以下、本発明の実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る照明器具X(以下、実施形態1に係る照明器具Xという)は、図1〜図4に示すように器具本体1と、器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる点灯ユニット2とを備える。また、以下の説明では、特に断りのない限り、図1に示す向きにおいて、器具本体1の高さ方向を上下方向、光源ユニット3の長手方向を前後方向、光源ユニット3と反射部材7が並ぶ方向を左右方向と規定する。
器具本体1は、角筒状の枠体10と、矩形平板状のベース板11とが結合されることにより、下面が開放された矩形箱状に形成されることが好ましい(図2参照)。さらに、器具本体1は、枠体10の下端部に、矩形枠状のフランジ12が接合されることが好ましい。なお、枠体10は、左側の側壁における前後方向の中央に、逆凸字形状の引掛孔100が設けられている。
ベース板11は、鋼板などの金属板によって、矩形の平板状に形成されている。ベース板11は、給電用の電源線が挿通される挿通孔110が設けられている。挿通孔110に挿通される電源線は、ベース板11の下面に固定される端子台16に電気的に接続される(図2参照)。さらに、ベース板11は、吊りボルトが挿通される複数(図示例では3つ)のボルト挿通孔112が左右方向に一列に並べて設けられる。ただし、ベース板11は、前後方向の長さが枠体10の前後方向の長さよりも短く形成されている。そのため、器具本体1の上面における後端に、矩形の窓孔13が設けられている(図3参照)。
器具本体1は、ベース板11のボルト挿通孔112に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられて吊りボルトに固定される。そして、器具本体1は、フランジ12が天井材の下面側に露出し、その他の部分が天井材の埋込孔に挿入されて埋込配設される。
また、枠体10には、いわゆるラッチ15が左右方向に間隔を空けて2つずつ取り付けられている(図3参照)。ラッチ15は、摘まみと、摘まみを回転可能に支持する支持部とを有する。そして、ラッチ15は、枠体10の前後両側の上端部分に設けられる取付孔に支持部が挿通されて枠体10に取り付けられている(図2及び図3参照)。
点灯ユニット2は、図2〜図4に示すように、複数(図示例では3つ)の光源ユニット3、電源装置4、取付板5、無線通信装置6、複数(図示例では2つ)の反射部材7などを備える。
光源ユニット3は、図5に示すように、基板31、基板31が取り付けられる取付部材32、基板31を覆うようにして取付部材32に取り付けられるカバー部材33、カバー部材33の両端の開口を閉塞するカバーエンド34などを有する。
基板31は、絶縁材料(例えば、セラミック)によって長尺の板状に形成されている。基板31の表面(下面)には、複数個のLED(発光ダイオード)30が、基板31の短手方向における中央部において、基板31の長手方向に沿って2列に並べて実装されている。
また、基板31表面の短手方向におけるLED30の外側に、各LED30のアノード及びカソードを電気的に接続するための導体が形成されている。さらに、基板31表面の長手方向における一端にコネクタ311が実装され、コネクタ311に前記導体が電気的に接続されている。このコネクタ311には、後述するように、中継コネクタが電気的に接続される。
取付部材32は、金属板により、長尺かつ矩形板状の底壁部320と、底壁部320の左右方向(短手方向)における両端から上向きに突出する一対の側壁部321とを有する角樋状に形成されている。底壁部320の略中央部には、基板31を収容するための凹所3200が全長に亘って設けられている。また、各側壁部321の先端(上端)には、互いに離れる向きに傾斜する傾斜部3210がそれぞれ全長に亘って設けられている(図5参照)。
また、凹所3200には、複数の固定部が設けられる。これらの固定部は、凹所3200の底を切り起こすことで鈎形に形成されている。基板31には、これら複数の固定部が各別に挿通される複数の孔が貫通している。そして、各固定部は、基板31の孔に挿通された後、先端側がLED30から遠のく向きに曲げられることにより、凹所3200の底との間に基板31を挟み込んで固定する。
カバー部材33は、透光性を有する材料(例えば、アクリル樹脂等)により、略半円筒形の主部330と、主部330の長手方向に沿った両端部より互いに並行するように上向きに突出した一対の突壁部331とが一体に形成されている。なお、各突壁部331の先端(上端)には、内向きに突出する突起部3310がそれぞれ一体に設けられている。また、主部330の長手方向に沿った両端部には、主部330と連なるように各突壁部331の外側まで延出された延出部332がそれぞれ一体に形成されている。そして、カバー部材33は、各突壁部331の突起部3310が、取付部材32の各傾斜部3210に引っ掛けられることにより、基板31の表面を覆うように取付部材32の下面側に取り付けられる。
カバーエンド34は、合成樹脂材料により、厚みの薄い半円板状に形成される。カバーエンド34は、カバー部材33及び取付部材32の長手方向の端部に取り付けられて、カバー部材33の両端の開口を閉塞する。
また、光源ユニット3を取付板5に取り付けるため、一対の取付金具36が取付部材32の上面側に固定される。取付金具36は、板金を曲げ加工することにより、矩形板状の固定片360と、固定片360の長手方向の両端部から下向きに曲げ起こされた一対の脚片361とが一体に形成されてなる。固定片360の中央には、取付板5にねじ止めするためのねじ孔が設けられている。また、各脚片361には、取付部材32の側壁部321にねじ止めするためのねじ孔が設けられている。取付金具36は、取付部材32の側壁部321間に収められる。そして、取付金具36は、カバー部材33の突壁部331に貫設されたねじ挿通孔と、側壁部321に貫設されたねじ挿通孔とに挿通されたねじ362が、脚片361のねじ孔にねじ込まれることで取付部材32にねじ止めされる。
取付板5は、鋼板などの金属板によって矩形板状に形成される。3つの光源ユニット3は、長手方向に沿って互いに平行となり、かつ、隣の光源ユニット3との間隔が何れも等しくなるように並べた状態で取付板5の下面に固定される(図2参照)。すなわち、取付板5には複数のねじ挿通孔が設けられており、各ねじ挿通孔に挿通される固定ねじ50が、取付金具36の固定片360に設けられているねじ孔にねじ込まれることにより、光源ユニット3が取付板5に固定される。なお、取付板5には3つの窓孔53が1つの辺(前側の辺)に沿って等間隔かつ1列に並ぶように設けられており、各光源ユニット3の中継コネクタがそれぞれ窓孔53に挿通されている(図3参照)。
また、取付板5の左側における前後方向のほぼ中央に、引掛金具57がねじ止めされている。引掛金具57は、取付板5の外側に突出し、器具本体1の枠体10に設けられている引掛孔100に挿入される(図1参照)。つまり、点灯ユニット2は、引掛金具57の先端部分を枠体10における引掛孔100の周縁部分に引っ掛けることにより、器具本体1に吊り下げられて仮保持される。
さらに、取付板5の左右両端には、ラッチ15の摘まみが挿通可能な寸法を有する矩形の挿通孔54がそれぞれ2つずつ設けられている(図3参照)。すなわち、埋込孔に埋め込まれた器具本体1内に点灯ユニット2を収容する際、取付板5の各挿通孔54に挿通されたラッチ15の摘まみが90度回転されることにより、挿通孔54に対して摘まみが抜け止めされる。したがって、点灯ユニット2は、4つのラッチ15によって器具本体1に取り付けられる。ただし、上述のようなラッチ15は従来周知であるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
反射部材7は、隣り合う光源ユニット3の間に生じる2箇所のスペースにそれぞれ配置される(図1及び図2参照)。これらの反射部材7は、一対の反射板70と、各反射板70の上端から上向きに延出された一対の側板71とを有する。反射板70は、長方形状の金属板が曲げ加工されて構成されている。一対の反射板70は、長手方向に沿った一方の端縁同士が繋がっており、長手方向から見てV字状に形成されている。そして、取付板5に設けられている複数の差込部51が、側板71に設けられている複数の差込孔710に差し込まれることにより、取付板5に反射部材7が取り付けられる(図2〜図4参照)。
電源装置4は、プリント配線板に電子部品が実装されて構成される電源回路と、前記電源回路を収容するケース42とを有する。電源回路の回路図を図6に示す。この電源回路は、入力コネクタ400、フィルタ回路401、整流器402、昇圧回路403、降圧回路404、出力コネクタ405、主制御回路406、制御電源回路407、調光制御回路408、消灯制御回路409、制御用コネクタ410などを備える。
入力コネクタ400は、端子台16を介して外部電源(商用交流電源)9と電気的に接続される。フィルタ回路401は、コモンモードチョークコイル4010と、アクロス・ザ・ラインコンデンサ4011とで構成される。整流器402は、ダイオードブリッジで構成され、フィルタ回路401及び入力コネクタ400を介して外部電源9と交流入力端子が電気的に接続され、外部電源9から供給される交流電圧・交流電流を全波整流して直流出力端子から出力する。
昇圧回路403は、チョークコイルL1、スイッチ素子Q1、整流素子D1、平滑コンデンサC1などで構成される、従来周知の昇圧チョッパ回路(力率改善回路)である。また、降圧回路404は、スイッチ素子Q2、インダクタL2、整流素子D2、抵抗R1、平滑コンデンサC2などで構成される、従来周知の降圧チョッパ回路(バックコンバータ)である。整流器402から出力される脈流電圧が昇圧回路403で昇圧され、昇圧回路403から出力される直流電圧が降圧回路404で降圧される。出力コネクタ405は、レセプタクルコネクタからなり、降圧回路404の出力端子(平滑コンデンサC2の両端)と電気的に接続される。
主制御回路406は、昇圧回路403のスイッチ素子Q1並びに降圧回路404のスイッチ素子Q2をそれぞれスイッチングし、昇圧回路403の出力電圧を一定に維持するとともに、降圧回路404の出力電流を目標値に一致させるように構成される。制御電源回路407は、昇圧回路403の出力電圧から制御電圧(例えば、5V〜3V程度の直流電圧)を生成するように構成される。主制御回路406は、制御電源回路407から供給される制御電圧で動作する。
制御用コネクタ410は、レセプタクルコネクタからなり、無線通信装置6のプラグコネクタ63が差込接続される。後述するように、無線通信装置6から出力される制御信号が制御用コネクタ410を介して調光制御回路408と消灯制御回路409に入力される。
消灯制御回路409は、制御信号に応じて、点灯中の光源ユニット3を消灯させるための消灯信号を生成して主制御回路406に出力するように構成される。主制御回路406は、消灯信号を受け取ると、スイッチ素子Q2のスイッチングを中止して降圧回路404を停止させ、光源ユニット3を消灯するように構成される。ただし、主制御回路406は、消灯信号を受け取った場合、スイッチ素子Q2だけでなくスイッチ素子Q1のスイッチングも中止して昇圧回路403と降圧回路404を双方とも停止させてもよい。このように昇圧回路403と降圧回路404の双方が停止すれば、降圧回路404のみが停止する場合と比較して、消灯中における電源装置4の消費電力が削減される。
また、調光制御回路408は、制御信号に応じて、光源ユニット3の光出力(調光レベル)を指示する調光信号を生成して主制御回路406に出力するように構成される。なお、調光レベルは、定格電力が供給されているときの光源ユニット3の光出力を100%としたとき、光源ユニット3に供給される単位時間当たりの平均電力の定格電力に対する比率(%)で表される。例えば、光源ユニット3に供給される単位時間当たりの平均電力が定格電力の半分のとき、調光レベルが50%となる。言い換えると、調光制御回路408は、制御信号で指示される調光レベルが50%であれば、降圧回路404から光源ユニット3に供給される単位時間当たりの平均電力を定格電力の半分にするように指示する調光信号を生成する。主制御回路406は、調光制御回路408から受け取る調光信号に応じて、スイッチ素子Q2のオンデューティ比を調整するように構成されることが好ましい。さらに詳しく説明すると、調光制御回路408は、抵抗R1の両端電圧から降圧回路404の出力電流を検出し、当該出力電流の平均値を調光レベルに対応した目標値に一致させるように、調光信号を生成するように構成されることが好ましい。
プリント配線板は、長尺の矩形平板状の絶縁基板の裏面に配線用の導体(銅はく)が形成されて構成される。プリント配線板の表面に、コネクタや平滑コンデンサ、コモンモードチョークコイル4010などの、いわゆるリード部品が実装される。そして、プリント配線板の裏面に、整流器402、主制御回路406、調光制御回路408、消灯制御回路409などを構成している表面実装部品が実装される。
ケース42は、図3に示すように、金属製の板材によって長尺の箱状に形成されている。電源装置4は、ケース42の長手方向の両端部分が取付板5の上面にねじ止めされることによって、取付板5に取り付けられている。
無線通信装置6は、図7に示すように、回路ブロック60、筐体61、信号ケーブル62、プラグコネクタ63などを備えている。回路ブロック60は、回路基板60Aと、回路カバー60Bとを有している。また、回路ブロック60は、図6に示すように、アンテナ600、無線通信回路601、無線制御回路602、光通信回路603、フォトカプラ604、抵抗R2、R3、信号出力部605などを有している。回路基板60Aは、第1領域60AAと第2領域とに分けられている(図7参照)。第1領域60AAには、アンテナ600を構成する導体が形成されている。また、第2領域には、アンテナ600を除く、無線通信回路601、無線制御回路602、光通信回路603、フォトカプラ604、抵抗R2、R3、信号出力部605などが実装されている。なお、回路カバー60Bは、電磁波を遮断する材料、例えば、銅板やアルミ板などの金属板で箱状に形成され、第2領域を覆うように回路基板60Aに取り付けられている。
無線通信回路601は、アンテナ600で受信する無線信号、例えば、920MHz帯の電波を媒体とする無線信号を受信し、当該無線信号から制御指令を取得するように構成されている。なお、無線信号は、送信機から送信され、照明器具Xの点灯・消灯や調光レベルの調整などを行うための制御指令を伝送している。無線通信回路601は、無線信号から取得した制御指令を無線制御回路602に出力している。無線制御回路602は、例えば、マイクロコントローラで構成されている。無線制御回路602は、無線通信回路601から受け取った制御指令を伝送するための制御信号を生成する。また、無線制御回路602は、制御信号が伝送される一対の信号線と電気的に接続される。無線制御回路602には、フォトカプラ604の入力端子と、限流用の抵抗R2とが電気的に直列接続される。つまり、フォトカプラ604の入力端子には、信号線に伝送される制御信号が無線制御回路602を介して入力される。
信号出力部605は、信号ケーブル62を介して電源装置4の制御用コネクタ410と電気的に接続される。信号ケーブル62は3本の電線62A〜62Cで構成される。そして、電源装置4のグランドとフォトカプラ604の負極側の出力端子(フォトトランジスタのエミッタ)とが1本の電線62Aで電気的に接続される。また、制御電源回路407の出力端子と抵抗R3の一端との接続点が、他の1本の電線62Bで電気的に接続される。さらに、抵抗R3の他端とフォトカプラ604の正極側の出力端子(フォトトランジスタのコレクタ)の接続点が、残り1本の電線62Cで調光制御回路408及び消灯制御回路409と電気的に接続される。つまり、抵抗R3とフォトトランジスタの直列回路には常に一定の制御電源電圧が印加される。そのため、調光制御回路408及び消灯制御回路409に入力される制御信号は、フォトカプラ604の入力電圧がハイレベルのときにローレベルとなり、フォトカプラ604の入力電圧がローレベルのときにハイレベルとなる。例えば、無線制御回路602で生成される制御信号がパルス幅変調(PWM)信号である場合を想定する。この場合、無線制御回路602は、制御指令の調光レベルか100%ときに制御信号のデューティ比を95%とし、調光レベルが低く(暗く)なるにつれてデューティ比を減少させればよい。調光制御回路408は、無線制御回路602から伝送される制御信号のデューティ比が95%のときに調光レベルを100%とし、デューティ比が減少するにつれて調光レベルを減少させればよい。また、消灯制御回路409は、制御信号のデューティ比が下限値(例えば、10%)以下のときに、消灯信号を出力すればよい。
光通信回路603は、赤外線を媒体とする無線通信を行うように構成されている。すなわち、光通信回路603は、回路基板60Aの第2領域に実装されている受光素子603Aで赤外線信号を受信(受光)し、受信した赤外線信号から取得する設定情報を無線制御回路602に出力するように構成されている。なお、設定情報とは、例えば、無線信号(電波)の送信元である送信機に割り当てられている固有の識別情報である。無線制御回路602は、光通信回路603から受け取った設定情報を、マイクロコントローラに内蔵されているメモリに記憶している。無線通信回路601は、アンテナ600で受信する無線信号から、制御指令だけでなく、送信元の送信機の識別情報を取得して無線制御回路602に出力する。無線制御回路602は、無線通信回路601から受け取った識別情報がメモリに記憶(登録)されている識別情報と一致すれば、無線通信回路601から受け取った制御指令を伝送するための制御信号を生成する。一方、無線制御回路602は、無線通信回路601から受け取った識別情報がメモリに記憶されている識別情報と一致しなければ、無線通信回路601から受け取った制御指令を破棄して制御信号を生成しない。つまり、無線制御回路602は、無線通信回路601が複数の送信機から無線信号を受信可能であっても、識別情報が予め登録されている特定の送信機から送信される制御指令だけを受け入れるように構成されている。
筐体61は、図7に示すように、ボディ610とカバー611を備えている。ボディ610は、一面(下面)が開放された箱状の合成樹脂成形体で構成されている。ボディ610は、短手方向に対向する2つの側壁のうちの一方の側壁に、信号ケーブル62が挿通される挿通溝6100が設けられている。また、ボディ610は、2つの雌ねじ部6101を有している。さらに、ボディ610は、長手方向に対向する2つの側壁に、一対の引掛孔6102がそれぞれ短手方向に並ぶように設けられている。
カバー611は、おおよそ矩形板状の蓋体6110と、2対の固定脚6111と、アンテナ収容部6112とを有している。固定脚6111は、蓋体6110の短手方向に沿った両端から、それぞれ上向きに突出するように形成されている。なお、これら2対の固定脚6111の先端(上端)には、外向きに突出する引掛爪61110が設けられている。アンテナ収容部6112は、おおよそ扁平な矩形箱状であって、蓋体6110の下面から下向きに突出し、蓋体6110の上面に開口するように蓋体6110と一体に形成されている。また、アンテナ収容部6112の長手方向の端部には、蓋体6110の厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔6113が設けられている。
ボディ610とカバー611は、カバー611の2対の固定脚6111がボディ610の4つの引掛孔6102に引っ掛けられることによって結合されている(図6参照)。回路ブロック60は、回路カバー60Bが取り付けられている回路基板60Aの第2領域がボディ610内に収容され、回路基板60Aの第1領域60AA(アンテナ600)がアンテナ収容部6112に収容されている(図8参照)。なお、カバー611の貫通孔6113は、回路基板60Aの第2領域に実装されている受光素子603Aの受光部603AAと対向している。つまり、設定器から送信される赤外線信号は、筐体61(カバー611)の貫通孔6113を通して受光素子603Aに受信(受光)される。
無線通信装置6は、固定金具64を介して取付板5の下面に固定されている(図8及び図9参照)。固定金具64は、固定片640、一対の脚片641、引掛爪642、突片643などを有している。固定片640は、矩形の平板状であって、無線通信装置6のアンテナ600(アンテナ収容部6112)が挿通される挿通孔644が設けられている。さらに、固定片640は、2つのねじ挿通孔645が設けられている。ただし、一方のねじ挿通孔645は、挿通孔644の縁と繋がっている(図8参照)。一対の脚片641は、固定片640の短手方向に沿った両側の側端から上向きに立ち上がるように、固定片640と一体に形成されている。そして、一方の脚片641の先端(上端)から外向きに突出するように、矩形板状の引掛爪642が設けられている。また、他方の脚片641の先端(上端)から外向きに突出するように、矩形板状の突片643が設けられている。なお、突片643には、厚み方向(上下方向)に貫通する孔6430が設けられている。
無線通信装置6の筐体61は、アンテナ収容部6112が挿通孔644に挿通された状態で、2つのねじ挿通孔645に挿通される2本のねじが、それぞれ筐体61の2つの雌ねじ部6101にねじ込まれることで固定金具64に固定されている。固定金具64は、取付板5に設けられている引掛孔55に引掛爪642が引っ掛けられ、かつ、突片643の孔6430に挿通されるねじが、取付板5に設けられているねじ孔52にねじ込まれることにより、取付板5の下面に固定されている(図8及び図9参照)。
ここで、無線通信装置6は、固定金具64を介して取付板5に固定されている状態において、右側の反射部材7で覆い隠されている(図4参照)。そのため、無線通信装置6が意匠面(点灯ユニット2の下面)に露出しないので、照明器具Xの外観上の見栄えをよくすることができる。しかしながら、無線通信装置6が金属製の反射部材7で覆われていることにより、無線通信装置6のアンテナ600の受信感度が低下してしまうおそれがある。
そこで、実施形態1に係る照明器具Xは、取付板5に固定されている反射部材7の側板71の一端側(上端側)において、側板71と取付板5の表面(下面)との間に隙間Sが形成されている(図9参照)。この隙間Sは、取付板5の表面(下面)に沿った長さが、無線信号の媒体となる電波の波長の2分の1以上に形成されている。例えば、無線信号に利用される電波が920MHz帯の電波である場合、当該電波の波長は約33[cm]であるから、隙間Sの長さは、17[cm]程度が好ましい。なお、隙間Sの幅(上下方向の高さ)は、数[mm]〜十数[mm]程度が好ましい。
したがって、送信機から送信される無線信号(電波)は、隙間Sを通して反射部材7内に進入してアンテナ600で受信される。つまり、実施形態1に係る照明器具Xは、無線通信装置6が金属製の反射部材7で覆われているにも関わらず、隙間Sを通して進入する無線信号(電波)を受信することができる。そのため、実施形態1に係る照明器具Xは、アンテナ600(アンテナ収容部6112)を露出させずに電波の受信感度の低下を抑えることができる。
なお、無線通信装置6を覆っている反射部材7の反射板70は、上下方向において無線通信装置6の貫通孔6113と対向する位置に、矩形の窓700が設けられている(図1及び図9参照)。ただし、この窓700は、赤外線を透過する材料(例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂など)で形成される窓カバーで塞がれていることが好ましい。つまり、設定器から送信される赤外線信号は、窓700(窓カバー)を通過して無線通信装置6の受光素子603Aで受信(受光)される。
上述のように実施形態1に係る照明器具Xは、器具本体1と、器具本体1に取り付けられる点灯ユニット2とを備えている。点灯ユニット2は、1つ又は複数の光源ユニット3と、光源ユニット3に電力を供給して点灯させる電源装置4と、電波を媒体とした無線通信を行う無線通信装置6とを有している。また、点灯ユニット2は、光源ユニット3から放射される照明光を前方へ反射する1つ又は複数の金属製の反射部材7と、表面に光源ユニット3及び反射部材7が取り付けられるとともに裏面に電源装置4が取り付けられる金属製の取付板5とを有している。無線通信装置6は、アンテナ600と、アンテナ600で受信する無線信号から制御指令を取得し、かつ、取得した制御指令を電源装置4へ出力する無線通信回路601と、アンテナ600及び無線通信回路601を収容する筐体61とを有している。反射部材7は、表面が反射面となる反射板70と、一端側で取付板5に固定され、他端側で反射板70を支持する側板71とを有している。無線通信装置6は、少なくともアンテナ600を、取付板5と反射部材7に囲まれた空間に収めるように取付板5に取り付けられている。反射部材7は、取付板5に固定されている側板71の一端側において、側板71と取付板5の表面との間に、表面に沿った長さが、電波の波長の2分の1以上である隙間Sを形成している。
実施形態1に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、送信機から送信される無線信号(電波)を、隙間Sを通して反射部材7内に進入させてアンテナ600で受信することができる。つまり、実施形態1に係る照明器具Xは、金属製の反射部材7で無線通信装置6を覆い隠しつつ、隙間Sを通して進入する無線信号(電波)をアンテナ600で受信することができる。その結果、実施形態1に係る照明器具Xは、アンテナ600を露出させずに電波の受信感度の低下を抑えることができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る照明器具XXについて、図10〜図15を参照して詳細に説明する。ただし、実施形態2に係る照明器具XXの構成要素のうち、実施形態1に係る照明器具Xの構成要素と同様の機能を有する構成要素については、形状や大きさなどが異なっていても、共通の符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下の説明では、特に断りのない限り、図10に示す向きにおいて、器具本体1の高さ方向を上下方向、光源ユニット3の長手方向を左右方向、光源ユニット3と反射部材7が並ぶ方向を前後方向と規定する。
実施形態2に係る照明器具XXは、図10〜図13に示すように、器具本体1と、器具本体1に対して着脱可能に取り付けられる点灯ユニット2とを備えている。さらに、実施形態2に係る照明器具XXにおいて、点灯ユニット2は、取付枠8を備えることが好ましい。
器具本体1は、矩形板状の本体部17と、本体部17の長手方向(前後方向)における両端から下向きに垂下されている一対の脚部18とを有している。ただし、本体部17と一対の脚部18は、鋼板などの金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。本体部17は、給電用の電源線が挿通される挿通孔170が設けられている。挿通孔170に挿通される電源線は、本体部17の下面に固定される端子台16に電気的に接続される(図13参照)。さらに、本体部17は、建物の躯体に埋め込まれている吊りボルトが挿通される複数(図示例では3つ)のボルト挿通孔171が前後方向に一列に並べて設けられている。器具本体1は、天井材の埋込孔に挿入され、本体部17のボルト挿通孔171に挿通される吊りボルトにナットが締め付けられて吊りボルトに固定される。なお、本体部17は、長手方向の両端に、おおよそ台形状の引掛孔172がそれぞれ厚み方向(上下方向)に貫通するように設けられている。
点灯ユニット2は、図11〜図14に示すように、複数(図示例では3つ)の光源ユニット3、電源装置4、取付板5、無線通信装置6、反射部材7、取付枠8などを備えている。
取付枠8は、図12に示すように、矩形枠状の枠本体80と、2つの固定ばね81とを備えている。枠本体80は、矩形の枠状に形成されている。また、枠本体80は、上面から上向きに立ち上がる周壁800が全周に渡って設けられている。また、周壁800の左右両側の上端には、一対の固定片801がそれぞれ内向きに突出している。そして、取付枠8は、2対の固定片801がそれぞれ取付板5にねじ止めされることで取付板5と結合されている(図11参照)。
2つの固定ばね81は、いずれも金属製の線材で構成されたねじりコイルばねである。2つの固定ばね81は、コイル810と、コイル810の両端から互いに離れる向きに伸びた一対の腕811とを、それぞれ有している。ただし、一対の腕811は、先端部分がほぼ直角に曲げられている。これらの固定ばね81は、2つの連結金具82によって取付枠8の前後両側の周壁800にそれぞれ取り付けられている(図12参照)。取付枠8は、2つの固定ばね81のそれぞれの腕811が器具本体1の引掛孔172にそれぞれ挿入され、コイル810のばね力によって一対の腕811が引掛孔172の周縁に引っ掛かることにより、器具本体1に取り付けられる(図11参照)。
3つの光源ユニット3は、基板31と、基板31の表面(下面)に実装される複数個のLEDと、カバー37とをそれぞれ備えている(図14参照)。基板31は、長尺の矩形平板状に形成されている。複数個のLEDは、基板31の下面に長手方向に沿って等間隔に並ぶように配置されて実装されている。また、基板31の下面には、長手方向(左右方向)の両端にレセプタクルコネクタ311がそれぞれ2つずつ実装されている。レセプタクルコネクタ311は、基板31に形成されている導体を介してLEDと電気的に接続されており、電源装置4からの出力線に結線されたプラグコネクタと抜き差し可能に接続される。なお、基板31は、取付板5に設けられている複数の固定部58によって取付板5に固定されている。なお、これら複数の固定部58は、取付板5が切り起こされることで鉤形に形成され、先端部分が基板31に近付く向きに曲げられることにより、取付板5の下面との間に基板31を挟み込んで固定している(図14参照)。
カバー37は、カバー本体370と、2つのカバーエンド371とを有している。カバー本体370は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂により、主部3700と、一対の側壁部3701と、一対の鍔部3702とが一体に形成されている。主部3700は、おおよそ半円筒形状に形成されている。一対の側壁部3701は、長尺な矩形板状であって、主部3700の長手方向に沿った両側の端縁より上向きに突出するように形成されている。一対の鍔部3702は、一対の側壁部3701の先端(上端)から互いに離れる向きに突出するように形成されている(図14参照)。なお、一対の鍔部3702は、長手方向の中央及び両端近傍に、半円形状のねじ挿通溝3703がそれぞれ設けられている。さらに、一対の鍔部3702は、中央のねじ挿通溝3703と両端のねじ挿通溝3703との間に、一対の溝がそれぞれ設けられている。そして、こられ一対の溝に挟まれた部分が、それぞれ差込部3704となる。
カバーエンド371は、合成樹脂製であって、カバー本体370の長手方向の両端の開口を塞ぐように、取付板5に取り付けられている(図14参照)。カバーエンド371は、上端に設けられている一対の爪部3711が、取付板5に設けられている一対の孔に挿入され、かつ、取付板5の上面側における孔の周囲に引っ掛かることにより、取付板5に取り付けられている(図11参照)。なお、カバーエンド371は、カバー本体370の短手方向(前後方向)に沿って、一対の鍔部3702の外にそれぞれ突出する一対の固定片3710を有している。これら一対の固定片3710は、厚み方向(上下方向)に貫通する円形の挿通孔3710Aを有している(図14参照)。
カバー本体370は、取付板5に設けられている複数の差込孔56に、鍔部3702に設けられている複数の差込部3704がそれぞれ差し込まれることで取付板5に取り付けられている(図14参照)。
反射部材7は、一対の側板71の先端(上端)から、互いに近付く向きに突出する一対の固定片72を有している(図15参照)。また、これら一対の固定片72は、長手方向の中央及び両端近傍に、それぞれねじ孔(雌ねじ)720が設けられている。
反射部材7は、一対の固定片72がカバー本体370の鍔部3702に重ねられ、取付板5に設けられているねじ挿通孔500に上から挿通されるねじ501がねじ孔720にねじ込まれることにより、取付板5に取り付けられている(図15参照)。つまり、反射部材7の固定片72と取付板5(の下面)との間に、カバー本体370の鍔部3702の厚みに相当する寸法の隙間が形成されている。この隙間は、反射部材7の長手方向の長さとほぼ同じ長さであるから、例えば、無線信号に利用される電波が920MHz帯の電波である場合の波長の2分の1(約17[cm])よりも長くなる。
実施形態2に係る照明器具XXにおいて、無線通信装置6は、取付板5の上面に取り付けられている(図12参照)。取付板5には、無線通信装置6のアンテナ収容部6112が挿通される挿通孔502と、2つのねじ挿通孔503とが設けられている(図14参照)。ただし、一方のねじ挿通孔503は、挿通孔502の縁と繋がっている。無線通信装置6の筐体61は、アンテナ収容部6112が挿通孔502に挿通された状態で、2つのねじ挿通孔503に挿通される2本のねじ503が、それぞれ筐体61の2つの雌ねじ部6101にねじ込まれることで取付板5の上面に固定されている。
ここで、挿通孔502を通して取付板5の下面側に突出しているアンテナ収容部6112は、前側の反射部材7で覆い隠されている(図15参照)。そのため、無線通信装置6(アンテナ収容部6112)が意匠面(点灯ユニット2の下面)に露出しないので、照明器具XXの外観上の見栄えをよくすることができる。しかも、金属製の反射部材7と取付板5との間に、2分の1波長以上の長さの隙間が形成されているため、送信機から送信される無線信号(電波)は、隙間を通して反射部材7内に進入してアンテナ600で受信される。つまり、実施形態2に係る照明器具XXは、実施形態1に係る照明器具Xと同様に、無線通信装置6が金属製の反射部材7で覆われているにも関わらず、隙間を通して進入する無線信号(電波)を受信することができる。そのため、実施形態2に係る照明器具XXは、アンテナ600(アンテナ収容部6112)を露出させずに電波の受信感度の低下を抑えることができる。
ところで、反射部材7と取付板5との間の隙間の幅寸法(高さ寸法)は、カバー本体370の鍔部3702の厚み寸法で規制されている。つまり、隙間に挿入された鍔部3702(スペーサ)が反射部材7と取付板5にそれぞれ接触することにより、反射部材7のがたつきを抑えて隙間の幅寸法の変化を抑制することができる。なお、送信機から送信される無線信号(電波)は、電気絶縁性を有する合成樹脂で形成されている鍔部3702(スペーサ)を透過して反射部材7内に進入することが可能である。
上述のように実施形態2に係る照明器具XXにおいて、電気絶縁性を有し、隙間に挿入されて取付板5の表面(下面)と側板71の一端(上端)とにそれぞれ接触するスペーサ(鍔部3702)を備えていることが好ましい。
実施形態2に係る照明器具XXが上述のように構成されれば、反射部材7のがたつきを抑えて隙間の幅寸法の変化を抑制し、電波の受信感度の低下を抑えることができる。
さらに、実施形態2に係る照明器具XXにおいて、光源ユニット3は、基板31の表面に複数個のLEDが実装されているLEDモジュール(基板31)と、透光性を有する合成樹脂製であって、LEDモジュールを覆うカバー37とを有していることが好ましい。また、スペーサ(カバー本体370の鍔部3702)は、カバー37に設けられていることが好ましい。
実施形態2に係る照明器具XXが上述のように構成されれば、スペーサとカバー37が一体に形成されるため、スペーサがカバー37と別体に形成される場合と比較して、製造コストの低減を図ることができる。