本出願に係る携帯電子機器を実施するための複数の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。携帯電子機器には、例えば、スマートウォッチ、スマートフォン、健康機器、メディアプレイヤ、ナビゲータ、及びゲーム機を含むが、これに限定されない。以下の説明においては、同様の構成要素に同一の符号を付すことがある。さらに、重複する説明は、省略することがある。
図1は、携帯電子機器1の一例を示すブロック図である。図1に示す携帯電子機器1は、例えば、スマートウォッチである。携帯電子機器1は、利用者の手首等に装着される。携帯電子機器1は、表示部2と、接触検出部3と、通信部6と、状態検出部7と、記憶部9と、制御部10とを有する。携帯電子機器1は、例えば、バッテリーからの電力によって動作する。なお、携帯電子機器1は、例えば、レシーバ、マイク、スピーカ及びカメラ等を有してもよい。
表示部2は、変形可能な表示パネルを含む。表示パネルは、例えば、フレキシブル液晶ディスプレイ、フレキシブル有機ELディスプレイを含む。表示パネルは、変形可能なバンド状部材の表面側に積層されてもよい。表示部2は、制御部10からの信号に応じて情報を表示できる。表示される情報は、文字、図形及び画像等を含む。
図2は、携帯電子機器1の第1状態と第2状態の一例を示す図である。図2に示すように、表示部2は、利用者の手首、上腕等の装着部に、周回可能な長さのバンドとして形成してもよい。図2に示す例では、表示部2は、携帯電子機器1のバンドとして機能する場合について説明するが、これに限定されない。表示部2は、利用者の装着部に周回可能であればよい。表示部2は、例えば、環状、略長方形状等のどのような形状もとり得る。
表示部2は、第1状態と、第2状態とを含む。第1状態は、例えば、表示部2が略円筒状に変形された状態を含む。すなわち、第1状態は、利用者に装着された装着状態を含む。略円筒状は、例えば、変形された表示部2の開口の断面が円、楕円等の筒を含む。第2状態は、例えば、表示部2が略円筒状に変形されていない状態を含む。すなわち、第2状態は、利用者に装着されていない非装着状態を含む。表示部2は、制御部10の制御によって第1状態及び第2状態で、各種情報を表示することができる。
表示部2は、第2状態において、利用者の装着部で曲げられて、表示部2の長手方向における一端2aと他端2bとが連結されると、第1状態へ遷移する。表示部2の連結は、例えば、一端2a及び他端2bに設けられた連結部材を用いて連結されてもよい。連結部材は、例えば、留め具、連結テープ等を含む。表示部2は、第1状態において、連結部材による連結が解除されることで、第2状態へ遷移する。連結部材は、例えば、一端2aと他端2bとが連結しているか否かを電気的に検出する機能を備えてもよい。この場合、連結部材は、一端2aと他端2bとが連結しているか否か示す連結情報を制御部10に送信してもよい。その結果、制御部10は、受信した連結情報に基づいて、表示部2の一端2aと他端2bとが連結されているか否かを判定することができる。表示部2は、長手方向に沿って歪みセンサ等を設けてもよい。この場合、制御部10は、歪みセンサ等によって表示部2が曲げられていることを検出した場合に、第1状態と判定すればよい。
図2に示す例では、表示部2は、一端2aと他端2bとが連結する場合について説明したが、これに限定されない。表示部2は、一端2aと他端2bとが連結しなくてもよい。例えば、表示部2は、一端2aと他端2bとが重なった状態で固定されてもよい。
表示部2は、表示可能領域20を含む。表示可能領域20は、例えば、表示部2の表面の全体とすることができる。表示可能領域20は、表示部2が第1状態の場合に、利用者の装着部を周回する表面全体、或いは、連結部分を除く表面全体とすることができる。表面は、例えば、利用者が視認することができる一面としてもよい。
接触検出部3は、表示部2に対する指、ペン、又はスタイラスペン等の接触物の接触を検出することができる。接触検出部3は、変形可能なタッチスクリーンを含む。接触検出部3は、表示部2の表示可能領域20の表面全体を覆うように重なって位置している。接触検出部3は、表示可能領域20の表面全体における接触位置を検出することができる。接触検出部3の長辺は、表示部2の長辺に沿っている。接触検出部3の短辺は、表示部2の短辺に沿っている。接触検出部3の重ね方は、これに限定されない。接触検出部3の長辺及び短辺の少なくとも一方は、表示部2の辺と沿っていなくてもよい。
携帯電子機器1は、接触検出部3により検出された接触、接触が検出された位置、接触が検出された位置の変化、接触が検出された間隔、及び接触が検出された回数の少なくとも1つに基づいてジェスチャの種別を判別してもよい。ジェスチャは、接触検出部3に対して行われる操作を含む。携帯電子機器1によって判別されるジェスチャは、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトを含むがこれらに限定されない。
接触検出部3は、表示可能領域20における接触領域を検出することができる。携帯電子機器1は、接触検出部3により検出された接触領域の大きさ、形状等を特定してもよい。例えば、携帯電子機器1は、特定した接触領域の大きさ、形状等と予め定められた接触物のパターンとの比較結果に基づいて、接触物の種類を特定してもよい。例えば、接触物のパターンは、表示部2を押圧した時の指先の輪郭パターンを含む。例えば、携帯電子機器1は、接触物が指先であると特定した場合、当該指先の輪郭パターンから指先の向きを推定してもよい。
通信部6は、無線により通信できる。通信部6は、無線通信規格の少なくとも1つをサポートしてもよい。無線通信規格は、例えば、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信規格がある。セルラーフォンの通信規格は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy−phone System)等を含む。無線通信規格として、さらに、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、Z−Wave、Wi−Sun(Wireless Smart Utility Network)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)等を含む。通信部6は、WiFi(登録商標)により近距離無線通信を行うこともできる。近距離無線通信の規格には、IEEE802.11(IEEEは、The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略称である)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、DECT、Z−Wave、Wi−Sun等が含まれる。
状態検出部7は、携帯電子機器1状態の変化を検出することができる。状態は、例えば、第1状態における表示部2の姿勢、表示部2の回転角度等を含む。状態検出部7は、例えば、加速度センサ、方位センサ及びジャイロスコープ等を含む。加速度センサは、携帯電子機器1に働く加速度の方向及び大きさを検出できる。方位センサは、地磁気の向きを検出できる。ジャイロスコープは、携帯電子機器1の角度及び角速度を検出できる。加速度センサ、方位センサ及びジャイロスコープの検出結果は、携帯電子機器1の位置及び姿勢の変化を検出するために、組み合わせて利用してもよい。
携帯電子機器1は、表示部2が第1状態である場合、状態検出部7の検出結果に基づいて、円筒状の表示部2の中心軸に沿った回転、回転角度等を検出することができる。例えば、中心軸に沿った回転は、利用者が携帯電子機器1を装着した腕を回転させた場合等に生じる。携帯電子機器1は、第1状態である場合、検出した回転、回転角度等に基づいて、表示部2の姿勢の変化を検出することができる。
記憶部9は、プログラム及びデータを記憶できる。記憶部9は、制御部10の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用してもよい。記憶部9は、記憶媒体を含む。記憶媒体は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。記憶部9は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。記憶部9は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
記憶部9は、例えば、制御プログラム9a、時計アプリケーション9b、メールアプリケーション9c、表示領域データ9y、及び設定データ9zを記憶できる。制御プログラム9aは、携帯電子機器1を稼働させるための各種制御に関する機能を提供できる。時計アプリケーション9bは、日時等を表示するための時計機能を提供する。メールアプリケーション9cは、電子メールの作成、送信、受信および表示等のための電子メール機能を提供する。表示領域データ9yは、表示部2の表示可能領域20における表示領域に関する情報を含む。設定データ9zは、携帯電子機器1の動作に関する各種の設定に関する情報を含む。記憶部9は、接触検出部3及び状態検出部7によって検出された情報を記憶できる。
制御プログラム9aが提供する機能は、例えば、表示部2、接触検出部3、通信部6、状態検出部7等の制御を含む。制御プログラム9aが提供する機能は、例えば、利用者のジェスチャを検出する機能を含む。利用者のジェスチャについては、後述する。制御プログラム9aが提供する機能は、例えば、時計アプリケーション9b、メールアプリケーション9c等の他のプログラムが提供する機能と組み合わせて利用してもよい。
表示領域データ9yは、例えば、表示部2の表示可能領域20における表示領域の位置、領域等を示す情報を含む。表示領域データ9yは、表示可能領域20において表示領域が移動した場合に、制御部10によって更新することができる。表示領域データ9yは、表示領域が消去されると、クリアされる。
設定データ9zは、例えば、表示可能領域20において表示領域を移動可能とするか否かを示す情報を含んでもよい。携帯電子機器1は、表示領域を移動可能とすることが設定データ9zに設定されている場合、表示可能領域20において表示領域を移動させることができる。携帯電子機器1は、表示領域を移動不能とすることが設定データ9zに設定されている場合、表示可能領域20の全面または所定の一部を表示領域とすることができる。設定データ9zは、例えば、表示領域のサイズを示す情報を含んでもよい。
制御部10は、演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−Chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含むが、これらに限定されない。SoCは、表示部2、通信部6等の他の構成要素が統合されていてもよい。制御部10は、携帯電子機器1の動作を各種デバイスと協働して統括的に制御できる。各種の機能は、制御部10の制御に基づいて実現される。
具体的には、制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行できる。制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照できる。制御部10は、データ及び命令に応じて機能部を制御する。制御部10は、機能部を制御することによって、各種機能を実現する。機能部は、例えば、表示部2及び通信部6を含むが、これらに限定されない。制御部10は、検出部の検出結果に応じて、制御を変更することができる。検出部は、例えば、接触検出部3及び状態検出部7を含むが、これらに限定されない。
携帯電子機器1の表示部2における表示領域の一例について説明する。図3は、携帯電子機器1の第2状態での表示部2における表示可能領域20の一例を示す図である。図4は、携帯電子機器1の第2状態での表示部2における表示領域の一例を示す図である。図5は、携帯電子機器1の第2状態での表示部2における全てが非表示領域である場合を示す図である。
図3に示す例では、表示部2は、表示可能領域20の全面が接触検出部3に覆われている。表示可能領域20は、複数の分割領域21−1〜21−mを有する。mは、自然数である。複数の分割領域21−1〜21−mは、表示可能領域20を同一のサイズで分割した領域とすることができる。以下の説明では、複数の分割領域21−1〜21−mを区別しない場合、分割領域21と記載する。
携帯電子機器1は、表示部2の表示可能領域20の全面を表示させることができる。携帯電子機器1は、複数の分割領域21−1〜21−mのうち、一部の分割領域21を、1つの表示領域22とすることができる。一部の分割領域21は、1つまたはmより小さな数の分割領域21とすることができる。一部の分割領域21は、例えば、利用者が指定した位置に基づいて規定される。表示領域22は、所定の画像を表示することができる。所定の画像は、例えば、特定のアプリケーションに関する情報を示す画像を含む。特定のアプリケーションは、例えば、時計、メール、スケジュール及び健康管理等のアプリケーションを含む。所定の画像は、例えば、利用者が予め設定したアプリケーションに関する情報を示す画像とすることができる。所定の画像は、例えば、利用者の認証を行うための画像とすることができる。
図4に示す例では、携帯電子機器1は、3つの分割領域21−8、21−9及び21−10を1つの表示領域22としている。携帯電子機器1は、表示可能領域20における表示領域22以外の領域を非表示領域23としている。非表示領域23は、例えば、当該非表示領域23のバックライト等を駆動させない場合を含んでもよい。非表示領域23は、例えば、当該非表示領域23を所定の画像等でマスクする場合を含んでもよい。所定の画像は、例えば、腕時計のベルト、壁紙等を示す画像を含んでもよい。
例えば、利用者が所定時間にわたって利用しない場合、電源オフの操作を受け付けた場合等に、携帯電子機器1は、表示可能領域20の全てを非表示領域23とすることができる。図5に示す例では、携帯電子機器1は、表示可能領域20の全てを非表示領域23としているが、これに限定されない。例えば、携帯電子機器1は、表示領域22を狭め、非表示領域23を広げるようにしてもよい。
携帯電子機器1により実行される表示部2の表示制御の一例について説明する。図6は、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の一例を示す図である。
図6に示すステップS11では、利用者は、表示部2を略円筒形状に変形させた携帯電子機器1を手首に装着している。利用者は、手の甲を上に向けた状態を維持している。携帯電子機器1は、ステップS11として、第1状態の表示部2の全面を非表示領域23とした状態で、接触検出部3によって表示部2に対する接触を監視することができる。
ステップS12では、利用者は、手の甲を上に向けた状態を維持したまま、他の手の指Fで表示領域22としたい表示部2の表面の位置をタッチしている。このとき、利用者の指Fは、第1状態の表示部2の周方向における一方を指している。
携帯電子機器1は、ステップS12として、接触検出部3を介して表示部2に対するタッチジェスチャを検出できる。携帯電子機器1は、接触検出部3の検出結果に基づいて、表示部2に対する接触位置を特定できると、当該接触位置の近傍を表示領域22として決定できる。例えば、図4に示すように、検出した接触位置が分割領域21−9であった場合、携帯電子機器1は、分割領域21−9に隣接する分割領域21−8〜21−10を表示領域22としてもよい。携帯電子機器1は、表示領域22以外の分割領域21を非表示領域23としてもよい。
図6に示す例では、携帯電子機器1は、表示部2の接触位置に対応した分割領域21とその両側の分割領域21を含む領域を表示領域22とする場合について説明するが、これに限定されない。表示領域22の決定方法は、例えば、表示部2の接触位置に対応した分割領域21を先頭として表示領域22を決定する方法を含む。表示領域22の決定方法は、例えば、表示部2の接触位置に対応した分割領域21のみを表示領域22とする方法を含む。表示領域22の決定方法は、例えば、表示可能領域20における位置に応じて表示領域22の大きさが異なるように表示領域22を決定する方法を含む。
携帯電子機器1は、接触検出部3の検出結果に基づいて、接触物の形状を解析できる。接触物の形状が指先のパターンと一致している場合、携帯電子機器1は、接触物の形状に基づいて指先の向きを推定できる。ステップS12に示す例では、利用者の指先は、第1状態の表示部2における周方向20Cの一方向を指示している。この場合、携帯電子機器1は、指先が指示している周方向20Cの一方向を、表示領域22の上方向と決定できる。なお、携帯電子機器1は、指先の向きを推定しない、あるいは指先の向きを推定できない場合、予め定められた方向を表示領域22の上方向とすることができる。
携帯電子機器1は、ステップS13として、表示部2において決定した表示領域22に所定の画像を表示させ、表示領域22以外を非表示領域23とすることができる。図6に示す例では、所定の画像が時刻を示す画像である場合について説明するが、これに限定されない。例えば、所定の画像は、ログイン画面、メール画面等を示す画像としてもよい。
ステップS13では、利用者は、指Fでタッチした表示部2の部位の近傍が表示領域22となり、表示領域22以外が非表示領域23となっていることを視認している。利用者は、表示部2の表示領域22に表示された時刻を示す画像を視認している。この場合、利用者は、表示領域22とは反対側の表示部2の部分を視認できない。
上述したステップS11において、利用者は、手の甲を上に向けた状態から手首を返す動作を行っている。携帯電子機器1は、ステップS11として、第1状態の表示部2の全面を非表示領域23とした状態で、接触検出部3によって表示部2に対する接触を監視することができる。
ステップS14において、利用者は、第1状態の表示部2の表示可能領域20において、ステップS11で視認できなかった領域の視認が可能となり、視認できていた領域の視認が不能となっている。利用者は、手首を返した状態を維持したまま、他の手の指Fで表示領域22としたい表示部2の表面の位置をタッチしている。このとき、利用者の指Fは、第1状態の表示部2の周方向20Cにおける一方を指している。
携帯電子機器1は、ステップS14として、接触検出部3を介して表示部2に対するタッチジェスチャを検出できる。携帯電子機器1は、接触検出部3の検出結果に基づいて、表示部2に対する接触位置を特定できると、当該接触位置の近傍を表示領域22として決定できる。例えば、検出した接触位置が図3に示す分割領域21−mであった場合、携帯電子機器1は、分割領域21−mに隣接する分割領域21−m−1〜m+1を表示領域22とし、それ以外の分割領域21を非表示領域23とすることができる。
携帯電子機器1は、ステップS15として、表示部2において決定した表示領域22に所定の画像を表示させ、表示領域22以外を非表示領域23とすることができる。ステップS15では、利用者は、指Fでタッチした表示部2の部位の近傍が表示領域22となり、表示領域22以外が非表示領域23となっていることを視認している。利用者は、表示部2の表示領域22に表示された時刻を示す画像を視認している。
携帯電子機器1は、利用者の手首を周回する表示部2の表示可能領域20において、接触物の接触を検出した接触位置の近傍にのみ表示領域22を表示させることができる。携帯電子機器1は、表示部2において、表示領域22以外を非表示領域23とすることができる。携帯電子機器1は、利用者が視認し易くかつ他人は視認し難い表示部2の位置を表示領域22とすることができる。携帯電子機器1は、利用者が視認できない表示部2の領域を非表示領域23とすることで、電力消費を抑制することができる。利用者は、表示部2の表示可能領域20において、表示領域22を表示させたい位置をタッチすればよいので、携帯電子機器1を装着する向き、状態等を意識する必要がない。利用者は、表示部2において視認が可能な部分のみを表示領域22とすることができる。また、利用者は、表示領域22を他人に参照させたい場合、表示可能領域20において他人が参照し易い領域をタッチすればよい。このように、携帯電子機器1は、利便性を向上し、かつプライバシーを確保することができる。
携帯電子機器1は、表示部2に対する接触を検出した場合、接触結果に基づいて接触物を推定し、接触物が指先であった場合、当該指先の方向に基づいて表示領域22の上下方向を決定することができる。その結果、利用者は、接触させる指先の方向を変えるだけで、表示領域22の上下方向を変更することができる。利用者は、携帯電子機器1の装着方向等を意識する必要がなくなる。
図7は、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の一例を示すフローチャートである。図7を参照しながら、表示部2が第1状態における携帯電子機器1の表示制御の一例について説明する。図7に示す処理手順は、表示部2が第1状態の場合に、制御部10が制御プログラム9aを実行することによって実現される。図7に示す処理手順は、表示部2が第1状態である場合に、制御部10によって繰り返し実行される。
携帯電子機器1の制御部10は、ステップS101として、表示部2に表示領域22を表示しているか否かを判定する。例えば、制御部10は、表示領域データ9yに表示領域22の位置、向き等が設定されていない場合に、表示領域22を表示していないと判定する。制御部10は、表示部2に表示領域22を表示していると判定した場合(ステップS101でYes)、表示領域22を既に表示しているので、図7に示す処理手順を終了させる。
制御部10は、表示部2に表示領域22を表示していないと判定した場合(ステップS101でNo)、処理をステップS102に進める。制御部10は、ステップS102として、接触検出部3の検出結果を取得して記憶部9に記憶する。例えば、検出結果は、接触物の接触の有無を示す情報を含んでもよい。例えば、検出結果は、接触物の接触があった場合に、接触位置、接触領域等の情報を含んでもよい。
制御部10は、ステップS103として、取得した検出結果に基づいて、第1状態の表示部2に接触物が接触したかを判定する。例えば、制御部10は、検出結果が接触位置や接触領域を含んでいる場合に、接触物が接触したと判定する。制御部10は、表示部2に接触物が接触していないと判定した場合(ステップS103でNo)、図7に示す処理手順を終了させる。すなわち、制御部10は、表示部2の表示可能領域20の全てが非表示領域23である状態を継続させる。
制御部10は、表示部2に接触物が接触したと判定した場合(ステップS103でYes)、処理をステップS104に進める。制御部10は、ステップS104として、取得した検出結果に基づいて、表示部2の表示領域22を決定する。例えば、制御部10は、表示部2の表示可能領域20における接触物の接触位置を基準位置として、当該接触位置の近傍を含む表示領域22を決定する。制御部10は、表示可能領域20における表示領域22以外を非表示領域23と決定してもよい。
制御部10は、ステップS105として、取得した検出結果に基づいて接触物を推定する。例えば、制御部10は、検出結果の接触領域の外形が、予め記憶している指先のパターンと一致している場合、接触物は指先であると推定する。例えば、制御部10は、検出結果の接触領域の輪郭が指先の輪郭パターンと一致しない場合、物体は指先ではないと推定する。例えば、制御部10は、指先であると推定した場合、指先の輪郭パターンに基づいて指先の方向を推定することができる。
制御部10は、ステップS106として、ステップS105の推定結果に基づいて、接触物は指先であるかを判定する。制御部10は、接触物は指先であると判定した場合(ステップS106でYes)、処理をステップS107に進める。制御部10は、ステップS107として、指先の方向に基づいて表示領域22の表示方向を表示領域データ9yに設定する。表示方向は、例えば、表示領域22の上下方向、スクロール方向等を含む。例えば、制御部10は、表示領域22における指先側を上側と設定する。制御部10は、表示可能領域20における表示領域22の位置及び表示領域22における向きを表示領域データ9yに設定する。
制御部10は、ステップS108として、予め設定されたアプリケーションを実行させる。予め定められたアプリケーションの情報は、例えば、制御プログラム9a、表示領域データ9y及び設定データ9zのうちのいずれかに設定することができる。例えば、予め設定されたアプリケーションとして時計アプリケーション9bが対応付けられていた場合、制御部10は、時計アプリケーション9bを実行させる。
本実施形態では、制御部10は、予め設定されたアプリケーションを実行させる場合について説明するが、これに限定されない。予め定められたアプリケーションは、各種プログラムを含んでもよい。例えば、表示領域22に表示する画像がログイン画面である場合、制御部10は、制御プログラム9aに含まれるログインのプログラムを実行させてもよい。
制御部10は、ステップS109として、決定した表示部2の表示領域22に、設定した表示方向で所定の画像を表示させる。所定の画像は、例えば、ステップS108で実行したアプリケーションの画面等を示す画像を含む。例えば、制御部10は、表示部2に対して表示領域22を指定して、当該領域に対する所定の画像の表示を要求する。その結果、表示部2は、表示可能領域20における表示領域22に所定の画像を表示し、表示領域22以外を非表示領域23とする。制御部10は、表示部2に所定の画像を表示させると、図7に示す処理手順を終了させる。
制御部10は、接触物は指先ではないと判定した場合(ステップS106でNo)、処理をステップS110に進める。制御部10は、ステップS110として、予め設定された方向を表示領域22の表示方向として設定する。制御部10は、既に説明したステップS108及びステップS109を実行する。例えば、制御部10は、表示部2に表示領域22を表示させると、当該表示領域22の位置、領域等を示す情報を表示領域データ9yに設定してもよい。制御部10は、表示部2に所定の画像を表示させると、図7に示す処理手順を終了させる。
図8A及び図8Bは、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の一例を示す図である。図8A及び図8Bを参照しながら、第1状態の表示部2が表示領域22を表示している場合に、携帯電子機器1が実行する表示領域22の表示制御の一例について説明する。
携帯電子機器1は、図8A及び図8Bに示すステップS21として、表示可能領域20における分割領域21−9を含む表示領域22に所定の画像を表示させている。携帯電子機器1は、表示部2における表示領域22以外を非表示領域23としている。例えば、ステップS21では、利用者は、携帯電子機器1を装着した状態で、回転方向Rに手首を返している。その結果、携帯電子機器1は、手首の回転に応じて、円筒状の表示部2の中心軸Cに沿って回転方向Rに回転している。
例えば、携帯電子機器1は、ステップS22に示すように、表示部22の基準線24(例えば、表示部2の長手方向における一端2aと他端2bとの連結部分等)が角度θ分だけ回転方向Rに移動している。携帯電子機器1は、ステップS22として、状態検出部7の検出結果に基づいて自機が角度θ分だけ回転したことを検出できると、表示領域22を当該角度θ分だけ回転方向Rに移動させる。例えば、表示可能領域20において基準線24を角度θ分だけ回転された回転先が分割領域21−12であった場合、携帯電子機器1は、分割領域21−12を含む表示領域22を移動先の表示領域22としてもよい。携帯電子機器1は、移動先の表示領域22を決定できると、当該移動先の表示領域22に所定の画像を表示させる。表示領域22の移動方法は、例えば、回転に応じて表示領域22を移動させてもよいし、あるいは、回転が終了した後に表示領域22を移動させてもよい。
携帯電子機器1は、第1状態で表示領域22を表示部2に表示している場合、中心軸Cに沿った回転を検出できると、回転させた角度に応じて表示領域22を移動させることができる。例えば、利用者は、表示領域22を表示している携帯電子機器1を誤って回転させてしまう場合がある。例えば、利用者は、長時間にわたる携帯電子機器1の利用中に、携帯電子機器1を装着している腕の角度を変化させる場合がある。携帯電子機器1は、自機の回転を検出できた場合に、利用者から視認し易い位置に表示領域22を移動させることができる。その結果、携帯電子機器1は、利用者の視認性が低下すること、及び表示領域22が他人に視認されることを抑制することができる。
図9は、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の一例を示すフローチャートである。図9を参照しながら、表示部2に表示領域22を表示している場合における携帯電子機器1の制御の一例について説明する。図9に示す処理手順は、制御部10が制御プログラム9aを実行することによって実現される。図9に示す処理手順は、表示部2が第1状態である場合に、制御部10によって繰り返し実行される。
携帯電子機器1の制御部10は、ステップS201として、表示部2に表示領域22を表示しているか否かを判定する。例えば、制御部10は、表示領域データ9yに表示領域22の位置、向き等が設定されている場合に、表示領域22を表示していると判定する。制御部10は、表示部2に表示領域22を表示していないと判定した場合(ステップS201でNo)、図9に示す処理手順を終了させる。
制御部10は、表示部2に表示領域22を表示していると判定した場合(ステップS201でYes)、処理をステップS202に進める。制御部10は、ステップS202として、状態検出部7の検出結果を取得して記憶部9に記憶する。例えば、検出結果は、表示部2の姿勢、回転角度等に関する情報を含む。
制御部10は、ステップS203として、取得した検出結果に基づいて、表示部2の中心軸Cに沿った回転を検出したかを判定する、例えば、制御部10は、検出結果に回転角度が含まれている場合に、回転を検出したと判定する。制御部10は、回転を検出していないと判定した場合(ステップS203でNo)、自機が利用者によって回転されていないので、図9に示す処理手順を終了させる。
制御部10は、回転を検出したと判定した場合(ステップS203でYes)、処理をステップS204に進める。制御部10は、ステップS204として、取得した検出結果に基づいて、利用者が回転させた角度θを特定して記憶部9に記憶する。
制御部10は、ステップS205として、回転させた角度に応じて表示部2の表示領域22を移動させる。例えば、制御部10は、回転させた角度θ分だけ回転方向Rに回転させた場合の表示可能領域20における新たな表示領域22を特定し、当該新たな表示領域22に対する所定の画像の表示を要求する。その結果、表示部2は、表示可能領域20における新たな表示領域22に所定の画像を表示し、新たな表示領域22以外を非表示領域23とする。制御部10は、表示部2に所定の画像を表示させると、図9に示す処理手順を終了させる。
図10は、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の他の一例を示す図である。図10を参照しながら、第1状態の表示部2が表示領域22を表示している場合に、携帯電子機器1が実行する表示領域22の表示制御の他の一例について説明する。
記憶部9の設定データ9zは、表示部2が回転された角度に応じて移動した表示領域22の画像を他の画像に変更する機能を有効とするか否かを示す情報を含んでもよい。設定データ9zは、例えば、表示部2が回転された角度の範囲と、変更する画像のアプリケーションとを紐付ける情報を含んでもよい。例えば、設定データ9zは、表示部2の回転に対応した角度と、時計アプリケーション9bとを紐付ける情報を含んでもよい。設定データ9zは、例えば、表示している画像に対応したアプリケーションと、表示部2が回転された角度の範囲と、変更する画像に対応したアプリケーションとを紐付ける情報を含んでもよい。
図10に示す例では、設定データ9zには、表示部2が回転された角度に応じて移動した表示領域22の画像を他の画像に変更する機能を有効とする情報が設定されている。設定データ9zには、メールアプリケーション9cに対応した画像を表示領域22に表示している場合に、所定の回転角度とメールアプリケーション9cとを紐付ける情報を有している。
図10に示すステップS31では、利用者は、表示部2を略円筒形状に変形させた携帯電子機器1を手首に装着している。利用者は、手の甲を上に向けた状態の手首を回転方向Rに回転させている。携帯電子機器1は、ステップS31として、第1状態の表示部2の一部を表示領域22とし、表示領域22以外を非表示領域23としている。携帯電子機器1は、メールアプリケーション9cに対応した画像G1を、表示部2の表示領域22に表示している。画像G1は、例えば、受信したメールを表示する画像を含む。
携帯電子機器1は、ステップS32として、状態検出部7の検出結果に基づいて、利用者による自機の回転を検出できると、当該回転した角度を特定できる。携帯電子機器1は、設定データ9zと特定した角度とに基づいて、回転した角度に対応したアプリケーションが時計アプリケーション9bであると特定できる。図10に示す例では、特定できた時計アプリケーション9bは、表示している画像に対応したメールアプリケーション9cと異なっている。この場合、携帯電子機器1は、回転させた角度に応じて表示部2の表示領域22を移動させ、当該表示領域22以外を非表示領域23とすることができる。携帯電子機器1は、メールアプリケーション9cに対応した画像G1から時計アプリケーション9bに対応した画像G2へ、当該表示領域22として表示する画像を変更できる。
ステップS32では、利用者は、表示部2において表示領域22が移動されたことを認識している。利用者は、メールアプリケーション9cに対応した画像G1から、時計アプリケーション9bに対応した画像G2に、表示領域22の画像が変化したことを認識している。
携帯電子機器1は、自機の回転を検出できると、回転させた角度に応じて表示領域22を移動させるとともに、回転させた角度に対応する位置の画像へ表示を変更することができる。利用者は、自機を回転させるジェスチャ動作によって表示領域22の表示内容を切り替えることができる。利用者は、簡単なジェスチャ動作により、一時的に確認したい情報等を表示領域22に表示させることができる。その結果、携帯電子機器1は、操作性を向上させることができる。
例えば、携帯電子機器1は、自機における一方向への回転に応じて画像を変更した後、他方向への回転を検出できると、移動させた表示領域22に変更前の画像を表示させてもよい。例えば、携帯電子機器1は、自機における一方向への回転に応じて画像を変更した後、所定の操作を検出できると、表示領域22に変更前の画像を表示させてもよい。所定の操作は、例えば、表示部2に対する予め定められたジェスチャを含む。
図11は、携帯電子機器1の第1状態における表示制御の他の一例を示すフローチャートである。図11を参照しながら、表示部2に表示領域22を表示している場合における携帯電子機器1の制御の他の一例について説明する。図11に示す処理手順は、制御部10が制御プログラム9aを実行することによって実現される。図11に示す処理手順は、表示部2が第1状態である場合に、制御部10によって繰り返し実行される。
図11に示す例では、ステップS201からステップS205の処理は、図9に示すステップS201からステップS205の処理と同一であるため、異なる部分のみを説明し、同一部分の説明は省略する。
図11に示すように、携帯電子機器1の制御部10は、既に説明したステップS205の処理が終了すると、処理をステップS206に進める。制御部10は、ステップS206として、回転させた角度に対応するアプリケーションを特定する。例えば、制御部10は、回転させた角度と設定データ9zとを比較し、回転させた角度に紐付けられたアプリケーションを特定する。
制御部10は、ステップS207として、特定したアプリケーションと表示領域22に表示している画像に対応したアプリケーションとが異なるアプリケーションであるかを判定する。制御部10は、異なるアプリケーションではないと判定した場合(ステップS207でNo)、同じアプリケーションであるので、処理をステップS208に進める。制御部10は、ステップS208として、移動させた表示領域22に表示している画像の表示を継続させる。制御部10は、処理が終了すると、図11に示す処理手順を終了させる。
制御部10は、異なるアプリケーションであると判定した場合(ステップS207でYes)、処理をステップS209に進める。制御部10は、ステップS209として、回転させた角度に対応するアプリケーションを実行させる。例えば、制御部10は、回転させた角度に対応するアプリケーションを既に実行させている場合、当該アプリケーションの実行を継続させてもよい。例えば、制御部10は、回転させた角度に対応するアプリケーションを既に実行させている場合、ステップS209の処理を実行しなくてもよい。
制御部10は、ステップS210として、回転させた角度に対応するアプリケーションの画像に表示領域22の表示を変更させる。例えば、制御部10は、移動させた表示領域22に対する新たな画像の表示を要求する。その結果、表示部2は、移動させた表示領域22に新たな画像を表示し、表示領域22以外を非表示領域23とする。制御部10は、表示領域22の表示を変更させると、図11に示す処理手順を終了させる。
図11に示す処理手順では、制御部10は、表示領域22を移動させた後に、当該表示領域22の表示を変更させる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10は、回転の検出に応じて表示領域22の表示を変更した後に、当該表示領域22を移動させてもよい。
本出願の開示する実施形態は、本出願の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。さらに、本出願の開示する実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
例えば、図1に示した各ブロックは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のブロックと結合されていてもよい。
上記の実施形態では、携帯電子機器1は、利用者の手首等の装着部に装着された場合について説明したが、これに限定されない。携帯電子機器1は、利用者の装着部に装着されずに、円筒状の第1状態となった場合に、上述した処理を実行してもよい。
上記の実施形態では、携帯電子機器1は、表示部2の一方の主面を表示面とする場合について説明したが、これに限定されない。例えば、携帯電子機器1は、表示部2の両面を表示可能な構成としてもよい。この場合、携帯電子機器1は、表示部2の両面に接触検出部3を積層してもよい。例えば、携帯電子機器1は、表示部2の両面に設けた接触検出部3を用いて、接触物との接触面積が小さい側を表示部2の表示面として機能させるようにしてもよい。
上記の携帯電子機器1は、図2に示すように、利用者の手首等に装着されていない第2状態である場合、表示部2を全画面表示させてもよい。携帯電子機器1は、第2状態である場合、第1状態と同様に、表示部2の一部を表示領域22とし、当該表示領域22以外を非表示領域23としてもよい。携帯電子機器1は、第2状態における表示部2の表示態様を、利用者が設定可能としてもよい。
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。