JP2017101392A - レール断面形状測定装置 - Google Patents
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しかしながら、レール溶接の際に、新旧レールの溶接部に断面差(段差)が生じ乗り心地が低下するおそれがある。そこで、従来のレール溶接作業では、レール踏面摩耗測定器やストレートエッジと呼ばれる測定器による測定を行いながら、レールを削正することで断面差を解消していた。
このうち特許文献1の測定装置は、レールの頭部に斜め方向から光を照射しつつ斜め方向からカメラで撮影し、得られた撮像情報を画像処理することでレールの断面形状を測定するものであり、レールの頭部の外側面を基準として測定部分の撮像情報を処理することや、走行車両に搭載することで連続してレールの断面形状を測定できることが記載されている。
特許文献3の測定装置(実施例2)は、車輪が直接接触しないレール外側の側面を基準とし、同じく車輪が直接接触しないレール内側のあごの下部を基準として、レール上面および側面の形状をレーザ変位計で計測し、得られた変位データをコンピュータ上で結合させて、レール断面形状を測定するものであり、走行しながら計測することで連続してレールの断面形状を測定できることが記載されている。
一方、特許文献1の測定装置の場合は、車輪が接触しないレール外側面の2箇所を基準として、測定箇所であるレール内側面を斜め上方からカメラで撮影して画像処理で形状を計測するため、3個の光源と2台のカメラが必要であり、装置が大掛かりとなってコストアップを招く。また、特許文献3の測定装置の場合も、車輪が接触しないレール外側の側面およびレール内側のあごの下部の2箇所を基準として変位計で計測するため、高い測定精度が得られるものの、複数(3個)のレーザ変位計が必要であり、装置が大掛かりとなってコストアップを招くという課題がある。
下面に測定対象のレールに沿って移動可能な1または2以上の車輪を備えた台車と、
レールの所定箇所の形状を測定するための1個の非接触方式の測定器と、
前記測定器を制御して測定対象のレールの長手方向に沿って所定間隔で測定値を取得するデータ取得手段と、
を備えたレール断面形状測定装置であって、
前記台車には、前記測定器を取り付けるための取付け手段が設けられ、
前記測定器は、前記取付け手段によって測定対象のレールの頭部より高い位置に、測定対象のレールの頭部を、レール内側の斜め上方から見下ろすような姿勢で取り付けられ、少なくとも測定対象のレールの頭頂面およびレール内側の列車の車輪による摩耗が生じない2箇所を測定可能に設定されているように構成した。
かかる構成によれば、レールの頭部内側側面下部とフランジ基部の湾曲部の2箇所を基準として他の部位を測定するので、互いに平行な2つの面上の2箇所を基準とする場合に比べて誤差を少なくすることができるとともに、レール締結器に邪魔されることなくレールの長手方向に沿った形状測定を行うことができる。
前記記憶装置には、摩耗のないレールの設計形状を示すデータが予め記憶されており、
前記データ処理装置は、前記摩耗が生じない2箇所を基準点として、前記設計形状と前記測定器より得られたデータに基づく測定形状とを重ね合わせた画像を前記表示装置に表示可能に構成する。
かかる構成によれば、摩耗が生じない2箇所を基準点として、設計形状と測定器より得られたデータに基づく測定形状とを重ね合わせた画像を表示装置に表示することができるため、測定箇所のレールの摩耗状態を正確に把握することができるようになる。
これによって、溶接によってレールの端部同士を接合した継ぎ目箇所におけるレール表面の段差の状態を正確に把握することができ、レールの継ぎ目の削正作業を正確に行なって走行する列車の乗り心地を向上させることが可能になる。
図1は本実施形態のレール断面形状測定装置を示す正面図、図2はその側面図である。
本実施形態のレール断面形状測定装置10は、矩形状の台車11と、該台車11の下面に設けられレールR上を転動する前後一対の車輪12A,12Bと、台車11の上部に設けられた逆U字状の手押し棒13と、測定対象物の表面までの距離を測定するレーザセンサのような非接触式の測定器60を支持するための支持フレーム15と、車輪12A,12Bの一方に対応して設けられた移動距離を検出するためのロータリエンコーダ16等を備える。
台車11の下面に設けられた車輪12A,12Bは、レールRの頭頂部に対応した形状の凹部を有するローラにより構成されており、図2に示すように、台車11の前端と後端にそれぞれ設けられている。
また、手押し棒13の上部には、上記コントローラ17に指令を与える入力操作部と測定結果を表示する表示パネルを有するノート型パソコンなどからなるコンソール23が止め具24a,24bによって装着されている。
レーザ変位計によるスキャン速度すなわちデータサンプリング速度は一定である一方、台車の速度がまちまちとなることから生じる測定間隔が一律にならないという不具合は、ロータリエンコーダ16から信号に基づいて、台車11が例えば1mm移動するごとに収録トリガ信号を入力することで、レール長手方向に1mm間隔で測定データを取得することによって解消している。また、データ取得間隔は、コンソール23の操作パネルにより設定を変更することができるように、コントローラ17のプログラムが構成されている。
本実施形態で使用する2次元レーザ変位計は、基準距離Lsが300mmで、測定範囲は基準距離Lsの前後145mm、計測間隔は0.3mmである。従って、図3においてハッチングが付されている領域Aが測定可能範囲である。なお、使用する2次元レーザ変位計の性能は一例であり、これに限定されるものでない。
上記のような観点から、本実施形態のレール断面形状測定装置においては、車輪による摩耗のないレールの頭部内側面下部B1およびフランジ基部の湾曲部B3を基準点として選択することとした。これにより、台車をレールに沿って移動させながら連続的にレール断面形状を測定し、測定結果を基準となる断面形状と対比表示することが可能となる。
図5(A)は測定により得られたレール頭頂面の長手方向に沿った高さ変化を示す表示例、図5(B)は、測定したレール断面形状を、基準となる設計形状と重ね合わせて表示した例である。図5(B)において、実線は測定されたレールの断面形状、破線は摩耗のない基準となるレールの設計形状である。図5(A)の波形は、測定器の姿勢がぶれたとしても、図5(B)のように基準となる設計形状と重ね合わせ処理をしたレール断面形状から得られた所定点(例えばレールの左右方向の中央)の測定値を連続的に表すことができる。
また、図示しないが、本発明者らが試作したレール断面形状測定装置は、レール頭頂面の凹凸状況を3Dカラーマップとして表示する機能も備えている。かかるマップも公知の画像処理技術を利用することで、2次元レーザ変位計(60)による測定値から作成することができる。
また、装置を載せた台車をレールに沿って移動させながら所定間隔で連続的にレール断面形状を測定する方式であるため、レール頭頂面の長手方向に沿った高さ変化を計測して表示することができるとともに、測定装置の盛り替えが不要であり作業効率が良好である。
この変形例のレール断面形状測定装置10は、図1の実施例のレール断面形状測定装置に対して、走行中の台車の横ブレを抑制するための前後一対の補助輪14A,14Bを追加的に設けたものである。
なお、補助輪14A,14Bがない図1の実施例のレール断面形状測定装置は、本変形例のレール断面形状測定装置に比べて、測定作業中の装置の安定性という点では劣るが、前述したような基準点による画像処理を行なうことによって、原理上、測定精度の点では遜色のない測定結果が得られる。また、図1の実施例のレール断面形状測定装置のように、補助輪14A,14Bを設けないようにすることで、装置をより小型、軽量に構成することができるため、装置を測定現場へ移送する作業や、移送後に装置をレール上に設置する作業が容易になるという利点がある。
さらに、上記実施形態においては、測定器60として2次元レーザ変位計を使用しているが、カメラを用いるようにしても良い。そして、カメラを用いる場合には、前後方向に関しても斜め上方からレールを撮像するように、取付け位置、角度を設定すると良い。また、カメラを用いる場合には、照明用の光源を設けるが望ましい。
10 レール断面形状測定装置
11 台車
12A,12B 車輪
13 手押し棒
14A,14B 補助輪
15 支持フレーム
16 ロータリエンコーダ
17 コントローラ(データ取得手段)
18 バッテリ
19 電源ユニット
23 コンソール
22 ハンドルパイプ
60 測定器(2次元レーザ変位計)
Claims (4)
- 下面に測定対象のレールに沿って移動可能な1または2以上の車輪を備えた台車と、
レールの所定箇所の形状を測定するための1個の非接触方式の測定器と、
前記測定器を制御して測定対象のレールの長手方向に沿って所定間隔で測定値を取得するデータ取得手段と、
を備えたレール断面形状測定装置であって、
前記台車には、前記測定器を取り付けるための取付け手段が設けられ、
前記測定器は、前記取付け手段によって測定対象のレールの頭部より高い位置に、測定対象のレールの頭部を、レール内側の斜め上方から見下ろすような姿勢で取り付けられ、少なくとも測定対象のレールの頭頂面およびレール内側の列車の車輪による摩耗が生じない2箇所を測定可能に設定されていることを特徴とするレール断面形状測定装置。 - 前記摩耗が生じない2箇所は、測定対象のレールの頭部内側側面下部とフランジ基部の湾曲部であることを特徴とする請求項1に記載のレール断面形状測定装置。
- 前記台車には、所定のデータを記憶する記憶装置と、前記データ取得手段より取得された測定データを処理するデータ処理装置と、前記データ処理装置による処理により得られた結果を表示可能な表示装置と、が搭載され、
前記記憶装置には、摩耗のないレールの設計形状を示すデータが予め記憶されており、
前記データ処理装置は、前記摩耗が生じない2箇所を基準点として、前記設計形状と前記測定器より得られたデータに基づく測定形状とを重ね合わせた画像を前記表示装置に表示可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレール断面形状測定装置。 - 前記データ処理装置は、前記データ取得手段により取得された測定データに基づいて、測定対象のレールの頭頂面の高さの変化を示す画像を前記表示装置に表示可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のレール断面形状測定装置。
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