JP2017091965A - 導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】製造プロセスの簡素化が可能であり、厚膜の導電層でも十分な密着性を有する導電性フィルムを提供すること。【解決手段】シクロオレフィン系樹脂フィルムの一方の面側に、接着性樹脂組成物の硬化膜である易密着層と、銅を含む導電層とをこの順で備え、前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの他方の面側にハードコート層を備え、厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目が60%以上である導電性フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性フィルムに関する。
従来、電磁波シールドシート、フラットパネルディスプレイ、センサ、太陽電池等の機能性素子に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムの表面に金属箔の融着やめっき、蒸着等により導電層を形成した導電性フィルムが用いられている。導電層には、電気抵抗率が小さく安価であることから、Cuが多用されている(特許文献1等)。
一般的に、金属を含む導電層の樹脂フィルムに対する密着性は低いことから、樹脂フィルムと導電層との間に導電層に対する密着性を有する塗膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2015−056321号公報 特許第5697223号公報
ところで、従来のPETフィルムを用いる導電性フィルムは、厚みにもよるが数千nmという位相差を有するために、偏光板の下では使用できなかったり、大型ディスプレイを斜めから見た際の着色や虹模様が顕著となり視認性が低下したりする場合がある。そこで位相差をコントロールすべく、基材としてシクロオレフィン系樹脂フィルムが用いられることがある。
シクロオレフィン系樹脂フィルムは軟らかいことから、導電性フィルムの製造過程等において樹脂フィルムに傷が入ったり、割れたりすることがある。これに対しては、シクロオレフィン系樹脂フィルムに硬化樹脂層を形成することで対応することができるものの、硬化樹脂層の導電層に対する密着性は十分でないことが多い。硬化樹脂層と導電層との間に密着性を高めるような層をさらに設けることで対応することができるものの、この場合、樹脂フィルムと導電層との間に少なくとも2層設ける必要があり、プロセスの簡素化やコストダウンの点で改善の余地がある。
さらに、機能性素子の高機能化の一環として導電性フィルムの低抵抗化が求められている。このような要求に対しては、導電層の厚みを増加させることで対応可能であるものの、厚膜とした導電層では上述のような密着性を有する塗膜を設けても導電層の樹脂フィルムからの剥離が発生する場合があることが判明している。
本発明は、製造プロセスの簡素化が可能であり、厚膜の導電層でも十分な密着性を有する導電性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより上記目的を達成し得ることを見出し本発明にいたった。
本発明の導電性フィルムは、シクロオレフィン系樹脂フィルムの一方の面側に、接着性樹脂組成物の硬化膜である易密着層と、銅を含む導電層とをこの順で備え、
前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの他方の面側にハードコート層を備え、
厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目が60%以上である。
当該導電性フィルムでは、厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目を60%以上とすることができる。これにより、従来の導電層の厚みに比して数倍の厚み(μmオーダー)まで厚くしても十分な密着性を発揮することができる。また、シクロオレフィン系樹脂フィルムと導電層との間に易密着層の1層を設けるだけでよいので、導電性フィルムの製造プロセスの簡素化及びコストダウンを図ることができる。さらに、シクロオレフィン系樹脂フィルムの一方の面側には接着性樹脂組成物の硬化膜である易密着層が設けられ、他方の面側にはハードコート層が設けられているので、比較的脆いシクロオレフィン系樹脂フィルムの傷つきや割れを防止することができる。
前記接着性樹脂組成物が、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、アクリロイル基に含まれるC=C二重結合に起因する架橋構造の形成が容易となり、膜強度の向上を効率的に図ることができ、その結果、易密着層の膜破壊や導電層と易密着層との間の界面剥離が抑制され、良好な密着性を発揮することができる。
前記接着性樹脂組成物が紫外線硬化性を有することが好ましい。これにより、加熱硬化の場合のシクロオレフィン系樹脂フィルムや導電層への熱的ダメージを回避しつつ、紫外線を照射するだけで架橋構造の形成を促進することができるので、安定的かつ効率的に導電性フィルムを形成することができる。
前記易密着層の厚みが0.2μm〜2μmであることが好ましい。易密着層の厚みを上記範囲とすることで、密着性をより高いレベルで発揮することができるとともに、易密着層の柔軟性を維持して易密着層の破壊等に起因する導電性フィルムの破断を防止することができる。
前記導電層の厚みが2nm〜1000nmであってもよい。導電層の厚みを前記範囲とした場合であっても、当該導電性フィルムでは特定の易密着層を備えているので、導電層の密着性を確保することができる。
前記ハードコート層が粒子を含んでいてもよい。これにより、導電性フィルムにアンチブロッキング作用を付与することができ、例えばロール・トゥ・ロール法での製造も効率的に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る導電性フィルムの模式的断面図である。
本発明の導電性フィルムの実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、図の一部又は全部において、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大または縮小等して図示した部分がある。上下等の位置関係を示す用語は、単に説明を容易にするために用いられており、本発明の構成を限定する意図は一切ない。
《導電性フィルム》
図1は、本発明の一実施形態に係る導電性フィルムの模式的断面図である。図1に示す導電性フィルム10は、シクロオレフィン系樹脂フィルム1の一方の面側に、易密着層2と、導電層3とをこの順で備えている。なお、易密着層2と、導電層3とは、それぞれ1層からなる構成を図示しているが、それぞれが2層以上の多層構成であってもよい。また、シクロオレフィン系樹脂フィルム1の他方の面側には、ハードコート層4が設けられている。
導電性フィルム10では、厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目が60%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは95%以上である。これにより、導電層の厚みを従来の導電層の厚みに比して数倍の厚み(μmオーダー)まで厚くしても十分な密着性を発揮することができる。
(シクロオレフィン系樹脂フィルム)
シクロオレフィン系樹脂フィルム(以下、単に「樹脂フィルム」ともいう。)1はシクロオレフィン系樹脂により形成されており、高透明性、低位相差及び低吸水性等の特性を有する。シクロオレフィン系樹脂フィルム1の採用により導電性フィルム10の光学特性の制御が可能となる。
シクロオレフィン系樹脂フィルム1を形成するシクロオレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。シクロオレフィン系樹脂フィルム1に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであってもよい。シクロオレフィンコポリマーとは、環状オレフィンとエチレン等のオレフィンとの共重合体である非結晶性の環状オレフィン系樹脂のことをいう。
上記環状オレフィンとしては、多環式の環状オレフィンと単環式の環状オレフィンとが存在している。かかる多環式の環状オレフィンとしては、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエンなどが挙げられる。また、単環式の環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロドデカトリエンなどが挙げられる。
上記シクロオレフィン系樹脂からなる光学フィルムは市販品としても入手可能であり、例えば、Ticona社製のTopas、JSR社製のアートン、日本ゼオン社製のZEONOR、ZEONEX、三井化学社製のアペル等が挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂フィルム1の厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、10〜100μmの範囲内であることがより好ましい。シクロオレフィン系樹脂フィルム1の厚みが上記範囲の下限未満であると、シクロオレフィン系樹脂フィルム1の機械的強度が不足し、フィルム基材をロール状にして易密着層2や導電層3を連続的に形成する操作が困難になる場合がある。
シクロオレフィン系樹脂フィルム1には、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、樹脂フィルム1上に形成される易密着や導電層等との密着性を向上させるようにしてもよい。また、易密着層や導電層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、樹脂フィルム表面を除塵、清浄化してもよい。
(易接着層)
易接着層2は、接着性樹脂組成物の硬化膜である。導電性フィルム10では、厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目が60%以上となっているので、易密着層2は、銅を含む導電層3に対して良好な密着性を有する。
接着性樹脂組成物としては、易密着層形成後の硬化膜として十分な接着性と強度とを持つものを特に制限なく使用できる。用いる樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂、及びこれらの混合物などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく易密着層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂を含むことで、紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物が容易に得られる。
接着性樹脂組成物としては、硬化の際に架橋構造を形成する材料が好ましい。易密着層での架橋構造が促進されると、それまで緩やかだった膜内部構造が強固となり、膜強度が向上される。こうした膜強度の向上が密着性の向上に寄与していると推察されるからである。すなわち、導電層の厚みが増すと、導電層における内部応力が増大し、導電層と易密着層との間に生じる応力も増大することになる。従来の易密着層では、導電層における応力の増大に抗しきれず、膜破壊ないし導電層と易密着層との界面での剥離(以下、「界面剥離」ともいう。)が惹起される。一方、当該導電性フィルムは、架橋構造が促進し膜強度が高まった易密着層を備えるので、易密着層の膜破壊や界面剥離が抑制され、良好な密着性を発揮することができる。
接着性樹脂組成物は、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、アクリロイル基に含まれるC=C二重結合に起因する架橋構造の形成が容易となり、膜強度の向上を効率的に図ることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
なお、架橋構造の形成は以下の方法で確認することができる。FT−IR測定におけるC=C−Hに起因する1410cm−1での吸光度Ab1410のC−Hに起因する1450cm−1での吸光度Ab1450に対する比(Ab1410/Ab1450)が一定値以下となっていればよい。具体的な比(Ab1410/Ab1450)としては、1.10以下が好ましい。吸光度は対象とする結合の存在量と一定の比例関係にあるので、1410cm−1での吸光度Ab1410が小さくなるということは、そのピークに帰属されるC=C−H結合の存在量が少なくなるということに対応する。易密着層の形成過程において、C=C−H結合中のC=C二重結合が、系中の他のC=C二重結合とラジカル付加反応的に結合して一種の架橋構造を形成することになり、その結果、易密着層における架橋構造の促進が図られることになる。C=C二重結合が開裂して架橋構造の形成に消費されることが、C=C−H結合の存在量が少なくなることを意味することによる。
本実施形態で用いる、主成分としての(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いはこれらの混合物が、耐摩耗性、硬化性の点からとりわけ好ましい。
また、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋密度が高すぎるとプライマーとしての性能が落ち金属密着性が低下しやすくなるため、水酸基を有する低官能(メタ)アクリレート(以下、水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(メタ)アクリレートモノマー成分及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
本実施形態の紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物は、シランカップリング剤として、チオウレア型シランカップリング剤を含むことが好ましい。これにより、導電層のプライマーとしての密着力が向上する。チオウレア型シランカップリング剤は下記一般式(1)で示される構造を有するアルコキシシランカップリング剤であり、市販品として、X−12−1016M、X−12−1111、X−12−1116、X−12−1117(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
Figure 2017091965
さらに、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を配合することによりアンチブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、市販品としては、KR−513、KBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
チオウレア型シランカップリング剤と(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を併用する際は、チオウレア型シランカップリング剤100重量部に対して(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤50〜150重量部が好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、前記(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。この範囲であると導電層との密着性が向上し、塗膜物性を維持することができる。
本実施形態の易密着層2は、ナノシリカ微粒子を含んでいてもよい。ナノシリカ微粒子としては、アルキルシランから合成されたオルガノシリカゾルあるいはプラズマアークにより合成されたナノシリカを用いることができる。市販品としては前者であればPL−7−PGME(扶桑化学製、商品名)、後者であればSIRMIBK15WT%−M36(CIKナノテック製、商品名)などが挙げられる。ナノシリカ微粒子の配合割合は前記(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーとシランカップリング剤との総重量100重量部に対し、5〜30重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。下限以上とすることで表面凹凸が形成されてアンチブロッキング性を付与可能となり、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能となる。上限以下とすることで導電層との密着性の低下を防止することができる。
ナノシリカ微粒子の平均粒径は100〜500nmが好ましい。平均粒径100nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるために導電層との密着性が得られないのに対し、500nmを越えるとヘイズが大きくなり、視認性が低下する問題が発生する。
接着性樹脂組成物は紫外線硬化性を付与するために光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−エチレンフェニル)プロパン−1−オン]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−モルフォリノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
樹脂の硬化性、光安定性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンがより好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、891、907、2959、Darocure1173、TPO(BASFジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。光重合開始剤は(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部に対して、固形分3〜10重量部配合する。
易密着層の形成の際には、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び/あるいは(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とする接着性樹脂組成物を、トルエン、酢酸ブチル、イソブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの溶剤に希釈し、固形分が30〜50%のワニスとして調製する。
易密着層2は、シクロオレフィン系樹脂フィルム1上に、上記ワニスを塗布することにより形成される。ワニスの塗布方法は、ワニス及び塗装工程の状況に応じて適時選択することができ、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法やエクストルージョンコート法などにより塗布することができる。
ワニスを塗布後、塗膜を硬化させることによって、易密着層を形成することができる。紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物の硬化処理としては、ワニスが溶剤を含む場合は乾燥(例えば80℃で1分間)による溶媒除去後、紫外線照射機を用いて500mW/cm〜3000mW/cmの照射強度で、仕事量が50〜400mJ/cmの紫外線処理を行い硬化させるという手順が挙げられる。紫外線発生源としては一般的に紫外線ランプが用いられており、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、照射する場合は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
紫外線硬化処理の際に加熱を行うことが好ましい。紫外線照射により接着性樹脂組成物の硬化反応が進行し、同時に架橋構造が形成される。このとき加熱を行うことにより、低紫外線量でも十分に架橋構造の形成を促進させることができ、所望の吸光度比を効率的に達成することができる。加熱温度は、架橋度に応じて設定可能であり、好ましくは50℃〜80℃である。加熱手段は特に限定されず、温風乾燥機、輻射熱乾燥機、フィルム搬送ロールの加熱等を適宜採用することができる。
易密着層2の表面の濡れ張力は45dyn/cm以下であることが好ましく、44dyn/cm以下であることがより好ましく、40dyn/cm以下であることがさらに好ましい。易密着層2の表面の濡れ張力を上記範囲とすることで、表面自由エネルギーを低下させることができ、導電層との密着性をさらに向上させることができる。なお、濡れ張力は35dyn/cm以上であることが好ましい。なお、濡れ張力は、JIS−K−6768の規定に基づき、和光純薬濡れ張力試験用混合液を使用することで測定することができる。
易密着層の厚みとしては特に限定されないものの、0.2μm〜2μmであることが好ましく、0.5μm〜1.5μmであることがより好ましく、0.8μm〜1.2μmであることがさらに好ましい。易密着層の厚みを上記範囲とすることで、密着性をより高いレベルで発揮することができるとともに、易密着層の柔軟性の喪失に起因する導電性フィルムの破断を防止することができる。
(導電層)
導電層は、樹脂フィルムの少なくとも一方の面側に形成した易密着層上に好ましくは直接形成される。導電層の電気抵抗率は用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、電磁波シールド効果やセンサ機能等を十分に得るためには、電気抵抗率が50μΩcm以下であることが好ましい。導電層の構成材料としては、銅(Cu)を含めばよい。銅は、電磁波シールド特性やセンサ機能に寄与する導電率が高く、比較的低価格であり、コストパフォーマンスと生産効率にも優れる。Cu以外の元素が不純物程度含まれていてもよく、例えば、Fe,Cr,Ti,Si,Nb,In,Zn,Sn,Au,Ag,Co,Cr,Ni,Pb,Pd,Pt,W,Zr,Ta,Hf、Mo,Mn,Mg,V等の金属が挙げられる。また、これらの金属の2種以上を含有するものや、これらの金属を主成分とする合金等も用いることができる。これにより、電気抵抗率が充分に小さく導電率が高いため、電磁波シールド特性やセンサ機能を向上できる。
導電層の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、膜厚の均一性や成膜効率の観点から、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)等の真空成膜法や、イオンプレーティング法、メッキ法(電解メッキ、無電解メッキ)、ホットスタンプ法、コーティング法等により成膜されることが好ましい。また、これらの製膜方法の複数を組み合わせてもよいし、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。中でも、スパッタリング法、真空成膜法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。これにより、ロール・トゥ・ロール製法により連続生産でき生産効率を高めるとともに、成膜時の膜厚を制御することができるため、導電性フィルムの表面抵抗値の上昇を抑制できる。また、薄くて膜厚が均一で、緻密な導電層を形成することができる。
導電層の厚みは、2〜1000nmであることが好ましく、5〜500nmであることがより好ましく、10〜220nmであることがさらに好ましい。導電層の厚みが上記範囲内であると、加熱後の導電性フィルムのカールを抑制可能となるとともに、低抵抗化を図ることができる。また、成膜時の生産効率が上がり、成膜時の積算熱量が小さくなり、フィルムに熱シワが生じにくくなる。
(保護層)
導電層の最表面側(樹脂フィルム側とは反対側)に保護層を形成してもよい。導電層が大気中の酸素の影響を受けて自然に酸化することを防止することができる。保護層は、導電層の錆び防止効果を示すものである限り特に限定されないが、スパッタできる金属が好ましく、Ni,Cu,Ti,Si、Zn,Sn,Cr,Fe、インジウム、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、パラジウム、タングステンからなる中から選ばれるいずれか1種類以上の金属又はこれらの酸化物が用いられる。Ni,Cu,Tiは,不動態層を形成するため腐食されにくく、Siは耐食性が向上するため腐食されにくく、Zn,Crは表面に緻密な酸化被膜を形成するため腐食されにくい金属であるため好ましい。
保護層の材料としては、導電層との密着性を向上させて確実に導電層の錆びを防止する観点から、2種の金属からなる合金を用いることはできるが、3種以上の金属からなる合金が好ましい。合金3種以上の金属からなる合金としては、Ni−Cu−Ti、Ni−Cu−Fe,Ni−Cu−Cr等が挙げられ、防錆機能と生産効率の観点から、Ni−Cu−Tiが好ましい。なお、導電層との密着性を向上させる観点から、導電層を含む合金であることが好ましい。これにより、導電層の酸化を確実に防ぐことができる。
また、保護層の材料としては、例えば、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が含まれていても良い。導電性フィルムの初期の表面抵抗値の上昇を抑制するだけでなく、加湿熱条件下の表面抵抗値の上昇を抑制することができ、表面抵抗値の安定化を最適にできるため、好ましい。
前記金属の酸化物とは、SiOx(x=1.0〜2.0)、酸化銅、酸化銀、酸化チタン等の酸化物が好ましいが、導電性フィルムの表面抵抗値の安定化の観点から、SiOx(x=1.0〜2.0)が特に好ましい。これにより、導電層が腐食されにくくなる。なお、前述の金属、合金、酸化物等の代わりに、導電層上にアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂のような樹脂層を形成することで防錆効果をもたらすことも可能である。
保護層の膜厚は、1〜50nmが好ましく、2〜30nmがより好ましく、3〜20nmが好ましい。これにより、耐久性が向上し表面層から酸化を防ぐことができるため、加湿熱条件下での表面抵抗値は上昇を抑制できる。
(ハードコート層)
シクロオレフィン系樹脂フィルム1の易密着層2側とは反対の面側には、樹脂フィルム1の破断を防止してハンドリング性を高めるために、ハードコート層4を設けてもよい。さらに、フィルム同士のブロッキングを防止してロール・トゥ・ロール法による製造を可能にするために、ハードコート層4は粒子を含むことが好ましい。
ハードコート層4の形成には、易密着層2と同様の接着性樹脂組成物を好適に用いることができる。アンチブロッキング性を付与するには、前記接着性樹脂組成物に粒子を配合することが好ましい。これによりハードコート層4の表面に凹凸を形成することができ、導電性フィルム10にアンチブロッキング性を好適に付与することができる。
上記粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種又は2種以上を適宜に選択して用いることができる。
上記粒子の平均粒径や配合量は、表面凹凸の付与やヘイズを考慮しつつ、適宜設定することができる。平均粒径としては、0.5μm〜2.0μmが好ましく、配合量としては、樹脂組成物の固形分100重量部に対して0.2〜5.0重量部が好ましい。
本実施形態の導電性フィルムの厚みは、2〜200μmの範囲内であることが好ましく、10〜100μmの範囲内であることがより好ましく、20〜60μmの範囲内であることがさらに好ましい。これにより、導電性フィルム自体も薄くでき、電磁波シールドシートやセンサ等に用いた場合の厚みを抑えることが可能となる。そのため、電磁波シールドシートやセンサ等の薄型化に対応できる。さらに、導電性フィルムの厚みが前記の範囲内であると、柔軟性を確保しつつ機械的強度が十分とすることができ、フィルムをロール状にして易密着層や導電層等を連続的に形成する操作が容易となり、生産効率が向上する。
(導電性フィルムの用途)
本実施形態の導電性フィルムは様々な用途に適用可能であり、例えば、電磁波シールドシートや面状センサ等に応用され得る。電磁波シールドシートは、導電性フィルムを用いたものであり、タッチパネル等の形態で好適に使用することができる。前記電磁波シールドシートの厚みは、20μm〜300μmであることが好ましい。
また電磁波シールドシートの形状は、特には限定されず、設置する対象物の形状などに応じて、積層方向(シートの厚み方向と同じ方向)からみた形状が方形状、円形状、三角形状、多角形状など、適宜の形状に選択できる。
面状センサは、導電性フィルムを用いたものであり、モバイル機器のタッチパネルやコントローラ等のユーザーインターフェースに荷重測定用のフォースセンサや、対象物のセンシング領域、例えば自動車の外表面、ロボットや人形の表面に加わる外力を初めとする様々な物理量等をセンシングするセンサを含む。面状センサは、フォースセンサ、シールド等の形態で好適に使用することができる。前記面状センサの厚みは、20μm〜300μmであることが好ましい。
以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中、特に示さない限り「部」とあるのは「重量部」を意味する。
<実施例1>
(ハードコート層の形成)
ハードコート層の形成材料として、DIC(株)製、商品名「ユニディックELS−888」を80重量部と、DIC(株)製、商品名「ユニディックRS28−605」を20重量とを混合した樹脂組成物溶液を調製した。調製した樹脂組成物溶液を、基材フィルムとして厚み50μmのノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオノアフィルム」、以下、「COPフィルム」という。)の一方の面に塗布し、80℃で、1分間乾燥したのち、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(16W/cm、15cm集光型、積算光量:200mJ/cm)で紫外線照射を行い、厚み1.0μmのハードコート層を形成した。
(易密着層の形成)
COPフィルムの他方の面に紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物(アイカ工業(株)製、「Z−844−2L」)を塗布し、80℃で1分間乾燥したのち、直ちにオゾンタイプ高圧水銀灯(15cm集光型、UV強度16W/cm、積算光量:200mJ/cm)で紫外線照射を行い、厚み0.8μmの易密着層を形成した。紫外線照射の際のフィルム搬送ロールの表面温度を50℃として、加熱しながら紫外線硬化を行った。
(導電層の形成)
次に、PETフィルム上に易接着層が形成された長尺状樹脂フィルムを巻き取ったロールをスパッタ装置内に設置した。次いで、樹脂フィルムをフィルム送りスピード2m/分で繰り出し、Arガス100体積%からなる3.0×10−3Torrの雰囲気中で、Cuターゲット材料を用いて、焼結体DCマグネトロンスパッタ法により、易密着層上に導電層(Cu層)を200nmの厚みで形成し、最後にフィルムを巻き取って導電性フィルムの巻回体を作製した。
<実施例2>
易密着層の厚みを0.4μmとし、紫外線照射の際のフィルム搬送ロールの表面温度を75℃として、加熱しながら紫外線硬化を行って易密着層を形成したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルムの巻回体を作製した。
<実施例3>
易密着層の厚みを0.8μmとしたこと以外は、実施例2と同様に導電性フィルムの巻回体を作製した。
<実施例4>
易密着層の厚みを1.5μmとしたこと以外は、実施例2と同様に導電性フィルムの巻回体を作製した。
<実施例5>
易密着層の厚みを2.2μmとしたこと以外は、実施例2と同様に導電性フィルムの巻回体を作製した。
<比較例1>
紫外線照射の際のフィルム搬送ロールの表面温度を25℃として常温で紫外線硬化を行って易密着層を形成したこと以外は、実施例1と同様に導電性フィルムの巻回体を作製した。
<評価>
作製した易密着層及び導電性フィルムについて、以下の評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
(1)厚みの測定
1μm未満の厚みは、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「H−7650」)を用いて、導電性フィルムの断面を観察して測定した。1μm以上の厚みは、膜厚計(Peacock社製、デジタルダイアルゲージDG−205)を用いて測定した。
(2)密着性評価(導電層)
導電層の厚みが200nm及び1μmのサンプルのそれぞれについて密着性を評価した。導電性フィルムから50mm×50mmのサイズで切り出し、これを測定サンプルとして、JIS−K−5600に基づいてクロスカット法により密着性評価を行った。カッターナイフ等で導電層面に1mm間隔の切り傷を縦と横に11本ずつつけ、碁盤目状の計100個のマス目を作り、その碁盤目状の上に約75mmの長さに切ったセロテープ(登録商標)(3M社製、商品名「610−1PK」)を貼り付け、その後テープの端をつかみ60°方向へ0.5〜1.0秒の時間で引き剥がし、導電層の剥離状態を目視確認して評価を行った。導電層が残存するマス目が90個以上(残存割合:90%以上)であった場合を「○」、90個未満(残存割合:90%未満)であった場合を「×」として評価した。
また、厚みが1μmの導電層については、メッキ法により導電層(Cu層)の厚みを1μmまで増加させ、導電層を厚膜とした導電性フィルムを測定サンプルとして用いて上記手順にて評価した。導電層が残存するマス目が60個以上(残存割合:60%以上)であった場合を「○」、60個未満(残存割合:60%未満)であった場合を「×」として評価した。
(3)密着性評価(易密着層)
導電層を形成する前の易密着層について密着性を評価した。ハードコート層及び易密着層を形成したCOPフィルム及びPETフィルムから50mm×50mmのサイズで切り出し、これを測定サンプルとして、JIS−K−5600に基づいてクロスカット法により密着性評価を行った。カッターナイフ等で易密着層面に1mm間隔の切り傷を縦と横に11本ずつつけ、碁盤目状の計100個のマス目を作り、その碁盤目状の上に約75mmの長さに切ったセロテープ(登録商標)(3M社製、商品名「610−1PK」)を貼り付け、その後テープの端をつかみ60°方向へ0.5〜1.0秒の時間で引き剥がし、易密着層の剥離状態を目視確認して評価を行った。易密着層が残存するマス目が90個以上(残存割合:90%以上)であった場合を「○」、80個以上90個未満(残存割合:80%以上90%未満)であった場合を「△」、80個未満(残存割合:80%未満)であった場合を「×」として評価した。
(4)易密着層の耐擦傷性の評価
導電層を形成する前の易密着層について耐擦傷性を評価した。ハードコート層及び易密着層を形成したCOPフィルム及びPETフィルムの易密着層の表面にメラミンスポンジ(20mm×20mm×120mm、レック(株)製、「激落ちくん」)を載置した後、200gの荷重をかけながら10往復(始点と折り返し点との間の距離:150mm)させた。メラミンスポンジを取り除き、易密着層の表面の傷付きの有無を目視にて評価した。傷付きがなかった場合を「○」、傷付きが10箇所以下であった場合を「△」、傷付きが10箇所を超えた場合を「×」として評価した。
(5)180°折り曲げ試験
導電性フィルムの巻回体から10mm×100mmのサイズの矩形状に切り出し、これを測定サンプルとした。サンプル切り出しは、サンプルの長辺を導電性フィルムのMD方向に沿って切り出したサンプル(MD方向サンプル)と、TD方向に沿って切り出したサンプル(TD方向サンプル)の2種類が得られるように行った。両方の測定サンプルについて、基材フィルム側が内側、導電層側が外側となるように長辺の端部同士を重ね合わせ、中央の折り目の部分の折り返し角度がおよそ180°となるように(折り目部分に隙間がないように)測定サンプルを折り曲げた。このとき、MD方向サンプル及びTD方向サンプルのいずれにおいてもフィルムが破断しなかった場合を「○」、一方のフィルムにおいてフィルムの破断が生じた場合を「△」、両方のフィルムにおいてフィルムの破断が生じた場合を「×」として評価した。
Figure 2017091965
(結果及び考察)
実施例の導電性フィルムでは、いずれも導電層及び易密着層の密着性が良好であった。一方、比較例1では、導電層のマス目が全て剥離しており、密着性が不十分であった。これは、易密着層の紫外線硬化時に加熱を行わなかったことにより、易密着層での架橋構造の形成が不十分となり、膜強度が低い状態となったことに起因すると推察される。このことは、比較例1では易密着層の耐擦傷性及び密着性が低下し、膜強度が低下していることからも分かる。なお、易密着層の厚みが2.2μmである実施例5では、易密着層の密着性及び折り曲げ耐性が実用上問題ないものの若干低下していたことから、易密着層の厚みは2μm以下が好ましいといえる。
1 シクロオレフィン系樹脂フィルム
2 易密着層
3 導電層
4 ハードコート層

Claims (6)

  1. シクロオレフィン系樹脂フィルムの一方の面側に、接着性樹脂組成物の硬化膜である易密着層と、銅を含む導電層とをこの順で備え、
    前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの他方の面側にハードコート層を備え、
    厚み1μmの前記導電層についての碁盤目剥離試験後にはがれが生じなかったマス目が60%以上である導電性フィルム。
  2. 前記接着性樹脂組成物が、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも1種を含む請求項1に記載の導電性フィルム。
  3. 前記接着性樹脂組成物が紫外線硬化性を有する請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
  4. 前記易密着層の厚みが0.2μm〜2μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  5. 前記導電層の厚みが2nm〜1000nmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
  6. 前記ハードコート層が粒子を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
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