JP2017095661A - エチレン系重合体組成物及びその用途 - Google Patents

エチレン系重合体組成物及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】成形加工しやすく、成形物とした場合に優れた耐ブロッキング性を示し、ヒートシール材として用いた場合の接着強度が高く、かつ、剥離時には剥離(密封後に開封)しやすいエチレン系重合体組成物を提供する。
【解決手段】極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、A−B−A型ブロック共重合体(A:ポリスチレンブロック、B:アルキレン共重合体ブロック)1質量部〜40質量部と、粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計=100質量部)、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物である。
【選択図】なし

Description

本開示は、エチレン系重合体組成物、及びエチレン系重合体組成物からなる易開封性シール材料に関する。
各種の飲食品や医薬品の容器として、易開封性蓋材を備えたプラスチック容器が広く使用されている。このような蓋材のシール層に用いられる易開封性シール材は、ヒートシール温度の温度幅が広く、安定したシール強度が得られるとともに容易に開封できることが求められている。容器の材質やその大きさ等によって、要求されるシール強度が異なっているため、従来種々の易開封性シール材料が提案され、また使用されてきた。
従来、容器材料としてポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどが広く使用されてきたため、これら材料の容器に適した易開封性材料はすでに多くのものが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特公平05−6513号公報 特開平02−185547号公報
ところが、近年、高透明容器として注目されている非晶性ポリエステル容器に対しては、実用上、優れた易開封性を示す材料が見出されていない。
従来より提案されている易開封性シール材料の中には、非晶性ポリエステルに対して、ヒートシール温度幅が広く、かつ、適度のシール強度を示すものは数多くあるが、実際には十分なシール強度が得られていない。すなわち、非晶性ポリエステルの容器のシール面は、シール時又はその他の熱履歴によって結晶化することがあり、結晶化を引き起こした際には、従来より提案されている易開封性シール材料ではシール強度が大幅に低下することが判明した。また、シール材料成形時に離ロール性が悪く、ブロッキング性に対する課題も判明した。そのため、シール強度にバラツキを生じたり、あるいは輸送や保存時の密着性に不安を残す結果となっていた。
この点は、非晶性ポリエステル以外の樹脂が結晶化する場合も同様に懸念される。
一方、耐熱性、強度等に優れ、包装用基材や成形容器として使用されている延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)や、耐熱性に優れ、電子レンジ用容器などに使用されている結晶性ポリエチレンテレフタレート(C−PET)、耐熱性、ガスバリアー性に優れ、セミレトルト食品などに使用されるポリエチレンナフタレート、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等、ガスバリアー性に優れ、味噌容器などに使用されるアクリロニトリル系重合体などについては、低軟化点のホットメルト接着剤以外には、優れた易開封性シール材料が提供されていないのが現状である。
上記の状況を踏まえ、本開示は、成形加工しやすく、成形物とした場合に優れた耐ブロッキング性を示し、ヒートシール材として用いた場合の接着強度(特に非晶性ポリエステルに対する接着強度)が高く、かつ、剥離時には剥離(密封後に開封)しやすいエチレン系重合体組成物及び易開封性シール材料を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明者は、ポリエステル、アクリロニトリル系重合体、スチレン系重合体、ポリ塩化ビニルなどの樹脂に対するシール材料として好適であり、前記樹脂に対してヒートシール温度幅が広く、かつ、適度なシール強度(即ち、シール状態に必要なシール強度と剥離時に剥離しやすいシール強度とを有していること)を示し、たとえ樹脂(例えば非晶性ポリエステル)が結晶化しても、結晶化前と同様のシール特性を示し、成形性、耐ブロッキング性に優れたシール材料について検討を行った。
その結果、下記エチレン系重合体組成物が、このような特性を有していることを見出し、本発明を完成した。
課題を達成するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(「MFR」と略記することがある(以下同様)、JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、
A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)1質量部〜40質量部と、
粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、
を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計を100質量部とする)、
メルトフローレート(MFR、JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物である。
<2> 前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である前記<1>に記載のエチレン系重合体組成物である。
<3> 前記粘着付与樹脂が、炭化水素樹脂である前記<1>又は前記<2>に記載のエチレン系重合体組成物である。
<4> 前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のエチレン系重合体組成物からなる易開封性シール材料である。
<5> ポリエステル、アクリロニトリル系重合体、スチレン系重合体、及びポリ塩化ビニルから選ばれる樹脂を含む被着体に用いられる前記<4>に記載の易開封性シール材料である。
<6> 基材に積層して用いられる前記<4>又は前記<5>に記載の易開封性シール材料である。
本開示によれば、成形加工しやすく、成形物とした場合に優れた耐ブロッキング性を示し、ヒートシール材として用いた場合の接着強度(特に非晶性ポリエステルに対する接着強度)が高く、かつ、剥離時には剥離(密封後に開封)しやすいエチレン系重合体組成物及び易開封性シール材料が提供される。
以下、本開示のエチレン系重合体組成物及びこれを用いた易開封性シール材料について、詳細に説明する。
<エチレン系重合体組成物>
エチレン系重合体組成物は、少なくとも下記の、成分(1)40質量部〜95質量部と、成分(2)1質量部〜40質量部と、成分(3)3質量部〜25質量部と、を含み、MFR(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)を20g/10分以下として構成されている。
(1)極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、MFR(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体
(2)A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)
(3)粘着付与樹脂
なお、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計は100質量部である。
本開示のエチレン系重合体組成物では、特に、上記の成分(1)〜(3)を含み、成分(1)であるエチレン・極性モノマー共重合体のMFRを1g/10分〜7g/10分の範囲とし、かつ、該成分(1)を構成する極性モノマーに由来の構成単位の含有比率を7質量%〜18質量%の範囲とし、エチレン系重合体組成物自体のMFRを20g/10分以下に抑えることで、成形加工しやすく、成形物とした場合に優れた耐ブロッキング性を示し、ヒートシール材として用いた場合の接着強度(特に非晶性ポリエステルに対する接着強度)が高く、かつ、剥離時には剥離(密封後に開封)しやすいものとなる。
−(1)エチレン・極性モノマー共重合体−
エチレン系重合体組成物は、エチレン・極性モノマー共重合体の少なくとも一種を含有する。エチレン系重合体組成物を構成する成分であるエチレン・極性モノマー共重合体は、エチレンと極性モノマーとの2元系又は多元系共重合体である。
エチレンと極性モノマーとを共重合したエチレン・極性モノマー共重合体としては、極性モノマー含量(極性モノマーに由来の構成単位の含有比率)が18質量%以下であり、15質量%以下の範囲がより好ましい。極性モノマー含量が18質量%を超えて多くなると、組成物を樹脂のヒートシール材料(例えばポリエステルのヒートシール材料)として用いた場合、樹脂(例えばポリエステル)が非晶性の場合と結晶性の場合とでシール強度に大きな差が出る傾向にあるため好ましくない。
また、極性モノマー含量(極性モノマーに由来の構成単位の含有比率)は、7質量%以上であり、好ましくは8質量%以上である。極性モノマー含有量が7質量%以上であると、ヒートシール性に優れ、ヒートシールによる接着強度と剥離時の剥離し易さ(密封後の開封し易さ)とを両立できる。
極性モノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;一酸化炭素などを例示することができる。これらの中では、酢酸ビニルが最も好ましい。
以上より、エチレン・極性モノマー共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
エチレン系重合体組成物は、種類の異なるエチレン・極性モノマー共重合体を2種以上含んでいてもよい。また、組成の異なる同種のエチレン・極性モノマー共重合体を2種以上含んでいてもよく、この場合は、含有する極性モノマーの合計量が前記範囲を満たすことが好ましい。
また、エチレン・極性モノマー共重合体は、2種以上の極性モノマーを含んでいてもよい。この場合、極性モノマーの合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体は、成形加工性、ヒートシールによる接着強度の観点から、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)を1g/10分〜7g/10分の範囲とし、中でも特に2g/10分〜7g/10分の範囲であることが好ましい。
メルトフローレートが1g/10分以上であることにより、ヒートシールによる接着強度がより良好であり、メルトフローレートが7g/10分以下であることにより、成形加工性が良好である。エチレン・極性モノマー共重合体を2種以上含む場合は、2種以上のエチレン・極性モノマー共重合体を混合した混合物が前記メルトフローレートを満たすことが好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210−1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
−A−B−A型ブロック共重合体−
エチレン系重合体組成物は、A−B−A型ブロック共重合体の少なくとも一種を含有する。A−B−A型ブロック共重合体において、Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。スチレン重合体ブロックとは、ポリスチレンの部位を指し、アルキレン共重合体ブロックとは、2以上のアルケンが共重合したアルキレン共重合体の部位を指す。
アルキレン共重合体ブロックの例としては、エチレン・ブテン共重合体ブロック又はエチレン・プロピレン共重合体ブロックなどが挙げられる。
このようなブロック共重合体は、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体又はポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体の、ブタジエン重合単位又はイソプレン重合体単位を水素添加することによって得られるものであり、一般に例えばSEBS又はSEPSと称されているものである。
例えば、SEBSは、スチレンとブタジエンからなるポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン ブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン)であり、SEPSは、スチレンとイソプレンからなるポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン ブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー(ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン)である。
ここで、スチレン重合体ブロックの含量としては、A−B−A型ブロック共重合体の全質量に対して、1質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは5質量%〜30質量%である。
また、A−B−A型ブロック共重合体の、230℃、2160g荷重におけるメルトフローレート(MFR)としては、0.1g/10分〜500g/10分が好ましく、より好ましくは1g/10分〜100g/10分である。
A−B−A型ブロック共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により230℃、荷重5000gにて測定した値である。
A−B−A型ブロック共重合体の具体例としては、クレイトンジャパン社製のクレイトンG1657等、旭化成ケミカルズ社製のタフテックH1221等、などを挙げることができる。
−粘着付与樹脂−
エチレン系重合体組成物は、上記したエチレン・極性モノマー共重合体及びA−B−A型ブロック共重合体に加え、粘着付与樹脂の少なくとも一種を含有する。
粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系樹脂を含む)、及びクマロン・インデン樹脂などからなる群より選ばれる炭化水素樹脂、又はテルペン樹脂が好ましく使用される。
脂肪族系炭化水素樹脂の例としては、ブテン−1、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリレンなどのC〜Cモノ又はジオレフィンを主成分とする重合体などが挙げられる。
脂環族系炭化水素樹脂の例としては、スベントC〜C留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂などが挙げられる。上市されている市販品の例として、荒川化学工業社製のアルコンAM−1(C9系水添芳香族石油樹脂)等、ヤスハラケミカルズ社製のYSレジンPX1150N等、などが挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂の例としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどのC〜C10のビニル芳香族炭化水素、スチレン、イソプロペニルトルエン等を主成分とした樹脂などが挙げられる。
テルペン系樹脂の例としては、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体、テルペン−フェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体、水素化テルペン樹脂(水添テルペン樹脂)などが挙げられる。
これらの中では、水素化芳香族炭化水素樹脂(水添石油樹脂)や水素化テルペン樹脂などの水素添加型樹脂の使用が特に好ましい。
エチレン系重合体組成物において、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の配合割合は、これらの合計量を100質量部とした場合に、エチレン・極性モノマー重合体が40質量部〜95質量部(好ましくは50質量部〜85質量部)、A−B−A型ブロック共重合体が1質量部〜40質量部(好ましくは3質量部〜30質量部)、粘着付与樹脂が3質量部〜25質量部(好ましくは3質量部〜20質量部)の範囲である。
A−B−A型ブロック共重合体の含有量が1質量部以上であると、樹脂(特に非晶性ポリエステル)が結晶化した場合にシール強度を安定的に保持しやすい。また、A−B−A型ブロック共重合体の含有量が40質量部以下であると、油性食品にも適用しやすい。
また、粘着付与樹脂の含有量が3質量部以上であると、シール強度により優れたものとなる。また、粘着付与樹脂の含有量が25質量部以下であると、組成物の耐油性や加工性の点でより適している。
−他の成分−
エチレン系重合体組成物には、上記した3種の成分(エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂)に加え、任意の添加剤を配合することができる。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などを挙げることができる。
特に組成物の加工性を向上させるためには、滑剤を配合することが望ましい。このような滑剤としては、脂肪酸アミド、高分子量ポリエチレングリコール、水添ひまし油、シリカなどを例示することができる。
滑剤の配合量は、上記3種の成分の合計量100質量部に対して、有機化合物滑剤の場合は100ppm〜10000ppm程度が効果的であり、シリカのような無機化合物滑剤の場合は0.1質量%〜3質量%程度が効果的である。滑剤の使用は、エチレン系重合体組成物を、基材に押出コーティング加工におけるフィルム同士のブロッキングや金属ロールへのスティックを防止すると共に、巻き戻し等の後工程の作業性を高めるという利点を有している。
エチレン系重合体組成物のMFR(190℃、2160g荷重)は、成形加工性、シール特性、耐ブロッキング性を考慮すると、20g/10分以下であり、特に5g/10分〜18g/10分に調整されることが望ましい。MFRが20g/10分を超えると、特に成形加工性が低下する。
エチレン系重合体組成物のMFRは、JIS K7210−1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
<易開封性シール材料>
本開示に係る易開封性シール材料は、既述の本開示に係るエチレン系重合体組成物からなるものである。
本開示に係るエチレン系重合体組成物は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル)の双方に対してヒートシール性を有しており、本開示に係るエチレン系重合体組成物は包装材料に用いられる易開封性シール材料として用いることができる。例えば非晶性ポリエステルを用いた包装材料(例えば、カップ、トレイなどの蓋材あるいはカバー材)のシール層として使用することで、密封性、易開封性に優れたシールを行うことができる。そして、たとえポリエステルが結晶化した場合でも、安定したシール強度を保持することができる。
エチレン系重合体組成物は、延伸ポリエチレンテレフタレート、結晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルや、アクリロニトリル系重合体(例えばニトリルゴムにアクリロニトリルとアクリル酸エステルをグラフト重合した、商品名BAREXとして知られているもの)、ポリスチレンやハイインパクトポリスチレンなどのスチレン系重合体、ポリ塩化ビニルなどに対しても、広い温度範囲で、適度のシール強度を示すという優れた易開封性シール特性を有している。
エチレン系重合体組成物からなる易開封性シール材料は、単層で包装材料の用途に使用することができ、エチレン系重合体組成物をヒートシール層として基材に積層して使用することができる。
このような基材としては、延伸あるいは無延伸のフィルムであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、紙、アルミ箔、アルミニウム、シリカ、アルミナなどを蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどのガスバリアー材をコーティングしたフィルムなどを例示することができる。これら基材は単層であってもよく、2層以上の積層品であってもよい。
基材が2層以上の積層品である場合、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン系重合体と他の基材とからなる積層基材が好ましく、ポリオレフィン系重合体側に既述のエチレン系重合体組成物を積層することで、各種の積層基材の表面にヒートシール層を容易に形成することができる。
エチレン系重合体組成物と基材との積層は、ポリオレフィン系重合体とエチレン系重合体組成物とを基材へ連続的に押出ラミネートするタンデム押出ラミネート法、基材を構成する樹脂とエチレン系重合体組成物とを共押出ラミネートする方法、基材及びエチレン系重合体組成物フィルム間へのポリオレフィン系重合体のサンドイッチ押出ラミネート法等の公知の方法により行うことができる。
なお、基材とポリオレフィン系重合体との積層に当たっては、必要に応じて、接着剤を使用することが有効である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、エチレン・極性モノマー共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により190℃、荷重2160gにて測定した値である。また、A−B−A型ブロック共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により230℃、荷重5000gにて測定した値である。
[原材料]
以下に示す実施例及び比較例に用いたエチレン系重合体組成物調製用の樹脂の組成、物性は、以下の通りである。なお、エチレン・極性モノマー共重合体における酢酸ビニル単位含有量は、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーに由来の構成単位の含有比率である。
−エチレン・極性モノマー共重合体−
・EVA1:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:90質量%、酢酸ビニル単位含有量:10質量%、MFR(190℃,2160g荷重)9g/10分)
・EVA2:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:90質量%、酢酸ビニル単位含有量:10質量%、MFR(190℃,2160g荷重)3g/10分)
・EVA3:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:86質量%、酢酸ビニル単位含有量:14質量%、MFR(190℃,2160g荷重)3g/10分)
・EVA4:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:86質量%、酢酸ビニル単位含有量:14質量%、MFR(190℃,2160g荷重)15g/10分)
・EVA5:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:81質量%、酢酸ビニル単位含有量:19質量%、MFR(190℃,2160g荷重)2.5g/10分)
−A−B−A型ブロック共重合体−
・クレイトンG1657(SEBS,クレイトンジャパン社製)
(MFR(230℃,5000g荷重)22g/10分、密度900kg/m
−粘着付与樹脂−
・アルコンAM−1(環球法軟化点115℃の脂環族炭化水素樹脂)、荒川化学工業社製
−その他−
・ニュートロン−S(エルカ酸アミド,以下、ELAと略記する)、日本精化社製
・ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記する)、日本油脂社製
(実施例1〜3及び比較例1〜2)
樹脂を表1に示す配合割合で仕込み量が10kgとなるように混合し、押出機(65mmφ、L/D=28、先端ダルメージフライトスクリュー)に投入し、加工温度160℃にて溶融混練することにより樹脂組成物(エチレン系重合体組成物)を調製した。得られた樹脂組成物に対して、以下の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
(評価)
−離ロール性−
予めポリエチレンテレフタレート(PET,12μm)/ポリエチレン(PE,15μm)の積層構造を有する基材を用意した。この基材のPET上に、上記のようにして得られた樹脂組成物を、押出ラミネート法(加工温度230℃、加工速度30m/分)により30μm厚で積層し、樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造を有する積層体を得た。この際、冷却ロールからの剥離性を以下の基準にしたがって評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:剥離性が特に良く、冷却ロールからの剥離音がほとんどない。
B:剥離性が良く、冷却ロールからの剥離音はあるものの加工に問題はない。
C:剥離性が悪く、冷却ロールから剥離する際に剥離不良が生じて加工に支障を来たす。
−接着強度(非晶性ポリエステルに対するヒートシール性)−
上記の「離ロール性」の評価で得られた積層体を用い、積層体と市販の厚さ0.4mmの非晶性ポリエステルシートとを、積層体の樹脂組成物層が非晶性ポリエステルシートに接するようにして重ね、押圧力0.2MPa、加熱温度120℃、加熱時間1.0秒の条件でヒートシールし、接着物を得た。この接着物は、非晶性ポリエステルシート/樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造を有している。
ヒートシールの後、室温で24時間放置した。
放置後、接着物から15mm幅の試験片を切り出し、切り出した試験片の両面を互いに反対の方向(180℃の剥離方向)に引っ張り、シール部を引き剥がす際の最大応力を求めた。この最大応力(N/15mm)を、樹脂組成物の対非晶性ポリエステル樹脂接着強度(N/15mm)とした。
また、加熱温度を120℃から140℃、160℃に変更し、同様の方法でヒートシール後の接着物の接着強度を評価した。
測定結果は下記表1に示す。ヒートシールによる接着性と、ヒートシール後に剥離する際の易剥離性と、を両立させるには、接着強度は10N/15mm〜15N/15mmの範囲が好ましい。
−耐ブロッキング強度−
上記の「離ロール性」の評価で得られた積層体(樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造)から幅50mmのサンプル6枚を切り出して順に重ね、一定条件(20kgf/cmの荷重、40℃雰囲気)下、2日間エージングした。その後、6枚のサンプルの各サンプル間の剥離強度をVangard社の測定機VG−35にて測定した。得られた剥離強度(g/50mm)を耐ブロッキング強度とした。測定された剥離強度(耐ブロッキング強度)を下記表1に示す。耐ブロッキング強度は、10g/50mm未満が好ましい。
表1に示すように、実施例では、離ロール性及び接着強度に優れ、耐ブロッキング性も良好であった。これに対して、エチレン・極性モノマー共重合体のMFRが7g/10分を超えて大きい比較例1では、離ロール性に劣り、極性モノマー由来の構成単位の含有比率が多過ぎる比較例2では、接着強度及び耐ブロッキング性が著しく低下した。
本開示のエチレン系重合体組成物は、既述のような特性を生かし、非晶性ポリエステルの種々の包装体の蓋材あるいはカバー材として有用である。また、本開示のエチレン系重合体組成物は、その他の各種ポリエステル材料、アクリロニトリル系重合体、スチレン系重合体、ポリ塩化ビニルなどの易開封性シール材料として使用することができる。更に、本開示のエチレン系重合体組成物は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチル−1−ペンテンなどのポリオレフィン、ポリカーボネートなどのシール材料としても使用することができる。

Claims (6)

  1. 極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、
    A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)1質量部〜40質量部と、
    粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、
    を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計を100質量部とする)、
    メルトフローレート(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物。
  2. 前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である請求項1に記載のエチレン系重合体組成物。
  3. 前記粘着付与樹脂が、炭化水素樹脂である請求項1又は請求項2に記載のエチレン系重合体組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエチレン系重合体組成物からなる易開封性シール材料。
  5. ポリエステル、アクリロニトリル系重合体、スチレン系重合体、及びポリ塩化ビニルから選ばれる樹脂を含む被着体に用いられる請求項4に記載の易開封性シール材料。
  6. 基材に積層して用いられる請求項4又は請求項5に記載の易開封性シール材料。
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