以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る資材搬送装置を示す側面図である。図2は、本発明の実施形態に係る資材搬送装置の平面図である。
図1及び図2に示すように、資材搬送装置100は、資材Wを吊り下げて所定の位置まで搬送する装置である。資材搬送装置100は、架台2と、一対の走行部3A,3Bと、一対の横取部4A,4Bと、吊部材6A,6Bと、昇降部7A,7Bと、走行車8と、を備えている。資材搬送装置100は、地面に敷設された一対のレールR上を走行する。
架台2は、レールRと同方向に延びる長尺の部材である。なお、架台2が延びる方向を「長手方向D1」と称する場合がある。水平方向において長手方向D1と直交する方向を「横方向D2」と称する場合がある。また、架台2は、長手方向D1における両端に横取部4A,4Bが設けられる本体部2Aと、横取部4Bよりも長手方向D1における外側へ配置可能な手延べ部2Bと、を備えている。
図2及び図3に示すように、架台2の本体部2Aは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の第1の長尺部材11,11と、横方向D2における中央位置において長手方向D1に真っ直ぐに延びる第2の長尺部材12と、長尺部材11,11,12の上端側の位置で横方向D2に真っ直ぐ延びて当該長尺部材11,11,12同士を接続する接続部材13と、を備えている。長尺部材11,11,12は、少なくとも資材Wよりも長手方向D1に長く延びている。接続部材13は、長手方向D1において所定のピッチで複数設けられている。接続部材13のピッチや数量は特に限定されない。
図3(b)及び図3(c)に示すように、一方の第1の長尺部材11と第2の長尺部材12との間、及び他方の第1の長尺部材11と第2の長尺部材12との間には、横方向D2に同量の隙間SP,SPが形成されている。また、それぞれの第1の長尺部材11の内側の側面からは、隙間SP内へ向かってガイド部11aが設けられている。ガイド部11aは、隙間SP内において互いに上下方向に離間するローラーによって構成される。第2の長尺部材12の両側面からは、隙間SP内へ向かってガイド部12aが設けられている。ガイド部12aは、隙間SP内において互いに上下方向に離間するローラーによって構成される。
図1及び図3(b)に示すように、それぞれの第1の長尺部材11の下端部からは、下方へ延びる第3の滑走部16が設けられる。図3(b)に示すように、第3の滑走部16は、横方向D2において吊部材6A,6Bに設けられる第1の滑走部17(詳細な構成は後述)に対応する位置に設けられる。長手方向D1から見たときにおいて、第3の滑走部16は、下方に延びており、下端から横方向D2両側へ突出するフランジ部16aを備えている。
図3(a),(b)及び図4(b)に示すように、架台2の手延べ部2Bは、横方向D2における両端側において長手方向D1に真っ直ぐに延びる一対の長尺部材21,21と、長尺部材21,21の下端側の位置で横方向D2に真っ直ぐ延びて当該長尺部材21,21同士を接続する接続部材23と、を備えている。長尺部材21,21は、少なくとも資材Wよりも長手方向D1に長く延びている。接続部材23は、長手方向D1において所定のピッチで複数設けられている。接続部材23のピッチや数量は特に限定されない。
それぞれの長尺部材21,21は、本体部2Aの隙間SP,SP内に収容される位置に形成されている。長尺部材21は、下端及び上端において、横方向D2の両側へ突出するフランジ部21aが設けられている。フランジ部21aは、本体部2Aのガイド部11a,12aのローラーによって移動可能に支持される(図3(b)参照)。これによって、手延べ部2Bは、本体部2Aに対して長手方向D1へ移動可能である。
図3(b)に示すように、それぞれの長尺部材21の下端部からは、下方へ延びる第4の滑走部26が設けられる。第4の滑走部26は、横方向D2において吊部材6A,6Bに設けられる第2の滑走部27(詳細な構成は後述)に対応する位置に設けられる。長手方向D1から見たときにおいて、第4の滑走部26は、下方に延びており、下端から横方向D2両側へ突出するフランジ部26aを備えている。
上述のように構成された手延べ部2Bは、本体部2Aに対して長手方向D1へ伸縮可能に構成される。従って、図1及び図2に示すように、架台2は、手延べ部2Bが本体部2Aに収容された状態とすることができると共に、図5に示すように、手延べ部2Bが本体部2Aから導出された状態とすることができる。図5に示す状態では、手延べ部2Bは、横取部4Bよりも長手方向D1における外側へ配置された状態となる。なお、図4(a)に示すように、手延べ部2Bの先端部(伸長時における先端部)には、下方へ向かって延びる一対の脚部15,15を備える支持部材25が設けられる。脚部15の下端には、上下方向へ伸縮可能な伸縮部15aが設けられている。それぞれの脚部15,15は、横方向D2において、手延べ部2Bの長尺部材21,21の下方に対応する位置に設けられている。
図1に示すように、走行部3A,3Bは、架台2に接続され、レールR上を走行する部材である。走行部3A,3Bは、レールRに沿って移動する車輪31A,31Bと、車輪31A,31Bを支持するベース部32A,32Bと、ベース部32A,32Bから上方へ延びて架台2の本体部2Aと接続される接続部材33A,33Bと、を備えている。
走行部3Aは、架台2の本体部2Aの長手方向D1における一方(図1における紙面右側)の端部2Aa付近に設けられている。走行部3Aの車輪31Aは、一本のレールRに対して二つ設けられている。ただし、車輪31Aの数量は限定されない。車輪31Aの回転軸は横方向D2へ水平に延びる。ベース部32Aは、各車輪31Aを回転可能に支持する。接続部材33Aは、ベース部32Aの上面から上方へ向かって延び、架台2の本体部2Aの横方向D2の外側の側面に沿って延びると共に、上端側で本体部2Aの上面側において横方向D2に延びる。走行部3Bは、架台2の本体部2Aの長手方向D1における他方(図1における紙面左側)の端部付近に設けられている。走行部3Bの車輪31Bは、一本のレールRに対して二つ設けられている。ただし、車輪31Bの数量は限定されない。車輪31Bの回転軸は横方向D2へ水平に延びる。ベース部32Bは、各車輪31Bを回転可能に支持する。接続部材33Bは、ベース部32Bの上面から上方へ向かって延び、架台2の本体部2Aの横方向D2の外側の側面に沿って延びると共に、上端側で本体部2Aの上面側において横方向D2に延びる。
横取部4A,4Bは、架台2の長手方向D1における両端側にそれぞれ設けられ、架台2を横方向D2へ移動可能な部材である。横取部4Aは、架台2の本体部2Aの長手方向D1における一方(図1における紙面右側)の端部付近に設けられている。横取部4Aは、横取車輪41Aと、横取車輪41Aを支持すると共に駆動力を付与する駆動部42Aと、横取車輪41Aを昇降させる昇降部43Aと、昇降部43Aを介して架台2の本体部2Aと接続される接続部材44Aと、を備える。なお、横取車輪41A、駆動部42A、及び昇降部43Aは、横方向D2の両側に一組ずつ設けられる。また、本実施形態では、横取車輪41A、駆動部42A及び昇降部43は、架台2の本体部2Aの一方の端部2Aaよりも外側へ配置されている。一組あたりに横取車輪41Aは二つ設けられている。ただし、横取車輪41Aの数は特に限定されない。横取車輪41Aの回転軸は、長手方向D1に水平に延びる。駆動部42Aは、横取車輪41Aを回転可能に支持すると共に、内部に横取車輪41Aに駆動力を付与するモータ等が設けられている。
横取部4Aのそれぞれの昇降部43Aは、駆動部42Aの上面から上方へ向かって延びるガイド部43Aaと、当該ガイド部43Aaに沿って相対的に上下方向へ移動する可動部43Abと、を備えている。また、図1及び図3(c)に示すように、接続部材44Aは、それぞれの可動部43Abから本体部2Aの端部2Aa側へ向かって長手方向D1へ延びる水平部材44Aaと、水平部材44Aaから上方へ延びて本体部2Aの端部2Aaに接続される鉛直部材44Abと、を備えている。なお、接続部材44Aの形状は特に限定されるものではなく、昇降部43Aの上下動によって、横取車輪41Aと本体部2Aとの間の距離を相対的に変化させることができる接続態様であれば、どのような構成を有していてもよい。
横取部4Bは、架台2の本体部2Aの長手方向D1における他方(図1における紙面左側)の端部2Ab付近に設けられている。横取部4Bは、横取車輪41Bと、横取車輪41Bを支持すると共に駆動力を付与する駆動部42Bと、横取車輪41Bを昇降させる昇降部43Bと、を備える。なお、横取車輪41B、駆動部42B、及び昇降部43Bは、横方向D2の両側に一組ずつ設けられる。また、本実施形態では、横取車輪41B、駆動部42B及び昇降部43Bは、架台2の本体部2Aの他方の端部2Baの位置に配置されている。一組あたりに横取車輪41Bは三つ設けられている。ただし、横取車輪41Bの数は特に限定されない。横取車輪41Bの回転軸は、長手方向D1に水平に延びる。駆動部42Bは、横取車輪41Bを回転可能に支持すると共に、内部に横取車輪41Bに駆動力を付与するモータ等が設けられている。
横取部4Bのそれぞれの昇降部43Bは、駆動部42Bの上面から上方へ向かって延びるガイド部43Baと、当該ガイド部43Baに沿って相対的に上下方向へ移動する可動部43Bbと、を備えている。ガイド部43Baは、駆動部42Bの上面に、長手方向D1に互いに離間するように一対設けられている。可動部43Bbは、長手方向D1に沿って広がっており、一対のガイド部43Ba,43Baのそれぞれに接続される。可動部43Bbは、本体部2Aの端部2Abに接続される。
以上のように、架台2の本体部2Aの長手方向D1における両端部が、昇降部43A,43Bを備える横取部4A,4Bで支持されている。従って、図1に示すような走行部3A,3Bの車輪31A,31B、及び横取部4A,4Bの横取車輪41A,41BがレールRの上面と同じ高さに配置されている状態から、昇降部43A,43Bが、可動部43Ab,43Bbを横取車輪41A,41Bから離間するように駆動させた場合、架台2全体が上方へ持ち上げられる。これによって、走行部3A,3Bの車輪31A,31BがレールRから上方へ離間するように宙に浮いた状態となる(図1において、二点鎖線で示す状態)。当該状態によれば、車輪31A,31BがレールRから離間しているため、横取車輪41A,41Bの横取走行によって架台2を横方向D2へ移動させたり、架台2全体の水平面内における角度を調整する等が可能となる。
また、図1に示すような走行部3A,3Bの車輪31A,31B、及び横取部4A,4Bの横取車輪41A,41BがレールRの上面と同じ高さに配置されている状態から、昇降部43A,43Bが、可動部43Ab,43Bbを横取車輪41A,41Bへ近づけるように駆動させた場合、横取部4A,4Bの横取車輪41A,41BがレールRから上方へ離間するように宙に浮いた状態となる。当該状態によれば、横取車輪41A,41BがレールRから離間しているため、車輪31A,31Bの走行によって架台2全体を長手方向D1へ移動させることが可能となる。具体的には、架台2に接続された走行車8がレールRに沿って走行して装置全体を引っ張ることで、あるいは押すことによって装置全体をレールRに沿って長手方向D1に移動させることができる。
次に、吊部材6A,6Bの構成について、図1及び図3を参照して説明する。吊部材6A,6Bは、架台2に対して長手方向D1に移動可能に設けられ、架台2の下方において資材Wを吊り下げ可能な部材である。吊部材6A,6Bは、本体部2A及び手延べ部2Bに沿って長手方向D1に移動可能である。図1及び図3(a),(b)に示すように、吊部材6A,6Bは、架台2の下端側において、横方向D2に延びる水平部材51と、水平部材51の上面において、互いに横方向D2に並べられて上方へ延びる一対の第1の滑走部17,17及び一対の第2の滑走部27,27と、資材Wを保持して吊り下げる保持部52と、を備えている。なお、吊部材6Aと吊部材6Bとは、同様な構成を有している。
図3(a),(b)に示すように、長手方向D1から見たときに、水平部材51の横方向D2における両端部は、本体部2Aの各第1の長尺部材11,11の横方向D2における外側の側面よりも外側まで延びると共に、横取部4Bの昇降部43Bの横方向D2における内側の側面よりも内側の位置に配置されている。従って、吊部材6A,6Bが横取部4Bよりも長手方向D1における外側へ移動する際に、横取部4Bと干渉することが防止される。保持部52は、水平部材51の下面に沿って横方向D2に延びる水平部分と、水平部材51の横方向D2における両端部の位置からそれぞれ下方へ直角に屈曲する屈曲部とを備える。当該構成により、保持部52は、屈曲部によって資材Wの両側面の一部を保持し、水平部分によって資材Wの上面の一部を保持することができる。なお、保持部52は、資材Wの側面のみを保持する構成であってもよい。
第1の滑走部17,17は、水平部材51上面の横方向D2における両端側から上方へ延びるように設けられている。第1の滑走部17,17は、横方向D2において、本体部2Aの第1の長尺部材11,11の第3の滑走部16,16に対応する位置に設けられる。第1の滑走部17は、第3の滑走部16を挟むように上方へ延びる一対の部材17a,17aと、部材17a,17aからそれぞれ内側へ突出するローラー17b,17bと、を備える。ローラー17b,17bは、第3の滑走部16のフランジ部16aの上面上を滑走する。
第2の滑走部27,27は、水平部材51上面の横方向D2における両端側における第1の滑走部17,17よりも内側の位置から上方へ延びるように設けられている。第2の滑走部27,27は、横方向D2において、手延べ部2Bの長尺部材21,21の第4の滑走部26,26に対応する位置に設けられる。第2の滑走部27は、第4の滑走部26を挟むように上方へ延びる一対の部材27a,27aと、部材27a,27aからそれぞれ内側へ突出するローラー27b,27bと、を備える。ローラー27b,27bは、第4の滑走部26のフランジ部26aの上面上を滑走する。
昇降部7A,7Bは、資材Wを上下方向に移動させる部材である。本実施形態においては、昇降部7A,7Bは、手延べ部2Bに沿って長手方向D1へ移動可能に設けられている。図4(b)に示すように、昇降部7A,7Bは、手延べ部2Bの上方において横方向D2へ水平に延びる水平部材61と、水平部材61の下側に設けられて、手延べ部2Bの一対の長尺部材21,21の上端部に移動可能に接続される滑走部62,62と、水平部材61の横方向D2における両端部に設けられ、資材Wを昇降可能に吊り下げる吊下部63,63と、を備える。
水平部材61の横方向D2における両端部は、吊部材6A,6Bの横方向D2における両端部よりも外側まで延びている。滑走部62は、手延べ部2Bの長尺部材21の上端部を上側及び横側から取り囲む断面コ字状の部材の内面に、ローラーを設けることによって構成される。滑走部62は、長尺部材21の上端部に設けられたフランジ部と下側から当接する一対のローラーと、長尺部材21の上面上を滑走するローラーと、を備える。吊下部63は、水平部材61から下方へ延びるワイヤ、チェーンブロック等によって構成されている。吊下部63のワイヤの下端部は、資材Wの側面に固定された固定部71に接続される。吊下部63を構成するワイヤは、巻き取り装置(不図示)によって巻き取り及び巻き戻しがなされる。これにより、資材Wは吊下部63に吊り下げられた状態で昇降する。
次に、図1、図5〜図7を参照して、資材搬送装置による資材Wの搬送及び資材Wの設置の手順について説明する。なお、本実施形態では資材WとしてレールRを敷設するための桁を例示する。また、レールRが曲線の軌道を描く個所(図7(b)の設置位置Hを参照)における桁架設の手順について説明する。設置位置Hは、レールRが取り外されており、他の個所よりも一段低くなっている(図5、図6参照)。
まず、資材Wを受け取って吊部材6A,6Bで吊り下げるための資材受け取り工程が実行される。資材受け取り工程では、図1に示すように、走行部3A,3Bの車輪31A,31Bを一点鎖線で示すように、レールRから離間した位置に持ち上げる。これは、横取部4A,4Bの昇降部43A,43Bで架台2全体を上方へ持ち上げることで実行される。これによって、横取部4A,4Bによって架台2全体を横方向D2へ移動させることが可能となる。図3(c)に示すように、資材搬送装置100が横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bの駆動によって横方向D2の資材Wの位置まで移動可能となる。従って、図7(a)に示すように、横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bの駆動によって横方向D2の一方へ移動させることで、レールRの横において資材Wが配置されている位置(図7(a)において二点鎖線で示す位置)まで架台2全体を移動させる。そして、図1に示おいて二点鎖線で示すように地面に配置されている資材Wを持ち上げて吊部材6A,6Bで保持する。その後、横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bの駆動によって横方向D2の他方へ移動させることで架台2を元の位置へ戻す。また、横取部4A,4Bの昇降部43A,43Bの駆動によって架台2を下方へ移動させることで、走行部3A,3Bの車輪31A,31BをレールR上へ戻す(図1の実線を参照)。これによって、資材受け取り工程が完了する。
次に、資材搬送装置100全体をレールRに沿って移動させることで、設置位置Hまで資材Wを搬送する資材搬送工程が実行される。当該工程では、横取部4A,4Bの昇降部43A,43Bの駆動によって横取部4A,4Bの横取車輪41A,41BをレールRの上面の位置よりも上方へ離間させる。その後、走行車8が架台2を押すことで、走行部3A,3Bの車輪31A,31BをレールRに沿って走行させることで、架台2全体を移動させる。架台2が設置位置Hの手前まで到着したら、架台2を停止する。
次に、架台2の水平面内における角度を設置位置Hに合わせて調整する角度調整工程が実行される。当該工程では、図1に示すように、走行部3A,3Bの車輪31A,31Bを一点鎖線で示すように、レールRから離間した位置に持ち上げる。そして、図7(b)に示すように、架台2の水平面内における角度を、設置位置Hの角度に合わせる。当該調整は、横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bを駆動させることにより行われる。このとき、横取部4Aの横取車輪41Aの駆動方向及び駆動量と、横取部4Bの横取車輪41Bの駆動方向及び駆動量とを異なるものとすることで、架台2の細かい角度調整を行うことができる。図7(b)に示す例では、設置位置Hと反対側の横取車輪41Aの移動方向をレールRの曲り方向とは反対側にして移動量を大きくし、設置位置H側の横取車輪41Bの移動方向をレールRの曲り方向と同側にして移動量を小さくすることで、架台2の角度調整が行われる。
次に、図5に示すように、架台2の本体部2Aから手延べ部2Bを設置位置H側へ向かって伸ばす手延べ工程が実行される。このとき、手延べ部2Bを伸ばす前段階では、手延べ部2Bの先端部の支持部材25を縮めることで地面から離間させておく(図5(a)における二点鎖線参照)。その後、手延べ部2Bを本体部2Aから伸ばし、手延べ部2Bの先端部を設置位置Hよりも前方に配置する。当該位置において支持部材25を伸ばすことで、当該支持部材25の下端を地面の上で支持する。
次に、図6に示すように、吊部材6A,6Bを設置位置H側へ移動させて、本体部2Aから手延べ部2Bへ移し替えることにより資材Wを設置位置Hの上方へ移動させる資材縦取り工程が実行される。当該工程では、資材Wを吊り下げた状態の吊部材6A,6Bが設置位置H側へ移動することで、本体部2Aで支持された状態から手延べ部2Bへ支持された状態へ移行し、資材Wが設置位置Hの上方へ到達したら、吊部材6A,6Bの移動を止める。なお、吊部材6A,6Bは、本体部2A下を移動しているとき、図3(b)に示す第1の滑走部17が本体部2Aの第3の滑走部16に沿って滑走する状態となり、第4の滑走部26はフリーな状態となる。次に、吊部材6A,6Bは、本体部2A及び手延べ部2Bが重なる位置の下を移動しているとき、第1の滑走部17が本体部2Aの第3の滑走部16に沿って滑走する状態となると共に、第2の滑走部27が手延べ部2Bの第4の滑走部26に沿って滑走する状態となる。次に、吊部材6A,6Bは、手延べ部2B下を移動しているときは、第1の滑走部17はフリーな状態となり、第2の滑走部27が手延べ部2Bの第4の滑走部26に沿って滑走する状態となる。
次に、資材Wを設置する設置工程が実行される。当該工程では、昇降部7A,7Bを吊部材6A,6Bと長手方向D1における同一位置まで移動させ、昇降部7A,7Bによって資材Wを降ろし、設置位置Hに設置する。このとき、図4(b)に示すように、昇降部7A,7Bの吊下部63のワイヤの下端部を資材Wに固定された固定部71に固定する。そして、吊部材6A,6Bと資材Wとの固定を解除し、昇降部7A,7Bの吊下部63のワイヤを繰り出すことにより、資材Wを設置位置Hに設置する。その後、固定部71から吊下部63のワイヤを取り外す。
以上の工程が終わった後、支持部材25の下端部を地面から持ち上げて、手延べ部2Bを縮めることによって本体部2A中に収納する。その後、走行部3A,3Bの車輪31A,31BをレールRに設置すると共に横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bを地面より上方へ離間し、架台2を移動させることで次の資材Wを受け取りに行く。
なお、直線状のレールR中の設置位置に資材を設置する場合は、上述の工程の内、角度調整工程が省略される。
次に、本実施形態に係る資材搬送装置100の作用・効果について説明する。
レールRが曲線を描く個所に資材Wの設置位置Hが設定される場合、架台2の向きと設置位置Hの水平面内における角度が異なる場合がある(図7(b)参照)。従来の横取部を有さない資材搬送装置の場合、一旦、資材を降ろしておき、資材搬送装置とは別途のクレーン装置で資材を吊り下げて設置位置Hの角度に合わせて資材の角度調整を行っていた。しかしながら、クレーン装置を別途用いる作業には手間がかかるとともに、場所によってはクレーン装置を搬入できない場合もあった。
それに対し、本実施形態に係る資材搬送装置100では、一対の横取部4A,4Bが、本体部2Aの長手方向D1における両端側に設けられる。また、手延べ部2Bは、本体部2Aにおける長手方向D1の一端部から長手方向D1に延びている。従って、手延べ部2Bの位置で吊部材6A,6Bから資材Wを降ろす前段階において、一対の横取部4A,4Bの横取車輪41A,41Bを駆動させることによって本体部2Aの水平面内における角度を調整することができる。従って、レールRが曲線を描くことにより、資材Wの設置位置が水平面内で傾斜している場合であっても、設置位置Hの角度に合わせて手延べ部2Bの位置が合うように、架台2全体の角度調整を行うことができる。以上によって、レールRが曲線を描く場合であっても、容易に資材Wを設置することができる。
また、本実施形態に係る資材搬送装置100において、手延べ部2Bは、本体部2Aに対して長手方向D1へ伸縮可能である。これにより、走行部3A,3Bでの走行によって架台2全体が移動するときは手延べ部2Bを縮めておくことで、移動中の安定性を向上できる。そして、資材Wを設置位置Hに設置する場合に、手延べ部2Bを延ばすことができる。これにより、必要なタイミングで手延べ部2Bを延ばすことができる。また、架台2が手延べ部2Bを伸ばしたままで走行する場合、曲線部分を通過する際に資材搬送装置100の手延べ部2Bが車両限界からはみ出すことにより、電架柱や標識と衝突する可能性が生じるが、手延べ部2Bを縮めておくことで、当該衝突を回避することができる。
また、本実施形態に係る資材搬送装置100において、吊部材6A,6Bは、互いに横方向D2に並べられて上方へ延びる第1の滑走部17及び第2の滑走部27を備えている。本体部2Aは、下方へ延びると共に、横方向D2において第1の滑走部17に対応する位置に設けられる第3の滑走部16を備えている。手延べ部2Bは、下方へ延びると共に、横方向D2において第2の滑走部27に対応する位置に設けられる第4の滑走部26を備えている。これにより、吊部材6A,6Bが本体部2Aから手延べ部2Bへ移動する際は、特別な移し替えのための作業を行わなくとも、長手方向D1への移動に伴って、吊部材6A,6Bが第1の滑走部17及び第3の滑走部16を介して本体部2Aと連結された状態から、吊部材6A,6Bが第2の滑走部27及び第4の滑走部26を介して手延べ部2Bと連結された状態へスムーズに移行することができる。
また、本実施形態に係る資材搬送装置100において、走行部3A,3Bは本体部2Aに固定されており、横取部4A,4Bの昇降部43A,43Bが横取車輪41A,41Bを降ろすことで、架台2が上昇するのに伴って走行部3A,3Bが上昇する。これにより、横取部4A,4Bによって架台2の角度調整を行う際は、走行部3A,3Bを上昇させてレールRから離間させておくことができる。従って、走行部3A,3Bで横方向の移動が阻害されることなく、スムーズに架台2の角度調整を行うことができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、図8に示すような変形例に係る資材搬送装置200を採用してもよい。資材搬送装置200は、架台2から分離可能な走行部103を採用している点において、上述の資材搬送装置100と主に相違している。資材搬送装置200の他の構成については資材搬送装置100と同趣旨である。資材搬送装置200において、走行部103は本体部2Aと分離可能に接続されている。具体的には、走行部103は、本体部2Aの下方において地面に沿って長手方向D1へ延びるベース部104と、ベース部104の下部に設けられた車輪105と、ベース部104の長手方向D1における両端部から上方へ延びる支持部106と、を備えている。また、本体部2Aには支持部106に対応する位置に被支持部110が形成されている。被支持部110の下端が支持部106の上端上に載置されることによって、架台2が走行部103に支持された状態となる。
横取部4A,4Bの昇降部43A,43Bが横取車輪41A,41Bを降ろすことで、架台2が上昇すると、被支持部110が支持部106から上方へ離間することで、走行部103が本体部2Aから分離される。これにより、横取部4A,4Bによって架台2の角度調整を行う際は、走行部103が本体部2Aから分離される。この場合は、走行部103は、レールR上の位置において、待機した状態となる。従って、走行部103で横方向D2の移動が阻害されることなく、スムーズに架台2の角度調整を行うことができる。
なお、上述の実施形態においては、吊部材6A,6Bと昇降部7A,7Bとが別部材として設けられていたが、吊部材が昇降部の機能を有していてもよい。
また、上述の実施形態では、手延べ部2Bが本体部2Aに対して伸縮可能に設けられていたが、伸縮可能に構成されていなくともよい。
また、上述の図5及び図6で説明した手順では、走行車8が架台2を押すことによって移動していた。これに代えて、牽引することで移動してもよい。この場合、一段低くされた設置位置Hには予めレールRを仮設しておき、走行車8及び架台2が通過して、手延べ位置まで到達したら、仮設していたレールRを取り外してよい。あるいは、架台2が通過した後で、設置位置HのレールRを外すと共に一段低くなるように掘り下げてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、詳細な構成については適宜変更してもよい。