JP2017095377A - ムチン分泌促進剤及びその利用 - Google Patents

ムチン分泌促進剤及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】新しいムチン分泌促進剤及びその利用方法を提供する。【解決手段】マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤。このチン分泌促進剤を有効成分として含有する、腸管バリア機能改善用組成物、消化管粘膜保護用組成物及び感染予防剤。【選択図】図1

Description

本発明は、ムチンの分泌促進剤及びその利用に関する。
胃や腸など消化器系器官の内腔表面は、粘液層に覆われており、粘液層は食物、薬品あるいは胃液等の生体成分等に由来する化学的傷害、あるいは、外傷、熱等の物理的傷害から生じる粘膜損傷に対する防御因子として重要な役割を果たしている。また、これら諸器官は直接外界に接しているため、これら諸器官の上皮細胞は外来のウイルス、細菌、真菌、寄生虫等の微生物、食物抗原や異物の侵入の危険にさらされているが、粘液は、上皮細胞が外来の微生物、食物抗原や異物と接触するのを阻止するバリアーの役目も果たしている。
粘液の主成分はムチンと呼ばれる糖タンパク質であり、粘液細胞から産生・分泌されており、上皮細胞の防御に対して重要な役割を果たすため、ムチンの分泌量の変化は、防御機能や生理機能に重要な影響をもたらす。
従来より、ある種の食物繊維等にムチン産生促進作用が認められている。例えば、非特許文献1にアルギン酸ナトリウム、カラギーナンやフコイダン、非特許文献2にフルクタン、非特許文献3にカルボキシメチルセルロースがムチンの分泌を促進することが記載されている。また、非特許文献4には、ムチン分泌が可溶性食物繊維の粘度に比例してムチン分泌量が増加していることが記載されている。
また、特許文献1には、(A)大腸における発酵分解率が25%未満の食物繊維及び(B)大腸における発酵分解率が25%以上の食物繊維を含有する消化管粘液の産生促進剤が開示されている。
特開2008−24669
Barcelo,A., Claustre,J., Moro,F.,et al.: Mucin secretion is modulated by luminal factors in the isolated vascularly perfused rat colon,Gut,2000 46,218-224 Kleessen,B.and Blaut,M.:Modulation of gut mucosal biofilms,Br.J. Nutr.,2005 93,S35-40. Piel,C.,Montagne, L.,Seve,B., et al.: Increasing digesta viscosity using carboxymethylcellulose in weaned piglets stimulates ileal goblet cell numbers and maturation,J.Nutr.,2009 135,86-91 H.Ito,M.Satsukawa,E.Arai,K.Sugiyama,Ksonoyama,S.Kiriyama,and T.Morita:Soluble Fiber Viscosity Affects Both Goblet Cell Number and Small Intestine Mucin Secretion in Rats,J.Nutr.,2009 139 ,1640-1647
ムチンは、粘膜の恒常性維持および傷害を受けた場合の修復促進のために、必須の生体成分であるが、明らかなムチン分泌促進作用を有する物質については、未だ多くは見出だされていないのが現状である。したがって、簡便に製造することが可能であって、ムチン分泌促進作用を示し、利用範囲が広く、かつ副作用がほとんど無いムチン分泌促進剤が待望されている。
そこで、本発明の目的は、新しいムチン分泌促進剤及びその利用方法を提供することにある。
さらに、タバコやアルコール、各種薬剤、乱れた食生活、あるいはストレスなど、日常生活における種々の刺激や、摂食・嚥下障害等の疾患や手術等により食事を経口摂取できない場合にもムチン分泌量の減少や絨毛長の縮小といった腸管バリア機能の低下が観察されることが知られている。このような状態では微生物による感染や胃酸等による消化管粘膜の損傷を引き起こすリスクが高まる。そこで、本発明はこのような課題を解決するため、健常者においても効果を有するが、特に上記原因等によりムチン分泌作用が低下した者に対して有効であるムチン分泌促進剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、特定の糖加熱縮合物が、粘膜の恒常性維持および傷害を受けた場合の修復促進のために有用な、顕著なムチン分泌促進作用を有することを見出した。
すなわち、本発明の第1は、マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤を提供するものである。
本発明のムチン分泌促進剤の有効成分は、マンノースのみを構成糖とする糖加熱縮合物であることが好ましく、マンノースを加熱縮合させた糖加熱縮合物であることがより好ましい。
本発明の第2は、マンノース及びグルコースを構成糖として含む糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤を提供するものである。
本発明のムチン分泌促進剤の有効成分は、マンノースとグルコースを構成糖とする糖加熱縮合物であることが好ましく、構成糖として、マンノース1質量部に対して1質量部以下のグルコースを含有する糖加熱縮合物であることがより好ましい。
本発明の第3は、上記のムチン分泌促進剤を有効成分とする腸管バリア機能改善用組成物を提供するものである。
そして、本発明の第4は、上記のムチン分泌促進剤を有効成分とする消化管粘膜保護用組成物を提供するものである。
さらに、本発明の第5は、上記のムチン分泌促進剤を有効成分とする感染予防剤を提供するものである。
本発明によれば、本発明の糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤の有効成分である糖加熱縮合物は、簡便に製造することが可能であり、顕著なムチン分泌促進剤として用いることができる。
また、本発明の糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤は、腸管バリア機能改善用や消化管粘膜保護用、感染予防剤としても用いることができる。加えて、本発明のムチン分泌促進剤は、低粘度であるという特徴から、多量に食品に添加可能であり、利用範囲が広く、ムチン分泌促進作用を顕著に有する食品を提供することができる。
実施例6に示す加熱縮合により得られた試料1及び試料7〜13の粘度を示す。
本発明の糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤における糖加熱縮合物は、マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物である。
糖加熱縮合物とは、原料糖を加熱縮合させることで得られる糖の重合体である。原料糖の加熱縮合の方法については後述する。本発明の糖加熱縮合物は、マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物であれば良く、マンノースのみを構成糖とする糖加熱縮合物及びマンノース及びマンノース以外の糖を構成糖として含有する糖加熱縮合物のいずれも包含する。ムチン分泌促進剤としての効果の点から、マンノースのみを構成糖とする糖加熱縮合物が好ましい。
本発明の糖加熱縮合物の重量平均分子量は、1000〜5000Daの範囲であることが、ムチン分泌促進剤としての効果という観点からは好ましく、1000〜3000Daの範囲であることがより好ましい。
前記糖加熱縮合物に構成糖として含まれるマンノース以外の糖としては、ヘキソース(例えば、グルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドースタロース、フルクトース、ソルボース、プシコース、タガトースなど)、ペントース(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、リブロース、キシルロースなど)及びテトロース(例えば、エリトロース、トレオース、及び、エリトルロースなど)を挙げることができる。マンノース以外の糖を構成糖として含有する糖加熱縮合物は、ムチン分泌促進剤としての効果という観点から、構成糖の20%以上がマンノースであることが好ましく、30%以上がマンノースであることがより好ましく、40%以上がマンノースであることが特に好ましく、50%以上がマンノースであることが最も好ましい。
前記糖加熱縮合物は、原料糖質を加熱することで糖縮合反応させて製造することができる。ここで、「糖縮合反応」とは、糖質同士を縮合重合させて糖縮合物を得る反応をいい、典型的には、糖質の水酸基同士が脱水縮合するような反応をいう。
糖縮合反応の原料は、マンノースを構成糖として含む糖質であれば、いずれの糖質でも良く、特に限定されるものではない。例えば、マンノースの重合体であるマンノオリゴ糖やマンナン、グルコースとマンノースの重合体であるグルコマンナン、ガラクトースとマンノースの重合体であるガラクトマンナンや単糖のマンノースを用いることができ、効果の点から、単糖のマンノース含量が80%以上の糖質原料が好ましく、単糖のマンノース含量が90%以上の糖質原料がより好ましい。
また、本発明では、マンノースを構成糖として含む糖質原料に加えて、ヘキソース、ペントース、テトロースを構成糖として含む糖質、例えば、グルコース、ガラクトース、アロース、アルトロース、グロース、イドースおよびタロース、フルクトース、ソルボース、プシコース、タガトース、リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、リブロース、キシルロース、エリトロース、トレオース 及び エリトルロースなどを構成糖として含む糖質原料を用いても良い。
マンノースを構成糖として含む糖質原料に加えて、マンノース以外の糖を構成糖として含む糖質を原料糖質に用いる場合、コスト面及び供給のしやすさの点からグルコースを構成糖とする糖質(グルコースおよび/またはグルコース重合体)、例えば、グルコース、マルトース、構成糖がグルコースであるオリゴ糖、澱粉分解物、水飴、粉飴、デキストリン、を用いるのが好ましく、DE50以上のグルコースを構成糖とする糖質を用いるのがより好ましく、DE75以上のグルコースを構成糖とする糖質を用いるのが更に好ましく、DE90以上のグルコースを構成糖とする糖質を用いるのが特に好ましい。ここで、「DE(Dextrose Equivalent)」とは、澱粉分解物の分解度合いの指標であり、試料中の還元糖をブドウ糖として固形分に対する百分率で示した値であり、その測定法としては、例えばレーンエイノン法などで測定することができる。
マンノースおよびグルコースを構成糖として含む糖加熱縮合物を製造するための糖縮合反応の原料としては、マンノースおよび/またはマンノース重合体とグルコースおよび/またはグルコース重合体を糖質原料として用いるのが、コスト面及び供給のしやすさなどの観点から好ましい。その質量比にも特に制限はないが、マンノースおよび/またはマンノース重合体1質量部に対して、グルコースおよび/またはグルコース重合体を4質量部以下の割合で含有する原料糖質の糖加熱縮合物が好ましく、1質量部以下の割合で含有する原料糖質を用いることが、ムチン分泌促進剤としての効果に優れた糖加熱縮合物が得られることから特に好ましい。構成糖として、マンノース1質量部に対してグルコースを4質量部以下、又は1質量部以下の割合で含有する糖加熱縮合物は、例えば、マンノースおよび/またはマンノース重合体1質量部に対して、グルコースおよび/またはグルコース重合体を4質量部以下、又は1質量部以下の割合で含有する原料糖質を加熱縮合することで得ることができる。
また、本発明の製造方法では、糖縮合反応の原料糖質は結晶化した糖質および/または非結晶性の糖質粉末であっても、シロップ状の糖質であってもよい。本発明の製造方法で糖縮合反応の原料糖質として利用できるシロップ状の糖質としては、糖質の水溶液であれば特に制限はないが、縮合反応においては低水分量である事が好ましい。また、糖質原料は、単一糖質の純品でもよく、複数の糖質の混合物でもよい。
加熱することで糖縮合反応を行う方法は、特に限定されるものではなく、触媒非存在下で行ってもよいが、糖縮合反応効率の点から触媒存在下で行うのが好ましい。糖縮合反応に用いる触媒にも特に制限は無く、無機酸(塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等)、有機酸(クエン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、酢酸等)、鉱物性物質(珪藻土、活性白土、酸性白土、ベントナイト、カオリナイト、タルク等)および活性炭(水蒸気炭、塩化亜鉛炭、スルホン化活性炭、酸化活性炭)を用いることができる。沈降、ろ過、遠心分離、または充填塔式とすることにより反応系から容易に分離することができ、かつ糖加熱縮合物の着色を抑制できることから、触媒として活性炭存在下で加熱することで糖縮合反応を行うことが好ましい。活性炭の使用量は糖縮合反応が進行する限り特に限定されないが、糖質原料100重量部に対し、好ましくは0.01〜 100重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲とすることができる。
本発明においては、マンノースを構成糖として含む原料糖質を加熱縮合するムチン分泌促進剤の製造方法を提供することができる。本発明の製造方法においては、上述の糖質を原料糖質として用いることができる。本発明の製造方法では糖縮合反応を100℃以上、好ましくは、原料糖質となる糖質の融点以上の温度で実施することができるが、反応効率の観点から100℃〜300℃、好ましくは、100℃〜280℃ 、より好ましくは、170℃〜280℃ の温度範囲で実施することができる。反応時間は縮合反応の進行度合いに従って調整できるが、例えば、反応温度180℃で5〜180分、反応温度190℃で1〜180分、反応温度200℃ で1〜180分とすることができる。反応機器の構造は常圧方式または減圧方式により異なるが、100℃ から300℃ の加熱条件を満たす機械であれば特に制限はない。例えば、棚式熱風乾燥機、薄膜式蒸発器、フラッシュエバポレーター、減圧乾燥機、熱風乾燥機、スチームジャケットスクリューコンベヤー、ドラムドライヤー、エクストルーダー、ウォームシャフト反応機、ニーダーなどが挙げられる。また、反応機器は連続化も可能である。
本発明の製造方法では糖縮合反応を常圧条件下あるいは減圧条件下で実施することができる。糖縮合反応を減圧条件下で実施した場合には反応生成物の着色度が低下するため有利である。
本発明の糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤は、従来から知られているムチン分泌促進作用を有する食物繊維に比べて、低粘度であり、例えば、25℃,1%水溶液が0.5〜10mPa・sの粘度を示すことから、従来のムチン分泌促進作用を有する食物繊維より、様々な食品に、多量に添加可能であり、ムチン分泌促進作用を顕著に有する食品を提供することができる。
本発明のムチン分泌抑促進剤を添加する食品にも特に制限は無く、例えば、日常的に食する飲食品、健康食品(特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品等)、機能性食品、病者用食品等として提供することができる。その形態としては、飲食物、錠剤、液剤、カプセル(軟カプセル、硬カプセル)、粉末、顆粒、スティック、ゼリーなどが挙げられる。このような飲食品は、通常、食品の製造に用いられる方法に従って、製造することができる。なお、「特定保健用食品」とは、機能等を表示して食品の製造または販売等を行う場合に、保健上の観点から法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。
更に、本発明のムチン分泌促進剤は、飼育・養殖動物(家畜、家禽、魚類等)やペット・愛玩動物の飼料に含有させて使用することもできる。
本発明のムチン分泌促進剤は、必要に応じて、有効成分であるマンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物に対し薬学的に許容される基材や担体を添加して製剤化することができる。本発明のムチン分泌促進剤を製剤化したものは、腸管バリア機能改善用組成物、消化管粘膜保護用組成物及び感染予防剤として用いることができる。本発明の腸管バリア機能改善用組成物、消化管粘膜保護用組成物及び感染予防剤は、健常者においても効果を有するが、特に、種々の理由により、ムチン分泌量の減少や絨毛長の縮小といった腸管バリア機能の低下が観察される者に対して有効である。
腸管バリア機能改善用組成物は、ムチンを分泌させることで、アレルゲン物質が体内に侵入するのを予防することを目的とする用途に用いる組成物である。
消化管粘膜保護用組成物は、ムチンは消化器系器官の内腔表面の粘液層の粘液の主成分であるため、ムチンを分泌させることで消化管粘膜を保護することを目的とする用途に用いる組成物である。
感染予防剤は、ムチンを分泌させることで、外来のウイルスや、細菌、真菌、寄生虫等の微生物との接触を防ぎ、感染を予防する用途に用いる組成物である。
上記製剤化された本発明によるムチン分泌促進剤は、例えば、経口投与される製剤であり、錠剤、顆粒剤、散剤、液剤、粉末、顆粒、カプセル剤等の形態で提供することができる。このような製剤化は、通常、医薬の製造に用いられる方法に従って、製造することができる。本発明によれば、本発明によるムチン分泌促進剤を医薬品または医薬部外品に含有させて使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定される
ものではない。
[実施例1]
以下のようにして試料1〜試料5の加熱縮合物を調製した。
(試料1)
ステンレス容器に原料糖質としてマンノースと3%(固形分当り)の活性炭を混合した後、60℃の熱風乾燥機内へ投入し、180℃に達温後、2分間反応させ、マンノースを構成糖とする加熱縮合物を得た。得られた加熱縮合物は純水に溶解後、濾過、脱色、脱塩、フィルター濾過を実施し、凍結乾燥により乾物とし、試験に使用した。
(試料2)
原料糖質としてグルコースを用いる以外は試料1と同様の製造方法で加熱縮合物を得た。
(試料3)
原料糖質としてガラクトースを用いる以外は試料1と同様の製造方法で加熱縮合物を得た。
(試料4)
原料糖質としてアラビノースを用いる以外は試料1と同様の製造方法で加熱縮合物を得た。
(試料5)
原料糖質としてキシロースを用いる以外は試料1と同様の製造方法で加熱縮合物を得た。
[実施例2]
実施例1で得た試料1〜試料3を、ラットに摂取させ、本発明のムチン分泌促進作用の効果を確認した。
(試験方法)
ラット(SD系、7週齢、雄)24匹を3日間予備飼育の後、4群に分け、それぞれに、通常の精製飼料(AIN−76)にセルロース5%(コーンスターチ置換)を含む飼料(コントロール飼料)及びコントロールに試料1〜3を5%添加(コーンスターチ置換)した飼料1〜3(表1)を10日間摂取させた。
10日目に非絶食下で解剖を実施し、小腸摘出後、小腸内容物を回収した。小腸内容物中の粗ムチンを60%エタノール沈殿画分として得た。得られた小腸内粗ムチンサンプルのムチン含量をELISA法(直接吸着法)により測定した。本ELISA法は一次抗体にウサギ由来抗ムチン抗体、二次抗体にビオチン化ヤギ由来抗ウサギIgG抗体を使用した。
(結果)
測定結果を表2に示す。試験期間中、各個体は健常的な成長を示した。
マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物である試料1を含有する飼料1を摂取させたラットの小腸内ムチン含量は、コントロール飼料を摂取させたラットと比較して有意に高い値を示した。(表中の*はコントロール群との有意差を表す(p<0.05))
[実施例3]
実施例1で得た試料4、試料5及び難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製、商品名「ファイバーソル2」)(試料6)を、ラットに摂取させ、本発明のムチン分泌促進作用の効果を確認した。
(試験方法)
ラット(SD系、7週齢、雄)24匹を3日間予備飼育の後、4群に分け、それぞれに、通常の精製飼料(AIN−76)にセルロース5%(コーンスターチ置換)を含む飼料(コントロール飼料)及びコントロールに試料4〜試料6を5%添加(コーンスターチ置換)した飼料4〜6(表2)を10日間摂取させた。
10日目に非絶食下で解剖を実施し、小腸摘出後、小腸内容物を回収した。小腸内容物中の粗ムチンを60%エタノール沈殿画分として得た。得られた小腸内粗ムチンサンプルのムチン含量を実施例2の試験方法に記載したと同様のELISA法により測定した。
(結果)
測定結果を表4に示す。試験期間中、各個体は健常的な成長を示した。
飼料4〜6を摂取させたいずれのラットの小腸内ムチン含量も、コントロール飼料を摂取させたラットと比較して有意に高い値を示さなかった。
[実施例4]
実施例2同様、コントロール飼料または飼料1〜飼料3を、回腸直腸吻合術を施したラットに摂取させ、本発明のムチン分泌促進作用の効果を確認した。
(試験方法)
ラット(SD系、5週齢、雄)24匹に回腸直腸吻合を施術後、9日間の回復期間の後、4群に分け、それぞれに、コントロール飼料及び飼料1〜3(表1)を12日間摂取させた。
試験飼料による飼育開始後、10日目より最終の12日目まで糞便を全量採取した。なお、回腸直腸吻合術は回腸末端が直腸に吻合されているため、該ラットの糞便は小腸通過物として扱うことが可能である。また、直腸には腸内細菌が存在しているため、これらによる発酵の影響を軽減する目的で、ラットに与える飲水は0.1%ネオマイシン水溶液とした。採取した糞便(小腸内容物)については、実施例2と同様の方法でムチン含量を測定した。
(結果)
測定結果を表5に示す。試験期間中、各個体は健常的な成長を示した。
マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物である試料1を含有する飼料1を摂取させたラットのムチン含量は、コントロール飼料を摂取させたラットと比較して有意に高い値を示した。(表中の*はコントロール群との有意差を表す(p<0.05))
[実施例5]
実施例3同様、コントロール飼料または飼料4〜飼料6を、回腸直腸吻合術を施したラットに摂取させ、本発明のムチン分泌促進作用の効果を確認した。
(試験方法)
ラット(SD系、5週齢、雄)24匹に回腸直腸吻合を施術後、9日間の回復期間の後、4群に分け、それぞれに、コントロール飼料及び飼料4〜6(表3)を10日間摂取させた。
試験飼料による飼育開始後、7日目より最終の10日目まで糞便を全量採取した。なお、回腸直腸吻合術は回腸末端が直腸に吻合されているため、該ラットの糞便は小腸通過物として扱うことが可能である。また、直腸には腸内細菌が存在しているため、これらによる発酵の影響を軽減する目的で、ラットに与える飲水は0.1%ネオマイシン水溶液とした。採取した糞便(小腸内容物)については、実施例2と同様の方法でムチン含量を測定した。
(結果)
測定結果を表6に示す。試験期間中、各個体は健常的な成長を示した。
飼料4〜6を摂取させたいずれのラットの小腸内ムチン含量も、コントロール飼料を摂取させたラットと比較して有意に高い値を示さなかった。
[実施例6]
試料1、及びコンニャクマンナン(低分子(試料7)、中分子(試料8)、高分子(試料9))、アルギン酸ナトリウム(試料10)、カルボキシメチルセルロース(試料11)、カラギーナン(試料12)、グアーガム(試料13)の粘度を以下の粘度測定方法に従って測定した。
(粘度測定方法)
各試料の1%水溶液を300mL調製した。すなわち、試料3gを純水297gに分散し撹拌して溶解させた。溶解しにくいものを適宜湯煎にて加熱した。1%水溶液300mLを入れた300mL容トールビーカーを25℃恒温槽へ入れ、液温が25℃の状態を保ち、B型粘度計(東機産業株式会社、TVB−10)にて粘度を測定した。
(重量平均分子量の測定方法)
ゲル浸透クロマトグラフィーにより以下の条件で分析を実施し、重量平均分子量を測定した。
カラム:Shodex OHPak SB-G + SB-804 HQ + SB-803 HQ + SB-802.5 HQ(昭和電工株式会社製)
溶媒:50 mM NaNO3
測定時間:60 min
カラム温度:55℃
流速:1.0 mL/min
打込み量:5%(w/v)×10μL
検出器:RI
分子量校正用標準試料:プルラン
(結果)
加熱縮合により得られた試料1の重量平均分子量は2,167であり、粘度は、従来より知られているムチン分泌促進作用を有する試料8〜13と比較して明らかに低い値となった(表1及び図1)。なお、試料7は試料1と同程度の粘度を示したが、試料7にはムチン分泌促進作用が無いことが報告されている。
これまでにムチン分泌促進作用が報告されている素材は天然物由来の食物繊維が多く、それらは巨大な多糖(分子量:10−30万Da)である。一方、本発明の実施態様であるマンノースの加熱縮合物は天然物由来ではなく人工的に製造したものであり、分子量は2,000Da程度であり、この分子量の差に起因して粘度の違いが生じる物と考えられる。
本発明は、糖加熱縮合物及びムチン分泌促進作用を有する物質に関連する分野において有用である。

Claims (11)

  1. マンノースを構成糖として含む糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤。
  2. マンノースを構成糖とする糖加熱縮合物を有効成分とするムチン分泌促進剤。
  3. 前記糖加熱縮合物がマンノースの糖加熱縮合物である請求項2記載のムチン分泌促進剤。
  4. 前記糖加熱縮合物は、グルコースを構成糖としてさらに含む請求項1に記載のムチン分泌促進剤。
  5. 前記糖加熱縮合物は、マンノースとグルコースを構成糖とする糖加熱縮合物である請求項4に記載のムチン分泌促進剤。
  6. 構成糖として、マンノース1質量部に対して1質量部以下のグルコースを含有する糖加熱縮合物である請求項5記載のムチン分泌促進剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のムチン分泌促進剤を含有する腸管バリア機能改善用組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のムチン分泌促進剤を含有する消化管粘膜保護用組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のムチン分泌促進剤を含有する感染予防剤。
  10. ウイルスに対する感染予防に用いる請求項9に記載の感染予防剤。
  11. 細菌に対する感染予防に用いる請求項9に記載の感染予防剤。
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