以下、実施形態に係る点灯装置、光源ユニット及び照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
まず、本実施形態の照明器具3を説明する。
本実施形態の照明器具3は、図1及び図2に示すように、本実施形態の光源ユニット2と、光源ユニット2を支持する器具本体4とを有している。光源ユニット2は、天井に直付けされる器具本体4に着脱可能に取り付けられる。ただし、器具本体4は、天井に埋め込まれてもよいし、あるいは、壁に直付けされてもよいし、壁に埋め込まれてもよい。
器具本体4は、下面が開放された矩形箱状の収容部40と、収容部40の長手方向に沿った両側の開口端縁より斜め上向きに突出する一対の反射板41と、収容部40及び一対の反射板41の長手方向の両端に設けられた一対のエンド板42とを備える(図2参照)。器具本体4は、収容部40の底面に設けられている複数の取付孔400のうちの少なくともいずれか二つの取付孔400に吊りボルト(不図示)がそれぞれ挿通され、それらの吊りボルトにナット(不図示)が締め付けられることで天井に設置される。また、収容部40の底面に設けられている複数の電源孔401のうちのいずれか一つの電源孔401に電源線が挿通される。電源孔401に挿通された電源線は、端子台(不図示)を介して、点灯装置1と電気的に接続される。
光源ユニット2は、図2に示すように、本実施形態の点灯装置1と、点灯装置1によって点灯させられる二つのLEDモジュール22とを備えている。また、光源ユニット2は、取付部材21と、カバー23と、無線装置5とを備えることが好ましい。
LEDモジュール22は、多数のLED220と、基板221と、中継コネクタ223とを備えている。基板221は、長尺の矩形板状に形成されている。多数のLED220は、基板221の表面(下面)における短手方向の中央に、基板221の長手方向に沿って等間隔かつ一列に並べて実装されている。中継コネクタ223は、それぞれのLEDモジュール22の基板221において、二つのLEDモジュール22同士が長手方向に沿って隣り合う側の端部にそれぞれ実装されている。一方のLEDモジュール22(図2における右側のLEDモジュール22)に入力コネクタ222が実装されている。入力コネクタ222は、右側のLEDモジュール22の基板221において、中継コネクタ223が実装されている側と反対側の端部(右側の端部)に実装されている。
取付部材21は、金属板によって長尺の角樋状に形成されている。取付部材21は、長尺の矩形板状の底板210と、底板210の長手方向に沿った両端から上向きに立ち上がる一対の側板211とを有している。二つのLEDモジュール22は、互いの中継コネクタ223同士が電気的に接続された状態で、底板210から切り起こされている複数の爪によって底板210の下面に取り付けられている。なお、LEDモジュール22の入力コネクタ222は、電線によって点灯装置1の出力用のコネクタと電気的に接続される。
カバー23は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって半円筒形状に形成されている。また、カバー23は、長手方向に沿って上向きに突出する一対の突壁233を有している。カバー23は、一対の突壁233の間に取付部材21を収容し、取付部材21の一対の側板211の先端(上端)に、一対の突壁233の先端(上端)に形成されている引掛部が引っ掛けられることで取付部材21に取り付けられる。
点灯装置1は、プリント回路板19と、プリント回路板19を収容するケース18とを有する。プリント回路板19は、長方形状のプリント配線板に集積回路を含む種々の電子部品が実装されて構成されている。ケース18は、金属板により、一面(下面)が開口した長尺の矩形箱状に形成されている。ケース18は、プリント回路板19を収容し、開口面を底板210の上面に向けるようにして取付部材21に固定される。なお、ケース18は、取付部材21に固定された状態において、取付部材21と電気的に接続されている。さらに、取付部材21は、光源ユニット2が器具本体4に取り付けられた状態において器具本体4と電気的に接続されている。したがって、点灯装置1のケース18は、取付部材21を通して器具本体4と電気的に接続される。
点灯装置1の回路構成を図3に示す。点灯装置1は、入力コネクタ100、フィルタ部101、整流器102、電力変換回路、出力コネクタ105、制御回路106、制御電源回路107、調光制御回路108、消灯制御回路109、制御用コネクタ110を備える。本実施形態における電力変換回路は、昇圧チョッパ回路103と降圧チョッパ回路104の二つのスイッチング電源回路を備えている。ただし、電力変換回路は、昇圧チョッパ回路103に代えて、降圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路、フライバックコンバータなどの力率改善機能を有するスイッチング電源回路を備えていればよい。また、電力変換回路は、降圧チョッパ回路104に代えて、種々のチョッパ回路、シリーズレギュレータによる定電流回路などを備えてもよい。あるいは、電力変換回路は、力率改善機能と定電流制御機能を有するコンバータ回路であってもかまわない。
入力コネクタ100は、商用の電力系統(交流電源9)と電気的に接続される。フィルタ部101は、コモンモードフィルタ(コモンモードチョークコイル)1010と、アクロス・ザ・ラインコンデンサ1011と、後述する第1コンデンサ(バイパスコンデンサCc)とを有する。整流器102は、ダイオードブリッジで構成される。整流器102の一対の交流入力端子は、フィルタ部101及び入力コネクタ100を介して交流電源9と電気的に接続される。整流器102は、交流電源9から供給される交流電圧及び交流電流を全波整流した脈流電圧及び脈流電流を一対の脈流出力端子から出力する。ただし、整流器102の一対の脈流出力端子間には、脈流電圧及び脈流電流のリップルを抑制するためのコンデンサCr(第2コンデンサ)が電気的に接続されている。さらに、整流器102の低電位側の脈流出力端子は、バイパスコンデンサCc(第1コンデンサ)を介してグランド(ケース18)と電気的に接続されている。なお、バイパスコンデンサCcは、コモンモードフィルタ1010とともにコモンモードノイズ用のフィルタを構成する。
昇圧チョッパ回路103は、チョークコイルL1、スイッチング素子Q1、整流素子D1、平滑コンデンサC1などで構成される、スイッチング電源回路(力率改善回路)である。また、降圧チョッパ回路104は、スイッチング素子Q2、インダクタL2、整流素子D2、抵抗R1、平滑コンデンサC2などで構成される。整流器102から出力される脈流電圧が昇圧チョッパ回路103で昇圧され、昇圧チョッパ回路103から出力される直流電圧が降圧チョッパ回路104で降圧される。出力コネクタ105は、レセプタクルコネクタからなり、降圧チョッパ回路104の出力端子(平滑コンデンサC2の両端)と電気的に接続される。
制御回路106は、昇圧チョッパ回路103のスイッチング素子Q1をスイッチングし、昇圧チョッパ回路103の出力電圧を一定に維持する。さらに、制御回路106は、降圧チョッパ回路104のスイッチング素子Q2をスイッチングし、降圧チョッパ回路104の出力電流を目標値に一致させる。制御電源回路107は、昇圧チョッパ回路103の出力電圧から制御電圧(例えば、5V~3V程度の直流電圧)を生成する。制御回路106は、制御電源回路107から供給される制御電圧で動作する。
制御用コネクタ110は、レセプタクルコネクタからなり、無線装置5のプラグコネクタ53(図5参照)が差込接続される。後述するように、無線装置5から出力される制御信号が制御用コネクタ110を介して調光制御回路108と消灯制御回路109に入力される。
消灯制御回路109は、制御信号に応じて、点灯中のLEDモジュール22を消灯させるための消灯信号を生成して制御回路106に出力するように構成される。制御回路106は、消灯信号を受け取ると、スイッチング素子Q2のスイッチングを中止して降圧チョッパ回路104を停止させ、LEDモジュール22を消灯するように構成される。ただし、制御回路106は、消灯信号を受け取った場合、スイッチング素子Q2だけでなくスイッチング素子Q1のスイッチングも中止して昇圧チョッパ回路103と降圧チョッパ回路104を双方とも停止させてもよい。このように昇圧チョッパ回路103と降圧チョッパ回路104の双方が停止すれば、降圧チョッパ回路104のみが停止する場合と比較して、消灯中における点灯装置1の消費電力が削減される。
また、調光制御回路108は、制御信号に応じて、LEDモジュール22の光出力(調光レベル)を指示する調光信号を生成して制御回路106に出力するように構成される。なお、調光レベルは、定格電力が供給されているときのLEDモジュール22の光出力を100%としたとき、LEDモジュール22に供給される単位時間当たりの平均電力の定格電力に対する比率(%)で表される。例えば、LEDモジュール22に供給される単位時間当たりの平均電力が定格電力の半分のとき、調光レベルが50%となる。言い換えると、調光制御回路108は、制御信号で指示される調光レベルが50%であれば、降圧チョッパ回路104からLEDモジュール22に供給される単位時間当たりの平均電力を定格電力の半分にするように指示する調光信号を生成する。制御回路106は、調光制御回路108から受け取る調光信号に応じて、スイッチング素子Q2のオンデューティ比を調整するように構成されることが好ましい。更に詳しく説明すると、調光制御回路108は、抵抗R1の両端電圧から降圧チョッパ回路104の出力電流を検出し、当該出力電流の平均値を調光レベルに対応した目標値に一致させるように、調光信号を生成するように構成されることが好ましい。
無線装置5は、図4に示すように、回路ブロック50、筐体51、信号ケーブル52、プラグコネクタ53などを備えている。回路ブロック50は、回路基板50Aと、回路カバー50Bとを有している。
回路ブロック50は、図3に示すように、アンテナ500、無線通信回路501、無線制御回路502、赤外線通信回路503、フォトカプラ504、抵抗R2、R3、信号出力端子505などを有している。回路基板50Aは、第1領域50AAと第2領域とに分けられている(図4参照)。第1領域50AAには、アンテナ500を構成する導体が形成されている。また、第2領域には、アンテナ500を除く、無線通信回路501、無線制御回路502、赤外線通信回路503、フォトカプラ504、抵抗R2、R3、信号出力端子505などが実装されている。なお、回路カバー50Bは、電磁波を遮断する材料、例えば、銅板やアルミ板などの金属板で箱状に形成され、第2領域を覆うように回路基板50Aに取り付けられている。
無線通信回路501は、アンテナ500で受信する無線信号、例えば、920MHz帯の電波を媒体とする無線信号を受信し、当該無線信号から制御指令を取得する。なお、無線信号は、送信機から送信され、光源ユニット2の点灯・消灯や調光レベルの調整などを行うための制御指令を伝送する。無線通信回路501は、無線信号から取得した制御指令を無線制御回路502に出力する。無線制御回路502は、例えば、マイクロコントローラで構成されることが好ましい。無線制御回路502は、無線通信回路501から受け取った制御指令を伝送するための制御信号を生成する。また、無線制御回路502は、制御信号が伝送される一対の信号線と電気的に接続される。無線制御回路502には、フォトカプラ504の入力端子と、限流用の抵抗R2とが電気的に直列接続される。つまり、フォトカプラ504の入力端子には、信号線に伝送される制御信号が無線制御回路502を介して入力される。
信号出力端子505は、信号ケーブル52を介して点灯装置1の制御用コネクタ110と電気的に接続される。信号ケーブル52は3本の電線52A~52Cで構成される。そして、点灯装置1のグランドとフォトカプラ504の負極側の出力端子(フォトトランジスタのエミッタ)とが1本の電線52Aで電気的に接続される。また、制御電源回路107の出力端子と抵抗R3の一端との接続点が、他の1本の電線52Bで電気的に接続される。さらに、抵抗R3の他端とフォトカプラ504の正極側の出力端子(フォトトランジスタのコレクタ)の接続点が、残り1本の電線52Cで調光制御回路108及び消灯制御回路109と電気的に接続される。つまり、抵抗R3とフォトトランジスタの直列回路には常に一定の制御電源電圧が印加される。そのため、調光制御回路108及び消灯制御回路109に入力される制御信号は、フォトカプラ504の入力電圧がハイレベルのときにローレベルとなり、フォトカプラ504の入力電圧がローレベルのときにハイレベルとなる。例えば、無線制御回路502で生成される制御信号がパルス幅変調(PWM)信号である場合を想定する。この場合、無線制御回路502は、制御指令の調光レベルが100%のときに制御信号のデューティ比を95%とし、調光レベルが低く(暗く)なるにつれてデューティ比を減少させればよい。調光制御回路108は、無線制御回路502から伝送される制御信号のデューティ比が95%のときに調光レベルを100%とし、デューティ比が減少するにつれて調光レベルを減少させればよい。また、消灯制御回路109は、制御信号のデューティ比が下限値(例えば、10%)以下のときに、消灯信号を出力すればよい。
赤外線通信回路503は、赤外線を媒体とする無線通信を行う。すなわち、赤外線通信回路503は、回路基板50Aの第2領域に実装されている赤外線受光素子503Aで赤外線信号を受信(受光)し、受信した赤外線信号から取得する設定情報及び制御情報を無線制御回路502に出力する。なお、設定情報は、例えば、無線信号(電波)の送信元である送信機に割り当てられている固有の識別情報である。また、制御情報は、光源ユニット2を点灯させる点灯司令、光源ユニット2を消灯させる消灯指令、及び光源ユニット2の調光レベルを指示する調光指令の各指令を含む情報である。なお、赤外線信号は、例えば、一般財団法人家電製品協会によって規定された規格、いわゆる、家電協フォーマットに準拠している。家電協フォーマットでは、波長のピーク値が900~950nmの赤外線であり、デューティ比が50%、周波数が33kHz以上、40kHz以下の方形波からなる搬送波が使用される。
無線制御回路502は、赤外線通信回路503から受け取った設定情報を、マイクロコントローラに内蔵されているメモリに記憶する。無線通信回路501は、アンテナ500で受信する無線信号から、制御指令だけでなく、送信元の送信機の識別情報を取得して無線制御回路502に出力する。無線制御回路502は、無線通信回路501から受け取った識別情報がメモリに記憶(登録)されている識別情報と一致すれば、無線通信回路501から受け取った制御指令を伝送するための制御信号を生成する。一方、無線制御回路502は、無線通信回路501から受け取った識別情報がメモリに記憶されている識別情報と一致しなければ、無線通信回路501から受け取った制御指令を破棄して制御信号を生成しない。つまり、無線制御回路502は、無線通信回路501が複数の送信機から無線信号を受信可能であっても、識別情報があらかじめ登録されている特定の送信機から送信される制御指令だけを受け入れる。
無線制御回路502は、赤外線通信回路503から制御情報を受け取ると、受け取った制御情報に含まれる指令(点灯指令、消灯指令、調光指令)を伝送するための制御信号を生成する。無線制御回路502は、点灯指令を伝送する場合、デューティ比を95%としたPWM信号からなる制御信号を生成する。また、無線制御回路502は、消灯指令を伝送する場合、デューティ比を下限値以下としたPWM信号からなる制御信号を生成する。さらに、無線制御回路502は、調光指令を伝送する場合、調光指令で指示された調光レベルに対応するデューティ比のPWM信号からなる制御信号を生成する。
筐体51は、図4に示すように、ボディ510とカバー511を備えている。ボディ510は、一面(下面)が開放された箱状の合成樹脂成形体で構成されている。ボディ510は、短手方向に対向する2つの側壁のうちの一方の側壁に、信号ケーブル52が挿通される挿通溝5100が設けられている。また、ボディ510は、2つの雌ねじ部5101を有している。さらに、ボディ510は、長手方向に対向する2つの側壁に、一対の引掛孔5102がそれぞれ短手方向に並ぶように設けられている。
カバー511は、矩形板状の蓋体5110と、2対の固定脚5111と、アンテナ収容部5112とを有している。固定脚5111は、蓋体5110の短手方向に沿った両端から、それぞれ上向きに突出するように形成されている。なお、これら2対の固定脚5111の先端(上端)には、外向きに突出する引掛爪51110が設けられている。アンテナ収容部5112は、へん平な矩形箱状に形成されている。また、アンテナ収容部5112は、蓋体5110の下面から下向きに突出し、蓋体5110の上面に開口するように蓋体5110と一体に形成されている。また、アンテナ収容部5112の長手方向の端部には、蓋体5110の厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔5113が設けられている。
ボディ510とカバー511は、カバー511の2対の固定脚5111がボディ510の4つの引掛孔5102に引っ掛けられることによって結合される。回路ブロック50は、回路カバー50Bが取り付けられている回路基板50Aの第2領域がボディ510内に収容され、回路基板50Aの第1領域50AA(アンテナ500)がアンテナ収容部5112に収容される。なお、カバー511の貫通孔5113は、回路基板50Aの第2領域に実装されている赤外線受光素子503Aの受光部と対向している。つまり、図示しない設定器(ワイヤレスリモートコントローラ)から送信される赤外線信号は、筐体51(カバー511)の貫通孔5113を通して赤外線受光素子503Aに受信(受光)される。
無線装置5は、図5に示すように、取付部材21の底板210に取り付けられる。底板210の長手方向の一端部(図2における左端部)に長方形の開口部213が設けられている。無線装置5の筐体51は、アンテナ収容部5112を底板210の上面側から下面側に向かって開口部213に通した状態で底板210の上面に固定される。つまり、無線装置5は、アンテナ収容部5112を開口部213から底板210の下面側に突き出させた状態で取付部材21に取り付けられる(図5参照)。また、筐体51の貫通孔5113は、開口部213を通して底板210の下面側に露出している。したがって、ワイヤレスリモートコントローラから送信される赤外線信号は、透光性を有するカバー23を透過し、底板210の開口部213から露出する貫通孔5113を通して赤外線通信回路503の赤外線受光素子503Aに受光(受信)される。
ここで、点灯装置1の昇圧チョッパ回路103からバイパスコンデンサCcを通してケース18に流れるコモンモードノイズの周波数と、赤外線信号の搬送波の周波数との差が小さいほど、コモンモードノイズが赤外線信号に干渉する可能性が高くなる。そして、コモンモードノイズが赤外線信号と干渉した場合、無線装置5(無線装置5による遠隔制御)が誤動作したり、不動作となる可能性が高まる。なお、コモンモードノイズは、主として、昇圧チョッパ回路103のスイッチング素子Q1のスイッチング動作に起因して発生する。ゆえに、コモンモードノイズの周波数は、スイッチング素子Q1のスイッチング周波数と一致する。また、コモンモードノイズのレベルは、スイッチング素子Q1のスイッチングに伴ってチョークコイルL1に流れる電流ILのピーク値(ILp)に比例(正比例)し、かつ、リップル抑制用のコンデンサCrの静電容量に反比例(逆比例)すると考えられる。
そこで、点灯装置1では、コモンモードフィルタ1010とバイパスコンデンサCcとで構成されるコモンモードノイズ用のフィルタ(低域通過フィルタ)のカットオフ周波数fcを赤外線信号の搬送波周波数fRよりも低くしている(図6参照)。なお、本発明者らは、搬送波周波数fRを固定し、カットオフ周波数fcを変化させて無線装置5(遠隔制御)の誤動作及び不動作が生じるか否かの実験を行った。以下、当該実験の結果について、図6及び図7を参照して説明する。
実験の条件として、赤外線信号の搬送波周波数fRを36.7kHzとし、カットオフ周波数fcを27kHz以上、44kHz未満の範囲の値とした。また、交流電源9の電源電圧(実効値)は、100V(周波数50Hz)とした。さらに、コモンモードノイズのレベルを示すパラメータP1として、コンデンサCrの静電容量crを、チョークコイルL1に流れる電流ILのピーク値ILpで除した値(cr/ILp[nF/A])を採用した。
図7は、横軸をカットオフ周波数fcとし、縦軸をパラメータP1(=cr/ILp)としている。図7には、一定の距離から光源ユニット2(の無線装置5)に向けて赤外線信号を所定回数(10回)送信したときに誤動作及び不動作が生じた割合を3種類の記号○、△、×で示している。記号○は、10回中に誤動作及び不動作が1回も生じなかったことを示している。記号△は、10回中に誤動作及び不動作が1~9回生じたことを示している。記号×は、10回中に誤動作及び不動作が10回生じたことを示している。例えば、カットオフ周波数fc=34.2kHz、パラメータP1=325nF/Aとしたときの実験結果は、記号○で示されている。また、カットオフ周波数fc=34.2kHz、パラメータP1=150nF/Aとしたときの実験結果は、記号△で示されている。さらに、カットオフ周波数fc=32.8kHz、パラメータP1=68nF/Aとしたときの実験結果は、記号×で示されている。
図7に示す実験結果によれば、カットオフ周波数fcが34.2kHz以下のとき、無線装置5(遠隔制御)の誤動作及び不動作が10回中に10回生じた割合(記号×の個数)は、2/17×100%≒12%となる。したがって、本実施形態の点灯装置1は、無線装置5(遠隔制御)の誤動作及び不動作の抑制を図ることができる。つまり、バイパスコンデンサCcを通してグランドに流れるコモンモードノイズ(漏えい電流)の周波数が赤外線信号の搬送波周波数fRよりも低くなることにより、制御信号(赤外線信号)に対するコモンモードノイズの影響を低減することができる。なお、カットオフ周波数fcの上限値は、赤外線信号の搬送波周波数fRの値に応じて変更されてもよい。例えば、赤外線信号の搬送波周波数fRとの周波数の差Δfが所定値以上となる周波数をカットオフ周波数fcの上限値としてもよい。ただし、カットオフ周波数fcと赤外線信号の搬送波周波数fRとの周波数の差Δfは、2.5kHz以上であることが好ましい。
また、図7に示す実験結果によれば、カットオフ周波数fcを34.2kHz以下とし、かつ、パラメータP1を100nF/A以上としたとき、記号×の個数はゼロとなり、無線装置5(遠隔制御)の誤動作及び不動作の大幅な抑制を図ることができる。ただし、パラメータP1の下限値は、100nF/Aに限定されず、70~100nF/Aの範囲の任意の値であってもかまわない。
さらに、図7に示す実験結果によれば、線分αよりも上側の領域に存在するカットオフ周波数fcとパラメータP1の組合せであれば、記号×及び記号△の個数がいずれもゼロとなり、無線装置5(遠隔制御)の誤動作及び不動作の更なる抑制を図ることができる。なお、線分αは、カットオフ周波数fc=34.2kHz及びパラメータP1=325nF/Aの点から、カットオフ周波数fc=28.0kHz及びパラメータP1=150nF/Aの点を通り、パラメータP1=100nF/Aの直線と交わる線分である。ただし、線分αは前記線分に限定されない。
なお、本実施形態では光源ユニット2が無線装置5を備えているが、必ずしも光源ユニット2が無線装置5を備える必要はない。例えば、器具本体4に無線装置5が取り付けられてもよい。
上述のように第1の態様に係る点灯装置(1)は、交流の電力系統(交流電源9)と電気的に接続されるフィルタ部(101)と、電力系統から入力されてフィルタ部(101)を通過する交流電圧を整流する整流器(102)とを備える。第1の態様に係る点灯装置(1)は、整流器(102)から出力される脈流電圧を直流電圧に変換して固体光源(LEDモジュール22)に供給する電力変換回路(昇圧チョッパ回路103、降圧チョッパ回路104)を備える。第1の態様に係る点灯装置(1)は、制御信号を受け取り、受け取った前記制御信号に応じて電力変換回路を制御する制御回路(106)を備える。フィルタ部(101)は、電力系統と整流器(102)を電気的に接続する電路に挿入されるコモンモードフィルタ(1010)を有する。フィルタ部(101)は、コモンモードフィルタ(1010)と電気的に接続される電路と導電性の筐体(ケース18)間に電気的に接続される少なくとも一つの第1コンデンサ(バイパスコンデンサCc)を有する。コモンモードフィルタ(1010)と第1コンデンサにおけるコモンモードノイズのカットオフ周波数(fc)は、制御信号を伝送する無線信号(赤外線信号)の搬送波周波数(fR)よりも低い。
第1の態様に係る点灯装置(1)は、第1コンデンサを通して筐体(ケース18)に流れるコモンモードノイズ(漏えい電流)の周波数を無線信号の搬送波周波数(fR)よりも低くするので、制御信号に対するコモンモードノイズの影響を低減できる。その結果、第1の態様に係る点灯装置(1)は、コモンモードノイズによる遠隔制御の誤動作及び不動作の抑制を図ることができる。
第2の態様に係る点灯装置(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る点灯装置(1)において、無線信号の搬送波周波数(fR)が33kHz~40kHzの範囲の周波数であることが好ましい。カットオフ周波数(fc)と搬送波周波数(fR)との差(Δf)が2.5kHz以上であることが好ましい。
第2の態様に係る点灯装置(1)は、コモンモードノイズによる遠隔制御の誤動作及び不動作の更なる抑制を図ることができる。
第3の態様に係る点灯装置(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る点灯装置(1)において、電力変換回路は、整流器(102)の一対の出力端間に電気的に接続された第2コンデンサ(コンデンサCr)と、チョークコイル(L1、L2)とスイッチング素子(Q1、Q2)を有し、かつ、力率改善機能を有する少なくとも一つのスイッチング電源回路とを備えることが好ましい。第2コンデンサの静電容量の大きさをチョークコイル(L1)に流れる電流のピーク値(ILp)で除した値(パラメータP1)が100以上となることが好ましい。
第3の態様に係る点灯装置(1)は、コモンモードノイズによる遠隔制御の誤動作及び不動作の大幅な抑制を図ることができる。
第4の態様に係る点灯装置(1)は、第1~第3の態様のいずれか一つとの組合せにより実現され得る。第4の態様に係る点灯装置(1)において、電力変換回路は、整流器(102)から出力される脈流電圧を昇圧する昇圧チョッパ回路(103)と、昇圧チョッパ回路(103)の出力電圧を降圧する降圧チョッパ回路(104)とを有することが好ましい。
第4の態様に係る点灯装置(1)は、昇圧チョッパ回路(103)によって力率改善を行い、降圧チョッパ回路(104)によって固体光源への電力供給を調整することができる。
第5の態様に係る光源ユニット(2)は、第1~第4の態様のいずれか一つの態様の点灯装置(1)と、点灯装置(1)に点灯させられる固体光源とを備える。
第5の態様に係る光源ユニット(2)は、コモンモードノイズによる遠隔制御の誤動作及び不動作の抑制を図ることができる。
第6の態様に係る光源ユニット(2)は、第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る光源ユニット(2)は、無線信号を受信し、受信した無線信号から制御信号を取得する無線装置(5)を備えることが好ましい。
第6の態様に係る光源ユニット(2)は、無線装置(5)を備えることによって使い勝手の向上を図ることができる。
第7の態様に係る照明器具(3)は、第5又は第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る照明器具(3)は、第5又は第6の態様に係る光源ユニット(2)と、光源ユニット(2)を支持する器具本体(4)とを備える。
第7の態様に係る照明器具(3)は、コモンモードノイズによる遠隔制御の誤動作及び不動作の抑制を図ることができる。