えば、ポリヌクレオチド内の配列領域)、5’および3’端を有すると言うこともできる。
本明細書で使用する用語「オリゴヌクレオチド」は、短いポリヌクレオチド、典型的には150ヌクレオチド長以下(例えば5〜150、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜50ヌクレオチド長)を指す。しかしながら、本明細書で使用するように、この用語はさらに長い、あるいは短いポリヌクレオチド鎖も含むものとする。「オリゴヌクレオチド」は他のポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができ、したがってポリヌクレオチド検出用のプローブ、あるいはポリヌクレオチド鎖延長用のプライマーとして働くことができる。
本明細書で使用する用語「相補的」は、2つのポリヌクレオチド鎖の領域間、あるいは同じポリヌクレオチド鎖の2領域間の配列相補性の概念を指す。第一ポリヌクレオチド領域のアデニン塩基は、塩基がチミンまたはウラシルである場合第一領域と逆平行である第二ポリヌクレオチド領域の塩基と、特異的水素結合を形成することができること(「塩基対形成」)は知られている。同様に、第一ポリヌクレオチド鎖のシトシン塩基は、塩基がグアニンである場合第一鎖と逆平行である第二ポリヌクレオチド鎖の塩基と、塩基対形成することができることが知られている。ポリヌクレオチドの第一領域は、同じまたは異なるポリヌクレオチドの第二領域と相補的であり、2つの領域が逆平行式に配置する場合、第一領域の少なくとも1つのヌクレオチドは、第二領域の塩基と塩基対形成することができる。したがって、2つの相補的ポリヌクレオチドが各ヌクレオチド位置において塩基対形成することは必要とされない。「相補的」は、第二ポリヌクレオチドと100%すなわち「完全に」相補的であり、したがって各ヌクレオチド位置において塩基対を形成する第一ポリヌクレオチドを指す。「相補的」は、1つまたは複数のヌクレオチド位置にミスマッチヌクレオチドを含む、100%相補的ではない(例えば90%、または80%または70%相補的である)第一ポリヌクレオチドも指す。一実施形態では、2つの相補的ポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で互いにハイブリダイズすることができる。例えば、膜上ハイブリダイゼーション(例えば、ノーザンハイブリダイゼーション)に関して、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃における5×SSC、5×Denhardt溶液、1%SDS中での放射標識プローブとのインキュベーションとして定義する。膜上ハイブリダイゼーション用の厳密な洗浄は以下のように実施する:膜は洗浄当たり10分間、室温において2×SSC/0.1%SDS中で、65℃において0.2×SSC/0.1%SDS中で洗浄し、フィルムに露光する。
本明細書で使用する用語「ハイブリダイゼーション」または「結合」は、(部分的に相補的な鎖を含めた)相補的ポリヌクレオチド鎖の対形成に関して使用する。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、ポリヌクレオチド鎖間の会合の強度)は、ポリヌクレオチド間の相補性の程度、塩の濃度、形成されるハイブリッドの融解温度(Tm)、他の要素の存在(例えば、ポリエチレングリコールの存在または不在)、ハイブリダイズ鎖の重量モル濃度、およびポリヌクレオチド鎖のG:C含量などの条件によって影響を受ける関連するストリンジェンシー条件を含めた、当技術分野でよく知られている多くの要因によって影響を受ける。
本明細書で使用するように、1つのポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドと「ハイブリダイズする」と言うとき、それは2つのポリヌクレオチド間にある程度の相補性が存在すること、あるいは2つのポリヌクレオチドが高ストリンジェンシー条件下でハイブリッドを形成することを意味する。1つのポリヌクレオチドが他のポリヌクレオチドとハイブリダイズしないと言うとき、それは2つのポリヌクレオチド間に配列相補性が存在しないこと、あるいは高ストリンジェンシー条件において2つのポリヌクレオチド間でハイブリッドが形成されないことを意味する。
本明細書で使用する「T」と「融解温度」は、二本鎖ポリヌクレオチド分子の群の50%が一本鎖に解離した状態になる温度である、交換可能な用語である。ポリヌクレオチドのTmを計算するための等式は、当技術分野でよく知られている。例えば、以下の等式:Lがヌクレオチド中のプローブの長さである、T=69.3+0.41×(G+C)%−650/LによってTを計算することができる。ハイブリッドポリヌクレオチドのTも、1M塩におけるハイブリダイゼーションアッセイから採用し、PCRプライマーのTを計算するために一般に使用される式:[(A+Tの数)×2℃+(G+Cの数)×4℃]を使用して推定することができる、例えば、C. R. Newtonら、PCR、第2版、Springer-Verlag(ニューヨーク:1997)、p.24を参照のこと。Tを計算するために構造および配列特性を考慮に入れた、他のさらに精巧な計算法が当技術分野に存在する。計算したTは単なる推定値であり、最適温度は一般に経験によって決定される。
本明細書で使用する用語「鋳型」は、核酸ポリメラーゼによって相補的核酸鎖がそこから合成される、核酸分子のその鎖を指す。本明細書で使用する用語「鋳型依存式」は、プライマー分子の鋳型依存式の延長に関するプロセス(例えば、DNAポリメラーゼによるDNA合成)を指すものとする。用語「鋳型依存式」は、新たに合成されるポリヌクレオチド鎖の配列が相補的塩基対形成のよく知られている法則によって指定される、RNAまたはDNAのポリヌクレオチド合成を指す(例えば、Watson, J. D.ら、遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene)、第4版中、W. A. Benjamin, Inc.、Menlo Park、カリフォルニア州(1987)を参照)。
本明細書で使用する「合成」は、新しいポリヌクレオチド鎖を作製するため、あるいは鋳型依存式に既存のポリヌクレオチド(すなわちDNAまたはRNA)を延長させるための任意のin vitro法を指す。本発明によれば合成は、ポリメラーゼの使用によりポリヌクレオチドの鋳型配列のコピー数を増大させる増幅を含む。ポリヌクレオチド合成(例えば増幅)はポリヌクレオチド(すなわちプライマー)中へのヌクレオチドの取り込みをもたらし、それによってポリヌクレオチドの鋳型と相補的な新しいポリヌクレオチド分子を形成する。形成されたポリヌクレオチド分子およびその鋳型は、他のポリヌクレオチド分子を合成するための鋳型として使用することができる。
本明細書で使用する「核酸ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドの重合を触媒する酵素を指す。一般に、酵素は核酸鋳型配列にアニールするプライマーの3’端において合成を開始させるはずであり、鋳型鎖の5’端に進むはずである。「DNAポリメラーゼ」は、デオキシヌクレオチドの重合を触媒する。知られているDNAポリメラーゼには、例えばPyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ(Lundbergら、1991、Gene、108: 1)、大腸菌DNAポリメラーゼI(LecomteおよびDoubleday、1983、Nucleic Acids Res. 11: 7505)、T7DNAポリメラーゼ(Nordstromら、1981、J. Biol. Chem. 256: 3112)、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ(MyersおよびGelfand1991、Biochemistry 30: 7661)、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ(SteneshおよびMcGowan、1977、Biochim Biophys Acta 475: 32)、Thermococcus litoralis(Tli)DNAポリメラーゼ(VENT DNAポリメラーゼとも呼ばれる、Carielloら、1991、Nucleic Acids Res、19: 4193)、9°NmDNAポリメラーゼ(生産終了品、New England BioLabsから)、Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラーゼ(DiazおよびSabin、1998 Braz J. Med. Res、31: 1239)、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ(Chienら、1976、J. Bacteoriol、127:1550)、Pyrococcus kodakaraensis KODDNAポリメラーゼ(Takagiら、1997、Appl. Environ. Microbial. 63:4504)、JDF−3DNAポリメラーゼ(特許出願WO01/32887)、およびPyrococcus GB−D(PGB−D)DNAポリメラーゼ(Juncosa-Ginestaら、1994、Biotechniques、16: 820)がある。任意の前述の酵素のポリメラーゼ活性は、当技術分野でよく知られている手段によって測定することができる。DNAポリメラーゼ活性の1単位は、本発明により、最適温度(例えば、PfuDNAポリメラーゼに関して72℃)において30分間、ポリマー形への全10nmoleのdNTPの取り込みを触媒する酵素の量として定義する。
本明細書で使用する「5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性」または「5’→3’エクソヌクレアーゼ活性」は、鋳型特異的核酸ポリメラーゼのその活性、例えばモノヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドを連続的にポリヌクレオチドの5’端から除去する(すなわち、大腸菌DNAポリメラーゼIはこの活性を有するが、一方クレノウ(Klenowら、1970、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、65: 168)断片は有しておらず(Klenowら、1971、Eur. J. Biochem.、22: 371))、あるいは5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性に固有に存在し得る核酸分解酵素活性によってポリヌクレオチドを5’端から除去する、幾つかのDNAポリメラーゼと従来関係がある5’→3’エクソヌクレアーゼ活性を指す。
本明細書で使用する「プライマー」は、前に定義した長さ制限のある「オリゴヌクレオチド」を有するかあるいは含み、塩基対形成により標的ポリヌクレオチドとハイブリダイズしてオリゴヌクレオチドプライマー中にヌクレオチドを取り込むための延長(伸長)反応を開始させる、標的ポリヌクレオチドと相補的な配列を有するかあるいは含む、オリゴヌクレオチドの型を指す。開始および伸長に関する条件には、適切な温度における適切なバッファー中での(「バッファー」はコファクターであるか、あるいはpH、イオン強度などに影響を与える代替を含む)、4つの異なるデオキシリボヌクレオシド3リン酸およびDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの重合誘導剤の存在がある。プライマーは、最大の増幅効率のために一本鎖であることが好ましい。本発明において有用な「プライマー」は、一般に約10〜100ヌクレオチド長、好ましくは約17〜50ヌクレオチド長、および最も好ましくは約17〜45ヌクレオチド長である。「増幅プライマー」は、プライマー伸長によって標的配列を増幅させるためのプライマーである。増幅反応を誘導するのに特別な配列または構造は必要とされないので、PCR用の増幅プライマーは標的結合配列のみからなっていてよい。「プライマー領域」は、塩基対形成により標的核酸とハイブリダイズしてオリゴヌクレオチドプライマー中にヌクレオチドを取り込むための延長反応を開始させる、「オリゴヌクレオチドプローブ」または「架橋オリゴヌクレオチドプローブ」上の領域である。
「プライマー伸長反応」または「プライマー伸長部の合成」は、取り込まれるヌクレオチドが標的ポリヌクレオチドの対応するヌクレオチドと相補的であるようなプライマーの3’端へのヌクレオチドの付加をもたらす、標的−プライマーハイブリッドとヌクレオチドの間の反応を意味する。プライマー伸長試薬には、典型的には(i)ポリメラーゼ酵素;(ii)バッファー;および(iii)1つまたは複数の伸長可能なヌクレオチドがある。
本明細書で使用する「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、特定のポリヌクレオチド鋳型配列を増幅させるためのin vitro法を指す。PCR反応は反復的な一連の温度サイクルを含み、典型的には50〜100μlの体積で実施する。反応混合物はdNTP(4つのデオキシヌクレオシドdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPのそれぞれ)、プライマー、バッファー、DNAポリメラーゼ、およびポリヌクレオチド鋳型を含む。1つのPCR反応は、5〜100「サイクル」のポリヌクレオチド分子の変性および合成からなっていてよい。PCR法は米国特許第4,683,195号および第4,683,202号中に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込んでいる。
本明細書で使用する「標的核酸」は、増幅領域を含む核酸を指す。本明細書で使用する「増幅領域」は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって合成または増幅される核酸の領域である。例えば、核酸鋳型の増幅領域は、2つのPCRプライマーと相補的である2配列間に存在する。
本明細書で使用する「増幅産物」は、PCR増幅反応の最後の二本鎖ポリヌクレオチド群を指す。増幅産物は元のポリヌクレオチド鋳型、およびPCR反応中にポリヌクレオチド鋳型を使用してDNAポリメラーゼによって合成されたポリヌクレオチドを含む。
用語「野生型」は、天然源から単離したときのその遺伝子または遺伝子産物の特性を有する、遺伝子または遺伝子産物を指す。対照的に、用語「修飾型」または「突然変異型」は、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較して変化した特性を示す、遺伝子または遺伝子産物を指す。例えば、本発明中の突然変異型DNAポリメラーゼは、低下したウラシル検出活性を示すDNAポリメラーゼである。
本明細書で使用する用語「サンプル」は、その本来の環境から単離されポリヌクレオチドを含む生物物質を指す。本発明の「サンプル」は精製または単離ポリヌクレオチドからなっていてよく、あるいはそれは、ポリヌクレオチドを含む組織サンプルなどの生物サンプル、生物体液サンプル、または細胞サンプルを含むことができる。生物体液には血液、血漿、喀痰、尿、脳脊髄液、洗浄液、および白血球サンプルがある。本発明のサンプルは標的ポリヌクレオチドを含む植物、動物、細菌またはウイルス物質であってよい。本発明の有用なサンプルは、異なる個体、異なる発生段階の同じまたは異なる個体、異なる疾患状態の個体、正常な個体、異なる疾患段階の同じまたは異なる個体、異なる疾患治療が施された個体、異なる環境要因に曝された個体、病状の素因を有する個体、感染疾患(例えばHIV)に暴露した個体だけには限られないが、例えばこれらを含めた異なる供給源から得ることができる。有用なサンプルは、in vitroで培養した組織、細胞、または他のポリヌクレオチドを含む供給源から得ることもできる。培養サンプルは、異なる培地および条件(例えばpH、圧力、または温度)で培養した培養物(例えば、組織または細胞)、異なる長さの時間培養した培養物(例えば、組織または細胞)、異なる因子または試薬(例えば薬剤候補、または調節物質)で処理した培養物(例えば、組織または細胞)、あるいは異なる型の組織または細胞の培養物だけには限られないが、これらを含めた供給源から採取することができる。
本明細書で使用する、サンプルから「単離した」ポリヌクレオチドは、その通常の細胞(例えば染色体)環境から除去したそのサンプル内の天然ポリヌクレオチド配列である。したがって、「単離した」ポリヌクレオチドは、無細胞溶液中に存在し得るか、あるいは異なる細胞環境に置くことができる。
本明細書で使用する用語「量」は、例えばμg、μmolまたはコピー数で測定した、サンプル中の標的ポリヌクレオチドの量を指す。本発明におけるポリヌクレオチドの存在量は、このようなポリヌクレオチドによって放出される蛍光の強度によって測定し、参照ポリヌクレオチド、すなわち知られている量を有するポリヌクレオチドによって放出される蛍光の強度と比較する。
ポリメラーゼ
本発明において使用する核酸ポリメラーゼは中温性または好熱性であってよく、好熱性であることが好ましい。好ましい中温性DNAポリメラーゼにはT7DNAポリメラーゼ、T5DNAポリメラーゼ、クレノウ断片DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼIIIなどがある。本発明の方法において使用することができる好ましい熱安定性DNAポリメラーゼには、Taq、Tne、Tma、Pfu、Tfl、Tth、Stoffel断片、VENT(登録商標)およびDEEPVENT(登録商標)DNAポリメラーゼ、ならびにその突然変異体、変異体および誘導体がある(米国特許第5,436,149号;米国特許第4,889,818号;米国特許第4,965,185号;米国特許第5,079,352号;米国特許第5,614,365号;米国特許第5,374,553号;米国特許第5,270,179号;米国特許第5,047,342号;米国特許第5,512,462号;WO92/06188;WO92/06200;WO96/10640;Barnes, W. M.、Gene 112: 29〜35(1992);Lawyer, F. C.ら、PCR Meth. Appl. 2: 275〜287(1993);Flaman, J.-Mら、Nuc. Acids Res. 22(15): 3259〜3260(1994))。長鎖の核酸分子(例えば、約3〜5Kb長より長い核酸分子)を増幅させるために、少なくとも2つのDNAポリメラーゼ、1つは3’エクソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼ、かつ他方は3’エクソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが典型的には使用される。その開示のその全容を本明細書に組み込んでいる、米国特許第5,436,149号;米国特許第5,512,462号;Fames, W. M.、Gene 112: 29〜35(1992);および2000年12月21日に出願された同時係属出願である米国特許出願第09/741,664号を参照のこと。3’エクソヌクレアーゼ活性を実質的に欠くDNAポリメラーゼの例には、Taq、Tne(エクソ−)、Tma(エクソ−)、Pfu(エクソ−)、Pwo(エクソ−)およびTthDNAポリメラーゼ、ならびにその突然変異体、変異体および誘導体があるが、これらだけには限られない。
本明細書で使用する「熱安定性」は、例えば類似の活性を有する非熱安定形の酵素と比較して、好ましくは約90〜100℃、およびより好ましくは約70〜98℃の温度で熱に対して安定性があり活性がある酵素を指す。例えば、P. furiosusM. jannaschiiA. fulgidusまたはP. horikoshiiなどの好熱性生物に由来する熱安定性核酸ポリメラーゼは、大腸菌由来の核酸ポリメラーゼと比較して、高温においてより安定性があり活性がある。P. furiosus(Pfu)から単離した代表的な熱安定性核酸ポリメラーゼは、Lundbergら、1991、Gene、108: 1〜6中に記載されている。他の代表的な温度安定性ポリメラーゼには、例えば好熱性細菌Thermus flavusThermus ruberThermus therinophilusBacillus stearothermophilus(これは列挙した他の細菌より幾分低い最適温度を有する)、Thermos lacteusThermos rubensThermotoga maritimaから、あるいは好熱性始原細菌Thermococcus litoralis、およびMethanothermus fervidusから抽出したポリメラーゼがある。
PCR増幅用に、本発明において使用する酵素は熱安定性であることが好ましい。本明細書で使用する「熱安定性」は、熱に対して安定性があり、耐熱性であり、高温、例えば50〜90℃で機能する酵素を指す。本発明による熱安定性酵素は、増幅反応に有効であるという1つの基準を満たさなければならない、すなわち酵素は、二本鎖ポリヌクレオチドの変性を行うのに必要な時間高温に曝したときに、不可逆的変性状態(不活性状態)になってはならない。この関係において使用する「不可逆的変性」によって、永続的かつ完全な酵素活性の消失をもたらすプロセスを意味する。変性に必要な加熱条件は、例えばバッファーの塩濃度、ならびに変性するポリヌクレオチドの長さおよびヌクレオチド組成に依存するはずであるが、典型的には単鎖ポリヌクレオチドに関しては主に温度およびポリヌクレオチド長に応じて一定時間85℃〜105℃の範囲であり、典型的には単鎖ポリヌクレオチドに関して0.25分〜長鎖のDNA片に関して4.0分の範囲である。バッファーの塩濃度および/またはポリヌクレオチドのGC組成が増大するとき、高温は許容され得る。酵素は90〜100℃で不可逆的変性状態にならないことが好ましい。本発明による不可逆的変性状態にならない酵素は、増幅反応中少なくとも10%、または少なくとも25%、または少なくとも50%以上の機能または活性を保持する。
本明細書で使用する「始原細菌」DNAポリメラーゼは、B科/polI型群(例えばPfu、KOD、Pfx、VENT、Deep Vent、Tgo、Pwo)またはpolII群(例えばPyrococcus furiosus DP1/DP2 2−サブユニットDNAポリメラーゼ)のいずれかに属するDNAポリメラーゼを指す。「始原細菌」DNAポリメラーゼは、PCRにおいて有用である熱安定性DNAポリメラーゼを指し、Pyrococcus属種(furiosus、GB−D種群、woesii、abysii、horikoshii)、Thermococcus属種(kodakaraensis KOD1、litoralis、9degrees North−7種群、JDF−3種群、gorgonarius)、Pyrodictiurm occultum、およびArchaeoglobus fulgidusから単離したDNAポリメラーゼだけには限られないが、これらを含む。適切な始原細菌は、最大増殖温度>80〜85℃または最適増殖温度>70〜80℃を示すと推測される。Pfu(Stratagene)、KOD(Toyobo)、Pfx(Life Technologies, Inc.)、VENT(New England BioLabs)、Deep Vent(New England BioLabs)、Tgo(Roche)、およびPwo(Roche)を含めた、始原細菌polIDNAポリメラーゼ群由来の適切なPCR酵素が市販されている。前に列挙したものと関係がある他の始原細菌は、古細菌:実験室マニュアル(Archaea: A Laboratory Manual)(Robb, F. T.とPlace, A. R.編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク州、1995中に記載されている。
本明細書で使用する有用な「TaqDNAポリメラーゼ」は、野生型TaqDNAポリメラーゼ、および低い適合性を有する突然変異形のTaqDNAポリメラーゼを含む(例えば、参照により本明細書に組み込んでいる、Patelら、2001、J. Biol. Chem. 276: 5044)。
幾つかの天然の熱安定性DNAポリメラーゼは酵素活性のある3’〜5’エクソヌクレアーゼドメインを有し、本来の校正能力を与え、したがってTaqDNAポリメラーゼより高い適合性を示す。しかしながら、これらのDNAポリメラーゼは、TaqDNAポリメラーゼと比較すると、低いDNA伸長率および全体的に低い連続的運動能をさらに示す。
例えばTaqポリメラーゼとPfuポリメラーゼまたはVENT DNAポリメラーゼなどの校正酵素を組合せた、複数の酵素の集合体をPCRにおいて使用することもできる。このような複数の酵素の混合物は、Taqポリメラーゼ単独と比較すると、高いPCR効率および低い誤差率を示す(Barnes、PNAS USA91: 2216〜2220(1994))。
Taqポリメラーゼの有用な変異体が、欠失/切断技法によって開発されてきている。例えばStoffel断片は、酵素活性のある3’〜5’ポリメラーゼドメインを有するが3’〜5’エクソヌクレアーゼおよび5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性は欠く、TaqDNAポリメラーゼの544アミノ酸のC末端切断部である。他の市販の熱安定性ポリメラーゼ欠失体にはVent(エクソ−)およびDeep Vent(エクソ−)(New England BioLabs、Beverly、マサチューセッツ州)がある。
DNAポリメラーゼに関して本明細書で使用するように、用語DNAポリメラーゼは「その機能性断片」を含む。「その機能性断片」は、ポリメラーゼの全アミノ酸配列未満を含み、少なくとも一組の条件下でポリヌクレオチドの重合を触媒する能力を保持する、野生型または突然変異型DNAポリメラーゼの任意の一部分を指す。このような機能性断片は別個の物体として存在してよく、あるいはそれは、融合タンパク質などの大きなポリペプチドの構成要素であってよい。
本明細書で使用する「校正」活性は、DNAポリメラーゼの3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を指す。「非校正」酵素は、「3’〜5’エクソヌクレアーゼ欠損型」または「3’〜5’エクソ−」であるDNAポリメラーゼを指す。本明細書で使用する「3’〜5’エクソヌクレアーゼ欠損型」または「3’〜5’エクソ−」は、取り込まれたヌクレオチドをDNAポリマーの3’端から除去する能力を実質的に欠く酵素を指す。DNAポリメラーゼのエクソヌクレアーゼ活性、ファミリーBポリメラーゼのメンバーによって例示される3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性などは突然変異によって失われ、エクソヌクレアーゼ欠損型ポリメラーゼをもたらす可能性がある。本明細書で使用するように、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が欠損しているDNAポリメラーゼは、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を実質的に欠く。「実質的に欠く」は活性の欠失、例えば親酵素と比較して0.03%、0.05%、0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、あるいはさらに完全なエクソヌクレアーゼ活性の欠失を含む。3’〜5’エクソヌクレアーゼDNAポリメラーゼ、ならびに3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を低下させるかあるいは排除する突然変異体を作製し特徴付けするために使用される方法は、係属中の米国特許出願第09/698,341号(Sorgeら;2000年10月27日出願)中に開示されている。3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を低下させるかあるいは排除する他の突然変異体は当技術分野で知られており、本明細書で企図する。
さまざまな市販のPolIDNAポリメラーゼが存在しており、その幾つかは修飾されて5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性が低下または消失している。PolIDNAポリメラーゼの5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性を排除するために使用する方法には、(Xuら、1997、J. Mol. Biol.、268: 284およびKimら、1997、Mol. Cells.、7: 468中に記載された)突然変異誘発法、(Klenowら、1971、Eur. J. Biochem.、22:371中に記載された)タンパク質分解消化によるN末端切断、または(Lawyerら、1993、PCR Methods Appl.、2: 275中に記載された)C末端断片としてのクローニングおよび発現によるN末端切断がある。
本発明は、例えばその全容を参照により本明細書に組み込んでいる米国特許第6,333,158号およびWO01/09347A2中に記載されたのと同様の、補助因子と組合せたDNAポリメラーゼも企図する。
ポリメラーゼ連鎖反応
PCRの技法は、そのそれぞれを参照により本明細書に組み込んでいる、PCR:実践的アプローチ(PCR: A Practical Approach)、M. J. McPhersonら、IRL Press(1991)、PCRプロトコル:方法と適用への手引き(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications)、Innisらによる、Academic Press(1990)、およびPCR技術:DNA増幅のための主要と適用(PCR Technology: Principals and Applications for DNA Amplification)、H. A. Erlich、Stockton Press(1989)を含めた、多数の刊行物中に記載されている。PCRは米国特許第4,683,195号;第4,683,202号;第4,800,159号;第4,965,188号;第4,889,818号;第5,075,216号;第5,079,352号;第5,104,792号;第5,023,171号;第5,091,310号;および第5,066,584号を含めた多くの米国特許中にも記載されている。
核酸の増幅は核酸(例えばDNA)分子またはプライマー中へのヌクレオチドの取り込みをもたらし、それによって核酸鋳型と相補的な新たな核酸分子を形成する。形成された核酸分子およびその鋳型は、他の核酸分子を合成するための鋳型として使用することができる。本明細書で使用するように、1つの増幅反応は多ラウンドの核酸合成からなっていてよい。増幅反応は例えばポリメラーゼ連鎖反応を含む(PCR;MullisとFaloona、1987、Methods Enzymol.、155: 335)。1つのPCR反応は、5〜100「サイクル」の核酸分子の変性および合成からなっていてよい。エクソ−DNAポリメラーゼを用いるPCR増幅は、突然変異増幅産物の生成を本来もたらすはずである。
PCR反応は反復的な一連の温度サイクルを含み、典型的には50〜100μlの体積で実施する。反応混合物はdNTP(4つのデオキシヌクレオシドdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPのそれぞれ)、プライマー、バッファー、DNAポリメラーゼ、および核酸鋳型を含む。PCR反応は、第一プライマーが核酸鋳型配列およびプライマー、相補的DNA鎖の合成の1本の鎖中の領域と相補的な配列を含み、第二プライマーが標的核酸配列およびプライマー、相補的DNA鎖の合成の第二鎖中の領域と相補的な配列を含む、一組のオリゴヌクレオチドプライマーを提供すること、および(i)鋳型配列内に含まれる標的核酸配列に増幅に必要とされるプライマーをアニールさせること、(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー延長産物を合成するプライマーを延長させることの、PCRサイクリングステップに許容可能である条件下において、鋳型依存性重合剤として核酸ポリメラーゼを利用して核酸鋳型配列を増幅させることを含む。「一組のオリゴヌクレオチドプライマー」または「一組のPCRプライマー」は、2、3、4個あるいはそれより多くのプライマーを含むことができる。
PCRプライマーは、核酸鋳型とハイブリダイズし第二核酸鎖の酵素による合成を誘導することができる、一本鎖DNAまたはRNA分子であってよい。本発明による有用なPCRプライマーは、10〜100ヌクレオチド長、好ましくは17〜50ヌクレオチド長、およびより好ましくは17〜45ヌクレオチド長である。
プローブおよびプライマーは、典型的には生物学的または化学的合成によって調製されるが、生物学的精製または分解、例えばエンドヌクレアーゼによる消化によって、それらを調製することもできる。
本発明において使用するプローブおよびプライマーなどの短い配列に関しては、生物学的合成と比較して化学的合成がより経済的であることが多い。長い配列に関しては、Messing、1983、Methods Enzymol. 101: 20〜78によって記載されたのと同様の一本鎖DNA用のM13の使用などの、分子生物学において利用する標準的な複製法を使用することができる。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド合成の化学的方法には、ホスホトリエステルおよびホスホジエステル法(Narangら、Meth. Enzymol.(1979)68: 90)、および支持体上での合成(Beaucageら、Tetrahedron Letters.(1981)22: 1859〜1862)、およびホスホルアミド化技法、Caruthers, M. H.ら、Methods in Enzymology(1988)154: 287〜314(1988)、ならびに「DNAとRNAの合成と適用(Synthesis and Applications of DNA and RNA)」、S. A. Narang、編集者ら、Academic Press、ニューヨーク、1987、およびその中に含まれる参照文献中に記載された他の方法がある。
例えばPCRによる、一般に標的ポリヌクレオチドの増幅に関する標識プローブの使用は、Innisら、編集者達、PCRプロトコル(PCR Protocols)(Academic Press、ニューヨーク、1989);Sambrookら、分子クローニング(Molecular Cloning)、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク、1989)などの多くの参照文献中に記載されており、これらはいずれも参照により本明細書に組み込んでいる。幾つかの実施形態では、プローブの結合部位は、標的ポリヌクレオチドを増幅させるために使用するPCRプライマー間に位置する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブ複合体がプライマーとして作用する。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブ複合体は、アンプリコン中に取り込まれるプライマー中に存在する標的核酸と結合する。好ましくはPCRは、TaqDNAポリメラーゼ、例えばAmplitaq(Perkin-Elmer、Norwalk、コネティカット州)、または同等の熱安定性DNAポリメラーゼを使用して行い、PCRのアニーリング温度は使用するオリゴヌクレオチドプローブの融解温度より約5℃〜10℃低い。
PCR反応用バッファーは、PCR反応のバッファー中に使用する任意の知られている化学物質を含むことができる。バッファーは、トリスまたはトリシンから選択されるバッファー組成物を含むことが好ましい。バッファー組成物は、7.5〜9.5のpH範囲を有することがより好ましい。共通のPCR反応用バッファーは、1〜10mMの範囲でMg2+(例えば、MgClまたはMgSO)を含むことが好ましい。本発明によるバッファーは、0〜20mMの範囲でK(例えばKCl)も含むことができる。幾つかの実施形態ではバッファーは、PCR収率を増大させる要素を含む(例えば、0〜20mMの範囲で(NHSO)。他の実施形態ではバッファーは、1つまたは複数の非イオン性界面活性剤(例えば、0〜1%の範囲でトリトンX−100、Tween20、またはNP40)を含む。バッファーは1〜100μg/mlの範囲でBSAを含むこともできる。本発明の好ましい実施形態では、共通のPCR反応用バッファーは、10mMのKCl、10mMの(NHSO、20mMのトリス−Cl(pH8.8)、2mMのMgSO、0.1%トリトンX−100、100μg/mlのBSAを含む。他の好ましい実施形態では、バッファーは10mMのKCl、10mMの(NHSO、20mMのトリス−Cl(pH9.2)、2mMのMgSO、0.1%トリトンX−100、100μg/mlのBSAを含む。
本明細書で使用する用語「1つまたは複数の他の後のPCR増幅反応を反復すること」は、核酸鋳型を増幅させることができる条件下での、核酸鋳型、少なくとも2つのPCRプライマー、誤りがちのDNAポリメラーゼをインキュベートすることを含む、1つまたは複数の他のPCR増幅反応の後の実施を指す。後のPCR反応は、鋳型として先のPCR増幅のPCR増幅産物を使用する、前記インキュベーションステップを含む。先のPCR増幅反応の増幅産物は、当技術分野で知られている手段、例えばフェノール抽出/エタノール沈殿またはカラム精製によって、後のPCR反応用の鋳型として使用する前に精製することができる。後のPCR増幅反応用の鋳型は、先のPCR増幅の全増幅産物の一部分であってよい。それぞれの後のPCR増幅用に、新たな試薬(例えば反応バッファー、dNTP、DNAポリメラーゼ、プライマー)を反応混合物に加える。先のPCR増幅の増幅産物の一部分を使用する場合、後のPCR反応の体積は先のPCR反応と同じであってよい。先のPCR反応の増幅産物全体を鋳型として使用する場合、後のPCR反応は先のPCR反応より多量の体積を有するはずである。
PCR反応は反復的な一連の温度サイクルを含み、典型的には50〜100μlの体積で実施する。反応混合物はdNTP(4つのデオキシヌクレオシドdATP、dCTP、dGTP、およびdTTPのそれぞれ)、プライマー、バッファー、DNAポリメラーゼ、およびポリヌクレオチド鋳型を含む。増幅させる二本鎖標的ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズする2つのプライマーを、PCRは必要とする。PCRでは、この二本鎖標的配列を変性させ、1つのプライマーを変性した標的の各鎖にアニールさせる。プライマーは互いから除去した部位に、その要素から分離したとき1プライマーの伸長産物が他のプライマーとハイブリダイズすることができるような方向で、標的ポリヌクレオチドにアニールする。所与のプライマーが標的配列とハイブリダイズすると、プライマーはDNAポリメラーゼの作用によって伸長する。伸長産物を次いで標的配列から変性させ、そのプロセスを繰り返す。
このプロセスの連続的なサイクルでは、初期サイクル中に生成した伸長産物は、DNA合成用の鋳型として働く。第二サイクルに始まり、増幅産物は対数的割合で蓄積し始める。増幅産物は、第一プライマーの配列、次に最後に第二プライマーと相補的な配列を含む第一鎖、および第一鎖と相補的な第二鎖を含む別個の二本鎖DNA分子である。
PCR法によって可能な多大な増幅により、高いDNAレベルを有するサンプル、陽性対照鋳型から、あるいは先の増幅からの小レベルのDNAの繰越は、意図的に加える鋳型DNAの不在下でもPCR産物をもたらす可能性がある。可能な場合、全ての反応混合物をPCR産物分析およびサンプル調製とは別の領域に設定する。RNA/DNA調製、反応物混合、およびサンプル分析用の、専用または使い捨て容器、溶液、およびピペット(好ましくは明らかな除去用ピペット)の使用は、交差汚染を最小にするはずである。参照により本明細書に組み込んでいる、HiguchiおよびKwok、1989、Nature、339: 237〜238およびKwok、およびOrrego、Innisら編、1990、PCRプロトコル:方法と適用への手引き(PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications)中、Academic Press, Inc.、San Diego、カリフォルニア州、も参照のこと。
PCR促進因子を使用して、増幅の効率を改善することもできる。本明細書で使用する「PCR促進因子」または「ポリメラーゼ促進因子」(PEF)は、ポリヌクレオチドポリメラーゼ促進活性を有する複合体またはタンパク質を指す(Hogrefeら、1997、Strategies 10::93〜96;および米国特許第6,183,997号、両方共参照により本明細書に組み込んでいる)。PfuDNAポリメラーゼに関して、PEFはP45を原型(P50とP45の複合体として)あるいは組換えタンパク質として含む。PfuP50とP45の原型複合体では、P45のみがPCR促進活性を示す。P50タンパク質は、細菌のフラビンタンパク質と構造が類似している。P45タンパク質はdCTPデアミナーゼおよびdUTPaseと構造が類似しているが、それはdUTPをdUMPおよびピロリン酸に転換するdUTPaseとしてのみ機能する。本発明によればPEFは、始原細菌の供給源(例えばPyrococcus furiosus)から得た単離または精製した天然のポリメラーゼ促進タンパク質;ポリメラーゼ促進活性を有する、PfuP45と同じアミノ酸配列を有する完全または部分的合成タンパク質、あるいはその類似体;1つまたは複数の前記天然あるいは完全または部分的合成タンパク質のポリメラーゼ促進混合物;1つまたは複数の前記天然あるいは完全または部分的合成タンパク質のポリメラーゼ促進タンパク質複合体;あるいは1つまたは複数の前記天然タンパク質を含むポリメラーゼ促進型の部分的に精製された細胞抽出物からなる群から選択することもできる(米国特許第6,183,997号、上記)。PEFのPCR促進活性は、当技術分野でよく知られている手段によって定義される。PEFに関する単位定義はPEF(P45)のdUTPase活性に基づくものであり、これはdUTPからのピロリン酸(PPi)の生成を調べることによって測定する。例えば、PEFはdUTP(10mMのdUTP、1×クローニングPfuPCRバッファー中)とインキュベートし、その時間中PEFはdUTPをdUMPおよびPPiに加水分解する。形成されるPPiの量は、Sigma(#P7275)から市販されている結合酵素アッセイシステムを使用して定量化する。活性の1単位は、(85℃において)1時間当たりに形成される4.0nmoleのPPiとして関数によって定義する。
他のPCR添加物も、PCR反応の精度および特異性に影響を与える可能性がある。増幅反応混合物中には0.5mM未満のEDTAが存在する可能性がある。Tween−20(登録商標)およびNonidet(登録商標)P−40などの界面活性剤が、酵素希釈バッファー中に存在する。約0.1%以下の非イオン性界面活性剤の最終濃度が適切であるが、しかしながら、0.01〜0.05%が好ましく、ポリメラーゼ活性に干渉しないはずである。同様に、グリセロールが酵素調製物中に存在することが多く、一般に反応混合物中に1〜20%の濃度まで希釈する。グリセロール(5〜10%)、ホルムアミド(1〜5%)またはDMSO(2〜10%)を、高いGC含量および長い長さ(例えば>1kb)を有する鋳型DNAに関するPCRにおいて加えることができる。これらの添加物は、プライマー鋳型ハイブリダイゼーション反応のTm(融解温度)およびポリメラーゼ酵素の熱安定性を変える。(0.8μg/μlまでの)BSAは、PCR反応の有効性を改善することができる。ベタイン(0.5〜2M)も、高いGC含量およびDNAの長い断片に関するPCRに有用である。塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC、>50mM)、塩化テトラエチルアンモニウム(TEAC)、およびトリメチルアミンN−オキシド(TMANO)を使用することもできる。試験的PCR反応を実施して、前述の各添加物の最適濃度を測定することができる。
本発明は、抗体(ホットスタートPCR用)およびssb(一本鎖DNA結合タンパク質;高特異性)だけには限られないが、これらを含めた添加物を提供する。本発明は、例えばその全容を参照により本明細書に組み込んでいる米国特許第6,333,158号、およびWO01/09347A2中に記載されたのと同様の、補助因子と組合せた突然変異型始原細菌DNAポリメラーゼも企図する。
さまざまな特異的PCR増幅の用途が、当技術分野において利用可能である(総説に関しては、例えばそのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。Erlich、1999、Rev Immunogenet.、1: 127〜34;Prediger 2001、Methods Mol. Biol. 160: 49〜63;Jurecicら、2000、Curr. Opin. Microbiol. 3: 316〜21;Triglia、2000、Methods Mol. Biol. 130: 79〜83;MaClellandら、1994、PCR Methods Appl. 4: S66〜81;AbramsonとMyers、1993、Current Opinion in Biotechnology 4: 41〜47を参照のこと)。
主題発明は、以下を含むPCR用途において使用可能であるが、これらに限定されない:
(i)非特異的増幅を減らすホットスタートPCR。(ii)外側組のプライマーおよび内側組のプライマーを使用してより信頼度が高い産物を合成するネストティッドPCR。(iii)知られている配列の側面に位置する領域を増幅させるための逆PCR。この方法では、DNAを消化し、所望の断片を連結、次いで外側に伸長する既知の配列と相補的なプライマーを使用するPCRによって環状にする。(iv)AP−PCR(arbitrarily primed)/RAPD(ランダム増幅多型DNA)。これらの方法は、任意のオリゴヌクレオチドを使用する増幅によって、ほとんど知られていない標的配列を有する種からゲノムフィンガープリントを作製する。(v)RNA特異的DNAポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)を使用して次いでPCRに使用するcDNAを合成するRT−PCR。この方法は、組織または細胞中の特定の配列の発現の検出に関して非常に感度が高い。この方法を使用して、mRNA転写産物を定量化することもできる。(vi)RACE(cDNA末端の迅速増幅)。これはDNA/タンパク質配列に関する情報が限られている場合に使用する。この方法は、それぞれ唯一の特異的プライマー(および1つのアダプタープライマー)を用いてcDNA断片を生成するcDNAの3’または5’端を増幅させる。重複RACE産物を次いで組合せて、完全長cDNAを生成することができる。(vii)異なる組織中で差異的に発現される遺伝子を同定するために使用されるDD−PCR(ディファレンシャルディスプレイPCR)。DD−PCR中の第一ステップはRT−PCRを含み、したがって増幅は短い、意図的に非特異的なプライマーを使用して実施する。(viii)同じ試料中の2つ以上のDNA配列の特有の標的を同時に増幅させる、マルチプレックスPCR。1つのDNA配列を、PCRの質を確認するための対照として使用することができる。(ix)同じ組のプライマーに関する標的DNA(競合PCR)と競合する内対照DNA配列(ただし異なる大きさ)を使用するQ/C−PCR(定量比較)。(x)遺伝子を合成するために使用されるRecusive PCR。この方法中で使用するオリゴヌクレオチドは遺伝子の伸長部分(>80塩基)と、あるいは重複末端(約20塩基)を有するセンス鎖およびアンチセンス鎖と相補的である。(xi)非対称PCR。(xii)In Situ PCR。(xiii)部位特異的PCR突然変異誘発法。
本発明は、任意の特定の増幅システムに限られない。他のシステムが開発されるとき、それらのシステムは本発明の実施によって恩恵を被る可能性がある。
PCRサイクル中に高温(約95℃)に曝すことにより二本鎖核酸を変性させる熱循環プロセスでは、熱安定性ポリメラーゼが好ましい。
当業者は他のPCRパラメータを使用して、合成/増幅反応の適合性を増大させることもできる。PCRの適合性は、dNTP濃度の変化、反応当たりで使用する酵素の単位、pH、および反応中に存在するMg2+とdNTPの比などの要因によって影響を受ける可能性があることが報告されてきている(Mattilaら、1991、上記)。
Mg2+濃度はプライマーと鋳型の相互作用を安定化させることによって、オリゴヌクレオチドプライマーと鋳型DNAのアニーリングに影響を与え、それはさらにポリメラーゼと鋳型−プライマーの複製複合体を安定化させる。したがって、それはさらに非特異的アニーリングを増大させ、望ましくないPCR産物を生成させる(ゲル中に多数のバンドを与える)ことができる。非特異的な増幅が起こると、Mg2+を低下させる必要はなく、あるいはEDTAを加え、Mg2+をキレート化して増幅の精度および特異性を増大させることができる。
Mg2+、またはCo2+などの他の二価カチオンもDNA重合に影響を与える可能性がある。それぞれのDNAポリメラーゼに適したカチオンは、当技術分野で知られている(例えば、DNA複製(DNA Replication)第2版中、上記)。二価カチオンは、MgCl、Mg(OAc)、MgSO、MnCl、Mn(OAc)、またはMnSOなどの塩の形で供給される。トリス−HClバッファー中での使用に適したカチオン濃度は、MnClに関して0.5〜7mM、好ましくは0.5〜2mM、およびMgClに関して0.5〜10mMである。バイシン/KOAcバッファー中での使用に適したカチオン濃度は、Mn(OAc)に関して1〜20mM、好ましくは2〜5mMである。
DNAポリメラーゼによって必要とされる一価カチオンは、塩化物または酢酸塩のカリウム、ナトリウム、アンモニウム、またはリチウム塩によって供給され得る。KClに関して、濃度は1〜200mMであり、好ましくは濃度は40〜100mMであるが、最適温度は反応中に使用するポリメラーゼに応じて変わる可能性がある。
デオキシリボヌクレオシド3リン酸(dNTP)を、二ナトリウムまたはリチウム塩などのdATP、dCTP、dGTP、dUTP、およびdTTPの塩の溶液として加える。本発明の方法では、それぞれ1μM〜2mMの範囲の最終濃度が適切であり、かつ100〜600μMが好ましいが、ヌクレオチドの最適濃度は全dNTPおよび二価金属イオン濃度、およびバッファー、塩、個々のプライマー、および鋳型に応じてPCR反応中に変わる可能性がある。大きな産物、すなわち1500bpより大きい産物に関しては、トリス−HClバッファーを使用するとき、500μMの各dNTPが好ましい可能性がある。
dNTPは二価カチオンをキレート化する;したがって、使用する二価カチオンの量を、反応中のdNTP濃度にしたがって変える必要はない。(例えば、1.5mMを超える)過剰量のdNTPは誤差率を増大させ、DNAポリメラーゼをおそらく阻害し得る。dNTPを(例えば、10〜50μMに)低下させることによって、誤差率を低下させることができる。さらに大きなサイズの鋳型を増幅させるためのPCR反応は、より多くのdNTPを必要とする可能性がある。
標準的なPCR反応用バッファー中のバッファー要素のpHは、8.3〜8.8である。しかしながら、他のpH範囲を適切に使用することができる。例えば、異なるpH範囲が増幅法の個々の目的によって、あるいは酵素または反応混合物の任意の他の要素によって、必要とされる可能性がある。
PCRはDNA増幅用の非常に強力なツールであり、したがって非常に少ない鋳型DNAが必要とされる。しかしながら、幾つかの実施形態では、誤りの可能性を低下させるために、高いDNA濃度を使用することができる。しかしながら、過剰な鋳型は汚染物質の量を増大させ、有効性を低下させる可能性がある。
通常、3μMまでのプライマーを使用することができるが、プライマーと鋳型の高い比は、非特異的増幅およびプライマー二量体形成をもたらす可能性がある。したがって、プライマー二量体形成を回避するために、プライマー配列を調べることが通常必要である。
鋳型のGC含量が高い場合、変性時間が増大する可能性がある。高いアニーリング温度は、高いGC含量を有するプライマーまたは長鎖プライマーに関して必要とされる可能性がある。勾配PCRは、アニーリング温度を測定する有用な方法である。大きなPCR産物の増幅に関しては、伸長時間を延ばすべきである。しかしながら、ポリメラーゼに対する損傷を制限するために、可能なときは常に伸長時間を短縮する必要がある。サイクルの数は鋳型数が非常に少ない場合は増大させることができ、鋳型数が多い場合は減らすことができる。
熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質
本発明の熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質は、準備刺激済ポリヌクレオチド基質と相互作用して伸長または増幅に使用する連続的運動性ポリメラーゼの作用を抑制する、任意のタンパク質であってよい。阻害性ポリメラーゼタンパク質は準備刺激済鋳型の3’端と結合することができ、阻害性ポリメラーゼタンパク質が伸長または増幅反応中に熱により不活性状態になるまで、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを阻害することができる。阻害性ポリメラーゼタンパク質が、ポリヌクレオチド基質からプライマーを除去することはない。好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼタンパク質は、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合する能力を保持するが、限られたポリメラーゼ活性を有するかあるいはポリメラーゼ活性が完全にない、機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである。限られた連続的運動能を有するかあるいは連続的運動能が完全にない、核酸ポリメラーゼも好ましい。幾つかの好ましい実施形態では、ポリメラーゼは限られた3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有するか、あるいは3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が完全にない。他の好ましい実施形態では、ポリメラーゼは限られた5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性を有するか、あるいは5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性が完全にない。より好ましいのは、阻害性ポリメラーゼが突然変異型DNAポリメラーゼである実施形態であり、それは本質的に非連続的運動性状態であり、そのポリメラーゼ活性を本質的に失っており、PCRにおける増幅に一般的に使用される高温で阻害性ポリメラーゼと同様に不活性状態になる。熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質の他の例には、DNA末端結合タンパク質ヒトKU(例えばLeeら、Mol. Cells 13: 159〜166(2002)を参照のこと)、DNA結合活性を保持しながら3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が消失するように突然変異させた大腸菌エクソヌクレアーゼIII(例えばTaft-Benzら、Nucleic Acids Res. 26: 4005〜4011(1998)を参照のこと)、DNA結合活性を保持しながら3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が消失するように突然変異させたヒトWRNタンパク質(例えばJ. Biol. Chem. 279: 53465〜74(2004)を参照のこと)、およびDNA結合活性を保持しながら3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が消失するように突然変異させたキイロショウジョウバエのエンド−エクソDmGENタンパク質(例えばNucleic Acids Res. 32: 6251〜9(2004)を参照のこと)がある。
大腸菌DNApolIのクレノウ断片の触媒パームドメインは、モチーフAとして知られる高度に保存された13アミノ酸のモチーフを含む。モチーフAの全てのアミノ酸は、触媒に必要な位置705のアスパラギン酸残基以外、活性をある程度保持しながら突然変異させることができる。Shinkaiら、J. Biol. Chem. 276: 18336〜42(2001)。したがって、クレノウ断片のAsp705の突然変異を使用して、本発明による熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質を作製することができる。
1つの特に好ましい阻害性ポリメラーゼは突然変異型DNAポリメラーゼであり、そのポリメラーゼは大腸菌DNApolIのクレノウ断片のD705Pエクソ(−)突然変異体であり、その中では位置705のアスパラギン酸残基がプロリンに置換されており、ポリメラーゼ活性のほぼ完全な消失をもたらしている(図3A、3Bおよび実施例1を参照のこと)。この突然変異体も、2つの他の突然変異、D355AおよびE357Aによって3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を欠いている。この突然変異体のアミノ酸配列は図1中に示し、配列番号1として挙げる配列中に表す。この突然変異体のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド配列は、図2中に配列番号2として示す。配列番号2に示すポリヌクレオチド配列、または類似の配列は、遺伝子コードの縮重性を使用して、発現ベクター中に挿入することができ、これを使用してD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を発現させることができる。この突然変異体は準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、熱安定性連続的運動性DNAポリメラーゼによる合成(伸長または増幅)を効率良く阻害する。この突然変異体が、ホットスタートPCRにおいて熱安定性ポリメラーゼに対する抗体と同程度有効に機能することは実証されてきている。以下の実施例を参照のこと。D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼは準備刺激済基質と結合するので、高い熱安定性を有する任意の連続的運動性ポリメラーゼに関する共通のホットスタート用技術としてそれを使用することができる。
本発明による阻害性ポリメラーゼタンパク質は、熱安定性ポリメラーゼに関するPCRまたは反応中に典型的に遭遇する周囲温度を超える温度で、阻害性ポリメラーゼとしてのその機能が低下するという意味で熱感受性である。阻害性ポリメラーゼの活性は周囲温度、またはPCRに関する設定中に遭遇する可能性がある温度、例えば約0℃〜約37℃などで大部分が完全な状態である。阻害性ポリメラーゼタンパク質は合成に使用するポリメラーゼより熱感受性であるが、阻害性ポリメラーゼが平均的なタンパク質より熱感受性である任意のタンパク質である必要はない。所与の阻害性ポリメラーゼタンパク質の熱感受性は、阻害能力(すなわち、連続的運動性核酸ポリメラーゼの活性の抑制)が最適阻害活性の50%まで低下する温度として本明細書で定義する、その「不活性化温度」の点で記載することができる。最適阻害活性は、0℃〜37℃の範囲の何処かで典型的には観察されるはずである。阻害性ポリメラーゼタンパク質の不活性化温度は、核酸合成(延長または増幅)が実施される温度未満であることが好ましい。合成に使用するポリメラーゼは、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度以上で、ポリメラーゼが不活性化する前に延長または増幅反応を適切に終了することができるほど、充分安定性(すなわち熱安定性)でなければならない。本発明による阻害性ポリメラーゼの不活性化温度は少なくとも約37、45、50、60、70、または80Cであってよく、40℃〜50℃、50℃〜60℃、または60℃〜70℃の範囲であることが好ましい。阻害性ポリメラーゼタンパク質は、熱安定性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型の延長を実施する温度未満で不活性状態になる。阻害性ポリメラーゼは、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、または50℃未満の不活性化温度を有することが好ましい。例えば、D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体の不活性化温度はで約50℃ある。
本発明の熱感受性阻害性ポリメラーゼは、低下型または欠陥型ポリメラーゼ活性を有するポリメラーゼであってよい。このようなポリメラーゼの作製は、ポリメラーゼ活性を低下させるような、任意のアミノ酸の突然変異誘発、任意のアミノ酸の組合せまたは群の突然変異誘発、または任意のアミノ酸における切断によって実施することができる。しかしながら、基質結合活性は、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合する阻害性ポリメラーゼの能力を排除する地点まで低下させてはならない。ポリメラーゼ活性を低下させるが、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合するポリメラーゼの能力を排除する地点まで結合活性には影響を与えないはずである任意の化学修飾によって、ポリメラーゼ活性を低下させるかあるいは排除することもできる。ポリメラーゼ活性は、ポリメラーゼ活性を低下させるが基質結合活性を基質と結合するポリメラーゼの能力を排除する地点まで低下させない、抗体または抗体の断片(例えばFab)によって、低下させるかあるいは排除することもできるはずである。ポリメラーゼは、低下型または欠陥型ポリメラーゼ活性を有する原型ポリメラーゼであってよい。
本発明の熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質は、一本鎖および二本鎖DNA、DNA準備刺激済鋳型、および任意のポリヌクレオチド準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合する能力を有する。
本明細書で使用する「突然変異型」ポリメラーゼは、DNA重合活性、塩基類似体検出活性、逆転写活性、連続的運動能、塩耐性、DNA結合性、鎖置換活性、ヌクレオチド結合性および認識性、3’〜5’または5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性、校正、適合性だけには限られないが、これらを含めた1つまたは複数のDNAポリメラーゼの活性を調節する、あるいは室温におけるDNA重合を減少させる、1つまたは複数の突然変異を含むDNAポリメラーゼを指す。本明細書で定義する「突然変異型」ポリメラーゼは、1つまたは複数のアミノ酸置換、1つまたは複数のアミノ酸挿入、切断、または内部欠失を含むポリメラーゼを含む。本明細書で定義する「突然変異型」ポリメラーゼは、非キメラおよびキメラポリメラーゼを含む。
当技術分野で知られている任意の化学修飾法または突然変異法を使用して、核酸ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を低下させ、ホットスタート反応に適した阻害性ポリメラーゼを生成することができる。例えば、低いDNA重合活性を有するPfuDNAポリメラーゼを作製するために使用する方法は、係属中の米国特許出願第10/035,091号(Hogrefeら;2001年12月21日出願);係属中の米国特許出願第10/079,241号(Hogrefeら;2002年2月20日出願);係属中の米国特許出願第10/208,508号(Hogrefeら;2002年7月30日出願);係属中の米国特許出願第10/227,110号(Hogrefeら;2002年8月23日出願);および係属中の米国特許出願第10/324,846号(Bornsら;2002年12月20日出願)中に開示されており、これらの内容はその全容を本明細書に組み込んでいる。本明細書で使用するように、「低下型」または「欠陥型」「ポリメラーゼ活性」または「重合活性」を有するポリメラーゼは、野生型酵素のそれより低いDNA重合活性を含む、例えば野生型酵素のその重合活性の50%、20%、10%、8%、6%、4%、2%未満、あるいは1%未満を含むポリメラーゼ突然変異体である。
本発明の熱感受性阻害性ポリメラーゼは、低下型または欠陥型3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼであってよい。ポリメラーゼの3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性は、任意のアミノ酸の突然変異誘発、任意のアミノ酸の組合せまたは群の突然変異誘発によって、あるいは3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を低下させるが、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合するポリメラーゼの能力を排除する地点まで結合活性には影響を与えないはずである、任意のアミノ酸における切断によって低下させることができる。3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を低下させるが、準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合するポリメラーゼの能力を排除する地点まで結合活性には影響を与えないはずである任意の化学修飾によって、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を低下させるかあるいは排除することもできる。3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性は、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性に影響を与えるが準備刺激済ポリヌクレオチド基質と結合するポリメラーゼの能力を排除する地点まで結合活性には影響を与えないはずである、抗体または抗体の断片(例えばFab)によって、低下させるかあるいは排除することもできる。ポリメラーゼは、低下型または欠陥型3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有する原型ポリメラーゼであってよい。
好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは、低下型連続的運動能を有するかあるいは本質的に非連続的運動性状態である突然変異型ポリメラーゼである。本明細書で使用する「連続的運動能」は、鋳型または基質と結合状態を保ち、ヌクレオチドの重合を含めた多数の修飾反応を実施する核酸修飾酵素、例えばポリメラーゼの能力を指す。「連続的運動能」はさらに、増大するDNA鎖からの酵素の解離に干渉せずに一連の重合ステップを実施する、核酸修飾酵素、例えばDNAポリメラーゼの能力を指す。「連続的運動能」は、ポリメラーゼの性質、DNA鋳型の配列、および反応条件、例えば塩濃度、特定のタンパク質の温度または存在に依存する可能性がある。
3クラスのユーバクテリアDNAポリメラーゼ、polI、II、およびIIIが存在する。PolIDNAポリメラーゼファミリーの酵素は5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性を有しており、かつ幾つかのメンバーは3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性も示す。PolIIDNAポリメラーゼは5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性を元来欠いているが、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を示す。PolIIIDNAポリメラーゼは細胞の主要な複製DNAポリメラーゼを表し、多数のサブユニットから構成される。polIII触媒サブユニットは5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性を欠くが、幾つかの場合3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性が同じポリペプチド中に存在する。ユーバクテリアpolIIおよびpolIIIDNAポリメラーゼの市販の供給源は存在しない。さまざまな市販のPolIDNAポリメラーゼが存在し、その幾つかは修飾されて5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性が低下しているか、あるいは無効になっている。
ポリメラーゼの突然変異誘発を使用して、新しい有用な核酸ポリメラーゼ変異体が開発されてきている。例えば天然DNAポリメラーゼは、ヌクレオチド類似体の取り込みを強く識別する。この性質は、DNA複製および修復の適合性に貢献する。しかしながら、ヌクレオチド類似体の取り込みは、多くのDNA合成用途、特にDNAの塩基配列決定に有用である。したがって、関連核酸分解酵素活性、5’ヌクレアーゼ活性または3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性のいずれかを欠くDNAポリメラーゼは、DNAの塩基配列決定に好ましい。低いヌクレオチド識別力を有する熱安定性DNAポリメラーゼを作製するために、部位特異的突然変異誘発の試験を開始して、DNAの塩基配列決定に適した必要な活性を有する、突然変異形の幾つかの熱安定性DNAポリメラーゼの同定につながった(参照により本明細書に組み込んでいる、米国特許第5,466,591号)。
DNAポリメラーゼの性質を変えるためのさらに他の手法は、必要な活性を有する1つまたは複数のタンパク質ドメインをDNAポリメラーゼと組合せた、DNAポリメラーゼ融合体を作製することである。Pavlovら、2002、Proc. Natl. Acad. Sci USA、99: 13510〜13515中に記載されたのと同様に、DNAポリメラーゼをDNAトポイソメラーゼV由来のヘリックス−ヘアピン−ヘリックスDNA結合モチーフとインフレームで融合させ、キメラDNAポリメラーゼの連続的運動能、塩耐性および熱安定性を増大させることが示されている。WO97/29209、米国特許第5,972,603号およびBedfordら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 479〜484(1997)中に記載されたのと同様に、チオレドキシン結合ドメインとT7DNAポリメラーゼの融合は、チオレドキシンの存在下においてDNAポリメラーゼ融合体の連続的運動能を増大させる。始原細菌PCNA結合ドメインとTaqDNAポリメラーゼの融合によって、PCNAの存在下において増大した連続的運動能を有し、PCR増幅DNAの高収率を生み出すDNAポリメラーゼ融合体が生成する(Motz, M.ら、J. Biol. Chem.2002年5月3日;277(18);16179〜88)。さらに、その全容を参照により本明細書に組み込んでいるWO01/92501A1中に開示されたのと同様に、Sulfolobus sulfataricus由来の配列非特異的DNA結合タンパク質Sso7dまたはSac7dと、PfuまたはTaqDNAポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼの融合は、これらのDNAポリメラーゼの連続的運動能を大幅に増大させることが示された。DNAポリメラーゼの全体または一部分と異なるDNAポリメラーゼの対応するドメインの、ドメインの置換も記載されている(U.S.2002/0119461)。
多様な生物由来のDNAポリメラーゼを直接比較することによって、これらの酵素のドメイン構造は高度に保存されており、多くの場合、酵素の充分明確なドメインに個々の機能を割り当てることができることを示す。例えば、約340アミノ酸で広がる6個の最も保存されたC末端領域は同じ直線配置で位置し、金属およびdNTP結合部位ならびにDNA鋳型を保持するための裂け目を形成し、したがって重合機能に必要不可欠である高度に保存されたモチーフを含む。他の例では、金属結合、一本鎖DNA結合、および3’〜5’エクソヌクレアーゼ反応の触媒と関係がある大腸菌DNAポリメラーゼIにおける重要な残基を含む3個のアミノ酸領域は、幾つかの原核生物および真核生物のDNAポリメラーゼにおいてアミノ末端半分および同じ直線配置に位置する。これらの保存領域の位置は、望ましい機能、例えば鋳型認識を保ちながら修飾活性を有する突然変異型DNAポリメラーゼを調製するための、遺伝的修飾を誘導するのに有用なモデルを与える。
例えば、突然変異型DNAポリメラーゼは、遺伝的修飾によって(例えば、野生型DNAポリメラーゼのDNA配列を修飾することによって)作製することができる。DNA配列のランダムおよび標的化突然変異を可能にする、幾つかの方法が当技術分野で知られている(例えば、Ausubelら、分子生物学の簡潔プロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(1995)第3版.John Wiley & Sons, Inc.を参照のこと)。さらに、従来型とPCR系の両方の方法を含めた部位特異的突然変異誘発法用の、幾つかの市販のキットが存在する。例にはStratageneから入手可能なEXSITE(登録商標)PCR系部位特異的突然変異誘発法用キット(カタログ番号200502)、およびStratageneからのQUIKCHANGE(登録商標)部位特異的突然変異誘発法用キット(カタログ番号200518)、およびさらにStratageneからのCHAMELEON(登録商標)二本鎖部位特異的突然変異誘発法用キット(カタログ番号200509)がある。
当技術分野で知られている部位特異的突然変異誘発法のさらに古い方法は、一本鎖DNA鋳型の単離を可能にする、M13バクテリオファージベクターなどのベクター中への、突然変異させる配列のサブクローニングに頼るものである。これらの方法では、突然変異誘発用プライマー(すなわち、突然変異させる部位にアニールすることができるが、突然変異させる部位に1つまたは複数のミスマッチヌクレオチドを有するプライマー)を一本鎖鋳型にアニールさせ、次いで突然変異誘発用プライマーの3’端から始まる鋳型の相補体を重合させる。生成した二重鎖を次いで宿主細菌に形質転換し、プラークを所望の突然変異に関してスクリーニングする。
さらに近年では、部位特異的突然変異誘発法は、一本鎖鋳型を必要としない利点を有するPCR法を利用している。さらに、サブクローニングを必要としない方法が開発されてきている。PCR系の部位特異的突然変異誘発法を実施するとき、幾つかの問題を考慮しなければならない。最初に、これらの方法では、PCRサイクルの数を減らしてポリメラーゼによって導入される望ましくない突然変異の広がりを妨げることが望ましい。第二に、選択を利用して反応中に存在する非突然変異型親分子の数を減らさなければならない。第三に、1つのPCRプライマーセットの使用を可能にするために長期のPCR法が好ましい。および第四に、幾つかの熱安定性ポリメラーゼの非鋳型依存性末端伸長活性のために、PCRにより生じた突然変異産物の平滑末端連結の前に、手順中に末端精製ステップを取り込むことが必要であることが多い。
1つまたは複数のランダムに位置する突然変異を有する一群の突然変異をもたらすはずである、ランダムな突然変異誘発の方法が当技術分野に存在する。野生型ポリメラーゼに対して低いDNA重合活性、3’〜5’エクソヌクレアーゼ欠陥、または連続的運動能だけには限られないがこれらを含めた性質を示す突然変異体などの、このような一群の突然変異体は、次いで所望の活性に関してスクリーニングすることができる(例えば、200μMのdUTPの存在下および所与のDNAポリメラーゼに関する最適温度での、30分間のポリマー形中への10nmoleのdNTPの取り込みを測定することによって)。ランダムな突然変異誘発に関する方法の一例は、いわゆる「誤りがちのPCR法」である。名称が示すように、この方法は、DNAポリメラーゼが高い適合性の取り込みに助力しない条件下で所与の配列を増幅させる。異なるDNAポリメラーゼに関する誤りがちの取り込みを助長する条件は変化するが、しかしながら当業者は、所与の酵素に関するこのような条件を決定することができる。増幅の適合性における多くのDNAポリメラーゼに関する重要な変数は、例えばバッファー中の二価金属イオンの型および濃度である。したがってマンガンイオンの使用および/またはマグネシウムまたはマンガンイオン濃度の変化を適用して、ポリメラーゼの誤差率に影響を与えることができる。
突然変異誘発によって生じる望ましい突然変異型DNAポリメラーゼの遺伝子を塩基配列決定して、突然変異の部位および数を同定することができる。2つ以上の突然変異を含む突然変異体に関しては、個々の突然変異体が有する他の突然変異とは別に、部位特異的突然変異誘発法により野生型遺伝子に同定した突然変異を導入することによって、所与の突然変異の影響を評価することができる。このようにして生じた1つの突然変異体のスクリーニングアッセイは、その突然変異単独の影響の測定をしたがって可能にするはずである。
典型的には、5’〜3’エクソヌクレアーゼ活性、3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性、識別活性、および適合性は典型的に異なる性質を有するアミノ酸の置換によって影響を受ける可能性がある。例えば、Aspなどの酸性アミノ酸は、塩基性、中性あるいは極性であるが無電荷のアミノ酸、Lys、Arg、His(塩基性);Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp(中性);またはGly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGln(極性であるが無電荷)などに変わり得る。GluはAsp、Ala、Val Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、AsnまたはGlnに変わり得る。
DNAポリメラーゼの有効性を測定する方法は、PCRプライマー:実験室マニュアル(PCR Primer: A Laboratory Manual)、1995、CSHL Press、ChaとThilly、pp. 37〜51中に記載されている。鋳型長増幅能力を測定する方法は、Proc Natl. Acad. Sci USA、2002、99: 596〜601およびJ. Biotechnol、2001、88: 141〜149中に記載されている。DNAポリメラーゼの特異性を測定する方法は、J. Biochem.(東京)、1999、126: 762〜8中に記載されている。DNAポリメラーゼの熱安定性を測定する方法は、FEMS Microbiol. Lett.、2002、217: 89〜94中に記載されている。ヌクレオチド結合および認識を測定する方法は、J. Mol. Biol.、2002、322: 719〜729およびNucleic Acids Res.、2002、30: 605〜13中に記載されている。
ホットスタート反応における熱感受性阻害性ポリメラーゼの使用
ホットスタートによりポリヌクレオチド合成を実施するために、熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質を、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼまたは阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い温度で阻害性ポリメラーゼより活性があるポリメラーゼと共に、ポリヌクレオチド合成反応に加える。阻害性ポリメラーゼは、室温または次善準備刺激温度で非特異的準備刺激済鋳型と結合することによってホットスタートを実施し、連続的運動性ポリメラーゼはそれらを伸長させることができなくなる。これは連続的運動性ポリメラーゼが非特異的伸長または増幅産物を生成するのを効率良く停止させ、これが「ホットスタート」合成技法の目的である。ポリヌクレオチド合成反応の温度が、非常に連続的運動性特異的な増幅を実施するための連続的運動性ポリメラーゼの最適準備刺激温度および/または伸長温度に上昇するとき、熱感受性阻害性タンパク質は温度不活性状態になり、もはや準備刺激済基質とは結合せず、したがって連続的運動性ポリメラーゼは、所望の標的を伸長または増幅させることができる。
阻害性ポリメラーゼは、低温での準備刺激済基質との結合において連続的運動性ポリメラーゼより効率が良い(すなわち、高い親和性で結合する)ことが好ましい。あるいは、阻害性ポリメラーゼが熱安定性連続的運動性ポリメラーゼより高い親和性で準備刺激済鋳型と結合しない場合、したがってさらに多量の阻害性ポリメラーゼを使用することができる。いずれかの場合、阻害性ポリメラーゼは準備刺激済基質に関して熱安定性連続的運動性ポリメラーゼに優ることができ、阻害性ポリメラーゼが不活性状態になり準備刺激済基質ともはや結合することができなくなるまで、連続的運動性ポリメラーゼを利用不能にすることが好ましい。阻害性ポリメラーゼは3’〜5’エクソヌクレアーゼを含まないか、あるいはプライマーを分解し、収率を低下させ、かつ準備刺激の特異性を低下させる可能性がある低下した3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有することが好ましい。しかしながら、欠陥エクソヌクレアーゼ活性は、本発明の組成物および方法を使用してホットスタートを実施するのに必要とされない。阻害性ポリメラーゼが準備刺激済鋳型と結合することができる限り、ホットスタートは依然として実施することができる。阻害性ポリメラーゼは37℃以下で最適活性を有し、37℃を超える温度または通常のPCR熱循環では生存しないことが理想的である。本発明の阻害性ポリメラーゼは、基質(すなわち、準備刺激済鋳型)の結合によって作用する。
エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼは、37℃で最適活性を有し、25℃でPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼより活性があり、25℃でPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼより効率良く準備刺激済基質と結合する、ポリメラーゼの一例である。エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼは、熱感受性ポリメラーゼの一例でもある(すなわち、それはPCR熱循環では生存しない)。
熱感受性阻害性ポリメラーゼを使用して、2つのタンパク質を1つの溶液中の反応混合物に加えるか、あるいはほぼ同時に加えるように、ポリヌクレオチド合成反応において使用する連続的運動性ポリメラーゼと熱感受性阻害性ポリメラーゼを混合することによって、ホットスタートを実施する。あるいは阻害性ポリメラーゼは、連続的運動性ポリメラーゼとは別に反応混合物に加える。好ましくは阻害性ポリメラーゼを、連続的運動性ポリメラーゼより前あるいは同時にポリヌクレオチド合成反応の設定中に加えて、反応設定中の任意のプライマー伸長を停止させる。
キット
本発明は、プライマー伸長反応およびPCRなどのホットスタートポリヌクレオチド合成反応用の、新規の組成物および方法に関する。本発明はさらに、対象の組成物の1つまたは複数の容器を有するパッケージ単位、および幾つかの実施形態では、PCRにおける合成を含めたポリヌクレオチド合成に使用するさまざまな試薬の容器を含むキット形式を企図する。好ましい実施形態ではキットは、大腸菌polIのクレノウ断片由来の突然変異体である阻害性ポリメラーゼを含む。より好ましい実施形態では、阻害性ポリメラーゼは配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである。幾つかの型のキットでは、阻害性ポリメラーゼは核酸ポリメラーゼであり、キットは阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を部分的あるいは完全に抑制する抗体を含む。キットは1つまたは複数の以下のアイテム:重合酵素、ポリヌクレオチド前駆体、プライマー、バッファー、教示書、および対照も含むことができる。キットは、本発明に従い方法を実施するために、適切な比率で1つに混合した試薬の容器を含むことができる。試薬容器は、主題の方法を実施する際に測定ステップを不要にする単位量の試薬を含むことが好ましい。本発明による1キットは、染色ゲルからのPCR産物収量を定量化するためのDNA収量標準も含む。
好ましい一実施形態では、キットは熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質を含む。より好ましい実施形態では、キット中に含まれる阻害性ポリメラーゼタンパク質は、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片のD705Pエクソ(−)突然変異体である。他の好ましい実施形態では、キットは熱感受性阻害性ポリメラーゼタンパク質と熱安定性核酸ポリメラーゼの両方を含む。より好ましい実施形態では、キット中に含まれる阻害性ポリメラーゼタンパク質は、大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片のD705Pエクソ(−)突然変異体であり、ポリメラーゼはTaqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、またはTaqポリメラーゼとPfuポリメラーゼの混合物である。
以下の実施例は非制限的なものであり、本発明のさまざまな態様および特徴を単に例示するものである。
(実施例1)
機能的欠陥があるDNAポリメラーゼの構築
基質の結合に影響を与えずにエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼからポリメラーゼ活性を排除するために、dNTP相互作用を制御する、パームサブドメインにおけるモチーフA中のα−ヘリックス内のアスパラギン酸705を、プロリンに突然変異させた。D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を発現させ精製して、準備刺激済M13によるDNAポリメラーゼ活性アッセイにおいて、準備刺激済ポリヌクレオチド基質M13を使用してポリメラーゼ活性に関して試験した。D705Pエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼは、非突然変異エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼと比較して25℃でDNAポリメラーゼ活性の約99.6%の消失(図3A)、および25℃でPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼと比較してDNAポリメラーゼ活性の95%の消失を示した(図3B)。
(実施例2)
D705Pエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼによる準備刺激済基質の阻害の実証
反応中に滴定したようにPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼによるポリメラーゼ取り込み数の消失によって、基質阻害を測定した。多くのD705Pエクソ(−)クレノウを加えるほど、少量の準備刺激済基質がPfuTurbo(登録商標)に対して利用可能であった。D705Pエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼを、PfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼとの準備刺激済M13DNAポリメラーゼの反応に加え、25℃でインキュベートした。1.25単位のPfuTurbo DNAポリメラーゼを0ng、7.5ng、15ng、30ng、60ng、および90ngのD705Pエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼと混合させ、3時間25℃でインキュベートした。結果は図4中に示す。0ngのD705Pエクソ(−)クレノウ陽性対照は、PfuTurboによるポリメラーゼ取り込みの0%の消失をもたらした。7.5ngのD705Pエクソ(−)クレノウは、PfuTurboによるポリメラーゼ取り込みの87%の消失をもたらした。15ngのD705Pエクソ(−)クレノウは、PfuTurboによるポリメラーゼ取り込みの94%の消失をもたらした。30ngのD705Pエクソ(−)クレノウは、PfuTurboによるポリメラーゼ取り込みの95%の消失をもたらした。60ngのD705Pエクソ(−)クレノウは、PfuTurboによるポリメラーゼ取り込みの98%の消失をもたらした。90ngのD705Pエクソ(−)クレノウは、PfuTurboDNAポリメラーゼによるポリメラーゼ取り込みの99%の消失をもたらした。
(実施例3)
D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を用いるホットスタートPCR増幅の実証
PCRホットスタートを、HIVgag遺伝子ホットスタート増幅システムおよびPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼを使用して実証した。このPCRアッセイでは、限られた量(50コピー)の特異的なHIVgag遺伝子の鋳型を、非特異的な変性ヒトゲノムDNA鋳型のバックグラウンドから増幅させた。プライマー配列は以下の通りであった:正方向、5’−ATAATCCACCTATCCCAGTAGGAGAAAT−3’(配列番号3)および逆方向、5’−TTTGGTCCTTGTCTTATGTCCAGAATGC−3’(配列番号4)。gag特異的PCRプライマーは、25℃において変性ヒトDNA鋳型を容易かつ非特異的に準備刺激し、PfuTurboDNAポリメラーゼが伸長させる多量の準備刺激済基質が生成した。これらの非特異的ポリヌクレオチド伸長産物を、次いでPCR増幅中に非特異的PCR産物に増幅させ、所望のHIVgag遺伝子の特異的増幅を抑制した。ホットスタート用阻害性ポリメラーゼタンパク質の存在下では、非特異的に準備刺激した基質は伸長せず、したがって非特異的増幅産物がわずかに生成したか、あるいは全く生成せず、HIVgag遺伝子の増幅を得た。
2.5単位のPfuTurbo(登録商標)をPCR反応において0ng、7.5ng、15ng、および30ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼと混合させた。PfuTurbo(登録商標)ホットスタート用DNAポリメラーゼ(PfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼおよび抗Pfuホットスタート用抗体)を、陽性ホットスタート用対照として含めた。PCR反応物を25℃で15分間インキュベートして、非特異的なプライマーのアニーリングおよび伸長を可能にした。次いでPCR反応物をサーマルサイクラー中に置き、HIVgagの特異的増幅に最適な条件を使用して循環させた。1サイクルを95℃で2分間(最初に鋳型DNAの変性および阻害性ポリメラーゼの不活性化)、次に95℃で30秒間(変性)、58℃で30秒間(アニーリング)、72℃で1分間(伸長)35サイクル、次に72℃で5分間(最終伸長)1サイクルを実施した。結果は図5中に示す。0ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型非ホットスタート対照反応によって多数の非特異的バンドが生成し、HIVgag遺伝子を増幅させることはできなかった。7.5〜60ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を用いた反応はいずれもホットスタート活性を示し、HIVgag遺伝子は全ての反応において首尾よく増幅した。30ngおよび60ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を用いたPCR反応は、ホットスタート抗体技術と比較して等しいホットスタート能力を示した。
(実施例4)
共通のホットスタート能力に関するD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型ホットスタートと抗体ホットスタートの比較
共通のホットスタート能力を、校正DNAポリメラーゼ、非校正DNAポリメラーゼ、およびDNAポリメラーゼ混合物を用いて、HIVgagホットスタートPCRアッセイを使用して評価した。PfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼが校正ポリメラーゼであり、Taq 2000(登録商標)DNAポリメラーゼが非校正ポリメラーゼであり、かつHerculase(登録商標)DNAポリメラーゼがDNAポリメラーゼ混合物であった。D705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型ホットスタートと抗体ホットスタートを、全DNAポリメラーゼに関して比較した。
校正DNAポリメラーゼのホットスタートを、0ngおよび30ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼと混合した2.5単位のPfuTurbo(登録商標)を用いてHIVgag標的を増幅させることによって評価し、2.5単位のPfuTurbo(登録商標)ホットスタート用DNAポリメラーゼおよびホットスタート用抗体を用いた増幅と比較した。結果は図5中に見られる。0ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型陰性ホットスタートの対照反応はホットスタート活性を示さず、多数の非特異的バンドが生じた。30ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型の反応とホットスタート用抗体の反応は、いずれも等しいホットスタート活性を示し、等しい特異性および収率で特定のHIVgag標的が増幅した。
非校正DNAポリメラーゼのホットスタートを、0ng、3.5ng、および7.5ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼと混合した2.5単位のTaq 2000(登録商標)を用いてHIVgag標的を増幅させることによって評価し、100ngの抗Taqホットスタート用抗体とプレインキュベートした2.5単位のTaq 2000(登録商標)DNAポリメラーゼを用いた増幅と比較した。結果は図6中に示す。100ngのホットスタート用抗体は2.5単位のTaq 2000(登録商標)を完全に不活性化させ、完全なホットスタートを与えた。0ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型陰性ホットスタートの対照反応はホットスタート活性を示さず、多数の非特異的バンドが生じた。3.5ngおよび7.5ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体を用いた反応と、Taq 2000(登録商標)抗体ホットスタートの反応は、いずれも等しいホットスタート活性を示し、等しい特異性および収率で特定のHIVgag標的が増幅した(図6)。
DNAポリメラーゼ混合物のホットスタートを、0ngおよび60ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型DNAポリメラーゼと混合した2.5単位のHerculase(登録商標)DNAポリメラーゼを用いて、HIVgag標的を増幅させることによって評価した。これを、2.5単位のHerculase(登録商標)ホットスタート用DNAポリメラーゼおよびホットスタート用抗体を用いたHIVgagの増幅と比較した。結果は図7中に示す。0ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異型陰性ホットスタートの対照反応はホットスタート活性を示さず、多数の非特異的バンドが生じた。60ngのD705Pエクソ(−)クレノウ突然変異体の反応と、Herculase(登録商標)ホットスタート用抗体の反応は、いずれも等しいホットスタート活性を示し、等しい特異性および収率で特定のHIVgag標的が増幅した。
大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片の突然変異体のアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。突然変異した残基は下線によって示す。 そのアミノ酸配列を図1中に示す大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノウ断片の突然変異体をコードする、ヌクレオチド配列(配列番号2)を示す図である。突然変異した残基は下線によって示す。 準備刺激済M13DNAポリメラーゼ活性のアッセイにおける、エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼ(図3A)およびPfuTurbo(登録商標)(図3B)に対するD705Pエクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼのDNAポリメラーゼ活性を示す図である。全ての反応物は、25℃で3時間インキュベートした。放射活性標識ヌクレオチドの取り込みとして活性を表す。図3A:レーン1、1.25Uのエクソ(−)クレノウ;レーン2、90ng(7.5Uの原型エクソ(−)クレノウと等しい重量)D705P エクソ(−)クレノウ。図3B:レーン1、1.25UのPfuTurbo(登録商標);レーン2、15ng(1.25Uの原型エクソ(−)クレノウと等しい重量)D705P エクソ(−)クレノウ。 準備刺激済M13DNAポリメラーゼ活性のアッセイにおける、D705P エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼによって阻害した準備刺激済基質の測定を示す図である。レーン1〜6は1.25UのPfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼを含む。レーン1:0ngのD705 Pエクソ(−)クレノウ。レーン2:7.5ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン3:15ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン4:30ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン5:60ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン6:90ngのD705 Pエクソ(−)クレノウ。全ての反応物は、25℃で3時間インキュベートした。放射活性標識ヌクレオチドの取り込みとして活性を表す。 PfuTurbo(登録商標)DNAポリメラーゼを用いた115bpHIVgagのPCRホットスタートアッセイにおける、D705P エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼのPCRホットスタートによる評価を示す図である。レーン1〜5は2.5UのPfuTurbo(登録商標)を含む。レーン1:2.5UのPfuTurbo(登録商標)+0ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン2:2.5UのPfuTurbo(登録商標)+7.5ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン3:2.5UのPfuTurbo(登録商標)+15ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン4:2.5UのPfuTurbo(登録商標)+30ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン5:2.5UのPfuTurbo(登録商標)+60ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン6:2.5UのPfuTurbo(登録商標)ホットスタートおよびホットスタート用抗体(陽性ホットスタート対照)。レーンM:24bp〜726bpの大きさの範囲の21断片を含むPhi−X174/HinfIマーカー(Stratageneカタログ番号201102)。全ての反応物は、熱循環前に25℃で15分間インキュベートした。 Taq 2000(登録商標)DNAポリメラーゼを用いた115bpHIVgagのPCRホットスタートアッセイにおける、D705P エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼホットスタートのPCRによる比較およびホットスタート抗体技術を示す図である。レーン1〜3は2.5UのTaq 2000(登録商標)を含む。レーン1:2.5UのTaq 2000(登録商標)+0ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン2:2.5UのTaq 2000(登録商標)+3.5ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン3:2.5UのTaq 2000(登録商標)+7.5ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン4:2.5UのTaq 2000(登録商標)ホットスタートおよびホットスタート用抗体。レーンM:24bp〜726bpの大きさの範囲の21断片を含むPhi−X174/HinfIマーカー(Stratageneカタログ番号201102)。全ての反応物は、熱循環前に25℃で15分間インキュベートした。 Herculase(登録商標)DNAポリメラーゼを用いた115bpHIVgagのPCRホットスタートアッセイにおける、D705P エクソ(−)クレノウDNAポリメラーゼホットスタートのPCRによる比較およびホットスタート抗体技術を示す図である。レーン1および2は2.5UのHerculase(登録商標)を含む。レーン1:2.5UのHerculase(登録商標)+0ngのD705P エクソ(−)クレノウ。レーン2:2.5UのHerculase(登録商標)+60ngのD705Pエクソ(−)クレノウ。レーン3:2.5UのHerculase(登録商標)ホットスタートおよびホットスタート用抗体。レーンM:24bp〜726bpの大きさの範囲の21断片を含むPhi−X174/HinfIマーカー(Stratageneカタログ番号201102)。全ての反応物は、熱循環前に25℃で15分間インキュベートした。

Claims (83)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
  2. 配列番号2に示すヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の核酸分子。
  3. 請求項1に記載の核酸分子を含むベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを含む宿主細胞。
  5. 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドを作製する方法であって、前記ポリペプチドの発現に適した条件下で請求項4に記載の宿主細胞を培養することを含む方法。
  6. 配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  7. 準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害する阻害性ポリメラーゼであって、37Cを超える不活性化温度を有する阻害性ポリメラーゼ。
  8. 45℃を超える不活性化温度を有する、請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  9. 50℃を超える不活性化温度を有する、請求項8に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  10. 60℃を超える不活性化温度を有する、請求項9に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  11. 70℃を超える不活性化温度を有する、請求項10に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  12. 80℃を超える不活性化温度を有する、請求項11に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  13. 請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼおよび熱安定性連続的(thermostable)運動性(processive)DNAポリメラーゼを含む組成物。
  14. 連続的運動性ポリメラーゼの準備刺激温度が阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い、請求項13に記載の組成物。
  15. 阻害性ポリメラーゼの濃度が連続的運動性ポリメラーゼの濃度より高い、請求項13に記載の組成物。
  16. 阻害性ポリメラーゼの濃度が連続的運動性ポリメラーゼの濃度以下であり、阻害性ポリメラーゼが、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で、前記準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して連続的運動性ポリメラーゼより高い親和性を有する、請求項13に記載の組成物。
  17. 阻害性ポリメラーゼが、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で前記準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して、連続的運動性ポリメラーゼと比較して高い親和性または同一の親和性を有する、請求項13に記載の組成物。
  18. 機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである、請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  19. 非連続的運動性状態である、請求項18に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  20. 単離した天然ポリペプチドである、請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  21. 3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を欠く、請求項18に記載の阻害性ポリメラーゼ。
  22. 機能的欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼであって、由来元であるDNAポリメラーゼと比較して低下したポリメラーゼ活性および低下した連続的運動能(processivity)を有し、前記突然変異型DNAポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合することができ、前記突然変異型DNAポリメラーゼが37℃を超える不活性化温度を有する、突然変異型DNAポリメラーゼ。
  23. ポリメラーゼ活性を有していない、請求項22に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  24. 由来元であるDNAポリメラーゼと比較して低下した3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有する、請求項22に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  25. 3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を有していない、請求項24に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  26. 非連続的運動性状態である、請求項22に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  27. 大腸菌DNApolIのクレノウ断片に由来する、請求項24に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  28. 45℃を超える不活性化温度を有する、請求項22に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  29. 50℃を超える不活性化温度を有する、請求項28に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  30. 60℃を超える不活性化温度を有する、請求項29に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  31. 70℃を超える不活性化温度を有する、請求項30に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  32. 80℃を超える不活性化温度を有する、請求項31に記載の突然変異型ポリメラーゼ。
  33. 請求項22に記載の突然変異型ポリメラーゼおよび熱安定性連続的運動性DNAポリメラーゼを含む組成物。
  34. 連続的運動性ポリメラーゼの準備刺激温度が突然変異型ポリメラーゼの不活性化温度より高い、請求項33に記載の組成物。
  35. 突然変異型ポリメラーゼの濃度が連続的運動性ポリメラーゼの濃度より高い、請求項33に記載の組成物。
  36. 突然変異型ポリメラーゼの濃度が連続的運動性ポリメラーゼの濃度以下であり、突然変異型ポリメラーゼが、突然変異型ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で、前記準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して連続的運動性ポリメラーゼより高い親和性を有する、請求項33に記載の組成物。
  37. 突然変異型ポリメラーゼが、突然変異型ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して、連続的運動性ポリメラーゼと比較して高い親和性または同一の親和性を有する、請求項33に記載の組成物。
  38. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼがTaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、およびTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物からなる群から選択される、請求項33に記載の組成物。
  39. 突然変異型ポリメラーゼが大腸菌DNApolIのクレノウ断片に由来する、請求項33に記載の組成物。
  40. プライマーを延長させる方法であって、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼの混合物を使用して核酸鋳型にアニールしたオリゴヌクレオチドプライマーを延長させ、延長反応を開始させる前に阻害性ポリメラーゼを加え、延長反応を開始させる前に反応混合物が阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満であり、かつ阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い温度で延長反応を実施することを含む方法。
  41. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを反応混合物にほぼ同時に加える、請求項40に記載の方法。
  42. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを加える前に反応混合物に阻害性ポリメラーゼを加える、請求項40に記載の方法。
  43. 阻害性ポリメラーゼが核酸ポリメラーゼであり、反応混合物が阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を抑制する抗体をさらに含む、請求項40に記載の方法。
  44. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも50℃である、請求項40に記載の方法。
  45. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも60℃である、請求項44に記載の方法。
  46. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも70℃である、請求項45に記載の方法。
  47. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも80℃である、請求項46に記載の方法。
  48. 阻害性ポリメラーゼが機能的欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである、請求項40に記載の方法。
  49. 突然変異型DNAポリメラーゼが配列番号1に示すアミノ酸配列を含む、請求項48に記載の方法。
  50. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼがTaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、およびTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  51. ホットスタートポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の方法であって、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼおよび請求項7に記載の阻害性ポリメラーゼの存在下でPCR反応を実施し、第一の延長反応を開始させる前に阻害性ポリメラーゼを加え、第一の延長反応を開始させる前に反応混合物が阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満であり、かつ阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い温度で第一の延長反応を実施することを含む方法。
  52. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを反応混合物にほぼ同時に加える、請求項51に記載の方法。
  53. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼを加える前に反応混合物に阻害性ポリメラーゼを加える、請求項51に記載の方法。
  54. 阻害性ポリメラーゼが核酸ポリメラーゼであり、反応混合物が阻害性ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を抑制する抗体をさらに含む、請求項51に記載の方法。
  55. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも50℃である、請求項51に記載の方法。
  56. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも60℃である、請求項55に記載の方法。
  57. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも70℃である、請求項56に記載の方法。
  58. 阻害性ポリメラーゼの不活性化温度が少なくとも80℃である、請求項57に記載の方法。
  59. 阻害性ポリメラーゼが機能的欠陥がある突然変異型DNAポリメラーゼである、請求項51に記載の方法。
  60. 突然変異型ポリメラーゼが大腸菌DNApolIのクレノウ断片に由来する、請求項59に記載の方法。
  61. 突然変異型DNAポリメラーゼが配列番号1に示すアミノ酸配列を含む、請求項59に記載の方法。
  62. PCR促進因子を反応混合物に加える、請求項59に記載の方法。
  63. 阻害性ポリメラーゼおよびそのパッケージを含むキットであって、阻害性ポリメラーゼが準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型と結合し、熱安定性ポリメラーゼによるプライマーの延長を阻害し、かつ阻害性ポリメラーゼが37Cを超える不活性化温度を有するキット。
  64. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼをさらに含む、請求項63に記載のキット。
  65. PCR促進因子をさらに含む、請求項63に記載のキット。
  66. 阻害性ポリメラーゼが45℃を超える不活性化温度を有する、請求項63に記載のキット。
  67. 阻害性ポリメラーゼが50℃を超える不活性化温度を有する、請求項66に記載のキット。
  68. 阻害性ポリメラーゼが60℃を超える不活性化温度を有する、請求項67に記載のキット。
  69. 阻害性ポリメラーゼが70℃を超える不活性化温度を有する、請求項68に記載のキット。
  70. 阻害性ポリメラーゼが80℃を超える不活性化温度を有する、請求項69に記載のキット。
  71. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを同じ溶液中に与える、請求項64に記載のキット。
  72. 阻害性ポリメラーゼの濃度が熱安定性連続的運動性ポリメラーゼの濃度より高い、請求項71に記載のキット。
  73. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼと阻害性ポリメラーゼを別の溶液中に与える、請求項64に記載のキット。
  74. 阻害性ポリメラーゼが機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼである、請求項63に記載のキット。
  75. 機能的欠陥がある核酸ポリメラーゼが大腸菌DNApolIのクレノウ断片由来の突然変異体である、請求項74に記載のキット。
  76. 阻害性ポリメラーゼが非連続的運動性状態である、請求項74に記載のキット。
  77. 阻害性ポリメラーゼが3’〜5’エクソヌクレアーゼ活性を欠く、請求項74に記載のキット。
  78. 阻害性ポリメラーゼが配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドである、請求項74に記載のキット。
  79. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼの準備刺激温度が阻害性ポリメラーゼの不活性化温度より高い、請求項64に記載のキット。
  80. 阻害性ポリメラーゼが、阻害性ポリメラーゼの不活性化温度未満の温度で前記準備刺激済ポリヌクレオチド鋳型との結合に関して、熱安定性連続的運動性ポリメラーゼより高い親和性を有する、請求項64に記載のキット。
  81. 熱安定性連続的運動性ポリメラーゼがTaqDNAポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、およびTaqDNAポリメラーゼとPfuDNAポリメラーゼの混合物からなる群から選択される、請求項64に記載のキット。
  82. PCR用バッファーおよびデオキシリボヌクレオチドの混合物をさらに含む、請求項63に記載のキット。
  83. PCRを使用して選択した標的核酸配列を増幅させるように設計した一対のプライマーをさらに含む、請求項63に記載のキット。
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