JP2017095641A - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたハードコート積層フィルム - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたハードコート積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、色調、耐擦傷性、表面硬度、耐曲げ性、及び表面平滑性に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたタッチパネルのディスプレイ面板として好適なハードコート積層フィルムを提供すること。【解決手段】(A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレート 100質量部;(B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物 0.2〜4質量部;(C)有機チタン 0.05〜3質量部;及び(D)平均粒子径1〜300nmの微粒子 5〜100質量部;を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。【選択図】図2

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたハードコート積層フィルムに関する。更に詳しくは、透明性、色調、耐擦傷性、表面硬度、耐曲げ性、及び表面外観に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いたハードコート積層フィルムに関する。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンスディスプレイ等の画像表示装置上に設置され、表示を見ながら指やペン等でタッチすることにより入力を行うことのできるタッチパネルが普及している。
従来、タッチパネルのディスプレイ面板には、耐熱性、寸法安定性、高透明性、高表面硬度、及び高剛性などの要求特性に合致することから、ガラスを基材とする物品が使用されてきた。一方、ガラスには、耐衝撃性が低く割れ易い;加工性が低い;ハンドリングが難しい;比重が高く重い;ディスプレイの曲面化やフレキシブル化の要求に応えることが難しい;などの問題がある。そこでガラスに替わる材料が盛んに研究されており、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びノルボルネン系重合体などの透明樹脂フィルム基材の表面に表面硬度と耐擦傷性に優れるハードコートを形成したハードコート積層体が多数提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、その耐擦傷性はまだ不十分であり、ハンカチなどで繰返し拭かれたとしても指すべり性などの表面特性を維持できるハードコート形成用塗料が求められている。
特開2013−208896号公報
本発明の課題は、透明性、色調、耐擦傷性、表面硬度、耐曲げ性、及び表面平滑性に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びこれを用いた液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等の画像表示装置の部材(タッチパネル機能を有する画像表示装置及びタッチパネル機能を有しない画像表示装置を含む。)、特にタッチパネルのディスプレイ面板として好適なハードコート積層フィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の多官能(メタ)アクリレート、特定官能基を有する化合物、有機チタン、及び特定粒子径の微粒子を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
(A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレート 100質量部;
(B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物 0.2〜4質量部;
(C)有機チタン 0.05〜3質量部;及び
(D)平均粒子径1〜300nmの微粒子 5〜100質量部;
を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
本発明の第2の発明は、上記成分(A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレートが、
(A1)トリペンタエリスリトールアクリレートと,
ジペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、及びポリペンタエリスリトールアクリレートからなる群から選択される1種以上との混合物 40〜90質量%;及び
(A2)エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群から選択される1種以上 60〜10質量%;
からなり、ここで上記成分(A1)と上記成分(A2)との和は100質量%である、
第1の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
本発明の第3の発明は、更に、(E)撥水剤 0.01〜7質量部;を含む第1の発明又は第2の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
本発明の第4の発明は、上記(E)撥水剤が、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤を含む第3の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
本発明の第5の発明は、透明樹脂フィルムの少なくとも片面に、第1〜4の発明の何れか1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルムである。
本発明の第6の発明は、最表層側から順に、第一ハードコート;透明樹脂フィルムの層;第二ハードコート;を有し、ここで上記第一ハードコートは、第1〜4の発明の何れか1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート積層フィルムである。
本発明の第7の発明は、上記透明樹脂フィルムがポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムである第5の発明又は第6の発明に記載のハードコート積層フィルムである。
本発明の第8の発明は、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムが、第一ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第二ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された透明多層フィルムである第7の発明に記載のハードコート積層フィルムである。
本発明の第9の発明は、第5〜8の発明の何れか1に記載のハードコート積層フィルムの画像表示装置部材としての使用である。
本発明の第10の発明は、第5〜8の発明の何れか1に記載のハードコート積層フィルムを含む画像表示装置である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルムは、透明性、色調、耐擦傷性、表面硬度、耐曲げ性、及び表面外観に優れる。そのため液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等の画像表示装置の部材(タッチパネル機能を有する画像表示装置及びタッチパネル機能を有しない画像表示装置を含む。)、特にタッチパネルのディスプレイ面板として好適に用いることができる。
1.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について説明する。
(A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレート:
上記成分(A)は、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであって、トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30〜60質量%含むものである。ここで上記成分(A)の総和は100質量%である。なお本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味である。上記成分(A)は、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するため、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、ハードコートを形成する働きをする。
上記成分(A)は、より好ましくは、(A1)トリペンタエリスリトールアクリレートと,ジペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスルトールアクリレート、及びポリペンタエリスリトールアクリレートからなる群から選択される1種以上との混合物 40〜90質量%;及び(A2)エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群から選択される1種以上 60〜10質量%;とからなる。上記成分(A)は、更に好ましくは、上記成分(A1)55〜85質量%と上記成分(A2)45〜15質量%とからなる。上記成分(A)は、最も好ましくは、上記成分(A1)60〜70質量%と上記成分(A2)40〜30質量%とからなる。ここで上記成分(A1)と上記成分(A2)との和は100質量%である。
なお上記成分(A1)中のトリペンタエリスリトールアクリレートの含有量は、上記成分(A)中のトリペンタエリスリトールアクリレートの含有量が20質量%以上である限り、特に制限されないが、通常40質量%以上、好ましくは50質量%以上であってよい。ここで上記成分(A1)中の各成分の含有量の総和は100質量%である。
上記トリペンタエリスリトールアクリレートは、ペンタエリスリトールアクリレートが3つ連結した構造を有する化合物であって、8個又は7個(末端に水酸基が残存する場合)のアクリロイル基を有する。下記式(1)にその構造を示す。ここでRはH又はCOCH=CHである。
上記ジペンタエリスリトールアクリレートは、ペンタエリスリトールアクリレートが2つ連結した構造を有する化合物であって、6個又は5個(末端に水酸基が残存する場合)のアクリロイル基を有する。
上記モノペンタエリスリトールアクリレートは、4個又は3個(末端に水酸基が残存する場合)のアクリロイル基を有する。
上記ポリペンタエリスリトールアクリレートは、ペンタエリスリトールアクリレートが4つ以上連結した構造を有する化合物であって、連結数をNとすると、(2N+2)個又は(2N+1)個(末端に水酸基が残存する場合)のアクリロイル基を有する。
上記エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレートのエトキシ化された化合物であって、3個のアクリロイル基を有する。
上記ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレートの2量体であって、4個のアクリロイル基を有する。
上記成分(A1)及び上記成分(A2)以外の上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマー;及びこれらの1種以上を構成モノマーとする重合体(オリゴマーやプレポリマー)をあげることができる。上記成分(A1)及び上記成分(A2)以外の上記多官能(メタ)アクリレートとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
(B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む。ここで(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。なお上記成分(B)は、アルコキシシリル基を有するという点で上記成分(A)とは区別される。上記成分(A)は、アルコキシシリル基を有しない。本明細書において、1分子中にアルコキシシリル基と2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、上記成分(B)である。
上記成分(B)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を有することにより上記成分(A)と、アルコキシシリル基を有することにより上記成分(D)と、化学結合ないし強く相互作用することができ、ハードコートの耐擦傷性を大きく向上させる働きをする。また成分(B)は上記成分(E)とも、分子内に(メタ)アクリロイル基を有することにより、あるいはアルコキシシリル基を有することにより、化学結合ないし強く相互作用し、上記成分(E)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する働きもする。
上記成分(B)としては、例えば、一般式「(−SiORR’−)n・(−SiORR”−)m」で表される化学構造を有する化合物をあげることができる。ここで、nは自然数(正の整数)であり、mは0又は自然数である。好ましくは、nは2〜10の自然数、mは0又は1〜10の自然数である。Rはメトキシ基(CHO−)、エトキシ基(CO−)などのアルコキシ基である。R’はアクリロイル基(CH=CHCO−)、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO−)である。R”はメチル基(CH)、エチル基(CHCH)などのアルキル基である。
上記成分(B)としては、例えば、一般式「(−SiO(OCH)(OCHC=CH)−)n」、「(−SiO(OCH)(OC(CH)C=CH)−)n」、「(−SiO(OCH)(OCHC=CH)−)n・(−SiO(OCH)(CH)−)m」、「(−SiO(OCH)(OC(CH)C=CH)−)n・(−SiO(OCH)(CH)−)m」、「(−SiO(OC)(OCHC=CH)−)n」、「(−SiO(OC)(OC(CH)C=CH)−)n」、「(−SiO(OC)(OCHC=CH)−)n・(−SiO(OCH)(CH)−)m」、及び「(−SiO(OC)(OC(CH)C=CH)−)n・(−SiO(OCH)(CH)−)m」で表される化学構造を有する化合物をあげることができる。ここで、nは自然数(正の整数)であり、mは0又は自然数である。好ましくは、nは2〜10の自然数、mは0又は1〜10の自然数である。
上記成分(B)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、耐擦傷性の観点から、0.2質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。一方、撥水性を発現し易くする観点から、また上記成分(B)と上記成分(C)との配合比を好ましい範囲にしたときに上記成分(C)が過剰量にならないようにする観点から、4質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。
また上記成分(D)と化学結合ないし強く相互作用させる観点から、上記成分(B)と上記成分(D)との配合比は、上記成分(D)100質量部に対して、上記成分(B)が通常0.2〜80質量部、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは2〜7質量部である。
(C)有機チタン:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(C)有機チタンを含む。
上記成分(C)は、上記成分(B)の働きを補助する成分であり、ハードコートの耐擦傷性を大きく向上させる観点において、上記成分(B)と上記成分(C)とは特異的な好相性を示す。また上記成分(C)自身も、上記成分(D)などと化学結合ないし強く相互作用し、ハードコートの耐擦傷性を高める働きをする。
上記有機チタンとしては、例えば、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン、ジ−n−ブトキシ−ビス(トリエタノールアミナト)チタン;及びこれらの1種以上からなる重合体;などをあげることができる。上記成分(C)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
これらの中で、アルコキシチタンのテトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、及びチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレートが耐擦傷性と色調の観点から好ましい。
上記成分(C)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、耐擦傷性の観点から、0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上である。一方、色調の観点から、3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。
また上記成分(B)の働きを効果的に補助する観点から、上記成分(B)と上記成分(C)との配合比は、上記成分(B)100質量部に対して、上記成分(C)が通常1.25〜1500質量部、好ましくは5〜150質量部、より好ましくは20〜80質量部である。
(D)平均粒子径1〜300nmの微粒子:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(D)平均粒子径1〜300nmの微粒子を含む。
上記成分(D)は、ハードコートの表面硬度を高める働きをする。一方、上記成分(A)との相互作用は弱く、耐擦傷性を不十分なものにする原因となっていた。そこで本発明においては、上記成分(A)と上記成分(D)の両方に化学結合ないし強く相互作用することのできる上記成分(B)、及び上記成分(B)の働きを補助する上記成分(C)を用い、この問題を解決したものである。
上記成分(D)としては、無機微粒子、有機微粒子のどちらも用いることができる。無機微粒子としては、例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子;弗化マグネシウム、弗化ナトリウム等の金属弗化物微粒子;金属硫化物微粒子;金属窒化物微粒子;金属微粒子;などをあげることができる。有機微粒子としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレン系樹脂、アミノ系化合物とホルムアルデヒドとの硬化樹脂などの樹脂ビーズをあげることができる。これらは、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また微粒子の塗料中での分散性を高めたり、得られるハードコートの表面硬度を高めたりする目的で、当該微粒子の表面をビニルシラン、アミノシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;脂肪酸、脂肪酸金属塩等の表面処理剤などにより処理したものを用いてもよい。
これらの中でより表面硬度の高いハードコートを得るためにシリカや酸化アルミニウムの微粒子が好ましく、シリカの微粒子がより好ましい。シリカ微粒子の市販品としては、日産化学工業株式会社のスノーテックス(商品名)、扶桑化学工業株式会社のクォートロン(商品名)などをあげることができる。
上記成分(D)の平均粒子径は、ハードコートの透明性を保持する観点、及びハードコートの表面硬度改良効果を確実に得る観点から300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは120nm以下である。一方、粒子径の下限を制限する理由は特にないが、通常入手可能な微粒子は細かくてもせいぜい1nm程度である。
なお本明細書において、微粒子の平均粒子径は、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計「MT3200II(商品名)」を使用して測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。
上記成分(D)の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、表面硬度の観点から、5質量部以上、好ましくは20質量部以上である。一方、耐擦傷性と透明性の観点から、100質量部以下、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
(E)撥水剤:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、指すべり性、汚れの付着防止性、及び汚れの拭取り性を高める観点から、更に、(E)撥水剤 0.01〜7質量部;を含ませることが好ましい。
上記撥水剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アクリル・エチレン共重合体ワックス等のワックス系撥水剤;シリコンオイル、シリコン樹脂、ポリジメチルシロキサン、アルキルアルコキシシラン等のシリコン系撥水剤;フルオロポリエーテル系撥水剤、フルオロポリアルキル系撥水剤等の含弗素系撥水剤;などをあげることができ、上記成分(E)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
これらの中で、上記成分(E)としては、撥水性能の観点から、フルオロポリエーテル系撥水剤が好ましい。上記成分(A)や上記成分(B)と上記成分(E)とが化学結合ないしは強く相互作用し、上記成分(E)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、上記成分(E)としては、分子内に(メタ)アクリロイル基とフルオロポリエーテル基とを含有する化合物を含む撥水剤(以下、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤と略す。)がより好ましい。上記成分(E)としては、上記成分(A)や上記成分(B)と上記成分(E)との化学結合ないしは相互作用を適宜調節し、透明性を高く保ちつつ良好な撥水性を発現させる観点から、アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤とメタアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤との混和物を用いてもよい。
上記成分(E)を用いる場合の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、上記成分(E)がブリードアウトするなどのトラブルを防止する観点から、通常7質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。配合量の下限は、任意成分であるから特にないが、上記成分(E)の使用効果を得るという観点から、通常0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上である。
また本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、1分子中に2以上のイソシアネート基(−N=C=O)を有する化合物及び/又は光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート;トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート;及び、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤などをあげることができる。上記1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。また、架橋の際には、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどの触媒を添加してもよい。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−メチルベンゾフェノン、4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4−ジエチルチオキサントン、2、4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物;トリアジン系化合物;ビイミダゾール化合物;アシルフォスフィンオキサイド系化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。上記光重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、所望に応じて、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、及びフィラーなどの添加剤を1種、又は2種以上含んでいてもよい。
また本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤は上記成分(A)〜(D)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これらの成分を混合、攪拌することにより得られる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含むハードコート形成用塗料を用いてハードコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。具体的には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。
2.ハードコート積層フィルム:
本発明のハードコート積層フィルムについて説明する。
本発明のハードコート積層フィルムは、好ましくは、下記(イ)の方法で測定した全光線透過率が80%以上である。全光線透過率が80%以上の高透明なものであることにより、ハードコート積層フィルムを、タッチパネルのディスプレイ面板などに好適に用いることができる。全光線透過率は高いほど好ましく、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
本発明のハードコート積層フィルムは、好ましくは、下記(ロ)の方法で測定したヘーズが3%以下である。ヘーズが3%以下の高透明なものであることにより、ハードコート積層フィルムを、タッチパネルのディスプレイ面板などに好適に用いることができる。ヘーズは低いほど好ましく、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1.5%以下である。
本発明のハードコート積層フィルムは、好ましくは、下記(ハ)の方法で測定した黄色度指数が3以下である。黄色度指数が3以下の着色のないものであることにより、ハードコート積層フィルムを、タッチパネルのディスプレイ面板などに好適に用いることができる。黄色度指数は低いほど好ましく、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下である。
本発明のハードコート積層フィルムをタッチパネルのディスプレイ面板として用いる場合には、好ましくは、ハードコート積層フィルムのタッチ面(タッチパネルディスプレイ面板の指やペンでタッチし、入力操作を行う面となる面。)の下記(ニ)の方法で測定した水接触角は100度以上である。水接触角が100度以上であることにより、ハードコート積層フィルムのタッチ面上において、指やペンを思い通りに滑らし、タッチパネルを操作することができるようになる。指やペンを思い通りに滑らせるという観点からは、水接触角は高い方が好ましく、より好ましくは105度以上、更に好ましくは110度以上である。一方、水接触角の上限は特にないが、指すべり性の観点からは、通常120度程度で十分である。
本発明のハードコート積層フィルムをタッチパネルのディスプレイ面板として用いる場合には、好ましくは、ハードコート積層フィルムのタッチ面の下記(ホ)の方法で測定した2万往復綿拭後の水接触角は100度以上である。2万往復綿拭後の水接触角が100度以上であることにより、ハンカチなどで繰返し拭かれたとしても指すべり性などの表面特性を維持することができる。2万往復綿拭後の水接触角は、より好ましくは105度以上、更に好ましくは110度以上である。一方、2万往復綿拭後の水接触角の上限は特にないが、指すべり性の観点からは、通常120度程度で十分である。
本発明のハードコート積層フィルムをタッチパネルのディスプレイ面板として用いる場合には、好ましくは、ハードコート積層フィルムのタッチ面の鉛筆硬度(JIS K 5600−5−4に従い、750g荷重の条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用いて測定。)が7H以上、より好ましくは8H以上、更に好ましくは9H以上である。鉛筆硬度が7H以上であることにより、本発明のハードコート積層フィルムは、画像表示装置部材として好適に用いることができる。鉛筆硬度は高いほど好ましい。
本発明のハードコート積層フィルムは、最小曲げ半径が好ましくは40mm以下、より好ましくは35mm以下、更に好ましくは30mm以下である。最小曲げ半径が好ましくは40mm以下であることにより、本発明のハードコート積層フィルムは、フィルムロールとして容易に扱うことができるようになり、製造効率などの点で有利になる。最小曲げ半径は小さいほど好ましい。ここで最小曲げ半径は、下記実施例の試験(ヌ)に従い測定した値である。
本発明のハードコート積層フィルムは、好ましくは、透明樹脂フィルムの少なくとも片面に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを形成することにより得ることができる。
上記ハードコートは、上記透明樹脂フィルムの少なくとも片面に、好ましくは耐カール性の観点から両面に形成される。また少なくともタッチ面を形成するハードコートの形成用塗料は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料であることが好ましい。
上記ハードコートの厚みは、特に制限されないが、本発明のハードコート積層フィルムの表面硬度、剛性、耐熱性、及び寸法安定性の観点から、通常1μm以上、好ましくは、5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上であってよい。また本発明のハードコート積層フィルムの切削加工適性やウェブハンドリング性の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下であってよい。
上記透明樹脂フィルムは上記ハードコートを形成するための透明フィルム基材となる層である。上記透明樹脂フィルムとしては、高い透明性を有し、かつ着色のないものであること以外は制限されず、任意の透明樹脂フィルムを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリプロピレン、4−メチル−ペンテン−1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などのフィルムがあげられる。これらは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらの1種又は2種以上の積層フィルムを包含する。
上記透明樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、所望により任意の厚みにすることができる。本発明のハードコート積層フィルムの取扱性の観点からは、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であってよい。また経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下であってよい。本発明のハードコート積層フィルムをタッチパネルのディスプレイ面板として用いる場合には、剛性を保持する観点から、通常100μm以上、好ましくは200μm以上、より好ましくは300μm以上であってよい。またタッチパネルの薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1200μm以下、より好ましくは1000μm以下であってよい。
更に、上記ハードコート積層フィルムの有する上記ハードコートは1層に限らず、2層以上であってもよい。また透明樹脂フィルム層は1層に限らず、2層以上であってもよい。更にハードコート積層フィルムは、所望により、ハードコートと透明樹脂フィルム以外の任意の層を有していてもよい。任意の層としては、例えば、アンカーコート層、粘着剤層、透明導電層、高屈折率層、低屈折率層、及び反射防止機能層などをあげることができる。
上記透明樹脂フィルムは、好ましくは、ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムである。表面硬度、耐擦傷性、透明性、表面平滑性、外観、剛性、耐熱性、及び寸法安定性に優れたハードコート積層フィルムとなり、タッチパネルのディスプレイ面板や透明導電性基板として好適に用いることができる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂は、アクリル系樹脂の高透明性、高表面硬度、高剛性という特徴はそのままにポリイミド系樹脂の耐熱性や寸法安定性に優れるという特徴を導入し、淡黄色から赤褐色に着色するという欠点を改良した熱可塑性樹脂であり、例えば、特表2011−519999号公報に開示されている。なお本明細書において、ポリ(メタ)アクリルイミドとは、ポリアクリルイミド又はポリメタクリルイミドの意味である。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂としては、ハードコート積層フィルムをタッチパネルなどの光学物品に用いる目的から、高い透明性を有し、かつ着色のないものであること以外は制限されず、任意のポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を用いることができる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂の好ましいものとしては、黄色度指数(JIS K 7105:1981に従い、株式会社島津製作所の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定。)が、3以下のものをあげることができる。黄色度指数は、より好ましくは2以下であり、更に好ましくは1以下である。また押出負荷や溶融フィルムの安定性の観点から、好ましいものとしてメルトマスフローレート(ISO1133に従い、260℃、98.07Nの条件で測定。)が0.1〜20g/10分のものをあげることができる。メルトマスフローレートは0.5〜10g/10分がより好ましい。更にポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂のガラス転移温度は、耐熱性の観点から、150℃以上のものが好ましい。より好ましくは170℃以上である。
また上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を100質量部としたとき、0.01〜10質量部程度である。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂の市販例としては、エボニック社の「PLEXIMID TT50(商品名)」、及び「PLEXIMID TT70(商品名)」などをあげることができる。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムは、好ましくは、第一ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α1);芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);第二ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α2);が、この順に直接積層された透明多層フィルムである。なお本明細書においては、上記α1層側にタッチ面が形成されるものとして本発明を説明する。
ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂は耐熱性や表面硬度には優れているが、切削加工性が不十分になり易いのに対し、芳香族ポリカーボネート系樹脂は切削加工性には優れているが、耐熱性や表面硬度が不十分になり易い。そのため上記の層構成の透明多層フィルムを用いることにより、両者の弱点を補い合い、耐熱性、表面硬度、及び切削加工性の何れにも優れたハードコート積層フィルムを容易に得ることができるようになる。
上記α1層の層厚みは、特に制限されないが、本発明のハードコート積層フィルムの耐熱性や表面硬度の観点から、通常20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上であってよい。
上記α2層の層厚みは、特に制限されないが、本発明のハードコート積層フィルムの耐カール性の観点から、上記α1層と同じ層厚みであることが好ましい。
なおここで「同じ層厚み」とは、物理化学的に厳密な意味で同じ層厚みと解釈されるべきではない。工業的に通常行われる工程・品質管理の振れ幅の範囲内において同じ層厚みと解釈されるべきである。工業的に通常行われる工程・品質管理の振れ幅の範囲内において同じ層厚みであれば、多層フィルムの耐カール性を良好に保つことができるからである。Tダイ共押出法による無延伸多層フィルムの場合には、通常−5〜+5μm程度の幅で工程・品質管理されるものであるから、層厚み65μmと同75μmとは同一と解釈されるべきである。
上記β層の層厚みは、特に制限されないが、本発明のハードコート積層フィルムの耐切削性の観点から、通常20μm以上、好ましくは80μm以上、より好ましくは120μm以上であってよい。
上記α1層及び上記α2層に用いるポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂については、上述した。
なお上記α1層に用いるポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂と、上記α2層に用いるポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂とは、異なる樹脂特性のもの、例えばメルトマスフローレートやガラス転移温度の異なるポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂を用いても良いが、本発明のハードコート積層フィルムの耐カール性の観点から、同じ樹脂特性のものを用いることが好ましい。例えば、同一グレードの同一ロットを用いるのは、好ましい実施態様の一つである。
上記β層に用いる芳香族ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重合法によって得られる重合体;ビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られる重合体;などの芳香族ポリカーボネート系樹脂の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記芳香族ポリカーボネート系樹脂に含み得る好ましい任意成分としては、コアシェルゴムをあげることができる。芳香族ポリカーボネート系樹脂とコアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、コアシェルゴムを0〜30質量部(芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜70質量部)、好ましくは0〜10質量部(芳香族ポリカーボネート系樹脂100〜90質量部)の量で用いることにより、耐切削加工性や耐衝撃性をより高めることができる。
上記コアシェルゴムとしては、例えば、メタクリル酸エステル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/エチレン・プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル・スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体などのコアシェルゴムをあげることができる。上記コアシェルゴムとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
また上記芳香族ポリカーボネート系樹脂には、本発明の目的に反しない限度において、所望により、芳香族ポリカーボネート系樹脂やコアシェルゴム以外の熱可塑性樹脂;顔料、無機フィラー、有機フィラー、樹脂フィラー;滑剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、及び界面活性剤等の添加剤;などを更に含ませることができる。これらの任意成分の配合量は、通常、芳香族ポリカーボネート系樹脂とコアシェルゴムとの合計を100質量部としたとき、0.01〜10質量部程度である。
上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルム(該フィルムが上記透明多層フィルムである場合を含む。)の製造方法は特に制限されない。好ましい製造方法としては、特開2015−033844号公報、特開2015−034285号公報、及び特開2015−083370号公報に記載された方法をあげることができる。
また上記ハードコートを形成するに際し、上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルム又は上記透明多層フィルムのハードコート形成面又は両面に、上記ハードコートとの接着強度を高めるため、事前にコロナ放電処理やアンカーコート形成などの易接着処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)全光線透過率:
JIS K 7361−1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定した。
(ロ)ヘーズ;
JIS K 7136:2000に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定した。
(ハ)黄色度指数;
JIS K 7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec−3700(商品名)」を用いて測定した。
(ニ)水接触角:
ハードコート積層フィルムのタッチ面側ハードコート面を、KRUSS社の自動接触角計「DSA20(商品名)」を使用し、水滴の幅と高さとから算出する方法(JIS R 3257:1999を参照。)で測定した。
(ホ)耐擦傷性(綿拭後の水接触角):
縦150mm、横50mmの大きさで、ハードコート積層フィルムのマシン方向が試験片の縦方向となるように採取した試験片を、ハードコート積層フィルムのタッチ面側ハードコート面が表面になるようにJIS L 0849の学振試験機に置き、学振試験機の摩擦端子に、4枚重ねのガーゼ(川本産業株式会社の医療用タイプ1ガーゼ)で覆ったステンレス板(縦10mm、横10mm、厚み1mm)を取付け、該ステンレス板の縦横面が試験片と接触するようにセットし、350g荷重を載せ、試験片のタッチ面側ハードコート面を、摩擦端子の移動距離60mm、速度1往復/秒の条件で往復2万回擦った後、上記(ニ)の方法に従い、当該綿拭箇所の水接触角を測定した。なお水接触角が100度以上であれば、耐擦傷性は良好であると判断される。また2万往復後の水接触角が100度未満のときは、所定の往復回数を1万5千回、及び1万回に変更した測定も行い、以下の基準で評価した。
◎:往復回数2万回後でも水接触角100度以上。
○:往復回数1万5千回後では水接触角100度以上だが、2万回後は100度未満。
△:往復回数1万回後では水接触角100度以上だが、1万5千回後は100度未満。
×:往復回数1万回後で水接触角100度未満。
(ヘ)指すべり性:
ハードコート積層フィルムのタッチ面側ハードコート面を人差し指で上下左右や円状になぞり、思い通りになぞることができたか否かの印象により評価した。試験は10名が各々行い、思い通りになぞれた場合を2点、ほぼ思い通りになぞれた場合を1点、指が引っ掛かるなどして思い通りになぞれなかった場合を0点として各人の点数を集計し、以下の基準で評価した。
◎:16〜20点
△:10〜15点
×:0〜9点
(ト)綿拭後の指すべり性:
上記(ホ)の方法に従い、2万往復綿拭した後のハードコート積層フィルムをサンプルとしたこと以外は、上記(ヘ)指すべり性と同様に試験し、評価した。
(チ)耐擦傷性:
ハードコート積層フィルムを、タッチ面側ハードコート面が表面になるように JIS L 0849の学振試験機に置いた。続いて、学振試験機の摩擦端子に#0000のスチールウールを取り付けた後、 500g荷重を載せ、試験片の表面を100往復擦った後、当該摩擦箇所を目視観察した。傷が認められない場合には、更に往復100回擦った後、当該摩擦箇所を目視観察する作業を繰り返し、以下の基準で評価した。
A:往復250回後でも傷は認められない。
B:往復200回後では傷は認められないが、往復250回後には傷を認めることができる。
C:往復150回後では傷は認められないが、往復200回後には傷を認めることができる。
D:往復100回後では傷は認められないが、往復150回後には傷を認めることができる。
E:往復100回後で傷を認めることができる。
(リ)線膨張係数:
JIS K 7197:1991に従い測定した。セイコーインスツル株式会社の熱機械的分析装置(TMA)「EXSTAR6000(商品名)」を用いた。試験片は、縦20mm、横10mmの大きさで、フィルムのマシン方向(MD)が試験片の縦方向となるように採取した。試験片の状態調節は、温度23℃±2℃、相対湿度50±5%で24時間とし、フィルムの物性値としての寸法安定性を測定する目的から、測定最高温度における状態調節は行わなかった。チャック間距離は10mm、温度プログラムは、温度20℃で3分間保持した後、昇温速度5℃/分で温度270℃まで昇温するプログラムとした。線膨張係数は、得られた温度−試験片長さ曲線から、低温側温度30℃、高温側温度250℃として計算した。
(ヌ)最小曲げ半径:
JIS−K6902:2007の曲げ成形性(B法)を参考とし、温度23℃±2℃、相対湿度50±5%にて24時間状態調節した試験片について、曲げ温度23℃±2℃、折り曲げ線はハードコート積層フィルムのマシン方向と直角となる方向とし、ハードコート積層フィルムのタッチ面側ハードコートが外側となるように折り曲げて曲面が形成されるようにして行った。クラックが発生しなかった成形ジグのうち正面部分の半径の最も小さいものの正面部分の半径を最小曲げ半径とした。この「正面部分」は、JIS K6902:2007の18.2項に規定されたB法における成形ジグに関する同用語を意味する。
(ル)切削加工性(曲線状切削加工線の状態):
コンピュータにより自動制御を行うルーター加工機を使用し、ハードコート積層フィルムに、半径0.5mmの真円形の切削孔と半径0.1mmの真円形の切削孔を設けた。このとき使用したミルは刃先の先端形状が円筒丸型の超硬合金製4枚刃、ニック付きのものであり、刃径は加工箇所に合わせて適宜選択した。続いて半径0.5mmの切削孔について、その切削端面を目視又は顕微鏡(100倍)観察し、以下の基準で評価した。同様に半径0.1mmの切削孔について、その切削端面を目視又は顕微鏡(100倍)観察し、以下の基準で評価した。表には前者の結果−後者の結果の順に記載した。
◎:顕微鏡観察でもクラック、ヒゲは認められない
○:顕微鏡観察でもクラックは認められない。しかしヒゲは認められる。
△:目視でクラックは認められない。しかし顕微鏡観察ではクラックが認められる。
×:目視でもクラックが認められる。
(ヲ)表面平滑性(表面外観):
ハードコート積層フィルムの表面(両方の面)を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面にうねりや傷がない。間近に光を透かし見ても、曇感がない。
○:間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所がある。
△:間近に見ると、表面にうねりや傷を僅かに認める。また曇感がある。
×:表面にうねりや傷を多数認めることができる。また明らかな曇感がある。
(ワ)鉛筆硬度:
JIS K 5600−5−4に従い、750g荷重の条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用いて測定した。なお表にはタッチ面側測定値/印刷面側測定値と記載した。
使用した原材料
(A)多官能(メタ)アクリレート:
(A1−1)大阪有機化学工業株式会社のトリペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、及びポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物「ビスコート#802(商品名)。」、トリペンタエリスリトールアクリレートの含有量は60質量%。
(A2−1)エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート。3官能。
(A2−2)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート。4官能。
(A3−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート。6官能。
(B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物:
(B−1)信越化学工業株式会社の「信越シリコーンKR−513(商品名)」、Rはメトキシ基、R’はアクリロイル基、R”はメチル基。
(B−2)信越化学工業株式会社の「信越シリコーンX−40−2655A(商品名)」、Rはメトキシ基、R’はメタクリロイル基、R”はメチル基。
(B’)参考成分:
(B’−1)信越化学工業株式会社の「信越シリコーンKBM−403(商品名)」、アルコキシシリル基とエポキシ基を有する化合物。(メタ)アクリロイル基を有しない。
(B’−2)信越化学工業株式会社の「信越シリコーンKBM−903(商品名)」、アルコキシシリル基とアミノ基を有する化合物。(メタ)アクリロイル基を有しない。
(C)有機チタン:
(C−1)日本曹達株式会社のチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート「TOG(商品名)」。
(C−2)日本曹達株式会社のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン「TOT(商品名)」。
(C−3)日本曹達株式会社のジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン「T−50(商品名)」。
(C’)参考成分:
(C’−1)日本曹達株式会社のテトラ−n−プロポキシジルコニウム「ZAA(商品名)」。
(D)平均粒子径1〜300nmの微粒子:
(D−1)平均粒子径20nmのシリカ微粒子。
(E)撥水剤:
(E−1)信越化学工業株式会社のアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「KY−1203(商品名)」。固形分20質量%。
(E−2)ソルベイ(Solvay)社のメタクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「FOMBLIN MT70(商品名)」。固形分70質量%。
(E−3)DIC株式会社のアクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤「メガフアツクRS−91(商品名)。
その他の任意成分:
(F−1)双邦實業股分有限公司のフェニルケトン系光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)「SB−PI714(商品名)」。
(F−2)1−メトキシ−2−プロパノール。
(F−3)ビッグケミー・ジャパン株式会社の表面調整剤「BYK−399(商品名)」。
(F−4)BASF社のヒドロキシケトン系光重合開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン)「イルガキュア127(商品名)」。
(α)ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂:
(α−1)エボニック社のポリ(メタ)アクリルイミド「PLEXIMID TT70(商品名)」。
(β)芳香族ポリカーボネート系樹脂:
(β−1)住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネート「カリバー301−4(商品名)」。
(γ)印刷面側ハードコート形成用塗料:
(γ−1)上記(A1−1)65質量部、上記(A2−1)35質量部、上記(B−1)1.4質量部、上記(C−1)0.7質量部、上記(D−1)35質量部、上記(F−1)5.3質量部、上記(F−2)95質量部、及び上記(F−3)0.5質量の配合組成比で混合・攪拌して得た塗料。
(P)透明樹脂フィルム:
(P−1)2種3層マルチマニホールド方式の共押出Tダイ、及び鏡面ロールと鏡面ベルトとで溶融フィルムを押圧する機構を備えた引巻取機を備えた装置を使用し、2種3層多層樹脂フィルムの両外層(α1層とα2層)として上記(α−1)を、中間層(β層)として上記(β−1)を、共押出Tダイから連続的に共押出し、α1層が鏡面ロール側になるように、回転する鏡面ロールと鏡面ロールの外周面に沿って循環する鏡面ベルトとの間に供給投入し、押圧して、全厚み250μm、α1層の層厚み80μm、β層の層厚み90μm、α2層の層厚み80μmの透明樹脂フィルムを得た。このとき設定条件は、Tダイの設定温度300℃、鏡面ロールの設定温度130℃;鏡面ベルトの設定温度120℃、引取速度6.5m/分であった。
(P−2)単層Tダイ、及び鏡面ロールと鏡面ベルトとで溶融フィルムを押圧する機構を備えた引巻取機を備えた装置を使用し、上記(α−1)をTダイから連続的に押出し、回転する鏡面ロールと鏡面ロールの外周面に沿って循環する鏡面ベルトとの間に供給投入し、押圧して、全厚み250μmの透明樹脂フィルムを得た。このとき設定条件は、Tダイの設定温度320℃、鏡面ロールの設定温度140℃;鏡面ベルトの設定温度120℃、引取速度6.3m/分であった。
(P−3)三菱樹脂株式会社の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系フィルム「ダイヤホイル(商品名)」、厚み250μm。
(P−4)住友化学株式会社のアクリル系樹脂フィルム「テクノロイS001G(商品名)」、厚み250μm。
(P−5)単層Tダイ、及び鏡面ロールと鏡面ベルトとで溶融フィルムを押圧する機構を備えた引巻取機を備えた装置を使用し、住化スタイロンポリカーボネート株式会社の芳香族ポリカーボネート「カリバー301−4(商品名)」をTダイから連続的に押出し、回転する鏡面ロールと鏡面ロールの外周面に沿って循環する鏡面ベルトとの間に供給投入し、押圧して、全厚み250μmの透明樹脂フィルムを得た。このとき設定条件は、Tダイの設定温度320℃、鏡面ロールの設定温度140℃;鏡面ベルトの設定温度120℃、引取速度5.6m/分であった。
例1
上記(P−1)の両面に処理量167W・min/m(放電電力500W、放電電極の長さ1m、ライン速度3m/min)の条件で、コロナ放電処理を行った。両面とも濡れ指数は64mN/mであった。続いて、α1層側の面にはタッチ面側ハードコート形成用塗料として表1に示す配合組成(質量部)の塗料を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布し;α2層側の面には印刷面側ハードコート形成用塗料として上記(γ−1)を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布して、ハードコート積層フィルムを得た。上記試験(イ)〜(ワ)を行った。結果を表1に示す。
例2〜19、例1C〜8C
タッチ面側ハードコート形成用塗料の配合組成を表1〜5の何れか1に示すように変更したこと以外は、全て例1と同様に行った。結果を表1〜5の何れか1に示す。
例20
上記(P−2)の両面に処理量167W・min/m(放電電力500W、放電電極の長さ1m、ライン速度3m/min)の条件で、コロナ放電処理を行った。両面とも濡れ指数は63mN/mであった。続いて、一方の面にはタッチ面側ハードコート形成用塗料として、表5に示す配合組成の塗料を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布し;他方の面には印刷面側ハードコート形成用塗料として上記(γ−1)を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布して、ハードコート積層フィルムを得た。上記試験(イ)〜(ワ)を行った。結果を表5に示す。
例21
上記(P−3)の一方の面にはタッチ面側ハードコート形成用塗料として、表5に示す配合組成の塗料を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布し;他方の面には印刷面側ハードコート形成用塗料として上記(γ−1)を、ダイ方式の塗工装置を使用して、硬化後厚みが25μmとなるように塗布して、ハードコート積層体を得た。上記試験(イ)〜(ワ)を行った。結果を表5に示す。なお試験(リ)は、試験片の収縮が大きく、測定値を得ることができなかった。
例22
上記(P−3)に替えて、上記(P−4)を用いたこと以外は、全て例21と同様に行った。結果を表5に示す。
例23
上記(P−3)に替えて、上記(P−5)を用いたこと以外は、全て例21と同様に行った。結果を表5に示す。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルムは、透明性、色調、耐擦傷性(耐綿拭性及び耐スチールウール性)、表面硬度、耐曲げ性、及び表面外観に優れている。そのため液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンスディスプレイ等の画像表示装置の部材(タッチパネル機能を有する画像表示装置及びタッチパネル機能を有しない画像表示装置を含む。)、特にタッチパネルのディスプレイ面板として好適に用いることができる。
透明樹脂フィルム(P−1)の製膜に使用した装置の概念図である。 本発明のハードコート積層フィルムの断面を示す概念図である。
1:押出機1
2:押出機2
3:2種3層マルチマニホールド方式の共押出Tダイ
4:溶融フィルム
5:鏡面ロール
6:鏡面ベルト
7:一対のベルトローラー
8:第一ハードコート
9:第一ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α1);
10:芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);
11:第二ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α2);が、
12:第二ハードコート

Claims (10)

  1. (A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレート 100質量部;
    (B)アルコキシシリル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物 0.2〜4質量部;
    (C)有機チタン 0.05〜3質量部;及び
    (D)平均粒子径1〜300nmの微粒子 5〜100質量部;
    を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. 上記成分(A)トリペンタエリスリトールアクリレートを20質量%以上含む多官能(メタ)アクリレートが、
    (A1)トリペンタエリスリトールアクリレートと,
    ジペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、及びポリペンタエリスリトールアクリレートからなる群から選択される1種以上との混合物 40〜90質量%;及び
    (A2)エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレートからなる群から選択される1種以上 60〜10質量%;
    からなり、ここで上記成分(A1)と上記成分(A2)との和は100質量%である、
    請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 更に、(E)撥水剤 0.01〜7質量部;を含む請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 上記(E)撥水剤が、(メタ)アクリロイル基含有フルオロポリエーテル系撥水剤を含む請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 透明樹脂フィルムの少なくとも片面に、請求項1〜4の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルム。
  6. 最表層側から順に、第一ハードコート;透明樹脂フィルムの層;第二ハードコート;を有し、ここで上記第一ハードコートは、請求項1〜4の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート積層フィルム。
  7. 上記透明樹脂フィルムがポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムである請求項5又は6に記載のハードコート積層フィルム。
  8. 上記ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂フィルムが、
    第一ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α1);
    芳香族ポリカーボネート系樹脂層(β);
    第二ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂層(α2);が、
    この順に直接積層された透明多層フィルムである請求項7に記載のハードコート積層フィルム。
  9. 請求項5〜8の何れか1項に記載のハードコート積層フィルムの画像表示装置部材としての使用。
  10. 請求項5〜8の何れか1項に記載のハードコート積層フィルムを含む画像表示装置。
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