JP2017089770A - 車両の駆動装置 - Google Patents

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達也 今村
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Abstract

【課題】電動機の回転軸と駆動軸との間の係合手段を滑り状態に制御する構成において、電動機のトルク特性に起因する駆動軸トルクの低減を抑制する【解決手段】係合機構における従動側部材の回転数が大きいほど、駆動側部材と従動側部材との回転数差が小さくなるように、ロックアップクラッチの係合力を制御する。従動側部材の回転数が大きいほど、ロックアップクラッチが係合側に制御されることによって、第2モータジェネレータの回転数の上昇が抑制される。係合機構の伝達トルク特性が、伝達トルクTL2に等しくなり、第2モータジェネレータからのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTL2との交点Bで駆動軸に伝達される。このため、入力回転数NinはN1で維持され、それよりも大きい値には上昇しない。したがって、電動機のトルク特性に起因する駆動軸トルクの低減を抑制することができる。【選択図】図10

Description

この発明は、回転電機を駆動力源として走行可能な車両における駆動装置に関するものである。
駆動力源となる回転電機として、三相同期電動機を使用する車両においては、可変電圧可変周波数制御(ロータの回転位置及び速度に応じた三相交流電流をステータコイルに供給する方法)が広く採用されている。このような車両では、ステータコイルに印加される三相交流電流の位相がロータの回転位置に依存するため、単相ロックと称される状態が生じる可能性がある。単相ロックとは、所定期間内に電動機で発生する熱負荷が所定値以上になって、電動機やその制御機器であるインバータなどの電気回路あるいは電子回路の性能や耐久性が、熱負荷によって低下する状態である。単相ロックは、典型的には例えば坂路において勾配と電動機のトルクとが釣り合って車両が停止あるいはほぼ停止しているときに、ステータコイルに同位相の電流が長時間にわたり継続して印加されることによって生じうる。
特許文献1には、このような状態を回避もしくは抑制するように構成された装置が記載されている。特許文献1に記載された装置では、電動機の回転軸と駆動軸との間に係合手段(ブレーキ及びクラッチ)が設けられ、単相ロックもしくはこれに類する状態の生じることが判定された場合に、係合手段を滑り状態に制御するように構成されている。係合手段が滑り状態に制御されると、電動機の回転数が単相ロックが生じる回転数よりも高くなるので、単相ロックを回避もしくは抑制することが可能になる。また、係合手段の滑り状態に応じたトルクを伝達することができる。さらに、電動機やインバータなどの保護のために電流を制限する必要がなくなるので、トルクの低下を回避もしくは抑制することができる。
特開2006-256560号公報
ところで、ハイブリッド自動車や電気自動車における車両駆動用の電動機は、図10に示されるように、入力回転数Ninがゼロから或る回転数Nsまでの領域を、電動機トルクTmが一定の定トルク領域とすると共に、回転数Ninが回転数Nsより大きい領域では、回転数が高いほど電動機トルクTmが減少するように制御する場合が多い。これに対し、係合手段の滑り状態の度合いが大きいほど、係合手段の容量係数τが低下し、係合手段を介した伝達トルクTL=τ*Nin^2が減少する。電動機からのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTLとの交点で駆動軸に伝達される。
その結果、係合手段の滑り状態の度合いが大きいほど、係合手段を介した伝達トルクが、例えば図10における伝達トルクTL0のように高回転側に移行し、電動機トルクTmとの交点Cのトルク値が、定トルク領域における値Tm0よりも顕著に小さくなってしまう。このため、係合手段における滑りの度合い(すなわち、解放側への動作の度合い)が大きいほど、電動機の回転数及び係合手段の入力回転数は増大するものの、係合手段を介して駆動軸に伝達されるトルクが減少し、駆動軸トルクが不十分となってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、その目的は、単相ロック状態を回避もしくは抑制するために電動機の回転軸と駆動軸との間の係合手段を滑り状態に制御する構成において、電動機のトルク特性に起因する駆動軸トルクの低減を抑制することの可能な車両の駆動装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明に係る車両の駆動装置は、
車両の駆動輪に動力を出力する駆動装置であって、
回転電機と、当該回転電機と前記駆動輪とを結合する動力伝達機構中に設けられた係合機構と、を備え、
当該係合機構は、ロックアップクラッチを有する流体継手を備え、
前記流体継手は、前記回転電機に連結された駆動側部材と前記駆動輪に連結された従動側部材とを備え、前記駆動側部材と前記従動側部材とが相対回転しつつ流体を介してトルクを伝達するように構成されており、
前記ロックアップクラッチは、前記駆動側部材と前記従動側部材とを、可変な係合力で係合するように構成されており、
前記駆動装置は更に、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するように構成されたコントローラを備え、
前記コントローラは、前記ロックアップクラッチを介して前記駆動側部材から前記従動側部材に動力が伝達され且つ前記駆動側部材の回転数が前記従動側部材の回転数よりも大となるスリップ制御を、所定の運転状態で実行し、且つ、
当該スリップ制御の実行時には、前記従動側部材の回転数又はこれに相関するパラメータが大きいほど、前記駆動側部材と前記従動側部材との回転数差が小さくなるように、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するように更に構成されている
ことを特徴とするものである。
本発明によれば、コントローラは、駆動側部材から従動側部材に動力が伝達され、且つ駆動側部材の回転数が従動側部材の回転数よりも大となるスリップ制御を、所定の運転状態で実行する。そして、スリップ制御の実行時には、従動側部材の回転数又はこれに相関するパラメータが大きいほど、駆動側部材と従動側部材との回転数差が小さくなるように、ロックアップクラッチの係合力を制御する。従動側部材の回転数が大きいほど、回転数差ないし滑り量を小さくする(すなわち、ロックアップクラッチを係合側に制御する)ことによって、回転電機の負荷が増大し、その回転数の上昇が抑制される。このため、流体継手及びロックアップクラッチを介した伝達トルクが、回転電機の出力トルクが比較的高くなる従動側部材の低回転領域内で、回転電機の出力トルクと一致するので、スリップ制御時の伝達トルクを比較的高い値に維持でき、これによって、従動側部材の回転数にかかわらず、十分な駆動軸トルクを確保することができる。
本発明の実施形態に係る車両を示すスケルトン図である。 実施形態に係る車両の制御系統を説明するためのブロック図である。 実施形態に係る車両の各走行モードでの第1クラッチ、第2クラッチ、ブレーキの係合および解放の状態、ならびに各モータジェネレータの機能をまとめて示す図表である。 ハイブリッドモードでの動作状態を示す共線図である。 シリーズモードでの動作状態を示す共線図である。 単駆動モードでの動作状態を示す共線図である。 両駆動モードでの動作状態を示す共線図である。 スリップ回転数マップの設定を示すグラフである。 出力回転数と容量係数、並びに出力回転数と入出力比の関係をそれぞれ示すグラフである。 第2モータジェネレータと係合機構との回転数トルク特性を示すグラフである。 実施形態に係る車両において実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 ハイブリッドモードでの発進時における第2モータジェネレータの回転数やロックアップクラッチの油圧などの変化を示すタイムチャートである。 図1に示す流体継手およびロックアップクラッチの位置を変更した車両の一例を示すスケルトン図である。
本発明の実施形態につき、以下に図面に従って説明する。図1において、車両1はハイブリッド車であり、エンジン(ENG)20と、第1及び第2モータジェネレータ(MG1,MG2)23,32とを駆動源とする。エンジン20は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関である。第1及び第2モータジェネレータ23,32は、界磁に永久磁石を使用した三相同期電動発電機である。
エンジン20と同一の軸線上に、エンジン20側から順に、オーバードライブ機構21、動力分割機構22、第1モータジェネレータ23が配置されている。
オーバードライブ機構21は、出力回転数をエンジン回転数より増大させるための機構であって、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。オーバードライブ機構21は、サンギヤS21と、サンギヤS21に対して同心円上に配置されたリングギヤR21と、サンギヤS21およびリングギヤR21に噛み合っているピニオンギヤを自転可能および公転可能に保持しているキャリヤC21とを備えている。そのキャリヤC21に、エンジン20から動力が伝達される入力軸24が連結されている。また、サンギヤS21とキャリヤC21とを選択的に連結する第1クラッチC1と、サンギヤS21を選択的に固定するブレーキB1とが設けられている。
したがって、クラッチC1を係合させることにより、オーバードライブ機構21の全体が一体となって回転するいわゆる直結段となり、オーバードライブ機構21での変速比は「1」になる。これに対して、ブレーキB1を係合させてサンギヤS21の回転を止めれば、キャリヤC21よりもリングギヤR21の回転数が高回転数になり、変速比が「1」よりも小さいいわゆるオーバードライブ段となる。また、第1クラッチC1およびブレーキB1を共に係合させれば、オーバードライブ機構21の全体が固定され、エンジン20の回転も止められる。さらに、第1クラッチC1およびブレーキB1を共に解放させれば、サンギヤS21が自由回転状態になるので、オーバードライブ機構21はトルク伝達を行わない。
上記のリングギヤR21は出力要素であって、動力分割機構22に動力を伝達するようになっている。動力分割機構22は、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。動力分割機構22は、サンギヤS22と、サンギヤS22に対して同心円上に配置されたリングギヤR22と、サンギヤS22およびリングギヤR22に噛み合っているピニオンギヤを自転可能および公転可能に保持しているキャリヤC22とを備えている。そのキャリヤC22に、オーバードライブ機構21におけるリングギヤR21が連結されている。動力分割機構22における出力要素はリングギヤR22であって、リングギヤR22に出力ギヤ25が連結されている。サンギヤS22に第1モータジェネレータ23が連結されていて、サンギヤS22が反力要素となっている。
サンギヤS22はサンギヤ軸に一体化されており、そのサンギヤ軸の内部を入力軸24が回転可能に貫通している。そして、入力軸24とサンギヤS22とを選択的に連結する第2クラッチCSが設けられている。この第2クラッチCSは、後述するように、シリーズモードを設定するためのクラッチである。
入力軸24と平行にカウンタ軸26が配置され、このカウンタ軸26には、径の大きいドリブンギヤ27と径の小さいドライブギヤ28とが一体回転するように設けられている。そのドリブンギヤ27に、前述した出力ギヤ25が噛み合っている。また、ドライブギヤ28には、終減速機であるデファレンシャルギヤ29におけるリングギヤ30が噛み合っている。駆動力はデファレンシャルギヤ29から左右の駆動輪31に伝達される。これらのドリブンギヤ27およびドライブギヤ28からなるギヤ列は、減速機構を構成している。なお、ドライブギヤ28およびデファレンシヤルギヤ29は、実際にはドリブンギヤ27と第2モータジェネレータ32との間に配置されているが、作図の都合上、図1には、ドライブギヤ28およびデファレンシヤルギヤ29を図1での右側に位置を変えて記載してある。
本発明における回転電機に相当する第2モータジェネレータ32が、入力軸24およびカウンタ軸26と平行に配置されている。さらに、第2モータジェネレータ32と同一軸線上に、係合機構34が配置されている。係合機構34は、ロックアップクラッチCLを有する流体継手33を備えている。流体継手33は、駆動側部材であるポンプインペラ35と、従動側部材であるタービンランナ36とを互いに対向させて配置し、ポンプインペラ35によって生起させたフルードの螺旋流をタービンランナ36に供給することにより、ポンプインペラ35とタービンランナ36との間でトルクを伝達するように構成されている。そしてそのポンプインペラ35が、第2モータジェネレータ32に連結されている。また、タービンランナ36と一体のタービン軸37が、第2モータジェネレータ32の中心部を貫通して前記ドリブンギヤ27側に延びている。そして、ドリブンギヤ27に噛み合っているドライブギヤ38が、タービン軸37に取り付けられている。
ロックアップクラッチCLは、ポンプインペラ35もしくはこれと一体の部材と、タービンランナ36もしくはこれと一体の部材と、を機械的に連結してトルクを伝達するクラッチである。ロックアップクラッチCLは油圧によって制御される摩擦クラッチであって、その係合力ひいては伝達トルク容量を連続的に変化させることが可能である。なおロックアップクラッチCLは、電磁力によって制御されるものであっても良い。ロックアップクラッチCLと直列に、ダンパ39が設けられている。ロックアップクラッチCLを有する流体継手33を備えた係合機構34は、従来知られているロックアップクラッチ付きトルクコンバータであってもよい。なお、流体継手33は、第2モータジェネレータ32の正逆双方向の回転に対してカップリング特性を有し、かつ正逆双方向で互いに類似の回転数トルク特性を有することとすれば、後進時の走破性を確保でき好適である。
係合機構34は、動力分割機構22から駆動輪31に至る動力伝達経路と、第2モータジェネレータ32との間に設けられている。したがって、流体継手33は、動力分割機構22からの機関トルク(エンジン20及び/又は第1モータジェネレータ23のトルク)が通る経路になく、したがって機関トルクに対応したトルク容量を備える必要がないため、小型化が可能である。また、係合機構34は第2モータジェネレータ32に関して、ドリブンギヤ27及びディファレンシャルギヤ29の反対側にあるため、係合機構34を備えていないタイプの駆動機構に後付けできるように、係合機構34を後付けのモジュールとして構成することができる。
エンジン20が出力した動力は、動力分割機構22によって、第1モータジェネレータ23側と出力ギヤ25側とに分割される。その場合、第1モータジェネレータ23は発電機として機能することにより、サンギヤS22に反力トルクを与える。第1モータジェネレータ23で発生した電力は、第2モータジェネレータ32に供給されて、第2モータジェネレータ32がモータとして機能し、その出カトルクが、ドリブンギヤ27において、出力ギヤ25から出力されたトルクに加えられる。各モータジェネレータ23,32は、図示しないインバータや蓄電装置を介して電気的に接続されている。
車両1の制御系統を図2にブロック図で示してある。各モータジェネレータ23,32を制御するモータジェネレータ用電子制御装置(MG−ECU)40と、エンジン20を制御するエンジン用電子制御装置(ENG−ECU)41とが設けられている。これらの電子制御装置40、41は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力された各種の信号あるいはデータに基づいて演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。MG−ECU40は、主として、第1モータジェネレータ23および第2モータジェネレータ32のそれぞれの電流(MG1電流、MG2電流)を制御するように構成されている。ENG−ECU41は、主として、エンジン20に対してその電子スロットルバルブ(図示せず)の開度を指令する電子スロットル開度信号や、点火およびその時期を指令する点火信号を出力するように構成されている。
これらの電子制御装置40、41に対して指令信号を出力し、併せて前述した各クラッチC1、CS,CLやブレーキB1の係合および解放の制御や伝達トルク容量の制御を行うハイブリッド用電子制御装置(HV−ECU)42が設けられている。このHV−ECU42は、前述した各電子制御装置40,41と同様に、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力された各種の信号あるいはデータに基づいて演算を行い、その演算結果を制御指令信号として出力するように構成されている。その入力されるデータを例示すると、駆動輪31の近傍に設けられた車速センサ50による検出データ、アクセル開度センサ51による検出データ、第1モータジェネレータ(MG1)の回転数センサ52による検出データ、第2モータジェネレータ(MG2)の回転数センサ53による検出データ、出力軸(例えば前記カウンタ軸)の回転数センサ54による検出データ、走行用の蓄電装置の充電残量を示すSOC(State Of Charge)センサ55による検出データ、オフロードを走行するためのクロール制御をオン状態にするオフロードスイッチ56からの信号、車体に設けられた加速度センサ57による検出データ、GPS装置および地図情報データベースを備え路面の勾配を算出可能に構成された車載のカーナビゲーションシステム58からの勾配データなどである。また、出力する指令信号を例示すれば、第1モータジェネレータ(MG1)のトルク指令(電流指令)および第2モータジェネレータ(MG2)のトルク指令(電流指令)が前記MG−ECU40に出力され、エンジントルク指令が前記ENG−ECU41に出力される。さらに、各クラッチC1,CS,CLおよびブレーキB1の制御油圧PbC1,PbCS,PbCL,PbB1が、HV−ECU42から出力される。
上記の各モータジェネレータ23,32をモータあるいは発電機として機能させ、また各クラッチCL,CSやブレーキB1を係合あるいは解放の状態に制御することにより、各種の走行モードが設定される。図3に走行モードをまとめて示してある。
ハイブリッドモード(HV)は、エンジン20と各モータジェネレータ23,32とによって駆動力を発生させて走行するモードであり、パラレルモードとシリーズモードとを選択可能である。パラレルモードでの前進は、前述したオーバードライブ機構21をオーバードライブ段(ハイ)に設定した走行と、直結段(ロー)に設定した走行とが可能である。オーバードライブ段はブレーキB1のみを係合させて設定され、その場合、第1モータジェネレータ23は発電機(G)として機能させられて、エンジン20の回転数を燃費の良い回転数に制御する。第1モータジェネレータ23で発生した電力は、第2モータジェネレータ32に供給されて、第2モータジェネレータ32がモータ(M)として機能する。これに対して直結段は、第1クラッチC1のみを係合させることにより設定され、その場合の各モータジェネレータ23,32の機能は、オーバードライブ段で走行する場合と同様である。
図4は、ハイブリッドモードで走行している場合における、オーバードライブ機構21を構成している遊星歯車機構、および動力分割機構22を構成している遊星歯車機構についての共線図を示している。図4の左側がオーバードライブ機構21についての共線図であり、右側が動力分割機構22についての共線図である。
前進時、ブレーキB1によってサンギヤS21が固定されてキャリヤC21がエンジン20によって回転させられるので、リングギヤR21がエンジン回転数よりも高速で回転する。すなわち、変速比が「1」よりも小さいオーバードライブ段となる。動力分割機構22でキャリヤC22が、オーバードライブ機構21におけるリングギヤR22と共に回転し、そのトルクは正方向(エンジン20の回転方向)のトルクとなる。その状態で第1モータジェネレータ23が発電機として機能し、その負方向(回転を止める方向)のトルクがサンギヤS22に作用し、それに伴う正方向のトルクがリングギヤR22に作用する。すなわち、エンジン20の動力がサンギヤS22側とリングギヤR22側とに分割される。そして、第1モータジェネレータ23で発電した電力が第2モータジェネレータ32に供給されて、第2モータジェネレータ32がモータとして機能するので、そのトルクが前記リングギヤR22から出力されるトルクに加算されて、駆動輪31に向けて出力される。
オーバードライブ機構21で直結段を設定した場合の動作状態を図4に破線で示してある。なお、後進走行は、エンジン20が出力する動力によって第1モータジェネレータ23を回転させて発電し、その電力によって第2モータジェネレータ32を負の回転方向にモータとして機能させて行う。
シリーズモードは、エンジン20によって第1モータジェネレータ23を発電機として駆動し、その電力で第2モータジェネレータ32をモータとして駆動することにより走行するモードである。シリーズモードでは、第2クラッチCSのみを係合させることにより、エンジン20の動力を第1モータジェネレータ23に伝達し、第1モータジェネレータ23が発電機(G)として機能する。第2モータジェネレータ32は第1モータジェネレータ23で発生した電力が給電されてモータ(M)として機能し、正回転して前進走行し、また負方向に回転して後進走行する。
図5は、シリーズモードで走行する場合における、オーバードライブ機構21を構成している遊星歯車機構、および動力分割機構22を構成している遊星歯車機構についての共線図を示している。図5の左側がオーバードライブ機構21についての共線図であり、右側が動力分割機構22についての共線図である。
前進時、エンジン20の動力が第2クラッチCSを介して第1モータジェネレータ23に伝達されて、第1モータジェネレータ23が正方向に回転し、発電を行う。また、動力分割機構22におけるサンギヤS22が正回転させられるが、キャリヤC22にリングギヤR21が連結されているオーバードライブ機構21では、サンギヤS21が空転するので、動力分割機構22におけるキャリヤC22に反力が生じず、その結果、リングギヤR22にはエンジン20の動力が伝達されない。一方、第1モータジェネレータ23で発生した電力によって、第2モータジェネレータ32が正方向に回転してトルクを出力するので、車両1が前進走行する。その場合、動力分割機構22のリングギヤR22は正方向に回転させられる。なお、後進時には、第2モータジェネレータ32が負方向に回転する。
つぎに、EVモードについて説明する。EVモードは、エンジン20の動力を使用せずに、蓄電装置の電力で走行するモードであり、したがって車両1は電気自動車(EV:Electric Vehicle)として走行する。第2モータジェネレータ32は、流体継手33もしくはロックアップクラッチCLを介して駆動輪37に連結されているので、EVモードでは主として第2モータジェネレータ32が駆動力源として動作し、駆動力もしくは制動力が不足する場合に第1モータジェネレータ23が併用される。すなわち、第2モータジェネレータ32のみを使用する単駆動モードと、両方のモータジェネレータ23,32を使用する両駆動モードとが可能である。
単駆動モードでは、第2モータジェネレータ32のみが駆動力源として動作するので、各クラッチC1,CSおよびブレーキB1は解放し、また第1モータジェネレータ23は特に制御せずに、力行および回生のいずれも行わない。そして、第2モータジェネレータ32は駆動時にはモータ(M)として機能し、制動時には発電機(G)として機能する。回生に伴う制動力が不足する場合には、第1クラッチC1とブレーキB1との少なくともいずれか一方が係合させられる。また、各モータジェネレータ23,32が発電機(G)として機能し、発電に伴う負トルクが制動力として作用する。
図6は、単駆動モードで走行する場合における、オーバードライブ機構21を構成している遊星歯車機構、および動力分割機構22を構成している遊星歯車機構についての共線図を示している。図6の左側がオーバードライブ機構21についての共線図であり、右側が動力分割機構22についての共線図である。
前進時、第2モータジェネレータ32のみが駆動力を出力するから、動力分割機構22におけるリングギヤR22が正回転する。サンギヤS22には、第1モータジェネレータ23のコギングトルクが作用している。また、オーバードライブ機構21のリングギヤR21に連結されているキャリヤC22には、オーバードライブ機構21のサンギヤS21が空転することにより、その回転を止める方向のトルク(負トルク)が殆ど掛かっていない。したがってリングギヤR22が車速に応じた回転数で回転し、サンギヤS22が停止している程度の低回転数で回転し、さらにキャリヤC22がリングギヤR22よりも低速で回転する。一方、オーバードライブ機構21では、エンジン20に連結されているキャリヤC21が停止しており、リングギヤR21が動力分割機構22におけるキャリヤC22と同速度で回転し、それに伴ってサンギヤS21が負方向に回転する。このようなオーバードライブ機構21および動力分割機構22における各回転要素の回転は、第2モータジェネレータ32によってカウンタ軸26上のドリブンギヤ27が回転させられることに伴ういわゆる連れ回りである。なお、第2モータジェネレータ32が負方向に回転して駆動力を出力することにより後進走行する。
両駆動モードは、第1クラッチC1およびブレーキB1が係合し、かつ各モータジェネレータ23,32が共にモータ(M)として動作する走行モードである。その状態を図7に共線図で示してある。オーバードライブ機構21は、第1クラッチC1が係合してその全体が一体化され、その状態でブレーキB1が係合することにより、オーバードライブ機構21の全体の回転が止められる。したがって、そのリングギヤR21に連結されている動力分割機構22のキャリヤC22が固定され、その状態で第1モータジェネレータ23が負回転方向にモータとして動作する。したがって、第1モータジェネレータ23によるトルクがリングギヤR22から正回転方向のトルクとして出力される。また、第2モータジェネレータ32が正回転方向にモータとして動作する。したがって、第2モータジェネレータ32のトルクが、出力ギヤ25から出力されるトルクに加算される。後進時には、各モータジェネレータ23,32のトルクの方向が前進時とは反対になる。
図1に示す車両1では、エンジン20および各モータジェネレータ23,32が駆動力源となっており、上述したいずれの走行モードであっても第2モータジェネレータ32がモータとして機能し、トルクを出力する。したがって、発進時や低車速状態から加速する加速時などに、第2モータジェネレータ32が単相ロック状態に陥る可能性がある。そこで本実施形態では、単相ロックもしくはこれに類する状態の生じることが判定された場合に、(i)第2モータジェネレータ32の出力トルクを低回転時トルクTm0に制限すると共に、(ii)ロックアップクラッチCLを滑り状態に制御するように構成されている。この滑り状態での制御を本明細書ではスリップ制御という。スリップ制御では、ロックアップクラッチCLを介してポンプインペラ35からタービンランナ36に動力が伝達され、且つ、ポンプインペラ35の回転数がタービンランナ36の回転数よりも大となる。本明細書にいうスリップ制御は、ロックアップクラッチCLの完全解放状態を含まない。そして、ロックアップクラッチCLの滑り状態の度合いが過大であることに起因する伝達トルクTLの不足を抑制すべく、本実施形態は、タービンランナ36(従動側部材)の回転数又はこれに相関するパラメータが大きいほど、ポンプインペラ35(駆動側部材)とタービンランナ36(従動側部材)との回転数差が小さくなるように、ロックアップクラッチCLの係合力を制御するように更に構成されている。
図8に示されるスリップ回転数マップが、予め作成され、HV−ECU42のROMに格納されている。このスリップ回転数マップは、係合機構34の出力回転数Noutと、差回転目標値ΔNtgtとを、互いに関連付けて記憶させたものである。差回転目標値ΔNtgtは、係合機構34の入力回転数Ninと、出力回転数Noutとの差である差回転ΔN=Nin−Noutの目標値である。入力回転数Ninは、第2モータジェネレータ32の回転数であり、MG2回転数センサ53によって検出される。出力回転数Noutは、タービンランナ36の回転数であり、出力軸回転数センサ54によって検出される。このスリップ回転数マップを用いて、係合機構34の出力回転数Noutから、差回転目標値ΔNtgtを算出することができる。
流体継手33と、ロックアップクラッチCLとは、動力の伝達に関して互いに並列の関係にある。ロックアップクラッチCLの完全係合時(すなわち滑り無しで係合している場合)には、係合機構34は実質的にロックアップクラッチCLのみが動力を伝達するため、入力回転数Ninは、出力回転数Noutと等しくなり、したがってNin=Nout線のとおり推移することになる。
ロックアップクラッチCLの解放時(すなわち完全に解放している場合)には、係合機構34は実質的に流体継手33のみが動力を伝達するため、入力回転数Nin0は、アクセル開度に応じたNin軸上の切片N0に開始すると共に、Nin=Nout線に漸近する。Nin0線とNin=Nout線との差が、ロックアップクラッチCLの解放時の差回転数ΔN0である。
そして差回転目標値ΔNtgtは、Nin軸上の切片N1に開始すると共に、出力回転数Noutが大きいほど小さい値をとり、出力回転数NoutがN1になったところで0に至る。その結果、出力回転数Noutが0から漸増する過程において、この差回転目標値ΔNtgtに等しいスリップ回転数になるようにロックアップクラッチCLの係合力を制御した場合には、入力回転数Nin1は、切片N1で開始し、出力回転数NoutがN1に達するまで同じ値N1で推移し、出力回転数NoutがN1に達すると、その後は出力回転数Noutの増大に応答して、Nin=Nout線に沿って増大することになる。
このようなロックアップクラッチCLの係合力の制御の過程において、図9に示されるように、流体継手33の容量係数τは、切片τ1で開始すると共に、出力回転数NoutがN1に達した時点、すなわち差回転目標値ΔNtgtが0に達しロックアップクラッチCLが完全係合した時点で、0となる。他方、入出力比e(=Nout/Nin)は、0で開始すると共に直線的に増大し、出力回転数NoutがN1に達した時点で1に達する。
さらに、このようなロックアップクラッチCLの係合力の制御の過程においては、図10に示されるように、流体継手33による伝達トルクTf=τ*Nin^2は、低回転時トルクTm0で開始すると共に、入力回転数NinがN1に達した時点、すなわち差回転目標値ΔNtgtが0に達しロックアップクラッチCLが係合した時点で、0となる。他方、ロックアップクラッチCLによる伝達トルクTcは、0で開始すると共に二次曲線的に増大し、入力回転数NinがN1に達した時点で、低回転時トルクTm0に達する。この過程において、流体継手33による伝達トルクTfと、ロックアップクラッチCLによる伝達トルクTcとの合計は、常に低回転時トルクTm0であるが、流体継手33によるトルクの伝達割合が低減され、且つロックアップクラッチCLによるトルクの伝達割合が増大させられる。
他方、第2モータジェネレータ32は、図10に示されるように、出力回転数Nsまでを、トルクTmが低回転時トルクTm1又はTm0で一定である定トルク領域とし、出力回転数Ns以上では、回転数が高いほど電動機トルクTmが減少するように制御される。単相ロックが予想されない通常の運転時には、低回転時トルクTm1が用いられ、単相ロックが予想される場合には、低回転時トルクTm0が用いられる。低回転時トルクTm0は、図10に示される単相ロック領域の下限値、もしくはこれよりも低い値に設定されている。低回転時トルクTm1,Tm0は、各種の運転モードにおける低速域の駆動トルク要求を満足する値に設定される。低回転数の領域では逆起電力が小さいため、大電流を供給して大トルクで運転することも可能であるが、ジュール熱(電流の二乗に比例する)に対するモータ及びインバータの温度上昇制約から、トルクを一定値以下に制限している。これに対し、回転数Ns以上において、回転数が高いほど電動機トルクTmが減少するように制御する理由は、インバータから印加できる最大電圧と、モータの逆起電力との電位差が、回転数増に伴い小さくなることが主要因となっている。
しかしながら、本実施形態の機械的構成において、低回転時トルクTm0の選択時に、仮にロックアップクラッチCLを完全に解放した場合、流体継手33のみによって動力が伝達されることになるため、係合機構34全体の容量係数τが低下し、伝達トルクTL=τ*Nin^2が減少する。第2モータジェネレータ32からのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTLとの交点で駆動軸に伝達される。その結果、係合機構34を介した伝達トルクが、例えば図10における伝達トルクTL1(すなわち、流体継手33のみによる伝達トルク)のように高回転側に移行し、電動機トルクTmとの交点Aのトルク値が、定トルク領域における値Tm0よりも顕著に小さくなってしまう(なお、流体継手33を有せずクラッチのみを有する係合機構を用いる場合には、ロックアップクラッチCLの完全解放に伴って、係合機構34の伝達トルクはTL0のように更に低い値になる)。このため、入力回転数Ninは増大するものの、係合機構34を介して駆動軸に伝達されるトルクが減少し、駆動軸のトルクが不十分となってしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態では、図8で示されるように、差回転目標値ΔNtgtを、Nin軸上の切片N1に開始すると共に、出力回転数Noutが大きいほど小さい値をとり、出力回転数NoutがN1になったところで0に至るように設定しており、且つ、この出力回転数N1は、定トルク領域の上限である出力回転数Nsよりも小さい。したがって、この差回転目標値ΔNtgtに等しいスリップ回転数になるようにロックアップクラッチCLの係合力を制御した場合には、図10で示されるように係合機構34の伝達トルクが、ロックアップクラッチCLと流体継手33との伝達トルクの和である伝達トルクTL2に等しくなり、第2モータジェネレータ32からのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTL2との交点Bで、駆動軸に伝達される。このため、入力回転数NinはN1で維持され、それよりも大きい値には上昇しない。すなわち、流体継手33及びロックアップクラッチCLを備えた係合機構34を介した伝達トルクが、第2モータジェネレータ32の出力トルクが所定値以上となる回転数領域内で、第2モータジェネレータ32の出力トルクと一致するように、ロックアップクラッチCLの係合力が制御される。したがって、係合機構34を通じた伝達トルクを、低回転時トルクTm0のように所定値以上の値に維持することができる。
図11は、本実施形態における制御例を説明するためのフローチャートである。このルーチンは、車両1が走行している場合、あるいは電源部がオンになっている場合に、所定のサイクルタイムΔtごとに繰返し実行される。
ルーチンのスタート後に先ず、HV−ECU42は、単相ロックの可能性を判定する(ステップS10)。この判断は、路面の勾配の予測または計測に基づいて行われ、勾配の大きい登坂路では肯定される。これに対し、平坦路や勾配の小さい登坂路では、第2モータジェネレータが大トルクになっても車速がすぐに上昇するので、第2モータジェネレータ32の動作状態が単相ロック状態になる可能性がないとみなすことができ、したがって、ステップS10で否定される。路面の勾配の予測または計測は、例えば、車速センサ50、加速度センサ57、カーナビゲーションシステム58などの出力のうち少なくともいずれかに基づいて行うことができる。
なお、上述したオフロードスイッチ56は、大きい勾配の登坂路を走行するなどの低車速かつ高トルクで走行する場合に「オン」とされるのが通常であるから、オフロードスイッチ56が「オン」である場合に「単相ロックの可能性あり」と判断しても良い。
ステップS10で否定の場合には、HV−ECU42は、ロックアップクラッチCLを完全係合させるために、ロックアップクラッチCLの差回転目標値ΔNtgtを0に設定する(ステップS70)。この処理によって、ロックアップクラッチCLを滑りのないいわゆる完全係合状態に制御するので、係合機構34における滑りに起因する動力損失が無くなり、エネルギ効率を向上させることができる。
ステップS10で肯定の場合には、次にHV−ECU42は、現在の運転状態が、第2モータジェネレータ32のトルク(もしくは電流値)と回転数とのマップ上の領域として定められる「単相ロック領域」(図10参照)に入っているかを判断する(S20)。例えば、第2モータジェネレータ32の回転数およびトルクのそれぞれに閾値を予め設定しておき、検出された回転数がその閾値以下であり、かつトルクがその閾値以上であるときに、HV−ECU42は、単相ロック状態になる可能性があるとの判定を行う。第2モータジェネレータ32の回転数やトルク(もしくは電流値)は、所定のセンサによって検出でき、また車速の変化やアクセル開度(駆動要求量)などに基づいて推定することができる。
ステップS20で肯定された場合(すなわち、単相ロックが予想される場合)には、HV−ECU42は、第2モータジェネレータ32のトルクTmを、低回転時トルクTm0に一時的に制限する(ステップS30)。これによって、単相ロックが予想される場合には、低回転時トルクTm0が用いられ、単相ロックが回避ないし抑制される。他方、ステップS20で否定の場合には、HV−ECU42は、第2モータジェネレータ32のトルク制限を行わずに低回転時トルクTm1を適用する(ステップS60)。
ステップS30またはS60の処理の後、HV−ECU42は、図8のスリップ回転数マップに従って、現在の差回転目標値ΔNtgtを算出する(ステップS40)。具体的には、HV−ECU42は、係合機構34の出力回転数Noutとして、出力軸回転数センサ54の検出値を読み込み、読み込んだ値によってスリップ回転数マップを参照することによって、対応する差回転目標値ΔNtgtを算出する。
次に、HV−ECU42は、算出された差回転目標値ΔNtgtに実際の差回転ΔN=Nin−Noutが一致するように、ロックアップクラッチCLの係合力をフィードバック制御する(ステップS50)。具体的には、MG2回転数センサ53によって検出される入力回転数Ninと、出力軸回転数センサ54によって検出値される出力回転数Noutとの差回転ΔN=Nin−Noutが、差回転目標値ΔNtgtよりも大きければ、ロックアップクラッチCLへの制御油圧PbCLを増大側(係合側)に所定量だけ変更し、小さければ制御油圧PbCLを減少側(解放側)に所定量だけ変更する。ステップS20からS50までの処理は、サイクルタイムΔtごとに繰返し実行され、これによって、差回転ΔN=Nin−Noutは、差回転目標値ΔNtgtと所定範囲内で一致させられることになる。
以上の処理の結果、本実施形態では、単相ロックの可能性の判定あるいは推定(ステップS10)が成立しない場合に、ロックアップクラッチCLを滑りのないいわゆる完全係合状態に制御するので(ステップS90)、係合機構34における滑りによる動力損失が無くなり、エネルギ効率を向上させることができる。
他方、単相ロックの可能性の判定あるいは推定(ステップS10)が成立し、且つ現在の第2モータジェネレータ32のトルク(もしくは電流値)と回転数が単相ロック領域に入っている場合(ステップS20)に、第2モータジェネレータ32のトルクTmが、低回転時トルクTm0に制限されるので(ステップS30)、単相ロックを回避することができる。そして、この場合に更に、従動側部材であるタービンランナ36の回転数(出力回転数Nout)が大きいほど、駆動側部材であるポンプインペラ35と従動側部材であるタービンランナ36との回転数差すなわち差回転ΔNが小さくなるように、ロックアップクラッチCLの係合力を制御したので、従動側部材の回転数が大きいほど、ロックアップクラッチCLが係合側に制御されることによって、第2モータジェネレータ32の回転数の上昇が抑制される。このため、図10で示されるように、係合機構34の伝達トルク特性が、伝達トルクTL2に等しくなり、第2モータジェネレータ32からのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTL2との交点Bで駆動軸に伝達される。このため、入力回転数NinはN1で維持され、それよりも大きい値には上昇しない。したがって、電動機のトルク特性に起因する駆動軸トルクの低減を抑制することができる。
また、本実施形態では、差回転目標値ΔNtgtを、出力回転数Nout=N1で0に至るように設定し、且つ、この出力回転数N1を、定トルク領域の上限である出力回転数Nsよりも小さくしたので、係合機構34を通じた伝達トルクを、低回転時トルクTm0に維持することができる。
また、本実施形態では、従動側部材の低回転域において、ロックアップクラッチCLが解放側に制御されるので、低回転域におけるロックアップクラッチCLの発熱及び磨耗を抑制することができる。
図12は、本実施形態の装置による制御を行った場合の第2モータジェネレータ(MG2)32の回転数やロックアップクラッチCLの油圧などの変化を示すタイムチャートである。
初期状態(t1以前)として、車両1が停止(駆動輪回転数がゼロ)している状態で、アクセルペダル(図示せず)が僅かに踏み込まれ、それに伴ってエンジン回転数が、アイドル回転数程度もしくはそれより僅かに大きい回転数になっている。
この状態でアクセルペダルが踏み込まれて(i)アクセル開度が増大すると(t1時点)、エンジン回転数およびエンジントルクが増大し(ii)、さらに、第2モータジェネレータ32の出カトルクが増大させられる(iii)。その時点では、車両1は発進していないので、第2モータジェネレータ32の回転は止まっている。そのため、アクセルペダルの踏み込み量の増大による要求トルクの増大に伴い、第2モータジェネレータ32の動作状態が単相ロック領域内に入っていることの判定がやがて成立する(t2時点、ステップS20)。
単相ロック領域内との判定の成立に応答して、第2モータジェネレータ32のトルクTmが、低回転時トルクTm0に制限(iv)される(ステップS30)。また、スリップ回転数マップに従って算出(ステップS40)された差回転目標値ΔNtgtに実際の差回転ΔN=Nin−Noutが一致するように、ロックアップクラッチCLの係合力がフィードバック制御される(ステップS50)。このフィードバック制御により、ロックアップクラッチCLの油圧PbCLが、完全係合状態から、スリップ状態に相当する値にまで、直ちに低下させられる(v)。ロックアップクラッチCLの油圧PbCLは、まずステップ的に低下させられ、その後は所定の速度で徐々に低下させられる。このようなロックアップクラッチCLの油圧PbCLの低下に応じて、第2モータジェネレータ32の回転数が増大し始める(vi)。このような第2モータジェネレータ32のトルクの抑制(iv)、及びロックアップクラッチCLの係合力の低下(スリップ状態の許容)による第2モータジェネレータ32の回転数の増大(vi)によって、単相ロックが回避ないし抑制される。
第2モータジェネレータ32の動作状態が単相ロック領域から外れると、第2モータジェネレータ32のトルク制限が解除されて低回転時トルクTm1が適用される。このため、第2モータジェネレータ32のトルクTmが、再び上昇を開始し(ix)、やがてアクセルペダルの踏み込み量(ドライバの要求駆動力)に対応した値となる(xi)。
ロックアップクラッチCLの油圧PbCLが低下しても、流体継手33によるトルク伝達が行われ、また第2モータジェネレータ32のトルクTmが増大される結果、やがて出力回転数Noutが増大(vii)を開始し、車両1が発進する。この出力回転数Noutの増大に伴う差回転目標値ΔNtgtの減少に応じて、ロックアップクラッチCLの油圧PbCLが上昇に転じる(x)。そして、出力回転数Noutが回転数N1(図10参照)に達し、ロックアップクラッチCLによるトルクの伝達割合が増大すると、図10で示されるように係合機構34の伝達トルクがTL2に等しくなり、第2モータジェネレータ32からのトルクは、電動機トルクTmと伝達トルクTL2との交点Bで駆動軸に伝達されることになる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、種々の変形例が可能である。例えば、単相ロックになり易い程度、あるいは単相ロックの程度を3段階以上の多段階的あるいは比例的に算出し、その算出された程度に応じて、スリップ回転数を補正するように構成することもできる。その場合、単相ロックの生じやすい程度あるいは単相ロックの程度は、オフロ一ドスイッチのオンあるいはオフ、車輪の回転数、登坂路の勾配、アクセル開度あるいはそれに基づく要求トルクなどに基づいて求めることができる。こうして求められた単相ロックになり易い程度あるいは単相ロックの程度が高い場合、すなわち単相ロックに更になり易く、あるいは熱負荷がより大きい単相ロックの場合には、スリップ制御の量すなわち流体継手における相対回転数を、より高回転数とするのが好適である。また逆に、本発明においてスリップ制御を実行すべき所定の運転状態は、単相ロック予想時に限られない。
上記実施形態では、従動側部材(タービンランナ36)の回転数として、カウンタ軸26の回転数である出力回転数Noutを用いて制御を行ったが、これに代えて、タービンランナ36の回転数に相関する他のパラメータ、例えば車速センサ50によって検出される車速を用いて制御を行っても良い。
上記実施形態では、図8に示される差回転目標値ΔNtgtの設定において、差回転目標値ΔNtgtが0に至る出力回転数N1を、定トルク領域の上限である出力回転数Nsよりも小さくしたが、差回転目標値ΔNtgtが0に至る出力回転数N1は、出力回転数Nsよりもある程度大きくてもよく、電動機トルクTmと伝達トルクTLとが交わる点のトルク(すなわち伝達トルク)が所定値以上となるように、任意の値に定めることができる。
また上記実施形態では、運転状態が単相ロック領域内にあることが判定された場合に、第2モータジェネレータ32の出力トルクを低回転時トルクTm0に制限したが(ステップS30)、ここでの判断は、任意の別の手法、例えばアクセル開度センサ51によって検出される現在のアクセル開度に対応する第2モータジェネレータ32の予想熱負荷を求め、求めた熱負荷が所定値以上か否かを判定することにより行ってもよい。ここでの「所定値」は、第2モータジェネレータ32や回路が損傷しない範囲あるいは耐久性が低下しない範囲での最大値であってもよいが、これ以外に、制御応答性の遅れや安全率などを見込んで、上記の最大値より小さい値であってもよい。また、ステップS30のようなトルク制限は行わなくても良い。
また、この発明における制御の対象である車両は、走行のための駆動力を出力する電動機と駆動輪との間の伝動経路に、流体継手と係合機構とが並列に配置された車両であればよい。したがって、例えば前述した流体継手33とロックアップクラッチCLとは、図13に示すように、カウンタ軸26上でドリブンギヤ27とドライブギヤ28との間に配置されていてもよい。また、本発明は内燃機関を有しない電動車両にも適用することができる。
1 車両
20 エンジン
21 オーバードライブ機構
22 動力分割機構
23 第1モータジェネレータ(MG1)
31 駆動輪
32 第2モータジェネレータ
33 流体継手
34 係合機構
CL ロックアップクラッチ
35 ポンプインペラ
36 タービンランナ
40 モータジェネレータ用電子制御装置(MG−ECU)
41 エンジン用電子制御装置(ENG−ECU)
42 ハイブリッド用電子制御装置(HV−ECU)

Claims (1)

  1. 車両の駆動輪に動力を出力する駆動装置であって、
    回転電機と、当該回転電機と前記駆動輪とを結合する動力伝達機構中に設けられた係合機構と、を備え、
    当該係合機構は、ロックアップクラッチを有する流体継手を備え、
    前記流体継手は、前記回転電機に連結された駆動側部材と前記駆動輪に連結された従動側部材とを備え、前記駆動側部材と前記従動側部材とが相対回転しつつ流体を介してトルクを伝達するように構成されており、
    前記ロックアップクラッチは、前記駆動側部材と前記従動側部材とを、可変な係合力で係合するように構成されており、
    前記駆動装置は更に、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するように構成されたコントローラを備え、
    前記コントローラは、前記ロックアップクラッチを介して前記駆動側部材から前記従動側部材に動力が伝達され且つ前記駆動側部材の回転数が前記従動側部材の回転数よりも大となるスリップ制御を、所定の運転状態で実行し、且つ、
    当該スリップ制御の実行時には、前記従動側部材の回転数又はこれに相関するパラメータが大きいほど、前記駆動側部材と前記従動側部材との回転数差が小さくなるように、前記ロックアップクラッチの係合力を制御するように更に構成されていることを特徴とする車両の駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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