JP2017106250A - 外断熱工法 - Google Patents

Abstract

【課題】ロックウール断熱材がコテ塗による押圧力によっても変形することがない外断熱壁工法を提供する。【解決手段】建築物躯体外壁に圧縮強度が１８ＫＰａ（ＪＩＳ Ｋ ７２２０）以上であるコルゲートロックウールからなる断熱材の片面に接着剤を塗布して外壁面に接着固定し、コルゲートロックウール断熱材の表面に水溶性セルロースを混合した下地モルタルを塗布し、この下地モルタルが湿潤状態の間にガラスメッシュ材を下地モルタル内部に押し込むと共に上塗りモルタルを塗布してガラスメッシュをモルタル層内に埋設し、モルタル層の上に塗布型の外壁化粧仕上げをおこなうコルゲートロックウール断熱材を使用した外断熱工法。【選択図】図１

Description

本発明は、ロックウール断熱材を用いる外断熱工法に関し、更に詳しくは外壁のコテ塗仕上げに適した外断熱施工法である。

建築物の断熱工法には内断熱工法と外断熱工法とがあり、特にコンクリート構造物においては外断熱工法の断熱壁は、内断熱工法の断熱壁に比較して結露防止に有効である。また、建物の外側に断熱材が設置されるためコンクリート構造体が、太陽熱や外気環境に影響されにくく、内部発熱をコンクリート壁が蓄熱することで温度変化による熱ストレスが小さくなり、コンクリートのクラック発生及び中性化が抑制されるというメリットがある。
断熱材としては、ガラス繊維、ロックウール、及び発泡樹脂、及び発泡ガラス等があり、これらの断熱材を外壁に取り付けることによって断熱壁が形成される。
施工手順は、先ず、建築物躯体の外壁面に断熱材を金具または接着剤で固定し、断熱材の表面に下地層を形成してパネルやタイル等の外壁材を固定している。

パネルやタイルによる外壁仕上げだけでなく、モルタル仕上げなどのモルタルをコテ塗りによって仕上げる方法もあるが、ガラス繊維系断熱材やロックウール系断熱材はモルタル塗りの仕上げをする際の圧力に対する十分な圧縮強度を有しておらず、コテ塗りすることが困難であった。
モルタル等をコテで断熱材表面に強く押し付けると断熱材が変形して壁面に凹凸が形成されて平面に仕上げることが難しく、また、凹凸があったり壁面がうねったりすると見栄えの悪い壁面になるという問題がある。
凹凸面のない平滑な壁面とするためにコテによるモルタル等の押しつけを強くすることができないとモルタルの強度及び断熱材との接着力が十分でなく、剥離する可能性が大きくなる。

モルタル仕上げにおいて、ロックウール断熱材が変形しないように弱い押しつけ力でコテ塗り作業をおこなうと作業効率が低下することになり、モルタルとロックウール断熱材の密着力が弱く、剥がれやすくなるという欠点を有し、また、モルタルを平面に仕上げるのにコテの移動速度が抑制されて遅くなるのでコテ塗作業に時間がかかり、結果的に工期が長引いてしまってコストがかかるという課題があった。

特開２００９−１３８３６４号公報

ロックウール断熱材を使用した外断熱工法において、ロックウールの断熱効果を損なうことがなく、かつ、ロックウール断熱材がコテ塗による押圧力によって変形することがない外断熱工法を提供するものである。

積層したロックウールのシートの平面に対して平行に圧縮力を加えてシートを波状にすると共に圧縮して平面とし、ロックウールの繊維が断熱材のシート面に対し直交方向にも配向してあるコルゲートロックウール断熱材を使用するものであり、コルゲートロックウール断熱材の圧縮強度が１８ｋＰａ以上のものを使用するものである。
すなわち、本発明は、建築物の外壁に接着剤でコルゲートロックウール断熱材を貼り付け、コルゲートロックウール断熱材表面に水溶性セルロースを添加したモルタルを直接塗布して下塗層を形成し、この下塗層が乾かないうちにガラスメッシュを伏せ込、更に水溶性セルロースを添加したモルタルを上塗り塗布してモルタル層を補強し、その上に塗布型の化粧仕上げをおこなうことを特徴とする外断熱工法である。

本発明によれば、コルゲートロックウールを使用した外断熱工法において、化粧面を塗り仕上げをする場合、コルゲートロックウール圧縮強度が十分にあるため、適切な圧力でモルタル層や、化粧仕上げのコテ仕上げをすることができるので、迅速なコテ塗作業が可能であって作業効率をあげることが可能であり、コストの削減に寄与する。また、適切な圧力で下地モルタルを塗ることができるため、モルタルの剥離の恐れがなく、寿命の長い仕上げ壁が得られる。

本発明の施工手順の説明図。 木造建築物に本工法を適用する場合の施工手順図。 コルゲートロックウール断熱材の断面写真及び概念断面図。

本発明に使用するコルゲートロックウール断熱材について説明する。
従来のロックウール断熱材は、シート状のロックウールを積層してプレスして板体としたものであるのに対し、本発明に使用するコルゲートロックウール断熱材は、図３（１）の断面写真及び図３（２）の断面概念図に示すように、ロックウールのシートを積層し、この積層したシートの長手方向に押圧することによってロックウールのシートを波状に変形（コルゲーション）させ、これをプレスして板体としたものである。
ロックウール繊維が一方向に揃えられたものでなく、板面に対して直角方向など全方向を向いているものである。また、コルゲーションによってアーチ作用が期待できるので、従来の単にロックウールシートを積層圧縮したものに比較して圧縮強度及び引張強度の大きなものである。

本発明に使用するコルゲートロックウール断熱材の圧縮強度は１８ＫＰａ（ＪＩＳ Ｋ ７２２０）以上とすることが必要である。
圧縮強度を１８ＫＰａ以上とすることによって、職人がコテでモルタルを塗布する際においても通常のコテ塗作業において、コルゲートロックウール断熱材は、ほとんど変形しないといってよく、従来のロックウール断熱材のように、コテ塗作業時の塗布面に作用する圧力で凹むことが無く、したがって、モルタルが剥離することがない圧力で、また、適度な速度でコテ塗作業をおこなうことができ、モルタルの仕上がり面を平坦に仕上げることが容易である。

図１に示すように建築物のコンクリート躯体１の壁面１０にコルゲートロックウール断熱材３に接着剤２を塗布し、直ちにコンクリート壁面１にコルゲートロックウール断熱材３を圧着する。
次に、水セメント比０．２４とした下地モルタル４０をコルゲートロックウール断熱材３の表面に３ｍｍ程度の厚さに塗布する。この下地モルタル４０の水セメント比が小さく、また、塗布厚が薄いため水分が急速に蒸発して均一に塗布することが難しいので、水溶性セルロースをセメントに混入することによってモルタル中の水分の蒸発を抑制し、コテ塗作業を円滑におこなえるようにする。

この下地モルタル４０が乾燥しないうちにガラスメッシュ５をモルタル下地層４０に伏せ込み、更にモルタルを上塗り塗布して厚さ２ｍｍ程度の上塗りモルタル層４１を形成し、モルタル層４０、４１からなるモルタル層４の内部にガラスメッシュ５を位置させた補強されたモルタル層４を形成する。
上塗りモルタル層４１は平滑に仕上げる必要があるので、水溶性セルロースを適宜混入するのが好ましく、それでも水分が不足する場合は表面に霧吹きなどで水分を供給して平滑に仕上げる。

水溶性セルロースは、パルプなどのセルロースを原料とし、これを苛性ソーダで処理した後、塩化メチル、酸化プロピレンあるいは酸化エチレン等のエーテル化剤と反応させて得られるものである。
非イオン性の水溶性セルロースエーテルをモルタルに添加することによってモルタルの流動性を保つ時間を長くするものである。

モルタル層４の強度が発現するまで夏季では２日以上、冬季では７日以上養生をおこなうのが好ましい。モルタル層４の強度発現後に塗布型の仕上化粧塗装６を実施する。
本発明の外断熱工法によれば施工性が良好であり、モルタル層４を平滑に仕上げることができるため、得られた断熱壁は、十分な断熱性能を有すると共に美観の観点からも好ましいものである。

本発明をコンクリート躯体壁に適用した場合で説明したが、木造建築物や、鉄骨造建築物に適用可能であることは言うまでもないことである。
図２に軸組木造建築物に適用した例を示す。
木造建築物においては、柱１１や間柱１２に合板等の外装下地材１３を固定して外壁面とし、外装下地材１３の継ぎ目１４に防水シート１５を貼って防水処理をすると共に外装下地材材１３の全面に防水処理層１６を形成する。
その後は、前述のコンクリート構造物の場合の施工手順と同様であり、接着剤２でコルゲートロックウール断熱材３を接着し、コルゲートロックウール断熱材３の表面にガラスメッシュ５を含むモルタル層４を形成し、塗布型の仕上化粧塗装６をおこなう。
壁式の木造建築物の場合でも壁面に防水処理層を形成して同様に外断熱壁を形成する。

１ 建築物コンクリート躯体
１０ コンクリート外壁面
１１ 柱
１２ 間柱
２ 接着剤
３ コルゲートロックウール断熱材
４ モルタル層
４０ 下塗モルタル
４１ 上塗りモルタル
５ ガラスメッシュ
６ 仕上化粧塗装

Claims (2)

1. コルゲートロックウール断熱材を使用した外断熱工法であって、圧縮強度が１８ＫＰａ（ＪＩＳ Ｋ ７２２０）以上であるコルゲートロックウールからなる断熱材を接着剤で外壁面に固定し、コルゲートロックウール断熱材の表面に水溶性セルロースを混合した下地モルタルを塗布し、この下地モルタルが湿潤状態の間にガラスメッシュ材を下地モルタル内部に伏せ込むと共に上塗りモルタルを塗布してガラスメッシュをモルタル層内に埋設し、モルタル層の上に塗布型の外壁仕上化粧塗装をおこなうコルゲートロックウール断熱材を使用した外断熱工法。
2. 請求項１または２において、ガラスメッシュを含むモルタル層の養生を２日以上おこなうコルゲートロックウール断熱材を使用した外断熱工法。