JP2017106059A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、低鉄損と高磁束密度を高位両立した無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、質量%で、Si:1.7%以上3.3%以下、Al:0.1%以上2.0%以下およびMn:0.08%以上1.5%未満を下記式(1)を満足する範囲で含有し、さらに、P:0.03%超0.13%以下、Sn:0.02%以上0.15%以下、C:0.005%以下、S:0.0040%以下、N:0.005%以下およびMo:0.002%以上0.2%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、平均結晶粒径が60μm以上150μm以下である鋼組織を有し、板厚が0.10mm以上0.25mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板を提供する。
Si+2×Al−Mn≧2.0 (1)
(ここで、Si、AlおよびMnは、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車に搭載される駆動モータや、二輪車および家庭用コージェネレーションシステムに搭載される小型発電機など、高いエネルギー効率と小型・高出力化を同時に要求される電気機器の鉄心の素材に好適な無方向性電磁鋼板およびその製造方法に関する。
近年の地球環境問題の高まりから、電気機器においては小型、高出力、高エネルギー効率が要求され、鉄心材料である無方向性電磁鋼板には低鉄損と高磁束密度の高位両立が強く求められている。
従来、鉄損低減手段としてはSiやAlの含有量の増加、高純度化、板厚の薄肉化が採用されてきた。鉄損低減手段の中でも、高周波域での鉄損を最も効果的に低減する手段は板厚の薄肉化であり、ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動モータに代表される低鉄損への要求の強い用途には、板厚が0.35mm以下の薄肉の無方向性電磁鋼板が使用されている。電気機器が使用される周波数帯によっては板厚が0.50mmの無方向性電磁鋼板も使用されているが、この板厚とて、他の鉄鋼材料と比較して著しく薄いことはいうまでもない。
また、高磁束密度化手段としては再結晶集合組織制御が採用されてきた。再結晶集合組織制御の基本は、板面内に磁化容易軸を含まない{111}面を減じ、板面内に磁化容易軸を含む{110}面や{100}面を増加させることであり、板面内に二方向の磁化容易軸を有する{100}<001>方位や磁化容易軸が板面内で一方向に揃った{110}<001>方位の集積度増加については、いわゆる二方向性電磁鋼板や一方向性電磁鋼板の分野のみならず、無方向性電磁鋼板の分野においても盛んに検討がなされている。
具体的には、無方向性電磁鋼板において{100}<001>方位や{110}<001>方位の集積度を増加させる技術としては、次のような方法が提案されている。
例えば、特許文献1および特許文献2には特殊な熱間圧延条件により集積させた{510}<001>方位を活用して{100}<001>方位を発達させる方法が、特許文献3には熱間圧延にて{100}<001>方位に集積させる方法が、それぞれ提案されている。特許文献4にはAl:0.02質量%以下で{100}<001>方位に集積した鋼板が提案されている。
これらの方法は、比較的特殊な条件によって、高磁束密度化を目的として再結晶集合組織を制御する例であるが、これらの方法の他に高磁束密度化を目的として再結晶集合組織を制御する方法として、特許文献5にはPおよびSnを含有する無方向性電磁鋼板において冷間圧延前の結晶粒径と熱延板焼鈍条件を適正化することで再結晶集合組織を制御する方法が提案されている。また、特許文献6にはPを含有する無方向性電磁鋼板において{100}<001>方位を発達させる方法が提案されている。また、特許文献7にはSn、Sbを単独もしくは複合で含有させた鋼の冷間圧延前の結晶粒径を熱延板焼鈍により300μm〜2000μmとして磁束密度を向上する技術が提案されている。また、板厚薄手化による高周波用無方向性電磁鋼板としては、特許文献8にSn、Sbの少なくとも一方を含有し、板厚が0.1mm〜0.3mmの無方向性電磁鋼板が提案されている。
特開2000−160248号公報 特開2000−160249号公報 特開平10−226854号公報 特開2001−181803号公報 特開2005−200756号公報 特開2012−36454号公報 特開2004−218036号公報 特開2000−160303号公報
上述したように、無方向性電磁鋼板の再結晶集合組織制御については従来から様々な検討がなされてきた。しかしながら、低鉄損化を目的とした板厚薄肉化には冷延圧下率の増加が必要であり、冷延圧下率の増加にともない磁気特性改善に好ましくない方位が発達するため、低鉄損化を目的とした板厚薄肉化と高磁束密度化を目的とした再結晶集合組織制御との両立は困難であった。このため、低鉄損と高磁束密度とを高い次元で両立させるという要請には十分に応えられてはいなかった。
また、特許文献1〜特許文献4に記載された特殊な条件による再結晶集合組織の制御はコスト増加につながり、実用的ではなかった。すなわち、特許文献1〜特許文献3に記載された無方向性電磁鋼板は、その実施例に記載されるとおり、熱間圧延での仕上げ厚を0.8mmとするものであり、設備負荷が多大であるばかりか生産性が著しく低下する。このため、実操業に適用するのは容易ではない。また、特許文献4に記載された無方向性電磁鋼板は、一方向性電磁鋼板と同様に二次再結晶焼鈍によって得られる鋼板であり、通常の無方向性電磁鋼板と比較して大幅な製造コスト増加は否めない。
さらに、特許文献5〜特許文献8に記載された無方向性電磁鋼板は特殊な条件の工程が必須なものではない。しかしながら、特許文献5および6に記載された無方向性電磁鋼板は、Pを多量に含有するため、低鉄損化を目的として鋼のSi含有量を増加させた場合や高磁束密度化を目的として冷間圧延前の粒径を粗大化させた場合には、冷間圧延時の割れ発生が懸念され、低鉄損と高磁束密度を高位両立させるためには改善の余地がある。また、特許文献7に記載された技術は冷間圧延前の結晶粒径粗大化により高磁束密度化する技術であるが、低鉄損化を目的とした板厚薄手材に適用する際には冷間圧延での割れ発生が懸念される。さらに、特許文献8に記載された技術は表層の窒化抑制により鉄損低減を図るものであるが、磁束密度の観点からは改善の余地がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題はPおよびSnによる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ懸念される冷間圧延時の割れを抑制することで、特殊な工程を経ることなく低鉄損と高磁束密度を高位両立した無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、まず、無方向性電磁鋼板の磁束密度を高める方法について鋭意研究を行った。その結果、適量のPを含有させることで磁束密度が向上するとの知見を得た。また、PおよびSnを複合的に含有させることで、磁束密度がさらに向上するとの結果を得た。しかしながら、Pの含有量によっては冷間圧延時の割れが誘発されるため、これを抑制するために検討をすすめた。また、PおよびSnを複合的に含有させた場合にはP単独の場合よりも冷間圧延時の割れが発生しやすくなる傾向にあり、これを抑制するために検討をすすめた。その結果、適量のMoを含有させることにより、PおよびSnを複合的に含有させた場合に得られる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ冷間圧延時の割れを抑制できることを見出した。このような新知見に基づく本発明の要旨は以下の通りである。
すなわち、本発明は、質量%で、Si:1.7%以上3.3%以下、Al:0.1%以上2.0%以下およびMn:0.08%以上1.5%未満を下記式(1)を満足する範囲で含有し、さらに、P:0.03%超0.13%以下、Sn:0.02%以上0.15%以下、C:0.005%以下、S:0.0040%以下、N:0.005%以下およびMo:0.002%以上0.2%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、平均結晶粒径が60μm以上150μm以下である鋼組織を有し、板厚が0.10mm以上0.25mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板を提供する。
Si+2×Al−Mn≧2.0 (1)
(ここで、Si、AlおよびMnは、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。)
本発明においては、上述した化学組成が適正化され、とりわけMo含有量を適正範囲に制御しているため、PおよびSnを複合的に含有させた場合に得られる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ冷間圧延時の割れを抑制できる。
さらに、本発明の無方向性電磁鋼板は、上記S含有量が質量%で0.001%以下であることが好ましい。粒成長性が改善され、磁気特性が向上するからである。
本発明は、また、上述した化学組成を有する鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、上記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有し、上記熱延板焼鈍を、750℃以上950℃以下の温度域に30分間以上48時間以下保持する箱焼鈍、および900℃以上1100℃以下の温度域に10秒間以上5分間以下保持する連続焼鈍のいずれか一方により実施するとともに、上記仕上げ焼鈍を、900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上120秒間以下保持することより実施することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。
本発明においては、所定の化学組成を有する鋼塊または鋼片を用いているため磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を冷間圧延時に破断を引き起こすことなく製造できる。
本発明においては、PおよびSnを複合的に含有させた場合に得られる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ冷間圧延時の割れを抑制できることから、特殊な工程を経ることなく低鉄損と高磁束密度を高位両立した無方向性電磁鋼板を得ることができるという効果を奏する。
鋼板のP含有量と鋼板の磁束密度B50との関係を示すグラフである。 各鋼板毎にシャルピー衝撃試験の試験温度とシャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。
本発明者らは、まず、無方向性電磁鋼板の磁束密度を高める方法について鋭意研究を行った。その結果、適量のPを含有させることで磁束密度が向上するとの知見を得た。また、PおよびSnを複合的に含有させることで、磁束密度がさらに向上するとの結果を得た。しかしながら、Pの含有量によっては冷間圧延時の割れが誘発されるため、これを抑制するために検討を進めた。また、PおよびSnを複合的に含有させた場合にはP単独の場合よりも冷間圧延時の割れが発生しやすくなる傾向にあり、これを抑制するために検討をすすめた。その結果、適量のMoを含有させることにより、PおよびSnを複合的に含有させた場合に得られる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ冷間圧延時の割れを抑制できることを見出した。以下、実験結果に基づいてその詳細を説明する。
真空溶解炉にて、Si:2.0%、Al:0.3%、Mn:0.2%を基本組成とし、Pを0.01%〜0.15%の範囲で含有する鋼A〜F(P含有量の最も少ない鋼から順にA〜F)、およびSi:2.0%、Al:0.3%、Mn:0.2%を基本組成とし、Pを0.01%〜0.15%の範囲で含有し、Snを0.05%含有する鋼G〜K(P含有量の最も少ない鋼から順にG〜K)を作製した。
このとき、全ての鋼において、C含有量は0.002%〜0.003%、S含有量は0.002%〜0.003%、N含有量は0.0015%〜0.002%、Mo含有量は0.002%〜0.005%の範囲であった。
各鋼を熱間圧延により板厚2.0mmに仕上げた後、加熱速度および冷却速度とも40℃/hで、均熱温度:800℃、均熱時間:10時間の熱延板焼鈍を施し、最終板厚:0.25mmとする冷間圧延を施した。
その後、各鋼板に対して1000℃に30秒間保持する仕上げ焼鈍を施し、55mm角の単板試験片を打ち抜き、磁束密度B50を単板磁気測定器にて測定した(磁束密度B50は圧延方向と圧延直角方向の平均値)。その結果を図1に示す。なお、いずれの鋼も仕上げ焼鈍後の平均結晶粒径は100μm〜110μmであった。
図1は鋼板のP含有量と鋼板の磁束密度B50との関係を示すグラフである。図1の横軸は鋼板のP含有量[質量%]を示し、図1の縦軸は鋼板の磁束密度B50[T]を示す。
図1に示すように、磁束密度はP含有量の増加にともない向上するが、PおよびSnを複合的に含有させることにより、磁束密度がさらに向上することが判明した。PおよびSnを複合的に含有させることにより磁束密度がさらに向上した理由は明確でないが、SnもPと同様に粒界偏析傾向の強い元素であるため、冷間圧延前の粒界偏析により再結晶集合組織を変化させたものと推察している。また、複合的に含有させることにより冷間圧延での粒内の変形挙動が変化し、再結晶集合組織が変化したことも一因と考えられる。
次に、真空溶解炉にて、Si:2.0%、Al:0.8%、Mn:0.2%を基本成分とし、Mo含有量が0.002%未満、P含有量が0.01%の鋼L、Mo含有量が0.002%未満、P含有量が0.13%の鋼M、Mo含有量が0.1%、P含有量が0.13%の鋼Nを作製した。
このとき、全ての鋼において、Sn含有量は0.06%、C含有量は0.002%〜0.003%、S含有量は0.002%〜0.003%、N含有量は0.0015%〜0.002%の範囲であった。
各鋼を熱間圧延により板厚2.0mmに仕上げた後、加熱速度および冷却速度とも40℃/hで、均熱温度:800℃、均熱時間:10時間の熱延板焼鈍を施した。その後、熱延板焼鈍により得られた各鋼板についてシャルピー衝撃試験を実施し、遷移温度[℃]を指標として冷間圧延性を評価した。シャルピー衝撃試験は、熱延板焼鈍により得られた各鋼板から、靱性を評価するためにシャルピー試験片(圧延直角方向に2mmのVノッチ)を採取し、各試験温度[℃]にて行った。結果を図2に示す。
図2は各鋼板毎にシャルピー衝撃試験の試験温度とシャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。図2の横軸はシャルピー衝撃試験の試験温度[℃]を示し、図2の縦軸はシャルピー衝撃値[J/cm]を示す。
図2に示すように、遷移温度[℃]はP含有量の増加にともない上昇するが、Moを含有させることにより低下する。すなわち、P含有量の増加による脆化はMoにより緩和され、冷間圧延時の割れが抑制されることが判明した。
さらに、Sn含有量を変化させた鋼および熱延板焼鈍条件を種々変化させた場合についても検討を進め、PおよびSnを複合的に含有させた場合にはP単独の場合よりも脆化が激しく、特に偏析が進行しやすい箱焼鈍型の場合に顕著であるが、そのような場合の脆化も、Moが極めて効果的に抑制するとの知見を得た。さらに、PおよびSnを含有する鋼の磁気特性におよぼすMoの影響を調査した結果、過度にMoを含有させた場合には磁束密度向上の効果が小さくなることを知見した。この理由は明確でないが、Moによって粒界の結合力が変化した結果、粒界偏析したPおよびSnによる再結晶集合組織への影響が弱まり、磁気特性改善に好ましい再結晶集合組織が得られなかったものと推察される。これらの結果から、Mo含有量を適正範囲に制御することで、PおよびSnを複合的に含有させた場合に得られる高磁束密度化の効果を最大限に享受し、かつ冷間圧延時の割れを抑制できることを知見し、本発明を完成した。
以下、このような新知見に基づく本発明の無方向性電磁鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。
A.無方向性電磁鋼板
本発明の無方向性電磁鋼板は、質量%で、Si:1.7%以上3.3%以下、Al:0.1%以上2.0%以下およびMn:0.08%以上1.5%未満を下記式(1)を満足する範囲で含有し、さらに、P:0.03%超0.13%以下、Sn:0.02%以上0.15%以下、C:0.005%以下、S:0.0040%以下、N:0.005%以下およびMo:0.002%以上0.2%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、平均結晶粒径が60μm以上150μm以下である鋼組織を有し、板厚が0.10mm以上0.25mm以下であることを特徴とするものである。
Si+2×Al−Mn≧2.0 (1)
(ここで、Si、AlおよびMnは、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。)
以下、本発明の無方向性電磁鋼板における各構成について詳細に説明する。
1.化学組成
(1)Si、Al、およびMn
Si、Al、およびMnは、電気抵抗を増加させる作用を有しているので、鉄損低減のために含有させる。しかしながら、過剰に含有させると磁束密度の低下が著しくなる。さらに、Siは過剰に含有させると後述するMoの効果をもってしても冷間圧延時に破断するおそれがある。また、Mnは過剰に含有させるとオーステナイト変態を生じて磁気特性の確保が困難になる。それぞれの元素の上限はこれらの観点から定め、Si含有量は3.3%以下、Al含有量は2.0%以下、Mn含有量は1.5%未満とする。
Si含有量は、電気抵抗を増加させて所望の鉄損レベルを確保する観点から1.7%以上とする。Al含有量は、0.1%未満では微細な窒化物により磁壁の移動が阻害されるとともに、粒成長が阻害されて磁気特性が劣化する場合がある。したがって、Al含有量は0.1%以上とする。Mn含有量は、0.08%未満では硫化物が微細化することにより磁壁の移動が阻害されるとともに、粒成長が阻害されて磁気特性が劣化する場合がある。したがって、Mn含有量は0.08%以上とする。
ここで、フェライト−オーステナイト変態を有する鋼の場合、仕上げ焼鈍をフェライト域焼鈍とするために焼鈍温度が制約され、その結果、所望の鉄損レベルを確保することが困難な場合がある。そこで、フェライト−オーステナイト変態に対する指標としてSi+2×Al−Mnを採用し、変態を有しない鋼とするために、下記式(1)を満足させることとする。
Si+2×Al−Mn≧2.0 (1)
ここで、Si、AlおよびMnは、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
(2)P
Pは、磁気特性、とりわけ磁束密度を向上させる効果を有しており、本発明において極めて重要な元素である。明確な高磁束密度効果を得る観点から、P含有量は0.03%超とする。好ましくは0.05%以上である。一方、P含有量が0.13%超では、後述するMoの効果をもってしても冷間圧延時に破断を生じる可能性がある。したがって、P含有量は0.13%以下とする。
(3)Sn
SnはPと複合的に含有させることにより磁束密度を向上させる効果を有し、本発明において極めて重要な元素である。但し、過度に含有させると粒成長性の低下により磁気特性が劣化することがある。そのため0.02%以上0.15%以下とする。好ましくは0.04%超である。また、好ましくは0.06%以下である。
(4)C
Cは、不純物として含有され、含有量が0.005%を超えると微細な炭化物が析出して磁気特性が劣化する。したがって、C含有量は0.005%以下とする。
(5)S
Sは、不純物として含有され、多量に含有すると硫化物が多数析出し磁気特性が劣化する。そのためS含有量は0.004%以下とする。好ましくは0.001%以下がよい。
(6)N
Nは、不純物として含有され、多量に含有すると窒化物の増加により磁気特性が劣化する。そのためN含有量は0.005%以下とする。
(7)Mo
Moは、Pによる冷間圧延性の低下、すなわち冷間圧延時の割れ発生を抑制する効果を有する。しかしながら、多量に含有するとPによる高磁束密度化効果が小さくなる。Mo含有量はこれらの観点から0.002%以上0.2%以下とする。これらの観点から、好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.02%以上である。また、好ましくは0.09%以下である。
(8)残部
残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうち粒成長性に悪影響を及ぼすTi、V、Nb、Zrは極力低減することが望ましく、それぞれ0.008%以下とすることが好ましい。また、硫化物の形態制御による磁気特性改善を目的としてCa、Mg、REMからなる群から選択される少なくとも1種を含有させてもよい。ここでREMとは、原子番号57〜71の15元素、ならびにScおよびYの2元素の合計17元素をさす。これらの元素を含有させる場合には、各元素の含有量はCa:0.03%以下、Mg:0.02%以下、REM:0.1%以下が好ましい。上記効果を確実に得るためには、各元素の含有量をCa:0.0001%以上、Mg:0.0001%以上、REM:0.0001%以上とすることが好ましい。
2.板厚
鉄損低減を目的に板厚を薄手化するが、板厚の薄手化により磁束密度が低下する。この磁束密度低下をPおよびSnで抑制することは本発明のポイントの一つである。さらに、鉄損低減を目的にSiなどを多量に含有させた場合は、冷間圧延で薄手化する際の割れ発生が懸念される。この割れ発生をMoで抑制することも本発明のポイントの一つである。したがって、磁束密度が高く、かつ鉄損の低い無方向性電磁鋼板を安定的に得るという本発明の効果は板厚の薄手化が前提であり、低鉄損と高磁束密度を高位両立した無方向性電磁鋼板を得る観点から、板厚を0.10mm以上、0.25mm以下とする。また、この観点から、好ましくは0.20mm以下である。
3.鋼組織
製品での結晶粒が過度に粗大化すると高周波鉄損が増大するとともに、板厚を貫通した結晶粒の増加により所望の再結晶集合組織への制御が不安定となる。一方、製品での結晶粒が細粒化すると周波数の低い領域にて鉄損への悪影響が顕著になる。そのため平均結晶粒径は60μm以上150μm以下とする。
平均結晶粒径は光学顕微鏡による組織観察結果をもとに求めればよく、圧延方向の板厚方向断面を例えば25倍から50倍の倍率で数視野観察し、切断法によって求められた粒径の平均値を用いればよい。
4.製造方法
本発明の無方向性電磁鋼板は、後述の「B.無方向性電磁鋼板の製造方法」に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法により製造することが好適である。
B.無方向性電磁鋼板の製造方法
次に、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上述した化学組成を有する鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、上記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有し、上記熱延板焼鈍を、750℃以上950℃以下の温度域に30分間以上48時間以下保持する箱焼鈍、および900℃以上1100℃以下の温度域に10秒間以上5分間以下保持する連続焼鈍のいずれか一方により実施するとともに、上記仕上げ焼鈍を、900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上120秒間以下保持することより実施することを特徴とするものである。
本発明によれば、所定の化学組成を有する鋼塊または鋼片を用いているため磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を冷間圧延時に破断を引き起こすことなく製造できる。さらに熱延板焼鈍条件および仕上げ焼鈍条件を所定の範囲とすることにより、所望の磁気特性を確保できる。
以下、本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法における各工程について説明する。
1.熱間圧延工程
熱間圧延工程においては、上述した化学組成を有する鋼塊または鋼片(以下、「スラブ」ともいう。)に熱間圧延を施す。なお、鋼塊または鋼片の化学組成については、上述した「A.無方向性電磁鋼板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記熱間圧延工程においては、上述した化学組成を有する鋼を、連続鋳造法あるいは鋼塊を分塊圧延する方法など一般的な方法によりスラブとし、加熱炉に装入して熱間圧延を施す。この際、スラブ温度が高い場合には加熱炉に装入しないで熱間圧延を施してもよい。スラブ加熱温度は特に限定されるものではないが、コストおよび熱間圧延性の観点から1000℃〜1300℃とすることが好ましい。より好ましくは1050℃〜1250℃である。また、熱間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、例えば仕上げ温度が700℃〜950℃、巻き取り温度が750℃以下など、一般的な条件に従って施せばよい。熱間圧延の仕上げ厚は生産性の観点から1.6mm以上2.8mm以下が好ましい。仕上げ厚が1.6mm未満では熱間圧延および酸洗の能率が著しく劣化するからである。
2.熱延板焼鈍工程
熱延板焼鈍工程においては、上記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す。上記熱延板焼鈍は、箱焼鈍および連続焼鈍のいずれの方法により実施してもよく、箱焼鈍の場合には750℃以上950℃以下の温度域に30分間以上48時間以下保持することにより実施し、連続焼鈍の場合には900℃以上1100℃以下の温度域に10秒間以上5分間以下保持することにより実施する。上記熱延板焼鈍を実施することにより、磁気特性が向上する。
上述した範囲の温度域に上述した範囲の時間保持するのは、上記熱延板焼鈍における焼鈍温度(以下、「熱延板焼鈍温度」ともいう。)が、上述した範囲を超えると設備への負荷が大きくなり、上記熱延板焼鈍における焼鈍時間(以下、「熱延板焼鈍時間」ともいう。)が、上述した範囲を超えると生産性の劣化を招くからである。また、上記熱延板焼鈍温度および上記熱延板焼鈍時間が、上述した範囲を下回ると磁気特性向上の効果が小さくなるからである。なお、上記熱間圧延の際に鋼板表面に生成したスケールを酸洗により除去してから鋼板を後述する冷間圧延工程に供するが、上記熱延板焼鈍を上記箱焼鈍により実施する場合には上記熱延板焼鈍の前に酸洗を実施する、上記熱延板焼鈍を上記連続焼鈍により実施する場合には上記熱延板焼鈍の後に酸洗を実施するなど、適宜選択すればよい。
3.冷間圧延工程
冷間圧延工程においては、上記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施す。具体的には、上記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に中間焼鈍をはさむことなく一回の冷間圧延を施す。
上記冷間圧延工程により、鋼板を所定の板厚に仕上げる。圧延時の鋼板温度、圧下率、および圧延ロール径など、冷間圧延の各種条件は特に限定されるものではなく、被圧延材の化学組成、目的とする鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
4.仕上げ焼鈍工程
仕上げ焼鈍工程においては、上記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す。上記仕上げ焼鈍は、900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上120秒間以下保持することより実施する。
900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上120秒間以下保持するのは、上記仕上げ焼鈍における焼鈍温度(以下、「仕上げ焼鈍温度」ともいう。)が900℃未満であったり、上記仕上げ焼鈍における焼鈍時間(以下、「仕上げ焼鈍時間」ともいう。)が1秒間未満であったりすると、平均結晶粒径を60μm以上とすることが困難な場合があるからである。また、上記仕上げ焼鈍温度が1100℃を超えると設備への負荷が大きくなり、上記仕上げ焼鈍時間が120秒間を超えると生産性の劣化を招くからである。また、これらの点から、上記仕上げ焼鈍温度は950℃以上1100℃以下とすることが好ましい。
5.その他
本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法は、上記仕上げ焼鈍工程後に上記仕上げ焼鈍工程により得られた鋼板に絶縁コーティングを施すコーティング工程を有することが好ましい。上記絶縁コーティングの種類は特に限定されるものではなく、有機成分のみ、無機成分のみ、あるいは有機無機複合物からなる絶縁コーティングを施せばよい。無機成分としては重クロム酸−ホウ酸系、リン酸系、シリカ系などが使用でき、有機成分としては一般的なアクリル系、アクリルスチレン系、アクリルシリコン系、シリコン系、ポリエステル系、エポキシ系、フッ素系の樹脂が使用できる。塗装性を考慮するとエマルジョンタイプの樹脂がよい。また、加熱・加圧することにより接着能を発揮する絶縁コーティングを施してもよい。接着能を有する絶縁コーティングとしては、アクリル系、フエノール系、エポキシ系、メラミン系などがよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
下記表1に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚2.0mmに仕上げた。次に、鋼番号16、22、28、29、30、および31以外の熱間圧延鋼板に対して800℃に10時間保持する箱焼鈍型の熱延板焼鈍を、鋼番号16、22、および28の熱間圧延鋼板に対して1000℃に1分間保持する連続焼鈍型の熱延板焼鈍を、鋼番号29の熱間圧延鋼板に対して680℃に10時間保持する箱焼鈍型の熱延板焼鈍を、鋼番号30の熱間圧延鋼板に対して850℃に1分間保持する連続焼鈍型の熱延板焼鈍をそれぞれ施した。また、鋼番号31の熱間圧延鋼板に対して熱延板焼鈍を施さなかった。次に、これらの熱延板焼鈍が施された鋼板を、冷間圧延にて板厚0.25mmに仕上げた。次に、鋼番号1〜31の冷間圧延鋼板に対して1000℃に30秒間保持する仕上げ焼鈍を、鋼番号32の冷間圧延鋼板に対して800℃に30秒間保持する仕上げ焼鈍をそれぞれ施した。
このようにして得られた無方向性電磁鋼板から55mm角の単板試験片を打ち抜き、単板磁気測定器にて磁束密度B50[T]と鉄損W10/400[W/kg](400Hzにて1.0Tに磁化した場合の鉄損)を測定するとともに、平均結晶粒径[μm]を調査した。結果を下記表1に示す。
鋼番号1は、Si含有量が本発明で限定する下限値を外れているばかりか上記式(1)を満たさずフェライト−オーステナイト変態を有しているために結晶粒径も微細になり、磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号2は、Si含有量が本発明で限定する上限値を外れているため冷間圧延時に破断した。鋼番号3は、Mn含有量が本発明で限定する下限値を外れているため粒成長性が劣化し、磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号4は、Mn含有量が本発明で限定する上限値を外れているばかりか上記式(1)を満たさずフェライト−オーステナイト変態を有しているために磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号5は、Al含有量が本発明で限定する下限値を外れているばかりか上記式(1)を満たさずフェライト−オーステナイト変態を有しているために結晶粒径も微細になり、磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号6は、Al含有量が本発明で限定する上限値を外れているため磁束密度が低かった。鋼番号7は、S含有量が本発明で限定する上限値を外れているため粒成長性が劣化し、磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号8は、N含有量が本発明で限定する上限値を外れているため粒成長性が劣化し、磁束密度、鉄損とも劣っていた。鋼番号9は、P含有量が本発明で限定する上限値を外れているため冷間圧延時に破断した。鋼番号10は、Mo含有量が本発明で限定する上限値を外れているため磁束密度が低かった。鋼番号11〜16は、P含有量が本発明で限定する下限値を外れているため磁束密度が低かった。
これらに対して、本発明で限定する条件を満足する鋼番号23〜28は、同等のSi、Mn、およびAl含有量を有する鋼番号11〜16および鋼番号17〜22と比較して磁気特性に優れていた。また、鋼番17〜22および鋼番号23〜28を比較すると、Snを含有させた鋼番号23〜28の方が磁束密度に優れていた。鋼番号29〜32は、化学組成は本発明で限定する条件を満足するものの熱延板焼鈍条件または仕上げ焼鈍条件が本発明の無方向性電磁鋼板の製造方法の条件を外れているため、磁気特性に劣っていた。
[実施例2]
下記表2に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚2.0mmに仕上げた。次に、各熱間圧延鋼板に対して1000℃に2分間保持する連続焼鈍型の熱延板焼鈍を施した。次に、熱延板焼鈍が施された各鋼板を、冷間圧延にて板厚0.20mmに仕上げた。次に、各冷間圧延鋼板に対して950℃に30秒間保持する仕上げ焼鈍を施した。
このようにして得られた無方向性電磁鋼板から55mm角の単板試験片を打ち抜き、単板磁気測定器にて磁束密度B50[T]と鉄損W10/400[W/kg]を測定するとともに、平均結晶粒径[μm]を調査した。また、熱延板焼鈍後冷間圧延前の各鋼板についてシャルピー衝撃試験を実施し、遷移温度[℃]を指標として冷間圧延性を評価した。シャルピー衝撃試験は、熱延板焼鈍後冷間圧延前の各鋼板から、靱性を評価するためにシャルピー試験片(圧延直角方向に2mmのVノッチ)を採取し、各試験温度[℃]にて行った。結果を下記表2に示す。
鋼番号33は、P含有量が本発明で限定する下限値を外れており、磁束密度が低かった。鋼番号34は、磁束密度は優れるものの、Mo含有量が本発明で限定する下限値を外れており、冷間圧延性に劣っていた。また、鋼番号36〜38はSn含有量が本発明で限定する下限値を外れており、磁束密度が低かった。これらに対し、本発明で限定する条件を満足する鋼番号35は、磁束密度が高く、かつ冷間圧延性にも優れていた。ここで、PとSnを複合的に含有する鋼番号34は、P含有量が同程度でSn含有量の少ない鋼番号37よりも遷移温度が高く、冷間圧延性に劣っているが、本願発明で限定する鋼番号35は、Moを含有していることにより、PとSnを複合的に含有している鋼の冷間圧延性を向上させ、かつ、高い磁束密度が得られた。

Claims (3)

  1. 質量%で、Si:1.7%以上3.3%以下、Al:0.1%以上2.0%以下およびMn:0.08%以上1.5%未満を下記式(1)を満足する範囲で含有し、さらに、P:0.03%超0.13%以下、Sn:0.02%以上0.15%以下、C:0.005%以下、S:0.0040%以下、N:0.005%以下およびMo:0.002%以上0.2%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、
    平均結晶粒径が60μm以上150μm以下である鋼組織を有し、
    板厚が0.10mm以上0.25mm以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    Si+2×Al−Mn≧2.0 (1)
    (ここで、Si、AlおよびMnは、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。)
  2. 前記S含有量が質量%で0.001%以下であることを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の化学組成を有する鋼塊または鋼片に熱間圧延を施す熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程により得られた熱間圧延鋼板に熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程と、
    前記熱延板焼鈍工程により得られた鋼板に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、
    前記冷間圧延工程により得られた冷間圧延鋼板に仕上げ焼鈍を施す仕上げ焼鈍工程と、を有し、
    前記熱延板焼鈍を、750℃以上950℃以下の温度域に30分間以上48時間以下保持する箱焼鈍、および900℃以上1100℃以下の温度域に10秒間以上5分間以下保持する連続焼鈍のいずれか一方により実施するとともに、前記仕上げ焼鈍を、900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上120秒間以下保持することより実施することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法。
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