JP2017101667A - 可変カムシャフト - Google Patents

Abstract

【課題】位相調節器に対してカムシャフトが傾いた場合に少なくとも小さな公差補償を可能にする、一般的なタイプの可変カムシャフトのための実施形態を提示する。【解決手段】本発明は、インナーシャフト（２）と、このインナーシャフト（２）と同軸状に設けられたアウターシャフト（３）と、アウターシャフト（３）に回転一体的に接続された固定子（５）およびインナーシャフト（２）に回転一体的に接続された回転子（６）を有する位相調節器（４）とを備えた可変カムシャフト（１）に関する。本発明の本質的事項は、アウターシャフト（３）の外側に第１接続輪郭（８）が設けられており、この第１接続輪郭（８）が、これと相補的に固定子（５）に形成された第２接続輪郭（９）と形状適合態様で相互作用して、少なくとも軸方向（１０）における公差補償を可能としていることである。【選択図】図５

Description

本発明は、請求項１の前提部に係る、インナーシャフトと、このインナーシャフトと同軸状に設けられたアウターシャフトとを備えた可変カムシャフトに関する。本発明は、また、少なくとも１つの可変カムシャフトを備えた内燃エンジンに関する。

可変カムシャフト（以下、単にカムシャフトとも言う）が、長期にわたって現代の内燃エンジンにおいて使用されていて、バルブ開放時間の制御に役立っている。インナーシャフトをアウターシャフトに対して回転させることにより、インナーシャフトに回転一体的に接続された第１カムがアウターシャフトに回転一体的に接続された第２カムに対して回転し、それによりバルブ開放時間またはバルブ閉鎖時間が延長または短縮される。インナーシャフトのアウターシャフトに対する相対回転は、通常、いわゆる位相調節器によって行われる。位相調節器の回転子はインナーシャフトに回転一体的に接続され、位相調節器の固定子はアウターシャフトに回転一体的に接続されている。従来技術から公知のカムシャフトの場合には、可変カムシャフトの軸方向固定は、通常、そのインナーシャフトおよびアウターシャフトと位相調節器とを介してなされる。ここで、インナーシャフトは位相調節器の回転子に軸方向において固定的に接続され、アウターシャフトは位相調節器の固定子に軸方向において固定的に接続されている。固定子は、この場合において、内部で回転子が動作するハウジングを形成している。

位相調節器は油圧駆動式であるため、回転子と固定子との間のクリアランスは特に不要な漏れ損失を回避するために比較的小さく維持されるべきである。製造誤差のために、位相調節器における許容公差が非常に小さい場合、インナーシャフトのわずかな傾きまたは製造誤差でさえ固定子に対する回転子のつっかかりにつながる。

本発明は、したがって、一般的なタイプの可変カムシャフトのための改善されたあるいは少なくとも代替的な実施形態を提示するという問題を取り扱う。当該実施形態は、特に位相調節器に対してカムシャフトが傾いた場合に少なくとも小さな公差補償を可能にする。

本発明によると、上記問題は独立請求項１の主題によって解決される。有利な実施形態は従属請求項の主題である。

本発明は、可変カムシャフトのアウターシャフトと位相調節器の固定子との間における軸方向および／または傾きの調節可能性を作り出し、それにより位相調節器の回転子に対して斜めになったインナーシャフトの公差補償を固定子の追従によって可能にするという一般的概念に基づいている。本発明に係る可変カムシャフトは、この場合において、公知の態様で、インナーシャフトと、このインナーシャフトと同軸状に設けられたアウターシャフトと、アウターシャフトに回転一体的に接続された固定子およびインナーシャフトに回転一体的に接続された回転子を有する位相調節器とを備えている。アウターシャフトの外側には本発明に係る第１接続輪郭が設けられており、この第１接続輪郭は、当該第１接続輪郭と相補的に固定子に形成された第２接続輪郭と形状適合態様で相互作用して、固定子と可変カムシャフトのアウターシャフトとの間の少なくとも軸方向における公差補償を可能としている。本発明にしたがって設けられた接続輪郭により、アウターシャフトと位相調節器の固定子とにおいて、位相調節器の固定子、すなわち位相調節器のハウジングが例えばインナーシャフトと回転子との間の製造誤差を補償することが可能となる。特に、第１および第２接続輪郭によって位相調節器の固定子に対する回転子のつっかかりを確実に防止することが可能となり、ここで明らかに、第１および第２接続輪郭は、少なくとも固定子とアウターシャフトとが僅かに傾いて位置すること、および過程において、例えば回転子とインナーシャフトとの間のより大きな傾きを補償することを可能とするように形成されていてもよい。

本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、インナーシャフトの外側に第３接続輪郭が設けられ、この第３接続輪郭は、当該第３接続輪郭と相補的に回転子に形成された第４接続輪郭と形状適合態様で相互作用して、同様に少なくとも軸方向における公差補償を可能としている。このため、インナーシャフトと回転子との間の製造誤差の補償がまた可能であり、その結果として本発明に係るカムシャフト全体が、もはや今まで必要であったようには高い製造精度を伴って製造される必要がなく、よって低コストに製造され得る。

本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、第１接続輪郭はアウターシャフトと一体的に形成されている。そのような第１接続輪郭のアウターシャフトとの一体的設計は、例えばアウターシャフトの外面への第１接続輪郭のミリングによって実現されてもよいし、そのような第１接続輪郭は、明らかにまた、アウターシャフトの据込み加工によって作られてもよい。アウターシャフトと一体的に形成された第１接続輪郭は、この場合において、特に第１接続輪郭をアウターシャフトに取り付ける必要がなく、その結果として組み立てコストが抑制され得るという利点を提供する。

これに代えて、特に溶接、接着、圧着、ロウ付け、または圧入によってアウターシャフトに固定されたスリーブに第１接続輪郭が設けられていてもよい。これにより、本発明に係る第１接続輪郭の別個の製造または生産が可能となり、そのため本発明に係るカムシャフトが第１接続輪郭を有するスリーブのアウターシャフトへの簡易な取り付けによって製造可能となる。

本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、第１および第２接続輪郭は、固定子のアウターシャフトに対する径方向可動性および／または傾きを可能とするように形成されている。ここで、追加的にまたは代替的に、第２および第３接続輪郭が、回転子のインナーシャフトに対する径方向可動性および／または傾きを可能とするように設計されていることも考えられる。このように形成された接続輪郭は例えば円頂状に形成されていてもよく、ここで第１または第２接続輪郭が円頂状に形成されていれば十分であり、それらと形状適用態様で相互作用する第２または第１接続輪郭は円頂状に形成されていなくてもよい。そのような比較的容易に製造され得る円頂状の設計により、固定子のアウターシャフトに対する、または回転子のインナーシャフトに対する傾きが軸方向公差に加えて容易に補償され得、その結果として、つっかかりおよび摩擦の抑制された位相調節器およびよってカムシャフトの動作が確保され得る。このため、特に摩耗および維持コストが低減され得る。

本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、第１および第２接続輪郭、および／または、第３および第４接続輪郭が、歯状輪郭として、または多角形輪郭として設計されている。この非制限的な列挙は、接続輪郭に与えられ得る様々な可能性のアイデアを与え、ここで接続輪郭は遊びの無いトルク伝達を保証していればよい。純粋に理論的に、第１接続輪郭が外向き六角形または外向き多角形として設計され、第２接続輪郭が内向き六角形または内向き多角形として設計されていることが考えられる。ここで、また、アウターシャフトと固定子との間における傾きが、特に回転子がインナーシャフトに傾いて接続されている場合に、これらの接続輪郭のうち少なくとも１つの円頂状設計によって比較的容易に補償され得る。

本発明の別の重要な特徴および利点は、従属請求項から、図面から、および図面を参照した関連する図の説明から明らかになるだろう。

上述したあるいは後述する特徴は、それぞれに示された組み合わせにおいてのみでなく、本発明の範囲を逸脱することなく他の組み合わせにおいてまたは単独でも使用され得ることを理解されたい。

図１は、本発明に係るカムシャフトの断面図であって、アウターシャフトと一体的に設計された第１接続輪郭を有するものを示している。 図２は、図１と同様の図であって、スリーブとして形成された第１接続輪郭を有するものを示している。 図３は、図２と同様の図であって、位相調節器の回転子にインナーシャフトがねじ止めされているものを示している。 図４は、図３と同様の図であって、スリーブ上に円頂状に設計された第１接続輪郭を有するものを示している。 図５は、図２と同様の図であって、円頂状に設計された第１および第３接続輪郭を有するものを示している。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。また、同一の参照符号は、同一のもしくは類似の、または機能的に同一の構成要素を示す。

図１〜図５に示すように、本発明に係るカムシャフト１は、インナーシャフト２と、このインナーシャフト２と同軸状に設けられたアウターシャフト３とを備えている。インナーシャフト２のアウターシャフト３に対する調節は、この例では、位相調節器４によって行われる。位相調節器４の固定子５はアウターシャフト３に回転一体的に接続され、位相調節器４の回転子６はインナーシャフト２に回転一体的に接続されている。そのようなカムシャフト１は、通常、例えば自動車における、内燃エンジン７においてバルブ開放時間に影響を及ぼすために用いられる。

従来技術から公知のカムシャフトの場合には、インナーシャフト２が回転子６に固定的に接続されかつアウターシャフト３が固定子５に固定的に接続されていた。この場合、インナーシャフト２に対して回転子６がわずかでも傾くと、何らの公差補償も不可能であるため、固定子５に対する回転子６のつっかかりおよびよって機能障害が生じる。これが本発明に係るカムシャフト１が必要になってくるところであり、当該カムシャフト１はアウターシャフト３の外側に第１接続輪郭８を備えている。この第１接続輪郭８は、当該第１接続輪郭８と相補的に形成された固定子５の第２接続輪郭９と形状適合態様で相互作用し、少なくとも軸方向１０における公差補償を可能とする。このため、少なくとも固定子５とアウターシャフト３との間の軽微な公差補償を可能にすることができ、そのことは回転子６がインナーシャフト２に固定態様でねじ止めされている場合（図３および図４を参照）にさえ、回転子６の固定子５に対する何らかの傾きを補償することを可能とする。

本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、インナーシャフト２の外側に第３接続輪郭１１が設けられている。この第３接続輪郭は、当該第３接続輪郭と相補的に形成された回転子６の第４接続輪郭１２と形状適合態様で相互作用し、同様に少なくとも軸方向における公差補償を可能とする。そのような実施形態は、例えば図１、図２および図５に示されている。個々の接続輪郭８，９，１１，１２の設計に応じて、軸方向１０における公差補償が可能となるだけでなく、径方向１３における公差補償、および／または、例えば固定子５とアウターシャフト３との間もしくは回転子６とインナーシャフト２との間における角度ずれの補償、すなわち傾き１７の補償が可能となる。

特に、例えば回転子６とインナーシャフト２との間または固定子５とアウターシャフト３との間における傾き１７を補償できるようにするために、それぞれに互いに相互作用する接続輪郭８，９，１１，１２が一定の径方向高さを有しているか、あるいはこれらの接続輪郭８，９，１１，１２のうち少なくとも１つが、例えば図４および図５の本発明に係るカムシャフト１の実施形態に示すように、円頂状に形成されているべきである。

ここで、カムシャフト１は、ピン１５を介してインナーシャフト２に回転一体的に接続された第１カム１４と、アウターシャフト３に回転一体的に接続された第２カム１６とを備えている。ここで、第２カム１６は、例えば焼き嵌めもしくは冷やし嵌めによって、接着によって、圧入によって、ロウ付けによって、または溶接によってアウターシャフト３に接続されていてもよい。

図１〜図５に示されている本発明に係るカムシャフト１の個々の実施形態を見ると、図１においては、アウターシャフト３に第１接続輪郭８が設けられ、固定子５に対応する第２接続輪郭９が設けられている。第１接続輪郭８は、この例では、アウターシャフト３に一体的に形成されている。同様にして、インナーシャフト２に第３接続輪郭１１が設けられ、回転子６にこの第３接続輪郭１１と相補的に形成された第４接続輪郭１２が設けられている。接続輪郭８，９，１１，１２は、これらが軸方向１０における公差補償および傾き１７に関する公差補償の両方を可能とするように設計されている。

図２の本発明に係るカムシャフト１を見ると、第１接続輪郭８を確認できるが、それはアウターシャフト３と一体的に形成されてはおらずスリーブ１８に形成されている。ここで、第３および第４接続輪郭１１，１２は図１と同様に形成されている。これらの接続輪郭８，９，１１，１２によって、また、少なくとも軸方向１０における公差補償が可能である。ここで、また、傾きの補償が軸方向遊びおよび径方向遊びの範囲内で可能である。

図３に示すカムシャフト１の場合には、図４と同様に、回転子６がねじ１９を介してインナーシャフト２に固定態様でねじ止めされている。アウターシャフト３と固定子５との間の公差補償がしかしながら第１および第２接続輪郭８，９を介して可能であり、ここで第１接続輪郭８はスリーブ１８に設けられている。

図４および図５を見ると、図４では第１接続輪郭８が、図５では第１および第３接続輪郭８，１１が、それぞれ円頂状に形成されており、これにより傾き１７に関する公差補償が可能となっている。図４のインナーシャフト２はねじ１９を介して固定態様で回転子６に連結されているため、固定子５はこの場合において例えば回転子６の傾きに追従し得る。

接続輪郭８，９，１１，１２は、この場合において、例えば歯状輪郭として、または多角形輪郭として、例えば外向きおよび内向き多角形として、例えば外向き六角形および内向き六角形として形成されていてもよい。ここで、バルブ開放時間の正確な制御を実現するために、遊びの無いトルク伝達が可能であることが重要である。

本発明に係るカムシャフト１によると、これまでに従来技術から公知となっているカムシャフトと比較して、軸方向１０および径方向１３の両方における公差補償、ならびに傾き１７に関する公差補償が初めて可能となる。また、それにより、特に位相調節器４のつっかかりを防止することによる、長期にわたるカムシャフト１の簡易な調整性の確保が可能となる。

１ 可変カムシャフト
２ インナーシャフト
３ アウターシャフト
４ 位相調節器
５ 固定子
６ 回転子
７ 内燃エンジン
８ 第１接続輪郭
９ 第２接続輪郭
１０ 軸方向
１１ 第３接続輪郭
１２ 第４接続輪郭
１３ 径方向可動性
１４ 第１カム
１６ 第２カム
１７ 傾き

Claims (10)

1. インナーシャフト（２）と、
   上記インナーシャフト（２）と同軸状に設けられたアウターシャフト（３）と、
   上記インナーシャフト（２）に回転一体的に接続された回転子（６）および上記アウターシャフト（３）に回転一体的に接続された固定子（５）を有する位相調節器（４）と、
   上記アウターシャフト（３）の外側に設けられた第１接続輪郭（８）と、
   上記固定子（５）に上記第１接続輪郭（８）と相補的に形成されて該第１接続輪郭（８）と形状適合態様で相互作用する第２接続輪郭（９）とを備え、
   上記第１および第２接続輪郭（８，９）の相互作用により、少なくとも軸方向（１０）における公差補償が可能となっている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
2. 請求項１において、
   上記インナーシャフト（２）の外側に設けられた第３接続輪郭（１１）と、
   上記回転子（６）に上記第３接続輪郭（１１）と相補的に形成されて該第３接続輪郭（１１）と形状適合態様で相互作用する第４接続輪郭（１２）とを備え、
   上記第３および第４接続輪郭（１１，１２）の相互作用により、少なくとも軸方向（１０）における公差補償が可能となっている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
3. 請求項１または２において、
   上記回転子（６）は、上記インナーシャフト（２）にねじ止めされている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
4. 請求項１〜３のいずれか１項において、
   上記第１接続輪郭（８）は、上記アウターシャフト（３）と一体的に形成されている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
5. 請求項１〜３のいずれか１項において、
   上記第１接続輪郭（８）は、上記アウターシャフト（３）に固定されたスリーブ（１８）に設けられている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
6. 請求項２において、
   上記第１および第２接続輪郭（８，９）は、上記固定子（５）の上記アウターシャフト（３）に対する径方向可動性（１３）および／または傾き（１７）を可能とするように形成されており、
   および／または、
   上記第３および第４接続輪郭（１１，１２）は、上記回転子（６）の上記インナーシャフト（２）に対する径方向可動性（１３）および／または傾き（１７）を可能とするように形成されている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
7. 請求項１〜６のいずれか１項において、
   上記接続輪郭（８，９，１１，１２）のうち少なくとも１つは、円頂状に形成されている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
8. 請求項２または６において、
   上記第１および第２接続輪郭（８，９）、および／または、上記第３および第４接続輪郭（１１，１２）は、歯状輪郭として、または多角形輪郭として形成されている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
9. 請求項１〜８のいずれか１項において、
   上記インナーシャフト（２）に回転一体的に接続された第１カム（１４）と、
   上記アウターシャフト（３）に焼き嵌めもしくは冷やし嵌めによって、溶接によって、ロウ付けによって、接着によって、または圧入によって固定された第２カム（１６）とを備えている
   ことを特徴とする可変カムシャフト。
10. 請求項１〜９のいずれか１項に記載の可変カムシャフト（１）を備えた内燃エンジン（７）。