JP2017091630A - 発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】SOFC及び改質器を備えた発電システムにおいて、アノードオフガスをSOFCの燃料として再利用する際に生じる濃度分極及びこれに起因するセル電圧の低下を抑制すること。【解決手段】発電システム10aは、SOFC12aと、改質ガスをSOFC12aのアノード流路に供給する熱交換型改質器14aと、アノード流路から排出されたアノードオフガスを循環ガスとして改質流路に戻す循環路16とを備えている。循環路16には、循環ガスからCO2ガスを分離するCO2分離器18、循環ガスからH2Oガスを分離するH2O分離器20、循環ガスを分配するバイパス路22、及び、ガス分離後の循環ガスと改質流路に新たに供給するための改質燃料とを混合するエゼクタ26が接続されている。H2O分離器20は、循環S/C比が所定の範囲となるように、循環ガスからH2Oガスを分離する。【選択図】図1

Description

本発明は、発電システムに関し、さらに詳しくは、熱交換型改質器で生成させた改質ガスを固体酸化物型燃料電池に供給し、かつ、固体酸化物型燃料電池から排出されたアノードオフガスを改質器に戻すことによって、アノードオフガスに残存する燃料を発電に再利用する発電システムに関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質として酸化物イオン伝導体が用いられているため、水素や一酸化炭素を燃料ガスとして用いることができる。そのため、SOFCの燃料ガスとして、改質ガスが用いられることが多い。改質ガスは、炭化水素やアルコールなどの改質燃料を水蒸気改質することにより得られるガスであり、水素と一酸化炭素を主成分として含む。
しかし、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を継続させるには外部から熱を供給し続ける必要がある。また、改質ガスをSOFCのアノード流路に供給した場合、改質ガスに含まれる水素や一酸化炭素のすべてが電極反応に消費されず、一部が未利用のままアノード流路から排出される。そのため、SOFCと改質器との単なる組み合わせからなる発電システムでは、到達可能な発電効率に限界がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
(a)SOFCに新たに供給される燃料ガスと、SOFCのアノードから排出されるガス(アノードオフガス)の一部とを混合し、
(b)混合ガスを燃料改質器に供給し、アノードオフガスの顕熱及びアノードオフガスに含まれる水蒸気を用いて混合ガスに含まれる燃料ガスの水蒸気改質反応を行わせ、
(c)得られた改質ガス(再循環ガス)を再生熱交換器→凝縮器→循環ブロア→再生熱交換器の順に通過させることにより、凝縮器で水蒸気を除去する前の再循環ガスと水蒸気を除去した後の再循環ガスとの間で熱交換を行わせる
固体酸化物型燃料電池発電システムが開示されている。
同文献には、
(a)アノードオフガスを再循環させる場合において、凝縮器を用いて再循環ガス中の水蒸気分圧を下げることにより、燃料電池起電力の低下を防ぐことができる点、
(b)循環ブロアは常温作動であるため、循環流量の調整が広範囲にわたって可能であり、燃料の利用率を向上させることができる点、及び、
(c)再生熱交換器を用いて再循環ガスの冷却及び再加熱を行うため、余分なエネルギー消費を必要としない点、
が記載されている。
アノードオフガスには、電極反応で生成したH2OとCO2が含まれる。そのため、アノードオフガスの再利用を継続すると、再循環ガス中のH2O濃度及びCO2濃度が過剰となり、濃度分極によるセル電圧の低下を引き起こす。特許文献1に記載の発電システムは、凝縮器を備えているため、H2O濃度の増加に起因するセル電圧の低下をある程度抑制できる。しかし、CO2濃度の増加を抑制する機能を備えていないため、CO2濃度の増加に起因するセル電圧の低下を抑制できない。
また、特許文献1に記載の発電システムは、アノードオフガスの一部をSOFCの燃料ガスとして再利用するため、発電に直接利用されない燃料をある程度減らすことができる。しかし、アノードオフガスの残りは燃焼器で燃焼され、カソード空気加熱用熱源として利用されている。そのため、このような方法では、未利用燃料の低減に限界がある。
さらに、特許文献1に記載の発電システムでは、再生熱交換器に送られた再循環ガスの全体を凝縮器で冷却している。そのため、再生熱交換器を用いて熱交換を行ったとしても、凝縮器→循環ブロア→再生熱交換器を経た再循環ガスの温度は相対的に低い。特許文献1では、再循環ガスをSOFCに供給可能な温度にするために、燃料加熱用燃焼器で再循環ガスの一部を燃焼させ、これによって凝縮器で奪われた熱を補っている。しかし、このような方法では、燃費の向上に限界がある。
特開平11−233129号公報
本発明が解決しようとする課題は、SOFC及び改質器を備えた発電システムにおいて、アノードオフガスをSOFCの燃料として再利用する際に生じる濃度分極及びこれに起因するセル電圧の低下を抑制することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、SOFC及び改質器を備えた発電システムにおいて、システムから系外に廃棄されるエネルギーを低減し、発電効率を向上させることにある。
上記課題を解決するために本発明に係る発電システムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記発電システムは、
アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた固体酸化物型燃料電池と、
炭素及び水素を含む改質燃料を改質流路内で改質し、得られた改質ガスを前記アノード流路に供給する熱交換型改質器と、
前記アノード流路から排出されたアノードオフガスを循環ガスとして前記改質流路に戻す循環路と
を備えている。
(2)前記循環路には、
前記循環ガスからCO2ガスを分離するCO2分離器と、
前記循環ガスからH2Oガスを分離するH2O分離器と、
前記CO2ガス及び前記H2Oガスが分離された後の前記循環ガスと、前記改質流路に新たに供給するための前記改質燃料とを混合する混合装置と
が接続されている。
(3)前記H2O分離器は、前記改質流路内における水蒸気/カーボン比(循環S/C比)が、前記改質流路内におけるカーボンの析出が抑制され、かつ、濃度分極によるセル電圧の低下率が理論起電力の12%以下となるように、前記循環ガスからH2Oガスを分離することが可能なものからなる。
前記発電システムにおいて、前記循環ガスの流れの上流側に前記CO2分離器が接続され、下流側に前記H2O分離器が接続されているのが好ましい。
また、前記発電システムは、
前記H2O分離器の上流側にある前記循環路と下流側にある前記循環路とを直接繋ぐバイパス路と、
前記循環ガスを前記バイパス路と前記H2O分離器に分配する分配装置と
をさらに備え、
前記H2O分離器は、前記H2O分離器に分配された前記循環ガスからH2Oガスの全部を分離するものが好ましい。
さらに、前記発電システムは、
(a)水蒸気改質反応に必要な熱をSOFCから得る手段(改質器用熱交換手段)、
(b)循環ガスからH2Oガスを凝縮分離させる際に、カソード用空気を用いて循環ガスを冷却し、これによってカソード用空気を加熱する手段(H2O分離器用熱交換手段)
(c)CO2分離器がCO2ガスを吸収する際に放出される吸収熱を用いて、カソード用空気を加熱する手段(CO2分離器用熱交換手段(A))、
(d)CO2分離器からCO2ガスを放出する際に必要な熱を、カソードオフガスから得る手段(CO2分離器用熱交換手段(B))、及び/又は、
(e)CO2分離器用熱交換手段(B)から排出されるカソードオフガスを用いてカソード用空気をさらに加熱する手段(空気用熱交換手段)
をさらに備えているものが好ましい。
循環路にCO2分離器及びH2O分離器を接続すると、循環ガスから、実質的にすべてのCO2ガス、及び、改質反応に再利用されない余分なH2Oガスを分離することができる。そのため、アノードオフガスの再利用を継続した場合であっても、循環ガス中のCO2濃度やH2O濃度が過剰になることによる濃度分極及びこれに起因するセル電圧の低下を抑制することができる。
また、化学的にCO2ガスを吸収可能なCO2吸収材を用いて循環ガスからCO2ガスを分離する場合、通常、CO2の吸収時に発熱を伴う。一方、循環ガスからH2Oを凝縮分離する場合、循環ガスを冷却する必要がある。そのため、循環ガスの流れの上流側に前記CO2分離器を接続し、下流側にH2O分離器を接続すると、循環ガスからCO2ガス及びH2Oガスを分離する際のエネルギーロスを最小限に抑制することができる。また、循環ガスの温度をSOFCに供給可能な温度にするために、必ずしも循環ガスの一部を燃焼させる必要がないので、発電効率が向上する。
また、H2O分離器の上流側にある循環路と下流側にある循環路とをバイパス路で繋ぎ、循環ガスをバイパス路とH2O分離器に分配すると、バイパス路を通過する循環ガスは冷却されない。そのため、CO2ガス及びH2Oガスを分離した後の循環ガスの温度低下を最小限に抑制することができる。
さらに、CO2ガスの吸収に伴う吸収熱、H2Oガスの凝縮熱、及び/又は、カソードオフガスの顕熱をカソード用空気を加熱するための熱源として再利用すると、エネルギーロスが抑制され、かつ、発電効率も向上する。
本発明の第1の実施の形態に係る発電システムの模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る発電システムの模式図である。 間接内部改質型燃料電池の模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る発電システムの模式図である。
アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離することなく循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及び循環S/C比に及ぼす循環率の影響、及び(b)アノードオフガスエネルギー/投入燃料比に及ぼす循環率の影響、を示す図である。 アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離することなく循環ガスとして再利用したときの、(a)循環ガス流量に及ぼす循環率の影響、及び(b)起電力に及ぼす循環率の影響、を示す図である。
アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及びCO2循環ガス量に及ぼすCO2分離率の影響、及び(b)起電力に及ぼすCO2分離率の影響、を示す図である。 アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及びH2O循環ガス量に及ぼす循環S/C比の影響、及び(b)起電力に及ぼす循環S/C比の影響、を示す図である。
アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及び投入燃料量に及ぼす燃料利用率の影響、及び(b)起電力に及ぼす燃料利用率の影響、を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 発電システム]
本発明に係る発電システムは、
アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた固体酸化物型燃料電池と、
炭素及び水素を含む改質燃料を改質流路内において改質し、得られた改質ガスを前記アノード流路に供給する熱交換型改質器と、
前記アノード流路から排出されたアノードオフガスを循環ガスとして前記改質流路に戻す循環路と
を備えている。
[1.1. 固体酸化物型燃料電池]
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えている。SOFCは、通常、このような単セルが複数個積層された構造を備えている。
本発明において、電解質・電極接合体の構造及び各部を構成する材料は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。
アノード流路及びカソード流路は、反応ガスを電極に供給するための流路である。また、後述する間接内部改質型燃料電池では、これらの流路は、改質流路に熱を伝達するための熱伝達部材としても機能する。そのため、これらの流路には、高熱伝導材料(例えば、Cu合金、Al合金など)を用いるのが好ましい。また、熱伝達を促進するために、流路内には伝熱隔壁、伝熱フィン、伝熱リブなどを設けるのが好ましい。
[1.2. 熱交換型改質器]
熱交換型改質器は、炭素及び水素を含む改質燃料を改質流路内において改質し、得られた改質ガスをアノード流路に供給するためものもである。
ここで、「熱交換型改質器」とは、改質触媒が担持された改質流路内で改質燃料の水蒸気改質を行うと同時に、改質流路と外部熱源との間の熱交換により、水蒸気改質反応に必要な熱量を改質流路に供給する改質器をいう。
本発明において、改質流路と外部熱源との間で熱交換を行う方法は、特に限定されない。このような熱交換を行うための手段としては、例えば、
(a)改質流路に隣接して燃焼流路を設置し、燃焼流路内において改質燃料の一部又はアノード流路から排出されるガス(アノードオフガス)の一部を燃焼させ、その燃焼熱を改質流路に伝達する第1の手段、
(b)改質流路に隣接してオフガス流路を設置し、オフガス流路内にカソード流路から排出される高温のガス(カソードオフガス)を流すことによって、カソードオフガスの顕熱を改質流路に伝達する第2の手段、
(c)SOFCと改質流路との間で直接、熱交換を行うことによって、SOFCの発電に伴う内部発熱を改質流路に伝達する第3の手段(改質器用熱交換手段)
などがある。
これらの中でも、第2及び第3の手段は、発電システムからの排熱を有効利用でき、高い発電効率が得られるので、熱交換手段として好適である。さらに、第3の手段は、SOFCの内部発熱が直接、改質流路に伝達され、熱交換に伴うエネルギーロスが少ないので、熱交換手段として特に好適である。改質器用熱交換手段の詳細については、後述する。
改質燃料の種類は、炭素及び水素を含む材料であって、気化させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。改質燃料としては、具体的には、以下のようなものがある。
(a)メタン、エタン、ガソリンなどの炭化水素。
(b)メタノール、エタノールのなどのアルコール。
[1.3. 循環路]
本発明に係る発電システムは、アノード流路から排出されたアノードオフガスを循環ガスとして改質流路に戻す循環路を備えている。
また、循環路には、
(a)循環ガスからCO2ガスを分離するCO2分離器、
(b)循環ガスからH2Oガスを分離するH2O分離器、並びに、
(c)CO2ガス及びH2Oガスが分離された後の循環ガスと、改質流路に新たに供給するための改質燃料とを混合する混合装置
が接続されている。
[1.3.1. 循環率]
「循環ガス」とは、アノード流路から排出されるアノードオフガスの内、改質流路に戻されるガス(すなわち、SOFCの燃料として再利用されるガス)をいう。
「循環率」とは、アノードオフガスの量に対する循環ガスの量の割合をいう。
本発明において、アノードオフガスの循環率は、特に限定されない。一般に、循環率が大きくなるほど、廃棄される未利用燃料が少なくなり、かつ、改質流路内におけるカーボン析出は抑制されるが、濃度分極に起因するセル電圧の低下が大きくなる。そのため、従来の発電システムでは、循環率をあまり大きくすることができない。
これに対し、本発明においては、CO2分離器及びH2O分離器を用いて、循環ガスから不要なCO2ガス及び余分なH2Oガスが除去されるので、セル電圧を著しく低下させることなく、循環率を大きくすることができる。具体的には、循環率を85%以上、90%以上、あるいは、95%以上にすることができる。また、アノードオフガスの全部を循環ガスとして再利用することもできる。
[1.3.2. CO2分離器]
[A. CO2分離器の構造]
CO2分離器は、循環ガスからCO2ガスを分離するためのものである。CO2分離器は、後述するH2O分離器と共に、循環路に接続される。
CO2分離器は、循環ガスからCO2ガスの全部を分離するものでも良く、あるいは、一部を分離するものでも良い。濃度分極によるセル電圧の低下を抑制するためには、CO2分離器は、循環ガスからCO2ガスの全部を分離することが可能なものが好ましい。
ここで、「CO2ガスの全部を分離する」とは、循環ガス中のCO2ガスの分圧が、ある分離条件下での平衡分圧となるまでCO2ガスを分離することをいう。
CO2分離器の構造は、目的とする量のCO2ガスを分離することが可能なものである限りにおいて特に限定されないが、CO2を化学的に吸収/放出可能なCO2吸収材を用いて、CO2の吸収/放出を行うものが好ましい。このようなCO2吸収材は、CO2ガスを吸収する際に発熱を伴い、ガス全体の温度を下げることがないため、エネルギーロスを小さくすることができる。
特に、CO2分離器は、SOFCの作動温度レベルでCO2ガスを吸収/放出可能なCO2吸収材を備えているものが好ましい。さらに、CO2分離器は、SOFCから排出されるカソードオフガス温度でCO2を放出することが可能なCO2吸収材を備えているものが好ましい。このようなCO2吸収材を用いてCO2ガスの吸収/放出を行うと、CO2ガスの吸収/放出に伴う循環ガスの温度変動、並びに、これに伴うエネルギーロスを最小限に抑制することができる。
ここで、「SOFCの作動温度レベル」とは、SOFCの作動温度から作動温度−200℃までの温度範囲をいう。
[B. CO2吸収材]
SOFCの作動温度レベルでCO2を吸収/放出可能なCO2吸収材としては、例えば、高温溶融塩がある。1族元素(M=Li+、Na+、K+、Rb+など)、又は2族元素(2M=Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+など)によるCO2の吸収/放出が可能な反応系としては、例えば、以下のようなものがある。但し、Aは、Si、Ti、Zrなどを表す。
(a)M4AO4+CO2 ⇔ M2AO3+MCO3
(b)M2AO3+CO2 ⇔ M2AO2+MCO3
これらの中でも、Li2ZrO3、及びLi4SiO4は、SOFCと同じ温度レベル(600〜750℃)でCO2を吸収/放出可能であるので、CO2吸収材として好適である。特に、Li4ZrO4は、CO2分離器の小型化や軽量化が可能であるので、CO2吸収材として好適である。
Li4SiO4のCO2吸収/放出反応は、次式で表される。この場合、CO2放出は700〜850℃、CO2吸収は400〜600℃で行われる。
Li4SiO4+CO2 ⇔ Li2SiO3+Li2CO3+75kJ/mol_CO2
[C. CO2分離器の数]
循環路に接続されるCO2分離器の数は、特に限定されない。例えば、循環路に、1個のCO2分離器を接続しても良く、あるいは、2個以上のCO2分離器を並列又は直列に接続しても良い。
[D. 切替作動手段]
循環路に、2個以上のCO2分離器を並列に接続する場合、少なくとも1つのCO2分離器(A)を循環路に接続し、循環ガスに含まれるCO2ガスを吸収させている間に、少なくとも1つの他のCO2分離器(B)を循環路から切り離し、吸収したCO2ガスを放出させる切替作動手段をさらに備えているのが好ましい(図4参照)。
CO2分離器により吸収可能なCO2ガスの吸収量には、限界がある。そのため、1個のCO2分離器のみが循環路に接続されている場合、CO2吸収能が限界に達した時に発電システムを停止させ、CO2分離器を再生させる必要がある。
これに対し、2個以上のCO2分離器と切替作動手段とを備えている場合には、発電システムを停止させることなく、CO2の吸収とCO2分離器の再生とを同時に行うことができる。
切替作動手段を備えた発電システムにおいて、各CO2分離器は、200〜300℃の温度スウィング幅で吸収/放出を繰り返す(図4の左下図、及び中央下図参照)。そのため、反応容器、CO2吸収材料の熱容量による温度応答遅れに起因するCO2吸収/放出反応の遅れが発生する(図4の右下図参照)。これにより、一時的に循環路内のCO2濃度が上昇する。しかし、CO2吸収時間内に発生するCO2を完全に吸収することができるので、系内の循環ガス量の増大を抑制しつつ、連続的な運転が可能となる。
[1.3.3. H2O分離器]
[A. H2O分離器の構造]
2O分離器は、循環ガスからH2Oガスを分離するためのものである。H2O分離器は、上述したCO2分離器と共に、循環路に接続される。
2O分離器は、循環ガスからH2Oガスの全部を分離するものでも良く、あるいは、一部を分離するものでも良い。循環ガスは、熱交換型改質器内において行われる水蒸気改質反応の水蒸気源でもある。そのため、例えば、後述するバイパス路を設けることなく、循環ガスの全部をH2O分離器に供給する場合には、水蒸気改質反応に必要な量のH2Oガスが残るように、循環ガスから一部のH2Oガスを分離するのが好ましい。
一方、H2O分離器とバイパス路とを循環路に並列に接続し、循環ガスを両者に分配する場合には、H2O分離器を通過する循環ガスから、全部のH2Oガスを分離してもよく、あるいは、一部を分離しても良い。
ここで、「H2Oガスの全部を分離する」とは、循環ガス中のH2Oガスの分圧が、ある分離条件下での平衡分圧となるまでH2Oガスを分離することをいう。
2O分離器の構造は、目的とする量のH2Oガスを分離することが可能なものである限りにおいて特に限定されない。H2O分離器は、通常、循環ガスと冷媒との間で熱交換を行うことにより、水蒸気を凝縮させる。
2O凝縮器において熱交換を行うための冷媒としては、例えば、
(a)外部から独立に供給される大気、
(b)SOFCに供給するためのカソード用空気(H2O凝縮器用熱交換手段)、
などがある。
特に、SOFCに供給するためのカソード用空気を用いてH2Oガスの凝縮を行う方法は、発電システムからの排熱を有効利用でき、高い発電効率が得られるので、熱交換方法として好適である
[B. H2O分離器の数]
循環路に接続されるH2O分離器の数は、特に限定されない。例えば、循環路に、1個のH2O分離器を接続しても良く、あるいは、2個以上の2O分離器を並列又は直列に接続しても良い。
[C. 接続順序]
2O分離器とCO2分離器の接続順序は、特に限定されないが、循環ガスの流れの上流側にCO2分離器を接続し、下流側にH2O分離器を接続するのが好ましい。水蒸気を分離する場合、ガス全体の温度を下げて、水蒸気を凝縮させる必要がある。その際、不要なCO2ガスを多量に含んだ状態でガスの温度を下げると、エネルギーロスが大きくなる。そのため、先にCO2ガスを分離し、次いでH2Oガスの分離を行うのが好ましい。
[D. 循環S/C比]
上述したように、循環ガスは、改質流路内において行われる水蒸気改質反応の水蒸気源でもある。そのため、H2O分離器は、改質流路内における水蒸気/カーボン比(循環S/C比)が所定の範囲となるように、循環ガスからH2Oガスを分離することが可能なものであれば良い。
ここで、「循環S/C比」とは、SOFCに新たに供給される改質燃料に含まれる炭素のモル数に対する、CO2ガス及びH2Oガスの分離が終了した後の循環ガスに含まれる水蒸気のモル数の比をいう。循環S/C比を算出するに際しては、循環ガス中に含まれる炭素量は考慮されない。
一般に、循環S/C比が小さくなるほど、改質流路内においてカーボンが析出しやすくなる。従って、循環S/C比は、カーボン析出を抑制することが可能な下限値(L)以上が好ましい。このような下限値(L)は、改質燃料の種類により異なる。例えば、改質燃料がガソリンである場合、下限値(L)は、2である。一方、改質燃料がアルコールである場合、下限値(L)は、4〜5である。
一方、循環S/C比が大きくなりすぎると、水蒸気改質反応に消費されなかったH2OガスがそのままSOFCに供給され、濃度分極によるセル電圧の低下を招く。従って、循環S/C比は、濃度分極によるセル電圧の低下率が理論起電力の12%以下となるような値以下が好ましい。循環S/C比は、カーボン析出が抑制される限りにおいて、低いほど良い。
このような上限値は、改質燃料の種類、SOFCの運転条件、発電システムに要求される特性などにより異なる。通常、循環S/C比が5以下であれば、著しいセル電圧の低下を抑制することができる。
[E. バイパス路及び分配装置]
循環路には、
2O分離器の上流側にある循環路と下流側にある循環路とを直接繋ぐバイパス路と、
循環ガスをバイパス路とH2O分離器に分配する分配装置と
をさらに備えていても良い。
分配装置としては、例えば、開度により循環ガスの分配率を任意に制御可能な流量制御バルブなどがある。
2O分離器に分配された循環ガスは、水蒸気の凝縮に伴い、温度が低下する。一方、バイパス路に分配された循環ガスは、そのまま通過するため、温度低下がほとんどない。そのため、予め定められた分配率で循環ガスをバイパス路とH2O分離器に分配し、H2O分離器に分配された循環ガスからH2Oガスの全部を分離し、その後に分配された循環ガスを合流させると、エネルギーロスを最小限に抑制しながら、循環S/C比を容易に一定の値に保つことができる。
[1.3.4. 混合装置]
混合装置は、CO2ガス及びH2Oガスが分離された後の循環ガスと、改質流路に新たに供給するための改質燃料とを混合するためのものである。このような機能を備えている限りにおいて、混合装置の構造は、特に限定されない。
混合装置としては、例えば、エゼクタ、高温循環ポンプ、高温ブロア、ターボコンプレッサなどがある。特に、エゼクタは、
(a)小型で、可動部分がない、
(b)SOFCの作動温度レベルで循環ガスを改質流路に戻すことができるので、ガスエンタルピの損失が抑えられ、システム効率の低下を抑制することができる、
などの利点がある。そのため、エゼクタは、混合装置として好適である。
[1.4. 熱交換手段]
上述した構成を備えた発電システムにおいて、発電時に様々な部分で熱の吸収又は放出が起こる。放出された熱は、そのまま外気に廃棄し、吸収される熱は、外部熱源から供給しても良い。しかし、発電効率を向上させるためには、放出される熱を熱交換手段を用いて回収し、吸熱を伴う部位で再利用するのが好ましい。このような熱交換手段としては、以下のようなものがある。以下の熱交換手段は、物理的に可能な限りにおいて、2種以上を組み合わせて用いることができる。
[1.4.1. 改質器用熱交換手段]
「改質器用熱交換手段」とは、固体酸化物型燃料電池と改質流路との間の熱交換によって、固体酸化物型燃料電池の発電に伴う内部発熱を改質流路に供給し、改質流路内での水蒸気改質反応を行わせるための手段をいう。
SOFCの作動温度は、通常、改質器の作動温度と同等以上である。そのため、改質器用熱交換手段を用いてSOFCの内部発熱を改質流路に伝達すれば、外部熱源から熱の供給を受けることなく、水蒸気改質反応を継続することができる。
SOFC−改質流路間の熱交換を効率よく行うためには、
(a)単セルと改質流路とを交互に積層し、
(b)改質流路とアノード流路及び/又はカソード流路とを熱的に接続する
のが好ましい。
このような構造を備えたSOFCは、SOFCの内部発熱を利用して改質(内部改質型)を行い、かつ、改質触媒が担持された改質流路とSOFCのアノードが分離(間接改質型)している燃料電池、すなわち「間接内部改質型燃料電池」である。
間接内部改質型燃料電池の場合、具体的には、
(a)改質流路、アノード流路及びカソード流路の材料として、それぞれ、高熱伝導率材料(例えば、Cu合金、Al合金など)を用い、
(b)各流路内に、それぞれ、高熱伝導率材料からなる多数の伝熱隔壁、伝熱フィン、伝熱リブなどを設け、
(c)改質流路とアノード流路との間、及び改質流路とカソード流路との間を、熱伝達が可能な手段(例えば、溶接、ロウ付けなど)を用いて接合・一体化する
のが好ましい。
[1.4.2. CO2分離器用熱交換手段]
「CO2分離器用熱交換手段」とは、CO2吸収材がCO2ガスを吸収する際に発生する吸収熱を回収し、又は、CO2吸収材がCO2ガスを放出する際に必要な吸収熱を発電システムの他の部分から供給するための手段をいう。
例えば、循環路に2個以上のCO2分離器が並列に接続されており、かつ、上述した切替作動手段を備えた発電システムの場合、
(a)循環路に接続されたCO2分離器(A)とカソード流路に供給するためのカソード用空気との間で熱交換を行うことによって、CO2分離器(A)がCO2ガスを吸収する際に放出される吸収熱を用いて、カソード用空気を加熱するCO2分離器用熱交換手段(A)と、
(b)循環路から切り離されたCO2分離器(B)とカソード流路から排出されたカソードオフガスとの間で熱交換を行うことによって、カソードオフガスの顕熱を用いて、CO2分離器(B)からCO2ガスを放出させるCO2分離器用熱交換手段(B)と
をさらに備えているのが好ましい。
従来、カソード用空気をSOFCに供給する場合、改質燃料又はアノードオフガスの一部を燃焼器で燃焼させ、その際の燃焼熱を用いてカソード用空気を加熱していた。しかし、この方法では、エネルギーロスが大きく、高い発電効率は得られない。
これに対し、CO2分離器(A)から放出される吸収熱を用いてカソード用空気の加熱を行うと、カソード用空気の加熱のために消費される燃料を減らすことができる。
また、カソードオフガスは、高温であり、CO2吸収材を再生させるのに十分な熱量を持つ。そのため、カソードオフガスの顕熱を用いてCO2吸収材を再生させると、再生に伴うエネルギーロスを軽減することができる。
[1.4.3. H2O分離器用熱交換手段]
「H2O分離器用熱交換器」とは、循環ガスからH2Oガスを凝縮させる際に放出される凝縮熱を回収し、発電システムの加熱に再利用するための手段をいう。
2O分離器用熱交換手段は、具体的には、H2O分離器とカソード流路に供給するためのカソード用空気との間で熱交換を行うことによって、循環ガスからH2Oガスを凝縮分離させるものが好ましい。
循環ガスとカソード用空気との間で熱交換を行うと、循環ガスからH2Oガスが凝縮分離されると同時に、カソード用空気が加熱される。そのため、カソード用空気の加熱のために消費される改質燃料を減らすことができる。
[1.4.4. 空気用熱交換手段]
「空気用熱交換手段」とは、
CO2分離器用熱交換手段(A)から排出されたカソード用空気と、H2O分離器用熱交換手段から排出されたカソード用空気とを合流させ、
合流させたカソード用空気と、CO2分離器用熱交換手段(B)から排出されたカソードオフガスとの間で熱交換を行うことによって、カソード用空気をさらに加熱するための手段をいう。
SOFCから排出されたカソードオフガスは多量の熱を持つため、CO2分離器用熱交換手段(B)により熱の一部が奪われた後であっても、カソードオフガスには、かなりの熱が残存している。この残存熱を用いてカソード用空気をさらに加熱することができる。
[2. 具体例]
[2.1. 第1の実施の形態]
[2.1.1. 構成]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る発電システムの模式図を示す。図1において、発電システム10aは、SOFC12aと、熱交換型改質器14aと、循環路16とを備えている。
SOFC12aは、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セル(図示せず)を備えている。SOFC12aのアノード流路の入口は、熱交換型改質器14aの改質流路(図示せず)の出口に接続され、アノード流路の出口は、循環路16に接続されている。また、SOFC12aのカソード流路の入口は、カソード用空気の供給源(図示せず)に接続され、カソード流路の出口は、熱交換型改質器14aの熱交換器(図示せず)の入口に接続されている。さらに、熱交換型改質器14aの改質流路の入口は、改質燃料供給源(図示せず)から改質燃料を供給するための燃料流路32に接続されている。
循環路16の一端は、SOFC12aのアノード流路の出口に接続され、他端は、燃料流路32に接続されている。
循環路16には、CO2分離器18及びH2O分離器20が接続されている。図1に示す例の場合、循環ガスの流れの上流側にCO2分離器18が接続され、下流側にH2O分離器20が接続されている。H2O分離器20の上流側にある循環路16と下流側にある循環路16とは、バイパス路22により直接繋がれている。H2O分離器20の上流側にある循環路16とバイパス路22との分岐点には、流量制御バルブ24が接続されている。流量制御バルブ24は、循環ガスをバイパス路22とH2O分離器20に分配するための分配装置である。
さらに、循環路16と、燃料流路32との結合点には、エゼクタ26が接続されている。エゼクタ26は、CO2ガス及びH2Oガスが分離された後の循環ガスと、熱交換型改質器14aの改質流路に新たに供給するための改質燃料とを混合するための混合装置である。
[2.1.2. 発電方法]
図1に示す発電システム10aを用いた発電は、以下のようにして行われる。
すなわち、所定の温度に加熱された熱交換型改質器14aの改質流路に改質燃料(及び、循環ガスに含まれる水蒸気)が供給されると、熱交換型改質器14a内において水蒸気改質反応が起こり、H2及びCOを主成分とする改質ガスが生成する。
生成した改質ガスをSOFC12aのアノード流路に供給すると同時に、空気をカソード流路に供給すると、SOFC12a内で電極反応が進行する。その結果、アノード流路から、未利用燃料、並びに、反応生成物であるH2Oガス及びCO2ガスを含むアノードオフガスが排出される。
アノード流路から排出されたアノードオフガスは、循環ガスとして循環路16に供給される。CO2分離器18では、循環ガスに含まれるCO2ガスの全部又は一部が除去される。CO2ガスは循環させる必要がないので、CO2ガスの全部を除去するのが好ましい。次いで、CO2ガスが除去された後の循環ガスは、流量制御バルブ24により、所定の分配率でH2O分離器20及びバイパス路22にそれぞれ分配される。
2O分離器20では、分配された循環ガスに含まれるH2Oガスの全部又は一部が除去される。循環S/C比は、H2O分離器20におけるH2Oガスの除去率で制御することもできるが、流量制御バルブ24による分配率で制御することもできる。制御を容易化するには、H2O分離器20でH2Oガスの全部を除去し、循環S/C比を流量制御バルブ24による分配率で制御するのが好ましい。
2O分離器20及びバイパス路22を通過した循環ガスは、H2O分離器20の下流側で合流し、エゼクタ26に供給される。エゼクタ26に供給された循環ガスは、圧力差によって吸引され、改質燃料供給源から新たに供給される改質燃料と混合される。エゼクタ26で混合された燃料は、再び熱交換型改質器14aの改質流路に供給される。混合燃料には、所定量のH2Oガスが含まれているので、外部からH2Oを供給することなく、水蒸気改質反応を継続することができる。
[2.1.3. 効果]
[A. H2OとCO2のFC作動温度レベルでの分離]
熱交換型改質器14aにより改質燃料から変換された改質ガスは、H2及びCOを多く含む。SOFC12aのカソードに供給された改質ガスは、アノードにおいて、カソードから伝導した酸化物イオンと反応し、H2O及びCO2を生成する。アノードから排出されるアノードオフガスは、生成ガス(H2O、CO2)と発電に利用されない燃料ガス(H2、CO、CH4など)との合成ガスであり、その組成は燃料利用率で決まる。
アノードオフガスがエゼクタ26に供給されると、エゼクタ26により、改質燃料ガスの運動エネルギーが、改質燃料ガスと循環ガス(アノードオフガス)との圧力差(圧力エネルギー)に変換される。その結果、循環ガスは、改質燃料ガスに吸引され、熱交換型改質器14aに供給される。これにより、高温循環ポンプが不要となり、未利用燃料の再利用が可能となる。また、発電により生成したH2Oを改質原料として利用可能となるため、改質原料用水タンクが不要となる。
さらに、SOFC12aの作動温度レベルでガスを循環させることができるので、ガスエンタルピの損失が抑えられ、システム効率の低下を抑制することができる。
SOFC12aは、燃料ガス(H2、CO)の化学エネルギーから熱エネルギー(TΔS:Tは温度(K)、ΔSはエントロピー変化)を差し引いた自由エネルギー分を理想的な電気エネルギーとして取り出すことが可能である。一方、FC作動条件(ガス濃度、圧力、温度、電流密度、電極・電解質材料)に依存する濃度分極による損失、活性化分極による損失、電気抵抗による損失が生じるため、外部回路に取り出せる電気エネルギーは、自由エネルギー分より減少する。
これに対し、循環ガスからCO2及びH2Oを分離することにより循環ガス中のCO2分圧及びH2O分圧を低下させると、循環ガス中の化学エネルギーを系外に放出することなく、循環ガス量の増加及び濃度分極によるセル電圧の低下を抑えることができる。
さらに、
(a)循環ガス中のCO2ガス及びH2OガスをFC作動温度レベルで分離すると同時に、
(b)循環S/C比がカーボン析出条件以上(ガソリンの場合は、S/C≧2)となるようにH2O分離器20を制御することで、
循環ガスのエンタルピ損失を抑制し、かつ、改質流路内でのカーボン析出を抑制することが可能となる。
同時に、ガス分離+アノードオフガス循環システムでは、系外に放出されるエネルギーを最小にすることができるため、FC燃料利用率を任意に設定することが可能となる。本発明では、低燃料利用率運転により、発電に伴い生成されるH2Oガス及びCO2ガスの濃度分極による発電損失をさらに抑制することができる。そのため、熱・化学エネルギーの有効利用だけでなく、発電損失を軽減することで、システムの高効率化が可能となる。
[B. バイパス路を用いた循環ガスの分配]
2O凝縮器20の両端をバイパス路22で直接繋ぎ、分岐側に流量制御バルブ24を接続すると、流量制御バルブ24により、バイパス路22を流れる循環ガス(主流ガス)の量とH2O凝縮器20を流れる循環ガス(分岐ガス)の量の比を任意に制御することができる。分岐ガスは、H2O凝縮器20において、凝縮分離によりH2Oが液体として除去された後、主流ガスと合流する。
そのため、流量制御バルブ24で分岐ガスの量を制御することによって、合流後の循環ガスの循環S/C比をカーボン析出条件以上となるように制御することができる。すなわち、水蒸気改質反応に対して必要最小限の水蒸気量を循環させることができる。これにより、H2O凝縮器20を流れる不凝縮性ガス(H2、COなど)の再合流時における顕熱ロスが最小となり、改質流路内のカーボン析出が抑制され、かつ、FCの濃度分極によるセル電圧の低下を抑制することができる。
[2.2. 第2の実施の形態: 間接内部改質型燃料電池]
[2.2.1. 構成]
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る発電システムの断面模式図を示す。図2において、発電システム10bは、SOFC12bと、改質流路(熱交換型改質器)14bと、循環路16とを備えている。循環路16には、CO2分離器18、H2O分離器20、バイパス路22、及び流量制御バルブ24が接続されている。また、循環路16と燃料流路32の結合点には、エゼクタ26が接続されている。
これらの内、SOFC12b及び改質流路(熱交換型改質器)14b以外の構成要素については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
図3に、本実施の形態に係るSOFC及び改質流路の模式図を示す。本実施の形態において、SOFC12b及び熱交換型改質器は、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セル30と、改質流路14bとが交互に積層された構造を備えている。
改質流路14b、アノード流路、及びカソード流路は、それぞれ、平板フィン(伝熱隔壁、伝熱フィン)付きプレートで構成されている。また、改質流路14bとアノード流路との間、及び改質流路14bとカソード流路との間は、それぞれ、互いに熱伝達が可能となるように、一体的に接合されている。すなわち、図2及び図3において、SOFC12は、間接内部改質型燃料電池である。
[2.2.2. 発電方法]
図2及び図3に示す発電システム10bを用いた発電は、以下のようにして行われる。
すなわち、SOFC12bの内部発熱により加熱された改質流路14bに改質燃料(及び、循環ガスに含まれる水蒸気)が供給されると、改質流路14b内において水蒸気改質反応が起こり、H2及びCOを主成分とする改質ガスが生成する。
生成した改質ガスをSOFC12bのアノード流路に供給すると同時に、空気をカソード流路に供給すると、SOFC12b内で電極反応が進行する。その結果、アノード流路から、未利用燃料、並びに、反応生成物であるH2Oガス及びCO2ガスを含むアノードオフガスが排出される。
以下、第1の実施の形態と同様にして、循環ガスの処理(すなわち、CO2ガスの分離、H2Oガスの分離、及び循環S/C比の制御)が行われる。
[2.2.3. 効果]
燃料電池では、電気エネルギーとして取り出すことが不可能な熱エネルギー(TΔS)の他、発電に伴い電池内部で発生する各損失に起因する熱を生じる。直接型FCでは、改質触媒を担持させたアノードにおいて、改質燃料が改質され、改質ガスに変換される。同時に、アノードでは、生成した改質ガスとカソードから伝導する酸化物イオンとが反応し、発熱する。直接型FCでは、この発熱を水蒸気改質反応(吸熱反応)に利用することができる。しかし、改質反応により生成されるカーボンは、アノードを被毒し、電極活性を著しく低下させるおそれがある。
これに対し、改質流路14b、アノード流路、及びカソード流路を高熱伝導率材料で構成すると同時に、改質流路14bをアノード流路とカソード流路で挟むことで、アノードでの電極反応と水蒸気改質反応とを独立に制御することができる。また、これによって、アノードへのカーボン析出が回避される。
さらに、電解質・電極接合体で発生した熱がカソード流路及びアノード流路の伝熱隔壁を経由して改質流路14b内の改質触媒に供給される。これにより、電極反応と改質反応とが同じ温度レベルで進行し、熱交換によるエネルギーロスが軽減されるので、高効率システムを実現することができる。
[2.3. 第3の実施の形態: 切替作動手段]
[2.3.1. 構成]
図4に、本発明の第3の実施の形態に係る発電システムの断面模式図を示す。図4において、発電システム10cは、SOFC12cと、熱交換型改質器14cと、循環路16とを備えている。
SOFC12cのアノード流路の入口は、熱交換型改質器14cの改質流路(図示せず)の出口に接続され、アノード流路の出口は、循環路16に接続されている。循環路16には、2個の切替バルブ28、30が設けられ、切替バルブ28−切替バルブ30間には、CO2分離器(A)18a及びCO2分離器(B)18bが並列に接続されている。切替バルブ28、30は、CO2分離器(A)18a又はCO2分離器(B)18bの一方を循環路16に接続している間に、他方を循環路16から切り離すためのものである(切替作動手段)。図4においては、切り離された状態が破線で表示されている。
切替バルブ30の下流側には、流量制御バルブ24及びH2O分離器20がこの順で接続されている。H2O分離器20の両端(図4に示す例では、流量制御バルブ24の入口側とH2O分離器20の出口側)は、バイパス路22で繋がれている。さらに、循環路16の末端には、エゼクタ26が接続されている。エゼクタ26は、改質燃料を供給するための燃料流路32に接続され、燃料流路32の末端は、熱交換型改質器14cの改質流路の入口側に接続されている。
SOFC12cのカソード流路の出口は、切替バルブ36に接続されている。切替バルブ36は、SOFC12cのカソードから排出されるカソードオフガスを、CO2分離器(A)18a又はCO2分離器(B)18bのいずれか一方の熱交換器(図示せず)に供給するためのものである。切替バルブ36を介してCO2分離器(B)18b(又は、CO2分離器(A)18a)に供給されたカソードオフガスは、CO2分離器(B)18bからCO2ガスを放出させるため、すなわち、CO2吸収材を再生させるために用いられる(CO2分離器用熱交換手段(B))。
熱交換器34(空気用熱交換手段)は、CO2分離器(B)18bに対してCO2ガスを放出する際に必要な放出熱を供給した後のカソードオフガス顕熱を用いて、カソード用空気をさらに加熱するためのものである。具体的には、熱交換器34は、
(a)CO2分離器(A)18aがCO2ガスを吸収する際に発生する吸収熱を回収したカソード用空気(CO2分離器用熱交換手段(A))と、H2O分離器20がH2Oガスを凝縮させる際に発生する凝縮熱を回収したカソード用空気(H2O分離器用熱交換手段)とを合流させたガス(低温熱交換媒体)と、
(b)CO2分離器(B)18bに対してCO2ガスを放出する際に必要な放出熱を供給した後のカソードオフガス(高温熱交換媒体)と
の間で熱交換を行うことが可能な構造を備えている。熱交換器34のカソード用空気の出口は、SOFC12cのカソード流路の入口に接続されている。
なお、切替バルブ28、30により、CO2分離器(B)18bが循環路16に接続された場合には、同時に、熱交換器34はCO2分離器(A)18aに接続され、CO2分離器(A)18aから排出されるカソードオフガスの顕熱を用いて、カソード用空気のさらなる加熱が行われる。
また、H2O分離器20を用いて循環ガスを冷却する場合、冷媒には、外気を用いても良く、あるいは、カソード用空気を用いても良い。すなわち、図4に示すように、H2O分離器20は、H2O分離器20とカソード用空気との間で熱交換を行うことによって、循環ガスからH2Oガスを凝縮分離させる手段(H2O分離器用熱交換手段)を備えていても良いが、これを省略することもできる。
さらに、CO2分離器(B)18b(又は、CO2分離器(A)18a)の再生に使用された後のカソードオフガスは、図4に示すように、カソード用空気のさらなる加熱に再利用しても良く、あるいは、そのまま廃棄してもよい。すなわち、空気用熱交換手段は、省略することもできる。
[2.3.2. 発電方法]
図4に示す発電システム10cを用いた発電は、以下のようにして行われる。
すなわち、所定の温度に加熱された熱交換型改質器14cの改質流路に改質燃料(及び、循環ガスに含まれる水蒸気)が供給されると、熱交換型改質器14cの改質流路内において改質ガスが生成する。生成した改質ガスをSOFC12cのアノード流路に供給すると同時に、空気をカソード流路に供給すると、SOFC12c内で電極反応が進行し、アノード流路からアノードオフガスが排出される。
次に、アノード流路から排出されたアノードオフガスは、切替バルブ28を介してCO2分離器(A)18aに供給される。CO2分離器(A)18aでは、循環ガスに含まれるCO2ガスの全部又は一部が除去される。この時、CO2分離器(A)18aでは、吸収熱が放出される。この吸収熱は、カソード用空気の加熱に用いられる。CO2分離器(A)18aで加熱されたカソード用空気は、熱交換器34に供給される。
CO2分離器(A)から排出されたアノードオフガスは、一部がH2O分離器20に分配され、そこでH2Oガスの全部が除去される。この時、H2O分離器20では、凝縮熱が放出される。この凝縮熱は、別のカソード用空気の加熱に用いられる。H2O分離器(A)で加熱されたカソード用空気は、熱交換器34に供給され、CO2分離器(A)18aで加熱されたカソード用空気と合流する。
一方、循環路16から切り離されているCO2分離器(B)18bには、切替バルブ36を介してカソードオフガスが供給される。CO2分離器(B)18bでは、カソードオフガスの顕熱を用いて、CO2吸収材の再生が行われる。さらに、CO2分離器(B)18bから排出されたカソードオフガスは、熱交換器34に供給され、カソード用空気のさらなる加熱に利用される。熱交換器34から排出されたカソード用空気は、SOFC12cのカソード流路に供給される。
この状態で発電を継続した結果、CO2分離器(A)18aのCO2吸収能が低下した時には、CO2分離器(A)18aを循環路16から切り離すと同時に、CO2分離器(B)18bを循環路16に接続する。以下、同様にして、CO2分離器(A)18aとCO2分離器(B)18bを交互に切替作動させると、発電システム10cを停止させることなく、CO2ガスの吸収及び放出を行うことができる。
[2.3.3. 効果]
[A. 切替作動手段]
高温でCO2を吸収/放出可能な材料を充填した熱交換型のCO2分離器において、吸収時には、CO2吸収により発生する熱を媒体(低温ガス)と熱交換し、CO2吸収材を冷却する。これにより、CO2吸収材の温度を吸収反応速度が比較的速い温度領域にすることができる。一方、放出時には、媒体(高温ガス)との熱交換により、CO2放出に必要な熱をCO2吸収材に吸収させ、CO2吸収材を加熱する。これにより、CO2吸収材の温度を放出反応速度が比較的速い温度域にすることができる。
本実施の形態では、アノード流路の出口において、切替バルブ28、30を介してCO2分離器(A)18a及びCO2分離器(B)18bが並列に接続されている。そのため、一方を循環路16に接続し、CO2の吸収及び媒体によるCO2吸収材の冷却を行うと同時に、他方を循環路16から切り離し、CO2の放出及び媒体によるCO2吸収材の加熱を行うことができる。また、このような吸収/放出を交互に行うことで、連続的なCO2の吸収/放出が可能となる。
[B. CO2分離器用熱交換手段]
循環ガス中のCO2を高温で吸収すると同時に、CO2吸収材とカソード用空気との間で熱交換すると、CO2吸収反応の温度を反応速度の速い温度域(400〜650℃)にすることができる。また、これと同時に、常温で流入するカソード用空気を加熱することができる。そのため、吸収反応熱がガス顕熱上昇分として有効利用され、システム効率が向上する。
一方、CO2を吸収したCO2吸収材は、カソード流路から排出される高温のカソードオフガスと熱交換することにより、吸収したCO2を高温で放出することができる。これにより、カソードオフガスとの熱交換を利用した熱回収・利用型の連続バッチ作動式のCO2分離が可能となり、システム効率が向上する。
[C. H2O分離器用熱交換手段]
2O分離器20では、H2Oガスが凝縮分離されると同時に、蒸発潜熱(温熱)が発生する。そこで、熱交換型のH2O分離器20にカソード用空気を流し、これと循環ガスとを熱交換させると、循環ガス中のH2Oガスを凝縮分離することができる。また、これと同時に、蒸発潜熱をカソード用空気により回収することができる。これにより、連続的なH2O分離と、システム効率の向上が可能となる。
[D. 空気用熱交換手段]
CO2分離器(A)18aでCO2吸収熱と熱交換されたカソード用空気と、H2O分離器20で凝縮熱と熱交換されたカソード用空気とを合流させる。次いで、この合流ガスとCO2分離器(B)18bでCO2放出熱と熱交換されたカソードオフガスとを熱交換させると、カソード用空気の加熱に要するエネルギーが顕熱上昇分だけ軽減される。その結果、系外に放出されるロス分(カソードオフガス顕熱)が抑制され、システム効率が向上する。
[1. 試験方法]
本発明に係る発電システム及び従来型の発電システムについて、システム効率をシミュレーションにより求めた。SOFCのアノード、カソード、及び電解質膜の材料には、それぞれ、Ni−YSZ、LaSrMnO3、及びYSZを選択した。また、各材料の厚み及び抵抗率については、表1に記載の値を用いた。
Figure 2017091630
SOFCの起電力V及び発電出力Wは、それぞれ、以下の(1)式及び(2)式から求めた。
起電力V=Vth−Vact−Vohn ・・・(1)
発電出力W=V・Je ・・・(2)
(1)式中、Vthは理論起電力から濃度分極による起電力低下を差し引いた値(Nerunst式)、Vactは活性化分極による起電力低下(Tafel式)、Vohmは抵抗分極による起電力低下(参考文献1)である。Vth、Vact、及びVohmは、それぞれ、以下の(3)〜(5)式で表される。また、(2)式中、Jeは、電流密度である。
[参考文献1] Jack Winnick et al., J.Electochem.Soc, Vol.142(11)1995
Figure 2017091630
[2. 結果]
[2.1. CO2及びH2Oの分離の有無の影響]
[2.1.1. CO2及びH2Oの分離なし]
図5に、アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離することなく循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及び水蒸気/カーボン比に及ぼす循環率の影響、及び(b)アノードオフガスエネルギー/投入燃料比に及ぼす循環率の影響を示す。燃料利用率Ufは、0.75とした。図4中、「循環H2LHV(循環COLHV)」は、循環H2ガス(循環COガス)の低位発熱量である。
循環無しの場合、発電効率は、42.4%であった。一方、CO2及びH2Oの分離なし、かつ、循環有りの場合、循環率を0.5〜0.8とすると、発電効率は56.3〜61.2%に向上した。循環率が小さくなるほど、循環S/C比が低下し、循環率が0.6以下になると、循環S/C比は、2未満となった。一方、循環率が大きくなるほど、循環S/C比は大きくなるが、アノードオフガスエネルギ−/投入燃料比(すなわち、エネルギーロス)が増大した。その結果、循環率が0.7の時に、最大発電効率61.2%が得られた。
図6に、アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離することなく循環ガスとして再利用したときの、(a)循環ガス流量に及ぼす循環率の影響、及び(b)起電力に及ぼす循環率の影響を示す。燃料利用率Ufは、0.75とした。
低循環率(≦0.6)では、循環ガス中のH2O量が少ないため、H2+CO流量が減少した。そのため、循環S/C比が2未満となり、カーボンが析出するおそれがある。さらに、H2O不足により、メタネーション反応が促進されるおそれがある。一方、循環率を増加させると、循環ガス中のH2O及びCO2量が増大し、濃度分極による損失が拡大した。
以上の結果から、アノードオフガス循環だけでは、高効率(≧70%)を実現できないことがわかった。
[2.1.2. CO2及びH2Oの分離あり]
図7に、アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及びCO2循環ガス量に及ぼすCO2分離率の影響、及び(b)起電力に及ぼすCO2分離率の影響を示す。循環率は100%、H2O分離率は循環S/C比が2となる値、燃料利用率Ufは0.95とした。
CO2分離率が大きくなるほど、発電効率が向上した。これは、CO2分離率が大きくなるほど、CO2の濃度分極による発電ロスが軽減されるためである。
[2.2. 循環S/C比の影響]
図8に、アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及びH2O循環ガス量に及ぼす循環S/C比の影響、及び(b)起電力に及ぼす循環S/C比の影響を示す。循環率は100%、CO2分離率は100%、燃料利用率Ufは0.95とした。
循環S/C比が大きくなるほど、発電効率が低下した。これは、循環S/C比が大きくなるほど、H2Oの濃度分極による発電ロスが拡大するためである。従って、循環S/C比は、カーボンが析出しない条件(ガソリンの場合は、S/C≧2)である限りにおいて、小さい程良いことがわかった。
[2.3. 燃料利用率の影響]
図9に、アノードオフガスからCO2及びH2Oを分離したものを循環ガスとして再利用したときの、(a)発電効率及び投入燃料量に及ぼす燃料利用率の影響、及び(b)起電力に及ぼす燃料利用率の影響を示す。循環率は100%、CO2分離率は100%、循環S/C比は2とした。
ガス循環を行わない場合、一般に、燃料利用率が小さくなるほど、発電効率が低下する。一方、ガス循環を行う場合、燃料利用率が小さくなるほど、発電効率は向上した。これは、ガス循環により未利用燃料が少なくなると同時に、電極反応に伴うH2O及びCO2の生成反応が抑制され、濃度分極が軽減されるためである。燃料利用率を0.55とした場合、発電効率は74.9%まで向上すると予想される。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る発電システムは、車載動力源、定置型小型発電器などに用いることができる。
10a 発電システム
12a 固体酸化物型燃料電池(SOFC)
14a 熱交換型改質器
16 循環路
18 CO2分離器
20 H2O分離器
22 バイパス路
24 流量制御バルブ(分配装置)
26 エゼクタ(混合装置)
32 燃料流路

Claims (12)

  1. 以下の構成を備えた発電システム。
    (1)前記発電システムは、
    アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた固体酸化物型燃料電池と、
    炭素及び水素を含む改質燃料を改質流路内で改質し、得られた改質ガスを前記アノード流路に供給する熱交換型改質器と、
    前記アノード流路から排出されたアノードオフガスを循環ガスとして前記改質流路に戻す循環路と
    を備えている。
    (2)前記循環路には、
    前記循環ガスからCO2ガスを分離するCO2分離器と、
    前記循環ガスからH2Oガスを分離するH2O分離器と、
    前記CO2ガス及び前記H2Oガスが分離された後の前記循環ガスと、前記改質流路に新たに供給するための前記改質燃料とを混合する混合装置と
    が接続されている。
    (3)前記H2O分離器は、前記改質流路内における水蒸気/カーボン比(循環S/C比)が、前記改質流路内におけるカーボンの析出が抑制され、かつ、濃度分極によるセル電圧の低下率が理論起電力の12%以下となるように、前記循環ガスからH2Oガスを分離することが可能なものからなる。
  2. 循環率(=前記アノードオフガスの量に対する前記循環ガスの量の割合)が85%以上である請求項1に記載の発電システム。
  3. 前記循環ガスの流れの上流側に前記CO2分離器が接続され、下流側に前記H2O分離器が接続されている請求項1又は2に記載の発電システム。
  4. 前記H2O分離器の上流側にある前記循環路と下流側にある前記循環路とを直接繋ぐバイパス路と、
    前記循環ガスを前記バイパス路と前記H2O分離器に分配する分配装置と
    をさらに備え、
    前記H2O分離器は、前記H2O分離器に分配された前記循環ガスからH2Oガスの全部を分離するものからなる請求項1から3までのいずれか1項に記載の発電システム。
  5. 前記固体酸化物型燃料電池と前記改質流路との間の熱交換によって、前記固体酸化物型燃料電池の発電に伴う内部発熱を前記改質流路に伝達し、前記改質流路内での水蒸気改質反応を行わせる改質器用熱交換手段をさらに備えた請求項1から4までのいずれか1項に記載の発電システム。
  6. 前記改質器用熱交換手段は、
    前記単セルと前記改質流路とを交互に積層し、
    前記改質流路と前記アノード流路及び/又は前記カソード流路とを熱的に接続したものからなる
    請求項5に記載の発電システム。
  7. 前記H2O分離器と前記カソード流路に供給するためのカソード用空気との間で熱交換を行うことによって、前記循環ガスからH2Oガスを凝縮分離させるH2O分離器用熱交換手段をさらに備えた請求項1から6までのいずれか1項に記載の発電システム。
  8. 前記CO2分離器は、前記固体酸化物型燃料電池から排出されるカソードオフガス温度でCO2ガスを放出することが可能なCO2吸収材を備えている請求項1から7までのいずれか1項に記載の発電システム。
  9. 前記循環路には、2個以上の前記CO2分離器が並列に接続されており、
    少なくとも1つのCO2分離器(A)を前記循環路に接続し、前記循環ガスに含まれるCO2ガスを吸収させている間に、少なくとも1つの他のCO2分離器(B)を前記循環路から切り離し、吸収したCO2ガスを放出させる切替作動手段をさらに備えている請求項1から8までのいずれか1項に記載の発電システム。
  10. 前記CO2分離器(A)と前記カソード流路に供給するためのカソード用空気との間で熱交換を行うことによって、前記CO2分離器(A)がCO2ガスを吸収する際に放出される吸収熱を用いて、前記カソード用空気を加熱するCO2分離器用熱交換手段(A)と、
    前記CO2分離器(B)と前記カソード流路から排出されたカソードオフガスとの間で熱交換を行うことによって、前記カソードオフガスの顕熱を用いて、前記CO2分離器(B)からCO2ガスを放出させるCO2分離器用熱交換手段(B)と
    をさらに備えた請求項9に記載の発電システム。
  11. 前記CO2分離器用熱交換手段(A)から排出された前記カソード用空気と、前記H2O分離器用熱交換手段から排出された前記カソード用空気とを合流させ、
    合流させた前記カソード用空気と、前記CO2分離器用熱交換手段(B)から排出された前記カソードオフガスとの間で熱交換を行うことによって、前記カソード用空気をさらに加熱する空気用熱交換手段をさらに備えた請求項10に記載の発電システム。
  12. 前記混合装置は、エゼクタである請求項1から11までのいずれか1項に記載の発電システム。
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