JP2017092108A - 放熱シート、放熱シートの製造方法、電子装置、及び放熱シート製造装置 - Google Patents

放熱シート、放熱シートの製造方法、電子装置、及び放熱シート製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】放熱シートの熱伝導性を向上させること。【解決手段】基板1上に成長した複数のカーボンナノチューブ6を備えたシート6sを上から押さえ部材34で押さえつつ、圧縮部材33でシート6sの側部を押すことにより、側部からシート6sを圧縮する工程を有する放熱シートの製造方法による。【選択図】図5

Description

本発明は、放熱シート、放熱シートの製造方法、電子装置、及び放熱シート製造装置に関する。
サーバやパーソナルコンピュータにおいては、CPU(Central Processing Unit)等の電子部品で発生する熱を外部に放熱すべく、電子部品にヒートスプレッダ等の放熱部材が固着される。
そのヒートスプレッダと電子部品との間の熱抵抗が高いと、電子部品の熱を速やかにヒートスプレッダに伝えることができない。そのため、電子部品とヒートスプレッダとの間に、熱伝導性に優れたTIM(Thermal Interface Material)を介在させることがある。
TIMの例としては、放熱グリース、フェイズチェンジマテリアル、及びインジウムシートがある。
このうち、放熱グリースは、流動性を有しているため、電子部品やヒートスプレッダの各々の表面の凹凸を埋めることができ、熱抵抗の高い空気を電子部品とヒートスプレッダとの間から排除できる。
また、フェイズチェンジマテリアルは、熱により軟化するポリマーのシートである。このように軟化することで、放熱グリースと同様に電子部品やヒートスプレッダの各々の表面の凹凸をシートで埋めることができ、熱抵抗の高い空気を電子部品とヒートスプレッダとの間から排除できる。
但し、放熱グリースやフェイズチェンジマテリアルは、熱伝導率が1W/m・K〜5W/m・Kと低いという問題がある。
また、インジウムシートは、高価なインジウムを使用しているためTIMの低コスト化が難しい。
そこで、これらに代わるTIMとして、カーボンナノチューブの放熱シートが検討されている。
カーボンナノチューブは、その熱伝導度が1500W/m・K〜3000W/m・K程度であって、前述の放熱グリースの熱伝導度と比べて非常に高く、TIMに使用するのに好適である。
更に、カーボンナノチューブは柔軟性が高いため、電子部品やヒートスプレッダの各々の表面に凹凸があってもその凹凸に合わせて変形できるという点でもTIMに好適な素材である。
特開2006−295120号公報 特開2007−294554号公報 特表2007−532335号公報 特開2009−164552号公報 特開2011−204749号公報 特開2009−260238号公報 特開2010−118609号公報 特開2012−199335号公報 特開2013−239623号公報 特開2010−206203号公報 特開2012−195467号公報
但し、カーボンナノチューブの放熱シートには、その熱伝導性を更に高めるという点で改善の余地がある。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、放熱シート、放熱シートの製造方法、電子装置、及び放熱シート製造装置において、放熱シートの熱伝導性を向上させることを目的とする。
以下の開示の一観点によれば、基板上に成長した複数のカーボンナノチューブを備えたシートを上から押さえ部材で押さえつつ、圧縮部材で前記シートの側部を押すことにより、前記側部から前記シートを圧縮する工程を有する放熱シートの製造方法が提供される。
以下の開示によれば、シートを側部から圧縮するため、単位面積当たりのカーボンナノチューブの本数が増えて放熱シートの熱伝導性が向上する。しかも、圧縮時にシートを上から押さえ部材で押さえるため、圧縮時におけるシートの形態が安定し、圧縮部材でシートの側部を押し易くなる。
図1(a)、(b)は、第1実施形態に係る放熱シートの製造途中の断面図(その1)である。 図2は、第1実施形態に係る放熱シートの製造途中の断面図(その2)である。 図3は、第1実施形態に係る放熱シート製造装置の一部側面断面図である。 図4は、第1実施形態に係る放熱シートの製造途中の平面図である。 図5は、本実施形態に係る放熱シートの製造途中における放熱シート製造装置の一部側面断面図である。 図6(a)は、放熱シートの圧縮時における第1実施形態に係る放熱シート製造装置の上面図であり、図6(b)は、放熱シートの圧縮率について説明するための模式平面図である。 図7は、第1実施形態に係る放熱シート製造装置の使用例を示す一部側面断面図である。 図8は、第1実施形態において、放熱シートの外観を基にして描いた上面図(その1)である。 図9は、第1実施形態において、放熱シートの外観を基にして描いた上面図(その2)である。 図10は、第1実施形態において、放熱シートの外観を基にして描いた上面図(その3)である。 図11は、第1実施形態において、放熱シートの熱伝導性の調査方法について説明する断面図である。 図12は、第1実施形態において、放熱シートに加えた圧力と、銅ブロックとヒートスプレッダの温度差との関係を調査して得られた図である。 図13は、第1実施形態において、放熱シートのSEM(Secondary Electron Microscope)像を基にして描いた斜視図である。 図14は、第1実施形態において、放熱シートの第1の主面を更に拡大したSEM像を基にして描いた平面図である。 図15は、第1実施形態において、放熱シートの明部とその周囲をSEMで拡大した平面図である。 図16は、第1実施形態において、暗部とその周囲をSEMで拡大した平面図である。 図17は、第1実施形態において、放熱シートのSEM像を示す一部断面斜視図である。 図18は、第1実施形態において、放熱シートの第2の主面のSEM像を示す一部断面斜視図である。 図19は、第1実施形態において、放熱シートの第2の主面をSEMで拡大した平面図である。 図20は、第1実施形態において、圧縮前の放熱シートの第2の主面7bのSEM像を示す平面図である。 図21は、第1実施形態において、圧力を印加した放熱シートの厚さについての調査結果を示す図である。 図22(a)、(b)は、第2実施形態に係る放熱シートの製造方法について模式的に示す平面図である。 図23は、第2実施形態に係る放熱シートの外観を基にして描いた上面図である。 図24は、第2実施形態に係る放熱シートの模式断面図である。 図25は、第2実施形態に係る放熱シートに形成された畝を拡大したSEM像を示す平面図である。 図26は、第2実施形態に係る放熱シートの模様を拡大したSEM像を示す平面図である。 図27は、第3実施形態における熱処理で使用する黒鉛炉の模式断面図である。 図28は、第3実施形態における熱処理の加熱プロファイルの一例を示すグラフである。 図29は、第3実施形態において、カーボンナノチューブのラマンスペクトルを調査して得られた図である。 図30は、第3実施形態において、放熱シートに加えた圧力と、銅ブロックとヒートスプレッダの温度差との関係を調査して得られた図である。 図31(a)、(b)は、第4実施形態に係る電子装置の製造途中の断面図である。 図32は、第4実施形態に係る電子装置の一部断面斜視図である。
本実施形態では、以下のようにしてカーボンナノチューブの放熱シートの熱伝導性を高める。
(第1実施形態)
図1〜図2は、本実施形態に係る放熱シートの製造途中の断面図である。
まず、図1(a)に示すように、基板1としてシリコン基板を用意し、その基板1の表面を熱酸化することにより下地膜2として厚さが300nm程度の酸化シリコン膜を形成する。
基板1の材料はシリコンに限定されず、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ガラス、及び金属のいずれかを材料とする基板を用いてもよい。
次に、図1(b)に示すように、下地膜2の上にスパッタ法でアルミニウム膜を10nm程度の厚さに形成し、そのアルミニウム膜を下地金属膜3とする。
下地金属膜3の材料としては、アルミニウムの他に、モリブデン、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウム、タンタル、タングステン、銅、金、白金、パラジウム、チタンシリサイド、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び窒化チタンがある。更に、これらの材料のいずれかを含む合金膜を下地金属膜3として形成してもよい。
次いで、下地金属膜3の上にスパッタ法で鉄膜を2.5nm程度の厚さに形成し、その鉄膜を触媒金属膜4とする。
触媒金属膜4の材料は鉄に限定されない。触媒金属膜4は、鉄、コバルト、ニッケル、金、銀、白金のいずれか、又はこれらの合金から形成し得る。
更に、触媒金属膜4に代えて、触媒金属膜4と同一の材料を含む金属微粒子を下地金属膜3の上に付着させてもよい。この場合、金属微粒子は、微分型静電分級器等によって予め所定の直径のもののみが収集されて下地金属膜3の上に供給される。
続いて、図2に示すように、触媒金属膜4の触媒作用を利用してホットフィラメントCVD(Chemical Vapor Deposition)法により複数のカーボンナノチューブ6を成長させる。そのカーボンナノチューブ6は、下地膜2の作用により、基板1の法線方向nに沿って直線的に成長する。
カーボンナノチューブ6の成長条件は特に限定されない。この例では、原料ガスとしてアセチレンガスとアルゴンガスとの混合ガスを用い、不図示の成長室内における原料ガスの総ガス圧力を5kPa〜10kPaとする。アセチレンガスとアルゴンガスとの分圧比は、例えば1:9程度である。また、ホットフィラメントの温度は1000℃程度であり、基板温度は620℃〜660℃程度である。
カーボンナノチューブ6の成長時間も特に限定されないが、カーボンナノチューブ6の長さが飽和する時間をかけてカーボンナノチューブ6を成長させることで、後でカーボンナノチューブ6を基板1から剥がし易くすることができる。このようにカーボンナノチューブ6の長さが飽和する時間は例えば90分であり、飽和した時点でのカーボンナノチューブ6の長さは例えば200μm程度である。
なお、下地金属膜3と触媒金属膜4は、成長室内に原料ガスが導入された際に凝縮して粒状の金属粒5となり、その金属粒5の上にのみカーボンナノチューブ6が成長する。
この成長条件によれば、カーボンナノチューブ6の面密度は約1×1011本/cm2となり、各カーボンナノチューブ6の直径は4nm〜8nmで平均直径は約6nmとなる。
なお、各カーボンナノチューブ6においては、その中心軸から外側に向かって単層のグラフェンシートが3層〜6層程度積み重なり、その層数の平均値は4層程度となる。このように多層のグラフェンシートを積層してなるカーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブとも呼ばれるが、単層カーボンナノチューブを形成してもよい。
また、カーボンナノチューブ6の成膜方法は上記のホットフィラメントCVD法に限定されず、熱CVD法やリモートプラズマCVD法であってもよい。また、アセチレンに代えてメタン若しくはエチレン等の炭化水素類、又はエタノール若しくはメタノール等のアルコール類を炭素の原料としてもよい。
以上により、複数のカーボンナノチューブ6を備えたCNT(Carbon Nanotube)シート6sが得られる。
但し、そのCNTシート6sにおいては、カーボンナノチューブ6が形成されている領域の面積が基板1の表面積の約10%に留まり、カーボンナノチューブ6の密度を高める余地がある。
そこで、本実施形態では、以下のように放熱シート製造装置でCNTシート6sを圧縮することによりカーボンナノチューブ6の密度を高める。
図3は、本実施形態に係る放熱シート製造装置の一部側面断面図である。
この放熱シート製造装置30は、ベース31、スペーサ32、圧縮板33、押さえ板34、及びフレーム35を有する。
このうち、ベース31はアルミニウム板であって、その上に前述の基板1がCNTシート6sを上にして載置される。
そして、ベース31の上方には、CNTシート6sを上から押さえる押さえ板34が配される。押さえ板34は、押さえ部材の一例であって、この例では透明なガラス板を押さえ板34として用いる。これにより、押さえ板34を通じてCNTシート6sが視認できるようになる。
そして、押さえ板34の縁部にはフレーム35が固着される。フレーム35は、例えばアルミニウム板であって、押さえ板34が露出する開口35aを備える。
そのフレーム35とベース31にはネジ36が通されており、そのネジ36を締め付けることで押さえ板34が降下して、CNTシート6sに押さえ板34が押圧される。
更に、シリコン基板1の上にはスペーサ32が載置される。スペーサ32は押さえ板34に当接する位置に設けられており、これにより押さえ板34がCNTシート6sを過度に押圧するのを防止できる。そのスペーサ32としては、例えばガラス板、金属板、及び粘着性テープを使用し得る。
また、この例では、スペーサ32の厚さTをカーボンナノチューブ6の長さLよりも薄くする。
なお、ガラス板や金属板をスペーサ32として使用する場合は、基板1においてCNTシート6sがない部位にスペーサ32を貼付すればよい。スペーサ32として粘着テープを使用する場合には、その粘着テープでベース31に基板1を貼付してもよい。
そして、基板1と押さえ板34との間には圧縮板33が基板横方向から入れられる。圧縮板33は、圧縮部材の一例であって、本実施形態ではステンレス板を圧縮板33として使用する。
また、この例では二つの圧縮板33を用い、その各々でCNTシート6sを両側から挟むようにする。
次に、この放熱シート製造装置30を用いた放熱シートの製造方法について説明する。
図4は、本実施形態に係る放熱シートの製造途中の平面図である。
まず、図4に示すように、前述のように表面にCNTシート6sが形成された基板1を用意する。そして、例えば鋭利な刃物を用いて基板1の縁部1aからカーボンナノチューブ6を除去する。
次に、図5に示す工程について説明する。
図5は、本実施形態に係る放熱シートの製造途中における放熱シート製造装置30の一部側面断面図である。
本工程では、まず、不図示のカプトン(登録商標)テープでベース31に基板1を固定する。カプトンテープは複数枚が重ねられており、それらの合計の厚さはCNTシート6sの厚さよりも少し薄くされる。
このとき、上記のように基板1の縁部1aからカーボンナノチューブ6を除去したため、基板1と押さえ板34との間に圧縮板33を挿入するスペースが確保される。
次にネジ36を軽く締め、側部から圧縮板33を挿入する。更に、ネジ36を締め付けることにより押さえ板34を下降させ、その押さえ板34でCNTシート6sを上から押さえる。なお、スペーサ32に押さえ板34が上から当接したところで押さえ板34の下降は停止するため、押さえ板34からCNTシート6sに過度の押圧力が加わるのを防止できる。
そして、この状態で二つの圧縮板33の各々に互いに対向する力F1、F2を加える。これにより、CNTシート6sを形成するカーボンナノチューブ6が基板1から剥離すると共に、CNTシート6sがその側部から圧縮され、CNTシート6sにおけるカーボンナノチューブ6の密度が増加する。
図6(a)は、圧縮時の放熱シート製造装置30の上面図である。
なお、図6(a)ではスペーサ32は省略してある。
図6(a)に示すように、押さえ板34が透明であるため、作業者が押さえ板34を通じてCNTシート6sを視認することができ、CNTシート6sが圧縮される様子を確認することができる。
また、図6(b)は、CNTシート6sの圧縮率について説明するための模式平面図である。
CNTシート6sの圧縮率は、圧縮前のCNTシート6sの面積S1と圧縮後のCNTシート6sの面積S2の比(S1/S2)で定義される。本実施形態の場合、圧縮前のCNTシート6sの幅をW1とし、圧縮後のCNTシート6sの幅をW2とすると、圧縮率はW1/W2となる。
その圧縮率W1/W2は特に限定されず、例えば2.5〜4.0程度とし得る。
次に、図7に示す工程について説明する。
図7は、本実施形態に係る放熱シートの製造途中における放熱シート製造装置30の一部側面断面図である。
本工程では、ネジ36を緩めて放熱シート製造装置30から各カーボンナノチューブ6を取り出すことにより、これらのカーボンナノチューブ6を備えた本実施形態に係る放熱シート7を得る。
このとき、前述のようにカーボンナノチューブ6の長さが飽和する成長時間をかけてカーボンナノチューブ6を成長させたことで、各カーボンナノチューブ6を基板1から剥がし易くすることができ、放熱シート7の全面を圧縮することができる。
なお、このように圧縮した後に、押さえ板34に放熱シート7が張り付いている場合には、鋭利な刃物でこれらの部材から放熱シート7を剥離すればよい。
以上により、カーボンナノチューブ6の密度が向上した放熱シート7が完成する。
その放熱シート7は相対する第1の主面7aと第2の主面7bとを有しており、その第1の主面7aから第2の主面7bに複数のカーボンナノチューブ6が延びる。
上記した放熱シート7の製造方法によれば、放熱シート7をその側部から圧縮するため、圧縮前よりも単位面積あたりのカーボンナノチューブ6の本数が増える。そのため、放熱シート7の第1の主面7aから第2の主面7bに速やかに熱が伝わるようになり、放熱シート7の熱伝導性が向上する。
しかも、圧縮する際に放熱シート7を上から押さえ板34で押さえ付けているため、圧縮時における放熱シート7の形態が安定し、圧縮板33で放熱シート7の側部を押し易くなる。
本願発明者は、その放熱シート7について様々な調査をした。以下に、その調査について説明する。
(a)スペーサ32の好適な厚さ
本実施形態では前述のように押さえ板34がカーボンナノチューブ6を過度に押圧するのを防止するためにスペーサ32を使用した。本願発明者は、そのスペーサ32の厚さTを変えることにより、放熱シート7の外観がどのように変わるのかを調査した。
その調査結果を図8〜図10に示す。
図8〜図10は、放熱シート7の外観を基にして描いた上面図である。
図8の調査では、各パラメータの値を以下のように設定した。
・スペーサ32の厚さT:270μm
・カーボンナノチューブ6の長さL:200μm
・圧縮板33の厚さ:250μm
この場合、スペーサ32の厚さTは、カーボンナノチューブ6の長さLよりも厚いことになる。
図8に示すように、放熱シート7は、圧縮板33から押されていた縁7zのみが圧縮されており、その部分に圧縮に起因した縞模様7cが生じている。
なお、その縞模様7cが延びる方向Yは、圧縮板33に加える力F1、F2に平行な方向をXとしたとき、その方向Xに直交する。これについては後述の図9及び図10でも同様である。
また、放熱シート7には亀裂7xも生じている。
このように圧縮された部分が縁7zのみに留まったり、亀裂7xが生じたりしたのは、スペーサ32の厚さTがカーボンナノチューブ6の長さLよりも厚いため、押さえ板34でCNTシート6sを押さえることができないためと考えられる。
一方、図9の調査では、各パラメータの値を以下のように設定した。
・スペーサ32の厚さT:180μm
・カーボンナノチューブ6の長さL:200μm
・圧縮板33の厚さ:150μm
この場合、スペーサ32の厚さTは、カーボンナノチューブ6の長さLよりも薄いことになる。
図9に示すように、この場合は圧縮で生じた縞模様7cが図8におけるよりも広い範囲で観察されており、放熱シート7において圧縮された部分を広げることができた。
そして、図10の調査では、各パラメータの値を以下のように設定した。
・スペーサ32の厚さT:180μm
・カーボンナノチューブ6の長さL:240μm
・圧縮板33の厚さ:150μm
図9におけるのと同様に、この場合もスペーサ32の厚さTはカーボンナノチューブ6の長さLよりも薄い。
また、図10の例では圧縮に伴う縞模様7cが放熱シート7の全面に観察されており、放熱シート7の全面を圧縮することができた。
以上の結果から、放熱シート7を広い範囲にわたって圧縮するには、スペーサ32の厚さTをカーボンナノチューブ6の長さLよりも薄くすることが有効であることが確認できた。
次に、本願発明者は、スペーサ32の厚さTによって放熱シート7の熱伝導性がどのように変わるのかを調査した。
図11は、その調査方法について説明する断面図である。
この調査では、CPU等の発熱源を模したヒータ21の上に銅ブロック22を設けた。
更に、その銅ブロック22とヒートスプレッダ23とで放熱シート7を挟み、ヒートスプレッダ23を押圧することにより放熱シート7に所定の圧力Pを加えた。
そして、この状態でヒータ21を発熱させながら、銅ブロック22とヒートスプレッダ23との温度差ΔTを測定する。放熱シート7の熱伝導性が良いほど温度差ΔTは小さくなるので、温度差ΔTは放熱シート7の熱伝導性を推定する指標となる。
図12は、前述の圧力Pと温度差ΔTとの関係を調査して得られた図である。
なお、この調査は、スペーサ32の厚さTが70μm、180μm、270μmの各場合について行った。これらのいずれの場合においても、カーボンナノチューブ6の長さは200μmであり、図6(b)の圧縮によりCNTシート6sの幅W2を圧縮前の幅W1の4倍にした。これは、圧縮により単位面積当たりのカーボンナノチューブ6の密度が4倍になったことに相当する。
また、比較のために、図6(a)、(b)の圧縮を行わない未圧縮の放熱シート7についても同じ調査を行った。その未圧縮の放熱シート7におけるカーボンナノチューブ6の長さも200μmである。
図12に示すように、いずれの圧力Pにおいても、スペーサ32の厚さTが70μmと180μmの各場合では、スペーサ32の厚さTが270μmの場合や未圧縮の場合よりも温度差ΔTが減少する。
例えば、圧力Pが0.9MPaのときは、厚さTを70μmとすることで未圧縮の場合よりもΔTが1.1℃も減少した。
この結果から、厚さTがカーボンナノチューブ6の長さLよりも薄いスペーサ32を使用して放熱シート7を圧縮することにより、放熱シート7の熱伝導性が向上することが明らかとなった。
なお、いずれの圧力Pにおいても、厚さTが70μmと180μmの各場合で温度差ΔTに大きな違いは見られない。よって、温度差ΔTを減少させるには、過度に厚さTを薄くする必要はない。本願発明者の経験によれば、厚さTを長さLの70%〜95%とすることで、温度差ΔTを十分に減少させることができる。
(b)縞模様7cの発生原因
図10に示したように、圧縮によって放熱シート7には縞模様7cが形成される。
本願発明者は、その縞模様7cが生じた原因について調べるため、放熱シート7を更に詳細に観察した。
図13は、放熱シート7のSEM(Secondary Electron Microscope)像を基にして描いた斜視図である。
図13に示すように、前述の縞模様7cは、放熱シート7の第1の主面7aに形成されている。なお、第1の主面7aは、図7に示したように各カーボンナノチューブ6が基板1に固定されていた側の主面であって、各カーボンナノチューブ6の根元側の主面である。
図14は、第1の主面7aを更に拡大したSEM像を基にして描いた平面図である。
図14に示すように、第1の主面7aには、縞模様7cの起源となる帯状の暗部7fと帯状の明部7gが交互に現れている。
図15は、明部7gとその周囲をSEMで拡大した平面図である。
図15に示すように、明部7gにおいてはカーボンナノチューブ6が第1の主面7aに対して起立している。
また、暗部7fと明部7gとの境界にあるカーボンナノチューブ6は、方向Xに沿って押されたことが原因で、起立しているカーボンナノチューブ6の下に潜り込んでいる。
図16は、暗部7fとその周囲をSEMで拡大した平面図である。
図16に示すように、暗部7fにおけるカーボンナノチューブ6は、第1の主面7aに沿って寝ている。
図17は、放熱シート7のSEM像を示す一部断面斜視図である。
図17に示すように、暗部7fにおけるカーボンナノチューブ6は、その先端6xのみが方向Xに沿って寝ており、先端6xよりも下側では起立している。なお、このように寝ている先端6xの長さは、カーボンナノチューブ6の全長の10%以下である。
以上の結果から、前述の縞模様7cは、放熱シート7の第1の主面7aに表出した部分のカーボンナノチューブ6の向きに起因して生じたことが明らかとなった。特に、第1の主面7aにおいてカーボンナノチューブ6が寝ている部分は暗く見え、第1の主面7aにおいてカーボンナノチューブ6が起立している部分は明るく見えることが明らかとなった。
本願発明者は、放熱シート7の第2の主面7bについてもSEMで観察した。
第2の主面7bは、図7に示したように、放熱シート7の両主面のうち、カーボンナノチューブ6の成長端側の主面である。
図18は、放熱シート7の第2の主面7bのSEM像を示す一部断面斜視図である。
図18に示すように、第1の主面7aとは異なり、第2の主面7bには縞模様7cは形成されていない。
図19は、放熱シート7の第2の主面7bをSEMで拡大した平面図である。
図19に示すように、第2の主面7bに表出している部分のカーボンナノチューブ6はランダムに配向している。
図20は、圧縮前の放熱シート7の第2の主面7bのSEM像を示す平面図である。
図20に示すように、第2の主面7bに表出している部分のカーボンナノチューブ6は、圧縮前においてもランダムに配向している。
図18〜図20の結果より、圧縮後の第2の主面7bに目立った模様が形成されないのは、第2の主面7bにおいてはカーボンナノチューブ6がランダムに配向しているためであることが明らかとなった。
(c)放熱シート7の厚さ
放熱シート7に含まれるカーボンナノチューブ6は、柔軟性が高いため電子部品やヒートスプレッダの各々の表面の凹凸に合わせて変形できる。但し、放熱シート7の厚さが薄すぎると放熱シート7の柔軟性が低下するため、電子部品等の表面の凹凸を放熱シート7で埋めることができず、電子部品やヒートスプレッダとの間に熱抵抗の高い空気が介在してしまう。
そこで、本願発明者は、電子装置の製造時の圧力が印加された状態で放熱シート7がどの程度の厚さになるのかを調査した。
この調査では、製造時に放熱シート7に印加される圧力を模擬するために、図11のようにヒートスプレッダ23から放熱シート7に圧力を印加した。
その調査結果を図21に示す。
図21において、「長さL」は放熱シート7におけるカーボンナノチューブ6の長さであって、この例では長さが200μmと240μmの各サンプルについて調査した。
また、「圧縮の有無」は、図5のようにCNTシート6sを側部から圧縮したか否かを表し、「あり」のサンプルについては圧縮を行い、「なし」のサンプルについては圧縮を行わなかった。
なお、スペーサ32の厚さは180μmとし、圧縮板33の厚さは150μmとした。
放熱シート7の厚さの面内での分布を調べるために、この調査では放熱シート7の面内の三か所で厚さを測定した。
図21に示すように、長さLが240μmで圧縮をした二つのサンプルにおいては、放熱シート7の厚さが概ね200μm程度となっている。経験的には200μm程度の厚さであれば放熱シート7の柔軟性が十分に確保できるため、電子部品等の表面の凹凸を放熱シート7で埋めることができ、熱抵抗の高い空気が電子部品と放熱シート7との間に介在するのを防止できる。
なお、図5の圧縮を行わなかったサンプルにおいては、放熱シート7の厚さが50μm未満で極端に薄くなった。これは、図5の圧縮を行わなかったことで放熱シート7におけるカーボンナノチューブ6の密度が疎のままとなっており、ヒートスプレッダ23から印加された圧力にカーボンナノチューブ6が耐えられなかったためと考えられる。
この結果から、図5のように放熱シート7をその側部から圧縮することが、放熱シート7の耐荷重を高めてその厚さを維持するのにも有効であることが確認できた。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図6(a)に示したように、互いに対向する力F1、F2によりCNTシート6sを圧縮した。
本実施形態では、これらの力F1、F2に加えて以下のように別の力をCNTシート6sに加える。
図22(a)、(b)は、本実施形態に係る放熱シートの製造方法について模式的に示す平面図である。
なお、図22(a)、(b)において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。また、図22(a)、(b)ではスペーサ32は省略してある。
まず、図22(a)に示すように、第1実施形態で説明した放熱シート製造装置30にCNTシート6sをセットする。
次に、図22(b)に示すように、四つの圧縮板33でCNTシート6sを挟む。
そして、これらの圧縮板33を介して、互いに直交する方向Xと方向Yから力F1〜F4をCNTシート6sに印加する。これらの力のうち、力F1、F2は、X方向に平行で互いに対向する。また、力F3、F4は、Y方向に平行で互いに対向する。
なお、圧縮によってCNTシート6sは縮小するため、それに合わせて圧縮板33を幅の狭い板に適宜交換していく。
図20は、これにより得られた放熱シート7の外観を基にして描いた上面図である。
本実施形態によれば、上記のように互いに直交する方向Xと方向Yの二方向からCNTシート6sを圧縮するので、一方向のみからCNTシート6sを圧縮する場合よりもカーボンナノチューブ6の単位面積当たりの本数を増やすことができる。
また、図23に示すように、このように二方向から圧縮を行うと、放熱シート7の少なくとも一部の領域Rに複数の畝7hが網目状に形成されることが明らかとなった。
図24は、この放熱シート7の模式断面図である。
図24に示すように、畝7hは、放熱シート7の両方の主面7a、7bに形成される。但し、放熱シート7の厚さtは、放熱シート7の部位によらず略一定である。
図25は、畝7hを拡大したSEM像を示す平面図である。
図25に示すように、畝7hには線状の模様7jが現れている。
図26は、この模様7jを拡大したSEM像を示す平面図である。
図26に示すように、模様7jにおいては、数本のカーボンナノチューブ6が束になっている。この結果より、カーボンナノチューブ6の束に起因して前述の模様7jが現れたことが明らかとなった。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態や第2実施形態で作製した放熱シート7を熱処理することにより、放熱シート7の熱伝導性を更に高める。
図27は、その熱処理で使用する黒鉛炉の模式断面図である。
この黒鉛炉37は、側面にヒータ38を有しており、その底面には放熱シート7を収容した治具39が置かれる。
熱処理に際しては、まず第1実施形態や第2実施形態に従って放熱シート7をその側部から圧縮し、圧縮後の放熱シート7を治具39に収容する。
その後、真空ポンプにより黒鉛炉37内の残留ガスを予め排出した後、その黒鉛炉37内にアルゴンガスを充填する。
これにより、ヒータ38からの輻射熱だけでなく、高温のアルゴンガスによっても放熱シート7の各カーボンナノチューブ6が加熱されることになり、各カーボンナノチューブ6を効率的に加熱することができる。
また、この熱処理の加熱プロファイルも特に限定されない。
図28は、加熱プロファイルの一例を示すグラフである。
図28に示すように、本実施形態では、9時間程度の第1の期間T1において室温から2600℃程度の温度まで放熱シート7を昇温する。
そして、第2の期間T2においてカーボンナノチューブ6を2600℃程度の一定温度に1時間〜3時間程度維持する。以下では、この一定温度のことを熱処理温度とも言う。この熱処理温度は2600℃に限定されず、2000℃〜2700℃程度であってもよい。
その後に、9時間程度の第3の期間T3において放熱シート7の温度を室温まで下げる。
本願発明者は、このように熱処理を行った放熱シート7に含まれるカーボンナノチューブ6の結晶性について調査した。
図29は、カーボンナノチューブ6のラマンスペクトルを調査して得られた図である。図29の横軸は、入射光とストークス光の各々の波数の差で定義されるラマンシフトを示す。また、図29の縦軸は、ストークス光の強度を任意単位で示す。
カーボンナノチューブ6の結晶性の良否を推定する指標としてG/D比がある。G/D比は、ストークス光のうち1600cm-1付近のG-Bandと呼ばれるスペクトルの強度IGと、1350cm-1付近のD-Bandと呼ばれるスペクトルの強度IDとの比(IG/ID)として定義される。
D-Bandは、カーボンナノチューブ6に欠陥が発生してその結晶性が乱れた場合にその強度が強くなることが知られているため、G/D比が小さいほど結晶性が悪く、逆にG/D比が大きいほど結晶性が優れているということになる。
この調査では、熱処理を行わなかったカーボンナノチューブ6と、本実施形態のように放熱シート7を側部から圧縮した後に熱処理を行ったカーボンナノチューブ6の各々のラマンスペクトルを調べた。なお、本実施形態における熱処理温度は2600℃とした。
また、熱処理をした場合としなかった場合の各々のグラフが重ならないようにするため、図29では二つのグラフを上下にずらしてある。
図29の結果によれば、熱処理をしない場合ではD-BandとG-Bandの各々の強度がほぼ同じであるのに対し、熱処理をした本実施形態ではD-Bandの強度がG-Bandのそれよりもかなり弱くなっている。その結果、熱処理をした場合では、熱処理をしない場合と比較してG/D比が6倍程度の値に高められている。
このことから、本実施形態のように熱処理温度を2000℃〜2700℃程度にすることにより、熱処理をしない場合と比較してカーボンナノチューブ6のG/D比が大きくなり、カーボンナノチューブ6の結晶性が改善されることが明らかとなった。
また、本願発明者は、このように熱処理をした放熱シート7の熱伝導性について調査した。
この調査では、図11と同様に、銅ブロック22とヒートスプレッダ23とで放熱シート7を挟むことで放熱シート7に所定の圧力Pを加え、この状態でヒータ21を発熱させつつ、銅ブロック22とヒートスプレッダ23との温度差ΔTを測定した。
その調査結果を図30に示す。
図30に示すように、この調査ではサンプル1〜6を用意し、その各々について温度差ΔTを測定した。
このうち、サンプル1、2は、図5の圧縮を行わず、かつ本実施形態の熱処理も行っていない。
また、サンプル3は、図5の圧縮のみを行い、本実施形態の熱処理は行っていない。
そして、サンプル4〜6は、図5の圧縮と本実施形態の熱処理の両方を行った。
図30の結果によれば、全ての圧力Pにおいて、サンプル4〜6の温度差ΔTはサンプル1、2のそれよりも小さい。例えば、圧力が0.9Paの場合は、サンプル4〜6の温度差ΔTは、サンプル1、2のそれよりも2.3℃程度低くなった。
このことから、圧縮と熱処理の両方を行うと温度差ΔTを低減できることが明らかとなった。
また、圧力が0.9Paにおいては、圧縮のみを行ったサンプル3と比較して、圧縮と熱処理の両方を行ったサンプル4〜6の温度差ΔTが小さくなっている。よって、本実施形態のように熱処理を行うことで、圧縮のみを行う場合よりも更に温度差ΔTが小さくなり、放熱シート7の熱伝導性が向上することが明らかとなった。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態で製造した放熱シート7を用いた電子装置の製造方法について説明する。
図31(a)、(b)は、本実施形態に係る電子装置の製造途中の断面図である。
まず、図31(a)に示すように、加熱プレス機のステージ40の上に、第1の耐熱性樹脂(登録商標)シート41とヒートスプレッダ42とをこの順に載置する。
ヒートスプレッダ42は、放熱部材の一例であって、その材料としては銅やアルミニウムを採用し得る。
更に、そのヒートスプレッダ42の上に、第1の樹脂シート43、放熱シート7、及び第2の樹脂シート44をこの順に重ねる。
第1の樹脂シート43と第2の樹脂シート44の材料は特に限定されないが、この例では熱可塑性のノガワケミカル製の「DH722B」樹脂又は松村石油製の「EP−90」を使用する。また、第1の樹脂シート43と第2の樹脂シート44の各々の厚さは、放熱シート7の厚さの半分以下とする
そして、第2の樹脂シート44の上に第2の耐熱性樹脂シート45を載せ、不図示のヒータで第1及び第2の樹脂シート43、44をそれらが溶融する140℃程度の温度に加熱して軟化させながら、第2の耐熱性樹脂シート45を上からプレス板46で押す。
これにより、点線円内に示すように、軟化した第1の樹脂シート43と第2の樹脂シート44の各々が各カーボンナノチューブ6の間に含浸する。これと共に、軟化した第1の樹脂シート43の粘着力によりヒートスプレッダ42に放熱シート7が固着される。
また、前述のように第1の耐熱性樹脂シート41や第2の耐熱性樹脂シート45を設けたことで、加熱により溶融した第1及び第2の樹脂シート43、44がステージ40やプレス板46に付着するのを防止できる。
次に、図31(b)に示すように、第2の樹脂シート44の上にCPU等の電子部品48を置く。その電子部品48は、はんだバンプ49によって予め配線基板55に接続されている。
そして、前述の第1及び第2の樹脂シート43、44を180程度の温度に加熱して軟化させつつ、電子部品48と配線基板55とを上から押圧することにより、軟化した第2の樹脂シート44の粘着力で放熱シート7に電子部品48を固着する。
図32は、このように放熱シート7に固着されたヒートスプレッダ42と電子部品48とを備えた電子装置57の一部断面斜視図である。
図32に示されるように、ヒートスプレッダ42の縁部42zは、不図示のシーラントで配線基板55に接着される。
また、この例では放熱シート7の第1の主面7aに電子部品48を固着し、第2の主面7bにヒートスプレッダ42を固着しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、放熱シート7の表裏を反転させて、その第1の主面7aにヒートスプレッダ42を固着し、第2の主面7bに電子部品48を固着してもよい。
以上説明した本実施形態によれば、第1〜第3実施形態のように圧縮により熱伝導性が向上した放熱シート7を介してヒートスプレッダ42と電子部品48とが接続される。
そのため、電子部品48で発生した熱が、熱伝導性が良好な放熱シート7を通って速やかにヒートスプレッダ42に伝わるようになるので、電子部品48の冷却を促すことができる。
更に、図31(a)のように各カーボンナノチューブ6の間に第1及び第2の樹脂シート43、44を含浸させることで、軟化した樹脂の粘着力で放熱シート7にヒートスプレッダ42や電子部品48を固着することができ、電子装置57の製造が容易となる。
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板上に成長した複数のカーボンナノチューブを備えたシートを上から押さえ部材で押さえつつ、圧縮部材で前記シートの側部を押すことにより、前記側部から前記シートを圧縮する工程
を有することを特徴とする放熱シートの製造方法。
(付記2) 前記シートを圧縮する工程は、前記基板と前記押さえ部材との間に前記複数のカーボンナノチューブの各々の長さよりも薄いスペーサを挿入し、前記スペーサに前記押さえ部材が上から当接した状態で行われることを特徴とする付記1に記載の放熱シートの製造方法。
(付記3) 前記シートを圧縮する工程の前に、前記複数のカーボンナノチューブの長さが飽和する成長時間をかけて前記基板の上に前記複数のカーボンナノチューブを成長させる工程を更に有することを特徴とする付記1又は付記2に記載の放熱シートの製造方法。
(付記4) 前記シートを圧縮する工程の後に、前記複数のカーボンナノチューブを熱処理する工程を更に有することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の放熱シートの製造方法。
(付記5) 前記シートを圧縮する工程は、
第1の方向に沿った第1の力を前記側部に印加することにより前記第1の方向沿って前記シートを圧縮し、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿った第2の力を前記側部に印加することにより前記第2の方向に沿って前記シートを圧縮することにより行われることを特徴とする付記1乃至付記4のいずれかに記載の放熱シートの製造方法。
(付記6) 前記シートを圧縮する工程の後に、前記複数のカーボンナノチューブの各々の間に、粘着性のある樹脂を含浸させる工程を更に有することを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の放熱シートの製造方法。
(付記7) 相対する第1の主面及び第2の主面と、
前記第1の主面から前記第2の主面に延びる複数のカーボンナノチューブとを有し、
前記第1の主面に表出した部分の前記カーボンナノチューブの向きに起因して、前記第1の主面に縞模様が形成されたことを特徴とする放熱シート。
(付記8) 前記第1の主面と前記第2の主面の各々に設けられた粘着性のある樹脂を更に有し、
前記複数のカーボンナノチューブの各々の間に前記樹脂が含浸したことを特徴とする付記7に記載の放熱シート。
(付記9) 前記縞模様は、前記部分の前記カーボンナノチューブが前記第1の主面に沿って寝た帯状の暗部と、前記部分の前記カーボンナノチューブが前記第1の主面に対して起立した帯状の明部とを交互に有することを特徴とする付記7に記載の放熱シート。
(付記10) 相対する第1の主面及び第2の主面と、
前記第1の主面から前記第2の主面に延びる複数のカーボンナノチューブとを有し、
前記第1の主面と前記第2の主面の各々に、複数の畝が網目状に形成されたことを特徴とする放熱シート。
(付記11) 相対する第1の主面及び第2の主面と、前記第1の主面から前記第2の主面に延びる複数のカーボンナノチューブとを備えた放熱シートと、
前記第1の主面と前記第2の主面の一方に固着された電子部品と、
前記第1の主面と前記第2の主面の他方に固着された放熱部材とを有し、
前記第1の主面に表出した部分の前記カーボンナノチューブの向きに起因して、前記第1の主面に縞模様が形成されたことを特徴とする電子装置。
(付記12) 複数のカーボンナノチューブを備えたシートが表面に設けられた基板を載せるベースと、
前記ベースの上方に設けられ、前記シートを上から押さえる押さえ部材と、
前記シートの側部を押すことにより、前記側部から前記シートを圧縮する圧縮部材と、
を有することを特徴とする放熱シート製造装置。
(付記13) 前記押さえ部材は透明であることを特徴とする付記12に記載の放熱シート製造装置。
(付記14) 前記基板と前記押さえ部材との間に、前記複数のカーボンナノチューブの各々の長さよりも薄いスペーサが挿入され、前記スペーサに前記押さえ部材が上から当接することを特徴とする付記12又は付記13に記載の放熱シート製造装置。
1…基板、2…下地膜、3…下地金属膜、4…触媒金属膜、5…金属粒、6…カーボンナノチューブ、6s…CNTシート、7…放熱シート、7a…第1の主面、7b…第2の主面、7c…縞模様、7f…暗部、7g…明部、7h…畝、7j…模様、7x…亀裂、7z…縁、30…放熱シート製造装置、31…ベース、32…スペーサ、33…圧縮板、34…押さえ板、35…フレーム、35a…開口、36…ネジ、37…黒鉛炉、38…ヒータ、39…治具、40…ステージ、41…第1の耐熱性樹脂シート、42…ヒートスプレッダ、43…第1の樹脂シート、44…第2の樹脂シート、45…第2の耐熱性樹脂シート、46…プレス板、48…電子部品、49…はんだバンプ、55…配線基板、57…電子装置。

Claims (8)

  1. 基板上に成長した複数のカーボンナノチューブを備えたシートを上から押さえ部材で押さえつつ、圧縮部材で前記シートの側部を押すことにより、前記側部から前記シートを圧縮する工程
    を有することを特徴とする放熱シートの製造方法。
  2. 前記シートを圧縮する工程は、前記基板と前記押さえ部材との間に前記複数のカーボンナノチューブの各々の長さよりも薄いスペーサを挿入し、前記スペーサに前記押さえ部材が上から当接した状態で行われることを特徴とする請求項1に記載の放熱シートの製造方法。
  3. 前記シートを圧縮する工程の前に、前記複数のカーボンナノチューブの長さが飽和する成長時間をかけて前記基板の上に前記複数のカーボンナノチューブを成長させる工程を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放熱シートの製造方法。
  4. 前記シートを圧縮する工程の後に、前記複数のカーボンナノチューブの各々の間に、粘着性のある樹脂を含浸させる工程を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の放熱シートの製造方法。
  5. 相対する第1の主面及び第2の主面と、
    前記第1の主面から前記第2の主面に延びる複数のカーボンナノチューブとを有し、
    前記第1の主面に表出した部分の前記カーボンナノチューブの向きに起因して、前記第1の主面に縞模様が形成されたことを特徴とする放熱シート。
  6. 前記第1の主面と前記第2の主面の各々に設けられた粘着性のある樹脂を更に有し、
    前記複数のカーボンナノチューブの各々の間に前記樹脂が含浸したことを特徴とする請求項5に記載の放熱シート。
  7. 相対する第1の主面及び第2の主面と、前記第1の主面から前記第2の主面に延びる複数のカーボンナノチューブとを備えた放熱シートと、
    前記第1の主面と前記第2の主面の一方に固着された電子部品と、
    前記第1の主面と前記第2の主面の他方に固着された放熱部材とを有し、
    前記第1の主面に表出した部分の前記カーボンナノチューブの向きに起因して、前記第1の主面に縞模様が形成されたことを特徴とする電子装置。
  8. 複数のカーボンナノチューブを備えたシートが表面に設けられた基板を載せるベースと、
    前記ベースの上方に設けられ、前記シートを上から押さえる押さえ部材と、
    前記シートの側部を押すことにより、前記側部から前記シートを圧縮する圧縮部材と、
    を有することを特徴とする放熱シート製造装置。
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