JP2017104851A - 分離膜および分離膜エレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、分離膜エレメントの製造工程における透過側流路材の取り扱い性(断裁工程での透過側流路材剥離や破壊)が良好であり、分離特性に優れた分離膜を提供することにある。【解決手段】本発明の分離膜エレメントは、少なくとも基材および分離機能層を有する分離膜本体と、前記分離膜本体の前記基材側の面に固着された透過側流路材と、を備え、前記基材は、高密度領域と低密度領域を有する不織布を複数積層した積層不織布であり、前記積層不織布の透過側流路材固着面における、高密度領域が不連続状に形成されている分離膜である。【選択図】 図5

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に原水を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、中心管と、中心管の周囲に巻き付けられた積層体とを備える。積層体は、原水(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原水に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を中心管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメントは、原水に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
スパイラル型分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子製のネットが使用される。また、分離膜として、積層型の分離膜が用いられる。積層型の分離膜は、供給側から透過側に積層された、ポリアミドなどの架橋高分子からなる分離機能層、ポリスルホンなどの高分子からなる多孔性樹脂層(多孔性支持層)、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子からなる不織布の基材を備えている。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用される。
近年、造水コストの低減への要求の高まりから、分離膜エレメントの高性能化が求められている。例えば、分離膜エレメントの分離性能の向上、および単位時間あたりの透過流体量の増大のために、各流路部材等の分離膜エレメント部材の性能向上が提案されている。
具体的には、特許文献1では、糸を不織布上に配置した流路材を備えた分離膜エレメントが提案されている。特許文献2では、分離膜上に配置されたベーンと称されるエラストマーから構成される流路材によって、ネットなどの供給側流路材やトリコットなどの透過側流路材を必要としない分離膜エレメントが提案されている。
米国特許出願公開第2012−0261333号明細書 特開2014−140846号公報
しかし、上記した分離膜は、分離膜エレメントの製造工程における透過側流路材の取り扱い性(断裁工程での透過側流路材剥離や破壊)や、分離特性の点では、十分とは言えない。
そこで、本発明は分離膜の製造工程や長期間運転に供した際の分離除去性能を安定化させることが可能な分離膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも基材および分離機能層を有する分離膜本体と、前記分離膜本体の前記基材側の面に固着された透過側流路材と、を備え、前記基材は、高密度領域と低密度領域を有する不織布を複数積層した積層不織布であり、前記積層不織布の透過側流路材固着面における、高密度領域が不連続状に形成されている分離膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記積層不織布の分離機能層面における、高密度領域と低密度領域の面積比が70:30〜99:1であり、前記積層不織布の透過側流路材固着面における、高密度領域と低密度領域の面積比が3:97〜40:60である分離膜が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、上記の分離膜を含む分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、記供給側流路材により形成される供給側流路が、少なくとも前記有孔集水管の長手方向に直交する方向にかけて設けられる分離膜エレメントが提供される。
本発明によって、分離膜エレメントの製造工程における透過側流路材の取り扱い性(断裁工程での透過側流路材剥離や破壊)が良好であり、分離特性に優れた分離膜を得ることができる。
図1は、本発明で用いられる分離膜リーフの一形態を示す分解斜視図である。 図2は、本発明で用いられる分離膜の長さ方向(第2方向)において連続的に設けられた流路材を備える分離膜を示す平面図である。 図3は、本発明で用いられる分離膜の長さ方向(第2方向)において不連続的に設けられた流路材を備える分離膜を示す平面図である。 図4は、図2および図3の分離膜の断面図である。 図5は、集水管の周囲に分離膜を巻回した本発明の分離膜エレメントの一形態を示す展開斜視図である。 図6は、本発明で用いられる分離膜本体の概略構成を示す断面図である。 図7は、分離膜リーフの一形態を示す概略構成図である。 図8は、分離膜エレメントの一形態を示す概略構成図である。 図9は、分離膜エレメントの他の形態を示す概略構成図である。
次に、本発明の分離膜の実施形態について、詳細に説明する。
〔1.分離膜〕
(1−1)分離膜の概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と分離膜本体上に配置された流路材とを備えている。
このような分離膜の例として、本発明の実施形態の分離膜1は、図1に示されるように、分離膜本体2と透過側流路材3とを備えている。そして分離膜本体2は、供給側の面21と透過側の面22とを備えている。
本発明において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体2の2つの面のうち、原流体が供給される側の表面を意味する。また、「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。後述するように、分離膜本体2が、図6に示されるように、基材201および分離機能層203を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面21であり、基材側の面が透過側の面22である。
透過側流路材3は、透過側の面22上に流路を形成するように設けられている。分離膜1の各部の詳細については、後述する。
図中に、x軸、y軸およびz軸の方向軸を示す。x軸を第1方向、y軸を第2方向と称することがある。図1等に示されるように、分離膜本体2は長方形であり、第1方向および第2方向は、分離膜本体2の外縁に平行である。第1方向を幅方向と称し、第2方向を長さ方向と称することがある。
(1−2)分離膜本体
<概要>
分離膜本体としては、使用方法と目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよく、分離機能層と基材とを備える複合膜の構成とすることもできる。また、図6に示されるように、複合膜においては、分離機能層203と基材201との間に、多孔性支持層202を形成させることができる。
<分離機能層>
分離機能層の厚みは、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に、逆浸透膜、正浸透膜およびナノろ過膜では、厚みは5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚みの測定は、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することにより、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定しその平均から厚みを求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよく、分離機能のみを備えていているように構成することもできる。「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホンおよびポリスルホン等を主成分として含有する層が好ましく適用される。
一方、分離機能層しては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという観点で、架橋高分子化合物が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという観点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、および有機無機ハイブリッド機能層等が好適に用いられる。
上記の分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成することが可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することにより形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することにより、ポリアミド分離機能層が得られる。また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有することができる。
いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液やアルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させることができる。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えことができる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状としては、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成させて構成することができる。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル共重合体およびエポキシ樹脂、あるいはそれらを混合し、または積層したものが使用される。化学的、機械的および熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいという観点から、ポリスルホンや塩素化塩化ビニル共重合体を使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布については、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよく、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有する構成とすることができる。
また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に、界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3nm以上50nm以下の投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下の範囲である。
多孔性支持層の上記の厚みと孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記のポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載することがある。)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。所望の形態の多孔性支持層を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度および貧溶媒は、適宜調整することが可能である。
(1−3)不織布
<概要>
均一性に優れた不織布を得ることができ、さらに不織布の厚さ方向の密度分布の調整も容易となることから、複数の不織布層からなる積層体が好ましい形態である。このような積層体は、例えば、2層のスパンボンド不織布からなる積層体や、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層体が挙げられる。
本発明の不織布は、高密度領域と低密度領域を有する不織布を複数積層した積層不織布である。高密度領域は部分的熱圧着により形成されている。ここで部分的熱圧着とは、一対の凹凸を有するロールや、凹凸を有するロールとフラットロールによる熱圧着のことであり、それによって高密度領域を形成することができる。
部分的熱圧着されていない部分とは、一対の凹凸を有するロールにより部分的熱圧着する場合はいずれの凸部にも触れない部分、すなわち凹部と凹部が重なる部分のことであり、凹凸を有するロールとフラットロールにより部分的熱圧着する場合は凹凸を有するロールの凸部に触れない部分のことを言う。また、部分的熱圧着の前後でフラットロールにより不織布全面を熱圧着する場合であっても、部分的熱圧着の際に部分的熱圧着されていなければ、それは部分的熱圧着されていない部分である。
また、本発明の不織布を用いた分離膜本体の製造にあたり、透過側流路材を不織布に固着させた後に、不織布に張力がかかった状態で、透過側流路材が固着している面と反対側の面に製膜原液を塗布して製膜すると、透過側流路材により不織布に緩やかな凹凸が形成されているため、分離機能の表面積が大きくなり、その結果、分離膜の造水量が増加する傾向にある。
<高密度領域の長軸/短軸比>
部分的熱圧着により形成された高密度領域の長軸/短軸比は、1.0〜3.0であることが好ましい。長軸/短軸比が3.0以下であれば、不織布のいずれの方向に力が加わっても、変形が小さい、寸法安定性に優れた不織布を得ることができる。該高密度領域の長軸/短軸比のより好ましい範囲は1.0〜2.0であり、さらに好ましい範囲は1.0〜1.5である。
<熱可塑性連続フィラメント>
不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントは、単一成分からなる熱可塑性連続フィラメントでも、複数成分からなる複合型熱可塑性連続フィラメントでもかまわないが、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される不織布からなることが好ましい態様である。高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配することにより、熱圧着により不織布を形成して使用した際、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着するため、毛羽立ちによる製膜溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、このような複合型熱可塑性連続フィラメントを用いることにより、不織布を構成するフィラメント同士が強固に接着することに加え、高融点重合体のみからなる繊維と低融点重合体のみからなる繊維を混合したいわゆる混繊型に比べその接着点の数も多くなるため、不織布として用いた際の寸法安定性、耐久性につながる。高融点重合体と低融点重合体の融点差が10℃以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、融点差が140℃以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。該高融点重合体と該低融点重合体の融点差のより好ましい範囲は20〜120℃であり、さらに好ましい範囲は30〜100℃である。
また、高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントから構成される不織布からなる場合の該高融点重合体の融点は、160〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点重合体の融点が160℃以上であれば、不織布として使用した際、分離膜または流体分離素子製造時に熱が加わる工程を通過したとしても形態安定性に優れ、320℃以下であれば、不織布製造時に溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。該高融点重合体の融点のより好ましい範囲は170〜300℃であり、さらに好ましい範囲は180〜280℃である。また、低融点重合体の融点は120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい態様である。
複合型熱可塑性連続フィラメントにおける低融点重合体の占める割合については、不織布に適した不織布を得ることができるものであることから、10〜70質量%であることが好ましい。低融点重合体の占める割合が10質量%以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、その割合が70質量%以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。該低融点重合体の占める割合のより好ましい範囲は15〜60質量%であり、さらに好ましい範囲は20〜50質量%である。
複合型熱可塑性連続フィラメントの複合形態については、不織布を得ることができるものであり、例えば同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等が挙げられる。さらにそのフィラメント断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等が挙げられる。なかでも、熱圧着により、熱可塑性連続フィラメント同士を強固に接着させることができ、さらには得られる不織布の厚さを低減し、分離膜エレメントとしたときの省スペース化が図れることから、複合形態については同心芯鞘型を、フィラメント形状としては円形断面や扁平断面を用いることが好ましい。
熱可塑性連続フィラメントの原料については、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられるが、より機械的強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等の耐久性に優れた不織布を得ることができることから、ポリエステル系重合体であることが好ましい。
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
また高融点重合体の周りに、該高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型熱可塑性連続フィラメントとする場合の高融点および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)についても、不織布に適した不織布を得ることができるもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリ乳酸樹脂、およびポリエチレンテレフタレート樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂等の組み合わせが挙げられ、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられる。
<平均繊維径>
熱可塑性連続フィラメントの平均繊維径は、3〜30μmであることが好ましく、より好ましくは5〜25μmであり、さらに好ましくは7〜20μmである。不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの平均繊維径が3μm以上であれば、不織布製造時に紡糸性が低下することが少なく、また不織布の部分的熱圧着されていない低密度領域の高密度化を抑制することができる。一方、該不織布を構成する熱可塑性連続フィラメントの平均繊維径が30μm以下であれば、均一性に優れた不織布を得ることができ、また不織布の部分的熱圧着により形成された高密度領域の低密度化を抑制することができる。
なお、平均繊維径は、例えば不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから他の繊維と溶着していない任意の10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して求めることができる。
<不織布の目付>
20〜300g/m2であることが好ましく、より好ましくは30〜240g/m2であり、さらに好ましくは40〜180g/m2である。該不織布の目付が、20g/m2以上であれば、製膜溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の目付が、300g/m2以下であれば、分離膜の厚さを低減し、分離膜エレメントとしたときの省スペース化を図ることができる。
なお、目付は、例えば300mm×500mmの不織布を3枚採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入して算出することができる。
<不織布の厚み>
0.05〜0.30mmであることが好ましく、より好ましくは0.06〜0.25mmであり、さらに好ましくは0.07〜0.15mmである。不織布の厚さが、0.05mm以上であれば、製膜溶液流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、機械的強度、耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の厚さが、0.30mm以下であれば、分離膜の厚さを低減し、分離膜エレメントとしたときの省スペース化を図ることができる。なお、厚みは、例えば市販の厚み測定器や形状観察装置を用いて測定することができ、任意の数カ所〜数十カ所を測定し、その平均値を厚みとすることができる。
<不織布の強度>
強伸度積が400〜1000N/5cmであることが好ましく、より好ましくは450〜950N/5cmであり、さらに好ましくは500〜900N/5cmである。ここで、強伸度積とは、次式で算出される値である。
・強伸度積[N/5cm]=引張強力[N/5cm]×(1+引張伸度[%]/100)
引張強力および引張伸度は、例えばJIS L 1906の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔が20cmで、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点について強力と伸度を測定し、破断したときの強力と伸度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の引張強力と引張伸度とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、それぞれ不織布の引張強力と引張伸度として求めることができる。
不織布の引張強力は、250〜800N/5cmであることが好ましく、より好ましくは300〜750N/5cmであり、さらに好ましくは350〜700N/5cmである。また、不織布の引張伸度は、15〜50%であることが好ましく、より好ましくは18〜45%であり、さらに好ましくは20〜40%である。
不織布の強伸度積が400N/5cm以上であれば、分離膜エレメントとしたとき、ろ過装置運転中の曝気操作や圧力変動などにより瞬間的にかかる力で破損することが少ない。一方、不織布の強伸度積が1000N/5cm以下であれば、引張強力が高過ぎるため不織布の風合いが硬くなることによって起こる流路材との接着部分からの液体の漏れや、引張伸度が高過ぎるために起こる分離膜の変形を抑制することができる。
不織布は、5%伸長時応力が100〜500N/5cmであることが好ましく、より好ましくは150〜450N/5cmであり、さらに好ましくは200〜400N/5cmである。不織布の5%伸張時応力が100N/5cm以上であれば、分離膜エレメントとしたとき、ろ過装置運転中にかかる垂直方向の圧力による変形が少ない。一方、不織布の5%伸張時応力が500N/5cm以下であれば、不織布の風合いが硬くなることによって起こる流路材との接着部分からの液体の漏れを抑制することができる。
測定方法としては、例えばJIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の5%伸長時応力とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を不織布の5%伸張時応力とすることができる。
<不織布の製造方法>
不織布上に分離膜を形成した際に製膜性が良好であり耐久性に優れる分離膜を得ることができる方法であり、スパンボンド法やメルトブロー法が好ましく用いられる。
スパンボンド法の場合は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集してウエブとし、さらに連続的に熱圧着や絡合等を施すことにより一体化してシートとなす、いわゆるスパンボンド法により製造することができる。熱可塑性連続フィラメントを芯鞘型等の複合形態する場合は、通常の複合方法を採用することができる。
<積層方法>
例えば、2層のスパンボンド不織布からなる積層体の製造方法としては、1対のロールで得た仮接着状態のスパンボンド不織布を2層重ね合わせた後、部分的熱圧着により一体化する方法が好ましく用いることができる。また、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層体の製造方法としては、1対のロールで得た仮接着状態のスパンボンド不織布2層の間に、別ラインで製造したメルトブロー不織布を挟むように重ね合わせた後、部分的熱圧着により一体化する方法や、一連の捕集コンベア上部に配されたスパンボンド用ノズル、メルトブロー用ノズル、スパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化されたウエブを順に捕集、積層し、熱圧着する方法が好ましく用いることができる。
メルトブロー法の場合は、溶融した熱可塑性重合体に加熱高速ガス流体を吹き当てることにより該熱可塑性重合体を引き伸ばして極細繊維化し、捕集してシートとする方法により製造することができる。
<<製膜溶液塗布層>>
本積層不織布における製膜溶液が塗布される層(製膜溶液塗布層)では、部分的熱圧着された高密度領域が多く含まれる。高密度領域とは、不織布を構成する繊維の平均径(平均繊維径)よりも大きい幅を有する部分であり、多く含まれるほど不織布の機械的強度と寸法安定性が向上し、耐久性に優れた不織布を得ることができる。
また、高密度領域は、製膜に用いる製膜溶液(製膜溶液)の不織布内部への過度な浸透を抑制することができる。製膜溶液は低粘度であるため、不織布内部へ浸透しやすく、製膜溶液の不織布への浸透が過度な場合は製膜欠点(不織布の塗布面反対側まで浸透)が発生することになる。このような理由から、製膜溶液塗布層の表面において、高密度領域と低密度領域の面積比は70:30〜99:1が好ましく、85:15〜99:1が特に好ましい。
さらに、製膜溶液塗布層の表面(分離機能層面)において、低密度領域は不連続状に形成されることで製膜原液の不織布への浸透が均一化されるため好ましい。なお、不連続状とは、分離機能層面の全面に対して、低密度領域が2カ所以上存在することを意味する。なお、面積比は例えばキーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、倍率30倍で撮影し、テクスチャの数値をゼロにして画像を白黒化し、得られたデジタル画像を画像解析ソフト(ImageJ)で解析して、高密度領域および低密度領域の各面積算出することができる。
<<透過側流路材固着層>>
<概要>
本積層不織布における透過側流路材が固着した層(透過側流路材固着層)では、部分的熱圧着されていない低密度領域が多く含まれる。そのため、不織布に空隙が多く存在することになり、製膜溶液と比較して高粘度である溶融樹脂の浸透が進むため、不織布との接着性が向上し、膜ずれが生じた際に発生するせん断応力に対する耐性が向上する。
また、不織布の剛性が均一化し、製膜時や透過側流路材の成形工程において不織布を搬送した際に、シワや破れの発生を抑制するために、透過側流路材固着層の表面(透過側流路材固着面)において、高密度領域と低密度領域の面積比は3:97〜50:50が好ましく、15:85〜35:65が特に好ましい。なお、面積比の測定方法としては、製膜溶液塗布層と同様の手法を用いることができる。
さらに、透過側流路材固着層の表面において、高密度領域が不連続状に形成されることにより、上述した溶融樹脂の浸透性が均一化される傾向にあるため好ましい。なお、不連続状とは、透過側流路材固着面の全面に対して、高密度領域が2カ所以上存在することを意味する。
<高密度領域の表面形状>
透過側流路材固着層において、表面から観察した場合の該高密度領域の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、平行四辺形、ひし形、正六角形および正八角形等が好ましい。
部分的熱圧着により形成された高密度領域は、不織布の長さ方向と幅方向のいずれにも一定の間隔で存在していることが好ましい。該高密度領域が均一に点在することにより、不織布内の強度のばらつきを低減することができる。
部分的熱圧着により形成された高密度領域の大きさは、0.2〜5.0mm2であることが好ましく、より好ましくは0.3〜4.0mm2であり、さらに好ましくは0.4〜3.0mm2である。該高密度領域の大きさが0.2mm2以上であれば、不織布の機械的強度と寸法安定性が向上し、耐久性に優れた不織布を得ることができ、該高密度領域の大きさが5.0mm2以下であれば、透過側流路材の不織布への固着が良好となる。
部分的熱圧着により形成された高密度領域の個数密度は、5〜50個/cm2であることが好ましく、より好ましくは10〜45個/cm2であり、さらに好ましくは15〜40個/cm2である。該高密度領域の個数密度が5個/cm2以上であれば、不織布の機械的強度と寸法安定性が向上し、耐久性に優れた不織布を得ることができ、該高密度領域の個数密度が50個/cm2であれば、分離膜製膜時に製膜溶液が不織布内部に十分浸透し、分離膜と不織布が強固に接着することができ、透水性も確保することができる。なお、
測定方法としては、例えばキーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、倍率30倍で透過側路材突起物が固着した面から撮影し、テクスチャの数値をゼロにして画像を白黒化して、得られた白黒画像について高密度領域に相当する部分の大きさ(面積)を計測モードでそれぞれ測定し、その平均値を高密度領域の大きさとすることができる。
(1−4)透過側流路材
<概要>
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように透過側流路材が設けられる。「透過側流路を形成するように透過側流路材が設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、透過側流路材が形成されていることを意味する。透過側流路材の構成の詳細は次のとおりである。
<透過側流路材の構成成分>
透過側流路材3は、分離膜本体2とは異なる素材で形成されることが好ましい。異なる素材とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、透過側流路材3の組成は、分離膜本体2のうち、透過側流路材3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
透過側流路材を構成する成分としては、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィンなどが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択できる。これらの樹脂は、単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の透過側流路材を形成することができる。
<透過側流路材の形状および配置>
<<概要>>
従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸条で構成されている。すなわち、トリコットは、二次元的に連続した構造を有している。このようなトリコットが透過側流路材として適用された場合、流路の高さはトリコットの厚みよりも小さくなる。すなわち、トリコットの厚みの全てを流路の高さとして利用することはできない。
これに対して、本発明の構成の例として、図1等に示す透過側流路材3は、互いに重ならないように配置されている。従って、本発明の実施形態の透過側流路材3の高さ(すなわち厚み)は全て、流路の溝の高さとして活用される。従って、本発明の実施形態の透過側流路材3が適用された場合、透過側流路材3の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなる。すなわち、流路の断面積がより大きくなるので、流動抵抗はより小さくなる。
また、各図においては、不連続な複数の透過側流路材3が、1つの分離膜本体2上に設けられている。「不連続」とは、透過側流路材3を分離膜本体2から剥離すると、複数の流路材3が互いに分かれる構造であることを指す。これに対して、ネット、トリコットおよびフィルム等の部材は、分離膜本体2から分離されても、連続した一体の形状を有する。
不連続な複数の透過側流路材3が設けられていることにより、分離膜1は、後述の分離膜エレメント100に組み込まれたときに、圧力損失を低く抑えることができる。このような構成の一例として、図2では、透過側流路材3は第1方向においてのみ不連続に形成されおり、また、図3では、透過側流路材3は第1方向および第2方向のいずれにおいても不連続に形成されている。
分離膜は、分離膜エレメントにおいて、第2方向が巻囲方向と一致するように配置されていることが好ましい。すなわち、分離膜エレメントにおいて、分離膜は、第1方向が集水管6の長手方向に平行であり、第2方向が集水管6の長手方向に直交するように配置されることが好ましい。
図2に示す例では、流路材3は、第1方向において不連続に設けられると共に、第2方向においては、分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。すなわち、図5のように分離膜エレメント100に分離膜1が組み込まれたときに、図2の透過側流路材3は、巻囲方向における分離膜1の内側端部から外側端部まで連続するように配置される。巻囲方向の内側とは、分離膜において集水管に近い側であり、巻囲方向の外側とは、分離膜において集水管から遠い側である。
透過側流路材が「第2方向において連続する」とは、図2のように途切れなく設けられている場合と、図3のように途切れても実質的に連続している場合の両方を包含する。「実質的に連続する」形態とは、好ましくは、第2方向における透過側流路材の間隔e(すなわち、透過側流路材において途切れている部分の長さ)が5mm以下であることを満たす。特に、1mm以下を満たすことがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい態様である。また、第2方向において並ぶ一列の透過側流路材の先頭から最後尾までで、間隔eの合計値が、100mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることがさらに好ましい態様である。
図2のように流路材3が途切れずに設けられている場合、加圧ろ過時に膜落ち込みが抑制される。膜落ち込みとは、膜が流路に落ち込んで流路を狭めることである。
また、図3では、流路材3は、第1方向だけでなく第2方向においても不連続に設けられている。すなわち、透過側流路材3は、長さ方向において間隔をおいて設けられている。ただし、上述したように、流路材3が第2方向において実質的に連続していることにより、膜落ち込みは抑制される。さらに、透過側流路材3が、第1方向および第2方向の2つの方向において不連続であることで、透過側流路材と流体との接触面積が小さくなるので圧力損失が小さくなる。この形態は、透過側流路5が分岐点を備える構成であるとも言い換えられる。すなわち、図3の構成において、透過流体は、透過側流路5を流れながら、透過側流路材3によって分けられ、さらに下流で合流することができる。
上述したように、図2では、透過側流路材3が、長さ方向(第2方向)において分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。また、図3では長さ方向(第2方向)において透過側流路材3は複数の部分に分割されているが、これらの複数の部分が、分離膜本体2の一端から他端まで並ぶように設けられている。
透過側流路材が「分離膜本体2の一端から他端まで並ぶように設けられている」とは、透過側流路材が分離膜本体の縁まで設けられていなければならない、という意味ではない。透過側流路材は、透過側の流路を形成できる程度に、分離膜の第2方向全体に渡って配置されていることを意味する。透過側の面における他の分離膜との接着部分には、透過側流路材が設けられる必要はない。また、その他の仕様上または製造上の理由により、分離膜の外縁付近等の一部の箇所には、透過側流路材が配置されない領域が設けることができる。
(透過側流路材の高さc)
透過側流路材の高さcとは、透過側流路材と分離膜本体の表面との高低差である。図4に示されるように、透過側流路材の高さcは、第2方向に垂直な断面における、透過側流路材3の最も高い部分と分離膜本体の透過側面との高さの差である。すなわち、高さにおいては、基材中に含浸している部分の厚みは考慮しない。
透過側流路材の高さcが大きい方が流動抵抗は小さくなる。従って、透過側流路材の高さcは0.15mm以上であることが好ましい。その一方で、透過側流路材の高さcが小さい方が、1つのエレメント当たりに充填される膜の数が多くなる。従って、透過側流路材の高さcは、0.35mm以下であることが好ましい。従って、透過側流路材の高さcは好ましくは0.15mm以上0.35mm以下であり、より好ましくは、0.2mm以上0.35mm以下である。
また、透過側流路材の高さcは、巻囲方向において、巻囲時に抵抗とならない程度の急激な高さ変動が生じないように設計することが好ましい。この透過側流路材の高さは、該当する領域において顕微鏡による断面観察や、市販の厚み計を用いて測定することができる。
<透過側流路材の構成成分>
透過側流路材3、分離膜本体2とは異なる材料で形成されることが好ましい。異なる材料とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、透過側流路材3の組成は、分離膜本体2のうち、透過側流路材3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
透過側流路材3を構成する材料としては、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、およびポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体などが好ましく用いられる。これらに比べて接着性ではやや劣るものの、透過側流路材3を構成する材料としては、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの樹脂も選択することができ、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の透過側流路材3を構成する材料としては、樹脂が好ましく用いられる。
透過流路材3が以下の構成を取ることで、耐圧性および柔軟性のバランスを両立でき、運転安定性を向上することができる。すなわち突起物は高結晶性ポリプロピレンを含んでもよく、かつ下記要件(a)および(b)を満たしてもよい。
(a)高結晶性ポリプロピレンの含有量が、透過流路材を構成する組成物中、20〜95重量%である。
(b)透過流路材の融解吸熱量(ΔH)が20〜70J/gである。
融解吸熱量は、示差走査熱量計(DSC)にて測定される数値である。例えば、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7型を用いて測定し、試料10mgを、昇温速度10℃/分にて20℃から220℃まで昇温し、220℃で10分間保持した後、降温速度10℃/分にて20℃まで降温させる測定において、降温した際に観測される、結晶化に基づく発熱量とすることができる。
さらに、透過流路材3を構成する組成物には、低結晶性α−オレフィン系ポリマーを含むことが好ましく、その含有量は、透過流路材を構成する組成物中、5〜60重量%であることが好ましい。
透過側流路材3を基材に固着させるに先立ち、基材をプライマー処理することもできる。
<<分離膜本体および透過側流路材の寸法>>
図2〜図4に示されるように、次の符号a〜fは下記を指す。
a:分離膜本体2の長さ
b:分離膜本体2の幅方向における透過側流路材3の間隔
c:透過側流路材の高さ(透過側流路材3と分離膜本体2の透過側の面22との高低差)
d:透過側流路材3の幅
e:分離膜本体2の長さ方向における透過側流路材の間隔
f:透過側流路材3の長さ。
上記の値a〜fの測定には、例えば、市販の形状測定システムまたはマイクロスコープなどを用いることができる。上記の各値は、1枚の分離膜において30箇所以上で測定を行い、それらの値を総和した値を測定総箇所の数で割って平均値を算出することにより求められる。このようにして、少なくとも30箇所における測定の結果得られる各値が、上記の範囲を満たすことが求められる。
(分離膜本体の長さa)
分離膜本体の長さaは、第2方向における分離膜本体2の一端から他端までの距離である。この距離が一定でない場合、1枚の分離膜本体2において30箇所以上の位置でこの距離を測定し、平均値を求めることにより分離膜本体の長さaを得ることができる。
(第1方向(図5のCD)での透過側流路材の幅方向間隔b)
第1方向における透過側透過側の幅方向間隔bは、流路5の幅に相当する。1つの断面において1つの流路5の幅が一定でない場合、すなわち隣り合う2つの透過側流路材3の側面が平行でない場合は、1つの断面内で、1つの透過側流路5の幅の最大値と最小値の平均値を測定し、その平均値を算出する。図4に示されるように、第2方向に垂直な断面において、透過側流路材3は上が細く下が太い台形状を示す場合、まず、隣接する2つの透過側流路材3の上部間の距離と下部間の距離を測定して、その平均値を算出する。任意の30箇所以上の断面において、透過側流路材3の間隔を測定して、それぞれの断面において平均値を算出する。そして、このようにして得られた平均値の相加平均値をさらに算出することにより、透過側透過側の幅方向間隔bが算出される。
透過側透過側の幅方向間隔bが大きくなるにつれて圧力損失は小さくなるものの、膜落ち込みが生じやすくなる。逆に、透過側透過側の幅方向間隔bが小さいほど膜落ち込みは生じにくくなるが、圧力損失は大きくなる。分離膜エレメントとしての性能や安定性を勘案すると、透過側透過側の幅方向間隔bは0.05mm以上5mm以下であることが好ましく、この範囲であれば、膜落ち込みを抑えながら圧力損失を小さくすることができる。透過側透過側の幅方向間隔bは、より好ましくは0.2mm以上2mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以上0.8mm以下である。
(透過側流路材の幅d)
透過側流路材3の幅dは、次のようにして測定される。まず、第1方向に垂直な1つの断面において、1つの透過側流路材3の最大幅と最小幅の平均値を算出する。すなわち、図4に示されるような上部が細く下部が太い透過側流路材3においては、流路材下部の幅と上部の幅を測定し、その平均値を算出する。このような平均値を少なくとも30箇所の断面において算出し、その相加平均を算出する。透過側流路材3の幅dは、好ましくは0.2mm以上または0.3mm以上である。透過側流路材3の幅dが0.2mm以上であることにより、分離膜エレメントの運転時に流路材3に圧力がかかっても、流路材の形状を保持することができ透過側流路が安定的に形成される。透過側流路材3の幅dは、好ましくは2mm以下または1.5mm以下である。透過側流路材3の幅dを2mm以下とすることにより、透過側の流路を十分確保することができる。
透過側流路材の幅dを、幅方向での流路材の幅方向間隔bよりも広くことにより、透過側流路材にかかる圧力を分散することができる。
透過側流路材3は、その長さがその幅よりも大きくなるように形成されている。このように長い流路材3は「壁状物」とも称される。
透過側流路材3の幅は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば巻囲方向内側領域と外側領域で異なる構成とすることができる。
(第2方向(図5のMD)での透過側流路材の長さ方向の間隔e)
第2方向における透過側流路材3の長さ方向の間隔eは、第2方向において隣り合う流路材3間の最短距離である。図2に示されるように、透過側流路材3が第2方向において分離膜本体2の一端から他端まで(分離膜エレメント内では、巻囲方向の内側端部から外側端部まで)連続して設けられている場合、透過側流路材の長さ方向の間隔eは0mmである。また、図3に示すように、透過側流路材3が第2方向において途切れている場合は、透過側流路材の長さ方向の間隔eは、好ましくは0mm以上5mm以下であり、より好ましくは0mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは0mm以上0.5mm以下である。透過側流路材の長さ方向の間隔eを上記範囲内とすることにより、膜落ち込みが生じても膜への機械的負荷が小さく、流路閉塞による圧力損失を比較的小さくすることができる。
(透過側流路材の長さf)
透過側流路材3の長さfは、分離膜本体2の長さ方向(第2方向)における透過側流路材3の長さである。透過側流路材3の長さfは、1枚の分離膜1内で、30個以上の透過側流路材3の長さを測定し、その平均値を算出することで求められる。透過側流路材の長さfは、分離膜本体の長さa以下とすることができる。透過側流路材の長さfが分離膜本体の長さaと同等のときは、透過側流路材3が分離膜1の巻囲方向内側端部から外側端部へ連続的に設けられていることを指す。長さfは、好ましくは10mm以上または20mm以上である。透過側流路材の長さfを10mm以上であることにより、圧力下でも流路が確保される。
(透過側流路材の形状)
透過側流路材の形状としては、流路の流動抵抗を少なくし、透過させた際の流路を安定化させるような形状が選択され得る。これらの点で、分離膜の面方向に垂直ないずれかの断面において、透過側流路材の形状は、直柱状や台形状、曲柱状あるいはそれらを組み合わせて構成することができる。
例えば、透過側流路材の断面形状が台形の場合、上底と下底の長さの差が大きすぎると溝幅の広い方で加圧ろ過時の膜落込みが生じやすくなるため、下底の長さに対する上底の長さの比率は0.6以上1.4以下が好ましく、0.8以上1.2以下がさらに好ましい態様である。透過側流路材の形状は、流動抵抗を低減する観点から、後述の分離膜面に対して垂直な直柱状であることが好ましい。また、透過側流路材は、高い箇所ほど幅が小さくなるように形成されていてもよく、逆に高い箇所ほど幅が広くなるように形成されていてもよく、分離膜表面からの高さによらず同じ幅を有するように形成することもできる。加圧ろ過時の流路材潰れが著しくない範囲であれば、透過側流路材の断面において、その上辺が丸みを帯びていても良いことも許容される。
透過側流路材が熱可塑性樹脂であれば、処理温度および選択する熱可塑性樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性や透過性能の条件を満足できるように、自由に流路材の形状を調整することができる。
また、透過側流路材の分離膜の平面方向における形状は、例えば、図2に示すように直線状であってもよく、曲線状、鋸歯状等波線状および破線状にすることもできる。
また、透過側流路材の分離膜の平面方向における形状が直線状である場合、隣り合う透過側流路材は、互いに略平行に配置させることができる。「略平行に配置させる」とは、例えば、透過側流路材が分離膜上で交差しないこと、隣り合う2つの透過側流路材の長手方向のなす角度が0°以上30°以下であること、上記角度が0°以上15°以下であること、および上記角度が0°以上5°以下であること等を包含する。
また、透過側流路材の長手方向と集水管の長手方向との成す角度は、60°以上120°以下であることが好ましく、75°以上105°以下であることがより好ましく、85°以上95°以下であることがさらに好ましい態様である。流路材の長手方向と集水管の長手方向との成す角度を上記の範囲とすることにより、透過水が効率良く集水管に集められる。
るものではない。分離膜本体の透過側の面に、例えば、ホットメルト法のように、溶融した材料を固着させることにより透過側流路材を配置する場合は、処理温度や選択するホットメルト用樹脂の種類を変更することにより、要求される分離特性および透過性能の条件を満足できるように、透過側流路材の形状を自由に調整することができる。
図1〜図3では、透過側流路材3の平面形状は、長さ方向において直線状である。ただし、透過側流路材3は、分離膜本体2の表面に対して凸であり、かつ分離膜エレメントとしての所望の効果が損なわれない範囲であれば、他の形状に変更可能である。すなわち、透過側流路材の平面方向における形状は、曲線状および波線状等にすることができる。また、1つの分離膜に含まれる複数の透過側流路材が、幅および長さの少なくとも一方が互いに異なるように形成させることができる。
〔2.分離膜エレメント〕
(2−1)概要
図8に示されるように、分離膜エレメント100は、その第1端および第2端に配置され、かつ孔を有する孔付端板92とを備える。すなわち、分離膜エレメント100の第1端から供給される供給水101は、分離膜によって透過水102と濃縮水103に分けられる。透過水102は、集水管6を通って、分離膜エレメント100の第2端から取り出される。濃縮水103は、第2端の孔付端板92の孔を通って、分離膜エレメント5外に流出する。
また、本発明では、供給水の流れが異なる分離膜エレメント100Bの構成をとることができる。一般的な分離膜エレメント100では、供給側流路材により形成される供給側流路が、集水管6の長手方向に平行方向に設けられるのに対し、分離膜エレメント100Bでは少なくとも集水管6の長手方向に直交する方向に設けられる。本構成の場合、特に分離膜エレメントの幅が短い場合では、分離膜エレメント100の構成に比べて、供給側流路が狭く、かつ長くなるため流動抵抗が増加する。しかしながら、供給水の流量は大きく変わらないため、供給水の流速が高くなり、流れが乱れるため濃度分極の抑制につながる。
分離膜エレメント100Bの作製方法としては、次の通りである。具体的には供給水側流路材8を分離膜1で挟み込み、透過側流路材3を積層させて一組のユニットとし、集水管6の周囲にスパイラル状に巻囲する。なお、最外周には多孔性部材82を取り付け、水の流路を確保する。その後、両端のエッジカットを行い、一端からの供給水流入を防ぐための封止板(第1端板91に相当する)の取り付け、さらに、第2端板92に相当する端板を被覆された巻囲体の他端に取り付け、分離膜エレメントを得ることができる。
多孔性部材82としては、供給水を通過させることができる複数の孔を有する部材が用いられる。多孔性部材82に設けられたこれらの孔821は、供給水の供給口と言い換えられてもよい。多孔性部材82は、複数の孔を有していれば、その材質、大きさ、厚み、剛性等は、特に限定されるものではない。多孔性部材82として、比較的小さい厚みを有する部材を採用することで、分離膜エレメントの単位体積当たりの膜面積を増大させることができる。
なお図9において、多孔性部材82に設けられた孔821はスリット状(直線状)に示されているが、円形や四角形、楕円形や三角形などの孔が複数配列される構造でもよい。
多孔性部材82の厚みは、例えば、1mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下である。また、多孔性部材82は、巻囲体の外周形状に沿うように変形することができる、柔軟性又は可撓性を有する部材であってもよい。より具体的には、多孔性部材82として、ネット、多孔性フィルム等が適用可能である。ネット及び多孔性フィルムは、巻囲体を内部に収容できるように筒状に形成されていてもよいし、長尺状であって、巻囲体の周囲に巻き付けられていてもよい。
多孔性部材82は、分離膜エレメント100Bの外周面に配置される。多孔性部材82がこのように設けられることで、孔が分離膜エレメント5Bの外周面に設けられる。「外周面」とは、特に、分離膜エレメント100Bの外周面全体のうち、上述の第1端の面及び第2端の面を除く部分であるとも言える。本実施形態では、多孔性部材82は、巻囲体の外周面のほぼ全体を覆うように配置される。
分離膜エレメント5Bにおいては、ベッセルに装填して運転する場合、第1端の端板が孔無し端板91なので、第1端の面からは、分離膜エレメント100B内に供給水は流入しない。供給水101はベッセルと分離膜エレメント100Bの隙間へ流れ込む。そして、供給水101は、分離膜2に対して、分離膜エレメント100Bの外周面から、多孔性部材82を介して供給される。こうして供給された供給水101は、分離膜によって透過水102と濃縮水103に分けられる。透過水102は、集水管6を通って、分離膜エレメント5Bの第2端から取り出される。濃縮水103は、第2端の孔付端板92の孔を通って、分離膜エレメント100B外に流出する。
なお、上述した分離膜エレメントにおいて、第1端における孔無し端板91を孔付端板92に変更し、分離膜エレメント100Bの外周面と第1端の両方から供給水101が流れる構成においても、従来エレメントと比べて高回収率運転に適した構成とすることができる。
さらに、孔付端板92の孔の配置については、開孔が大きすぎると供給水が供給側流路に均一に流れず、ショートパスするといった場合があるため、本発明の効果が発現するように集水管の周辺に設けることができる。
(2−2)分離膜
<概要>
分離膜1は、集水管6の周囲に巻囲されており、幅方向が集水管6の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻囲方向に沿うように配置される。
よって、透過側流路材3は、分離膜1の透過側の面22において、少なくとも集水管6の長手方向に不連続状に配置される。具体的に、流路5は、巻囲方向において分離膜の外側端部から内側端部まで連続するように形成される。その結果、透過水が中心パイプへ到達し易く、すなわち流動抵抗が小さくなるので、大きな造水量が得られる。
「巻囲方向の内側」および「巻囲方向の外側」は、図5に示されるとおりである。すなわち、「巻囲方向の内側端部」および「巻囲方向の外側端部」とはそれぞれ、分離膜1において集水管6に近い方の端部、および遠い方の端部に該当する。
上述したように、流路材は分離膜の縁まで達していなくてもよく、本発明では、例えば、巻囲方向における封筒状膜の外側端部、および集水管長手方向における封筒状膜の端部では、流路材が設けられていない態様が含まれる。
図5は、集水管6の周囲に分離膜1を巻回した本発明の分離膜エレメントの一形態を示す展開斜視図である。図5において分離膜1は、分離膜リーフの片側の面として記載されている。図中、CDで示す矢印は、集水管6の長手方向および分離膜の幅方向(前述の第1方向)を示す。また、MDで示す矢印は、分離膜の長さ方向および集水管6へ巻回する方向(前述の第2方向)を示す。
<分離膜リーフおよび封筒状膜>
図7に示されるように、分離膜は、分離膜リーフ4(本発明において、単に「リーフ」と称することがある。)を形成する。リーフ4において分離膜1は、供給側の面21が、図示しない供給側流路材8を挟んで他の分離膜1(または分離膜本体2)の供給側の面21と対向するように配置されている。分離膜リーフ4において、互いに向かい合う分離膜の供給側の面の間には供給側流路が形成される。
さらに、2枚の分離膜リーフ4が重ねられることにより、分離膜1とその分離膜1の透過側の面22に対向する他の分離膜リーフの分離膜7とが、封筒状膜を形成する。封筒状膜において、向かい合う透過側の面の間は、透過水が集水管6に流れるように、分離膜の長方形状において、巻囲方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止される。透過水はこの封筒状膜によって供給水から隔離される。
封止としては、接着剤またはホットメルトなどにより接着されている形態、加熱またはレーザなどにより融着されている形態、およびゴム製シートが挟みこまれている形態が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高い。
また、分離膜の供給側の面において、巻囲方向における内側端部は、折りたたみまたは封止により閉じられている。分離膜の供給側の面が、折り畳まれているのではなく封止されていることにより、分離膜の端部における撓みが発生しにくい。また、折り目近傍での撓みの発生が抑制されることにより、巻囲したときに分離膜間での空隙の発生およびこの空隙によるリークの発生が抑制される。
折り畳みによって分離膜リーフを形成する場合、分離膜リーフが長いほど(すなわち、元の分離膜が長いほど)分離膜の折りたたみに要する時間は長い。しかしながら、分離膜の供給側の面を、折り畳みでなく封止することにより、分離膜リーフが長くても製造時間の増大を抑制することができる。
分離膜リーフおよび封筒状膜において、互いに対向する分離膜(図1における分離膜1および7)は、同じ構成を備えてもよく、異なる構成にすることもできる。すなわち、分離膜エレメントにおいて、向かい合う2枚の透過側の面のうち、少なくとも一方に上述の透過側流路材が設けられていればよく、透過側流路材を備えている分離膜と、透過側流路材を備えていない分離膜とが交互に重ねられた構成とすることもできる。ただし、説明の便宜上、分離膜エレメントおよびそれに関係する説明においては、「分離膜」は、透過側流路材を備えていない分離膜(例えば、分離膜本体と同じ構成を備える膜)を含む。
透過側の面において、または供給側の面において、互いに対向する分離膜は、2枚の異なる分離膜であってもよく、1枚の膜が折りたたまれた構成とすることもできる。
(2−3)透過側流路
上述したように、分離膜1は透過側流路材3を備えている。透過側流路材3によって、封筒状膜の内側、具体的に向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
(2−4)供給側流路
(流路材)
分離膜エレメント100は、重なり合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜1に対する投影面積比が0を超えて1未満となる供給側流路材を備える(図示せず)。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下であり、特に好ましくは0.15以上0.35以下である。投影面積比を0.03以上0.50以下とすることにより、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。ここで、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、その供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影したときに得られる投影面積を切り出し面積で割った値である。
供給側流路材の高さは、後述するように各性能のバランスや運転コストを考慮すると0.5mmを超えて2.0mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6mm以上1.0mm以下である。
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると次のとおりである。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能と透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリおよび亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
前記の化学処理の前または後で、エンボス等によって分離膜本体に凹凸を形成することができる。
(3−2)透過側流路材の配置
分離膜の製造方法は、分離膜本体の透過側の面に、連続的または/および不連続な透過側流路材を設ける工程を備える。この工程は、分離膜製造のどの時点でも行うことができる。例えば、透過側流路材は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよく、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよく、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行うこともできる。
透過側流路材を配置する方法は、例えば、柔らかな材料を分離膜上に配置する工程と、それを硬化する工程とを備える。具体的には、透過側流路材の配置には、紫外線硬化樹脂、化学重合、ホットメルトおよび乾燥等が利用される。特に、ホットメルトは好ましく用いられ、具体的には、熱により樹脂等の材料を軟化する(熱溶融する)工程、軟化した材料を分離膜上に配置する工程、およびこの材料を冷却により硬化することで分離膜上に固着させる工程を含む。
透過側流路材を配置する方法としては、例えば、塗布、印刷および噴霧等が挙げられる。また、使用される機材としては、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、押出型コーター、印刷機および噴霧器などが挙げられる。
(3−3)供給側流路の形成
供給側流路材が、分離膜本体と異なる素材で形成された不連続な部材である場合、供給側流路材の形成には、透過側流路材の形成と同じ方法およびタイミングを適用することができる。
供給側流路がネット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜本体に透過側流路材が配置されることで分離膜が製造された後、この分離膜と供給側流路材とを重ね合わせることにより形成することができる。
(3−4)分離膜リーフの形成
分離膜リーフは、上述したように、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成することされてもよく、別々の2枚の分離膜を貼り合わせることで形成することもできる。
分離膜エレメントの製造方法は、分離膜の巻囲方向における内側端部を、供給側の面において封止する工程を備えることが好ましい。封止する工程においては、2枚の分離膜を、互いの供給側の面が向かい合うように重ねる。さらに、重ねられた分離膜の巻囲方向における内側端部、すなわち図5における左側端部を封止する。
「封止」する方法としては、接着剤またはホットメルトなどによる接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高い。
このとき、重ねられた分離膜の内側に、分離膜とは別に形成された供給側流路材を配置することもできる。上述したように、エンボスまたは樹脂塗布等によって分離膜の供給側の面にあらかじめ高低差を設けることにより、供給側流路材の配置を省略することもできる。
供給側の面の封止と透過側の面の封止(封筒状膜の形成)とは、どちらかが先に行われてもよく、分離膜を重ねながら、供給側の面の封止と透過側の面の封止とを並行して行うこともできる。ただし、巻囲時における分離膜でのシワの発生を抑制するためには、隣り合う分離膜が巻囲によって長さ方向にずれることを許容するように、幅方向端部における接着剤またはホットメルトの固化等、すなわち封筒状膜を形成するための固化等を、巻囲の終了後に完了させることが好ましい。
(3−5)封筒状膜の形成
1枚の分離膜を透過側の面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることにより、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることにより、封筒状膜を形成することができる。長方形状の封筒状膜においては、長さ方向の一端のみが開口するように、他の3辺を封止する。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行することができる。
接着剤の塗布量は、分離膜リーフを集水管に巻囲した後に、接着剤が塗布される部分の幅が10mm以上100mm以下であるような量であることが好ましい。これによって、分離膜が確実に接着されるので、原流体の透過側への流入が抑制される。また、有効膜面積も比較的大きく確保することができる。
(3−6)分離膜の巻囲
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216号公報、特公平4−11928号公報および特開平11−226366号公報参照。)に記載されている方法を用いることができる。詳細には、次のとおりである。
集水管の周囲に分離膜を巻囲するときは、分離膜を分離膜リーフの閉じられた端部、すなわち封筒状膜の閉口部分が集水管を向くように配置する。このような配置で集水管の周囲に分離膜を巻きつけることにより、分離膜をスパイラル状に巻囲する。
集水管にトリコットや基材のようなスペーサーを巻囲しておくと、エレメント巻囲時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。この場合、スペーサーは集水管の円周より長く巻囲しておくことが好ましい。
集水管にトリコットを巻囲しておくことにより、エレメント巻囲時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。この場合、トリコットは集水管の円周より長く巻囲しておくことが好ましい。
(3−7)その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻囲体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつける工程を含んでいてもよく、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカットや端板の取り付け等のさらなる工程を含ませることができる。
次に、実施例によって本発明の分離膜エレメントについてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない
(透過側流路材の高さ)
後述する方法で得られた分離膜エレメントを解体し、1枚の分離膜リーフを任意に切り出し折り位置で二等分した。次に、二等分して得られた膜巻囲方向に100等分し、キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100を用いて、上記の100個の各サンプルについて10μm以上の高低差のある5箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で除して、各サンプルの透過側流路材高さを算出した。
(透過側流路材のピッチおよび間隔)
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて30個の任意の透過側流路材の断面を30倍で写真撮影し、分離膜の透過側における透過側流路材の頂点から、隣の透過側流路材の頂点までの水平距離を測定し、その平均値をピッチとして算出した。
また、間隔bについては、ピッチを測定した写真において、上述の方法で測定した。
(高密度領域または低密度領域の不連続性)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、倍率30倍で透過側
路材突起物が固着した面から撮影し、テクスチャの数値をゼロにして画像を白黒化した。
得られた白黒画像について、高密度領域または低密度領域に該当する色が2カ所以上ある場合に不連続と判断した。
(面積比)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、倍率30倍で撮影し、テクスチャの数値をゼロにして画像を白黒化した。得られたデジタル画像を画像解析ソフト(ImageJ)で解析し、高密度領域および低密度領域の各面積を得た。そして、
下記式から高密度領域および低密度領域の面積比(高密度領域の面積の割合:低密度領域の面積の割合)を算出した。
高密度領域の面積比=高密度領域の面積/(高密度領域の面積+低密度領域の面積)×100
低密度領域の面積比=低密度領域の面積/(高密度領域の面積+低密度領域の面積)×100
この操作を30回繰り返し、その平均値を面積比とした。
(高密度領域の大きさ)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、倍率30倍で透過側
路材突起物が固着した面から撮影し、テクスチャの数値をゼロにして画像を白黒化した。
引き続き、得られた白黒画像について高密度領域に相当する部分の大きさ(面積)を計測モードでそれぞれ測定し、その平均値を高密度領域の大きさとした。
(製膜溶液の裏抜け)
得られた分離膜について透過側流路材が固着している面(任意の500mm×500mm×10枚)を目視で観察し、製膜溶液に含まれるポリマーが凝固している場合に裏抜けが発生している個数を測定した。
(透過側流路材の剥離)
透過側流路材が固着した不織布(幅1200mm)を速度20m/minかつ張力60Nで巻き取りながら、強制的にCPCを50mm/sで25mm作動させ搬送を停止した。この動作を50回繰り返し、透過側流路材が不織布から剥離した回数を測定した。なお、一回の測定において剥離している箇所があれば、剥離箇所の数に関わらず一回とした。
(造水量)
分離膜または分離膜エレメントについて、供給水として、濃度1,000mg/L、pH6.5のNaCL水溶液を用い、運転圧力0.7MPa、温度25℃の条件下で100時間運転した後に10分間のサンプリングを行い、1日あたりの透水量(立方メートル)を造水量(m/日)として表した。
(脱塩率(TDS除去率))
造水量の測定における10分間の運転で用いた原水およびサンプリングした透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式からTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/原水中のTDS濃度)}
(実施例1)
表1に示す1200mm幅のポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布の透過側流路材固着層に、流路材を分離膜の透過側に形成した。すなわち、バックアップロールを20℃の温度に温度調節しながら櫛歯状シムを装填したノズルを用いて、ポリプロピレン(温度230℃・荷重2.16kgf/cmでのMFR1000g/10分、80質量%)/スチレン系エラストマー(JSR社製“DYNARON・SEBS・8630P”、10質量%)を、分離膜の透過側(1000mm幅)に塗布して、膜の長さ方向に途切れなく連続する透過側流路材を作製した。樹脂温度は210℃であり、加工速度は5.5m/分であった。得られた透過側流路材の形状は、以下の通りであった。
配置:直線状
集水管長手方向との間の角度:90℃
断面形状:半円
高さc:0.26mm
透過側流路材の幅方向間隔b:0.35mm
透過側流路材の幅d:0.4mm
ピッチ(mm):0.75mm
引き続き、張力を付与しながら不織布の製膜溶液塗布層に、ポリスルホンの15.0質量%のDMF溶液を、180μmの厚みで室温(25℃)においてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ0.13mm)を作製した。
その後、得られた多孔性支持層ロールを巻き出し、ポリスルホン表面に、m−PDA(メタフェニレンジアミン)の2.0質量%、ε−カプロラクタム4.2質量%水溶液中を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.06質量%を含む25℃の温度のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアーブローで除去し、50℃の温度の水で洗浄して分離膜ロールを得た。
この分離膜を評価に供したところ、製膜溶液の裏抜け、透過側流路材の剥離および造水量および脱塩率は表1の通りであった。
(実施例2〜9)
不織布を表1〜3の通りに変更した以外は、全て実施例1と同様にして分離膜を作製した。続いて、実施例1と同様にして分離膜作製した。この分離膜を評価に供したところ、製膜溶液の裏抜け、透過側流路材の剥離および造水量および脱塩率は表1および2の通りであった。
(実施例10)
実施例1で得られた分離膜を、折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:0.7mm、ピッチ:5.2mm×5mm、繊維径:0.35mm、投影面積比:0.13)を供給側流路材として、幅900mmかつリーフ長800mmで26枚のリーフを作製した。
このようして得られたリーフに対して、接着剤を手動塗布し、これをトリコット(厚み:0.2mm、溝幅:0.2mm、畦幅:0.3mm、溝深さ:0.1mm)を予め1周分被覆したABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付けた。リーフ間を接着した接着剤を、「リーフ接着剤」と称する。リーフ接着剤としては、主剤であるイソシアネートおよび硬化剤であるポリオールをそれぞれ1:2で混合したポリウレタンを用いた。
手動巻囲された封筒状膜の外周にさらにフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取りつけおよびフィラメントワインディングを行うことにより、8インチの分離膜エレメントを作製した。有効膜面積における膜幅は920mmであった。この分離膜エレメントを評価したところ、製膜溶液の裏抜け、透過側流路材の剥離および造水量および脱塩率は表2の通りであった。
(実施例11)
巻囲体を作製した後、巻囲体の外周面を、筒状に連続押し出し成形されたネット(厚み:0.7mm、ピッチ:5mm×5mm、繊維径:350μm、投影面積比:0.13)で被覆した。被覆された巻囲体の両端のエッジカットを行った後、巻囲体の一端に孔無端板(第1端板91に相当する)を取り付け、他端に孔付き端板(第2端板92に相当する)を巻囲体に取り付けたこと以外は全て実施例7と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。本実施例の分離膜エレメントは、供給水の供給口を分離膜エレメントの外周面のみに備えている。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3の通りであった。
(実施例12)
巻囲体の両端に孔付き端板(第2端板92に相当する)を巻囲体に取り付けたこと以外は、全て実施例11と同様にして、分離膜および分離膜エレメントを作製した。本実施例の分離膜エレメントは、供給口を分離膜エレメントの外周面と端部との両方に備えている。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表3の通りであった。
(比較例1〜3)
不織布を表3の通りに変更した以外は、全て実施例1と同様にして分離膜を作製した。比較例1では、透過側流路材が固着された不織布の搬送中に透過側流路材が剥離し、さらに製膜溶液がほぼ不織布の全面にわたり裏抜けしたため、分離膜を得ることができなかった。
また、比較例2では、透過側流路材が固着された不織布の搬送中に透過側流路材が剥離したため不織布にシワが発生し、製膜溶液の塗布の均一性が低下したため分離膜を得ることができなかった。比較例3では、製膜溶液がほぼ不織布の全面にわたり裏抜けしたため、分離膜を得ることができなかった。
これらの結果から明らかなように、本発明の実施例の分離膜および分離膜エレメントは、分離膜エレメントの製造工程における透過側流路材の取り扱い性(断裁工程での透過側流路材剥離や破壊)が良好であり、分離特性に優れている。
1、20A 分離膜
121 供給側の面
122 透過側の面
2 分離膜本体
201 基材
201A 基材(製膜溶液塗布層)
201B 基材(透過側流路材固着層)
202 多孔性支持層
203 分離機能層
3、31 透過側流路材
4 分離膜リーフ
5 透過側流路
6 集水管
7 分離膜
8 供給側流路材
21 供給側の面
22 透過側の面
71 供給側の面
72 透過側の面
82 多孔性部材
821 多孔性部材に設けられた孔
91 孔無端板
92 孔付端板
100、100B 分離膜エレメント
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
a 分離膜本体の長さ
b 分離膜本体の幅方向における透過側流路材の幅方向の間隔
c 透過側流路材の高さ
d 透過側流路材の幅
e 透過側流路材の長さ方向の間隔
f 透過側流路材の長さ

Claims (4)

  1. 少なくとも基材および分離機能層を有する分離膜本体と、
    前記分離膜本体の前記基材側の面に固着された透過側流路材と、
    を備え、
    前記基材は、高密度領域と低密度領域を有する不織布を複数積層した積層不織布であり、
    前記積層不織布の透過側流路材固着面における、高密度領域が不連続状に形成されている
    分離膜。
  2. 前記積層不織布の分離機能層面における、高密度領域と低密度領域の面積比が70:30〜99:1であり、
    前記積層不織布の透過側流路材固着面における、高密度領域と低密度領域の面積比が3:97〜40:60である
    請求項1に記載の分離膜。
  3. 請求項1または2に記載の分離膜を含む分離膜エレメント。
  4. 前記供給側流路材により形成される供給側流路が、少なくとも前記有孔集水管の長手方向に直交する方向にかけて設けられる請求項3に記載の分離膜エレメント。
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