JP2017107808A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイレートサイクルに伴う抵抗増加が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子およびソフトカーボン粒子を含有する負極合材層を備える。ソフトカーボン粒子の平均粒径D50に対する、黒鉛粒子の平均粒径D50の比は、5.5以上11以下である。ソフトカーボン粒子の平均粒径D50は、1μm以上2μm以下である。黒鉛粒子とソフトカーボン粒子との合計に対する、該ソフトカーボン粒子の質量比率は、5質量%以上15質量%以下である。【選択図】図5
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
特開2000−40510号公報(特許文献1)には、平均粒径が10μm以上である黒鉛化カーボンと、平均粒径が20μm以上である低結晶性カーボンとを含む、リチウムイオン二次電池用の負極活物質が開示されている。
リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」と記す場合がある)は、その発電要素として、セパレータを挟んで負極合材層と正極合材層とが積層されて構成される電極群を備えている。負極合材層、正極合材層およびセパレータは、いずれも多孔質であり、内部の空隙には電解液が含浸されている。
一般に、負極合材層は黒鉛粒子から構成され、正極合材層はリチウム(Li)含有金属酸化物粒子から構成される。またセパレータは、樹脂多孔質層と、充放電に関与しない金属酸化物粒子を含有する耐熱層とから構成される。負極合材層、セパレータおよび正極合材層は、構成材料の違いから、それぞれ硬さが異なっている。負極合材層、セパレータおよび正極合材層のうち、通常、負極合材層が最も柔らかい。
電池の充放電に伴って、負極合材層および正極合材層は膨張する。充電時は、負極合材層が膨張する。Liイオンの吸蔵に伴って黒鉛粒子(負極活物質)が膨張するためである。このとき負極合材層の内部では、膨張する黒鉛粒子により、空隙が減少し、当該空隙に存在していた電解液が、負極合材層から押し出されることになる。
また放電時は、正極合材層が膨張する。Liイオンの吸蔵に伴ってLi含有金属酸化物粒子(正極活物質)が膨張するためである。前述のように、負極合材層は、セパレータおよび正極合材層に比して柔らかい。そのため、膨張する正極合材層により、負極合材層が押し潰され、負極合材層から電解液が流出することになる。
電流の担い手である電解液が負極合材層から流出すると、電池の内部抵抗が増加する。充放電の電流レートが高くなると、負極合材層および正極合材層の膨張も激しくなる。したがって、ハイレートの充放電が繰り返されると、電池の内部抵抗が加速的に増加する可能性がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、ハイレート充放電に伴う抵抗増加が抑制された、リチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明のリチウムイオン二次電池は、黒鉛粒子およびソフトカーボン粒子を含有する負極合材層を備える。ソフトカーボン粒子の平均粒径D50に対する、黒鉛粒子の平均粒径D50の比は、5.5以上11以下である。ソフトカーボン粒子の平均粒径D50は、1μm以上2μm以下である。黒鉛粒子とソフトカーボン粒子との合計に対する、該ソフトカーボン粒子の質量比率は、5質量%以上15質量%以下である。
黒鉛は、グラフェンシートが積層された規則的な結晶構造を有する。グラフェンシートとは、炭素原子がsp2結合によりハニカム状に結合して広がった平面シートである。黒鉛粒子が柔らかい理由は、グラフェンシート間の結合が弱く、層状にへき開しやすいためである。
ソフトカーボンは、黒鉛に比して結晶性が低い炭素材料である。ソフトカーボンは、不活性雰囲気中2500℃以上の加熱によって、黒鉛類似の規則的な結晶構造を生成しやすいため、易黒鉛化性炭素とも称されている。同条件での加熱によっても黒鉛類似の規則的な結晶構造を生成し難い炭素材料は、ハードカーボンあるいは難黒鉛化性炭素と称されている。
ソフトカーボンは黒鉛に比して結晶性が低い、還元すれば、へき開しやすい結晶構造の存在比率が低い。そのためソフトカーボン粒子は、黒鉛粒子に比して硬い粒子となる。またソフトカーボンは、内部空隙が大きいため、黒鉛に比してLiイオンの吸蔵に伴う膨張が小さい傾向にある。
本発明のリチウムイオン二次電池では、黒鉛粒子間の隙間に、硬い微粒子であるソフトカーボン粒子を配置できるように、各粒子の平均粒径D50の比、および混合比率を規定している。黒鉛粒子間の隙間に、硬くかつ膨張し難い微粒子(ソフトカーボン粒子)を配置することにより、充電時に黒鉛粒子の膨張によって空隙が減少すること抑制することができる。さらに負極合材層全体の硬さも向上し、放電時に膨張する正極合材層により、負極合材層が潰され難くなる。その結果、電池の充放電に伴う、負極合材層からの電解液の流出を抑制することができる。すなわち、ハイレートサイクルに伴う抵抗増加を抑制することができる。
ここで「平均粒径D50」は、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、微粒側から累積50%の粒径を示している。以下、平均粒径D50は「D50」と略記することがある。
本発明のリチウムイオン二次電池では、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比が5.5以上11以下であり、かつソフトカーボン粒子のD50が1μm以上2μm以下である。かかる条件を満たすことにより、ソフトカーボン粒子が黒鉛粒子間の隙間に入り込むことができる。ソフトカーボン粒子のD50が1μm未満になると、ソフトカーボン粒子と電解液との副反応が起こり易くなり、保存特性が低下する可能性がある。またソフトカーボン粒子のD50が2μmを超えると、ソフトカーボン粒子が黒鉛粒子間の隙間に配置され難く、電解液の流出抑制効果が十分でない。
ここで「ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比」は、黒鉛粒子のD50をソフトカーボン粒子のD50で除することにより求めるものとする。
また黒鉛粒子とソフトカーボン粒子との合計に対する、ソフトカーボン粒子の質量比率は、5質量%以上15質量%以下とする。同質量比率が5質量%未満であると、電解液の流出抑制効果が十分でない。他方、同質量比率が15質量%を超えると、微粒の活物質粒子が多いために、保存特性が低下する可能性がある。
上記によれば、ハイレートサイクルに伴う抵抗増加が抑制されたリチウムイオン二次電池が提供される。
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」と記す)について説明する。ただし、本実施形態は、以下の説明に限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池>
図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略断面図である。電池1000は、たとえばハイブリッド自動車(HEV)等の駆動電源として使用できる角形電池である。電池1000の定格容量は、たとえば1〜30Ah程度(典型的には4〜25Ah程度)である。
図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す概略断面図である。電池1000は、たとえばハイブリッド自動車(HEV)等の駆動電源として使用できる角形電池である。電池1000の定格容量は、たとえば1〜30Ah程度(典型的には4〜25Ah程度)である。
電池1000は、電池ケース500を備える。電池ケース500は、典型的には有底角形のケース本体と、蓋とから構成される。電池ケース500は、たとえばアルミニウム(Al)合金製であってもよい。電池ケース500には、外部端子である負極端子501および正極端子502が設けられている。電池ケース500には、注液口、安全弁、電流遮断機構等が設けられていてもよい。
電池ケース500には、電極群800および電解液600が収容されている。電極群800の幅方向の一方端に露出した負極集電体101は、負極端子501と接続されている。また電極群800の幅方向の他方端に露出した正極集電体201は、正極端子502と接続されている。
《電解液》
電解液600は、電池ケース500の底部に貯留されている。電解液600は、電極群800の内部にも浸透し、セパレータ300内、負極100内および正極200内の空隙に保持されている。電解液は、非プロトン性溶媒に、Li塩を溶解させた液体電解質である。非プロトン性溶媒は、たとえばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)等からなる混合溶媒であってもよい。Li塩は、たとえばLiPF6等であってもよい。
電解液600は、電池ケース500の底部に貯留されている。電解液600は、電極群800の内部にも浸透し、セパレータ300内、負極100内および正極200内の空隙に保持されている。電解液は、非プロトン性溶媒に、Li塩を溶解させた液体電解質である。非プロトン性溶媒は、たとえばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)等からなる混合溶媒であってもよい。Li塩は、たとえばLiPF6等であってもよい。
《電極群》
図2は、電極群の構成の一例を示す概略図である。電極群800は、巻回型の電極群である。電極群800を構成する負極100、正極200およびセパレータ300は、いずれも帯状のシート部材である。電極群800は、負極100と正極200との間にセパレータが介在するように、これらが積層され、さらに巻回されて構成されている。電極群800は、巻回後に、その外形が扁平状になるように成形されている。
図2は、電極群の構成の一例を示す概略図である。電極群800は、巻回型の電極群である。電極群800を構成する負極100、正極200およびセパレータ300は、いずれも帯状のシート部材である。電極群800は、負極100と正極200との間にセパレータが介在するように、これらが積層され、さらに巻回されて構成されている。電極群800は、巻回後に、その外形が扁平状になるように成形されている。
図3は、電極群における負極合材層、セパレータおよび正極合材層の積層構成を説明するための図である。セパレータ300は、負極合材層102と正極合材層202との間に介在している。セパレータ300は、樹脂多孔質層である基材層301と、基材層301の表面に形成されている耐熱層302とを含む。基材層301は、たとえばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等により構成される多孔質層である。耐熱層302は、金属酸化物粒子およびバインダ等を含有する。金属酸化物粒子は、たとえばアルミナ、チタニア等である。
正極合材層202は、正極集電体201の表面に形成されている。正極集電体201は、たとえばアルミニウム(Al)箔等である。正極合材層202は、正極活物質粒子、導電材およびバインダ等を含有する。正極活物質粒子は、たとえば層状岩塩型のLi含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物等である。
《負極》
負極100は、負極集電体101と、負極集電体101の表面に形成されている負極合材層102とを含む。負極集電体101は、たとえば銅(Cu)箔等である。通常、負極合材層102は、正極合材層202および耐熱層302(セパレータ300)によりも柔らかい。そのため、放電時に正極合材層202が膨張すると、負極合材層102が押し潰されて、負極合材層102から電解液が幅方向に押し出されることになる。また充電時は、負極合材層102に含有される黒鉛粒子の膨張によって、負極合材層102から電解液が押し出されることになる。
負極100は、負極集電体101と、負極集電体101の表面に形成されている負極合材層102とを含む。負極集電体101は、たとえば銅(Cu)箔等である。通常、負極合材層102は、正極合材層202および耐熱層302(セパレータ300)によりも柔らかい。そのため、放電時に正極合材層202が膨張すると、負極合材層102が押し潰されて、負極合材層102から電解液が幅方向に押し出されることになる。また充電時は、負極合材層102に含有される黒鉛粒子の膨張によって、負極合材層102から電解液が押し出されることになる。
本実施形態では、以下のように負極合材層102が、特定の黒鉛粒子およびソフトカーボン粒子を含有することにより、このような電解液の流出を抑制できる。
図4は、負極合材層の構成を説明するための概念図である。負極合材層102は、黒鉛粒子10およびソフトカーボン粒子20を含有する。ソフトカーボン粒子20は、微粒であり、黒鉛粒子10間の隙間に配置されている。ソフトカーボン粒子20は硬く、かつ膨張し難いため、膨張する黒鉛粒子10によって隙間が押し潰されることを抑制する。また負極合材層102が硬いソフトカーボン粒子20を含有することにより、負極合材層102全体の硬さも向上する。これにより、負極合材層102が正極合材層202に押し潰されることが抑制される。
負極合材層102は、黒鉛粒子10およびソフトカーボン粒子20を含有する限り、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、たとえばカルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)等のバインダ成分が挙げられる。たとえば負極合材層102は、黒鉛粒子10およびソフトカーボン粒子20を合計で90〜99質量%程度含有し、バインダ成分を1〜10質量%程度含有する。
(黒鉛粒子)
黒鉛粒子は、黒鉛により構成される粒子である。黒鉛は、天然黒鉛であってもよいし、人造黒鉛であってもよい。黒鉛は、好ましくは天然黒鉛(たとえば鱗片状黒鉛等)である。黒鉛粒子の形状は特に限定されない。黒鉛粒子は、たとえば球状粒子、塊状粒子、鱗片状粒子等であり得る。黒鉛粒子は、好ましくは、球形化処理が施された鱗片状黒鉛である。
黒鉛粒子は、黒鉛により構成される粒子である。黒鉛は、天然黒鉛であってもよいし、人造黒鉛であってもよい。黒鉛は、好ましくは天然黒鉛(たとえば鱗片状黒鉛等)である。黒鉛粒子の形状は特に限定されない。黒鉛粒子は、たとえば球状粒子、塊状粒子、鱗片状粒子等であり得る。黒鉛粒子は、好ましくは、球形化処理が施された鱗片状黒鉛である。
黒鉛粒子は、その表面に、アモルファスカーボン被膜を有することが好ましい。アモルファスカーボン被膜は、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、黒鉛粒子の表面に形成することができる。黒鉛粒子が、その表面にアモルファスカーボン被膜を含むことにより、たとえばサイクル特性、保存特性の向上が期待できる。
黒鉛粒子のD50は、好ましくは10μm以上12μm以下である。かかる範囲で出力特性と保存特性とのバランスがよい。
(ソフトカーボン粒子)
ソフトカーボン粒子は、低結晶性のソフトカーボンにより構成される粒子である。ソフトカーボン粒子は、たとえば石炭、石油から得られるタールピッチ原料、コークス原料を300〜1000℃程度で加熱することにより生成される。ソフトカーボン粒子は、黒鉛よりも結晶性(黒鉛化度)が低い。そのため可逆的な充放電容量は小さい。しかし結晶方向が乱雑であるため、Liイオンの吸蔵に伴う膨張が小さい。また結晶性が低いため、黒鉛よりも硬い。ソフトカーボン粒子の形状は特に限定されない。ソフトカーボン粒子は、たとえば塊状粒子、球状粒子、楕円球状粒子等であり得る。
ソフトカーボン粒子は、低結晶性のソフトカーボンにより構成される粒子である。ソフトカーボン粒子は、たとえば石炭、石油から得られるタールピッチ原料、コークス原料を300〜1000℃程度で加熱することにより生成される。ソフトカーボン粒子は、黒鉛よりも結晶性(黒鉛化度)が低い。そのため可逆的な充放電容量は小さい。しかし結晶方向が乱雑であるため、Liイオンの吸蔵に伴う膨張が小さい。また結晶性が低いため、黒鉛よりも硬い。ソフトカーボン粒子の形状は特に限定されない。ソフトカーボン粒子は、たとえば塊状粒子、球状粒子、楕円球状粒子等であり得る。
黒鉛粒子とソフトカーボン粒子とは、黒鉛化度が異なる。黒鉛化度は、たとえばラマン分光法により求められる波数1350/cmのピークスペクトル強度I1350と、波数1580/cmのピークスペクトル強度I1580との強度比(I1350/I1580)を指標として、評価できる。黒鉛粒子の強度比(I1350/I1580)は、たとえば0.2未満である。ソフトカーボン粒子の強度比(I1350/I1580)は、たとえば0.2以上1.2以下である。
黒鉛粒子と同様に、ソフトカーボン粒子も、その表面にアモルファスカーボン被膜を有することが好ましい。ソフトカーボン粒子が、その表面にアモルファスカーボン被膜を有することにより、たとえばサイクル特性、保存特性の向上が期待できる。
ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比は5.5以上11以下であり、かつソフトカーボン粒子のD50は1μm以上2μm以下である。かかる範囲で、ソフトカーボン粒子が黒鉛粒子間の隙間に入り込むことができる。ソフトカーボン粒子のD50が1μm未満になると、ソフトカーボン粒子と電解液との副反応が起こり易くなり、保存特性が低下する可能性がある。またソフトカーボン粒子のD50が2μmを超えると、ソフトカーボン粒子が黒鉛粒子間の隙間に配置され難く、電解液の流出抑制効果が十分でない。
黒鉛粒子とソフトカーボン粒子との合計に対する、ソフトカーボン粒子の質量比率は、5質量%以上15質量%以下とする。同質量比率が5質量%未満であると、電解液の流出抑制効果が十分でない。また同質量比率が15質量%を超えると、微粒の活物質粒子が多いために、保存特性が低下する可能性がある。
以下、実施例を挙げて本実施形態を説明する。ただし、本実施形態は以下の例に限定されるものではない。
<リチウムイオン二次電池の製造>
黒鉛粒子として、表面にアモルファスカーボン被膜を有する球形化黒鉛粒子(アモルファスコート球形化黒鉛粒子)を準備した。かかる球形化黒鉛粒子のD50は、11μm以下であった。
黒鉛粒子として、表面にアモルファスカーボン被膜を有する球形化黒鉛粒子(アモルファスコート球形化黒鉛粒子)を準備した。かかる球形化黒鉛粒子のD50は、11μm以下であった。
ソフトカーボン粒子として、表面にアモルファスカーボン被膜を有するソフトカーボン粒子(アモルファスコートソフトカーボン粒子)を4種準備した。下記表1に示すように、この4種のソフトカーボン粒子は、D50がそれぞれ異なっている(D50=0.5μm,1μm,2μm,3μm)。
表1に示す質量比率で、黒鉛粒子とソフトカーボン粒子とを混合し、さらにバインダを加えて負極合材とした。負極合材を溶媒に分散させてペーストとし、該ペーストを負極集電体の表面に塗着することにより、負極合材層を形成した。さらに所定の寸法に圧縮、裁断することにより、帯状のシート部材である負極を製造した。
上記のようにして製造した各種負極を用いて、各種リチウムイオン二次電池(実施例1〜4ならびに比較例1〜9)を製造した。以下、今回の評価に用いた評価用電池の仕様を列記する。
1.負極
負極活物質粒子:アモルファスコート球形化黒鉛粒子
およびアモルファスコートソフトカーボン粒子
バインダ:CMCおよびSBR
合材配合:[負極活物質粒子:CMC:SBR=98:1:1(質量比)]
負極集電体:Cu箔。
負極活物質粒子:アモルファスコート球形化黒鉛粒子
およびアモルファスコートソフトカーボン粒子
バインダ:CMCおよびSBR
合材配合:[負極活物質粒子:CMC:SBR=98:1:1(質量比)]
負極集電体:Cu箔。
2.正極
正極活物質粒子:LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2
導電材 :アセチレンブラック(AB)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
合材配合:[正極活物質粒子:AB:PVdF=90:8:2(質量比)]
正極集電体:Al箔。
正極活物質粒子:LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2
導電材 :アセチレンブラック(AB)
バインダ:ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
合材配合:[正極活物質粒子:AB:PVdF=90:8:2(質量比)]
正極集電体:Al箔。
3.セパレータ
基材層:PP/PE/PPの3層構造を有する微多孔膜セパレータ
耐熱層:[アルミナ粒子:アクリル系バインダ=96:4(質量比)]。
基材層:PP/PE/PPの3層構造を有する微多孔膜セパレータ
耐熱層:[アルミナ粒子:アクリル系バインダ=96:4(質量比)]。
4.電解液
[1mоl/l LiPF6 EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]。
[1mоl/l LiPF6 EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]。
<評価>
1.ハイレートサイクル後の抵抗増加率の測定
以下の「充電→休止→放電」を1サイクルとして、ハイレートサイクルを2000サイクル実行した。ここで電流レートの単位「C」は、電池の定格容量を1時間で放電しきる電流レートを示している。
1.ハイレートサイクル後の抵抗増加率の測定
以下の「充電→休止→放電」を1サイクルとして、ハイレートサイクルを2000サイクル実行した。ここで電流レートの単位「C」は、電池の定格容量を1時間で放電しきる電流レートを示している。
《ハイレートサイクル条件》
充電:電流レート=2.5C、充電時間=240秒
休止:300秒
放電:電流レート=30C、放電時間=20秒。
充電:電流レート=2.5C、充電時間=240秒
休止:300秒
放電:電流レート=30C、放電時間=20秒。
2000サイクル後の抵抗(サイクル後抵抗)を、サイクル前の抵抗(初期抵抗)で除することにより、抵抗増加率(百分率)を求めた。結果を表1に示す。ハイレートサイクル後の抵抗増加率が低いほど、ハイレートサイクルに伴う抵抗増加が抑制されていることを示している。
2.高温保存後の容量維持率の測定
電池のSOC(State Of Charge)を90%に調整した。60℃に設定された恒温槽内に電池を配置し、同環境で60日間保管した。60日経過後、電池を取り出し、保存後の放電容量(復帰容量)を測定した。保存後の放電容量を保存前の放電容量で除することにより、容量維持率(百分率)を測定した。結果を表1に示す。保存後の容量維持率が高いほど、保存特性が良好である。
電池のSOC(State Of Charge)を90%に調整した。60℃に設定された恒温槽内に電池を配置し、同環境で60日間保管した。60日経過後、電池を取り出し、保存後の放電容量(復帰容量)を測定した。保存後の放電容量を保存前の放電容量で除することにより、容量維持率(百分率)を測定した。結果を表1に示す。保存後の容量維持率が高いほど、保存特性が良好である。
<考察>
図5は、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比およびソフトカーボン粒子の質量比率と、ハイレートサイクル後の抵抗増加率との関係を示す図である。図5および表1中、ソフトカーボン粒子のD50は「D50(sc)」と、黒鉛粒子のD50は「D50(gr)」と、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比は、「D50(gr)÷D50(sc)」と記している。
図5は、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比およびソフトカーボン粒子の質量比率と、ハイレートサイクル後の抵抗増加率との関係を示す図である。図5および表1中、ソフトカーボン粒子のD50は「D50(sc)」と、黒鉛粒子のD50は「D50(gr)」と、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比は、「D50(gr)÷D50(sc)」と記している。
図5より、「D50(gr)÷D50(sc)」が5.5未満である場合には、抵抗増加の抑制効果が小さいことが分かる。その一方、ソフトカーボン粒子のD50が5.5以上である場合には、ソフトカーボンの質量比率が5質量%以上の領域で、抵抗増加率が大幅に低下している。硬いソフトカーボン粒子が黒鉛粒子間の隙間に入り込み、黒鉛粒子の膨張による電解液の流出を抑制するためと考えられる。また負極合材層全体が硬くなり、正極合材層に押し潰され難くなっているとも考えられる。
図6は、「D50(gr)÷D50(sc)」およびソフトカーボン粒子の質量比率と、保存後の容量維持率との関係を示す図である。図6より、ソフトカーボン粒子の質量比率が15質量%を超えると、容量維持率が大幅に低下することが分かる。微粒子である負極活物質の比率が多くなり、負極活物質と電解液との副反応が起こり易くなっていると考えられる。
またソフトカーボン粒子のD50が1μm未満になり、「D50(gr)÷D50(sc)」が11を超えると、ソフトカーボン粒子の質量比率が5質量%であっても、容量維持率が大幅に低下している。D50が1μm未満であるソフトカーボン粒子は、反応性が過度に高いと考えられる。
以上の結果より、ハイレートサイクルに伴う抵抗増加を抑制し、かつ保存特性の低下を抑制するためには、ソフトカーボン粒子のD50に対する黒鉛粒子のD50の比が5.5以上11以下であり、かつソフトカーボン粒子のD50が1μm以上2μm以下であることを要する。
上記のように、本実施形態では、ハイレートサイクルに伴う抵抗増加を抑制することができる。したがって本実施形態は、ハイレートサイクルが求められる用途に特に好適である。そうした用途としては、たとえば、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)等の駆動電源等が挙げられる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 黒鉛粒子、20 ソフトカーボン粒子、100 負極、101 負極集電体、102 負極合材層、200 正極、201 正極集電体、202 正極合材層、300 セパレータ、301 基材層、302 耐熱層、500 電池ケース、501 負極端子、502 正極端子、600 電解液、800 電極群、1000 電池。
Claims (1)
- 黒鉛粒子およびソフトカーボン粒子を含有する負極合材層を備え、
前記ソフトカーボン粒子の平均粒径D50に対する、前記黒鉛粒子の平均粒径D50の比は、5.5以上11以下であり、
前記ソフトカーボン粒子の平均粒径D50は、1μm以上2μm以下であり、
前記黒鉛粒子と前記ソフトカーボン粒子との合計に対する、前記ソフトカーボン粒子の質量比率は、5質量%以上15質量%以下である、リチウムイオン二次電池。
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