JP2017094260A - 含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から、油分を効率よく安価に分離して回収することが可能な含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置を提供する。【解決手段】油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収方法であり、被処理水に塩を添加することで、被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理工程と、前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する分離工程と、を順次備える。【選択図】図1
Description
本発明は、含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置に関し、より詳しくは、油分を含む被処理水から効果的に油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置に関する。
従来から、含油廃水に対する処理技術として、重力分離や溶剤処理等の様々な技術が提案されており、各種方法で含油廃水中の油分の分離が行われている。ここで、含油廃水の中でも、特に、油滴が廃水中でエマルジョンを形成している場合(水中油滴型エマルジョン)には、粒径の非常に小さな油滴までも除去・回収することが要求されている。このような、水中油滴型エマルジョンが形成された含油廃水の例としては、例えば、石油随伴水等が挙げられる。
上記の石油随伴水は、石油や天然ガスの生産に伴って副次的に発生し、油分やガス成分のみならず、塩類、有機物、無機物、重金属類等の種々の成分を含んでいる。このため、石油随伴水を河川や海洋に放流することは、環境負荷が非常に大きく好ましくないことから、石油随伴水については、特に適切に処理することが求められている。さらに、近年においては、高水圧によって地層を破砕することでシェールガスを採掘することが盛んになっていることから、フローバック水として大量に発生する石油随伴水(以下、単に「随伴水」と称することがある)を効率的に処理することが強く求められている。また、近年は、省資源の観点から、分離した油分を油資源として効率的に回収することも求められるようになっている。
従来、含油廃水に対する水処理においては、前処理として、まず、重力分離によって油水分離が行われている。そして、上記の重力分離による油水分離で回収しきれなかった油分については、その後、凝集処理や溶剤処理等の様々な処理方法によって除去する方法が採用されている。このため、油資源回収の観点からは、凝集剤や溶剤等が添加されていない前処理の油水分離において、少しでも多くの油分を回収することが望まれている。しかしながら、含油廃水中において、油滴が上記のエマルジョンを形成している場合には、重力分離による油水分離は非常に困難となっている。
ここで、油分を浮上させて油水分離する方法、即ち、比重差を利用して油水分離を行う方法としては、含油廃水中に気泡を添加する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、含油廃水中に含まれる重質油を回収する方法として、含油廃水に二酸化炭素を供給しながら当該溶液に超音波を照射することで、含油廃水中の重質油を浮上させることが提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、重質油の全量に対する浮上率は60%程度に留まることから、この工程を複数回で実施する必要があり、油分を回収する処理効率が低いという問題がある。
また、特許文献2には、含油廃水に凝集剤を添加し、含油廃水中に含まれる油分を凝集させた後に、加圧浮上処理を行うことが提案されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、浮上させて回収した油分を含むフロックに凝集剤が混入していることから、この回収油分を油資源として利用するのは困難であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した含油廃水を油水分離する場合であっても、油分を効率よく低コストに回収することが可能な、含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置を提供することを目的とする。
まず、本発明における第1の発明は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から前記油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収方法であって、前記被処理水に塩を添加することで、前記被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理工程と、前記前処理工程で油水分離した前記被処理水から前記油分を分離する分離工程と、を順次備えることを特徴とする。
上記構成の含油廃水からの油分回収方法によれば、水中油滴型エマルジョンが形成された被処理水中の油分を分離・回収するにあたり、油水分離を行って油分を回収する分離工程の前に、被処理水に塩を添加する前処理工程を備えることにより、予め、塩添加による塩析を生じさせることでエマルジョンの油水分離を促進させる。これにより、分離工程において、重力分離による作用で、油分を被処理水中の水面に効果的に浮上させることができ、油分の浮上率が高められるので、被処理水中からの油分の回収率を向上させることが可能となる。
次に、本発明における第2の発明は、上記構成の含油廃水からの油分回収方法において、前記前処理工程が、前記塩として、前記被処理水中に溶解して陽イオンとして存在可能な塩を添加することを特徴とする。
また、本発明における第3の発明は、上記構成の含油廃水からの油分回収方法において、前記前処理工程が、前記塩として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムのうちの少なくとも何れか1種を添加することを特徴とする。
また、本発明における第3の発明は、上記構成の含油廃水からの油分回収方法において、前記前処理工程が、前記塩として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムのうちの少なくとも何れか1種を添加することを特徴とする。
上記構成の含油廃水からの油分回収方法によれば、前処理工程において上記の塩を添加することにより、エマルジョンの油水分離をより促進できる。これにより、分離工程における油分の浮上率をより高めることができるので、油分の回収率をさらに向上させることが可能となる。
次に、本発明における第4の発明は、上記構成の含油廃水からの油分回収方法において、前記前処理工程が、前記被処理水を用いた事前試験によって前記油水分離が可能な塩濃度を決定した後、該塩濃度に基づいて前記塩の添加量を決定することを特徴とする。
上記構成の含油廃水からの油分回収方法によれば、前処理工程において、事前試験に基づいて塩の添加量を調整して被処理水中における塩濃度を最適化することにより、上記同様、エマルジョンの油水分離をさらに促進できる。これにより、分離工程における油分の浮上率をさらに高めることができるので、油分の回収率を顕著に向上させることが可能となる。
次に、本発明における第5の発明は、上記構成の含油廃水からの油分回収方法において、前記被処理水が、エネルギー資源の採掘で発生した随伴水であることを特徴とする。
上記構成の含油廃水からの油分回収方法によれば、例えば、石油や天然ガスの生産に伴って副次的に発生する、油分やガス成分を含む被処理水からの油分の回収に適用した場合において、上述したように、前処理工程においてエマルジョンの油水分離を促進して油分を効果的に被処理水中の水面に浮上させ、分離工程における油分の浮上率をより高めることができるので、被処理水中からの油分の回収率を向上できる効果が顕著に得られる。
本発明における第6の発明は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から前記油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収装置であって、前記被処理水に塩を添加することで、前記被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理部と、前記前処理部で油水分離した前記被処理水から前記油分を分離する分離槽と、を備えることを特徴とする。
上記構成の含油廃水からの油分回収装置によれば、被処理水に塩を添加する前処理部を備えることにより、分離槽によって油分を回収する前に、予め、塩添加による塩析を生じさせることでエマルジョンの油水分離を促進させる。これにより、分離槽において、油分を被処理水中の水面に効果的に浮上させることができ、油分の浮上率が高められるので、被処理水中から効率よく油分を回収することが可能となる。
なお、本発明においては、石油随伴水等の油分を含有する被処理水から、該被処理水中でエマルジョンを形成する油分を回収することを目的としているが、本発明に係る含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置によって得られる作用は、原油や重油等の油分を回収することのみに限定されるものではない。例えば、本発明に係る含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置は、上記の水中油滴型と同様のエマルジョンを形成する、非水溶性物質による水中エマルジョンの回収処理にも適用することが可能なものである。
本発明に係る含油廃水からの油分回収方法によれば、前処理工程において被処理水に塩を添加し、エマルジョンの油水分離を促進させてから、分離工程において、前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する方法なので、油分を被処理水中の水面に効果的に浮上させ、油分の浮上率を高めることができ、被処理水中からの油分の回収率を向上させることが可能となる。
従って、本発明に係る含油廃水からの油分回収方法、並びに油分回収装置によれば、貴重な油資源である油分を高回収率且つ低コストで回収することが可能になる。
従って、本発明に係る含油廃水からの油分回収方法、並びに油分回収装置によれば、貴重な油資源である油分を高回収率且つ低コストで回収することが可能になる。
以下、本発明の実施形態である含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置(以下、単に回収方法又は回収装置と略称することがある)の一例を挙げ、その構成について、図1〜図7を適宜参照しながら詳述する。
[含油廃水からの油分回収方法]
本実施形態の含油廃水からの油分回収方法は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から油分を回収する方法であり、被処理水に塩を添加することで、被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理工程と、この前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する分離工程と、を順次備える方法である。具体的には、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法は、例えば、図1に示すような、詳細を後述する油分回収装置10を用いて実施することができる。
本実施形態の含油廃水からの油分回収方法は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から油分を回収する方法であり、被処理水に塩を添加することで、被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理工程と、この前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する分離工程と、を順次備える方法である。具体的には、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法は、例えば、図1に示すような、詳細を後述する油分回収装置10を用いて実施することができる。
(被処理水:含油廃水)
本実施形態の回収方法における被処理水としては、油分を含む廃水であれば特に限定されず、種々の含油廃水が挙げられ、例えば、石油や天然ガス等のエネルギー資源の採掘に伴って発生する随伴水が挙げられる。その他、被処理水としては、例えば、工場、ガソリンスタンド、厨房、家庭等から排出される食用油、鉱物油、ガソリン等を含む含油排水であってもよく、本実施形態の回収方法は、何れの含油廃水に適用した場合であっても、その効果が顕著に発揮されるものである。
本実施形態の回収方法における被処理水としては、油分を含む廃水であれば特に限定されず、種々の含油廃水が挙げられ、例えば、石油や天然ガス等のエネルギー資源の採掘に伴って発生する随伴水が挙げられる。その他、被処理水としては、例えば、工場、ガソリンスタンド、厨房、家庭等から排出される食用油、鉱物油、ガソリン等を含む含油排水であってもよく、本実施形態の回収方法は、何れの含油廃水に適用した場合であっても、その効果が顕著に発揮されるものである。
本実施形態の回収方法においては、含油廃水(被処理水)に含まれる油分の種類は、特に限定されない。上記のような、石油採掘時の随伴水等の含油廃水中に含まれる油分の種類を特定することは非常に困難である場合もあり得るが、例えば、炭素原子数が6〜44の炭化水素等を、油分の一例として挙げることができる。
本発明における被処理水である含油廃水に含まれる油分の量は、特に制限されるものではないが、油分の除去処理が必要になる油分濃度として、例えば、0.1mg/L以上の油分含有量を例示できる。
本実施形態の回収方法においては、被処理水である含油廃水に含まれる油分の量1〜1000mg/L程度であれば、容易に油分を分離・回収することが可能である。
本実施形態の回収方法においては、被処理水である含油廃水に含まれる油分の量1〜1000mg/L程度であれば、容易に油分を分離・回収することが可能である。
さらに、本実施形態における被処理水である含油廃水には、上記の油分の他に、例えば、ポリマー増粘剤、塩類、油分やポリマー増粘剤以外の有機物、無機物、重金属類等の夾雑成分が含まれていても構わない。一方、これらの夾雑成分が、本実施形態の回収方法による油分の分離・回収を妨げるおそれがある場合には、予め、夾雑成分を除去するための処理を行ってもよいし、含油廃水を水で希釈することによって夾雑成分による影響を低減してもよい。通常、上記の夾雑成分の濃度が1〜5質量%未満であれば、油分分離・回収に対する影響は、ほとんどみられない。
(回収方法)
本実施形態の回収方法においては、上述したように、含油廃水中に含まれる油分を回収する分離工程に先立ち、含油廃水に塩を添加することで、含油廃水中に存在する水中油滴型エマルジョンの油水分離を促進するための前処理工程を備えている。
本実施形態の回収方法においては、上述したように、含油廃水中に含まれる油分を回収する分離工程に先立ち、含油廃水に塩を添加することで、含油廃水中に存在する水中油滴型エマルジョンの油水分離を促進するための前処理工程を備えている。
本発明者等は、含油廃水に含有される油分を油資源として分離・回収する処理に関し、回収効率の向上や回収コストの削減が求められていることに対し、鋭意検討を重ねた。この結果、本発明者等は、含油廃水を重力分離作用で分離する前の工程において、塩を添加する前処理を施すことで、油分から形成されるエマルジョンの油水分離を促進できることを知見した。これにより、その後の分離工程において、重力分離による作用で、被処理水(含油廃水)中に含まれる油水分離後の油分を効果的に被処理水の水面に浮上させることができ、被処理水中から効率よく油分を回収できることを見出し、本発明を完成させたものである。上記のような、塩の添加によって水中油滴型エマルジョンの油水分離を促進できる作用は、塩による塩析で得られるものであり、含油廃水中においてエマルジョンを形成する油分を油水分離させるにあたり、非常に効果的である。
前処理工程は、上述したように、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した含油廃水に対して塩を添加することで、含油廃水中に形成されたエマルジョンを油水分離する工程である。
前処理工程において含油廃水に添加する塩の種類としては、特に限定されるものではないが、被処理水である含油廃水中に溶解し、陽イオンとして存在することが可能な塩、より具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムのうちの少なくとも何れか1種を添加することが好ましい。本実施形態においては、上記のような塩を選択して添加することにより、エマルジョンの油水分離が顕著に促進される作用が得られる。これにより、その後の分離工程において、含油廃水中に含まれる油水分離後の油分を効果的に被処理水中の水面に浮上させ、油分の浮上率を高めることができるので、油分の回収率を向上させることが可能となる。
前処理工程における塩の添加量としては、特に限定されず、水中油滴型エマルジョンの形成状況に応じて、事前試験を行うことで適宜決定すればよい。即ち、前処理工程においては、まず、被処理水である含油廃水を用いて予め事前試験を行い、当該含油廃水の油水分離が可能な塩濃度を決定した後、この塩濃度に基づいて塩の添加量を決定する方法を採用することができる。このように、含油廃水に対する塩の添加量を、塩濃度が最適化されるように調整することで、エマルジョンの油水分離が顕著に促進される作用が得られるので、その後の分離工程において、含油廃水中に含まれる油水分離後の油分を効果的に被処理水中の水面に浮上させることができる。上記のような、エマルジョンの油水分離を顕著に促進できる効果は、塩濃度が最適化されるように含油廃水に塩を添加することで得られるが、過剰な濃度になるまで塩を添加しても、油水分離に対する寄与度は変わらないため、塩の添加量は、処理コストを考慮しながら決定することが好ましい。
ここで、本発明においては、上述したように、塩の添加により、この塩が含油廃水中に陽イオンとして存在することが、エマルジョンの油水分離を促進する作用を得るうえで重要となる。
上述した、塩の添加による含油廃水中の水中油滴型エマルジョンの油水分離の作用については、後述の実施例において詳細に説明する。
上述した、塩の添加による含油廃水中の水中油滴型エマルジョンの油水分離の作用については、後述の実施例において詳細に説明する。
分離工程は、前処理工程に次いで行われる工程であり、上述したように、塩を添加して前処理を行った、油水分離後の含油廃水(被処理水)から油分を分離する工程である。
分離工程においては、例えば、分離槽(図1に例示する分離槽3を参照)内に油水分離後の含油廃水を導入して撹拌を行い、重力分離による作用によって、槽内において油分を浮上させる一方、油分と分離された水分を沈降させる。そして、分離工程では、浮上した上澄み部分の油分を回収することで、この油分を油資源とする等、再利用に供することが可能になる。本実施形態では、上述した前処理工程において含油廃水50に塩を添加することでエマルジョンの油水分離を促進させ、その後の分離工程において油水分離を行う方法なので、この分離工程における油分の浮上率を高めることができ、油分の回収率を大幅に向上させることが可能となる。
ここで、分離工程において浮上した油分の回収方法としては、特に限定されないが、後述の回収装置に備えられるような、従来公知のスクレーパーを用いた方法を採用することができる。
一方、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法においては、分離工程で沈降させて分離した水分については、所定の水処理工程、例えば、ろ過処理や吸着処理を施すことにより、分離水分中に微量に残留した油分や、その他の有機物質及び無機物質等を除去することで、高度に精製された処理水を得ることができる。この処理水は、例えば、石油や天然ガス等の採掘現場において再利用するか、あるいは廃棄処分することができる。
なお、本実施形態の回収方法においては、被処理水(含油廃水)に塩を添加することから、被処理水中における塩濃度が高まるが、このような場合、分離水分である処理水を海洋に放流したり地中へ返送したりすることには問題無いものの、この処理水を別の用途で再利用する場合には、処理水中の塩濃度を抑制するための所定の処理を行うことが好ましい。
上述したように、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法によれば、上記のような前処理工程を備えることにより、重力分離の作用等を用いた分離工程の前に、予め、エマルジョンの油水分離を促進させることで、次の分離工程における油分の回収効率が大幅に向上する。従って、含油廃水中に含有される油分を、高回収率、且つ、低コストで回収することが可能になる。
また、本実施形態の回収方法は、油分を含む被処理水のみならず、上記の水中油滴型と類似したエマルジョンを形成する、非水溶性物質による水中エマルジョンの処理にも適用可能である。
[含油廃水からの油分回収装置]
図1は、本実施形態の含油廃水からの油分回収装置10の構成を示す概略図である。
本実施形態の回収装置10は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した含油廃水(被処理水)50から油分を分離して回収する装置であり、含油廃水50に塩60を添加することで、含油廃水50中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理部2と、前処理部2で油水分離した含油廃水50から油分を分離する分離槽3と、を備えて概略構成される。
図1は、本実施形態の含油廃水からの油分回収装置10の構成を示す概略図である。
本実施形態の回収装置10は、油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した含油廃水(被処理水)50から油分を分離して回収する装置であり、含油廃水50に塩60を添加することで、含油廃水50中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理部2と、前処理部2で油水分離した含油廃水50から油分を分離する分離槽3と、を備えて概略構成される。
図1に示すように、石油採掘時に発生する随伴水等からなる含油廃水50は、まず、原液タンク1に導入される。原液タンク1に一時貯留された含油廃水50は、ポンプ11によって前処理部2に向けて送出される。
前処理部2は、原液タンク1から後述の分離槽3に向けて送出された含油廃水50が導入される配管21と、含油廃水50に対して塩60を添加するための塩供給タンク22とから構成される。
塩供給タンク22の内部には、液状の塩60を撹拌するための攪拌子23が配置されている。この攪拌子23は、例えば、モータ24によって回転駆動されるものであり、プロペラ型等の攪拌子を採用できる。また、塩供給タンク22には、塩60を配管21に向けて送出するためのポンプ25が接続されている。
塩供給タンク22の内部には、液状の塩60を撹拌するための攪拌子23が配置されている。この攪拌子23は、例えば、モータ24によって回転駆動されるものであり、プロペラ型等の攪拌子を採用できる。また、塩供給タンク22には、塩60を配管21に向けて送出するためのポンプ25が接続されている。
図示例の塩供給タンク22は、塩60を、原液タンク1と分離槽3とを接続する配管21の経路中に供給するように構成されている。一方、本実施形態の回収装置10に備えられる前処理部2は、このような構成には限定されず、例えば、配管21の経路中に図示略の前処理タンクを設け、この前処理タンク内に一時貯留された含油廃水50に対して塩60を供給するように構成することも可能である。
分離槽3は、前処理部2によってエマルジョンが油水分離された含油廃水50を、油分70と水分(処理水)80とに分離するものであり、配管21を通じて槽内に導入された含油廃水50を貯留する。分離槽3の内部には、油水分離後の含油廃水50を撹拌するための攪拌子33が配置されている。この攪拌子33は、モータ34によって回転駆動され、図示例では、プロペラ型の攪拌子が回転軸と同軸で2枚設けられている。また、分離槽3内における下部付近には、重力分離によって槽内の下部に沈降した水分80を外部に排出するためのポンプ32が配置されている。
また、図示例の分離槽3には、上部近傍にスクレーパー31が備えられている。このスクレーパー31は、分離槽3に収容された含油廃水50が重力分離することで、槽内の上部に上澄みとして浮上した油分70を回収するためのものである。このようなスクレーパー31としては、従来公知のものを何ら制限無く採用することができ、図示例のように、モータ等を駆動源として回転する一対のスプロケット35によって駆動される無端チェーン36に、板状のスクレーパー31が1枚又は複数で取り付けられた構成のものを採用することができる。図1中に示すスクレーパー31は、無端チェーン36が一対のスプロケット35間で回転するのに伴って往復移動し、スクレーパー31が分離槽3内を向く側に移動したときに、水面に浮上した油分70を掻き取って容器状の油分回収部38に回収するように構成されている。
なお、図1に示す例においては、2枚のスクレーパー31が等間隔で無端チェーン36に取り付けられたものを示しているが、スクレーパー31の枚数は、油分70の水面への浮上速度等を勘案しながら適宜設定することができる。
また、図1に示す例では、分離槽3における油分回収部38との接続部に、油分70の油分回収部38側への流出を促進しながら、分離槽3内において油分70が滞留するのを防止するための分離制御部材39が設けられている。この分離制御部材39は、図示例では断面三角形状の棒状部材に構成されており、三角形状をなす側面の内の1面が取付面39aとされ、この取付面39aが分離槽3の内壁に取り付けられている。また、分離制御部材39における他の側面の内の一方が、分離槽3内の斜め上方を向く上側斜面39bとして配置されており、他方が、分離槽3内の斜め下方を向く下側斜面39cとして配置されている。また、図示例においては、上側斜面39bと下側斜面39cとが交わる頂部が、油分70と水分80との分離界面付近に配置されるように構成されている。
本実施形態の油分回収装置10は、分離槽3内に分離制御部材39が備えられた構成を採用することにより、図1中に示すように、水面に浮上した油分70が上側斜面39bによって油分回収部38側に導かれるので、油分70をスクレーパー31で効率よく掻き出して回収することが可能になる。また、分離制御部材39に備えられる下側斜面39cにより、分離制御部材39の下側近傍、即ち、分離槽3の内壁近傍において油分70が滞留するのを防止できるので、より効率よく油分を回収することが可能になる。
なお、上記のような分離制御部材39を設けた構成を採用する場合には、スクレーパー31の先端部と分離制御部材39との干渉で装置が傷むのを防止するため、例えば、スクレーパー31の先端部をゴム材料等から構成することが好ましい。
スクレーパー31によって回収され、油分回収部38に収容された油分70は、例えば、図示略の配管によって油分貯留タンクに貯留された後、回収油分として再利用に供することが可能である。
なお、図1中では図示を省略しているが、本実施形態の回収装置10においては、さらに、分離槽3で沈降させて分離した水分80をろ過するろ過処理部や、ろ過後の水分80中に微量で残留する有機物質等を吸着除去する吸着処理部等を設けた構成を採用してもよい。
図示略のろ過処理部としては、水分中に微量に残留する濁質等をろ過して除去するもので、汚水処理等の分野における懸濁物の除去手段として通常用いられているろ過手段を何ら制限無く採用することができ、例えば、アンスラサイトによって構成されたものを採用できる。
図示略の吸着処理部は、さらに、含油廃水50から油分70として分離されず、水分80中に微量に残留した有機物質を吸着して除去することで、より高度に精製された処理水を得るものである。このような吸着処理部としても、この分野において有害物等の除去に通常用いられている吸着手段を何ら制限無く採用することができ、例えば、活性炭等に水分80を接触させることで各種物質を吸着することが可能な構成のものを採用できる。
図示略の吸着処理部において高度に精製された水分80は、例えば、浄化された処理水として図示略の処理水タンクに貯留された後、石油採掘現場等において再利用するか、あるいは、海洋に放流したり地中へ返送したりすることで廃棄することができる。
一方、油分回収方法の説明でも記したように、本実施形態の回収装置10においては、上記の前処理部2を備えることで、被処理水である含油廃水50中の塩濃度が高くなることから、油水分離後の水分80中の塩濃度も高くなることが考えられる。このため、本実施形態においては、上記の回収された水分80に対し、さらに、所定の中和処理等を行うための塩処理手段を設けてもよい。このような塩処理手段を設け、水分80中の塩濃度を抑制することにより、分離後の水分80を、例えば、石油採掘現場等以外においても再利用に供することが可能になる。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法によれば、前処理工程において被処理水に塩を添加し、エマルジョンの油水分離を促進させてから、分離工程において、前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する方法なので、油分を効果的に被処理水中の水面に浮上させることができ、被処理水中から効率よく油分を回収することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法によれば、前処理工程において被処理水に塩を添加し、エマルジョンの油水分離を促進させてから、分離工程において、前処理工程で油水分離した被処理水から油分を分離する方法なので、油分を効果的に被処理水中の水面に浮上させることができ、被処理水中から効率よく油分を回収することが可能となる。
また、本実施形態の含油廃水からの油分回収装置10によれば、前処理部2において被処理水である含油廃水50に塩60を添加し、エマルジョンの油水分離を促進させてから、分離槽3において、前処理部2において油水分離した含油廃水50から油分70を分離する装置なので、上記同様、被処理水中から効率よく油分を回収することが可能となる。
従って、本実施形態の含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置10によれば、貴重な油資源である油分70を高回収率且つ低コストで回収することが可能になる。
次に、本発明の実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではない。
[実施例1]
実施例1においては、まず、水道水50mlに対してA重油0.15mLを添加し、試験瓶に収容した状態で一昼夜(12時間以上)にわたって振とうすることで、水中油滴型エマルジョンを含んだ模擬含油廃水を調製した(図2(a)の写真を参照)。
そして、上記の模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度(0〜25質量%の範囲で14ポイント:0,0.2,0.4,0.6,0.8,1,2,4,6,8,10,15,20,25質量%)となるように、NaClを添加して撹拌を行った(図2(b)の写真を参照)。ここで、上記のうち、「塩濃度が0質量%」の場合は、NaClを添加しなかった例である。
実施例1においては、まず、水道水50mlに対してA重油0.15mLを添加し、試験瓶に収容した状態で一昼夜(12時間以上)にわたって振とうすることで、水中油滴型エマルジョンを含んだ模擬含油廃水を調製した(図2(a)の写真を参照)。
そして、上記の模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度(0〜25質量%の範囲で14ポイント:0,0.2,0.4,0.6,0.8,1,2,4,6,8,10,15,20,25質量%)となるように、NaClを添加して撹拌を行った(図2(b)の写真を参照)。ここで、上記のうち、「塩濃度が0質量%」の場合は、NaClを添加しなかった例である。
図2(a)に、実施例1において調製した模擬含油廃水を、計14本の試験瓶に収容した状態で、水中油滴型エマルジョンが形成された様子を確認した写真を示す。これら14本の試験瓶に収容された模擬含油廃水は、全て同じものである。
また、図2(b)に、図2(a)に示した模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度となるようにNaClを添加して撹拌した様子を確認した写真を示す。
また、図2(b)に、図2(a)に示した模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度となるようにNaClを添加して撹拌した様子を確認した写真を示す。
図2(a)の写真からわかるように、上記条件で調製した模擬含油廃水は、油分による水中油滴型エマルジョンが形成されていることから、全体的に白濁している。
一方、図2(a)の写真と図2(b)の写真との比較からわかるように、模擬含油廃水に塩(NaCl)を添加した後の塩濃度が高くなるほど、模擬含油廃水の濁りが減少しており(透明度が増しており)、水中油滴型エマルジョンを形成している油分濃度が低下していることが伺える。図2(b)の写真では、実際に、塩濃度が高められた模擬含油廃水において、液面に油分が浮上しているのがわかる。ここで、図2(b)の写真からは、塩濃度が4質量%以上の場合においては、その白濁度、即ち、水中油滴型エマルジョンを形成している油分濃度の低下の大きな違いは確認できない。
一方、図2(a)の写真と図2(b)の写真との比較からわかるように、模擬含油廃水に塩(NaCl)を添加した後の塩濃度が高くなるほど、模擬含油廃水の濁りが減少しており(透明度が増しており)、水中油滴型エマルジョンを形成している油分濃度が低下していることが伺える。図2(b)の写真では、実際に、塩濃度が高められた模擬含油廃水において、液面に油分が浮上しているのがわかる。ここで、図2(b)の写真からは、塩濃度が4質量%以上の場合においては、その白濁度、即ち、水中油滴型エマルジョンを形成している油分濃度の低下の大きな違いは確認できない。
また、図2(a)の写真に示したような、模擬含油廃水中の塩濃度を変化させた実験で得られたデータとして、図3(a)に塩濃度と油分濃度との関係を表すグラフ、図3(b)に塩濃度と油分回収率との関係を表すグラフを、それぞれ示した。ここで、油分の回収率としては、含油廃水からの油資源の回収の観点から、塩(NaCl)の添加後に水面に浮上した油分、即ち、油分濃度の減少分の油分が水面に浮上して回収可能となった量の、模擬含油廃水全量に対する割合とした。
図2(a)のグラフに示すように、模擬含油廃水の塩濃度が高くなるにつれ、油分濃度が大きく低下する傾向があることが確認できる。
また、図2(b)に示すように、模擬含油廃水の塩濃度が4質量%の場合には油分回収率が91.9%であり、塩濃度が4質量%以上の場合には油分回収率が90.1%〜95.6%の高回収率となっていることがわかる。
また、図2(b)に示すように、模擬含油廃水の塩濃度が4質量%の場合には油分回収率が91.9%であり、塩濃度が4質量%以上の場合には油分回収率が90.1%〜95.6%の高回収率となっていることがわかる。
[実施例2]
実施例2においては、水道水50mlに対して添加するA重油の量を0.30mLとした点を除き、実施例1と同様の手順で水中油滴型エマルジョンを含んだ模擬含油廃水を調製した。そして、実施例1と同様の手順で、上記の模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度となるように、NaClを添加して撹拌を行った。即ち、実施例2においては、実施例1に対して、初期油分濃度が異なる模擬含油廃水に塩を添加するように変更して実験を行った。
実施例2においては、水道水50mlに対して添加するA重油の量を0.30mLとした点を除き、実施例1と同様の手順で水中油滴型エマルジョンを含んだ模擬含油廃水を調製した。そして、実施例1と同様の手順で、上記の模擬含油廃水に対し、その塩濃度が種々の濃度となるように、NaClを添加して撹拌を行った。即ち、実施例2においては、実施例1に対して、初期油分濃度が異なる模擬含油廃水に塩を添加するように変更して実験を行った。
図4に、実施例2において調製した模擬含油廃水を計14本の試験瓶に収容し、これら各模擬含油廃水に対して、その塩濃度が種々の濃度となるようにNaClを添加して撹拌した様子を確認した写真を示す。
また、図4の写真に示したような、模擬含油廃水中の塩濃度を変化させた実験で得られたデータとして、図5(a)に塩濃度と油分濃度との関係を表すグラフ、図5(b)に塩濃度と油分回収率との関係を表すグラフを、それぞれ示す。
また、図4の写真に示したような、模擬含油廃水中の塩濃度を変化させた実験で得られたデータとして、図5(a)に塩濃度と油分濃度との関係を表すグラフ、図5(b)に塩濃度と油分回収率との関係を表すグラフを、それぞれ示す。
図4に示すように、実施例2においても、実施例1の場合と同様、模擬含油廃水に塩を添加した後の塩濃度が高くなるほど、模擬含油廃水の濁りが減少しており、水中油滴型エマルジョンを形成している油分濃度が低下していることが伺える。
また、図5(a)のグラフに示すように、実施例2においても、模擬含油廃水の塩濃度が高くなるにつれ、油分濃度が大きく低下する傾向があることが確認できる。
さらに、図5(b)に示すように、模擬含油廃水の塩濃度が4%の場合には油分回収率が94.6%であり、塩濃度が4質量%以上の場合には油分回収率が93.2%〜96.3%の高回収率となっていることがわかる。
また、図5(a)のグラフに示すように、実施例2においても、模擬含油廃水の塩濃度が高くなるにつれ、油分濃度が大きく低下する傾向があることが確認できる。
さらに、図5(b)に示すように、模擬含油廃水の塩濃度が4%の場合には油分回収率が94.6%であり、塩濃度が4質量%以上の場合には油分回収率が93.2%〜96.3%の高回収率となっていることがわかる。
[実施例3〜5]
実施例3〜5においては、塩として、硝酸ナトリウム・NaNO3(実施例3)、塩化マグネシウム・MgCl2(実施例4)、塩化カルシウム・CaCl2(実施例5)を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で調製した模擬含油廃水に対して、上記同様の条件で、その塩濃度が種々の濃度となるように各塩を添加して撹拌を行った。即ち、実施例3〜5においては、実施例1に対して、異なる種類の塩を模擬含油廃水に添加するように変更して実験を行った。
実施例3〜5においては、塩として、硝酸ナトリウム・NaNO3(実施例3)、塩化マグネシウム・MgCl2(実施例4)、塩化カルシウム・CaCl2(実施例5)を用いた点を除き、実施例1と同様の手順で調製した模擬含油廃水に対して、上記同様の条件で、その塩濃度が種々の濃度となるように各塩を添加して撹拌を行った。即ち、実施例3〜5においては、実施例1に対して、異なる種類の塩を模擬含油廃水に添加するように変更して実験を行った。
図6(a)〜(b)に、実施例3〜5において、調製した模擬含油廃水を計14本の試験瓶に収容し、これら各模擬含油廃水に対して、その塩濃度が種々の濃度となるように各種の塩を添加して撹拌した様子を確認した写真を示す。ここで、図6(a)は塩として硝酸ナトリウムを用いた場合、図6(b)は塩化マグネシウムを用いた場合、図8(c)は塩化カルシウムを用いた場合の状態を示す写真である。
図6(a)〜(b)に示すように、模擬含油廃水に対して何れの塩を添加した場合においても、塩濃度が高くなるのに伴って白濁が減少しているのが確認できる。
また、図6(a)〜(c)の写真に示したような、模擬含油廃水中の塩濃度を変化させた実験で得られたデータとして、図7(a)に塩としてNaNO3を添加した場合(実施例3)、図7(b)にMgCl2を添加した場合(実施例4)、図7(c)にCaCl2を添加した場合(実施例5)の、塩濃度と油分回収率との関係を表すグラフを、それぞれ示す。
図7(a)のグラフに示すように、NaNO3を添加した実施例3においては、図2に示したようなNaClを添加した実施例1とほぼ同様の結果が得られ、塩濃度が4質量%で91.0%の高回収率を示している。
一方、図7(b)のグラフに示すように、MgCl2を添加した実施例4においては、塩濃度が0.2質量%で91.7%の高回収率を示しており、0.2質量%を超える塩濃度の場合においても90%以上の高回収率を示している。
また、図7(c)のグラフに示すように、CaCl2を添加した実施例5においては、塩濃度が1質量%で90.3%の高回収率を示しており、1質量%を超える塩濃度の場合においても同程度の高回収率を示している。
従って、模擬含油廃水に対し、塩としてMgCl2又はCaCl2を添加した実施例4及び実施例5においては、NaClを添加した実施例1に比べて、少ない塩の添加量で同等の油分回収率が得られることがわかる。
一方、図7(b)のグラフに示すように、MgCl2を添加した実施例4においては、塩濃度が0.2質量%で91.7%の高回収率を示しており、0.2質量%を超える塩濃度の場合においても90%以上の高回収率を示している。
また、図7(c)のグラフに示すように、CaCl2を添加した実施例5においては、塩濃度が1質量%で90.3%の高回収率を示しており、1質量%を超える塩濃度の場合においても同程度の高回収率を示している。
従って、模擬含油廃水に対し、塩としてMgCl2又はCaCl2を添加した実施例4及び実施例5においては、NaClを添加した実施例1に比べて、少ない塩の添加量で同等の油分回収率が得られることがわかる。
[実施例1〜5の結果に基づく評価]
上記の各実施例の結果より、石油採掘現場等で発生する随伴水のような含油廃水から油分を回収するにあたっては、以下のようなことが考えられる。
即ち、含油廃水からの油資源の回収率を増加させるためには、最適な塩の種類と添加量の把握が必要となる。本実施例においては、含油廃水中の塩濃度が高くなるにつれて油分の回収率が増加していく傾向はみられるものの、ある一定の塩濃度以上となるように塩を添加した場合でも、油分の回収率に大きな差は見られない。従って、実際には、含油廃水の水質や経済性等を考慮し、石油採掘現場等において塩の最適添加量を設定するための事前試験を実施することで、油分の回収率及び塩添加によるコストを、含油廃水の特性毎に判断することが必要であると考えられる。
上記の各実施例の結果より、石油採掘現場等で発生する随伴水のような含油廃水から油分を回収するにあたっては、以下のようなことが考えられる。
即ち、含油廃水からの油資源の回収率を増加させるためには、最適な塩の種類と添加量の把握が必要となる。本実施例においては、含油廃水中の塩濃度が高くなるにつれて油分の回収率が増加していく傾向はみられるものの、ある一定の塩濃度以上となるように塩を添加した場合でも、油分の回収率に大きな差は見られない。従って、実際には、含油廃水の水質や経済性等を考慮し、石油採掘現場等において塩の最適添加量を設定するための事前試験を実施することで、油分の回収率及び塩添加によるコストを、含油廃水の特性毎に判断することが必要であると考えられる。
以上説明した各実施形態及び各実施例における 各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明の含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置によれば、たとえば、石油や天然ガスの生産に伴って副次的に発生する随伴水等、含油廃水からの油分の回収に幅広く適用することができることから、省資源やエコロジー等の観点からも寄与度の高いものである。
1…原液貯留タンク
2…前処理部
3…分離槽
10…油分回収装置(含油廃水からの油分回収装置)
50…含油廃水
60…塩
70…油分
80…水分
2…前処理部
3…分離槽
10…油分回収装置(含油廃水からの油分回収装置)
50…含油廃水
60…塩
70…油分
80…水分
Claims (6)
- 油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から前記油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収方法であって、
前記被処理水に塩を添加することで、前記被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理工程と、
前記前処理工程で油水分離した前記被処理水から前記油分を分離する分離工程と、
を順次備えることを特徴とする含油廃水からの油分回収方法。 - 前記前処理工程は、前記塩として、前記被処理水中に溶解して陽イオンとして存在可能な塩を添加することを特徴とする請求項1に記載の含油廃水からの油分回収方法。
- 前記前処理工程は、前記塩として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムのうちの少なくとも何れか1種を添加することを特徴とする請求項2に記載の含油廃水からの油分回収方法。
- 前記前処理工程は、前記被処理水を用いた事前試験によって前記油水分離が可能な塩濃度を決定した後、該塩濃度に基づいて前記塩の添加量を決定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の含油廃水からの油分回収方法。
- 前記被処理水が、エネルギー資源の採掘で発生した随伴水であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の含油廃水からの油分回収方法。
- 油分を含み、且つ、該油分の少なくとも一部がエマルジョンを形成した被処理水から前記油分を分離して回収する、含油廃水からの油分回収装置であって、
前記被処理水に塩を添加することで、前記被処理水中に形成されたエマルジョンを油水分離する前処理部と、
前記前処理部で油水分離した前記被処理水から前記油分を分離する分離槽と、
を備えることを特徴とする含油廃水からの油分回収装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015228127A JP2017094260A (ja) | 2015-11-20 | 2015-11-20 | 含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015228127A JP2017094260A (ja) | 2015-11-20 | 2015-11-20 | 含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017094260A true JP2017094260A (ja) | 2017-06-01 |
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JP2015228127A Pending JP2017094260A (ja) | 2015-11-20 | 2015-11-20 | 含油廃水からの油分回収方法及び油分回収装置 |
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JP (1) | JP2017094260A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021106500A1 (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | 株式会社クレハ | 被処理水の処理装置および処理方法 |
-
2015
- 2015-11-20 JP JP2015228127A patent/JP2017094260A/ja active Pending
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WO2021106500A1 (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | 株式会社クレハ | 被処理水の処理装置および処理方法 |
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