JP2017095661A - エチレン系重合体組成物及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、A−B−A型ブロック共重合体(A:ポリスチレンブロック、B:アルキレン共重合体ブロック)1質量部〜40質量部と、粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計=100質量部)、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物である。
【選択図】なし
Description
従来より提案されている易開封性シール材料の中には、非晶性ポリエステルに対して、ヒートシール温度幅が広く、かつ、適度のシール強度を示すものは数多くあるが、実際には十分なシール強度が得られていない。すなわち、非晶性ポリエステルの容器のシール面は、シール時又はその他の熱履歴によって結晶化することがあり、結晶化を引き起こした際には、従来より提案されている易開封性シール材料ではシール強度が大幅に低下することが判明した。また、シール材料成形時に離ロール性が悪く、ブロッキング性に対する課題も判明した。そのため、シール強度にバラツキを生じたり、あるいは輸送や保存時の密着性に不安を残す結果となっていた。
この点は、非晶性ポリエステル以外の樹脂が結晶化する場合も同様に懸念される。
その結果、下記エチレン系重合体組成物が、このような特性を有していることを見出し、本発明を完成した。
<1> 極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(「MFR」と略記することがある(以下同様)、JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、
A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)1質量部〜40質量部と、
粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、
を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計を100質量部とする)、
メルトフローレート(MFR、JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物である。
エチレン系重合体組成物は、少なくとも下記の、成分(1)40質量部〜95質量部と、成分(2)1質量部〜40質量部と、成分(3)3質量部〜25質量部と、を含み、MFR(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)を20g/10分以下として構成されている。
(1)極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、MFR(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体
(2)A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)
(3)粘着付与樹脂
なお、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計は100質量部である。
エチレン系重合体組成物は、エチレン・極性モノマー共重合体の少なくとも一種を含有する。エチレン系重合体組成物を構成する成分であるエチレン・極性モノマー共重合体は、エチレンと極性モノマーとの2元系又は多元系共重合体である。
また、極性モノマー含量(極性モノマーに由来の構成単位の含有比率)は、7質量%以上であり、好ましくは8質量%以上である。極性モノマー含有量が7質量%以上であると、ヒートシール性に優れ、ヒートシールによる接着強度と剥離時の剥離し易さ(密封後の開封し易さ)とを両立できる。
以上より、エチレン・極性モノマー共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましい。
また、エチレン・極性モノマー共重合体は、2種以上の極性モノマーを含んでいてもよい。この場合、極性モノマーの合計量が上記範囲を満たすことが好ましい。
メルトフローレートが1g/10分以上であることにより、ヒートシールによる接着強度がより良好であり、メルトフローレートが7g/10分以下であることにより、成形加工性が良好である。エチレン・極性モノマー共重合体を2種以上含む場合は、2種以上のエチレン・極性モノマー共重合体を混合した混合物が前記メルトフローレートを満たすことが好ましい。
エチレン・極性モノマー共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210−1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
エチレン系重合体組成物は、A−B−A型ブロック共重合体の少なくとも一種を含有する。A−B−A型ブロック共重合体において、Aはスチレン重合体ブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。スチレン重合体ブロックとは、ポリスチレンの部位を指し、アルキレン共重合体ブロックとは、2以上のアルケンが共重合したアルキレン共重合体の部位を指す。
アルキレン共重合体ブロックの例としては、エチレン・ブテン共重合体ブロック又はエチレン・プロピレン共重合体ブロックなどが挙げられる。
このようなブロック共重合体は、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体又はポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体の、ブタジエン重合単位又はイソプレン重合体単位を水素添加することによって得られるものであり、一般に例えばSEBS又はSEPSと称されているものである。
例えば、SEBSは、スチレンとブタジエンからなるポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン ブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン)であり、SEPSは、スチレンとイソプレンからなるポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン ブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー(ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン)である。
A−B−A型ブロック共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により230℃、荷重5000gにて測定した値である。
エチレン系重合体組成物は、上記したエチレン・極性モノマー共重合体及びA−B−A型ブロック共重合体に加え、粘着付与樹脂の少なくとも一種を含有する。
粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系樹脂を含む)、及びクマロン・インデン樹脂などからなる群より選ばれる炭化水素樹脂、又はテルペン樹脂が好ましく使用される。
脂環族系炭化水素樹脂の例としては、スベントC4〜C5留分中のジエン成分を環化二量体化後重合させた樹脂、シクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂などが挙げられる。上市されている市販品の例として、荒川化学工業社製のアルコンAM−1(C9系水添芳香族石油樹脂)等、ヤスハラケミカルズ社製のYSレジンPX1150N等、などが挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂の例としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレンなどのC9〜C10のビニル芳香族炭化水素、スチレン、イソプロペニルトルエン等を主成分とした樹脂などが挙げられる。
A−B−A型ブロック共重合体の含有量が1質量部以上であると、樹脂(特に非晶性ポリエステル)が結晶化した場合にシール強度を安定的に保持しやすい。また、A−B−A型ブロック共重合体の含有量が40質量部以下であると、油性食品にも適用しやすい。
また、粘着付与樹脂の含有量が3質量部以上であると、シール強度により優れたものとなる。また、粘着付与樹脂の含有量が25質量部以下であると、組成物の耐油性や加工性の点でより適している。
エチレン系重合体組成物には、上記した3種の成分(エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂)に加え、任意の添加剤を配合することができる。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤などを挙げることができる。
滑剤の配合量は、上記3種の成分の合計量100質量部に対して、有機化合物滑剤の場合は100ppm〜10000ppm程度が効果的であり、シリカのような無機化合物滑剤の場合は0.1質量%〜3質量%程度が効果的である。滑剤の使用は、エチレン系重合体組成物を、基材に押出コーティング加工におけるフィルム同士のブロッキングや金属ロールへのスティックを防止すると共に、巻き戻し等の後工程の作業性を高めるという利点を有している。
エチレン系重合体組成物のMFRは、JIS K7210−1999に準拠して上記の温度及び荷重下にて測定される値である。
本開示に係る易開封性シール材料は、既述の本開示に係るエチレン系重合体組成物からなるものである。
本開示に係るエチレン系重合体組成物は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステル)の双方に対してヒートシール性を有しており、本開示に係るエチレン系重合体組成物は包装材料に用いられる易開封性シール材料として用いることができる。例えば非晶性ポリエステルを用いた包装材料(例えば、カップ、トレイなどの蓋材あるいはカバー材)のシール層として使用することで、密封性、易開封性に優れたシールを行うことができる。そして、たとえポリエステルが結晶化した場合でも、安定したシール強度を保持することができる。
このような基材としては、延伸あるいは無延伸のフィルムであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体、紙、アルミ箔、アルミニウム、シリカ、アルミナなどを蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールなどのガスバリアー材をコーティングしたフィルムなどを例示することができる。これら基材は単層であってもよく、2層以上の積層品であってもよい。
なお、基材とポリオレフィン系重合体との積層に当たっては、必要に応じて、接着剤を使用することが有効である。
なお、エチレン・極性モノマー共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により190℃、荷重2160gにて測定した値である。また、A−B−A型ブロック共重合体のMFRは、JIS K7210−1999に準拠した方法により230℃、荷重5000gにて測定した値である。
以下に示す実施例及び比較例に用いたエチレン系重合体組成物調製用の樹脂の組成、物性は、以下の通りである。なお、エチレン・極性モノマー共重合体における酢酸ビニル単位含有量は、エチレン・極性モノマー共重合体中の極性モノマーに由来の構成単位の含有比率である。
・EVA1:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:90質量%、酢酸ビニル単位含有量:10質量%、MFR(190℃,2160g荷重)9g/10分)
・EVA2:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:90質量%、酢酸ビニル単位含有量:10質量%、MFR(190℃,2160g荷重)3g/10分)
・EVA3:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:86質量%、酢酸ビニル単位含有量:14質量%、MFR(190℃,2160g荷重)3g/10分)
・EVA4:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:86質量%、酢酸ビニル単位含有量:14質量%、MFR(190℃,2160g荷重)15g/10分)
・EVA5:
エチレン・酢酸ビニル共重合体(エチレン単位含有量:81質量%、酢酸ビニル単位含有量:19質量%、MFR(190℃,2160g荷重)2.5g/10分)
・クレイトンG1657(SEBS,クレイトンジャパン社製)
(MFR(230℃,5000g荷重)22g/10分、密度900kg/m3)
−粘着付与樹脂−
・アルコンAM−1(環球法軟化点115℃の脂環族炭化水素樹脂)、荒川化学工業社製
−その他−
・ニュートロン−S(エルカ酸アミド,以下、ELAと略記する)、日本精化社製
・ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記する)、日本油脂社製
樹脂を表1に示す配合割合で仕込み量が10kgとなるように混合し、押出機(65mmφ、L/D=28、先端ダルメージフライトスクリュー)に投入し、加工温度160℃にて溶融混練することにより樹脂組成物(エチレン系重合体組成物)を調製した。得られた樹脂組成物に対して、以下の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
−離ロール性−
予めポリエチレンテレフタレート(PET,12μm)/ポリエチレン(PE,15μm)の積層構造を有する基材を用意した。この基材のPET上に、上記のようにして得られた樹脂組成物を、押出ラミネート法(加工温度230℃、加工速度30m/分)により30μm厚で積層し、樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造を有する積層体を得た。この際、冷却ロールからの剥離性を以下の基準にしたがって評価した。評価結果を表1に示す。
<評価基準>
A:剥離性が特に良く、冷却ロールからの剥離音がほとんどない。
B:剥離性が良く、冷却ロールからの剥離音はあるものの加工に問題はない。
C:剥離性が悪く、冷却ロールから剥離する際に剥離不良が生じて加工に支障を来たす。
上記の「離ロール性」の評価で得られた積層体を用い、積層体と市販の厚さ0.4mmの非晶性ポリエステルシートとを、積層体の樹脂組成物層が非晶性ポリエステルシートに接するようにして重ね、押圧力0.2MPa、加熱温度120℃、加熱時間1.0秒の条件でヒートシールし、接着物を得た。この接着物は、非晶性ポリエステルシート/樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造を有している。
ヒートシールの後、室温で24時間放置した。
放置後、接着物から15mm幅の試験片を切り出し、切り出した試験片の両面を互いに反対の方向(180℃の剥離方向)に引っ張り、シール部を引き剥がす際の最大応力を求めた。この最大応力(N/15mm)を、樹脂組成物の対非晶性ポリエステル樹脂接着強度(N/15mm)とした。
また、加熱温度を120℃から140℃、160℃に変更し、同様の方法でヒートシール後の接着物の接着強度を評価した。
測定結果は下記表1に示す。ヒートシールによる接着性と、ヒートシール後に剥離する際の易剥離性と、を両立させるには、接着強度は10N/15mm〜15N/15mmの範囲が好ましい。
上記の「離ロール性」の評価で得られた積層体(樹脂組成物層/基材(=PET/PE)の積層構造)から幅50mmのサンプル6枚を切り出して順に重ね、一定条件(20kgf/cm2の荷重、40℃雰囲気)下、2日間エージングした。その後、6枚のサンプルの各サンプル間の剥離強度をVangard社の測定機VG−35にて測定した。得られた剥離強度(g/50mm)を耐ブロッキング強度とした。測定された剥離強度(耐ブロッキング強度)を下記表1に示す。耐ブロッキング強度は、10g/50mm未満が好ましい。
Claims (6)
- 極性モノマーに由来の構成単位の含有比率が7質量%〜18質量%であり、かつ、メルトフローレート(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が1g/10分〜7g/10分であるエチレン・極性モノマー共重合体40質量部〜95質量部と、
A−B−A型ブロック共重合体(Aはポリスチレンブロックを表し、Bはアルキレン共重合体ブロックを表す。)1質量部〜40質量部と、
粘着付与樹脂3質量部〜25質量部と、
を含み(但し、エチレン・極性モノマー共重合体、A−B−A型ブロック共重合体、及び粘着付与樹脂の合計を100質量部とする)、
メルトフローレート(JIS K7210−1999に準拠、190℃、2160g荷重)が20g/10分以下である、エチレン系重合体組成物。 - 前記エチレン・極性モノマー共重合体が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である請求項1に記載のエチレン系重合体組成物。
- 前記粘着付与樹脂が、炭化水素樹脂である請求項1又は請求項2に記載のエチレン系重合体組成物。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエチレン系重合体組成物からなる易開封性シール材料。
- ポリエステル、アクリロニトリル系重合体、スチレン系重合体、及びポリ塩化ビニルから選ばれる樹脂を含む被着体に用いられる請求項4に記載の易開封性シール材料。
- 基材に積層して用いられる請求項4又は請求項5に記載の易開封性シール材料。
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