JP2019188747A - 保護フィルム付き導電性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ロール状に巻き取った際の巻きズレの発生を抑制可能な保護フィルム付き導電性フィルムを提供する。【解決手段】樹脂フィルム1と、樹脂フィルムの一方の面側の最外層として配置された導電層2と、樹脂フィルムの他方の面側の最外層として配置された保護フィルム3とを備える保護フィルム付き導電性フィルム100であって、導電層の最表面の表面粗さRaが1nm以上10nm以下であり、保護フィルムの最表面の表面粗さRaが100nm以上300nm以下である保護フィルム付き導電性フィルム。保護フィルムの最表面の十点平均粗さRzが1500nm以上12000nm以下である。樹脂フィルムと前記保護フィルムとの間に配置された導電層をさらに備える。【選択図】図1

Description

本発明は、保護フィルム付き導電性フィルムに関する。
従来、樹脂フィルムの表面に導電層を形成した導電性フィルムが、フレキシブル回路基板、電磁波シールドフィルム、フラットパネルディスプレイ、タッチセンサ、非接触式ICカード、太陽電池等に用いられている。導電性フィルムの主な機能は電気伝導であり、樹脂フィルムの表面に設けられる導電層の組成や厚みは用途目的にあった電気伝導性を得られるように適宜選択される。
導電性フィルムを取り扱う際には、長尺の導電性フィルムをロール状に巻き取り、運搬や次工程への移行を容易にすることが多い。ロール状にすると導電層が半径方向で隣接する層と密着することから、導電層保護のために樹脂フィルムの導電層形成面とは反対側に保護フィルムを設けることがある。ただし、導電層と保護フィルムとが過度に密着するとブロッキングや外観欠点が生じる場合がある。これに対し、保護フィルムの表面に所定の突起を設けることで外観欠点を抑制する技術も提案されている。(特許文献1)。
特許第5876892号公報
しかしながら、表面を粗くすることでブロッキングや外観欠点を抑制することができるものの、粗さの増大により保護フィルムの摩擦係数が低下してしまい、ロールの自重やロール端面に力がかかった際に巻き取り層がロールの軸方向と平行な方向にずれる現象(以下、「巻きズレ」ともいう。)が生じてしまうおそれがある。巻きズレが生じると導電層に傷が生じて抵抗が増大したり、場合によっては導電層のパターン化後に断線したりする。また、保護フィルムを剥離する際にはフィルムが僅かながらも斜めに走行することになり、保護フィルムの剥離方向とフィルムの走行方向とがずれてしまって剥離不良が生じる場合がある。
本発明の目的は、ロール状に巻き取った際の巻きズレの発生を抑制可能な保護フィルム付き導電性フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討したところ、下記構成を採用することにより上記目的を達成し得ることを見出し本発明を完成するにいたった。
本発明は、一実施形態において、
樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの一方の面側の最外層として配置された導電層と、
前記樹脂フィルムの他方の面側の最外層として配置された保護フィルムと
を備える保護フィルム付き導電性フィルムであって、
前記導電層の最表面の表面粗さRaが0.1nm以上10nm以下であり、
前記保護フィルムの最表面の表面粗さRaが100nm以上500nm以下である保護フィルム付き導電性フィルムに関する。
当該保護フィルム付き導電性フィルムでは、保護フィルムの最表面の表面粗さRaと導電層の最表面の表面粗さRaとをそれぞれ上記特定範囲としているので、巻きズレを防止することができ、ひいては導電層への傷による抵抗増加や剥離不良を防止して導電性フィルムの高品質化や導電性フィルムを組み込むデバイスの生産効率の向上を図ることができる。保護フィルム付き導電性フィルムの巻きズレが防止されるメカニズムは定かではないものの、以下のように推測される。まず、巻きズレは、導電層と保護フィルムの接触面積の低下による摩擦抵抗の低下に起因すると考えられる。保護フィルムの表面の粗さを大きくすることにより保護フィルムと導電層との間に隙間(エア)が入り込み、それによって接触面積が低下し摩擦抵抗が低下して巻きズレが生じると推測される。これに対し、保護フィルムの表面粗さRaをあえて上記範囲のように比較的大きい値とするのと同時に、導電層の表面粗さRaも僅かに大きくすることで、エアの抜けが促進されて接触面積が一定程度維持され巻きズレが防止されると推察される。なお、表面粗さRaの測定方法は、実施例の記載による。
一実施形態において、前記保護フィルムの最表面の十点平均粗さRzが1500nm以上12000nm以下であることが好ましい。十点平均粗さRzを上記範囲とすることで、保護フィルムと導電層との間のエアの抜けをより促進して、接触面積の維持を図ることができ、巻きズレを効率的に防止することができる。なお、十点平均粗さRzの測定方法は、実施例の記載による。
一実施形態において、前記保護フィルム付き導電性フィルムは、前記樹脂フィルムと前記保護フィルムとの間に配置された導電層をさらに備えていてもよい。
一実施形態において、前記保護フィルム付き導電性フィルムの厚みが50μm以上200μm以下であり、
前記保護フィルムの厚みが5μm以上35μm以下であることが好ましい。
保護フィルム付き導電性フィルムの厚みを上記範囲とすることで、ロール・トゥ・ロール法での取り扱いを容易にすることができる。また、保護フィルムの厚みを上記範囲とすることでエア抜けの促進と接触面積の維持をより効率的に達成することができる。これらにより、取扱い性が良好で巻きズレの防止が可能な保護フィルム付き導電性フィルムを得ることができる。
一実施形態において、前記導電層がスパッタ膜であることが好ましい。導電層としてスパッタリングにより得られるスパッタ膜を採用することで、均一性が高く表面粗さの小さい低抵抗の導電層を形成することができる。
一実施形態において、前記保護フィルムの形成材料がポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。これにより、保護フィルムに所定の表面粗さRaやエア抜け性を好適に付与することができる。
一実施形態において、前記保護フィルムの隣接層と接する側の面は粘着性を有し、
前記保護フィルムと前記隣接層との間の剥離力が0.01N/50mm以上1N/50mm以下であることが好ましい。
保護フィルムと隣接層との間の剥離力を上記範囲とすることで、意図しない保護フィルムの剥離を防止しつつ剥離工程での保護フィルムのスムーズな剥離を達成することができる。
本発明は、一実施形態において、当該保護フィルム付き導電性フィルムと、
前記保護フィルム付き導電性フィルムの前記導電層側の最外層に配置された保護フィルムと
を備える両面保護フィルム付き導電性フィルムに関する。
導電性フィルムの流通形態として、片面に保護フィルムを配置した形態だけでなく、両面に保護フィルムを配置した形態が採用されることもある。当該両面保護フィルム付き導電性フィルムは、その製造過程で片面に保護フィルムを配置した保護フィルム付き導電性フィルムを用いているので、高品質の導電性フィルムを歩留まり良く製造することができる。
本発明の一実施形態に係る保護フィルム付き導電性フィルムの模式的断面図である。 巻きズレの評価手順を模式的に示す保護フィルム付き導電性フィルムの巻回体の断面図である。
本発明の保護フィルム付き導電性フィルムの実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、図の一部又は全部において、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。上下等の位置関係を示す用語は、単に説明を容易にするために用いられており、本発明の構成を限定する意図は一切ない。
<保護フィルム付き導電性フィルム>
図1は、本発明の一実施形態に係る保護フィルム付き導電性フィルムの模式的断面図である。図1に示す保護フィルム付き導電性フィルム100は、樹脂フィルム1と、樹脂フィルム1の一方の面側の最外層として配置された導電層2と、樹脂フィルム1の他方の面側の最外層として配置された保護フィルム3とを備える。
さらに、本実施形態の保護フィルム付き導電性フィルム100は、樹脂フィルム1と保護フィルム3との間に配置された導電層2aを備えている。また、樹脂フィルム1と導電層2との間、及び樹脂フィルム1と導電層2aとの間に、それぞれ下地層4a、4bが設けられている。導電層2a及び下地層4a、4bは任意の構成である。なお、導電層2、2a及び下地層41、42は、それぞれ1層からなる構成を図示しているが、それぞれが2層以上の多層構成であってもよい。導電層2と保護フィルム3とがそれぞれ最外層として配置されている限り、それらの下層に配置される層は特に限定されない。なお、導電層2aや下地層4a、4bが配置されずに、樹脂フィルム1の一方の面側に導電層2が配置され、他方の面側に保護フィルム3が配置される場合であっても、導電層2及び保護フィルム3は最外層という。
保護フィルム付き導電性フィルム100の厚みは50μm以上200μm以下であることが好ましく、60μm以上180μm以下であることが好ましく、80μm以上150μm以下であることが好ましい。保護フィルム付き導電性フィルム100の厚みを上記範囲とすることで、ロール・トゥ・ロール法での取り扱いを容易にすることができる。
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム1としては、絶縁性を確保できるものであれば特に制限されず、各種のプラスチックフィルムが用いられる。樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)等のポリイミド系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、耐久性、柔軟性、生産効率、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリイミド(PI)等のポリイミド系樹脂が好ましい。特に、コストパフォーマンスの観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
樹脂フィルムには、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施して、樹脂フィルム上に形成される導電層との密着性を担保させるようにしてもよい。また、導電層を形成する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などにより、樹脂フィルム表面を除塵、清浄化してもよい。
樹脂フィルムの厚みは、50〜250μmの範囲内であることが好ましく、80〜200μmの範囲内であることがより好ましく、100〜180μmの範囲内であることが更に好ましい。一般的には、樹脂フィルムの厚みが厚い方が、加熱時の熱収縮等の影響を受けにくくなるため望ましい。しかし、電子部品等のコンパクト化により、樹脂フィルムの厚みもある程度薄くすることが望ましい。一方、樹脂フィルムの厚みが薄すぎると、樹脂フィルムの透湿性や透過性が上昇して、水分やガス等を透過させてしまい、導電層が酸化されやすくなる。従って、本実施形態では、樹脂フィルムの厚みをある程度の厚みをもたしつつ薄くすることで、導電性フィルム自体も薄くでき、電磁波シールドシートやセンサ等に用いた場合の厚みを抑えることが可能となる。そのため、電磁波シールドシートやセンサ等の薄型化に対応できる。さらに、樹脂フィルムの厚みが前記の範囲内であると、樹脂フィルムの柔軟性を確保できつつ機械的強度が十分であり、フィルムをロール状にして下地層層や導電層を連続的に形成する操作が可能である。
(導電層)
樹脂フィルム1の一方の面側の最外層として配置された導電層2及び樹脂フィルム1と保護フィルム3との間に配置された導電層2aは、電磁波シールド効果やセンサ機能等を充分に得るため、電気抵抗率が100μΩcm以下であることが好ましい。導電層2、2aの構成材料としては、このような電気抵抗率を満足し導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、Cu,Al,Fe,Cr,Ti,Si,Nb,In,Zn,Sn,Au,Ag,Co,Cr,Ni,Pb,Pd,Pt,W,Zr,Ta,Hf、Mo,Mn,Mg,V等の金属が好適に用いられる。また、これらの金属の2種以上を含有するものや、これらの金属を主成分とする合金や酸化物等も用いることができる。透明性が求められる場合、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)も好ましく用いられる。これらの導電性化合物の中でも、電磁波シールド特性やセンサ機能に寄与する導電率が高く、比較的低価格である観点から、Cu,Alを含むことが好ましい。特に、コストパフォーマンスと生産効率の観点から、Cuを含むことが好ましいが、Cu以外の元素が不純物程度含まれていても良い。これにより、電気抵抗率が充分に小さく導電率が高いため、電磁波シールド特性やセンサ機能を向上できる。
導電層2、2aの形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、膜厚の均一性や成膜効率の観点から、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD)や物理気相成長法(PVD)等の真空成膜法や、イオンプレーティング法、メッキ法(電解メッキ、無電解メッキ)、ホットスタンプ法、コーティング法等により成膜されることが好ましい。また、これらの製膜方法の複数を組み合わせてもよいし、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。中でも、スパッタリング法、真空成膜法が好ましく、スパッタリング法により得られるスパッタ膜であることが特に好ましい。これにより、ロール・トゥ・ロール製法により連続生産でき生産効率を高めるとともに、成膜時の膜厚や表面粗さを制御することができるため、導電性フィルムの表面抵抗値の上昇を抑制できる。また、薄くて膜厚が均一で、緻密な導電層を形成することができる。
導電層2、2aの厚みは特に限定されないものの、それぞれ独立して10nm以上250nm以下であることが好ましい。導電層2、2aの厚みの下限値は、20nmが好ましく、50nmがより好ましい。一方、導電層2、2aの厚みの上限値は、200nmが好ましい。導電層2、2aの厚みが上記上限値を超えると、加熱後の導電性フィルムのカールが発生しやすくなったり、デバイスの薄型化が困難になったりする。厚みが上記下限値より小さいと、加湿熱条件下で導電性フィルムの表面抵抗値が高抵抗化しやすくなり目標とする加湿熱信頼性が得られなかったり、導電層の強度の低下によるパターン配線の剥離が生じたりする。
最外層として配置された導電層2の最表面Sの表面粗さRaは、1nm以上10nm以下である。表面粗さRaの下限値は1.5nmが好ましく、2nmがより好ましく、2nm超がさらに好ましい。表面粗さRaの上限値は8nmが好ましく、5nmがより好ましい。最外層として配置された導電層2の最表面Sの表面粗さRaを上記範囲とすることで、導電層の低抵抗化を図ることができる。これと同時に、保護フィルムの表面粗さRaを所定範囲とすることで、巻きズレを効率的に防止することができる。なお、導電層2aの樹脂フィルム1と反対側の表面の表面粗さRaは特に限定されないものの、導電層2の最表面Sの表面粗さRaと同様の範囲内にあることが好ましい。
(保護層)
保護層は、例えば導電層2が大気中の酸素の影響を受けて自然に酸化することを防止するために、導電層2の最表面S側に形成することができる(図示せず)。保護層は、導電層2の錆び防止効果を示すものである限り特に限定されないが、スパッタできる金属が好ましく、Ni,Cu,Ti,Si、Zn,Sn,Cr,Fe、インジウム、ガリウム、アンチモン、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、パラジウム、タングステンからなる中から選ばれるいずれか1種類以上の金属又はこれらの酸化物が用いられる。Ni,Cu,Tiは,不動態層を形成するため腐食されにくく、Siは耐食性が向上するため腐食されにくく、Zn,Crは表面に緻密な酸化被膜を形成するため腐食されにくい金属であるため好ましい。
保護層の材料としては、導電層2との密着性を担保させて確実に導電層2の錆びを防止する観点から、2種の金属からなる合金を用いることはできるが、3種以上の金属からなる合金が好ましい。合金3種以上の金属からなる合金としては、Ni−Cu−Ti、Ni−Cu−Fe,Ni−Cu−Cr等が挙げられ、防錆機能と生産効率の観点から、Ni−Cu−Tiが好ましい。なお、導電層2との密着性を担保させる観点から、導電層2の形成材料を含む合金であることが好ましい。これにより、導電層2の酸化を確実に防ぐことができる。
また、保護層の材料としては、例えば、インジウムドープ酸化スズ(ITO)、アンチモンを含有する酸化スズ(ATO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)が含まれていても良い。導電性フィルムの初期の表面抵抗値の上昇を抑制するだけでなく、加湿熱条件下の表面抵抗値の上昇を抑制することができ、表面抵抗値の安定化を最適にできるため、好ましい。
前記金属の酸化物とは、SiO(x=1.0〜2.0)、酸化銅、酸化銀、酸化チタン等の酸化物が好ましい。なお、前述の金属、合金、酸化物等の代わりに、導電層2上にアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂のような樹脂層を形成することで防錆効果をもたらすことも可能である。
保護層の膜厚は、1〜50nmが好ましく、2〜30nmがより好ましく、3〜20nmが好ましい。これにより、耐久性が向上し表面層から酸化を防ぐことができるため、加湿熱条件下での表面抵抗値は上昇を抑制できる。
樹脂フィルム1と保護フィルム3との間に配置される導電層2aの保護フィルム3側の表面にも同様の保護層を設けてもよい。
(保護フィルム)
保護フィルム3の材質及び構造としては特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂を含有する基材層と、熱可塑性エラストマーを含有する粘着層とを有することが望ましい。保護フィルム3は、粘着層が隣接層(樹脂フィルム1や下地層4a、導電層2a等)側と対向するように配置される。粘着層を形成する材料として、再剥離可能なアクリル系粘着剤等の公知の粘着剤も用いることができる。
前記基材層を形成するポリオレフィン系樹脂は特に制限されず、例えば、ポリプロピレン又はプロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー;低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー;エチレン−αオレフィン共重合体などのオレフィン系ポリマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他モノマーとのオレフィン系ポリマー等を例示できる。これらポリオレフィン系樹脂は1種を単独で又は2種以上を用いることができる。これらの材料を含むフィルムを一軸延伸又は二軸延伸させてもよい。
前記基材層はオレフィン系樹脂を主成分として含有するが、劣化防止等を目的に、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、帯電防止剤、その他に、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、目ヤニ防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤等の添加剤を適宜に配合することができる。
基材層の厚みは、特に制限されないが、好ましくは18μm以上、さらに好ましく20μm以上である。一方、基材層の厚みは30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。また、基材層1は、単層でもよく二層以上の多層からなっていてもよい。
なお、基材層の粘着層付設面と反対面には、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理や、パッタエッチング処理、プライマー等の下塗り処理などの、表面処理を必要に応じて施すこともできる。
粘着層を形成する熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどの粘着剤のベースポリマーとして用いられているものを特に制限なく使用できる。より具体的には、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレン(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)等のA−B−A型ブロックポリマー;スチレン・ブタジエン(SB)、スチレン・イソプレン(SI)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体(SEP)等のA−B型ブロックポリマー;スチレン・ブタジエンラバー(SBR)等のスチレン系ランダム共重合体;スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(SEBC)等のA−B−C型のスチレン・オレフィン結晶系ブロックポリマー;オレフィン結晶・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(CEBC)等のC−B−C型のオレフィン結晶系ブロックポリマー;エチレン−αオレフィン、エチレン−プロピレン−αオレフィン、プロピレン−αオレフィン等のオレフィン系エラストマー、さらにはこれらの水添物等があげられる。これら熱可塑性エラストマーは1種を単独で又は2種以上を用いることができる。
粘着層の形成に際しては、前記熱可塑性エラストマーに、粘着特性の制御等を目的に、必要に応じて、例えば、軟化剤、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、リン酸エステル系化合物、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、その他に、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤や顔料などの添加剤を適宜に配合することができる。
粘着層の厚みは、特に制限定されず、要求される密着力などに応じて適宜に決定すればよいが、通常0.1μm程度であり、好ましくは0.2μm以上であり、さらに好ましく0.3μm以上である。粘着層の厚みは、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
なお、粘着層の表面には、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理などの、粘着性の制御や貼付作業性等を目的とした表面処理を必要に応じて施すこともできる。さらに、粘着層には必要に応じて、実用に供されるまでの間、セパレータなどを仮着して保護することもできる。
また、基材層の粘着層の付設面と反対の面(すなわち、保護フィルム3の最表面S)には必要に応じて、離型性を付与するための離型層を形成することができる。離型層は基材層及び粘着層と共に共押し出しにより形成してもよいし、塗布により形成してもよい。
離型層を共押し出しにより形成する際は2種以上のポリオレフィン系樹脂からなる混合物を用いて形成することが好ましい。2種以上のポリオレフィン系樹脂からなる混合物を用いることにより、2種のポリオレフィン系樹脂の相溶性を制御することにより、適度な表面粗さを形成し、適度な離型性が付与されるためである。離型層を共押し出しにより形成する際、その厚みは通常1〜30μm程度であり、好ましくは2〜20μm、さらに好ましく3〜10μmである。
離型層を塗布により形成する際の離型剤としては、離型性を付与しうるものを特に制限なく使用できる。例えば、離型剤としては、シリコーン系ポリマーや長鎖アルキル系ポリマーからなるものがあげられる。離型剤は、無溶剤型、有機溶剤に溶解させ溶剤型、水中で乳化した乳化型のいずれであってもよいが、溶剤型、乳化型の離型剤は安定して離型層3を基材層1に付設することができる。その他に、離型剤としては紫外線硬化型のものなどがあげられる。離型剤の具体的としては、ピーロイル(一方社油脂社製)、信越シリコーン(信越化学工業社製)等が入手可能である。
離型層の厚みは、特に制限定されないが、前述の通り、薄膜化形成した場合に汚染低減効果が大きいことから、通常1〜1000nm程度、さらには5〜500nm、特に10〜100nmであるのが好ましい。
保護フィルム3の厚み(粘着層や離型層が配置されている場合はそれらの厚みを含む。)は5μm以上35μm以下であることが好ましい。保護フィルム3の厚みの下限値は、8μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、15μmが特に好ましい。保護フィルム3の厚みの上限値は、32μmがより好ましく、30μmがさらに好ましく、25μmが特に好ましい。保護フィルム3の厚みを上記範囲とすることでエア抜けの促進と接触面積の維持をより効率的に達成することができる。
保護フィルム3の最表面Sの表面粗さRaは100nm以上500nm以下である。前記表面粗さRaの下限値は、150nmが好ましく、200nmがより好ましく、250nmがさらに好ましい。前記表面粗さRaの上限値は、450nmが好ましく、420nmがより好ましく、400nmがさらに好ましい。本実施形態に係る保護フィルム付き導電性フィルム100では、保護フィルム3の最表面Sの表面粗さRaと導電層2の最表面Sの表面粗さRaとをそれぞれ上記特定範囲としているので、巻きズレを防止することができ、ひいては導電層への傷による抵抗増加や剥離不良を防止して導電性フィルムの高品質化や導電性フィルムを組み込むデバイスの生産効率の向上を図ることができる。
保護フィルム3の最表面Sの十点平均粗さRzが1500nm以上12000nm以下であることが好ましい。前記山−谷間距離の平均値は、1800nm以上がより好ましく、2000nm以上がさらに好ましく、一方、10000nm以下がより好ましく、8000nm以下がさらに好ましい。十点平均粗さRzを上記範囲とすることで、保護フィルムと導電層との間のエアの抜けをより促進して、接触面積の維持を図ることができ、巻きズレを効率的に防止することができる。
上述のように、保護フィルムの隣接層と接する側の面は粘着性を有することが好ましい。具体的には、保護フィルム3と隣接層との間の剥離力が0.01N/50mm以上1N/50mm以下であることが好ましく、0.02N/50mm以上0.8N/50mm以下であることがより好ましく、0.04N/50mm以上0.6N/50mm以下であることがさらに好ましい。保護フィルムと隣接層との間の剥離力を上記範囲とすることで、意図しない保護フィルムの剥離を防止しつつ剥離工程での保護フィルムのスムーズな剥離を達成することができる。
(下地層)
本実施形態の導電性フィルムは、樹脂フィルム1と導電層2との間、及び樹脂フィルム1と導電層2aとの間に、それぞれ下地層4a、4bが設けられている。導電層2、2aの樹脂フィルム1への密着性や保護フィルム付き導電性フィルム100への強度付与、電気的特性の制御等、目的に応じた下地層を設けることで保護フィルム付き導電性フィルム100の高機能化を図ることができる。下地層4a、4bとしては特に限定されず、易接着層、ハードコート層(アンチブロッキング層等として機能するものを含む。)、誘電体層等が挙げられる。
(易接着層)
易接着層は、接着性樹脂組成物の硬化膜である。易密着層は、導電層に対して良好な密着性を有する。
接着性樹脂組成物としては、易密着層形成後の硬化膜として十分な接着性と強度とを持つものを特に制限なく使用できる。用いる樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂、及びこれらの混合物などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく易密着層を形成することができる紫外線硬化型樹脂が好適である。紫外線硬化型樹脂を含むことで、紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物が容易に得られる。
接着性樹脂組成物としては、硬化の際に架橋構造を形成する材料が好ましい。易密着層での架橋構造が促進されると、それまで緩やかだった膜内部構造が強固となり、膜強度が向上される。こうした膜強度の向上が密着性の向上に寄与していると推察されるからである。
接着性樹脂組成物は、(メタ)アクリレートモノマー及び(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。これにより、アクリロイル基に含まれるC=C二重結合に起因する架橋構造の形成が容易となり、膜強度の向上を効率的に図ることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本実施形態で用いる、主成分としての(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーは塗膜を形成させる役目を有し、具体的にはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。
前記の(メタ)アクリレートの中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、或いはこれらの混合物が、耐摩耗性、硬化性の点からとりわけ好ましい。
また、ウレタンアクリレートオリゴマーを用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させた後に、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法や、ポリイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリレートとを反応させた後に、ポリオールを反応させる方法や、ポリイソシアネート、ポリオール、水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させる方法などが挙げられるが特に限定はない。
ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びこれらの共重合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2’−チオジエタノール等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋密度が高すぎるとプライマーとしての性能が落ち導電層密着性が低下しやすくなるため、水酸基を有する低官能(メタ)アクリレート(以下、水酸基含有(メタ)アクリレートという)を用いても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。上述した(メタ)アクリレートモノマー成分及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー成分は単独で用いても2種以上を用いても良い。
本実施形態の紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物は、(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤を配合することによりアンチブロッキング性が向上する。(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、市販品としては、KR−513、KBM−5103(信越化学株式会社製、商品名)が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、前記(メタ)アクリレートモノマー及び/又は(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部に対して、0.1重量部〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部とする。この範囲であると導電層との密着性が向上し、塗膜物性を維持することができる。
本実施形態の易密着層は、ナノシリカ微粒子を含んでいてもよい。ナノシリカ微粒子としては、アルキルシランから合成されたオルガノシリカゾルあるいはプラズマアークにより合成されたナノシリカを用いることができる。市販品としては前者であればPL−7−PGME(扶桑化学製、商品名)、後者であればSIRMIBK15WT%−M36(CIKナノテック製、商品名)などが挙げられる。ナノシリカ微粒子の配合割合は前記(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマーとシランカップリング剤との総重量100重量部に対し、5〜30重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。下限以上とすることで表面凹凸が形成されてアンチブロッキング性を付与可能となり、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能となる。上限以下とすることで導電層との密着性の低下を防止することができる。
ナノシリカ微粒子の平均粒径は100〜500nmが好ましい。平均粒径100nm未満では表面に凹凸を形成するのに必要な添加量が多くなるために導電層との密着性が得られないのに対し、500nmを越えると表面凹凸が大きくなり、ピンホールの問題が発生する。
接着性樹脂組成物は紫外線硬化性を付与するために光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインノルマルブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−エチレンフェニル)プロパン−1−オン]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−イソプロピルフェニル)プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−1−モルフォリノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のα−アミノアルキルフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のモノアシルホスフィンオキサイド類などが挙げられる。
樹脂の硬化性、光安定性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、アルキルフェノン系光重合開始剤が好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンがより好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、891、907、2959、Darocure1173、TPO(BASFジャパン株式会社製、商品名)などが挙げられる。光重合開始剤は(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー及び/又はアクリレートオリゴマー100重量部に対して、固形分3〜10重量部配合する。
易密着層の形成の際には、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート及び/あるいは(メタ)アクリレートオリゴマーを主成分とする接着性樹脂組成物を、トルエン、酢酸ブチル、イソブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの溶剤に希釈し、固形分が30〜50%のワニスとして調製する。
易密着層は、樹脂フィルム1上に、上記ワニスを塗布することにより形成される。ワニスの塗布方法は、ワニス及び塗装工程の状況に応じて適時選択することができ、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法やエクストルージョンコート法などにより塗布することができる。
ワニスを塗布後、塗膜を硬化させることによって、易密着層を形成することができる。紫外線硬化性を有する接着性樹脂組成物の硬化処理としては、ワニスが溶剤を含む場合は乾燥(例えば80℃で1分間)による溶媒除去後、紫外線照射機を用いて500mW/cm〜3000mW/cmの照射強度で、仕事量が50〜400mJ/cmの紫外線処理を行い硬化させるという手順が挙げられる。紫外線発生源としては一般的に紫外線ランプが用いられており、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどが挙げられ、照射する場合は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。
紫外線硬化処理の際に加熱を行うことが好ましい。紫外線照射により接着性樹脂組成物の硬化反応が進行し、同時に架橋構造が形成される。このとき加熱を行うことにより、低紫外線量でも十分に架橋構造の形成を促進させることができる。加熱温度は、架橋度に応じて設定可能であり、好ましくは50℃〜80℃である。加熱手段は特に限定されず、温風乾燥機、輻射熱乾燥機、フィルム搬送ロールの加熱等を適宜採用することができる。
易密着層の厚みとしては特に限定されないものの、0.2μm〜2μmであることが好ましく、0.4μm〜1.5μmであることがより好ましく、0.6μm〜1.2μmであることがさらに好ましい。易密着層の厚みを上記範囲とすることで、導電層の密着性とフィルムの柔軟性とを向上させることができる。
(ハードコート層)
下地層として、ハードコート層を設けてもよい。さらに、導電層2aと保護フィルム3と間やロール状に巻き取った際の導電層2と保護フィルム3との間でのブロッキングを防止してロール・トゥ・ロール法による製造を可能にするために、ハードコート層に粒子を配合してもよい。
ハードコート層の形成には、易密着層と同様の接着性組成物を好適に用いることができる。アンチブロッキング性を付与するには、前記接着性組成物に粒子を配合することが好ましい。これによりハードコート層の表面に凹凸を形成することができ、保護フィルム付き導電性フィルム100にアンチブロッキング性を好適に付与することができる。
上記粒子としては、各種金属酸化物、ガラス、プラスチックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム等の無機系粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系粒子やシリコーン系粒子などがあげられる。前記粒子は、1種又は2種以上を適宜に選択して用いることができる。
上記粒子の平均粒径や配合量は、表面凹凸の程度を考慮しつつ、適宜設定することができる。平均粒径としては、0.5μm〜2.0μmが好ましく、配合量としては、組成物の樹脂固形分100重量部に対して0.2〜5.0重量部が好ましい。
(誘電体層)
下地層として、1層以上の誘電体層を備えていてもよい。誘電体層は、無機物、有機物、あるいは無機物と有機物との混合物により形成される。誘電体層を形成する材料としては、NaF、NaAlF、LiF、MgF、CaF、SiO、LaF、CeF、Al、TiO、Ta、ZrO、ZnO、ZnS、SiO(xは1.5以上2未満)などの無機物や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマーなどの有機物が挙げられる。特に、有機物として、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用することが好ましい。誘電体層は、上記の材料を用いて、グラビアコート法やバーコート法などの塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などにより形成できる。
誘電体層の厚みは、10nm〜250nmであることが好ましく、20nm〜200nmであることがより好ましく、20nm〜170nmであることがさらに好ましい。誘電体層の厚みが過度に小さいと連続被膜となりにくい。また、誘電体層の厚みが過度に大きいと、誘電体層にクラックが生じ易くなったりする傾向がある。
誘電体層は、平均粒径が1nm〜500nmのナノ微粒子を有していてもよい。誘電体層中のナノ微粒子の含有量は0.1重量%〜90重量%であることが好ましい。誘電体層に用いられるナノ微粒子の平均粒径は、上述のように1nm〜500nmの範囲であることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。また、誘電体層中のナノ微粒子の含有量は10重量%〜80重量%であることがより好ましく、20重量%〜70重量%であることがさらに好ましい。
ナノ微粒子を形成する無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、中空ナノシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等の微粒子があげられる。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化ニオブの微粒子が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(保護フィルム付き導電性フィルムの製造方法)
保護フィルム付き導電性フィルムは、必要に応じて下地層を形成した樹脂フィルムの一方の面上に導電層を形成した後、ロール状に巻き取り、次いでロールからフィルムを繰り出しながら樹脂フィルムの他方の面上に保護フィルムを貼り合わせしていくロール・トゥ・ロール法で製造することができる。あるいは、導電層を形成するラインの下流にて保護フィルムを貼り合わせた後、ロール状に巻き取ってもよい。導電層を両面に形成する場合は、樹脂フィルムの一方の面上に導電層を形成した後、ロール状に巻き取り、その後フィルムを繰り出しながら形成した導電層上に保護フィルムを貼り合わせて、再度フィルム状に巻き取る。次いで、フィルムを繰り出しながら、保護フィルムを貼り合わせた面とは反対側の面に導電層を形成することで保護フィルム付き導電性フィルムを製造することができる。
例えば、スパッタリング法により、銅からなる導電層2を成膜する場合には、ターゲットとして銅(無酸素銅が好ましい)を用い、まず、スパッタ装置内の真空度(到達真空度)を好ましくは1×10−3Pa以下となるまで排気して、スパッタ装置内の水分や樹脂フィルム1から発生する有機ガスなどの不純物を取り除いた雰囲気とすることが好ましい。
このように排気したスパッタ装置内に、Ar等の不活性ガスを導入して、好ましくは張力付与下で樹脂フィルムを搬送させながら、減圧下でスパッタ成膜を行う。導電層成膜時の樹脂フィルムの温度は、10℃〜100℃であることが好ましく、15℃〜80℃であることがより好ましく、20℃〜60℃であることがさらに好ましい。成膜時の圧力は0.05Pa〜1.0Paであることが好ましく、0.1Pa〜0.7Paであることがより好ましい。成膜圧力が高すぎると成膜速度が低下する傾向があり、逆に圧力が低すぎると放電が不安定となる傾向がある。
保護フィルムの貼り合わせの圧力は特に限定されないものの、0.05MPa以上3MPa以下が好ましく、0.1MPa以上2MPa以下がより好ましく、0.15MPa以上1MPa以下がさらに好ましい。
(保護フィルム付き導電性フィルムの特性)
導電層2、2aの表面抵抗値R1は、0.001Ω/□〜20Ω/□であることが好ましく、0.01Ω/□〜10Ω/□であることがより好ましく、0.1Ω/□〜5Ω/□であることが更に好ましい。これにより生産効率に優れた実用的な保護フィルム付き導電性フィルムを提供できる。
保護フィルム付き導電性フィルム100は、搬送性や取扱いの観点からロール状に巻回されていてもよい。樹脂フィルムに下地層や導電層をロール・トゥ・ロール法で連続的に形成することで、効率良く導電性フィルムを製造することができる。
(保護フィルム付き導電性フィルムの用途)
保護フィルム付き導電性フィルムは様々な用途に適用可能であり、例えば、電磁波シールドシートや面状センサ、表示ディスプレイ等に応用され得る。これらのデバイスの組み込み前に保護フィルムは剥離される。電磁波シールドシートは、保護フィルムを剥離した導電性フィルムを用いたものであり、タッチパネル等の形態で好適に使用することができる。前記電磁波シールドシートの厚みは、20μm〜300μmであることが好ましい。
また電磁波シールドシートの形状は、特には限定されず、設置する対象物の形状などに応じて、積層方向(シートの厚み方向と同じ方向)からみた形状が方形状、円形状、三角形状、多角形状など、適宜の形状に選択できる。
面状センサは、導電性フィルムを用いたものであり、モバイル機器のタッチパネルやコントローラ等のユーザーインターフェースに荷重測定用のフォースセンサや、対象物のセンシング領域、例えば自動車の外表面、ロボットや人形の表面に加わる外力を初めとする様々な物理量等をセンシングするセンサを含む。面状センサは、フォースセンサ、シールド等の形態で好適に使用することができる。前記面状センサの厚みは、20μm〜300μmであることが好ましい。
<両面保護フィルム付き導電性フィルム>
上記保護フィルム付き導電性フィルムの保護フィルム配置側とは反対側にさらに別の保護フィルムを配置して両面保護フィルム付き導電性フィルムとすることもできる。さらに配置される保護フィルムとしては、上記保護フィルム付き導電性フィルムの保護フィルムと同じ又は異なる保護フィルムを用いることができる。両面保護フィルム付き導電性フィルムの製造方法は、保護フィルム付き導電性フィルムの巻回体からフィルムを繰り出しながら、導電層側の最外層として別の保護フィルムを貼り合わせ、最後に巻き取る手順を好適に採用することができる。
以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1:片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの作製>
(導電層(図1中の導電層2a)の形成)
樹脂フィルムとして、厚み150μm、幅1100mmのアニールPETフィルム(東レフィルム加工社製、「150−TT00A」)を用い、その片面にスパッタ成膜を行ない、導電層を形成した。スパッタ条件としては以下のとおりであった。スパッタ装置内を3.0×10−3Torr以下(0.4Pa以下)の高真空にし、その状態で、長尺状樹脂フィルムを送り出しロールから巻き取りロールへ送りながら、スパッタ成膜を行った。Arガス100体積%からなる3.0×10−3Torrの雰囲気中で、Cuターゲット材料を用いて、焼結体DCマグネトロンスパッタ法により、導電層を150nmの厚みで片面にスパッタ成膜をした。成膜後のフィルムを巻取りロールに巻き取ることで、一方の面に導電層(図1中の導電層2aに相当)を形成した片面導電性フィルムの巻回体を作製した。
(保護フィルム(図1中の保護フィルム3)の貼り合わせ)
スパッタ成膜により形成した導電層上に保護フィルム(東レ社製、「MS05改良品3」(市販品の「MS05」の成膜温度及び張力の調整により表面粗さを調整したもの))を貼り合せた。貼り合わせ条件としては以下のとおりであった。作製した片面導電性フィルムを送りだしロールから巻取りロールへ送りながら、その間に、導電層面(スパッタ面)に保護フィルムを0.3MPaの圧力で貼り合せ、巻取りロールにフィルムを巻取りことで、片面導電性フィルムの導電面(スパッタ面)へ最外層としての保護フィルムを貼り合せた積層体の巻回体を作製した。
(導電層(図1中の導電層2)の形成)
作製した片面導電性フィルムの巻回体の導電層2a配設面とは反対側に導電層2aと同条件で導電層2を150nmの厚みでスパッタ成膜することで、樹脂フィルムの両面に導電層が形成され、片面に保護フィルムが貼り合わされた片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの巻回体を作製した。
(切断加工)
片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの巻回体を繰り出しながらMD方向に半裁(スリット)加工を行った。6インチ芯に250m×幅500mmのサイズに巻き取りを実施し、片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの半栽巻回体(芯から最表面までの厚み(半径)62mm)を作製した。
<実施例2>
保護フィルムとしてフタムラ社製、「FSA020M」を用いたこと以外は、実施例1と同様の製法にて片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの半栽巻回体を作製した。
<実施例3>
保護フィルムとしてトレデガー社製、「FF2830」を用いたこと以外は、実施例1と同様の製法にて片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの半栽巻回体を作製した。
<比較例1>
保護フィルムとして東レ社製、「MS05改良品1」(市販品の「MS05」の成膜温度及び張力の調整により表面粗さを調整したもの)を用いたこと以外は、実施例1と同様の製法にて片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの半栽巻回体を作製した。
<比較例2>
保護フィルムとして東レ社製、「MS05改良品2」(市販品の「MS05」の成膜温度及び張力の調整により表面粗さを調整したもの)を用いたこと以外は、実施例1と同様の製法にて片面保護フィルム付き両面導電性フィルムの半栽巻回体を作製した。
<評価>
作製した保護フィルム付き導電性フィルムについて、以下の評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
(1)厚みの測定
導電層の厚みは、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、「H−7650」)を用いて、保護フィルム付き導電性フィルムの断面を観察して測定した。
(2)導電層及び保護フィルムの表面粗さRa及び十点平均粗さRzの測定
表面粗さRa及び十点平均粗さRzは市販の光学式表面性状測定機(キャノンマーケティングジャパン社製、「Zygo NewView7300」)を用いて、所定のモードで2.90μm×2.18μm四方の範囲の画像を取得し、取得した画像についてMetroProの解析ソフトウェア(Zygo corporation製)を用いてそれらの値を求めた。表面粗さRa(算術平均粗さRaともいう。)は、基準長さにおけるZ(x)の絶対値の平均を表したものである。十点平均粗さRz(Rzjis)は、粗さ曲線で最高の山頂から高い順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深い順に5番目までの谷深さの平均との和である。
(3)巻きズレの評価
図2に示すように、作製した半裁巻回体の端部に負荷をかけた際のズレを測定した。図2は、巻きズレの評価手順を模式的に示す保護フィルム付き導電性フィルムの巻回体の断面図である。半栽巻回体の軸から半径方向で60mm離れた位置に軸と平行な方向で10Nの荷重を負荷し、定常状態となった際の巻回体の端部の変位量を測定した。元の位置からの変位量が2mm以下の場合を巻きズレなしと評価し、変位量が2mmを超えた場合を巻きズレありと評価した。
(4)剥離力測定
作製した半栽の保護フィルム付き導電性フィルムを30分以上常温(25℃)で放置した後、サンプルを50mm×200mmのサイズにカットした。カットしたサンプルの保護フィルムとは反対面を両面テープを用いてSUS板(SUS430BA)に固定した。その環境下で万能引張試験機(NMBミネベア株式会社社製、「TCM−1kNB」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で保護フィルム付き導電性フィルムから保護フィルムを剥離し、このときの剥離力(N/50mm)を測定し密着力とした。
Figure 2019188747
(結果)
表1より、実施例の保護フィルム付き導電性フィルムでは、巻きズレが生じなかった。一方、比較例では巻きズレが生じていた。以上より、実施例の保護フィルム付き導電性フィルムでは、保護フィルムの表面粗さRaをエア抜けを生じさせることが可能な程度に適度に大きくし、導電層と保護フィルムとの接触面積を維持して摩擦係数を保ったことに起因すると推察される。
1 樹脂フィルム
2、2a 導電層
3 保護フィルム
4a、4b 下地層
100 保護フィルム付き導電性フィルム

Claims (8)

  1. 樹脂フィルムと、
    前記樹脂フィルムの一方の面側の最外層として配置された導電層と、
    前記樹脂フィルムの他方の面側の最外層として配置された保護フィルムと
    を備える保護フィルム付き導電性フィルムであって、
    前記導電層の最表面の表面粗さRaが0.1nm以上10nm以下であり、
    前記保護フィルムの最表面の表面粗さRaが100nm以上500nm以下である保護フィルム付き導電性フィルム。
  2. 前記保護フィルムの最表面の十点平均粗さRzが1500nm以上12000nm以下である請求項1に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  3. 前記樹脂フィルムと前記保護フィルムとの間に配置された導電層をさらに備える請求項1又は2に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  4. 前記保護フィルム付き導電性フィルムの厚みが50μm以上200μm以下であり、
    前記保護フィルムの厚みが5μm以上35μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  5. 前記導電層がスパッタ膜である請求項1〜4のいずれか1項に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  6. 前記保護フィルムの形成材料がポリオレフィン系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  7. 前記保護フィルムの隣接層と接する側の面は粘着性を有し、
    前記保護フィルムと前記隣接層との間の剥離力が0.01N/50mm以上1N/50mm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護フィルム付き導電性フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の保護フィルム付き導電性フィルムと、
    前記保護フィルム付き導電性フィルムの前記導電層側の最外層に配置された保護フィルムと
    を備える両面保護フィルム付き導電性フィルム。
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