JP2017106785A - 銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法 - Google Patents

銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、亜鉛系めっき機材が設置される腐食環境の腐食状況を銅片を用いて簡易に測定して、配電線路の亜鉛系めっき機材の耐食寿命を評価する方法である。【解決手段】本発明では、腐食環境に暴露して腐食させた多数の銅片の光沢度又は重量増加量の結果に基づいて、腐食環境を複数の腐食レベルに分類すると共に、この腐食レベルの腐食環境で亜鉛系めっき機材を腐食させてその腐食速度を測定し、この腐食速度と銅片の光沢度又は重量増加量との相関図を作成する。そして、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価する際は、その腐食環境で腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量の結果を相関図に照合させて、亜鉛系めっき機材の余寿命を評価する。【選択図】 図5

Description

この発明は、大気環境中において、その設置地点における腐食環境の腐食状況を簡易に測定し、配電線路に適用する亜鉛系めっき機材の耐食寿命を簡易に評価する方法に関するものである。
溶融亜鉛めっきは、一般に大気環境下では優れた耐食性を有し、安価であることからも、一般構造物をはじめ、比較的小さな機材までに広く適用されている。しかしながら、沿岸地区(塩害地区)と温泉地区(硫黄害地区)とに区分されるような過酷な腐食環境では数年足らずで赤錆が発生することがある。
そのような腐食環境における腐食状況(進行度合い)は、地域によってさまざまであり、同一地域内においても、風通しや遮蔽物の有無によってわずか数十m離れた設置場所でも腐食状況は全く異なることが多い。
そのため、腐食地域を腐食進行度に応じて適切に区分し、計画的に保守管理することは難しく、定期点検の中で腐食している機材からメインテナンスを実施しているのが実情である。
なお、この発明において、「機材」とは変圧器等の金属製機器から腕金等の金物までを含む意味で使用する。また、塩害地区と硫黄害地区とを総称して「腐食環境」ということがある。
そのような背景から、保守管理する立場の亜鉛めっき機材のユーザーにおいては、その設置場所の腐食環境の程度や、その地点における亜鉛めっき機材の耐食寿命を精度よく把握したいというニーズが強い。さらに地点ごとの亜鉛めっきの寿命が精度良く把握できた際には、その結果が比較的長期間であれば塗装などより低コストな防食方法による対策への切替え、比較的短期間であれば高耐食性めっき、溶射、塗装とめっきの併用など防食効果の高い方法への切替えなど、地点、地点に応じた最適な対策手法を実施することも可能となる。
しかしながら、腐食環境を定量的に評価するには、専用機器を用いた長期的な測定と高度な分析技術が必要であり、しかも広大な腐食エリアに対して各地点の環境測定をするには膨大なコストと時間を要する。そこで、塩害地区および硫黄害地区において亜鉛めっき機材の耐食寿命を簡易的に把握できる評価方法が求められている。
特許文献1は、銅をはじめ複数種類の金属片の明度、色相、彩度に関する表色データを、予め作成しておいたそれら各金属片の表色マスターデータに照会し、設置場所の腐食環境を評価する、腐食環境センサによる腐食環境評価方法に関するものである。
また、特許文献2は、ACMセンサの設置場所での腐食速度(電流を測定)に基づいて、その非測定地域における相対湿度等の重み付けした腐食速度推定式を求め、その地域における腐食速度を推定演算する腐食速度評価方法に関するものである。
特許第4363646号公報 特許第5066955号公報
しかしながら、前記特許文献1のものは、銅片の外観状況から、その場所の腐食環境を評価するものであり、亜鉛系めっき機材の耐食寿命を判定するまでには至っていない。
また、特許文献2のものは、広い腐食エリアにおいて腐食速度を推定するという試みではあるが、そもそも特定地域のACMセンサは測定値から腐食速度を推定するものであって、当該ACM測定器自体が高価であり、容易に入手することができないという問題がある。また、ACMセンサは、鉄とは相関性が見出されているものの、亜鉛めっきとの相関性に乏しいという問題もある。
従って、前記塩害地区および硫黄害地区において亜鉛めっき機材の耐食寿命を簡易的に把握できる評価方法は未だ開発されていないのが現状である。
そこで、本発明の目的は、亜鉛系めっき機材が設置される腐食環境における腐食状況を純銅又は銅合金の試験片(以下、「銅片」という)の腐食によって簡易に測定し、その銅片の腐食結果を用いて、配電線路に使用する亜鉛系めっき機材の耐食寿命を短期間で簡易に判定できる評価方法を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行ったところ、塩害地区および硫黄害地区の腐食環境下では、銅の腐食と亜鉛めっきの腐食との間に高い相関性があることを見出した。そして、さらに検討を重ねたところ、亜鉛系めっき機材が設置される腐食環境における腐食状況を銅片の腐食によって簡易に測定すると共に、この銅片の腐食結果と亜鉛系めっき機材の腐食結果との相関関係を求めることで、配電線路に使用する亜鉛系めっき機材の余寿命を短期間で判定できることを知見し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、銅片を腐食環境の多数箇所で暴露して腐食させ、この腐食させた銅片の光沢度および重量増加量の測定結果に基づいて、腐食環境の腐食レベルを複数の段階に分類分けする工程と、腐食レベルごとに1以上の暴露箇所を任意に選択し、選択した暴露箇所に亜鉛系めっき機材を暴露して腐食させ、腐食させた亜鉛系めっき機材の腐食速度を測定する工程と、銅片の光沢度又は重量増加量の測定結果と亜鉛系めっき機材の腐食速度の測定結果から、両者の相関図を作成する工程と、を含む簡易な耐食寿命評価方法であって、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価する際は、前記任意の腐食環境で銅片を腐食させ、この腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量の測定結果を相関図に照合させることで、前記任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価することを特徴とするものである。
また、本発明は、銅片を腐食環境の多数箇所で暴露して腐食させ、この腐食させた銅片の光沢度および重量増加量の測定結果に基づいて、腐食環境の腐食レベルを複数の段階に分類分けする工程と、腐食レベルごとに1以上の暴露箇所を任意に選択し、選択した暴露箇所に亜鉛系めっき機材を暴露して腐食させ、腐食させた亜鉛系めっき機材の腐食速度を測定する工程と、この腐食速度やこの腐食速度で亜鉛系めっき機材のめっき付着量を除して算出した余寿命の数値と腐食レベルとを対応させた対応表を作成する工程と、を含む簡易な耐食寿命評価方法であって、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価する際は、前記任意の腐食環境で銅片を腐食させ、この腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量に基づいて任意の腐食環境の腐食レベルを決定し、この腐食レベルを対応表に照合させることで、前記任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価することを特徴とするものである。
また、本発明の腐食環境は、塩害又は硫黄害の環境であり、この塩害又は硫黄害の環境では、腐食レベルが少なくとも3段階に分類分けされていることが好ましい。
さらに、本発明の銅片を暴露して腐食させる際は、下面に開口部を有する容器の中に銅片を入れて支持させ、この容器の側面又は上面で大気中の支持物に支持させることが好ましい。
本発明によれば、亜鉛系めっき機材の代わりに、比較的短期間に腐食する銅片を用いるので、腐食環境下の配電線路に使用する亜鉛系めっき機材の余寿命を短期間で極めて簡易に評価することができる。
この発明の実施の形態の海岸(塩害)地区における銅片の外観変化から把握される亜鉛めっき金物寿命を示す図(対応表)である。 この発明の実施の形態の温泉(硫黄害)地区における銅片の外観変化から把握される亜鉛めっき金物寿命を示す図(対応表)である。 この発明の実施の形態の海岸(塩害)地区の図8の結果を示すグラフ図(相関図)である。 この発明の実施の形態の温泉(硫黄害)地区の図9の結果を示すグラフ図(相関図)である。 この発明の実施の形態の図8及び図9の結果を示すグラフ図(相関図)である。 この発明の実施の形態の海岸(塩害)地区に暴露した銅片データ表図である。 この発明の実施の形態の温泉(硫黄害)地区に暴露した銅片データ表図である。 この発明の実施の形態の海岸(塩害)地区の図6のデータ表のデータから各腐食レベルの最大値、最小値、平均値を求めて腐食レベル表を作成する過程を示す、各種データ表図である。 この発明の実施の形態の温泉(硫黄害)地区の図7のデータ表のデータから各腐食レベルの最大値、最小値、平均値を求めて腐食レベル表を作成する過程を示す、各種データ表図である。 この発明の実施の形態の銅片の大気中への暴露状態を示す一部断面正面図である。
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。なお、この実施の形態では、前記亜鉛系めっき機材として、「亜鉛系めっき金物」を用いて実施したので、以下、この亜鉛系めっき金物について説明する。
この亜鉛系めっき金物の耐食寿命評価方法は、次の工程A、BおよびC又Dを含むものである。すなわち、工程Aは、腐食環境の腐食状況を亜鉛めっきと相関性の高い銅片を腐食させて簡易に測定し、その測定結果に基づいて、その腐食環境の腐食状況(腐食レベル)を複数の段階に分類分けする工程であり、好ましくは「レベル分け表」を作成すると便利である。具体的には、ある任意の腐食環境下の多数箇所に多数の銅片を大気中に暴露して腐食させ、この腐食させた銅片の光沢度および重量増加量を測定する。次に、その測定結果に基づいて、銅片を設置した腐食環境の腐食レベルを複数の段階に分類分けする工程である。
工程Bは、複数に分類分けした腐食レベルごとに1以上の暴露箇所を任意に選択し、この選択した暴露箇所で銅片の代わりに亜鉛系めっき金物を大気中に暴露して腐食させ、腐食レベルごとに亜鉛系めっき金物の腐食速度を測定する工程である。
工程Cは、工程Aで得られた銅片の光沢度又は重量増加量の結果と工程Bで得られた亜鉛系めっき金物の腐食速度の結果から、銅片の光沢度又は重量増加量と亜鉛系めっき金物の腐食速度との相関関係を示す相関図を作成する工程である。
工程Dは、銅片の光沢度および重量増加量に基づいて設定した腐食レベルと、この腐食レベルごとに測定した亜鉛系めっき金物の腐食速度やこの腐食速度から算出した余寿命の数値とを対応させた対応表を作成する工程である。
そして、本発明では、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき金物の寿命を評価する際は、任意の腐食環境で亜鉛系めっき金物の代わりに銅片を腐食させ、腐食後の銅片の光沢度又は重量増加量の結果を相関図に照合させることで、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき金物の耐食寿命を短期間で簡易に評価することができる。
また、同様に、任意の腐食環境で腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量の結果から、その腐食環境の腐食レベルを決めると共に、この腐食レベルを前記対応表に照合させることで、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき金物の耐食寿命を短期間で簡易に評価することもできる。
さらに、本発明の評価方法では、任意の塩害地区又は硫黄害地区の腐食環境ごとにその腐食状況を示す「レベル分け表」を一度作成しておくと、このレベル分け表を同様の他の塩害地区又は硫黄害地区に適用することで、厳しい腐食環境にある配電線路に使用する亜鉛系めっき機材の余寿命を短期間で簡易に評価することができるので便利である。
そこで、まず、本発明の前記工程Aについて具体的に説明する。
1) 銅片を腐食させる工程
雨掛かりのないように、銅片1を図10に示すように、プラスチック製のケース2内にインシュロック等で固定し、当該ケース2ごと電柱3の足場ボルト4に取り付ける。電柱3へのケース2の取付け箇所は、地上高2〜5m程度とする。また、前記銅片1の下面以外はケース2に覆われているが、下面はケース下部が開口されており、大気に晒されている。この状態を一定期間、例えば、1ヶ月間保持しておく。この工程は、塩害のある地区と硫黄害のある地区とに分け、それぞれの地区の例えば20〜30箇所で行う。
2) 銅片1を回収する方法
銅片1には直接触れないようにしてケース2ごと足場ボルト4から取り外し、銅片1が良く乾燥した状態でケース2から外し、塩害地区、硫黄害地区のすべての銅片1を回収する。
3)光沢度の測定方法
光沢計(例:コニカミノルタ製GM-268Plas)を用いて、塩害地区、硫黄害地区の各地区から回収したすべての乾燥した銅片1について、その中央付近の1箇所を3回測定して、その平均値を評価値とする。
4)銅片1の重量測定方法
電子天秤(例:METTLER TOLEDO製AG245)を用いて、各地区から回収したすべての銅片1について、まず腐食前の乾燥した銅片1の重量を測定し、次に、腐食後に同電子天秤を用いて、腐食後の乾燥した銅片1の重量を測定する。腐食後は酸素や塩素等の余分なものが付き、さびの分だけ重くなるため、腐食後の重量から腐食前の重量を減じて差分を増加量として評価することができる。
5)腐食環境を各腐食レベルに分類分けする工程
塩害地区、硫黄害地区の各地区から回収したすべての銅片1について、銅片1を地区ごとに仕分けてから、その光沢度と重量増加量を測定する。次に、光沢度と重量増加量(重量変化)の測定結果に基づいて、腐食環境の腐食状況を大きく腐食レベル1〜3の3段階に分類分けして、表1のような「レベル分け表」を作成する。この際、腐食環境の塩害地区と硫黄害地区では、腐食状況等が異なるのでそれぞれの地区ごとに「レベル分け表」を作成する。次に、この「レベル分け表」に沿って、回収したすべての銅片1を塩害地区と硫黄害地区のそれぞれの地区ごとに腐食レベル1〜3の何れかの段階に仕分けする。
回収した銅片1を上記のように仕分けする作業では、銅片1の光沢を目で見て判断して仕分けを行う際、実際の測定値を入れて微調整を行ったが、光沢と重量増加量とで腐食レベルが異なる銅片1については、厳しい腐食レベルの方に振り分けた。
次に、前記工程Bについて説明する。
6)亜鉛系めっき金物を暴露する方法(腐食工程)
電柱の地上高5m程度に、亜鉛系めっき金物(板状試験片)暴露用の架台を取付ける。前記板状試験片はJISZ2381:2001(大気暴露試験方法通則)に準拠し、架台に設置する。暴露期間は半年以上の任意とする。例えば、塩害地区では211日間、硫黄害地区では3年間とした。また、各板状試験片の設置場所は、少なくとも前記銅片1により腐食レベルを決める際に選択した暴露場所と同一の複数箇所とするが、前記各銅片1の暴露箇所すべてに板状試験片を設置してもよい。
7)腐食減量を測定する方法
電子天秤(例:METTLER TOLEDO製AG245)を用いて、腐食前の乾燥した板状試験片の重量を測定し、次に、前記6)の腐食工程後に、JISZ2371(2000):化学的腐食生成物除去法に準じ、板状試験片に付着した腐食生成物を塩化アンモニウム溶液で除去後、前記電子天秤を用いて、腐食生成物除去後の乾燥した板状試験片の重量を測定する。初期重量から腐食生成物除去後の重量を減じて差分を腐食減量として評価する。
8)亜鉛系めっき金物の腐食速度を算出する方法
前記7)の腐食減量を暴露期間で除した値を腐食速度とする。これにより、例えば、1年間での腐食速度を算出することができる。
亜鉛系めっき金物の余寿命を算出する方法
前記金物のめっき付着量を腐食速度で除した値が余寿命となるから、例えば、初期のめっき付着量が550g/mで、腐食速度が49.8g/ m/年であれば、余寿命は(1)式から11.0年として算出することができる。
550g/m÷49.8g/m/年=11.0年 (1)
次に、前記工程Cについて説明する。
9)相関図の作成
図3~5は、銅片1の色差、光沢度及び重量変化と亜鉛系めっき金物の余寿命(腐食速度)との相関図を示したものである。この図3~5の作成では、前記工程Aで測定した銅片1の光沢度又は重量増加量に基づいて、すべての銅片1を腐食レベル1〜3の何れかに仕分けした上で、腐食レベルごとに仕分けした各銅片1の測定値の平均値を算出するなどの統計処理した値を横軸にとる。一方で、前記工程Bで求めた各腐食レベルの任意に選択した1以上の箇所で大気中に暴露した亜鉛系めっき金物の腐食速度を同様に処理した値を縦軸にプロットし、このプロット点を直線で結ぶことで図3~5の相関図が作成される。なお、各腐食レベルのプロット点を数曲線で結び相関図を作成することもできる。
本発明では、予め図3~5のような相関図を塩害地区と硫黄害地区の腐食環境ごとに用意しておくことが好ましい。そして、設置した亜鉛系めっき金物の寿命を評価する際は、その設置場所に亜鉛系めっき金物に代えて銅片1を一定期間、例えば1ヶ月間大気中に暴露して腐食させ、腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量の結果を図3~5の相関図に照合させると、銅片の光沢度又は重量増加量に対応する亜鉛系めっき金物の腐食速度を特定することができるから、亜鉛系めっき金物について長期間の暴露試験を行わなくても、この腐食速度から、図1、図2を参考に亜鉛系めっき金物の余寿命を判定することができる。
10)対応表の作成
本発明では、腐食環境の腐食レベル1〜3ごとに亜鉛系めっき金物の余寿命を算出することができるため、例えば塩害地区と硫黄害地区について、それぞれの腐食レベルに対応する余寿命を算出しておくと便利である。例えば、前記図1、2のように、腐食環境の塩害地区と硫黄害地区について、前記工程Aおよび工程Bの結果から、各腐食レベルに対応する外観例や亜鉛系めっき金物の腐食速度および耐食寿命(年)の数値をまとめた対応表を作成しておくと便利である。そして、この対応表を早見表として用いると、ある腐食環境下に暴露して腐食させた銅片1の腐食レベルを測定し、その測定結果を対応表に照合させるだけで、その腐食環境下の亜鉛系めっき金物の余寿命を簡易に推定することができるからである。
図5に示す重量変化の結果によれば、両地区の比較で明らかな様に、塩害地区より硫黄害地区の方がその傾きが急峻であるため、腐食速度の推定精度は硫黄害地区の方が高い。また、重量変化を測定する場合は、微量な重量を測定する必要があるため、現地での正確な計測は一般的に困難である。一方、光沢度を計測する場合は、現地での計測が容易であるため、これらの測定では、測定場所の状況に応じて両者を使い分けることが好ましい。
次に、前記表1、図1及び図2の腐食レベル表の作成過程について、図3〜図10に基づいて説明する。
まず、上述のように、塩害地区及び硫黄害地区において、図10に示すように、銅片1を多数の大気中に暴露する。この暴露試験は、図6の塩害地区では70箇所で、また図7の硫黄害地区では65箇所で約1ヶ月の期間行った。
そして、これらを全て回収し、それぞれの銅片1について、明度、色合い、光沢、重量増加量を夫々測り、これらを記録した。また、ぞれぞれの銅片1の腐食結果を目視し、光沢の度合いによって、図6及び図7に示すように、3段階の腐食レベル1〜3に振り分けた。その際、光沢と重量増加量について腐食レベルと合わないものがないかを確認し、合わないものについては、腐食レベルの高い(厳しい)方に銅片1の腐食結果を振り分けた。
また、図6及び図7の各腐食レベルに仕分けした銅片1の腐食結果に基づいて、腐食レベルごとに任意に選択した1以上の暴露試験箇所を選び、この暴露試験箇所に亜鉛系めっき金物を大気中に211日〜3年間暴露した。そして、暴露した金物ごとに、その腐食による重量変化値を測定し、当該重量変化値から腐食速度を算出した。また、耐食寿命は、金物の全亜鉛系めっき量を550g/mとして前記腐食速度で除算して求めた。そして、これらの結果を図1及び図2のとおりまとめて、各腐食レベルに対応する亜鉛系めっき金物の腐食速度及び耐食寿命を示す対応表を作成した。
また、前記図6及び図7の表図から、各腐食レベルにおける光沢度の最小値、最高値、平均値を求めると共に、重量変化量の最小値、最大値、平均値を求めて、塩害地区のものを図8の表1−2に、硫黄害地区のものを図9の表2−2にそれぞれまとめた。
そして、図8の表1−3は、表1−2のデータから、また、図9の表2−3は、表2−2のデータからそれぞれ作成した。また、塩害地区の表1−1、表1−2の結果と硫黄害地区の表2−1と表2−2の結果を図3~5に示すようにグラフ化した。
図3~5は、図3が塩害地区のもの、図4が硫黄害地区のもの、図5が両地区の銅片1の腐食変化を表示している。また、各図とも左列が銅片1の「色差」、中列が「光沢度」、右列が「銅片の重量変化」の、3段階の腐食レベルの変化を表している。
この結果によると、「光沢度」及び「銅片の重量変化」は、腐食レベルの順になっているが、「色差」は、塩害地区のものでは腐食レベルの順に明度が落ちていない。従って、「色差」の結果からでは腐食レベルの分類分けができないことが確認できる。一方で、腐食度合いに応じた傾向は塩害と硫黄害で逆であることから、この「色差」の挙動から、どちらの腐食環境であるかの識別に応用することができる。
本発明の前記実施の形態では、腐食レベルを3段階に分類分けしたが、腐食環境がより厳しい箇所では4段階、5段階に分類分けしてもよく、これによって、きめの細かい耐食寿命評価が可能となる。また、前記実施の形態では亜鉛系めっき金物について説明したが、亜鉛系めっき金物に限らず、変圧器等他の亜鉛系めっき機材についても同様の効果を奏するものである。
1 銅片 2 ケース
3 電柱 4 足場ボルト

Claims (4)

  1. 銅片を腐食環境の多数箇所で暴露して腐食させ、該腐食させた銅片の光沢度および重量増加量の測定結果に基づいて、前記腐食環境の腐食レベルを複数の段階に分類分けする工程と、前記腐食レベルごとに1以上の暴露箇所を任意に選択し、選択した暴露箇所に亜鉛系めっき機材を暴露して腐食させ、該腐食させた亜鉛系めっき機材の腐食速度を測定する工程と、前記銅片の重量増加量の測定結果と前記亜鉛系めっき機材の腐食速度の測定結果から、両者の相関図を作成する工程と、を含む簡易な耐食寿命評価方法であって、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価する際は、前記任意の腐食環境で銅片を腐食させ、該腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量の測定結果を前記相関図に照合させることで、前記任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価することを特徴とする銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法。
  2. 銅片を腐食環境の多数箇所で暴露して腐食させ、該腐食させた銅片の光沢度および重量増加量の測定結果に基づいて、前記腐食環境の腐食レベルを複数の段階に分類分けする工程と、前記腐食レベルごとに1以上の暴露箇所を任意に選択し、選択した暴露箇所に亜鉛系めっき機材を暴露して腐食させ、該腐食させた亜鉛系めっき機材の腐食速度を測定する工程と、該腐食速度や該腐食速度で前記亜鉛系めっき機材のめっき付着量を除して算出した余寿命の数値と前記腐食レベルとを対応させた対応表を作成する工程と、を含む簡易な耐食寿命評価方法であって、任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価する際は、前記任意の腐食環境で銅片を腐食させ、該腐食させた銅片の光沢度又は重量増加量に基づいて任意の腐食環境の腐食レベルを決定し、該腐食レベルを前記対応表に照合させることで、前記任意の腐食環境にある亜鉛系めっき機材の寿命を評価することを特徴とする銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法。
  3. 前記腐食環境は、塩害又は硫黄害の環境であり、該塩害又は硫黄害の環境では、前記腐食レベルが少なくとも3段階に分類分けされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法。
  4. 前記銅片を暴露して腐食させる際は、下面に開口部を有する容器の中に、前記銅片を入れて支持させ、当該容器の側面又は上面で大気中の支持物に支持させてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の銅片による亜鉛系めっき機材の簡易な耐食寿命評価方法。

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