以下、図1〜図6を用いて、本発明に係る複合機100(画像形成装置に相当)を説明する。複合機100は、電源装置(1次電源部1、詳細は後述)を含む。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概要)
まず、図1に基づき、実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
複合機100は、制御部2(制御基板)と記憶部3を有する。制御部2は、装置全体の動作を統括し複合機100の各部を制御する。そして、制御部2は、演算のような処理を行うCPU21、印刷に必要な画像処理を画像データに施す画像処理部22、時間(時刻)を計る計時部23を含む。記憶部3は、ROM、RAM、HDDのような記憶装置であり、制御用プログラムやデータを記憶する。
又、制御部2は、操作パネル4と通信可能に接続される。操作パネル4は、設定用画面、複合機100の状態、メッセージのような情報を表示する。また、操作パネル4は、使用者の操作を受け付ける。そして、制御部2は、操作パネル4でなされた使用者の設定どおりに動作するように、複合機100を制御する。
原稿搬送部5aは、セットされた原稿を読み取り位置に向けて搬送する。画像読取部5bは、原稿搬送部5aに搬送される原稿や、原稿台(コンタクトガラス)にセットされた原稿を読み取り、画像データを生成する。制御部2は、原稿搬送部5aと画像読取部5bの動作を制御する。
又、複合機100は、印刷部6を含む。印刷部6は、エンジン制御部60、給紙部6a、搬送部6b、画像形成部6c、定着部6dを含む。エンジン制御部60と制御部2は通信可能に接続される。制御部2は、印刷指示、印刷ジョブの内容、印刷に用いる画像データをエンジン制御部60に与える。エンジン制御部60は、制御部2の指示を受け、給紙部6a、搬送部6b、画像形成部6c、定着部6dの動作を制御し、給紙、用紙搬送、トナー像の形成、転写、定着のような印刷関連処理を実際に制御する。
エンジン制御部60は、用紙を一枚ずつ給紙部6aに供給させる。エンジン制御部60は、供給された用紙を、画像形成部6c、定着部6dを経て排出トレイ(不図示)まで搬送部6bに搬送させる。エンジン制御部60は、搬送部6bより搬送される用紙にのせるトナー像を画像形成部6cに形成させ、トナー像を用紙に転写させる。エンジン制御部60は、用紙に転写されたトナー像を定着部6dに定着させる。搬送部6bは、トナー像が定着された用紙を排出トレイに排出する。
又、複合機100は、通信部24を含む。通信部24は、コンピューター200と通信するためのインターフェイスである。通信部24は、ネットワークやケーブルを介し、コンピューター200と通信する。制御部2は、通信部24と接続される。通信部24は、コンピューター200から画像データのような印刷内容を示すデータと印刷に関する設定を示すデータを含む印刷用データを受信する。制御部2は、印刷用データに基づく印刷を印刷部6に行わせる。
(電力供給系統)
次に、図2を用いて、実施形態に係る複合機100での電力供給系統の一例を説明する。図2は、実施形態に係る複合機100の電力供給系統の一例を示す図である。
複合機100は、1次電源部1(電源装置に相当)と2次電源部7を含む。1次電源部1は、電源ケーブル(不図示)により商用電源Vac(交流電源)と接続される。1次電源部1は、交流から直流を生成する。1次電源部1は、商用電源Vacが接続されると直流電圧を出力する。1次電源部1は、例えば、モータ駆動用のDC24Vのような設定電圧を生成し出力する。なお、1次電源部1の詳細は後述する。
複合機100には、1次電源部1を冷却するための冷却部8が設けられる。冷却部8は、ファン81及びファン81を回転させるファンモーター82を含む。ファンモーター82が回転すると、ファン81が回転する。ファン81は1次電源部1(電源基板)に向けて風を送る。この風により1次電源部1が冷却される。制御部2(CPU21)は、ファンモーター82の回転のON/OFF及び回転速度を制御する。言い換えると、制御部2は、電源部に向けて送られる冷却風の風量を制御する。なお、放熱板(不図示)を1次電源部1に設け、放熱板に冷却風を当てるようにしてもよい。
ここで、冷却部8(ファンモーター82)の動作モードとして、通常モードと通常モードよりも風量を落とす低量モードが設けられる。通常モードでは、制御部2は、ファンモーター82を予め定められた通常速度で回転させる。一方、低量モードでは、制御部2は、ファンモーター82を通常速度よりも遅い速度で回転させる。制御部2は、低量モードでのファンモーター82の回転速度を通常速度の半分とする。なお、低量モードでは、制御部2は、ファンモーター82のON時間を通常モードの半分にしてファンモーター82を間欠動作させて、通常モードよりも風量を落とすようにしてもよい。
2次電源部7は、1次電源部1の生成電圧に基づき、複数種の直流電圧を生成する。複数種の電圧生成のため、2次電源部7は、レギュレーターやDCDCコンバーターのような電力変換回路を複数含む。各デバイスでは、入力(供給)されるべき電圧値の範囲は、定められている。2次電源部7は、入力(供給)すべき電圧値の範囲内の電圧を複数種生成する。そして、2次電源部7は、制御基板(CPU21、画像処理部22、記憶部3、計時部23、通信部24)、エンジン基板(エンジン制御部60)、パネル基板(操作パネル4)、原稿搬送基板(原稿搬送部5a)、スキャナ基板(画像読取部5b)のような各基板、及び、各基板に配されたそれぞれのデバイスに電力を供給する。
(1次電源部1)
次に、図3を用いて、実施形態に係る1次電源部1を説明する。図3は、実施形態に係る1次電源部1の一例を示す図である。
1次電源部1は、トランスL1を含む。トランスL1の1次側には、入力端子A、B、全波整流回路11、第1コンデンサーC1、スイッチング素子Q1、コントローラー12、フォトトランジスタ13(フォトカプラ14の一部)、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第3抵抗R3、第2コンデンサーC2が設けられる。トランスL1の2次側には、出力端子C、D、ダイオードDa、平滑コンデンサーC3、平滑コイルL2、発光素子15(フォトカプラ14の一部、例えば、LED)、第4抵抗R4が設けられる。
まず1次側から説明する。入力端子A、Bには、商用電源Vac(交流電源)が接続される。1次電源部1に入力された交流は、全波整流回路11によって直流に全波整流される。全波整流回路11は、ダイオードブリッジを含む。
第1コンデンサーC1は、一端が全波整流回路11と接続される。第1コンデンサーC1は、全波整流回路11で整流された電圧を1次直流電圧V1として平滑化する。1次直流電圧V1は、トランスL1の1次コイルL11の一端に入力される。1次コイルL11の他端には、スイッチング素子Q1が接続される。図3に示す例では、スイッチング素子Q1としてMOSFETを示している。
スイッチング素子Q1のゲートは、コントローラー12と接続される。コントローラー12は、スイッチング素子Q1のON/OFF(スイッチング周波数やデューティ比)を制御する制御用ICである。コントローラー12はPWM信号をスイッチング素子Q1のゲートに入力し、1次コイルL11の電流のON/OFFを行う。これにより、PWM信号の周波数とスイッチングON期間に応じた1次直流電圧V1が1次コイルL11に印加される。1次直流電圧V1の印加に伴い、1次電源部1の1次側(1次コイルL11)に1次直流電流J1が流れる。
スイッチング素子Q1のドレインは1次コイルL11の他端と接続される。スイッチング素子Q1のソースは電流制限用の第1抵抗R1の一端と接続される。第1抵抗R1の他端は、1次直流電流J1の大きさを検知するための電流電圧変換回路部9と接続される。
電流電圧変換回路部9は、分圧用の第2抵抗R2と第3抵抗R3、平滑用の第2コンデンサーC2を含む。具体的に、第1抵抗R1の他端は、全波整流回路11と第2抵抗R2の一端に接続される。言い換えると、第2抵抗R2の一端は、第1抵抗R1の他端と全波整流回路11の間に設けられた接続点に接続される。第2抵抗R2の他端には、第3抵抗R3の一端と第2コンデンサーC2の一端が並列接続される。第3抵抗R3の他端と第2コンデンサーC2の他端は、全波整流回路11に接続される。
電流電圧変換回路部9のうち、第2抵抗R2と第3抵抗R3の間に設けられた接続点の電圧が1次直流電流J1の大きさを測るための計測電圧V0として制御部2(例えば、CPU21のアナログポート)に入力される。制御部2は、AD変換回路を含み、入力された計測電圧V0の大きさを認識する。例えば、CPU21のアナログポートに計測電圧V0を入力し、CPU21に内蔵されるAD変換回路により計測電圧V0のディジタル値を得る。ここで、記憶部3は、計測電圧V0の大きさに対応する1次直流電流J1の大きさを定めた電圧電流対応データD1を記憶する(図2参照)。
制御部2は、電圧電流対応データD1を参照し、計測電圧V0に対応する1次直流電流J1の大きさを認識する。なお、制御部2は、計測電圧V0を第3抵抗R3の抵抗値で除す演算を行い、1次直流電流J1の大きさを認識してもよい。なお、他の手法により、制御部2は、1次電源部1(電源装置)に流れる電流の大きさを認識してもよい。
また、コントローラー12は、フォトトランジスタ13のコレクタと接続される。各フォトトランジスタ13のエミッタは、全波整流回路11と接続される。各フォトトランジスタ13は、ON状態のとき、コントローラー12から電流を引き込む。
次に、2次側を説明する。1次電源部1は、トランスL1の一端にダイオードDaのアノードが接続される。ダイオードDaは、電流の向きを一定とする。ダイオードDaのカソードには、平滑コンデンサーC3の一端と平滑コイルL2の一端が接続される。平滑コンデンサーC3の他端は、出力端子D(グランド)に接続される。平滑コイルL2の他端は、出力端子Cに接続される。平滑コイルL2、平滑コンデンサーC3は、2次コイルL12に誘導された電圧のリップルを除去し平滑化する。その結果、出力端子Cから平滑化された2次直流電圧V2が出力される。
2次直流電圧V2とグランド(出力端子Cと出力端子D)の間に、フォトカプラ14の発光素子15と第4抵抗R4の直列回路が接続される。2次直流電圧V2が上昇し、フォトカプラ14の発光素子15に電流が流れると、発光素子15が発光する。発光素子15からの光(フィードバック信号)は、フォトカプラ14のパッケージ内でフォトトランジスタ13に到達する。これにより、フォトトランジスタ13がON状態となり、フォトトランジスタ13に電流が流れる。
コントローラー12は、フォトトランジスタ13に流れる電流の大きさ(フォトトランジスタ13がコントローラー12から引き込む電流の大きさ)を認識する。そして、コントローラー12はフォトトランジスタ13の電流の大きさに対応したPWM信号をスイッチング素子Q1に供給する。フォトトランジスタ13の電流は、発光素子15の光量が大きいほど多くなり、光量が小さいほど少なくなる。例えば、フォトトランジスタ13が引き込む電流の大きさが、2次直流電圧V2の設定値(例えば、DC24V)であるときのフォトトランジスタ13の電流として予め定められた標準値よりも小さいとき、ONデューティを増やすなどして2次直流電圧V2が大きくなる方向にPWM信号を変化させる。このように、1次電源部1では、1次側と2次側が絶縁された状態でフィードバック信号(光信号)がやりとりされる。
(ファンモーター82の回転制御)
次に、図4〜図6を用いて、実施形態に係る画像形成装置でのファンモーター82の回転制御の流れの一例を説明する。図4は、実施形態に係るファンモーター82の回転を開始までの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図5は、実施形態に係るファンモーター82の回転開始時のモードの選択処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6は、実施形態に係るファンモーター82の回転時間を定める処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、スイッチング素子Q1をONしている状態では、交流電圧の変化(商用電源Vacの電圧変化)に合わせ、1次直流電圧V1は変動する。この1次直流電圧V1は変動にあわせ、1次直流電流J1は変化する。なお、スイッチング素子Q1をOFFすると、1次直流電流J1は、やがてゼロとなる。
また、印刷ジョブの実行などにより、負荷(2次電源部7及び2次電源部7に電力が供給される部分)に流れる電流が大きくなると、コントローラー12は、単位時間中のスイッチング素子Q1のON時間を増やして1次直流電流J1を増加させ、2次直流電圧V2は設定電圧で維持する(フィードバック制御)。コピージョブでは、原稿搬送部5a、画像読取部5b、印刷部6のような負荷が動作する。原稿を読み取って送信する送信ジョブでは、原稿搬送部5a、画像読取部5b、通信部24のような負荷が動作する。コンピューター200から印刷用データを受信して印刷を行うプリントジョブでは、印刷部6、通信部24のような負荷が動作する。一方、例えば、通信部24がデータを送受信のみ行っている状態は印刷部6に印刷を行わせる場合に比べ、1次直流電流J1は少なくなる。
このように、1次直流電圧V1の変化、及び、負荷の消費電流量の変化に応じて、1次直流電流J1の平均的な量も変動する。流れる1次直流電流J1が多いほど、1次電源部1から生ずる熱は多くなる。1次電源部1の温度が過度に上昇する前にファンモーター82を動作させて1次電源部1を冷却する必要がある。
そこで、制御部2は、一定周期ごとに1次直流電流J1の平均値である平均電流を求める。1秒、0.5秒のように一定周期は適宜定めることができる。一定周期を交流電圧の1周期以上とする場合、一定周期は50Hzならば1/50秒、60Hzならば1/60秒となる。また、一定周期は、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数の整数倍としてもよい。制御部2は、一定周期中、複数回、1次直流電流J1の大きさを確認する。一定周期中のサンプリング回数は適宜定めることができるが、平均をとるので複数回とされる。実行するジョブの種類や、実行するジョブの内容により、一定周期中の平均電流は、変動する。負荷に流れる電流が大きくなると、一定周期中の平均電流は大きくなる。
そして、図4のスタートは、制御部2(CPU21)が起動したとき、又は、制御部2がファンモーター82の回転を停止させた時点である。
まず、制御部2は、現在の一定周期中の1次電源部1に流れる1次直流電流J1の大きさの平均値である平均電流を求める(ステップ♯1)。そして、制御部2は、平均電流が第1閾値i1を超えているか否かを確認する(ステップ♯2)。なお、第1閾値i1を示す値は、記憶部3に不揮発的に記憶される(図2参照)。
ステップ♯2において、制御部2は、大きな1次直流電流J1が流れているか否かを判断する。第1閾値i1は、適宜定めることができる大きさである。常時、ファンモーター82を回すことを避けるため、第1閾値i1は、ジョブを実行していないときの1次直流電流J1の平均レベルよりも大きい値とされる。
平均電流が第1閾値i1を超えていないとき(ステップ♯2のNo)、制御部2は、超過時間をゼロにリセットする(ステップ♯3)。超過時間は、平均電流が第1閾値i1を超えている間、積算される時間である。
一方、平均電流が第1閾値i1を超えているとき(ステップ♯2のYes)、制御部2は、平均電流が第1閾値i1を超えている間、積算される超過時間に一定周期(の長さ)を加算する(ステップ♯4)。言い換えると、制御部2は、平均電流が継続して第1閾値i1を超えている時間を超過時間としてカウントする。そして、制御部2は、超過時間が予め定められた第1基準時間t1以上となったか否かを確認する(ステップ♯5)。
1次直流電流J1が大きい時間が長いほど、1次電源部1が生ずる熱の量は増える。一方、1ページのみの印刷のような1次直流電流J1の増加が一時的な場合、1次電源部1の温度はそれほど上昇しない。このような場合、ファンモーター82を回転させる必要はなく、放熱ですませばよい。そこで、ステップ♯5にて、1次直流電流J1が大きい状態が続いているか否かを確認する。
ここで、第1基準時間t1は適宜定めることができる。例えば、1枚だけの印刷ではファンモーター82を回転させないようにする場合、第1基準時間t1は、1枚の印刷に要する時間以上とする。また、第1閾値i1は、第1基準時間t1のかねあいで定めても良い。例えば、第1閾値i1は、ファンモーター82を回転させない状態で第1基準時間t1の間、平均電流として流しても1次電源部1の温度上昇が生じない、又は、上昇温度が許容範囲となる値としてもよい。
超過時間が第1基準時間t1未満のとき(ステップ♯5のNo)、フローはステップ♯1に戻る。一方、超過時間が第1基準時間t1以上となったとき(ステップ♯5のYes)、制御部2は、ファンモーター82の回転を開始すると決定する(ステップ♯6→エンド)。そして、図5に示すファンモーター82の回転開始時のモード設定処理に移行する。
ここで、ファンモーター82の動作モードとして、通常モードと通常モードよりも風量を落とす低量モードが設けられる。制御部2は、ファンモーター82の回転開始時、通常モードと低量モードの何れかを選択する。そこで、図5を用いて、ファンモーター82の回転開始時のモード選択を説明する。
図5のスタートは、ステップ♯6で制御部2がファンモーター82の回転を開始すると決定した時点である。なお、以下に説明するモード選択処理を行ううえで必要なモード選択用データD2(前回のファンモーター82の回転での超過時間の長さを示すデータ、前回のファンモーター82の回転での超過時間中の各平均電流の平均値を示すデータ、ファンモーター82を停止させた時点を示す時刻データ、詳細は後述)は、モード選択用データD2として記憶部3に記憶される(図2参照)。制御部2は、記憶部3に記憶されたモード選択用データD2を用いてモード選択を行う。
1次直流電流J1が少ない状態が続くほど、放熱により、1次電源部1の温度は、最低レベル(例えば、室温程度)に近づく。このような1次電源部1の温度が比較的低いと認められるとき、ファンモーター82の回転開始当初の風量を少なくしても、1次電源部1は、短時間で異常高温状態にはならない。
そこで、制御部2は、モード選択用データD2を参照し、直前のファンモーター82の回転停止から今回のファンモーター82の回転開始(ステップ♯6の時点)までの停止時間を求める(ステップ♯11)。そして、制御部2は、停止時間が予め定められた第2基準時間t2以上か否かを確認する(ステップ♯12)。つまり、制御部2は、1次電源部1の温度が低めか否かを判断する。
第2基準時間t2は、適宜定めることができる。第2基準時間t2は、1次電源部1の放熱能力を考慮して定めてもよい。例えば、実験により、ファンモーター82を停止させたまま、空調の効いた室内で、仕様上の1次電源部1の許容温度範囲の上限から室温程度にまで1次電源部1の温度が低下するまでの時間の平均時間を求め、求めた平均時間を第2基準時間t2と定めてもよい。なお、記憶部3は、第2基準時間t2を示すデータを記憶する(図2参照)。
停止時間が予め定められた第2基準時間t2以上のとき(ステップ♯12のYes)、制御部2は、回転開始時のモードとして低量モードを選択する(ステップ♯13)。この場合、低量モードでファンモーター82の回転が開始される。そして、本フローは終了する(エンド)。続いて、図6に示す実際にファンモーター82の回転を開始する処理に移行する。
一方、停止時間が第2基準時間t2未満のとき(ステップ♯12のNo)、通常モードで回転させるか、低量モードで回転させるかを判断する(ステップ♯14)。このとき、1次電源部1が高温である可能性がある場合、通常モードで回転させると判断する。
大きな1次直流電流J1が流れている時間が長いほど、1次電源部1で生ずる熱は増える。また、1次直流電流J1が大きいほど1次電源部1で生ずる熱は大きい。
そこで、停止時間が第2基準時間t2未満のとき、制御部2は、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が予め定められた第3基準時間t3よりも長く、かつ、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が予め定められた第2閾値i2よりも大きいとき、通常モードでファンモーター82の回転を開始させると定める。つまり、大きな1次直流電流J1が1次電源部1に長時間流れていたとき、通常モードでファンモーター82の回転を開始させる。
一方、制御部2は、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも短く前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が第2閾値i2よりも小さいとき、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも長く前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が第2閾値i2よりも小さいとき、及び、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも短く、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が第2閾値i2よりも大きいとき、低量モードでファンモーター82の回転を開始させると定める。つまり、通常モードの条件に当てはまらないとき、制御部2は、低量モードでファンモーター82の回転を開始させると定める。記憶部3は、停止時間、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値、前回のファンモーター82の回転時の超過時間の長さに応じ、どのモードを選択するかを定義したモード条件データD3を記憶している(図2参照)。制御部2は、モード条件データD3(モード選択用のテーブル)を参照してモードを定める。
第3基準時間t3は適宜定めることができる。例えば、第3基準時間t3は第1基準時間t1よりも長くしてもよいし短くしてもよい。第3基準時間t3は、第1基準時間t1の数倍〜数十倍(例えば、10倍)程度の時間としてもよい。記憶部3は、第3基準時間t3を示すデータを記憶する(図2参照)。
第2閾値i2も適宜定めることができる。例えば、第2閾値i2は第1閾値i1よりも大きくしてもよい。第2閾値i2は、1次直流電流J1が大きくなる傾向があるジョブ(例えば、コピージョブ)実行時の1次直流電流J1の平均的な値に基づき定めても良い。記憶部3は、第2閾値i2を示すデータを記憶する(図2参照)。
なお、前回のファンモーター82の回転での超過時間だけに基づいてモードを定めても良い。この場合、停止時間が第2基準時間t2未満のとき、制御部2は、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が予め定められた第3基準時間t3よりも短いとき低量モードでファンモーター82の回転を開始させると定め、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が予め定められた第3基準時間t3よりも長いとき通常モードでファンモーター82の回転を開始させると定めてもよい。
また、前回のファンモーター82の回転での各平均電流の平均値の大きさだけに基づいてモードを定めても良い。停止時間が第2基準時間t2未満のとき、制御部2は、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が予め定められた第2閾値i2よりも小さいとき、低量モードでファンモーター82の回転を開始させると定め、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が予め定められた第2閾値i2よりも大きいとき通常モードでファンモーター82の回転を開始させると定めるようにしてもよい。
そして、制御部2が低量モードを選択したとき(ステップ♯15のYes)、フローはステップ♯13に移行する。ステップ♯15がNoのとき、制御部2は、通常モードでファンモーター82の回転を開始させるため、通常モードを選択する(ステップ♯16)。そして、本フローは終了する(エンド)。続いて、実際にファンモーター82の回転を開始する処理に移行する。
図6のスタートは、ステップ♯13又はステップ♯16で制御部2がファンモーター82のモードを選択した時点である。
通常モードが選択されたとき(ステップ♯21のYes)、制御部2は、ファンモーター82を通常モードで回転させる(ステップ♯22)。そして、制御部2は、今回の(現在の)周期の平均電流が第1閾値i1を超えているか否かを確認する(ステップ♯23)。つまり、CPU21は、ジョブの終了に伴い、1次直流電流J1が小さい状態になったか否かを確認する。
一定周期中の平均電流が第1閾値i1を超えているとき(ステップ♯23のYes)、制御部2(CPU21)は、平均電流が第1閾値i1を超えている間積算している超過時間に一定周期(の長さ)を加算する(ステップ♯24)。そして、ステップ♯24の後、フローは、ステップ♯22に戻る。
一方、低量モードが選択されたとき(ステップ♯21のNo)、制御部2は、ファンモーター82を低量モードで回転させる(ステップ♯25)。続いて、制御部2は、今回の周期の平均電流が第1閾値i1を超えているか否かを確認する(ステップ♯26)。
今回の周期の平均電流が第1閾値i1を超えているとき(ステップ♯26のYes)、制御部2(CPU21)は、積算している超過時間に一定周期(の長さ)を加算する(ステップ♯27)。しかし、大きな1次直流電流J1が流れる状態が続くと、低量モードの風量では冷却が間に合わなくなるおそれがある。そこで、制御部2は、現在の超過時間が予め定められたモード切替時間t4を超えたか否かを確認する(ステップ♯28)。
モード切替時間t4は適宜定められる時間である。モード切替時間t4は、第1基準時間t1よりも長くてもよい。10ページの印刷のような一定枚数のジョブの実行に要する時間をモード切替時間t4と定めてもよい。記憶部3は、モード切替時間t4を示すデータを記憶する(図2参照)。
ファンモーター82の回転開始後、超過時間が予め定められたモード切替時間t4を超えたとき(ステップ♯28のYes)、制御部2は、ファンモーター82の回転モードを低量モードから通常モードに切り替える(ステップ♯29)。ステップ♯29の後、フローは、ステップ♯22に移行する。なお、超過時間がモード切替時間t4以下のとき(ステップ♯28のNo)、フローは、ステップ♯25に戻る。
今回の周期の平均電流が第1閾値i1以下となったとき(ステップ♯23のNo、ステップ♯26のNo)、制御部2は、超過時間が長いほどファンモーター82の回転継続時間が長くなり、超過時間が短いほどファンモーター82の回転継続時間が短くなるように、現時点(平均電流が第1閾値i1以下となった周期の終了時点)からのファンモーター82の回転時間を定める(ステップ♯210)。つまり、制御部2は、超過時間に応じた回転時間を定める。
記憶部3には、超過時間が長いほどファンモーター82の回転時間が長くなるように、超過時間の長さに応じた回転時間を定義した回転時間データD4が記憶される(図2参照)。制御部2は、超過時間の長さと回転時間データD4に基づき、現時点からの回転時間を定める。
そして、制御部2は、平均電流が第1閾値i1以下となった周期が終わった時点から定めた回転時間、ファンモーター82を回転させ、回転時間経過後、ファンモーター82を停止させる(ステップ♯211)。
更に、制御部2は、次のファンモーター82の回転開始時のモード選択のためのモード選択用データD2を記憶部3に記憶させる(ステップ♯212)。モード選択用データD2は、今回のファンモーター82の回転での超過時間の長さを示すデータを含む。また、モード選択用データD2は、超過時間中の各平均電流の平均値を含む。また、モード選択用データD2は、ファンモーター82の停止時間を計るため、ファンモーター82を停止させた時点(時刻、計時部23が計時)を示すデータを含む。あわせて、制御部2は、カウントしている超過時間をゼロにリセットする(ステップ♯212)。そして、フローは終了する。
このようにして、実施形態に係る画像形成装置は、設定された電圧を生成し出力する電源装置(1次電源部1)と、ファン81及びファン81を回転させるファンモーター82を含み、電源装置を冷却する冷却部8と、電源装置に流れる電流の大きさを認識する制御部2と、を含む。制御部2は、一定周期ごとに一定周期中の電源装置に流れる電流の大きさの平均である平均電流を求め、平均電流が継続して予め定められた第1閾値i1を超えている時間を超過時間としてカウントし、ファンモーター82を停止させている状態で超過時間が予め定められた第1基準時間t1以上となったとき、ファンモーター82の回転を開始させる。
これにより、1枚だけの印刷のようにジョブの量が少なく電源装置(1次電源部1)に大きな電流が流れる時間が短いとき、ファンモーター82(ファン81)を停止状態で保つことができる。言い換えると、画像形成装置(複合機100)がジョブを開始しても、電源装置の温度がさほど上昇しない場合、ファンモーター82を回転させないようにすることができる。従って、ファンモーター82の無駄な電力消費を無くすことができる。また、ファンモーター82の回転させる回数が少なくなるので、画像形成装置の使用開始からファンモーター82(ファン81)の寿命が尽きるまでの時間が長くなる。また、電源装置に流れる電流が大きい状態が続けばファンモーター82が回転されるので、電源装置の温度が過度に上昇することもない。
また、電源装置(1次電源部1)に対して温度センサーを設け、電源装置の温度をモニターし、電源装置の温度が一定温度を超えるとファン81を回転させることがある。しかし、温度センサーや温度センサーの出力信号の処理回路の実装用スペースが必要となる。また、電源装置の温度分布にムラがあるとき複数箇所に温度センサーを設けなければならない場合もある。そのため、温度センサーを採用すると、電源装置(電源基板)が大型化や製造コストの問題がある。しかし、この構成によれば、複数の温度センサーや温度センサー用の信号処理回路は不要であり、電源装置を小型化することができる。また、装置の製造コストの上昇もない。
また、制御部2は、ファンモーター82を回転させたとき、平均電流が第1閾値i1を超えている間ファンモーター82を回転させ続け、超過時間が長いほど平均電流が第1閾値i1以下となった後のファンモーター82の回転時間を長くし、超過時間が短いほど平均電流が第1閾値i1以下となった後のファンモーター82の回転時間を短くする。
これにより、電源装置(1次電源部1)の温度上昇が大きい場合、ファン81による冷却が長めに行われる。従って、電源装置の過昇温を防ぐことができる。一方、電源装置の温度はそれほど上昇していないと認められる場合、ファンモーター82を早めに停止させることができる。従って、ファン81での無駄な電力の消費を避けることができる。また、ファンモーター82の回転時間を抑え、ファンモーター82の劣化速度を抑えることができる。
電源装置(1次電源部1)の電流が少ない状態では、ファンモーター82を回転させなくても、放熱によって電源装置(1次電源部1)の温度は次第に低下する。ファンモーター82を回転させる必要がある大電流が流れない状態が続いたとき、電源装置(1次電源部1)の温度は十分に下がった状態と認められる。そこで、ファンモーター82の動作モードとして、通常モードと通常モードよりも風量を落とす低量モードが設けられる。直前のファンモーター82の回転停止から今回のファンモーター82の回転開始までの停止時間が予め定められた第2基準時間t2以上のとき、制御部2は、低量モードでファンモーター82の回転を開始させる。これにより、ファンモーター82の回転時の消費電力を減らすことができる。
また、低量モードでファンモーター82の回転を開始させた場合、ファンモーター82の回転開始後、超過時間が予め定められたモード切替時間t4を超えたとき、制御部2は、ファンモーター82の回転モードを低量モードから通常モードに切り替える。これにより、電源装置(1次電源部1)に流れる電流が大きい状態が続き、低量モードの風量では不十分と認められる場合、電源装置に吹き付ける風の風量を大きくすることができる。従って、電源装置の過昇温を避けることができる。
また、停止時間が第2基準時間t2未満の場合、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が予め定められた第3基準時間t3よりも長く、かつ、前回のファンモーター82の回転時の超過時間中の各平均電流の平均値が予め定められた第2閾値i2よりも大きいとき、制御部2は、通常モードでファンモーター82の回転を開始させる。一方、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも短く、かつ、前回のファンモーター82の回転時の平均値が第2閾値i2よりも小さいとき、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも長く、かつ、前回のファンモーター82の回転時の平均値が第2閾値i2よりも小さいとき、前回のファンモーター82の回転時の超過時間が第3基準時間t3よりも短く、かつ、前回のファンモーター82の回転時の平均値が第2閾値i2よりも大きいとき、制御部2は、低量モードでファンモーター82の回転を開始させる。
つまり、前回のファンモーター82の回転時、電源装置(1次電源部1)の温度はそれほど上昇していないと認められるとき、低量モードでファンモーター82を回転させる。これにより、ファンモーター82での電力消費を抑えることができる。一方、前回のファンモーター82の回転時、電源装置の温度が大きく上昇しているおそれがあり、今回のファンモーター82の回転開始時点で電源装置の温度が十分に下がっていない可能性があるとき、通常モードでファンモーター82を回転させ、電源装置の過昇温を防ぐ。
また、電源装置(1次電源部1)は、スイッチング素子Q1とトランスL1を含み、入力された交流を直流に変換して出力し、スイッチングのデューティ比又は周波数を制御して出力電圧を調整するスイッチング電源である。制御部2は、スイッチング電源の1次側に流れる電流の大きさを認識する。これにより、トランスL1を含むような大きな電力を扱う電源装置の過昇温を防ぎつつ、大きな電力を扱う電源装置を冷却するファン81の省電力、長寿命化を達成することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。