以下、図面を参照して本発明の搬送装置の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る搬送装置100の概略構成を示す断面図である。図2Aは、図1に示す搬送パレット130の斜視図である。図2Bは、図2Aに示す走行ローラ部132を回動させた搬送パレット130の斜視図である。なお、図1は、図2Aに示す搬送パレット130の幅W方向の中心を通るI−I線に沿う搬送装置100の断面図である。
本実施形態の搬送装置100は、搬送レール110と、該搬送レール110に沿って配置されたガイドレール120と、搬送レール110に沿って移動する搬送パレット130とを備えている。
搬送パレット130は、搬送対象物を載置する載置部131と、該載置部131を支持し搬送レール110に沿って走行する走行ローラ部132と、載置部131と平行に支持されてガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133とを有している。本実施形態では、搬送パレット130は、搬送レール110に沿う進行方向に直交する幅W方向において、それぞれ、一対の走行ローラ部132と一対のガイド用ローラ部133とを有している。
また、本実施形態では、前記した搬送パレット130の一対の走行ローラ部132に対応して、一対の搬送レール110が水平方向に間隔をあけて対向して設けられている。搬送パレット130の進行方向の左右に配置された一対の搬送レール110は、左右対称であり、搬送パレット130の幅W方向に互いに対向している。搬送レール110は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料によって製作され、走行ローラ部132に設けられたローラ132a,132bを係合させる溝111を有している。
搬送レール110は、鉛直方向に沿う昇降区間110aと、水平方向に沿う水平区間110bと、昇降区間110aと水平区間110bとを繋ぐR区間110cと、を有している。昇降区間110aは、例えば、水平方向に対して45°以上の傾きを有し、水平区間110bは、例えば、水平方向に対して45°未満の傾きを有している。R区間110cは、搬送レール110が所定の曲率半径で円弧状にカーブする区間である。本実施形態の搬送レール110は、昇降区間110aの水平方向に対する傾きが90°又はそれに近い角度であり、水平区間110bの水平方向に対する傾きが0°又はそれに近い角度である門型の形状を有している。
また、本実施形態では、前記した搬送パレット130の一対のガイド用ローラ部133に対応して、一対のガイドレール120が水平方向に間隔をあけて対向して設けられている。一対のガイドレール120は、搬送レール110と同様に、左右対称に配置され、搬送パレット130の幅W方向に互いに対向している。ガイドレール120は、搬送レール110と同様に、例えば、ステンレス鋼等の金属材料によって製作され、ガイド用ローラ部133に設けられたローラ133a,133bを係合させる溝121を有している。ガイドレール120は、搬送レール110と同様の昇降区間120a、水平区間120b、及びR区間120cを有している。また、ガイドレール120は、搬送レール110と同様の門型の形状を有し、門型の搬送レール110の外側に配置されている。
搬送パレット130は、搬送レール110の昇降区間110a、水平区間110b、及びR区間110cにおいて載置部131の姿勢を維持するように、走行ローラ部132を載置部131に対して回動自在に支持している。より詳細には、本実施形態において、搬送パレット130、走行ローラ部132及びガイド用ローラ部133は、以下の構成を有している。
搬送パレット130の載置部131は、搬送対象物を載置する載置面131aを有する基台部131bと、基台部131bに設けられ走行ローラ部132及びガイド用ローラ部133を支持するフレーム部131cとを有している。本実施形態において、基台部131bは、長方形の板状の部材である。また、フレーム部131cは、基台部131bの四隅に立設された柱状部と、柱状部によって基台部131bの上方に支持された長方形の枠状部とを有している。走行ローラ部132及びガイド用ローラ部133は、搬送パレット130の水平方向の進行方向におけるフレーム部131cの枠状部中央に固定され支持されている。
走行ローラ部132は、一対のローラ132a,132bと、一対のローラ132a,132bの回転軸を結ぶ方向に延びる棒状又は板状のリンク部132cと、リンク部132cを回動自在に支持する支持軸132dとを有している。一対のローラ132a,132bは、リンク部132cの長手方向の一端と他端に回転自在に支持されている。走行ローラ部132は、リンク部132cが、図1から図2Bでは図示を省略するワイヤ140又はチェーン(図3Aから図3Cを参照)に連結され、例えば、モータ等を動力源とする駆動装置によってワイヤ140又はチェーンが牽引されることで、搬送レール110に沿って走行する。
走行ローラ部132のリンク部132cは、長手方向の中央部が支持軸132dに支持され、支持軸132dを中心に載置部131に対して回動自在に設けられている。支持軸132dは、載置部131のフレーム部131cに固定され、載置部131によって支持されている。走行ローラ部132は、載置部131に対する回動時にガイド用ローラ部133と干渉しないように、ガイド用ローラ部133よりも搬送パレット130の幅W方向の外側に配置されている。
ガイド用ローラ部133は、一対のローラ133a,133bと、一対のローラ133a,133bの回転軸を結ぶ方向に延びる棒状又は板状のリンク部133cと、リンク部133cを載置部131の載置面131aに平行に支持する柱状部133dとを有している。一対のローラ133a,133bは、リンク部133cの長手方向の一端と他端に回転自在に支持されている。ガイド用ローラ部133のリンク部133cは、走行ローラ部132のリンク部132cよりも長く、一対のローラ133a,133bの回転軸間の距離と、搬送パレット130の前後方向の長さLとが、概ね等しくなっている。
ガイド用ローラ部133のリンク部133cは、長手方向の中央部が柱状部133dによって載置部131のフレーム部131cに固定され、走行ローラ部132の上方に載置部131の載置面131aと平行に支持されている。搬送パレット130は、後述するように、搬送レール110の昇降区間110a、水平区間110b、及びR区間110cにおいて、載置部131の載置面131aの水平状態を維持するように走行ローラ部132を載置部131に対して回動自在に支持している。
すなわち、ガイド用ローラ部133は、水平方向に延びるリンク部133cの一端と他端に一対のローラ133a,133bが設けられ、水平方向の両端に一対のローラ133a,133bを有している。このように、水平方向の両端に一対のローラ133a,133bを有するガイド用ローラ部133は、後述するように、ガイドレール120の昇降区間120a及びR区間120cにおいて、一対のローラ133a,133bの一方がガイドレール120に沿って走行し、水平区間120bにおいて、一対のローラ133a,133bの両方がガイドレール120に沿って走行する。
また、本実施形態において、走行ローラ部132の支持軸132dの中心とガイド用ローラ部133のローラ133a,133bの回転軸との間の水平方向の距離d1は、搬送レール110の昇降区間110aにおける溝111の中心とガイドレール120の昇降区間120aにおける溝121の中心との間隔D1に等しい。また、走行ローラ部132の支持軸132dの中心とガイド用ローラ部133のローラ133a,133bの回転軸との間の鉛直方向の距離d2は、搬送レール110の水平区間110bとR区間110cとの境界における溝111の中心と、ガイドレール120の水平区間120bとR区間120cとの境界における溝121の中心との間の鉛直方向の距離D2に等しい。また、搬送レール110のR区間110cにおける溝111の中心とガイドレール120のR区間120cにおける溝121の中心との間隔は、昇降区間110a,120aにおける間隔D1から、水平区間110b,120bにおける間隔D2へと漸次減少する。
以下、本実施形態の搬送装置100の作用について説明する。図3Aは、図1に示す搬送レール110の昇降区間110aを上方に移動する搬送パレット130の拡大図である。図3Bは、図1に示す搬送レール110のR区間110cを移動する搬送パレット130の拡大図である。図3Cは、図1に示す搬送レール110の水平区間110bを移動する搬送パレット130の拡大図である。
本実施形態の搬送装置100によって搬送対象物を搬送するには、水平状態の搬送パレット130の載置部131に搬送対象物を載置し、ワイヤ140によって搬送パレット130の走行ローラ部132を牽引して搬送レール110に沿って走行させることで、搬送パレット130を搬送レール110に沿って移動させる。
搬送パレット130は、走行ローラ部132が搬送レール110に沿って走行することで、載置部131に載置された搬送対象物を搬送レール110に沿って搬送する。図3Aに示すように、搬送パレット130は、鉛直方向に沿う搬送レール110の昇降区間110aにおいて載置部131に載置された搬送対象物を鉛直方向に沿って搬送する。また、図3Cに示すように、搬送パレット130は、水平方向に沿う搬送レール110の水平区間110bにおいて載置部131に載置された搬送対象物を水平方向に沿って搬送する。
また、図3Bに示すように、搬送パレット130は、搬送レール110の昇降区間110aの終端と水平区間110bの始端とを繋ぐ、所定の曲率半径を有するR区間110cにおいて、載置部131に載置された搬送対象物の搬送方向を、鉛直方向に沿う方向から水平方向に沿う方向へ変化させる。また、図1に示すように、搬送パレット130は、水平区間110bの終端と昇降区間110aの始端とを繋ぐR区間110cにおいては、載置部131に載置された搬送対象物の搬送方向を、水平方向に沿う方向から鉛直方向に沿う方向へと変化させる。
ここで、搬送パレット130は、搬送レール110の昇降区間110a、水平区間110b、及びR区間110cにおいて載置部131の水平状態の姿勢を維持するように、走行ローラ部132を載置部131に対して回動自在に支持している。そのため、図3Aに示すように、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aに沿って上方に移動すると、載置部131は、水平状態を維持するのに対し、昇降区間110aに沿って走行する走行ローラ部132は、鉛直方向に沿う傾き、例えば、水平方向に対して90°又はそれに近い傾きになる。
また、図3Bに示すように、搬送パレット130が、所定の曲率半径で円弧状にカーブした搬送レール110のR区間110cに到達すると、走行ローラ部132は、R区間110cに沿って走行し、R区間110cの接線方向を向くように載置部131に対して相対的に回動する。これにより、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aから水平区間110bへ向けてR区間110cを移動するときに、搬送パレット130が水平区間110bに近付くにつれて、走行ローラ部132の水平方向に対する傾きが減少する。
そして、図3Cに示すように、搬送パレット130が搬送レール110の水平区間110bに到達し、走行ローラ部132が水平区間110bに沿って走行するときに、走行ローラ部132の水平方向に対する傾きは、水平方向に沿う傾き、例えば、水平方向に対して0°又はそれに近い傾きになる。このように、走行ローラ部132が載置部131に対して相対的に回動することで、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aから水平区間110bへ向けてR区間110cを移動するときに、載置部131の水平状態の姿勢は、昇降区間110a、R区間110c、及び水平区間110bにおいて維持される。
ここで、走行ローラ部132の水平方向に対する傾きとは、例えば、走行ローラ部132の進行方向が水平方向となす角度であり、走行ローラ部132のローラ132a,132bと搬送レール110との接点を結ぶ直線の水平方向に対する傾きである。また、載置部131の水平方向に対する傾きとは、例えば、搬送対象物を載置する載置部131の載置面131aの水平面に対する傾きであり、載置部131が水平状態であるとは、載置面131aが水平面に対して概ね平行であることを意味する。
本実施形態の搬送装置100によれば、搬送レール110に沿って搬送パレット130を移動させることで、載置部131の水平状態の姿勢を維持しながら、搬送パレット130を昇降区間110a、R区間110c及び水平区間110bに沿って移動させ、載置部131に載置した搬送対象物を昇降及び水平移動させることが可能になる。また、載置部131を昇降させる装置と載置部131を水平移動させる装置とを別に設ける必要がなく、左右非対称の装置構成を採用する必要もないので、従来よりも設備を簡略化することが可能になる。よって、従来よりも設備コストを低減することができる。
また、本実施形態において、搬送装置100は、搬送レール110に沿って配置されたガイドレール120を備えている。搬送パレット130は、載置部131と平行に支持されてガイドレールに沿って走行するガイド用ローラ部133を有している。ガイド用ローラ部133は、水平方向の両端に一対のローラ133a,133bを有している。そして、ガイド用ローラ部133は、ガイドレール120の昇降区間120a及びR区間120cにおいて、一対のローラ133a,133bの一方がガイドレール120に沿って走行する。また、ガイドレール120の水平区間120bにおいて、一対のローラ133a,133bの両方がガイドレール120に沿って走行する。
この構成により、図3Aに示すように、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aに沿って上方に移動するときに、ガイド用ローラ部133の一方のローラ133bがガイドレール120に沿って走行する。より詳細には、載置部131と平行に支持されたガイド用ローラ部133の水平方向の両端の一対のローラ133a,133bのうち、ガイドレール120に近い一方のローラ133bが、ガイドレール120の溝121に係合してガイドレール120に接し、ガイドレール120に沿って走行する。
すなわち、搬送パレット130は、載置部131に平行に支持されたガイド用ローラ部133をガイドレール120の昇降区間120aに沿って走行させながら、搬送レール110の昇降区間110aに沿って上方に移動する。これにより、搬送パレット130は、ガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133によって支持され、搬送レール110の昇降区間110aに沿って上方に移動するときの載置部131の傾きや振動が抑制される。
その後、図3Bに示すように、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aと水平区間110bとの間のR区間110cに到達すると、R区間110cの径方向外側、すなわちガイドレール120に近いガイド用ローラ部133の一端のローラ133bは、ガイドレール120に接した状態でR区間120cに沿って走行する。これにより、搬送パレット130は、ガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133によって支持され、搬送レール110のR区間110cに沿って移動するときの載置部131の傾きや振動が抑制される。また、ガイドレール120のR区間120cの径方向内側、すなわちガイドレール120から遠いガイド用ローラ部133の他端のローラ133aは、ガイドレール120と接していない離れた状態で、ガイドレール120の水平区間120bに接近していく。
その後、図3Cに示すように、搬送パレット130が搬送レール110の水平区間110bに到達すると、ガイド用ローラ部133の水平方向の両端のローラ133a,133bの両方がガイドレール120の水平区間120bに接し、その状態でガイド用ローラ部133がガイドレール120の水平区間120bに沿って走行する。これにより、搬送パレット130は、ガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133によって支持され、搬送レール110の水平区間110bに沿って移動するときの載置部131の傾きや振動が抑制される。
その後、図1に示すように、搬送パレット130が搬送レール110の水平区間110bと昇降区間110aとの間のR区間110cに到達すると、R区間110cの径方向外側、すなわちガイドレール120に近いガイド用ローラ部133の一端のローラ133aは、ガイドレール120に接した状態でR区間120cに沿って走行する。これにより、搬送パレット130は、ガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133によって支持され、搬送レール110のR区間110cに沿って移動するときの載置部131の傾きや振動が抑制される。一方、R区間110cの径方向外側、すなわちガイドレール120から遠いガイド用ローラ部133の他端のローラ133bは、ガイドレール120の水平区間120bから離れ、ガイドレール120と接していない状態になる。
その後、搬送パレット130が搬送レール110の昇降区間110aに到達し、昇降区間110aに沿って下方に移動するときに、ガイド用ローラ部133は、水平方向の両端の一対のローラ133a,133bのうち、ガイドレール120に近い一端のローラ133aがガイドレール120に接した状態で、ガイドレール120に沿って走行する。これにより、搬送パレット130は、ガイドレール120に沿って走行するガイド用ローラ部133によって支持され、搬送レール110の昇降区間110aに沿って下方に移動するときの載置部131の傾きや振動が抑制される。なお、ガイド用ローラ部133の水平方向の両端の一対のローラ133a,133bのうち、ガイドレール120から遠い他端のローラ133bは、ガイドレール120と接していない離れた状態になる。
以上の説明から理解できるように、本実施形態によれば、搬送対象物の昇降と水平移動が可能で従来よりも設備コストを低減することができる搬送装置100を提供することができる。
(実施形態2)
以下、図4から図6Dを参照して本発明の搬送装置の実施形態2について説明する。図4は、本発明の実施形態2に係る搬送装置200の概略構成を示す拡大正面図である。
本実施形態の搬送装置200は、主に、ガイドレール120及びガイド用ローラ部133を備えていない点、及び、昇降補助機構250を備える点で、前述の実施形態1で説明した搬送装置100と異なっている。本実施形態のその他の点は、実施形態1で説明した搬送装置100と同様であるので、同様の部分には同様の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の搬送装置200は、搬送レール210と該搬送レール210に沿って移動する搬送パレット230とを備えている。搬送レール210は、鉛直方向に沿う昇降区間210aと、水平方向に沿う水平区間210bと、昇降区間210aと水平区間210bとを繋ぐR区間210cと、を有している。搬送パレット230は、搬送対象物を載置する載置部231と、該載置部231を支持し搬送レール210に沿って走行する走行ローラ部232とを有している。搬送パレット230は、昇降区間210a、水平区間210b、及びR区間210cにおいて載置部231の姿勢を維持するように、走行ローラ部232を載置部231に対して回動自在に支持している。
また、本実施形態の搬送装置200は、搬送パレット230の昇降を補助する昇降補助機構250を備えている。昇降補助機構250は、補助ローラ部251と、該補助ローラ部251を牽引するワイヤ又はチェーン252と、該ワイヤ又はチェーン252を案内するスプロケット253a,253b,253cと、該スプロケット253a,253b,253cを介してワイヤ又はチェーン252に接続された錘254とを備えている。
複数の第1のスプロケット253aは、搬送レール210のR区間210cに沿って間隔をあけて配置されている。第2のスプロケット253bは、搬送レール210のR区間210cと水平区間210bとの境界の上方に配置されている。第3のスプロケット253cは、搬送レール210の水平区間210bにおける搬送パレット230の進行方向と逆の水平方向に第2のスプロケット253bから離れた位置に配置されている。チェーン252は、一端が補助ローラ部251に接続され、複数のスプロケット253a,253b,253cに掛け渡されて、他端が錘254に接続されている。
図5Aは、図4に示すVa−Va線に沿う昇降補助機構250の補助ローラ部251の矢視断面図である。補助ローラ部251は、本体251aと、本体251aに回転自在に支持されたローラ251bとを有している。本実施形態では、補助ローラ部251は、搬送レール210の厚さ方向両側に搬送レール210を挟み込む一対のローラ251bを有している。
搬送レール210を挟み込む補助ローラ部251の一対のローラ251bは、搬送レール210の幅方向の両側に二対が配置されている。また、搬送レール210の幅方向の両側の二対のローラ251bは、搬送レール210の延在方向、すなわち補助ローラ部251の進行方向の前後に、それぞれ配置されている。すなわち、補助ローラ部251は、搬送レール210を挟み込む合計四対の8個のローラ251bを備えている。
図5Bは、図4に示すVb−Vb線に沿う搬送パレット230の走行ローラ部232の矢視断面図である。走行ローラ部232は、本体232aと、本体232aに回転自在に支持されたローラ232bとを有している。本実施形態では、走行ローラ部232は、補助ローラ部251と同様に、搬送レール210を厚さ方向に挟み込む合計四対の8個のローラ232bを備えている。なお、図示は省略するが、実施形態1のワイヤ140と同様に、走行ローラ部232を牽引するワイヤ又はチェーンを本体232aに接続してもよい。
図4に示すように、搬送パレット230は、走行ローラ部232に固定されたアーム部233を有している。アーム部233は、例えば、棒状又は板状の部材であり、一方の端部が走行ローラ部232の本体232aに固定され、搬送レール210に対して垂直になっている。アーム部233の他端には、支持軸233aを介して載置部231が回動自在に支持されている。搬送パレット230は、アーム部233及び支持軸233aによって、載置部231が水平状態の姿勢を維持するように、走行ローラ部232を載置部231に対して回動自在に支持している。
以下、本実施形態の搬送装置200の作用について説明する。図6Aは、図4に示す昇降区間210aを上方に移動する搬送パレット230を示す拡大図である。図6Bは、図4に示すR区間210cを移動する搬送パレット230の拡大図である。図6Cは、図4に示す水平区間210bに到達した搬送パレット230の拡大図である。図6Dは、図4に示す水平区間210bを移動する搬送パレット230の拡大図である。
本実施形態の搬送装置200によって搬送対象物を搬送するには、水平状態の搬送パレット230の載置部231に搬送対象物を載置し、搬送パレット230の走行ローラ部232を搬送レール210に沿って走行させることで、搬送パレット230を搬送レール210に沿って移動させる。搬送パレット230は、走行ローラ部232が搬送レール210に沿って走行することで、載置部231に載置された搬送対象物を搬送レール210に沿って搬送する。
図6Aに示すように、搬送パレット230は、鉛直方向に沿う搬送レール210の昇降区間210aにおいて載置部231に載置された搬送対象物を鉛直方向に沿って搬送する。また、搬送パレット230は、図6Dに示すように、水平方向に沿う搬送レール210の水平区間210bにおいて載置部231に載置された搬送対象物を水平方向に沿って搬送する。また、搬送パレット230は、図6Bに示すように、昇降区間210aと水平区間210bとを繋ぐ所定の曲率半径を有する搬送レールのR区間210cにおいて、載置部231に載置された搬送対象物の搬送方向を、鉛直方向に沿う方向から水平方向に沿う方向へ、又は、水平方向に沿う方向から鉛直方向に沿う方向へと変化させる。
ここで、搬送パレット230は、搬送レール210の昇降区間210a、水平区間210b、及びR区間210cにおいて載置部231の姿勢を維持するように、走行ローラ部232を載置部231に対して回動自在に支持している。そのため、搬送パレット230が搬送レール210の昇降区間210aに沿って移動すると、載置部231は、水平状態を維持するのに対し、搬送レール210の昇降区間210aに沿って走行する走行ローラ部232は、鉛直方向に沿う傾き、例えば、水平方向に対して90°又はそれに近い傾きになる。また、搬送パレット230が、所定の曲率半径で円弧状にカーブした搬送レール210のR区間210cに到達すると、走行ローラ部232は、R区間210cに沿って走行し、R区間210cの接線方向を向くように載置部231に対して相対的に回動する。
これにより、搬送パレット230が搬送レール210の昇降区間210aから水平区間210bへ向けてR区間210cを移動するときに、搬送パレット230が水平区間210bに近付くにつれて、走行ローラ部232の水平方向に対する傾きが減少する。そして、図6Cに示すように、搬送パレット230が水平区間210bに到達し、図6Dに示すように、走行ローラ部232が水平区間210bに沿って走行するときに、走行ローラ部232の水平方向に対する傾きは、水平方向に沿う傾き、例えば、水平方向に対して0°又はそれに近い傾きになる。このように、走行ローラ部232が載置部231に対して相対的に回動することで、搬送パレット230が搬送レール210の昇降区間210aから水平区間210bへ向けてR区間210cを移動するときに、水平状態である載置部231の姿勢は、各区間で維持される。
ここで、走行ローラ部232の水平方向に対する傾きとは、例えば、走行ローラ部232の進行方向が水平方向となす角度であり、走行ローラ部232の前後のローラ232bと搬送レール210との接点を結ぶ直線の水平方向に対する傾きである。また、載置部231の水平方向に対する傾きとは、例えば、搬送対象物を載置する載置部231の載置面231aの水平面に対する傾きであり、載置部231が水平状態であるとは、載置面231aが水平面に対して概ね平行であることを意味する。
本実施形態の搬送装置200によれば、搬送レール210に沿って搬送パレット230を移動させることで、載置部231の姿勢を維持しながら、搬送パレット230を昇降区間210a、R区間210c及び水平区間210bに沿って移動させ、載置部231に載置した搬送対象物を昇降及び水平移動させることが可能になる。また、載置部231を昇降させる装置と載置部231を水平移動させる装置とを別に設ける必要がなく、左右非対称の装置構成を採用する必要もないので、従来よりも設備を簡略化することが可能になる。よって、従来よりも設備コストを低減することができる。
また、本実施形態の搬送装置200は、搬送パレット230の昇降を補助する昇降補助機構250を備えている。これにより、図6Aから図6Cに示すように、搬送レール210の昇降区間210aから水平区間210bまでの間で、錘254に作用する重力によって、チェーン252を介して補助ローラ部251に対し、搬送パレット230を搬送レール210に沿って上方に引き上げる力を作用させることができる。したがって、搬送レール210の昇降区間210aから水平区間210bまでの間で、搬送パレット230に作用する重力の影響を低減し、搬送パレット230を駆動する駆動装置の負荷を低減することができる。
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。