JP6589566B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関し、さらに詳しくは、熱交換型改質器で生成させた改質ガスを用いて燃料電池で発電を行うと同時に、熱交換型改質器からの排熱を化学蓄熱材で回収し、燃料電池の起動に必要なエネルギーとして再利用することが可能な燃料電池システムに関する。
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、電解質として酸化物イオン伝導体が用いられているため、水素や一酸化炭素を燃料ガスとして用いることができる。そのため、SOFCの燃料ガスとして、改質ガスが用いられることが多い。改質ガスは、炭化水素やアルコールなどの改質燃料を水蒸気改質することにより得られるガスであり、水素と一酸化炭素を主成分として含む。
電解質がプロトン伝導体からなる燃料電池においても、改質ガスを燃料として用いることが検討されている。この場合、一酸化炭素は燃料とならず、かつ、アノード表面への炭素の析出、触媒被毒などの原因となる。そのため、水素分離層をアノード表面に形成し、水素分離層を用いて改質ガスから水素のみを分離することが行われている。
しかし、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、反応を継続させるには外部から熱を供給し続ける必要がある。また、改質ガスを燃料電池のアノード流路に供給した場合、改質ガスに含まれる水素や一酸化炭素のすべてが電極反応に消費されず、一部が未利用のままアノード流路から排出される。そのため、燃料電池と改質器との単なる組み合わせからなる燃料電池システムでは、到達可能な発電効率に限界がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、
水素分離膜型燃料電池と、
改質燃料から改質ガスを生成するための改質反応流路に隣接して、改質反応流路の加熱を行うための加熱流路が形成された改質器と
を備えた燃料電池システムにおいて、
(a)燃料電池のアノードオフガス、カソードオフガス、及び、燃料電池の冷却流路から排出される冷却オフガスを加熱流路に供給し、アノードオフガスに含まれる可燃性ガスを燃焼させる方法、及び、
(b)水蒸気を含むカソードオフガスを改質反応流路に供給する方法
が開示されている。
同文献には、
(a)燃料電池から排出される高温のガスを改質器の加熱流路に供給すると、ガスが持つ熱エネルギーを利用して可燃性ガスを燃焼させることができるので、燃料電池システムのエネルギー効率が向上する点、及び、
(b)カソードオフガスは、電極反応により生成した水、及び燃料電池の高温作動による熱量を持っているので、これを用いて改質反応を行うと、燃料電池システムのエネルギー効率が向上する点
が記載されている。
特許文献1に記載されているように、燃料電池から排出される未利用燃料を燃焼させ、その燃焼熱を用いて改質反応を行わせると、燃料電池システムのエネルギー効率を向上させることができる。しかし、特許文献1においては、改質器から排出される高温の燃焼排ガスをそのまま廃棄しているため、エネルギー効率の向上には限界がある。
また、燃料電池は、高効率が得られる適切な温度範囲が存在するため、燃料電池システムの起動時には、発電を行う前に燃料電池を適切な作動温度に加熱する必要がある。従来の燃料電池システムでは、起動時に電気ヒーターや燃料の燃焼熱を用いて燃料電池の加熱を行っていた。しかし、この方法では燃費の向上に限界がある。
特開2005−228524号公報
本発明が解決しようとする課題は、燃料電池及び改質器を備えた燃料電池システムにおいて、システム内で生成する高温のガスがそのまま系外に排出されることに起因するエネルギー効率の低下を抑制することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、燃料電池及び改質器を備えた発電システムにおいて、燃料電池の起動時に生ずるエネルギーロスを低減することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る燃料電池システムは、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記燃料電池システムは、
アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた燃料電池と、
前記燃料電池に改質ガスを供給する熱交換型改質器と、
脱水反応により吸熱し、水和反応により発熱する化学蓄熱材を備えた排熱回収器と、
前記排熱回収器から排出される水蒸気を水として貯蔵し、かつ、貯蔵された水を水蒸気として前記排熱回収器に供給する蒸発凝縮器と、
前記排熱回収器と前記蒸発凝縮器との間の水蒸気の移動を制御する蒸気バルブと、
前記排熱回収器と前記燃料電池とを熱的に接続する熱伝達手段と
を備えている。
(2)前記燃料電池は、水素を燃料として用いることができ、かつ、その定常作動温度が前記熱交換型改質器の定常作動温度以下であるものからなる。
(3)前記熱交換型改質器は、
炭素及び水素を含む改質燃料を改質し、得られた前記改質ガスを前記アノード流路に供給する改質流路と、
前記アノード流路から排出されるアノードオフガスを燃焼させ、その燃焼熱を前記改質流路に伝達する燃焼流路と
を備えている。
(4)前記排熱回収器は、
前記化学蓄熱材が充填された蓄熱流路と、
前記燃焼流路から排出される燃焼排ガスを流すことによって、前記燃焼排ガスの顕熱を前記蓄熱流路に伝達する排ガス流路と
を備えている。
(5)前記蒸発凝縮器は、
前記脱水反応時には前記蓄熱流路から排出される水蒸気を凝縮させ、水として回収し、前記水和反応時には前記水を蒸発させ、前記蓄熱流路に水蒸気を供給する蒸気流路と、
熱交換媒体を流すことによって、前記蒸気流路との間で熱交換を行う媒体流路と
を備えている。
アノードオフガスを燃焼させて水蒸気改質反応に必要な熱を得た後、熱交換型改質器から排出される燃焼排ガスを排熱回収器に供給すると、化学蓄熱材の脱水反応が進行する。その結果、燃焼排ガスの熱エネルギーを化学エネルギーとして蓄えることができる。
また、燃料電池の起動時に排熱回収器に水を供給すると、化学蓄熱材の水和反応が進行する。水和反応の際に放出される熱は、熱伝達手段を介して燃料電池に伝達され、燃料電池の加熱に再利用される。その結果、燃料電池の起動時に生ずるエネルギーロスを低減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの模式図である。 燃料電池及び排熱回収器の構造(独立積層構造)の一例である。 大気を蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖気モードの模式図である。 触媒燃焼排ガスを蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖気モードの模式図である。 媒体流路に触媒燃焼排ガスを流した時の蒸気流路内における蒸気圧力及び蒸気温度、並びに、蓄熱流路内における反応平衡温度の時間変化を示す図である。
排熱回収・蓄熱モードの模式図である。 排熱回収・電池加熱モードの模式図である。 電池作動温度と定常効率との関係を示す図である。 モード切替シーケンスの模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムの模式図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 燃料電池システム]
本発明に係る燃料電池システムは、
アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた燃料電池と、
前記燃料電池に改質ガスを供給する熱交換型改質器と、
脱水反応により吸熱し、水和反応により発熱する化学蓄熱材を備えた排熱回収器と、
前記排熱回収器から排出される水蒸気を水として貯蔵し、かつ、貯蔵された水を水蒸気として前記排熱回収器に供給する蒸発凝縮器と、
前記排熱回収器と前記蒸発凝縮器との間の水蒸気の移動を制御する蒸気バルブと、
前記排熱回収器と前記燃料電池とを熱的に接続する熱伝達手段と
を備えている。
[1.1. 燃料電池]
燃料電池は、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えている。燃料電池は、通常、このような単セルが複数個積層された構造を備えている。
本発明において、燃料電池は、水素を燃料として用いることができ、かつ、その定常作動温度が熱交換型改質器の定常作動温度以下であるものである必要がある。
ここで、「定常作動温度」とは、系が定常状態にあるときの燃料電池又は熱交換型改質器の温度をいう。
熱交換型改質器の作動温度は、運転条件にもよるが、一般に定常発電時には650〜700℃となる。従って、燃料電池は、作動温度が400℃以上600℃以下であるものが好ましい。
このような条件を備えた燃料電池としては、以下のようなものがある。
(1)電解質がプロトン伝導性の酸化物(例えば、Y23・CeO2・ZrO2)からなり、電解質・電極接合体のアノード表面に水素分離層が形成された水素分離膜型燃料電池(HMFC)。
(2)電解質が酸化物イオン伝導性の酸化物(例えば、Y23・ZrO2)からなり、作動温度が400℃以上600℃以下である低温型固体酸化物型燃料電池(SOFC)。
燃料電池がHMFCである場合、燃料電池は、単セルと、燃料電池を冷却するための冷媒を流す冷却流路とが交互に積層された積層構造を備えているものが好ましい。一方、燃料電池が低温型SOFCである場合、冷却流路は、必ずしも必要ではない。これは、低温型SOFCにおいて、熱交換型改質器の燃焼流路に供給する燃焼用空気として、カソードオフガスを利用できるため(すなわち、カソード用空気が低温型SOFCを冷却する冷媒を兼ねているため)である。
[1.2. 熱交換型改質器]
熱交換型改質器は、炭素及び水素を含む改質燃料を改質流路内において改質し、得られた改質ガスをアノード流路に供給するためものもである。
ここで、「熱交換型改質器」とは、改質触媒が担持された改質流路内で改質燃料の水蒸気改質を行う場合において、改質流路と外部熱源との間の熱交換により、水蒸気改質反応に必要な熱量を改質流路に供給する改質器をいう。
本発明において、熱交換型改質器は、改質流路と、改質流路に隣接して設けられた燃焼流路とを備えている。
改質流路は、炭素及び水素を含む改質燃料を改質し、得られた改質ガスをアノード流路に供給するためのものである。水蒸気改質反応を起こすためには、改質流路に水を供給する必要がある。水の供給方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法を用いることができる。
水の供給方法としては、例えば、
(a)別個に設けられた水タンクから、改質燃料と共に水を改質流路に供給する方法、
(b)カソード流路から排出されるカソードオフガスを改質流路に供給し、カソードオフガスに含まれる水蒸気を用いて改質反応を行わせる方法
などがある。高い効率を得るためには、改質用の水蒸気源として、カソードオフガスを用いるのが好ましい。
燃焼流路は、アノード流路から排出されるアノードオフガスを燃焼させ、その燃焼熱を改質流路に伝達するためのものである。燃焼流路内においてアノードオフガスを燃焼させるためには、燃焼流路に酸化剤を供給する必要がある。酸化剤の供給方法は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の方法を用いることができる。
酸化剤の供給方法としては、例えば、
(a)別個に設けられた酸化剤供給源から、燃焼流路に酸化剤(例えば、空気)を供給する方法、
(b)カソードオフガスを燃焼流路に供給し、カソードオフガスに残存する酸素を用いてアノードオフガスを燃焼させる方法、
(c)燃料電池の冷却流路から排出される冷却オフガス(空気)を燃焼流路に供給し、冷却オフガスに含まれる酸素を用いてアノードオフガスを燃焼させる方法、
などがある。高い効率を得るためには、酸化剤源として、カソードオフガス又は冷却オフガスを用いるのが好ましい。
改質燃料の種類は、炭素及び水素を含む材料であって、気化させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。改質燃料としては、具体的には、以下のようなものがある。
(a)メタン、エタン、ガソリンなどの炭化水素。
(b)メタノール、エタノールのなどのアルコール。
[1.3. 排熱回収器]
排熱回収器は、
(a)脱水反応により吸熱し、水和反応により発熱する化学蓄熱材を用いて、
(b)脱水反応により、定常発電時に熱交換型改質器から排出される熱エネルギーを化学エネルギーとして一時的に蓄え、かつ、
(c)水和反応により、蓄えられた化学エネルギーを放出し、燃料電池の起動時に必要な熱エネルギーとして再利用する
ためのものである。
[1.3.1. 排熱回収器の構造]
本発明において、排熱回収器は、蓄熱流路と、蓄熱流路に隣接して設けられた排ガス流路とを備えている。蓄熱流路は、化学蓄熱材を充填するためのものである。蓄熱流路は、蒸気バルブを介して蒸発凝縮器の蒸気流路に接続されている。
排ガス流路は、熱交換型改質器の燃焼流路から排出される燃焼排ガスを流すことによって、燃焼排ガスの顕熱を蓄熱流路に伝達するためものもである。
排熱回収器のその他の部分の構造は、特に限定されるものではなく、化学蓄熱材の脱水反応及び水和反応を効率よく行うことが可能なものであればよい。
排熱回収器は、具体的には、
(a)蓄熱流路と排ガス流路とが交互に積層されており、
(b)化学蓄熱材の粉末を成形して成形体とし、2個の成形体を、それぞれ、対向する蓄熱流路の内壁面であって、排ガス流路に隣接している内壁面に密着させ、
(c)各成形体の表面をフィルタで覆い、
(d)対向するフィルタ間にフィンを設置したもの
が好ましい(参考文献1参照)。
[参考文献1] 特開2012−211713号公報
この場合、対向する2個の成形体の間の空間であって、フィンが設置された空間が水蒸気の流路となる。
フィルタは、化学蓄熱材の粉体の透過を阻止し、水蒸気のみを透過させるためのものである。フィルタの材料や形状は、水蒸気を選択的に透過させることが可能なろ過精度を持つ限りにおいて、特に限定されない。フィルタとしては、例えば、金属繊維からなる不織布の焼結体などがある。
フィンは、水和反応/脱水反応時に生じる化学蓄熱材の膨張/収縮を抑制し、対向する成形体の間に水蒸気の流路を確保するためのものである。フィンの材料や形状は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
[1.3.2. 化学蓄熱材]
本発明において、化学蓄熱材の組成は、特に限定されない。燃料電池システムからの排熱を有効利用するためには、化学蓄熱材は、燃料電池の作動温度近傍の温度において、効率よく脱水反応及び水和反応を起こすものが好ましい。このような条件を満たす化学蓄熱材としては、例えば、CaO、MgOなどがある。
例えば、CaOは、次の(1)式に従い、脱水・水和反応を起こす。(1)式中、Qは、発熱量を表す。
CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2 + Q ・・・(1)
[1.4. 蒸発凝縮器]
蒸発凝縮器は、排熱回収器から排出される水蒸気を水として貯蔵し、かつ、貯蔵された水を水蒸気として排熱回収器に供給するためのものである。本発明において、蒸発凝縮器は、蒸気流路と、蒸気流路に隣接して設けられた媒体流路とを備えている。
蒸気流路は、
(a)脱水反応時には蓄熱流路から排出される水蒸気を凝縮させ、水として回収し、
(b)水和反応時には水を蒸発させ、蓄熱流路に水蒸気を供給する
ためのものである。蒸気流路で凝縮した水は、タンク内に一時的に貯蔵される。
媒体流路は、熱交換媒体を流すことによって、蒸気流路との間で熱交換を行うためのものである。
媒体流路に流す熱交換媒体としては、
(a)大気、
(b)燃料電池システムの起動時に改質流路内において改質燃料の内部触媒燃焼を行わせる場合において、改質流路から排出される触媒燃焼排ガス
などがある。
大気は、凝縮又は蒸発のいずれの場合にも熱交換媒体として用いることができる。
一方、触媒燃焼排ガスは、蒸発の場合にのみ熱交換媒体として用いることができる。蒸発時に、触媒燃焼排ガスを媒体流路に流すと、短時間で高圧の水蒸気を発生させることができるので、燃料電池の始動性が向上する。
[1.5. 蒸気バルブ]
蒸気バルブは、排熱回収器と蒸発凝縮器との間における水蒸気の移動を制御するためのものである。すなわち、蒸気バルブは、
(a)化学蓄熱材の脱水反応又は水和反応を起こさせる時は、蒸気バルブを開放して、水蒸気の回収又は供給を行い、
(b)脱水反応又は水和反応を停止させる時は、蒸気バルブを閉じて、排熱回収器と蒸発凝縮器との間の水蒸気の移動を遮断する
ためのものである。
蒸気バルブの構造は、このような機能を奏する限りにおいて、特に限定されない。
[1.6. 熱伝達手段]
熱伝達手段は、排熱回収器と燃料電池とを熱的に接続するためのものである。起動時には、排熱回収器の蓄熱流路から燃料電池の電解質・電極接合体に熱が伝達される。また、燃料電池の温度を上昇させる時には、排熱回収器の排ガス流路から燃料電池の電解質・電極接合体に熱が伝達される。そのため、燃料電池のアノード流路、カソード流路、及び冷却流路、並びに、排熱回収器の蓄熱流路及び排ガス流路は、いずれも、熱伝達手段の一部を構成する。
さらに、燃料電池と排熱回収器との間で熱の授受を行うためには、両者を熱的に接続する熱伝達部材が必要となる。
例えば、冷却流路を持つ燃料電池を備えた燃料電池システムにおいて、排熱回収器の蓄熱流路と燃料電池の冷却流路とを熱的に接続することもできる。しかし、蓄熱流路内には化学蓄熱材が充填されているため、蓄熱流路と冷却流路との間の伝熱面積を大きくするのが難しい。伝熱面積の減少は、燃料電池の始動性を低下させる原因となる。
従って、冷却流路を持つ燃料電池を備えた燃料電池システムにおいては、熱伝達部材を用いて、冷却流路と排ガス流路とを熱的に接続するのが好ましい。
熱伝達手段を構成する材料には、高熱伝導材料を用いるのが好ましい。このような高熱伝導材料としては、例えば、Cu合金、Al合金などがある。
熱伝達手段の形状は、排熱回収器から燃料電池に熱を伝達することが可能な限りにおいて、特に限定されない。例えば、各流路の内部に、多数の隔壁、フィン、リブなどを形成してもよい。
燃料電池と排熱回収器とを熱的に接続する場合において、両者を完全に密着させることもできる。しかし、排熱回収器に充填される化学蓄熱材は、脱水反応/吸水反応時に膨張/収縮を伴う。そのため、燃料電池と排熱回収器とを密着させると、熱伝達効率は高くなるが、排熱回収器の膨張/収縮に伴い、燃料電池も膨張/収縮する。その結果、膨張/収縮時に発生する応力により、燃料電池が破損する場合がある。
従って、燃料電池と排熱回収器の間を熱的に接続すると同時に、両者の間に、排熱回収器の膨張/収縮を吸収可能な大きさを持つ空間を設けるのが好ましい。
[1.7. 制御装置]
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池、熱交換型改質器などの動作を制御する制御装置を備えている。制御装置は、燃料電池を正常に作動させるための制御手段だけでなく、燃料電池の起動時のエネルギーを低減したり、あるいは、定常発電時におけるシステムからの排熱が有効利用されるように各部を制御するための制御手段を備えている。
このような制御手段としては、具体的には、
(a)起動時において、化学蓄熱材を水和させ、水和熱を燃料電池に伝達し、燃料電池を作動温度可能な温度まで昇温させる電池暖機モード制御手段、
(b)定常発電移行後に、燃焼排ガスを用いて化学蓄熱材を脱水(蓄熱)させる排熱回収・蓄熱モード制御手段、
(c)定常発電移行後に、燃焼排ガスを用いて燃料電池の温度を、より効率の高い温度まで加熱する排熱回収・電池加熱モード制御手段
などがある。これらの手段の詳細については、後述する。
[2. 具体例]
[2.1. 第1の実施の形態]
[2.1.1. システムの全体構成]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムの模式図を示す。図1において、燃料電池システム10aは、燃料電池12として水素分離膜型燃料電池(HMFC)を用いたシステムであって、HMFC12aと、熱交換型改質器14と、排熱回収器16と、蒸発凝縮器18と、蒸気バルブ20と、熱伝達手段22とを備えている。
HMFC12aは、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セル38を備えている。また、HMFC12aは、単セル38と冷却流路40とが交互に積層された構造を備えている(図2参照)。さらに、電解質・電極接合体のアノードの表面には、水素分離層(図示せず)が形成されている。HMFC12aの作動温度は、電解質の種類にもよるが、通常、400〜500℃である。
熱交換型改質器14は、改質流路と、改質流路に隣接して設けられた燃焼流路とを備えている。熱交換型改質器14の作動温度は、通常、600〜650℃である。
排熱回収器16は、化学蓄熱材が充填された蓄熱流路と、蓄熱流路に隣接して設けられた排ガス流路とを備えている。本実施の形態において、燃料電池システム10aは、複数個の排熱回収器16を備えている。
さらに、蒸発凝縮器18は、水蒸気の発生及び凝縮を行うための蒸気流路と、蒸気流路に隣接して設けられた媒体流路とを備えている。
HMFC12aのアノード流路の入口は、熱交換型改質器14の改質流路の出口に接続されている。また、アノード流路の出口は、熱交換型改質器14の燃焼流路の入口に接続されている。すなわち、図1において、水蒸気改質反応の熱源(燃焼用の燃料源)として、アノードオフガスを用いている。アノードオフガスは、通常、CO、CH4、H2、CO2、N2、H2Oなどを含む。
アノード流路の入口と改質流路の出口とを結ぶ配管には、開閉バルブ(VLV1)24が設けられている。開閉バルブ24は、起動時に改質流路内で内部触媒燃焼させる際に、改質流路からアノード流路へのガスの流れを遮断するために用いられる。
HMFC12aのカソード流路の入口は、カソード用空気の供給源(図示せず)に接続されている。また、カソード流路の出口は、熱交換型改質器14の改質流路の入口に接続されている。すなわち、図1において、水蒸気改質反応の水蒸気源として、カソードオフガスを用いている。カソードオフガスは、通常、H2O、N2、O2などを含む。
HMFC12aの冷却流路40の入口は、冷却用空気の供給源(図示せず)に接続されている。また、冷却流路40の出口は、燃焼流路の入口に接続されている。すなわち、図1において、アノードオフガスを燃焼させる酸化剤として、冷却用空気オフガスを用いている。
改質流路の入口は、改質反応に必要な改質燃料の供給源(図示せず)に接続されている。改質流路の入口は、さらに、開閉バルブ(VLV4)26を介して、起動用の助燃空気の供給源(図示せず)に接続されている。開閉バルブ26は、起動時に改質流路に助燃空気を導入するために用いられる。
燃焼流路の出口は、マニホールドを介して、各排熱回収器16の排ガス流路の入口に接続されている。各排ガス流路の出口は、マニホールドを介して、開閉バルブ(VLV2)28に接続されている。開閉バルブ28は、定常発電時に燃焼排ガスを系外に排出するためのものであると同時に、起動時に燃焼流路から排ガス流路へのガスの流れを遮断するためのものである。
蒸発凝縮器18の蒸気流路の一端は、マニホールドを介して各蓄熱流路に接続されている。また、蒸気流路の他端は、化学蓄熱材から排出された水を一時的に貯蔵するためのタンク(図示せず)に接続されている。蒸気流路と蓄熱流路との間には、蒸気バルブ(VLV3)20が設けられている。蒸気バルブ20は、化学蓄熱材の脱水/水和反応を制御するために用いられる。
蒸発凝縮器18の媒体流路の入口には、熱交換媒体の供給源が接続されている。図1に示す例では、熱交換媒体の供給源として、ブロア30が用いられている。ブロア30は、室温の大気を媒体流路に供給するためのものである。
なお、図示はしないが、起動時に改質流路から排出される触媒燃焼排ガスを媒体流路に供給するための手段をさらに備えていても良い。この点は、後述する。
[2.1.2. 燃料電池及び排熱回収器の構造]
図2に、燃料電池及び排熱回収器の構造(独立積層構造)の一例を示す。図2において、HMFC12aは、カソード流路32/電解質・電極接合体34/アノード流路36の積層体からなる単セル38を備えている。また、HMFC12aは、単セル38と、冷却流路40とが交互に積層された積層構造を備えている。カソード流路32、アノード流路36及び冷却流路40の内部には、それぞれ、多数の隔壁、フィン、リブが設けられ、これらを介して、電解質・電極接合体34と冷却流路40との間の熱伝達が行われる。
排熱回収器16は、蓄熱流路42と、排ガス流路44とが交互に積層された積層構造を備えている。蓄熱流路42は、一面が開放している箱状を呈しており、開放面側から水蒸気の供給/排出が行われる。蓄熱流路42の内部には、蓄熱体46が収容されている。蓄熱体46は、化学蓄熱材の成形体46a/フィルタ46b/フィン46c/フィルタ46b/化学蓄熱材の成形体46aの5層構造になっている。
排ガス流路44は、水蒸気の供給/排出方向とは垂直方向に燃焼排ガスを流せるようになっている。その内部には、多数の隔壁、フィン、リブが設けられ、これらを介して、蓄熱体46と排ガス流路44との間の熱伝達が行われる。
排熱回収器16は、HMFC12aの両端に配置されている。また、HMFC12aの冷却流路40と排熱回収器16の排ガス流路44とは、所定の幅を持つ熱伝達部材48を介して熱的に接続・一体化されている。この熱伝達部材48を介して、HMFC12aと排熱回収器16との間の熱伝達が行われる。
さらに、HMFC12aと排熱回収器16との間には、熱伝達部材48の幅に相当する空間が設けられている。空間の大きさは、化学蓄熱材の膨張/収縮に伴う応力を緩和することが可能な大きさになっている。
[2.1.3. 発電方法]
図1に示す燃料電池システム10aを用いた発電は、以下のようにして行われる。
[A. 電池暖機モード制御手段]
燃料電池システム10aが停止状態にある場合、HMFC12a及び熱交換型改質器14の温度は室温である。そのため、起動時には、HMFC12a及び熱交換型改質器14を所定の温度まで昇温させる必要がある。本発明においては、起動時に、内部触媒燃焼によって熱交換型改質器14を加熱すると同時に、これとは独立に化学蓄熱材の水和熱を用いてHMFC12aの昇温を行う(電池暖機モード制御手段)。
[A.1. 大気を蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖機モード]
図3に、大気を蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖気モードの模式図を示す。大気を熱交換媒体に用いた制御は、具体的には以下のようにして行う。
まず、開閉バルブ(VLV2)28を閉にし、かつ、開閉バルブ(VLV1)24を開にすることによって、燃焼流路から排ガス流路へのガスの流れ、及び、改質流路からアノード流路へのガスの流れをそれぞれ遮断する。
次に、改質燃料の供給源を作動させ、かつ、開閉バルブ(VLV4)26を開にすることにより、改質流路に改質燃料(燃焼燃料)及び助燃空気を導入し、改質燃料を内部触媒燃焼させる。これにより、改質流路が所定の温度(600〜650℃)まで加熱される。
排熱回収器16側では、蒸気バルブ(VLV3)20を開にし、かつ、ブロア30を作動させて、蒸発凝縮器18の媒体流路に大気(熱交換媒体)を流す。また、図示しないタンクから、蒸気流路内に水を供給する。これにより、蒸気流路内において水蒸気が発生し、発生した水蒸気が蓄熱流路に供給される。
水蒸気が蓄熱流路に供給されると、化学蓄熱材が水和反応を起こし、水和熱を放出する。水和熱は、熱伝達手段22を介してHMFC12aに伝達される。その結果、HMFC12aが所定の温度(400℃程度)に加熱される。
本発明では、化学蓄熱材の水和熱を用いてHMFC12aの加熱・昇温を行っているので、起動用燃料を削減することができる。また、各流路を介してHMFC12aに熱を伝達しているので、昇温時における水素分離層や電解質・電極接合体への熱衝撃を緩和することができる。さらに、HMFC12aの積層方向の熱流束は均一であるため、熱伝達手段の長さや厚みを制御することにより、温度分布を均一化させることができる。
[A.2. 触媒燃焼排ガスを蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖機モード]
図4に、触媒燃焼排ガスを蒸発凝縮器の熱交換媒体として用いた電池暖気モードの模式図を示す。起動時に蒸発凝縮器18の媒体流路に流す熱交換媒体として、熱交換型改質器14の改質流路から排出される触媒燃焼排ガスを用いることもできる。この場合、改質流路と媒体流路との間を配管50で繋ぎ、配管50に開閉バルブ(VLV5)52を設ける必要がある。触媒燃焼排ガスを用いた制御は、具体的には、以下のようにして行う。
まず、開閉バルブ(VLV2)28を閉にすることによって、燃焼流路から排ガス流路へのガスの流れを遮断する。また、本実施の形態では、開閉バルブ(VLV1)24を閉にし、かつ、開閉バルブ(VLV5)52を開にすることによって、改質流路からアノード流路へのガスの流れを遮断する。
次に、改質燃料の供給源を作動させ、かつ、開閉バルブ(VLV4)26を開にすることによって、改質流路に改質燃料及び助燃空気を導入し、改質燃料を内部触媒燃焼させる。これにより、改質流路が所定の温度まで加熱される。
排熱回収器16側では、蒸気バルブ(VLV3)20を開にする。また、開閉バルブ(VLV5)52が開になっているため、蒸発凝縮器18の媒体流路に触媒燃焼排ガスが供給される。これにより、蒸気流路内において水蒸気が発生し、発生した水蒸気が蓄熱流路に供給される。水蒸気が蓄熱流路に供給されると、化学蓄熱材が水和反応を起こし、水和熱を放出する。水和熱は、熱伝達手段22を介してHMFC12aに伝達される。その結果、HMFC12aが所定の温度に加熱される。
図5に、媒体流路に触媒燃焼排ガスを流した時の蒸気流路内における蒸気圧力及び蒸気温度、並びに、蓄熱流路における反応平衡温度の時間変化を示す。図5中、破線は、媒体流路に大気を流した時の蒸気圧力、蒸気温度及び反応平衡温度を表す。
媒体流路に大気を流した場合、蒸気流路内の水蒸気の温度及び圧力、並びに、蓄熱流路内の反応平衡温度は、時間が経過してもほぼ一定のままである。
一方、媒体流路に触媒燃焼排ガスを流した場合、蒸気流路内の水蒸気の温度及び圧力は時間と共に上昇し、高圧の水蒸気が発生する。その結果、化学蓄熱材の水和反応性が向上する。また、蓄熱流路内の化学蓄熱材の反応平衡温度域が拡大することによって、HMFC12aの到達温度が500℃程度に向上する。
触媒燃焼排ガスを用いる方法は、大気を用いる方法に比べて燃料電池の到達温度が高くなるので、HMFC12a(作動温度:400〜500℃)だけでなく、低温型SOFC(作動温度:550〜600℃)の暖機にも適用することができる。
[B. 排熱回収・蓄熱モード制御手段]
図6に、排熱回収・蓄熱モードの模式図を示す。HMFC12a及び熱交換型改質器14の温度が所定の温度に到達したところで、電池暖機モード制御手段による制御を終了させ、定常発電を行う。次いで、熱交換型改質器14からの排熱を利用して、化学蓄熱材の再生(蓄熱)を行う。排熱回収・蓄熱モード制御手段による制御は、具体的には、以下のようにして行う。
まず、開閉バルブ(VLV1)24及び開閉バルブ(VLV4)26をそれぞれ閉にし、開閉バルブ(VLV2)28を開にする。さらに、改質流路から排出される改質ガスをアノード流路に供給し、かつ、カソード流路にカソード用空気を供給することによって、HMFC12aで発電を行う。これと同時に、冷却流路40に冷却用空気を流す。
さらに、アノードオフガスを燃焼流路に供給し、燃焼流路においてアノードオフガスを燃焼させる。本実施の形態では、燃焼流路に供給される酸化剤として、冷却用空気オフガスが用いられている。燃焼流路に供給されたアノードオフガス及び冷却用空気オフガスは、水蒸気改質反応(吸熱反応)の熱源として再利用される。
一方、カソードオフガスは、改質流路に供給され、水蒸気改質反応の水蒸気源として再利用される。
次に、蒸気バルブ(VLV3)20を開にし、かつ、燃焼流路から排出される燃焼排ガスを排熱回収器16の排ガス流路に流す。これにより、化学蓄熱材の脱水反応が起こり、水蒸気が放出される。放出された水蒸気は、蓄熱流路から蒸気流路に排出される。さらに、ブロア30を作動させ、媒体流路に大気(熱交換媒体)を流すと、水蒸気が蒸気流路内で凝縮し、水としてタンク(図示せず)に貯蔵される。
化学蓄熱材の脱水反応は吸熱反応であるため、脱水反応が進行するに伴い、化学蓄熱材の温度が低下する。その結果、燃焼排ガスと蓄熱流路との温度差が拡大し、燃焼排ガスから化学蓄熱材への熱移動(内部熱移動)が促進される。
一方、本発明において、熱交換型改質器14から排出される燃焼排ガスの温度は、HMFC12aの作動温度より高い。しかし、吸熱反応の進行によって化学蓄熱材の温度が下がるので、排熱回収器16とHMFC12aとの温度差が縮小する。その結果、排熱回収器16からHMFC12aへの熱移動(外部熱移動)が抑制される。
[C. 排熱回収・電池加熱モード制御手段]
図7に、排熱回収・電池加熱モードの模式図を示す。また、図8に、電池作動温度と定常効率との関係を示す。
化学蓄熱材の再生が完了したところで、排熱回収・蓄熱モード制御手段による制御を終了させ、排熱回収・電池加熱モードに移行する。図8に示すように、HMFC12aは、作動温度が高くなるほど効率が向上する。しかし、外部からの加熱がない場合、到達可能な温度は400℃程度である。このような場合、熱交換型改質器14からの排熱を利用してHMFC12aを加熱し、HMFC12aの作動温度を500℃程度まで上昇させるのが好ましい。排熱回収・電池制御加熱モード制御手段による制御は、具体的には、以下のようにして行われる。
まず、蒸気バルブ(VLV3)20を閉じ、蓄熱流路と蒸気流路との間の水蒸気の流れを遮断する。
また、冷却流路40に流す冷却用空気の流量を増加させる。これは、電池温度における熱バランス(発電に伴う発熱ロス、ガス顕熱変化分、外部への放熱ロス分)を維持するためである。
この状態で燃焼排ガスを排ガス流路に流し続けると、熱伝達手段22を介して、燃焼排ガスの顕熱が排熱回収器16からHMFC12aに伝達される。
蒸気バルブ(VLV3)20を閉じると、化学蓄熱材の脱水反応が停止し、燃焼排ガスと化学蓄熱材の温度差が縮小する。その結果、排ガス流路から蓄熱流路への熱移動(内部熱移動)が停止する。
一方、熱交換型改質器14から排出される燃焼排ガスの温度は、HMFC12aの作動温度より高いので、燃焼排ガスを流し続けることによって、排熱回収器16とHMFC12aとの温度差は拡大する。その結果、排熱回収器16からHMFC12aへの熱移動(外部熱移動)が促進される。また、HMFC12aの温度が上昇することによって、定常発電時における効率が向上する。
[D. モード切替シーケンス]
図9に、モード切替シーケンスの模式図を示す。
[D.1. 始動開始]
まず、ステップ1(以下、「S1」という)において、燃料電池システム10aの各部に始動開始の指示を出す。
燃料電池12及び熱交換型改質器14側では、S2において、開閉バルブ(VLV1)24を開とし、開閉バルブ(VLV2)28を閉にする。次いで、S3において、熱交換型改質器14の改質流路内において点火を開始する。さらに、S4において、改質流路内に改質燃料(燃焼燃料)及び助燃空気を投入する。これにより、改質流路内において改質燃料が内部触媒燃焼し、改質流路内の温度が上昇する。
S5では、熱交換型改質器14の内部温度(Tr,i)が600℃を超えたか否かが判断される。熱交換型改質器14の内部温度が600℃以下である場合(S5:NO)、S4に戻る。そして、熱交換型改質器14の内部温度が600℃を超えるまで、S4〜S5の各ステップを繰り返す。
熱交換型改質器14の内部温度が600を超えた場合(S5:YES)には、S6に進み、改質燃料及び助燃空気の投入を停止する。さらに、S7に進み、開閉バルブ(VLV1)24を閉にし、開閉バルブ(VLV2)28を開にする。
一方、始動時において、排熱回収器16側では、電池暖機モードを実行する。すなわち、S8において、蒸発凝縮器18の蒸気流路への反応水の供給を開始する。次に、S9において、ブロア30を起動させる。さに、S10において、蒸気バルブ(VLV3)20を開にする。これにより、蒸発凝縮器18で発生した水蒸気が排熱回収器16に供給され、化学蓄熱材の水和反応が進行する。
S11では、燃料電池12の内部温度が400℃を超えたか否かが判断される。燃料電池12の内部温度が400℃以下である場合(S11:NO)、S8に戻る。そして、燃料電池12の温度が400℃を超えるまで、S8〜S11の各ステップが繰り返される。
一方、燃料電池12の温度が400℃を超えた場合(S11:YES)には、S12に進み、化学蓄熱材への水(水蒸気)の供給を停止する。
[D.2. 発電開始]
熱交換型改質器14及び燃料電池12の温度が所定の温度に達したところで、S13に進み、燃料電池システム10aの各部に発電開始の指示をする。
熱交換型改質器14及び燃料電池12側では、まず、S14において、要求される発電量Wを取得する。次に、S15において、要求される発電量Wを得るために必要なH2出力、カソード用空気の量、冷却用空気の量などを算出する。次に、S16において、算出された数値に基づき、改質燃料、カソード用空気、及び冷却用空気をそれぞれ供給する。
一方、排熱回収器16側では、排熱回収・蓄熱モードを実行する。すなわち、S17において、排熱回収・蓄熱モードを実行するか否かが判断される。この時点では、化学蓄熱材の再生が行われていないので、排熱回収・蓄熱モードを実行する(S17:YES)。S18では、システムの各部に化学蓄熱材の再生を実行するための指示を出す。
次に、S19に進み、蓄熱が完了したか否かが判断される。化学蓄熱材の再生が不十分である場合(S19:NO)には、S17に戻る。そして、化学蓄熱材の再生が完了するまで、S17〜S19の各ステップを繰り返す。
一方、排熱回収・蓄熱モードが既に実行されている場合(S17:NO)、又は、化学蓄熱材の再生が完了した時(S19:YES)には、S20に進み、排熱回収・電池加熱モードに移行する。
S20では、蒸気バルブ(VLV3)20を閉にする。S21では、燃焼排ガスを排ガス流路の流し続けることによって、燃料電池12の温度を所定の温度まで昇温させる。
燃料電池12の温度が所定の温度に達した時は、S22に進み、排熱回収・電池加熱モードによる制御を終了させ、定常発電に移行する。
[2.2. 第2の実施の形態]
[2.2.1. システムの全体構成]
図10に、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムの模式図を示す。図10において、燃料電池システム10bは、燃料電池12として固体酸化物型燃料電池(SOFC)を用いたシステムであって、SOFC12bと、熱交換型改質器14と、排熱回収器16と、蒸発凝縮器18と、蒸気バルブ20と、熱伝達手段22とを備えている。
SOFC12bは、アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えている。本実施の形態において、SOFC12bは、単セルを冷却するための冷却流路を備えていない。この点が第1の実施の形態とは異なる。
SFC12bのカソード流路の入口は、カソード用空気の供給源(図示せず)に接続され、カソード流路の出口は、熱交換型改質器14の燃焼流路の入口に接続されている。すなわち、図10において、アノードオフガスを燃焼させる酸化剤源として、カソードオフガスを用いている。この点が第1の実施の形態とは異なる。
改質流路の入口は、改質反応に必要な改質燃料の供給源(図示せず)及び水供給源(図示せず)に接続されている。すなわち、図10において、水蒸気改質反応の水蒸気源として、SOFC12bの外部に設けられた水供給源が用いられている。この点が第1の実施の形態とは異なる。
その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[2.2.2. 発電方法]
図10に示す燃料電池システム10bを用いた発電は、水蒸気改質用の水蒸気源として外部の水供給源を用いる点、冷却用空気を用いない点、及び、カソードオフガスを酸化剤源として用いる点以外は、第1の実施の形態と同様にして行うことができる。
[3. 効果]
[3.1. HMFCの利点]
水素分離膜型燃料電池(HMFC)は、水素含有ガスから水素を分離し、プロトン伝導体によりプロトン状態の水素を透過させて発電を行う。このHMFCを備えた燃料電池システムでは、水素分離層により水素のみを透過させるため、COによる触媒被毒がなく、COシフト触媒及びCO酸化触媒が不要となり、コンパクトなシステム構成となる。
さらに、高温で作動する燃料電池から排出されるアノードオフガスの可燃成分を水蒸気改質反応に必要な燃焼熱源とし、燃料電池を冷却する冷却用空気オフガスを助燃空気とすることで、ガスエンタルピーと化学エネルギーの両方を有効に利用することができる。
また、カソードオフガス中には発電により生成したH2Oが含まれている。このH2Oを改質用の水として再利用する場合には、改質用の水タンクの搭載が不要となり、コンパクトで高効率な発電システムとなる。
[3.2. 排熱回収器の利点]
車両搭載システムでは、電池の熱容量と作動温度に依存して、システム起動時には燃料電池暖機用の熱源(電気ヒーター、燃焼用燃料など)が必要となる。暖機に要するエネルギーの車両モード運転における燃費への感度は極めて高い。
そこで、定常発電時においては、熱交換型改質器の燃焼流路から排出される高温の燃焼排ガスを排熱回収器の排ガス流路に流す。これにより、蓄熱流路に充填されている化学蓄熱材(例えば、CaO/Ca(OH)2系、MgO/Mg(OH)2系など)が加熱され、脱水反応による蓄熱が行われる。また、システム起動時においては、燃料電池と排熱回収器とを熱的に接続し、水和反応により発生した熱を燃料電池に供給する。これにより、燃料電池を作動温度まで昇温させることができる。
すなわち、排熱回収器を用いると、定常発電時の排ガスから回収した熱エネルギーを、起動時に燃料電池を昇温するために必要な熱エネルギーとして再利用することができる。また、投入エネルギーが大幅に削減され、モード燃費を改善することができる。さらに、システム起動時に燃料電池内で触媒燃焼加熱させる際に発生するエミッション(CO、HC、Nox等)量を削減することが可能となる。
[3.3. 熱伝達部材の利点]
HMFCは、アノード流路/水素分離層/アノード電極/プロトン伝導体/カソード電極/カソード流路/冷却流路を積層した構造を備えている。各流路には、伝熱面積の拡大効果と、熱伝導を介した積層方向への熱輸送効果をねらいとしたリブ又はフィンが形成されている。
一方、排熱回収器は、
(a)化学蓄熱材、フィルタ、及び、水蒸気の通路を確保するためのフィン等で構成された蓄熱体が収容された蓄熱流路と、
(b)伝熱面積の拡大及び熱伝導を介した積層方向への熱輸送が可能なリブ又はフィンを備えた排ガス流路
で構成されている。
ここで、燃料電池の冷却流路と排熱回収器の排ガス流路とを高熱伝導率材料からなる熱伝達部材(Cuなどの金属材)により一体構成(あるいは、ロウ付けなどの金属接合)とすることで、排ガス流路、冷却流路のフィン及び隔壁を経由した熱移動が可能となる。
一方で、化学蓄熱材では、水和反応/脱水反応に伴う体積膨張/収縮が生じるため、高密度で充填された化学蓄熱材を収容する容器への応力が発生する。
これに対し、燃料電池積層体と化学蓄熱材を充填した排熱回収器とを独立積層構造とし、熱伝達部材を介して燃料電池と排熱回収器とを熱的に接続すると、薄膜で構成される水素分離層、電極、及びプロトン伝導体への応力発生が回避され、膨張/収縮に起因した電池の破損を防止することができる。
[3.4. 化学蓄熱材の利点]
燃料電池システムの暖機では、化学蓄熱材の放熱温度(400〜450℃)より高い昇温レベル(600〜650℃)が熱交換型改質器に求められる。このため、起動時には、改質触媒が担持された改質流路に起動用の改質燃料と助燃空気を投入し、内部触媒燃焼反応により改質流路を改質温度まで昇温させる。
一方、燃料電池では、蒸発凝縮器に水を供給し、大気との熱交換により水を蒸発させる。また、蒸気バルブを開いて、排熱回収器16の蓄熱流路に水蒸気を供給する。これにより、蓄熱流路に充填された化学蓄熱材は、水和反応により発熱し、排ガス流路のフィンや隔壁の熱伝導を介して、燃料電池の冷却流路の隔壁へと熱が輸送される。燃料電池内部では、冷却流路、アノード流路及びカソード流路のフィンや隔壁を介して、水素分離層、電極、プロトン伝導体へ熱が輸送される。燃料電池の温度が作動温度レベルまで昇温したところで、化学蓄熱材の水和反応を停止させる。
排熱回収器では、マニホールドを介して水蒸気が供給されるため、積層方向に同一レベルの反応速度となり、電池積層方向の熱流束は均一となる。また、熱伝達部材の熱伝導率、部材長さ(電池幅寸法)、厚み(冷却流路の隔壁の厚み)により、幅方向温度分布の制御が可能である。そのため、部材諸元の設定により、熱応力発生に起因する電池材料の破損を防ぐことができる。また、これと同時に、燃料電池と熱交換型改質器の独立昇温制御により、短時間で起動できる。
[3.5. 燃焼排ガスを用いた化学蓄熱材の再生]
排熱回収・蓄熱モードでは、定常発電時に熱交換型改質器から排出される燃焼排ガスを、排熱回収器の排ガス流路に流すことで、排熱の回収を行う。具体的には、蒸発凝縮器の蒸気流路と排熱回収器の蓄熱流路とを接続する蒸気バルブを開くと、燃焼排ガスから回収した熱と化学蓄熱材との熱交換が起こる。その結果、蓄熱流路に充填された化学蓄熱材の脱水反応(吸熱)が進行し、放出された水蒸気は低蒸気圧に温度制御された蒸発凝縮器との圧力差により、移動・凝縮が行われる。
この時、化学蓄熱材の吸収反応により排熱回収器の温度が低下するため、伝熱距離の大きい排熱回収器から燃料電池への外部熱移動は抑制される。一方、排熱回収器内部では、燃焼排ガスと化学蓄熱材との温度差(燃焼排ガスの温度:600℃/化学蓄熱材の温度:400℃)が大きく、かつ、伝熱距離が短いため、熱移動が促進される。これにより、熱交換型改質器の燃焼排ガスからの排熱回収と、化学蓄熱材の再生が可能となる。
[3.6. 燃焼排ガスを用いた燃料電池の加熱]
排熱回収・電池加熱モードでは、定常発電時に熱交換型改質器から排出される燃焼排ガスを排熱回収器の排ガス流路に流すことで、排熱の回収を行う。具体的には、蒸発凝縮器の蒸気流路と排熱回収器の蓄熱流路とを接続する蒸気バルブを閉じると、化学蓄熱材が充填された蓄熱流路内部の蒸気圧が上昇し、脱水反応(吸熱)が自動停止する。吸熱が停止した排熱回収器は温度が上昇し、燃料電池との温度差(燃焼排ガスの温度600℃/燃料電池温度:400℃)が拡大する。このため、排ガス流路の隔壁から燃料電池の冷却流路の隔壁への熱移動が発生し、燃料電池への外部熱移動は促進される。
燃料電池の作動温度が上昇すると、起動エネルギーが増大するため、電池効率は低下する。しかし、作動温度の上昇により、電極活性が向上すると同時に、電池構造部材の電気抵抗が低減するため、電極損失及び抵抗損失が低減する。その結果、燃料電池の定常効率は向上する(図8参照)。
一方、燃料電池の作動温度が400℃である場合、合計発熱量と合計吸熱量とのバランスを維持することが可能である。
ここで、「合計発熱量(=A+B)」とは、電池からの発熱(A)、及びアノードオフガス燃焼発熱(B)の合計熱量をいう。
「合計吸熱量(=C+D+E+F)」とは、水蒸気改質吸熱(C)、カソード用空気顕熱(D)(入口温度:25℃〜電池温度:400℃)、燃料蒸発潜熱及び顕熱(E)(入口温度:25℃〜改質器温度:600℃)、及び冷却用空気顕熱(F)(燃焼空気過剰率:1.2、入口温度:25℃〜電池温度:400℃)の合計熱量をいう。
このため、排熱回収器からの加熱量(G)を加算すると、合計発熱量(=A+B+G)は、合計吸熱量を上回る。その結果、電池作動温度を500℃まで上昇させることが可能となる。これにより、電池作動温度域は高温側に拡大し、システム定常効率が向上する。
[3.7. 蒸気バルブの利点]
燃料電池システムの起動時には、改質流路への燃料供給による内部触媒燃焼を利用した熱交換型改質器の加熱・昇温を行う。これと同時に、電池暖機モードにより化学蓄熱材の水和反応による排熱回収器からの熱を利用した燃料電池の加熱を行う。改質器/燃料電池の温度が所定の温度(600℃/400℃)に到達したところで、起動用燃料の供給を停止し、定常発電を行う。
定常発電を開始した後、排熱回収・蓄熱モードに入る。すなわち、蒸気バルブを開くことで、燃焼排ガスによる蓄熱を行う。蓄熱が完了した後、蒸気バルブを閉じると、排熱回収器で回収された熱は燃料電池へと輸送される。その結果、燃料電池の作動温度が上昇し、高効率発電へと移行することができる。また、蓄熱モードの途中であっても、蒸気バルブを閉じることにより、燃料電池の作動温度を上昇させて、高効率発電へと切り替えることも可能である。
[3.8. 触媒燃焼排ガスを用いた蒸気発生の利点]
燃料電池システムの起動時において、改質流路へ燃料を供給して内部触媒燃焼させ、改質流路から排出される触媒燃焼排ガスを蒸発凝縮器の媒体流路に流すと、蒸発流路内部の蒸気圧を上昇させることができる。これにより、環境温度である大気熱を利用した蒸発速度と比較して、水和反応速度が向上する。また、平衡点を高温にシフトさせることが可能となり、平衡到達温度(水和反応温度:500℃)を上昇させることができる。そのため、燃料電池の昇温時間が短縮され、速やかに電池暖機モードから排熱回収モードへと移行することができる。
一方で、低温(550〜600℃)で作動する固体高分子型燃料電池(SOFC)を備えたシステムにおいても、蒸気流路内部の蒸気圧を上昇させることにより、平衡到達温度(水和反応温度:600℃)を上昇させることができる。そのため、SOFCの作動温度まで昇温させることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る燃料電池システムは、車載動力源、定置型小型発電器などに用いることができる。
10a 燃料電池システム
12 燃料電池
12a 水素分離膜型燃料電池
14 熱交換型改質器
16 排熱回収器
18 蒸発凝縮器
20 蒸気バルブ
22 熱伝達手段

Claims (7)

  1. 以下の構成を備えた燃料電池システム。
    (1)前記燃料電池システムは、
    アノード流路/電解質・電極接合体/カソード流路の積層体からなる単セルを備えた燃料電池と、
    前記燃料電池に改質ガスを供給する熱交換型改質器と、
    脱水反応により吸熱し、水和反応により発熱する化学蓄熱材を備えた排熱回収器と、
    前記排熱回収器から排出される水蒸気を水として貯蔵し、かつ、貯蔵された水を水蒸気として前記排熱回収器に供給する蒸発凝縮器と、
    前記排熱回収器と前記蒸発凝縮器との間の水蒸気の移動を制御する蒸気バルブと、
    前記排熱回収器と前記燃料電池とを熱的に接続する熱伝達手段と
    を備えている。
    (2)前記燃料電池は、水素を燃料として用いることができ、かつ、その定常作動温度が前記熱交換型改質器の定常作動温度以下であるものからなる。
    (3)前記熱交換型改質器は、
    炭素及び水素を含む改質燃料を改質し、得られた前記改質ガスを前記アノード流路に供給する改質流路と、
    前記アノード流路から排出されるアノードオフガスを燃焼させ、その燃焼熱を前記改質流路に伝達する燃焼流路と
    を備えている。
    (4)前記排熱回収器は、
    前記化学蓄熱材が充填された蓄熱流路と、
    前記燃焼流路から排出される燃焼排ガスを流すことによって、前記燃焼排ガスの顕熱を前記蓄熱流路に伝達する排ガス流路と
    を備えている。
    (5)前記蒸発凝縮器は、
    前記脱水反応時には前記蓄熱流路から排出される水蒸気を凝縮させ、水として回収し、前記水和反応時には前記水を蒸発させ、前記蓄熱流路に水蒸気を供給する蒸気流路と、
    熱交換媒体を流すことによって、前記蒸気流路との間で熱交換を行う媒体流路と
    を備えている。
    (6)前記燃料電池は、前記単セルと、前記燃料電池を冷却するための冷媒を流す冷却流路とが交互に積層された積層構造を備え、
    前記熱伝達手段は、前記冷却流路と前記排ガス流路とを熱的に接続する熱伝達部材を含む。
  2. 前記燃料電池と前記排熱回収器との間には、前記排熱回収器の膨張/収縮を吸収可能な大きさを持つ空間が設けられている請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃料電池の起動時において、
    (a)前記燃焼流路から前記排ガス流路へのガスの流れ、及び、前記改質流路から前記アノード流路へのガスの流れをそれぞれ遮断し、
    前記改質流路に前記改質燃料及び助燃空気を導入し、前記改質燃料の内部触媒燃焼によって前記改質流路を加熱すると同時に、
    (b)前記蒸気バルブを開き、かつ、前記媒体流路に前記熱交換媒体を流すことによって、前記蒸気流路内において前記水蒸気を発生させ、発生させた前記水蒸気を前記蓄熱流路に供給し、前記化学蓄熱材の水和反応を行わせ、
    前記熱伝達手段を介して、前記化学蓄熱材の水和熱を前記燃料電池に伝達し、前記燃料電池を加熱する
    電池暖機モード制御手段をさらに備えた請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記熱交換媒体は、起動時に前記改質流路から排出される触媒燃焼排ガスである請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記電池暖機モード制御手段による制御が終了した後において、
    (a)前記改質流路から排出される前記改質ガスを前記アノード流路に供給し、かつ、前記カソード流路にカソード用空気を供給することによって、前記燃料電池で発電を行い、
    (b)前記アノード流路から排出されるアノードオフガスを前記燃焼流路に供給し、前記燃焼流路において前記アノードオフガスを燃焼させ、
    (c)前記蒸気バルブを開き、かつ、前記燃焼流路から排出される前記燃焼排ガスを前記排ガス流路に流すことによって、前記化学蓄熱材の脱水反応を行わせ、生成した前記水蒸気を前記蓄熱流路から前記蒸気流路に排出し、
    (d)前記媒体流路に前記熱交換媒体を流すことによって、前記水蒸気を前記蒸気流路内において凝縮させる
    排熱回収・蓄熱モード制御手段をさらに備えた請求項3又は4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記排熱回収・蓄熱モード制御手段による制御が終了した後において、
    (a)前記蒸気バルブを閉じることによって、前記蓄熱流路と前記蒸気流路との間の前記水蒸気の流れを遮断し、
    (b)この状態で前記燃焼排ガスを前記排ガス流路に流し続けることによって、前記熱伝達手段を介して、前記燃焼排ガスの顕熱を前記燃料電池に伝達する
    排熱回収・電池加熱モード制御手段をさらに備えた請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記燃料電池は、前記電解質・電極接合体のアノードの表面に水素分離層が形成された水素分離膜型燃料電池である請求項1から6までのいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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