JP2017106572A - 等速ジョイントの製造方法及び等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の等速ジョイントの製造方法は、回転軸線方向一方側が開口する有底筒状に形成され、複数の外側ボール溝が内周面に形成された外側ジョイント部材と、前記外側ジョイント部材の内側に配置され、凸球面状の外周面を有し、複数の内側ボール溝が前記外周面に形成された内側ジョイント部材と、前記複数の外側ボール溝及び前記複数の内側ボール溝を転動する複数のボールと、前記外側ジョイント部材の前記内周面及び前記内側ジョイント部材の前記外周面の間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な複数の窓部を有し、凸球面状の外周面及び凹球面状の内周面を有する保持器と、を備え、前記内側ジョイント部材の前記外周面は、前記外側ジョイント部材の底側に位置する第一外周面と、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも前記外側ジョイント部材の開口側に位置し、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも面粗さが大きく形成された第二外周面と、を備えた、等速ジョイントの製造方法であって、前記内側ジョイント部材の外形形状を鍛造により形成する鍛造工程と、前記鍛造工程により形成された前記内側ジョイント部材に熱処理を施す熱処理工程と、前記熱処理工程により熱処理が施された前記内側ジョイント部材の前記外周面の一部に対し、表面粗さを小さくするための熱処理後表面加工を施す熱処理後表面加工工程と、を備え、前記熱処理後表面加工工程は、少なくとも前記内側ジョイント部材の前記第一外周面に対して前記熱処理後表面加工を施し、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の少なくとも一部に対して前記熱処理後表面加工を施さない。
また、本発明の等速ジョイントの製造方法は、回転軸線方向一方側が開口する有底筒状に形成され、複数の外側ボール溝が内周面に形成された外側ジョイント部材と、前記外側ジョイント部材の内側に配置され、凸球面状の外周面を有し、複数の内側ボール溝が前記外周面に形成された内側ジョイント部材と、前記複数の外側ボール溝及び前記複数の内側ボール溝を転動する複数のボールと、前記外側ジョイント部材の前記内周面及び前記内側ジョイント部材の前記外周面の間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な複数の窓部を有し、凸球面状の外周面及び凹球面状の内周面を有する保持器と、を備え、前記内側ジョイント部材の前記外周面は、前記外側ジョイント部材の底側に位置する第一外周面と、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも前記外側ジョイント部材の開口側に位置し、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも面粗さが大きく形成された第二外周面と、を備えた、等速ジョイントの製造方法であって、前記内側ジョイント部材の外形形状を鍛造により形成する鍛造工程と、前記鍛造工程により形成された前記内側ジョイント部材の前記外周面に対し、表面粗さを小さくするための熱処理前表面加工を施す熱処理前表面加工工程と、前記熱処理前表面加工が施された前記内側ジョイント部材に対し、熱処理を施す熱処理工程と、を備え、前記熱処理前表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面に対して前記熱処理前表面加工を施し、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の少なくとも一部に対して前記熱処理前表面加工を施さない。
本発明の製造方法により製造された等速ジョイントにおいて、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の曲率半径は、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面の曲率半径よりも小さい。この場合、内側ジョイント部材の第二外周面の面粗さを、内側ジョイント部材の第一内周面の面粗さよりも確実に大きくすることができる。
以下、本発明に係る駆動装置を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態における等速ジョイント100について説明する。等速ジョイント100は、ジョイント中心固定式ボール型等速ジョイントであって、自動車のフロント用ドライブシャフトのアウトボードジョイントとして好適に使用される。特に、本実施形態では、アンダーカットフリー型のジョイント中心固定式ボール型ジョイント(UFJ)を例に挙げて説明する。
図1に示すように、等速ジョイント100は、外側ジョイント部材10と、内側ジョイント部材20と、6つのボール30と、保持器40と、を備える。
図2に示すように、内側ジョイント部材20の外周面21は、第一外周面24と第二外周面25とを備える。内側ジョイント部材20の第一外周面24は、内側ジョイント部材20の外周面21のうち、交点O(即ち、内側ジョイント部材20の外周面21の中心)を通り、且つ、回転軸線L2に垂直な内側部材中央面P1と交わる部位から、回転軸線L2方向他方側(図3右側)に配置される部位であって、内側ジョイント部材20が外側ジョイント部材10の内側に配置されるときに外側ジョイント部材10の底側に位置する部位である(図1参照)。
次に、等速ジョイント100の動作について説明する。外側ジョイント部材10と内側ジョイント部材20との間でトルクを伝達するとき、保持器40は、回転軸線L3を中心に回転する。等速ジョイント100がジョイント角をとるとき、6つのボール30には、外側ボール溝12の転動面と内側ボール溝22の転動面との間隔が広がっている方向、即ち、外側ジョイント部材10の開口側へ移動しようとする力が作用する。6つのボール30が外側ジョイント部材10の開口側へ移動しようとするのに伴い、6つのボール30を保持する保持器40は、外側ジョイント部材10の開口側へ移動し、保持器40の回転軸線L3は、外側ジョイント部材10の回転軸線L1と内側ジョイント部材20の回転軸線L2との二等分線上に配置される。
次に、内側ジョイント部材20の外周面21と保持器40の内周面42との関係に着目する。例えば、自動車のフロント用ドライブシャフトのアウトボードジョイントとして等速ジョイント100を使用する場合、その使用条件の大半において、内側ジョイント部材20の外周面21のうち外側ジョイント部材10の底側に位置する第一外周面24が、保持器40の内周面42に接触し、保持器40の内周面42に強く押し当てられる。即ち、内側ジョイント部材20の第一外周面24は、内側ジョイント部材20の第二外周面25と比べて、保持器40の内周面42に接触する頻度が高く、保持器40の内周面42との接触により発生する負荷が大きい。
次に、図3を参照して、内側ジョイント部材20の製造工程について説明する。図3に示すように、内側ジョイント部材20の製造工程は、鍛造工程(S11)と、熱処理前表面加工工程(S12)と、熱処理工程(S13)と、熱処理後表面加工工程(S14)と、を主に備える。
次に、内側ジョイント部材20の製造工程の変形例について説明する。なお、以下に示す変形例のいずれにおいても、鍛造工程(S11)及び熱処理工程(S13)は、上記した第一実施形態と同様に実施する。
上記した第一実施形態では、熱処理前表面加工工程(S12)において、内側ジョイント部材20の外周面21となる部位の全域に熱処理前表面加工を施す場合について説明したが、内側ジョイント部材20の第一外周面24となる部位に対してのみ熱処理前表面加工を施してもよい。この場合、内側ジョイント部材20の第二外周面25となる部位に対して熱処理前表面加工を施さないので、内側ジョイント部材20の製造工程において、熱処理前表面加工処理(S12)に要する時間の短縮を図ることができる。
上記した第一実施形態では、熱処理工程(S13)の前に熱処理前表面加工工程(S12)を実施する場合について説明したが、熱処理前表面加工工程(S12)を省略してもよい。即ち、鍛造工程(S11)を施した後に熱処理工程(S13)へ移行してもよい。この場合、熱処理前表面加工工程(S12)を省略することにより、等速ジョイント100のリードタイムの短縮を図ることができる。
上記した第一実施形態では、熱処理前表面加工工程(S12)において、内側ジョイント部材20の外周面21となる部位の全域に熱処理前表面加工を施し、熱処理後表面加工工程(S14)において、内側ジョイント部材20の第一外周面24となる部位に熱処理後表面加工を施す場合について説明した。これに対し、熱処理前表面加工工程(S12)において、内側ジョイント部材20の第一外周面24に熱処理前表面加工を施し、熱処理後表面加工工程(S14)を省略してもよい。
次に、第二実施形態について説明する。第一実施形態では、等速ジョイント100がアンダーカットフリー型の等速ジョイント(UFJ)である場合について説明したが、第二実施形態では、等速ジョイント200がダブルオフセット型の等速ジョイント(DOJ)である場合について説明する。なお、上記した第一実施形態と同一の部品には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4に示すように、等速ジョイント200は、ダブルオフセット型の等速ジョイントであり、外側ジョイント部材210と、内側ジョイント部材220と、ボール30と、保持器240と、を備える。
内側ジョイント部材220の外周面221は、第一外周面224と、第二外周面225と、第三外周面226とを備える。内側ジョイント部材220が外側ジョイント部材210の内側に配置されたとき、内側ジョイント部材220の第一外周面224は、外側ジョイント部材210の底側に、内側ジョイント部材220の第二外周面225は、内側ジョイント部材220の第一外周面224よりも外側ジョイント部材210の開口側に、内側ジョイント部材220の第三外周面226は、内側ジョイント部材220の第二外周面225よりも外側ジョイント部材210の開口側に位置する。
等速ジョイント200では、内側ジョイント部材220が保持器240に対して回転軸線L2方向へ相対移動すると、保持器240の内周面242に内側ジョイント部材220の外周面221が接触し、保持器240の内周面242に内側ジョイント部材220の外周面221が強く押し付けられる。
以上、上記各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記したように、等速ジョイント100,200は、回転軸線L1方向一方側が開口する有底筒状に形成され、複数の外側ボール溝12,212が内周面11,211に形成された外側ジョイント部材10,210と、外側ジョイント部材10,210の内側に配置され、凸球面状の外周面21,221を有し、複数の内側ボール溝22,222が外周面21,221に形成された内側ジョイント部材20,220と、複数の外側ボール溝12,212及び複数の内側ボール溝22,222を転動する複数のボール30と、外側ジョイント部材10,210の内周面11,211及び内側ジョイント部材20,220の外周面21,221の間に配置され、複数のボール30を1つずつ収容可能な複数の窓部43を有し、凸球面状の外周面41,241及び凹球面状の内周面42,242を有する保持器40,240と、を備える。
Claims (10)
- 回転軸線方向一方側が開口する有底筒状に形成され、複数の外側ボール溝が内周面に形成された外側ジョイント部材と、
前記外側ジョイント部材の内側に配置され、凸球面状の外周面を有し、複数の内側ボール溝が前記外周面に形成された内側ジョイント部材と、
前記複数の外側ボール溝及び前記複数の内側ボール溝を転動する複数のボールと、
前記外側ジョイント部材の前記内周面及び前記内側ジョイント部材の前記外周面の間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な複数の窓部を有し、凸球面状の外周面及び凹球面状の内周面を有する保持器と、
を備え、
前記内側ジョイント部材の前記外周面は、
前記外側ジョイント部材の底側に位置する第一外周面と、
前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも前記外側ジョイント部材の開口側に位置し、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも面粗さが大きく形成された第二外周面と、
を備えた、等速ジョイントの製造方法であって、
前記内側ジョイント部材の外形形状を鍛造により形成する鍛造工程と、
前記鍛造工程により形成された前記内側ジョイント部材に熱処理を施す熱処理工程と、
前記熱処理工程により熱処理が施された前記内側ジョイント部材の前記外周面の一部に対し、表面粗さを小さくするための熱処理後表面加工を施す熱処理後表面加工工程と、を備え、
前記熱処理後表面加工工程は、少なくとも前記内側ジョイント部材の前記第一外周面に対して前記熱処理後表面加工を施し、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の少なくとも一部に対して前記熱処理後表面加工を施さない、等速ジョイントの製造方法。 - 前記熱処理後表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記外周面のうち、前記保持器の前記内周面と接触し得る部位の少なくとも一部に対し、前記熱処理後表面加工を施す、請求項1に記載の等速ジョイントの製造方法。
- 前記製造方法は、
前記鍛造工程により形成された前記内側ジョイント部材の前記外周面の少なくとも一部に対し、表面粗さを小さくするための熱処理前表面加工を施す熱処理前表面加工工程を備える、請求項1又は2に記載の等速ジョイントの製造方法。 - 前記熱処理前表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の少なくとも一部に対して前記熱処理前表面加工工程を施さない、請求項3に記載の等速ジョイントの製造方法。
- 前記熱処理前表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記外周面の全域に対して前記熱処理前表面加工を施す、請求項3に記載の等速ジョイントの製造方法。
- 回転軸線方向一方側が開口する有底筒状に形成され、複数の外側ボール溝が内周面に形成された外側ジョイント部材と、
前記外側ジョイント部材の内側に配置され、凸球面状の外周面を有し、複数の内側ボール溝が前記外周面に形成された内側ジョイント部材と、
前記複数の外側ボール溝及び前記複数の内側ボール溝を転動する複数のボールと、
前記外側ジョイント部材の前記内周面及び前記内側ジョイント部材の前記外周面の間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な複数の窓部を有し、凸球面状の外周面及び凹球面状の内周面を有する保持器と、
を備え、
前記内側ジョイント部材の前記外周面は、
前記外側ジョイント部材の底側に位置する第一外周面と、
前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも前記外側ジョイント部材の開口側に位置し、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面よりも面粗さが大きく形成された第二外周面と、
を備えた、等速ジョイントの製造方法であって、
前記内側ジョイント部材の外形形状を鍛造により形成する鍛造工程と、
前記鍛造工程により形成された前記内側ジョイント部材の前記外周面に対し、表面粗さを小さくするための熱処理前表面加工を施す熱処理前表面加工工程と、
前記熱処理前表面加工が施された前記内側ジョイント部材に対し、熱処理を施す熱処理工程と、
を備え、
前記熱処理前表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面に対して前記熱処理前表面加工を施し、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の少なくとも一部に対して前記熱処理前表面加工を施さない、等速ジョイントの製造方法。 - 前記熱処理前表面加工工程は、前記内側ジョイント部材の前記外周面のうち、前記保持器の前記内周面と接触し得る部位の少なくとも一部に対し、前記熱処理前表面加工を施す、請求項6に記載の等速ジョイントの製造方法。
- 前記内側ジョイント部材の第一外周面は、前記内側ジョイント部材の回転軸線方向において前記内側ジョイント部材の前記第二外周面との境界から前記外側ジョイント部材の底側の端部にかけて配置され、
前記内側ジョイント部材の第二外周面は、前記内側ジョイント部材の回転軸線方向において前記内側ジョイント部材の前記第一外周面との境界から前記外側ジョイント部材の開口側の端部にかけて配置される、請求項1−7のいずれか一項に記載の等速ジョイントの製造方法。 - 前記内側ジョイント部材の前記外周面は、前記外側ジョイント部材の開口側に位置し、前記内側ジョイント部材の前記第二外周面よりも面粗さが小さく形成された第三外周面を備え、
前記内側ジョイント部材の前記第二外周面は、前記内側ジョイント部材の回転軸線方向において前記内側ジョイント部材の前記第一外周面と前記内側ジョイント部材の前記第三外周面との間に配置される、請求項1−7のいずれか一項に記載の等速ジョイントの製造方法。 - 請求項1−9の何れか一項に記載の等速ジョイントの製造方法により製造された等速ジョイントにおいて、
前記内側ジョイント部材の前記第二外周面の曲率半径は、前記内側ジョイント部材の前記第一外周面の曲率半径よりも小さい、等速ジョイント。
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