JP2017106046A - 金属粉末焼結部品及びその造形方法 - Google Patents

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Hiroyuki Satake
弘之 佐竹
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欣也 青田
孝介 桑原
Kosuke Kuwabara
孝介 桑原
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Abstract

【課題】金属粉末焼結の積層造形プロセス中に起こる溶融凝固による変形の影響を緩和し、造形後の形状寸法を確保する金属粉末焼結部品及びその造形方法を得ること。【解決手段】本発明の金属粉末焼結部品1は、板状体401の表面に複数の中空構造体402が互いに隙間を有して形成されており、複数の中空構造体402の間には、隣接する中空構造体同士を相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結する連結部材403が形成されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光または電子ビームを用いて金属粉末層を溶融凝固焼結させ、複数の焼結層を積層し、一体化して造形した金属粉末焼結部品及びその造形方法に関する。
金属粉末焼結部品は、金属粉末層にレーザ光、または電子ビームを照射してできた溶融凝固層に、新たに金属粉末層を被覆してレーザ光または電子ビームを照射し、さらなる溶融凝固層を作製し、溶融凝固層を積み重ねる工程を繰り返し行うことで得られる一体化部品である。金属粉末を用いた溶融凝固焼結による積層造形方法は、機械加工や組立加工を必要とせず、直接的に最終部品を造形するので、従来加工が難しかった金属材料を用いても容易に金属製部品を得る事が可能である。また複雑な形状でも造形できるので、金属製部品に中空構造体を持たせることで、部品を軽量化すると共に、使用する材料の量を減らすことができ、低コスト化が実現できる。この技術を用いて、薄い金属板上に中空構造体を造形し、中空領域に樹脂や安価な金属を設置すれば、機械強度を確保したまま、様々な機械特性を持つ部品を提供することができる。
しかしながら、金属粉末の溶融凝固焼結による積層造形方法では、中空構造体を持つ金属製部品を造形すると、金属粉末の溶融凝固に伴う凝縮現象により引張り力が生じ、形状が変形する問題がある。
この問題を解決するために、サポートと呼ばれる補強部を設置する方法がある。この方法は、積層造形プロセス過程で、サポートを金属製粉末焼結部品と一緒に造形することで、溶融凝固に伴う引張り力に対し形状を保つための強度を担保する方法である。また、特許文献1には、金属粉末焼結部品を複数の要素に分割し、ワイヤ網を用いて要素を接合することで、柔軟に形状を変化させる技術がある。
特表2011-509766号公報
しかしながら、サポートを設置する方法は、造形後にサポート部を取り除く必要があり、中空構造体を持つ金属粉末焼結部品に適用した場合、中空構造の内部に設置されたサポートを造形後に取り除くのは困難である。また、製造工程が増えるのでコストがかかる。一方、ワイヤ網を介した接続方法は、造形後にワイヤ網で構築した隙間を用いて形状が変わるので、形状寸法が定まらず工業用部品として用いることが困難である。
本発明の目的は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中空構造体を持つ金属粉末焼結部品において、金属粉末焼結の積層造形プロセス中に起こる溶融凝固による変形の影響を緩和し、サポートを用いないで、造形後の形状寸法を確保する金属粉末焼結部品及びその造形方法を提供することである。
上記目的を達成する本発明の金属粉末焼結部品は、金属粉末の積層と焼結の繰り返しにより形成された金属粉末焼結部品であって、板状体の表面に複数の中空構造体が互いに隙間を有して形成されており、複数の中空構造体の間には、隣接する中空構造体同士を相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結する連結部材が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、金属粉末焼結部品を複数の中空構造体で構成し、中空構造体は隣接する中空構造体との間に隙間を有するので、中空構造体は隙間の部分だけ金属粉末焼結の積層造形プロセス中に起こる凝縮変形を自由に行うことができ、隣接する中空構造体に影響を与えない。即ち、隙間を設けたことにより、凝縮変形による引張り力が隣接する中空構造体に伝達しないので、中空構造体内部で凝固凝縮に伴う変形を中空構造体自身で吸収することができる。したがって、積層造形プロセス中の凝固凝縮変形は個々の中空構造体の内部領域のみで発生し、金属粉末焼結部品の全体に伝播することはなく、造形中の凝固凝縮による引張り力による変形を低減できる。
そして、複数の中空構造体の間には、隣接する中空構造体同士を相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結する連結部材が形成されているので、例えば凝固凝縮後に隣接する中空構造体と連結部材との隙間が無くなり、接触による接続が確立して金属粉末焼結部品全体の引張り強度が確保できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の金属粉末焼結部品の基本構造を説明する概念図。 中空構造体の構成を説明する概念図。 連結部材による連結状態を説明する概念図。 本発明の金属粉末焼結部品の一実施例を示す斜視図。 図4Aの金属粉末焼結部品が有する中空構造体を拡大して示す斜視図。 隣接する中空構造体同士が連結部材によって連結されている状態を示す図。 中空構造体同士の接続部分を拡大した断面図。 3DP造形装置の構成を説明する概念図。 金属粉末焼結部品を積層造形している状態を説明する図。 本発明の金属粉末焼結部品を用いた複合材料の作成方法の一例を説明する図。 肉盛溶接装置の構成を説明する概念図。 本実施例における金属粉末焼結部品の形状を示す図。 比較例における金属粉末焼結部品の形状を示す図。 本実施例における金属粉末焼結部品を3DP造形装置で造形した図。 比較例における金属粉末焼結部品を図12の場合と同じ条件で造形した図。 本発明を用いて造形する金属粉末焼結部品の他の実施例を示す図。
図1は、本発明の金属粉末焼結部品の基本構造を説明する概念図である。金属粉末焼結部品1は、ベースプレート101と、複数の中空構造体102A、102Bと、連結部材103を有している。ベースプレート101は、薄い金属製の板状体により構成されている。複数の中空構造体102A、102Bは、ベースプレート101の表面において互いに隙間を有して形成されている。ベースプレート101の表面には、不図示の樹脂や金属が設置されて、複数の中空構造体102Aと102Bとの間や、各中空構造体102A、102Bの中空領域に入り込み、これら複数の中空構造体102A、102Bをコア材とした複合材料を構成することができる。
複数の中空構造体102A、102Bは、レーザ光または電子ビームを用いた金属粉末焼結の溶融凝固の繰り返しによる積層造形プロセスにより、ベースプレート101上にそれぞれ造形され、ベースプレート101とは溶融結合により一体に結合されるが、隣接する中空構造体102A、102B同士は結合されず、間に隙間を有している。このため、個々の中空構造体102A、102Bは、積層造形中にそれぞれ自由に変形することができ、構造体同士で変形を拘束する結合部分は持たない。
連結部材103は、隣接する中空構造体102Aと102Bとの間に設けられている。連結部材103は、本実施例では、隣接する中空構造体102Aと102Bのうち、一方の中空構造体102Aに固定されており、隣接する中空構造体102Bを相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結している。
したがって、中空構造体102A、102Bを積層造形プロセスにより造形する場合に、金属の溶融凝固現象に伴う凝縮による形状変形が、個々の中空構造体102A、102Bの内部で吸収される。したがって、凝固凝縮によって金属粉末焼結部品1の全体に生じる変形を低減でき、金属粉末焼結部品1の寸法精度を向上させることができる。連結部材103は、中空構造体102A、102Bを互いに相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結するものであればよく、例えば、隣接する中空構造体102Aと102Bのいずれにも固定されていない構成としてもよい。
図2は、中空構造体の構成を説明する概念図である。中空構造体102Aは、中空の四角柱を形成するようにベースプレート101に立設される4本の支柱111と、支柱111の間を接続する横梁112を有している。横梁112は、上下に三段となるように、支柱111にそれぞれ設けられている。そして、隣接する中空構造体102B(図1を参照)と対向する横梁112には、連結部材103が一体に設けられている。
連結部材103は、図1及び図2に示す例では、上下三段の全てに設けられているが、少なくとも一つあればよい。連結部材103は、隣接する中空構造体102Bの一部を取り巻く様に囲い、隙間ができるようにしてある。連結部材103は、横梁112が挿通される挿通穴を有している。連結部材103の挿通穴は、横梁112を穴径方向に移動可能な大きさであって、隣接する中空構造体102Bが中空構造体102Aに対して接近及び離反する方向への移動を許容する大きさを有する。連結部材103は、例えば隣接する中空構造体102Bの横梁112を挿通可能な大きさを有する環状部材によって構成されている。
このように、中空構造体102Aと102Bとの間に隙間を設けることで、隣接する中空構造体102Aに対して中空構造体102Bを相対的に接近又は離反する方向に所定範囲で移動可能とし、隣接する中空構造体102Bに対して中空構造体102Aの溶融凝固凝縮による引張り力が伝達されるのを防止している。したがって、凝固凝縮変形による引張り力を中空構造体102A、102Bの内部でそれぞれ吸収することができ、隣接する構造体に伝播するのを防ぎ、金属粉末焼結部品全体に溶融凝固凝縮の変形による影響を低減することができる。そして、連結部材103は、例えば凝固凝縮により、隣接する中空構造体102Bとの隙間が無くなり、接触による接続が確立して金属粉末焼結部品全体の引張り強度が確保できる。
図3は、連結部材による連結状態を説明する概念図であり、図3(a)は、本発明の金属粉末焼結部品1の造形中における、中空構造体102Aの連結部材103と、隣接する中空構造体102Bの横梁112との位置関係を示す図、図3(b)は、造形後における、中空構造体102Aの連結部材103と、隣接する中空構造体102Bの横梁112との位置関係を示す図である。
中空構造体102Aの連結部材103は、図3(a)に示すように、造形中においては、隣接する他の中空構造体102Bの横梁112と接触しない様にその周りを取り囲む状態にある。そして、溶融凝固凝縮による変形に伴い、連結部材103に対して矢印314の方向に引張り力が働き、隣接する中空構造体102Bの横梁112には、矢印313の方向に引張り力が働く。
この結果、図3(b)に示すように、造形後においては、中空構造体102Aの連結部材103と、隣接する中空構造体102Bの横梁112は、それぞれの溶融凝固凝縮による変形により、互いの隙間が小さくなるか、もしくは隙間が無くなり接触する状態になる。即ち、デジタルデータ上では、中空構造体102Aの連結部材103と、隣接する中空構造体102Bの横梁112との間には隙間がある形状であるが、金属粉末を用いて積層造形を行うと、造形後には金属の溶融凝固による凝縮変形により、結合部における隙間が無くなり、接触による結合が成立する。したがって、中空構造体102Aと102Bとは、互いに離反する方向への移動が規制された状態となる。
図4Aは、本発明の金属粉末焼結部品の一実施例を示す図、図4Bは、図4Aの金属粉末焼結部品が有する中空構造体を拡大して示す斜視図である。金属粉末焼結部品1は、図4Aに示すように、ベースプレート401と、複数の中空構造体402を有している。ベースプレート401は、薄い金属製の板状体により構成されている。複数の中空構造体402は、各々が六角柱状の梁構造を有しており、ベースプレート401の一方面において、ベースプレート401に沿った方向であるX方向に一列に並び、ベースプレート401に沿った方向でかつX方向に直交する方向であるY方向に千鳥状に並んで配置されている。隣接する中空構造体402同士は、間に隙間を有して配置されている。
中空構造体402は、図4Bに示すように、6つの角部とその中心にそれぞれ配置された合計で7本の支柱411と、隣接する支柱411の間を接続する横梁412を有している。横梁412は、上下二段に分かれて設けられている。そして、隣接する支柱411の間に亘って縦壁413が設けられている。縦壁413は、支柱411間の筋交いとなって中空構造体402の剛性を向上させる。縦壁413には、中空構造体402の内部と外部との間を連通する楕円形状の開口穴414が設けられている。開口穴414は、中空構造体402を樹脂や金属に埋没させる際に、中空構造体402の内部に形成される中空領域に、樹脂や安価な金属を充填し易くできる。中空領域に樹脂や安価な金属を充填して設置することで、中空構造体402の強度を改善し、材料特性にバリエーションを増やすことができる。
そして、中空構造体402には、隣接する他の中空構造体402と隙間のある疎結合するための連結部材403が一体に設けられている。連結部材403は、ベースプレート401から高さ方向に所定間隔をおいて複数設けられている。連結部材403は、中空構造体402の外枠を形成する上下各6本の横梁412のうち、中心から片側に連続して配置された上下各3本の横梁にそれぞれ設けられている。連結部材403は、楕円状に歪んだ環形状を有しており、その中心穴に横梁412を挿入した状態で穴径方向に移動可能な大きさに設定されている。
図5Aは、隣接する中空構造体同士が連結部材によって連結されている状態を示す図、図5Bは、中空構造体同士の接続部分を拡大した断面図である。図5B(a)は、造形中における横梁と連結部材との配置状態を示し、図5B(b)は、造形後に凝固凝縮した横バリと連結部材との配置状態を示す。
中空構造体402は、金属粉末の積層焼結プロセスにより造形されるが、金属の溶融凝固冷却に伴う体積変化から凝縮による引張り力Fsが働き、形状が変形する。仮に、隣接する2つの中空構造体が互いに一体に固定されている構造とすると、2つの中空構造体の間には引張り力が作用し、その引張り力は、それぞれの中空構造体の内側に向かって働き、金属粉末焼結部品全体の形状を変形させる原因となる。
これに対して、本実施例では、図5B(a)に示すように、中空構造体402A、402Bと連結部材403の造形中は、2つの構造体、すなわち、一方の中空構造体402Aに設けられた連結部材403と、連結部材403に挿通した状態で形成される他方の中空構造体402Bの横梁412とは互いに接触せず、隙間が空いている。したがって、それぞれの構造体は凝縮による変形を自由に行うことができる。そして、造形中に2つの構造体の間に設けられた隙間は、構造体の凝縮により徐々に狭まり、図5B(b)に示すように、造形後は2つの構造体の間には隙間が無くなり、接触による結合が完了し、金属粉末焼結部品全体の引張り強度が確保できる。なお、造形後は隙間が狭くなるだけでもよく、完全に接触する必要はない。
連結部材403は、横梁412が挿通される挿通穴403aを有している。挿通穴403aは、横梁412を穴径方向に移動可能であり、隣接する中空構造体同士が相対的に接近及び離間する方向に移動可能な大きさを有している。
連結部材403は、隣接する中空構造体402Bの対向する横梁412を挿通穴403aに挿通させた状態で間に隙間を形成可能な大きさを有する環状部材によって構成されている。この隙間を設けることで、隣接する中空構造体402Bを中空構造体402Aに対して相対的に接近又は離反する方向に所定範囲で移動可能とし、隣接する中空構造体402Bに対して中空構造体402Aの溶融凝固凝縮による引張り力が伝達されるのを防止している。したがって、凝固凝縮変形による引張り力を中空構造体402Aの内部で吸収して、隣接する構造体402Bに伝播するのを防ぎ、金属粉末焼結部品全体に溶融凝固凝縮の変形による影響を低減することができる。
図6は、3DP造形装置の構成を説明する概念図である。3DP造形装置600は、パルス発振のレーザ光を生成する炭酸ガスレーザ発振器610と、レーザ光のビーム径を調整するコリメータ611と、レーザ光を所定場所に誘導するガルバノ走査装置613と、レーザ光を集光し局所的に粉末を焼結するための集光レンズ614と、金属粉末617を所定の高さに随時設定する昇降テーブル621と、テーブルを昇降駆動する昇降機構623と、基準位置を定める基準テーブル612と、造形中の金属粉末618および、積層する厚み分を基準テーブル612の高さから随時降下する昇降テーブル622と、昇降テーブル622を昇降駆動する昇降機構624と、金属粉末617を造形中の金属粉末618に供給するスキージー616と、造形中の粉末焼結部品619が載せられる基盤620とから構成されている。
昇降テーブル621と昇降テーブル622の面積は等しく、それ故、各テーブルの上昇および下降の距離が等しければ、昇降テーブル621から供給される金属粉末617の分量と昇降テーブル622が受け取れるスペースの分量は等しい。昇降テーブル622が下がるごとに粉末焼結部品619が徐々に造形され、昇降テーブル622は、造形領域625に達するまで降下する。
3DP造形装置600において、炭酸ガスレーザ発振器610から照射されるパルス発振のレーザ光は、コリメータ611でビーム径が調整され、ガルバノ走査装置613によりレーザ光を所定の場所に誘導し、集光レンズ614でレーザ光が集光され、粉末焼結部品619上に設置された金属粉末618に照射される。3DP造形装置600の熱源は、400ワットレーザ装置であるが、電子ビーム装置を用いてもよく、ビームスポット径0.5mm、パルス幅3.0ms、操作速度9mm/s、発振周波数90Hzとした。
金属粉末には、粒子径が20μmから90μmのニッケルベースに鉄やクロム、コバルト粉末を混在させたインコネル系粉末や鉄ベースのクロム、ニッケル粒子を混在させたステンレス系粉末、チタンベースにアルミ、バナジュウムを混在させたチタン系粉末などがあるが、ここでは本積層造形によく用いられるチタン合金の一種で、質量分率でアルミ(Al)が6%、バナジウム(V)が4%含まれている64チタンの金属粉末を用いた。
図7は、図6で説明した3DP造形装置を用いて、2つの中空構造体402を有する金属粉末焼結部品を積層造形している状態を説明する図である。図7の造形状態(1)では、ベースプレート401上に64チタンの金属粉末が塗布されて層状に敷かれ、レーザ光により照射された部分のみが溶融凝固し、粉末焼結部品の一部が造形される。造形状態(2)では、さらに64チタン金属粉末がその上に塗布されて層状に敷かれ、レーザ光照射による積層造形により粉末焼結部品が徐々に出来上がり、金属粉末の塗布およびレーザ光照射を繰り返すことで、造形状態(3)および造形状態(4)へと積層造形プロセスが進み、金属粉末焼結部品が造形される。
図8は、本発明の金属粉末焼結部品を用いた複合材料の作成方法の一例を説明する図である。図8に示すように、図7で示した積層造形プロセスにより得られた金属粉末焼結部品1を容器802に設置し、合成樹脂803、たとえば不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂の何れかを注入し、中空構造体402の内部領域に設置する。これにより、複数の中空構造体402を合成樹脂803の層内に埋没させて、合成樹脂803をマトリックスとした複合材料を得ることができる。また、アルミニウムなど融点の低い金属材料を合成樹脂803の代わりに用い、複合材料を製作してもよい。
図9は、図6で説明した一般的な3DP造形装置に代わり、肉盛溶接装置の構成を説明する概念図である。図9の肉盛溶接装置900は、金属粉末の代わりにリール902から供給される金属製ワイヤ903を用い、3軸系ロボットアーム901を用いることで、指定されたレーザ光の照射場所に金属製ワイヤ903を誘導する。本発明では、図9に示す肉盛溶接装置を用いても同様にして、本発明の焼結部品を得る事が出来る。
図10は、本実施例における金属粉末焼結部品の形状を示すものである。図10において、複数の中空構造体402を有する金属粉末焼結部品1は、図6で説明した3DP造形装置を用いて造形され、金属粉末には平均粒径40μmの64チタンの金属粉末を用い、ベースプレート401には厚さ5mmの64チタン製薄板を用いる。金属粉末焼結部品1は、中空構造体402が隣接する中空構造体402との間に0.5mmの隙間を開けて並べられており、連結部材403によって、隣接する中空構造体402同士が相対的に接近又は離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結されている。
図11は本発明の効果を示すために比較用に設けた比較例における金属粉末焼結部品の形状を示す図である。比較用の金属粉末焼結部品1001は、図11に示すように、複数の中空構造体1101を有しているが、本発明の連結部材は有しておらず、複数の中空構造体1101が隙間なく並べられて互いに一体に固定された構造を有している。金属粉末焼結部品1001は、図10の場合と同じ条件で造形される。
図12は、図10で説明した金属粉末焼結部品を3DP造形装置で造形した状態を示す図であり、図12(a)は平面図、図12(b)は側面図である。図12(a)に示すように、金属粉末焼結部品1は、複数の中空構造体402が隙間を有して設けられており、隣接する中空構造体402との間が連結部材403によって連結されて、相対的に接近又は離間する方向に所定範囲内で移動可能な構成となっている。
したがって、図12(b)に示すように、造形後の金属粉末焼結部品1に変形は無く、当初に指定した寸法で造形ができている。これは、造形中に起こる金属粉末の溶融凝固現象に伴う変形を、個々の中空構造体単位のみで発生させ、金属粉末焼結部品1全体には、溶融凝固の引張り力による変形が生じなかったことを示すものである。
図13は、図11で説明した比較のために用意した金属粉末焼結部品を図12の場合と同じ条件で造形したものである。金属粉末焼結部品1001は、ベースプレート1100の上に複数の中空構造体1101が隙間なく連続して並べられており、本発明の金属粉末焼結部品1のように、中空構造体が隣接する中空構造体との間に隙間を有していない。金属粉末焼結部品1001は、図13(b)に示すように、横から見た場合に、造形中に起こる溶融凝固現象の引張り力により変形していることが分かる。
図14は、本発明を用いて造形する金属粉末焼結部品の他の実施例を示す図であり、図14(a)は平面図、図14(b)は中空構造体の斜視図、図14(c)、(d)は連結部材の構成例を示す図である。図14において、金属粉末焼結部品1400は、金属プレート1401と複数の中空構造体1402を有している。金属プレート1401は、厚さが2mmで縦3.4cm、横6.7cmのチタン製薄板であり、中空構造体1402は、0.5mm幅の梁を網の目状に組んで構成されて、幅1cm四方の直方体の形状を有する。
中空構造体1402は、金属プレート1401の表面において、隣接する中空構造体との間に1mmの隙間があるように行列状に並べられている。中空構造体1402は、図6で説明した3DP造形装置600を用いて造形される。金属粉末には、平均粒径40μmの64チタンの金属粉末が用いられる。
中空構造体1402は、隣接する中空構造体1402との間を連結部材1403によって連結される。連結部材1403は、中空構造体1402に固定されておらず、互いに対向する中空構造体1402の梁の間に架け渡されて、中空構造体1402同士を相対的に接近または離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結している。
連結部材1403は、3DP造形装置600による積層造形時に中空構造体1402と同時に造形してもよく、また、中空構造体1402の積層造形後に取り付ける構造としてもよい。連結部材1403は、例えば図14(c)に示すような略コ字形状のストッパ1404、あるいは、図14(d)に示すようなリング状のストッパ1405により構成することができる。ストッパ1404、1405は、隣接する中空構造体1402にそれぞれ接触して互いに連結させている。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 金属粉末焼結部品
101、401 ベースプレート(板状体)
102、402 中空構造体
103、403 連結部材
111、411 支柱
112、412 梁
413 縦壁
414 開口穴

Claims (8)

  1. 金属粉末の積層と焼結の繰り返しにより形成された金属粉末焼結部品であって、
    板状体の表面に複数の中空構造体が互いに隙間を有して形成されており、
    前記複数の中空構造体の間には、隣接する中空構造体同士を相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結する連結部材が形成されていることを特徴とする金属粉末焼結部品。
  2. 前記中空構造体は、前記板状体に立設された複数本の支柱と、該複数本の支柱の間を接続する梁とを有し、
    前記連結部材は、前記梁が挿通される挿通穴を有しており、
    該挿通穴は、前記接近及び離反する方向に前記梁を移動可能な大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の金属粉末焼結部品。
  3. 前記連結部材は、前記隣接する中空構造体のうちの一方の中空構造体に固定されており、他方の中空構造体の梁が前記挿通穴に挿通されていることを特徴とする請求項2に記載の金属粉末焼結部品。
  4. 前記梁は、前記挿通穴の内部で前記連結部材に接触しており、前記隣接する中空構造体同士の離反する方向への移動が規制されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の金属粉末焼結部品。
  5. 前記複数本の支柱の間に亘って設けられる縦壁を有し、
    該縦壁には、前記中空構造体の内部と外部との間を連通する開口穴が設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の金属粉末焼結部品。
  6. 前記連結部材は、前記板状体から高さ方向に所定間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属粉末焼結部品。
  7. 前記中空構造体は、内部領域に樹脂または金属を有することを特徴とする請求項1に記載の金属粉末焼結部品。
  8. 金属粉末の積層と焼結の繰り返しにより金属粉末焼結部品を造形する方法であって、
    板状体の表面に複数の中空構造体を互いに隙間を有して形成すると共に、前記複数の中空構造体の間に、隣接する中空構造体同士を相対的に接近及び離反する方向に所定範囲内で移動可能に連結する連結部材を形成する工程を含み、
    前記連結部材は、焼結時には前記中空構造体から離間し、冷却固化後には前記中空構造体に接触して前記離反する方向への移動を規制する構造を有することを特徴とする金属粉末焼結部品の造形方法。
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