JP2017107157A - 積層体、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、ならびに偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法 - Google Patents

積層体、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、ならびに偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリビニルアルコール系フィルムの保管、搬送、及び輸送時に発生する傷付き・汚染・変形・光学性能の変化等の劣化を防止することができる積層体を提供する。更には、かかる積層体から得られる面内均一性に優れた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、並びにかかる積層体を用いた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法を提供する。【解決手段】偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼付された積層体であって、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μm以下であり、ポリビニルアルコール系フィルムと保護フィルムとが1〜30mN/20mmの粘着力で貼付されている積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼付された積層体に関し、更に詳しくは、傷や汚れが付きにくく外観に優れ、光学的ムラのない偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムであり、薄型の偏光膜を得るための原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムに関するものである。
従来より、ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を水などの溶媒に溶解し、溶液流延法(キャスト法)により製膜した後、得られたフィルムを熱ロール等で乾燥することにより製造されている。このようにして得られたポリビニルアルコール系フィルムは透明性や染色性に優れたフィルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに偏光膜が挙げられる。
偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素などの2色性色素で染色したフィルムであり、液晶ディスプレイの基本構成要素として用いられている。近年では高品位で高信頼性の要求されるディスプレイ、特に大画面の液晶テレビ等に使用され、偏光度の面内均一性や色ムラの低減が求められている。更に、ディスプレイの薄型化に伴い、偏光膜にも薄型化が求められている。
かかる要求にこたえるためには、ポリビニルアルコール系フィルム自体の品質や物性の改善、更には薄型化も必要ではあるが、フィルムの保管、搬送、及び輸送時の形態も重要である。保管、搬送、及び輸送時に、ポリビニルアルコール系フィルムの表面が、傷付いたり、汚れると、得られる偏光膜に偏光度ムラや色ムラが生じる。また、フィルム同士のブロッキングが起こると、ロールからの巻き出しが困難となる。更に、ロールの最外層付近のフィルムは、湿気により含水率が大きく変動したり、面内の含水率に分布が生じやすく、フィルムの変形のみならず、面内の光学特性が変化して、得られる偏光膜に偏光度ムラや色ムラが生じる傾向にある。
かかる問題を解決するため、水蒸気バリヤー性樹脂包装フィルムとアルミニウム素材からなる包装フィルムで包装して保管または輸送を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、包装材料の端部をコアの内部に押し入れた包装体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、ポリビニルアルコール系フィルムと熱可塑フィルムの積層体が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2005−306483号公報 特開2013−227073号公報 WO2014/084154
しかしながら、これらの開示技術をもってしても、保管、搬送、及び輸送後のポリビニルアルコール系フィルムの傷、汚れ、変形、光学性能の変化などの劣化を防止するのは不十分であった。傷や汚れは、ロール全体を包装しても回避できず、また、包装フィルムによって外部から侵入する水分を遮断しても、フィルム同士の接触により水分の移行が生じて、変形や光学性能に分布が生じていた。かかる現象は、ポリビニルアルコール系フィルムが、幅広長尺になるほど発生しやすく、薄型になるほど顕著であった。
なお、特許文献3は、偏光膜製造工程で使用される積層体であり、保護フィルムは、延伸時の破断防止のために使用されるものである。傷、汚れ、変形、光学性能の変化などの劣化防止を目的としたものでは無い。従って、保護フィルムに要望される特性も異なり、粘着力は1mN/15mm以下と低い値が好ましく、実施例においては測定不可能なほど低粘着なものが多い。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ポリビニルアルコール系フィルムの保管、搬送、及び輸送時に発生する傷付き・汚染・変形・光学性能の変化等の劣化を防止することができる積層体を提供すること、更には、かかる積層体から得られる面内均一性に優れた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、並びにかかる積層体を用いた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に、特定の保護フィルムを貼付した積層体とすることにより、保管、搬送、及び輸送時に発生する傷付き・汚染・変形・光学性能の変化等の劣化を防止することができるため、面内均一性に優れたポリビニルアルコール系フィルムが得られ、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜は、高い偏光性能を有し、かつ色ムラの少ない偏光膜となることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明の要旨は、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼付された積層体であって、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μm以下であり、ポリビニルアルコール系フィルムと保護フィルムとが1〜30mN/20mmの粘着力で貼付されていることを特徴とする積層体である。
また、本発明は、前記積層体から得られる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム、偏光膜、ならびにかかる積層体を用いた偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法も提供するものである。
本発明の積層体は、ポリビニルアルコール系フィルムの保管、搬送、及び輸送時に発生する傷付き・汚染・変形・光学性能の変化等の劣化を防止することができ、ロール状にして用いる際のフィルムのブロッキングも防止できるものである。
更に、ロールフィルムの幅方向や長手方向(巻き外周部から芯部まで)の品質を一定に保つことができるため、面内均一性に優れたポリビニルアルコール系フィルムが得られ、かかるポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜は、高い偏光性能を有し、かつ色ムラの少ない偏光膜となるものである。
保護フィルムの貼り合せ工程を説明する模式図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の積層体は、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼付された積層体であって、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μm以下であり、ポリビニルアルコール系フィルムと保護フィルムとが1〜30mN/20mmの粘着力で貼付されているものである。
本発明では、上記保護フィルムを、ポリビニルアルコール系フィルムの劣化防止(保管・輸送時の傷付きなどの防止)目的で使用することで、本願の作用効果が得られるものである。
本発明で用いられる偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムは、特に限定されず、後述する手法で製造される。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの厚さは60μm以下であることが必要であり、偏光フィルムの薄型化の点から、好ましくは30μm以下、更なる薄型化の点から特に好ましくは20μm以下、破断回避の点から更に好ましくは4〜20μmである。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの幅は、大面積化の点から2m以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から、特に好ましくは3m以上、更に好ましくは4m以上、破断回避の点から、殊に好ましくは4〜6mである。
かかるポリビニルアルコール系フィルムの長さは、大面積化の点から長さが3km以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から特に好ましくは4km以上、輸送重量の点から更に好ましくは4〜50kmである。
本発明で用いられる保護フィルムは、劣化防止の点から、ポリビニルアルコール系フィルムの両面に貼付されることが好ましい。貼付の手法は特に限定されず、通常のラミネート、真空ラミネートなどの手法を用いることができる。
本発明で用いられる保護フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムに対する粘着力が、1〜30mN/20mmであることが必要であり、好ましくは5〜29mN/20mm、更に好ましくは8〜28mN/20mm、殊に好ましくは10〜27mN/20mmである。
かかる粘着力が、1mN/20mm未満だと、保管、搬送、及び輸送中に、保護フィルムがポリビニルアルコール系フィルムから剥離しこすれ傷が発生し、生じるこすれ傷の跡が偏光膜とした際に欠陥となり本発明の目的を達成できない。逆に、30mN/20mmを超えても、保護フィルムの剥離・除去が困難となり本発明の目的を達成できない。
かかる粘着力を調整する手法としては、保護フィルムの基材フィルム上に粘着層を形成する手法、ポリビニルアルコール系フィルムの表面を物理的に改質する手法などが挙げられるが、本発明においては保護フィルムの基材フィルム上に粘着層を形成する手法が好ましい。
かかる粘着層としては、アクリル系、ゴム系、シリコン系、ウレタン系、ポリエステル系、エチレン酢酸ビニル系などが挙げられる。
更に、前記粘着力は、80℃30分の加熱試験を行った時の変化率が2倍以下であることが好ましく、特に好ましくは1.5倍以下、更に好ましくは1.2倍以下である。かかる変化率が大きすぎると、保管、搬送、及び輸送後に、保護フィルムの剥離・除去が困難となる傾向がある。
更に、保護フィルムの偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムと接する側のフィルム面の接触角が80°以上であることが好ましく、特に好ましくは90°以上、更に好ましくは95°以上である。かかる接触角が小さすぎると、ポリビニルアルコール系フィルム中の含有成分が保護フィルムに移行しやすく、ポリビニルアルコール系フィルムに汚れが生じたり、光学性能が変化しやすくなる傾向がある。また、通常かかる接触角の上限は110°である。
なお、かかる移行成分としては、ポリビニルアルコール系フィルム中の水分、可塑剤、界面活性剤などがあげられる。特に、水分が保護フィルムに移行すると、面内位相差が増大する傾向がある。
本発明で用いられる保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの中でも、耐熱性や剛性の点で、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートが好ましく、特に好ましくは安価な点でポリプロピレンであり、更に好ましくは、大面積化の点で2軸延伸ポリプロピレンである。
本発明で用いられる保護フィルムの厚さは、10〜100μmであることが好ましく、特に好ましくは20〜90μm、更に好ましくは30〜70μmである。
かかる保護フィルムの厚さが、薄すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムに対する傷防止効果が低下する傾向があり、厚すぎると、積層体をロールとした際のロール径が巨大化し、輸送性が低下する傾向にある。
本発明で用いられる保護フィルムの幅は、ポリビニルアルコール系フィルムの幅と同じ、もしくはポリビニルアルコール系フィルムの幅よりも広ければ特に限定されないが、ポリビニルアルコール系フィルムの大面積化の点から2m以上であることが好ましく、更なる大面積化の点から、特に好ましくは3m以上、更に好ましくは4m以上、保管、搬送、及び輸送時に発生する傷付き・汚染・変形・光学性能の変化等の劣化を防止する点から、殊に好ましくは4〜5mである。
本発明における保護フィルムの表面は、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムと接する側のフィルム面の表面粗さ(Ra)が、100nm以下であることが好ましく、特に好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下である。かかるポリビニルアルコール系フィルムと接する面の表面粗さ(Ra)が大きすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムに表面荒れが発生する傾向がある。
更に、反対面(偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムと接しない側のフィルム面)の表面粗さ(Ra)が、100nm以上であることが好ましく、特に好ましくは200nm以上、更に好ましくは300nm以上、殊に好ましくはマット調である。かかる反対面の表面粗さ(Ra)が小さすぎると、積層体にブロッキングが発生しやすい傾向がある。
以下、本発明で使用される偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムに関して説明する。
本発明のポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液をキャスト型に流涎して製膜し、熱ロールを用いて連続的に乾燥して得られる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(例えば、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
上記変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、その変性量は、通常10モル%以下、好ましくは8モル%以下である。
ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は10万〜30万であることが好ましく、特に好ましくは11万〜28万、更に好ましくは12万〜26万である。かかる重量平均分子量が少なすぎるとポリビニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向があり、多すぎるとポリビニルアルコール系樹脂フィルムを偏光膜とする場合に延伸が困難となり、工業的な生産が難しく好ましくない。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、GPC−MALS法により測定される重量平均分子量である。
本発明で用いるポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。平均ケン化度が小さすぎるとポリビニルアルコール系フィルムを偏光膜とする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重合度、平均ケン化度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
本発明の積層体は、上記のポリビニルアルコール系樹脂を用いてポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、かかる水溶液をキャスト型に吐出及び流延して製膜し、乾燥することで連続的に製造されるポリビニルアルコール系フィルムに、保護フィルムを貼り合わせることで製造される。例えば、以下の工程により製造される。
(A)キャスト法によりフィルムを製膜する工程
(B)製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程
(C)乾燥されたポリビニルアルコール系フィルムに保護フィルムを貼り合わせる工程
(D)保護フィルムの両端部をスリットした後、ロール状に巻き取る工程
以下、前記工程(A)について説明する。
工程(A)においては、まず、前述したポリビニルアルコール系樹脂を、水を用いて洗浄し、遠心分離機などを用いて脱水して、含水率50重量%以下のポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキとすることが好ましい。含水率が大きすぎると、所望する水溶液濃度にすることが難しくなる傾向がある。
かかるポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを温水や熱水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製方法は、とくに限定されず、たとえば、加熱された多軸押出機を用いて調製してもよく、また、上下循環流発生型撹拌翼を備えた溶解缶に、前述したポリビニルアルコール系樹脂ウェットケーキを投入し、缶中に水蒸気を吹き込んで、溶解及び所望濃度の水溶液を調製することもできる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンなどの一般的に使用される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、および/またはカチオン性の界面活性剤を含有させることが、ポリビニルアルコール系フィルムの製膜性の点で好ましい。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、15〜60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17〜55重量%、更に好ましくは20〜50重量%である。かかる水溶液の樹脂濃度が低すぎると乾燥負荷が大きくなるため生産能力が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎて均一な溶解ができにくくなる傾向がある。
次に、得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡やベントを有した多軸押出機による脱泡などの方法があげられる。ベントを有した多軸押出機としては、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。
脱泡処理ののち、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、キャスト型に吐出および流延されて、キャスト法により製膜される。
キャスト型としては、キャストドラム(ドラム型ロール)やキャストベルトなどが挙げられるが、本発明においては、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からキャストドラムで行うことが好ましい。
かかるキャストドラムの幅は、好ましくは4m以上であり、特に好ましくは4.5m以上、更に好ましくは5m以上、殊に好ましくは5〜6mである。
キャストドラムの幅が小さすぎると生産性が低下する傾向がある。
次いで、前記工程(B)について説明する。工程(B)は、製膜されたフィルムを加熱して乾燥する工程である。
キャスト型で製膜されたフィルムの乾燥は、膜の表面と裏面とを複数の熱ロールに交互に接触させることにより行なわれる。熱ロールの表面温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると乾燥不良となる傾向が有り、高すぎると乾燥しすぎることとなり、うねりなどの外観不良を招く傾向がある。
また、熱ロールは、例えば、表面をハードクロムメッキ処理又は鏡面処理した、直径0.2〜2mのロールであり、通常2〜30本、好ましくは10〜25本を用いて乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、熱ロールによる乾燥後、フィルムに熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度は、60〜150℃が好ましく、特には70〜140℃が好ましい。熱処理温度が低すぎると、ポリビニルアルコール系フィルムの耐水性が不足したり、位相差ふれの原因となる傾向があり、高すぎると偏光膜製造時の延伸性が低下する傾向がある。かかる熱処理方法としては、例えば、フローティングドライヤーにて行う方法、乾燥後一旦常温程度まで冷却した後に再度高温の熱ロールに接触させる方法や、赤外線ランプを用いてフィルムの両面に近赤外線を照射する手法等が挙げられるが、これらの中でも、均一に熱処理できる点で、フローティングドライヤーにて行う方法が好ましい。
次いで、前記工程(C)について説明する。工程(C)は、乾燥、必要に応じて熱処理が行われたポリビニルアルコール系フィルムに、保護フィルムを貼り合わせ積層体を製造する工程である。以下、ポリビニルアルコール系フィルムの両面に保護フィルムが貼り合わされた積層体の場合を例にとって説明する。
保護フィルムの貼り合わせは、例えば、図1に示されるような、水平方向に搬送されるポリビニルアルコール系フィルムに、上方及び下方から巻き出された保護フィルムを、上下ロールにより密着させる方法で行なうことが好ましい。かかる場合、上下ロールを加温してもよい。
かくして本発明の積層体が製造される。かかる積層体は下記の工程(D)により、ロール状の積層体とすることができる。
工程(D)は、積層体両端部の保護フィルムをスリットした後、ロール状に巻き取る工程である。
ポリビニルアルコール系フィルムを巻き取る芯管は円筒状のもので、軽量化の点で中空状のものが好ましい。芯管の幅は、上述したフィルム幅より長いことが好ましい。
芯管の材質は金属またはプラスチック、紙等任意である。金属としては炭素鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、銅、黄銅、青銅等がある。これらの芯管には軟質ポリ塩化ビニルや低密度ポリエチレンを積層したり、ニッケル、クロム、亜鉛、錫等のメッキ処理をすることもできる。プラスチック芯管としては硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等が例示される。
芯管の外径は、7.5cm以上が好ましく、特に8.5cm以上が好ましい。芯管の外径が大きすぎるとフィルムに皺が発生する恐れがある。芯管の長さは、フィルムの幅より長くすることが好ましく、フィルムロールの端部から10cm以上突出するようにすることが特に好ましい。
かかる突出部両端にブラケットを設けたり、突出部両端を架台等に載置したりして、フィルムロールが地面或いは他のフィルムロール等と接触することなく宙に浮いた状態にすることにより、フィルムロールの荷重がロール全体に掛かるのを防止し、フィルム同士のブロッキングや劣化を阻止できる。
芯管の肉厚は1.5〜20mmが好ましく、特に好ましくは2〜15mm、更に好ましくは3〜10mmである。
かくしてロール状の積層体が得られる。
得られたロール状の積層体はロールを水蒸気バリアフィルムで包装し包装体とすることができる
かかる水蒸気バリアフィルムは、特に限定されないが、JIS Z 0208に準じて測定される透湿度が1g/m2・日以下のものが使用可能である。具体例としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリプロピレン、ガラス蒸着ポリエステル等の単層フィルム、あるいはこれらの積層フィルム、又は割布、紙、不織布との積層フィルム等が挙げられる。積層フィルムとしては、ガラス蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フィルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリプロピレンとポリエチレンの積層フィルム等が例示される。
かかる水蒸気バリアフィルムとして、水蒸気バリアフィルムに吸湿フィルムがラミネートされた積層体を用いることも、包装体内の湿度を調節する点で好ましい。かかる調湿フィルムとしては、塩化カルシウム、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系乾燥剤を、天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥して吸湿層としたものや、これらの無機系乾燥剤を、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムで挟みこんだものが挙げられる。かかる積層体を用いる場合は、吸湿フィルム側を包装体の内側になるようにして包装する。
ロールを水蒸気バリアフィルムで包装する前に、ロールに保護フィルムを兼ねた内装フィルムを巻くことも可能である。内装フィルムを巻くことで、ロールの汚れや傷を防止することができる。かかる内装フィルムは、特に限定されず、安価なポリエチレン製フィルムが好適である。
ロールを水蒸気バリアフィルムで包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フィルムで包装してもよい。かかるフィルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム箔とポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミナ蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミナ蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)等が挙げられ、本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルム積層フィルムが有用で、特には延伸ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルムの構成よりなる積層フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム/低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フィルム等が有用である。
かくして得られた積層体の包装体は、保管や搬送後、出荷先に向けて輸送され、解包、及び保護フィルムが剥離された後、偏光膜の製造に供することができる。
以下、本発明の偏光膜の製造方法について説明する。
本発明の偏光膜は、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ロールから巻き出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥などの工程を経て製造される。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は1〜100g/Lが適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜80g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間行えばよい。
かくして得られる偏光膜の偏光度は、好ましくは99.5%以上、特に好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストが低下する傾向がある。なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光膜を、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光フィルムを、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明の偏光膜の単体透過率は、好ましくは43%以上である。かかる単体透過率が低すぎるとでは液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光膜単体の光線透過率を測定して得られる値である。
このようにして得られる本発明の偏光膜は、その片面または両面に光学等方性の高分子フィルムまたはシートを保護膜として積層接着して、偏光板とすることができる。保護膜としては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光膜、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線照射を行なうことで行われる。
また、偏光膜には、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明により得られる偏光板は、光学ムラがなく偏光性能にも優れているため、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
<測定条件>
(1)粘着力(mN/20mm)
得られた積層体から、長さ200mm×幅20mmの試験片を5枚切り出し、JIS K6854−3:1999に準拠して、オートグラフ(島津製AG−X、ロードセル50N、チャック間距離25mm、引張速度100mm/分)を用いて、23℃50%RHの環境下で、ポリビニルアルコール系フィルムと保護フィルムのT形剥離試験を行い、5枚の平均値を粘着力(mN/20mm)とした。
(2)ポリビニルアルコール系フィルムの面内位相差
長さ30cm×幅30cmのポリビニルアルコール系フィルムの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟み、暗室で表面照度が14,000lxのライトボックスを用いて、透過モードで面内位相差を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○・・・面内で濃淡は見られない
△・・・面内の一部に濃淡が見られる
×・・・濃淡が全面に確認できる
(3)偏光膜の偏光度(%)、単体透過率(%)
得られた偏光フィルムの長さ方向の先端部/中央部/終端部(先端部と終端部は、それぞれフィルムの先端と終端から10cmの位置とした)から、長さ4cm×幅4cmの試験片を3枚切り出し、自動偏光フィルム測定装置(日本分光(株)製:VAP−7070)を用いて、偏光度と単体透過率を測定し、それぞれの平均値を偏光膜の偏光度と単体透過率とした。
(4)偏光膜の色ムラ
得られた偏光膜から、長さ30cm×幅13cmの試験片を切り出し、クロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟み、暗室で表面照度14000lxのライトボックスを用いて、透過モードで色ムラを観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:色ムラなし
△:かすかに色ムラあり
×:色ムラあり
<実施例1>
(積層体ロールAの製造)
重量平均分子量142000、ケン化度99.8モル%のポリビニルアルコール系樹脂1000部、水2500部、可塑剤としてグリセリン105部を入れ、撹拌しながら150℃まで昇温し、樹脂濃度25%に濃度調整を行って、均一に溶解したポリビニルアルコール系樹脂水溶液を得た。次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、2軸押出機に供給して脱泡した後、T型スリットダイ吐出口より、キャストドラムに吐出及び流延して製膜した。次いで、得られたフィルムを、複数の熱ロールで乾燥し、フローティングドライヤーを用いて熱処理を行い、厚さ10μm、幅5mのポリビニルアルコール系フィルムを得た。該ポリビニルアルコール系フィルムの面内位相差を検査したところ、面内で濃淡は見られなかった。
次いで、ポリビニルアルコール系フィルムの両面に、2軸延伸ポリプロピレンを基材とする保護フィルムA(フタムラ化学社製「太閤FSA 010C」、接触角は97°)を、上下ローラーを用いて荷重2kgで貼り合わせて積層体Aを得た。使用した保護フィルムの厚さは30μm、幅は5m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力は12mN/20mmであった。
次いで、積層体Aが4.8m幅になるよう両端部をスリットで切り落とした後、最後に、外径17cmΦのアルミニウム製芯管に巻き取ることにより、長さ5kmの積層体のロール(A)を得た
(包装体Aの製造)
まず、保護パッドとして、60cmΦ、厚さ4mmの円盤状ポリスチレン発泡体(貫通孔18cmΦ)を2枚用意し、該保護パッドを芯管に通して、ロール両端部に装着した。次いで、水蒸気バリヤアフィルムとして、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム(アルミニウムを500Å蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム、12μm厚)とポリエチレンフィルム(25μm厚)の積層フィルムを用意し、23℃50%RHの環境下で、得られたロール(A)に、該水蒸気バリアフィルムを2重巻きし、幅方向の余剰部分をテープで芯管に巻きつけて密封することで、包装体(A)を得た。
(保管、搬送、及び輸送)
芯管の突出部を架台に載せて、得られた包装体(A)を接地することなく宙に浮いた状態とし、25℃50%RHで10日間保管した後、架台ごとトラックまで搬送し、船便で韓国に輸送した。輸送後、包装体Aを解包し、ロール状態を確認したところブロッキングや巻きずれは無く、ロール外周部の積層体から両面の保護フィルムAを剥離し、ポリビニルアルコール系フィルムの外観検査を行ったところ、傷、汚れ、変形などの劣化は観察されなかった。また、かかるポリビニルアルコール系フィルムの面内位相差を測定したところ、製造直後との違いは確認できなかった。
(偏光膜Aの製造)
輸送後の積層体Aから両面の保護フィルムを剥離し、幅(TD方向)30cm×長さ(MD方向)30cmのポリビニルアルコール系フィルムの試験片を切り出し、水温25℃の水槽に浸漬して1.7倍に延伸した。次にヨウ素0.9g/L、ヨウ化カリウム30g/Lよりなる28℃の水溶液中に浸漬して、染色しながら1.6倍に延伸し、連続してホウ酸25g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(55℃)に浸漬して1.9倍に一軸延伸してホウ酸処理を行なった。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄行い、乾燥して総延伸倍率5.2倍の偏光膜Aを得た。得られた偏光膜Aの偏光特性を表2に示す。
<実施例2>
保護フィルムとして、フタムラ化学社製「太閤FSA 010M」(厚さ30μm、幅5m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力10mN/20mm、接触角98°、反対面マット調)を用いる以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
<実施例3>
保護フィルムとして、フタムラ化学社製「太閤FSA 100M」(厚さ30μm、幅5m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力27mN/20mm、接触角94°、反対面マット調)を用いる以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
<実施例4>
保護フィルムとして、サンエー化研社製「PAC3−3−30」(基材ポリエチレン、厚さ30μm、幅1.4m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力7mN/20mm、接触角97°)を用いて、積層体が1.2m幅になるよう両端部をスリットで切り落とすこと以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
<実施例5>
保護フィルムとして、東レフィルム加工社製「トレテック7332」(基材ポリエチレン、厚さ30μm、幅1.4m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力14mN/15mm、接触角95°)を用いて、積層体が1.2m幅になるよう両端部をスリットで切り落とすこと以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
<実施例6>
保護フィルムとして、東レフィルム加工社製「トレテック7571」(基材ポリエチレン、厚さ50μm、幅1.4m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力22mN/15mm、接触角98°)を用いて、積層体が1.2m幅になるよう両端部をスリットで切り落とすこと以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送、偏光膜の製造を行った。結果を表1と表2に示す。
<比較例1>
保護フィルムとして、フタムラ化学社製「太閤FSA 300M」(厚さ30μm、幅5m、ポリビニルアルコール系フィルムとの粘着力40mN/15mm、接触角95°、反対面マット調)を用いる以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送を行った。輸送後、ポリビニルアルコール系フィルムから保護フィルムを剥離できず、偏光膜は製造できなかった。結果を表1と表2に示す。
<比較例2>
保護フィルムを用いないこと以外は実施例1と同様にして、ロールの製造、包装体の製造、保管、搬送、及び輸送を行った。輸送後、ポリビニルアルコール系フィルムから保護フィルムを剥離したところ、細かい傷、汚れ、一部変形(うねり)が見られ、面内位相差も観察された。更に、偏光膜の製造を行ったところ、偏光度が低く色ムラも観察された。結果を表1と表2に示す。
実施例1〜6と比較例1、2との対比から明らかなように、本発明の積層体で輸送されたポリビニルアルコール系フィルムは、保護フィルムで両面を保護されているため、輸送後も傷、汚れ、変形がなく、面内位相差の変化も無い。また、本発明の積層体から製造された偏光膜は、製造に用いたポリビニルアルコール系フィルムの変形や光学特性の劣化が抑えられているので、偏光度や光線透過率が高く、色ムラが起きにくい。
本発明により得られる偏光膜は、光学ムラがなく偏光性能にも優れているため、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (10)

  1. 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼付された積層体であって、
    ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μm以下であり、
    ポリビニルアルコール系フィルムと保護フィルムとが1〜30mN/20mmの粘着力で貼付されていることを特徴とする積層体。
  2. 保護フィルムが、偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの両面に貼付されていることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが4〜20μmであることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 保護フィルムの偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムと接する側のフィルム面の接触角が、80°以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の積層体。
  5. 保護フィルムが、2軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の積層体。
  6. 保護フィルムの厚さが、30〜70μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の積層体。
  7. 保護フィルムの幅が、2m以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の積層体。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の積層体から保護フィルムを剥離して得られることを特徴とする偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルム。
  9. 請求項8記載の偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる偏光膜。
  10. 請求項1〜7いずれか記載の積層体をロール状態にて保管または輸送することを特徴とする偏光膜製造用ポリビニルアルコール系フィルムの保管または輸送方法。
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