(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る二重保管庫1の正面図である。図2は、二重保管庫1の第一扉13が開いた状態を示す図である。図3は、二重保管庫1の第二扉44が開いた状態を示す図である。図4は、図1のA−A線における断面図である。図5は、図4のB−B線における断面図である。
なお、以下の説明において、図1に示された二重保管庫1が設置される設置面FLに垂直な方向を、上下方向Dvと称する。図1に示された二重保管庫1における水平方向を、左右方向Dhと称する。上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に対して直交する方向を、前後方向Dfと称する。
図1から図5に示すように、二重保管庫1は、耐火庫10と防水庫40とを備える。耐火庫10は、内部に第一収容空間16が形成され、第一収容空間16が開口する第一開口部18を有する第一筐体12と、第一筐体12に設けられ、第一開口部18を閉塞可能な第一扉13と、を備える。防水庫40は、第一収容空間16内に配置されている。
本実施形態では、第一筐体12は箱形に形成されており、その内部に第一収容空間16が形成されている。第一筐体12は前後方向Dfにおける一方の端部12Aのみが開口するように構成されており、この端部12Aに第一開口部18が形成されている。第一開口部18には、第一収容空間16が前後方向Dfに開口した開口18Aが形成されている。また、第一開口部18は、第一筐体12の端部12Aに設けられ、開口18Aを前後方向Df回りに囲むように形成された周縁部20を有する。
第一筐体12の筐体壁は、金属製の板材により表面が構成され、その内部に水分を含むコンクリートが充填されて構成されている。このコンクリートは耐火材として機能する。火災発生時に外部温度が上昇した際には、コンクリートに含まれる水分が気化し、この気化熱により第一収容空間16内の温度の上昇を緩和させる。
第一筐体12の端部12Aには、第一開口部18を閉塞可能な第一扉13が設けられている。本実施形態では、第一扉13は、左扉体(第一扉体、第二扉体)14と右扉体(第一扉体、第二扉体)15とから構成される両開き扉である。第一扉13は、左扉体14が第一開口部18の左右方向Dhにおける左側半分を閉塞可能であり、右扉体15が第一開口部18の左右方向Dhにおける右側半分を閉塞可能であるように構成されている。左扉体14は、第一筐体12の端部12Aにおける左右方向Dhの左側端部(第一端部、第二端部)12ALに支持されている。より詳細には、左扉体14の左側端部14Lと第一筐体12の左側端部12ALとの間に、左側端部14Lと左側端部12ALとを接続する蝶番22Lが設けられている。蝶番22Lは、上下方向Dvに平行な回動中心O22Lを有する。よって、左扉体14の左側端部14Lは、蝶番22Lを介して回動中心O22L回りに回動可能に第一筐体12の左側端部12ALに支持されている。また、右扉体15は、左側端部12ALとは異なる第一筐体12の端部12Aにおける左右方向Dhの右側端部(第一端部、第二端部)12ARに支持されている。より詳細には、右扉体15の右側端部15Rと第一筐体12の右側端部12ARとの間に、右側端部15Rと右側端部12ARとを接続する蝶番22Rが設けられている。蝶番22Rは、上下方向Dvに平行な回動中心O22Rを有する。よって、右扉体15の右側端部15Rは、蝶番22Rを介して回動中心O22R回りに回動可能に第一筐体12の右側端部12ARに支持されている。
なお、左扉体14の背面(第一開口部18を向く面)14bは、第一筐体12の第一収容空間16側の上面12tに固定された規制部材23Lに接続されている。規制部材23Lは左扉体14の回動範囲を規制しており、規制部材23Lにより左扉体14は所定の範囲内で回動中心O22L回りに回動可能である。同様に、右扉体15の背面(第一開口部18を向く面)15bは、第一筐体12の第一収容空間16側の上面12tに固定された規制部材23Rに接続されている。規制部材23Rは、右扉体15が所定の範囲内で回動中心O22R回りに回動するように規制している。規制部材23Lおよび規制部材23Rは、公知の構成を採用することができる。
第一筐体12の筐体壁と同様に、第一扉13の左扉体14および右扉体15は、金属製の板材により表面が構成され、その内部に水分を含むコンクリートが充填されて構成されている。このコンクリートは耐火材として機能する。火災発生時に外部温度が上昇した際には、コンクリートに含まれる水分が気化し、この気化熱により第一収容空間16内の温度の上昇を緩和させる。
第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において、第一扉13の第一合わせ面13Sと第一開口部18の第二合わせ面18Sとが対向している。第一合わせ面13Sは、第一開口部18に沿う複数の面25により段状に構成され、第二合わせ面18Sは、第一合わせ面13Sに係合する段状に構成されている。
本実施形態では、第一合わせ面13Sは、左扉体14の上端部14Tに形成された上部合わせ面14STと、左扉体14の下端部14Bに形成された下部合わせ面14SBと、左扉体14の左側端部14Lに形成された左側部合わせ面14SLと、右扉体15の上端部15Tに形成された上部合わせ面15STと、右扉体15の下端部15Bに形成された下部合わせ面15SBと、右扉体15の右側端部15Rに形成された右側部合わせ面15SRと、を含む。第二合わせ面18Sは、第一開口部18の周縁部20の上側部分20Tに形成された上部合わせ面20STと、周縁部20の下側部分20Bに形成された下部合わせ面20SBと、周縁部20の左側部分20Lに形成された左側部合わせ面20SLと、周縁部20の右側部分20Rに形成された右側部合わせ面20SRと、を含む。第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において、左扉体14の上部合わせ面14STは、第一開口部18の上部合わせ面20STにおける左右方向Dhの左側部分20STLと対向している。左扉体14の下部合わせ面14SBは、第一開口部18の下部合わせ面20SBにおける左右方向Dhの左側部分20SBLと対向している。左扉体14の左側部合わせ面14SLは、第一開口部18の左側部合わせ面20SLと対向している。右扉体15の上部合わせ面15STは、第一開口部18の上部合わせ面20STにおける左右方向Dhの右側部分20STRと対向している。右扉体15の下部合わせ面15SBは、第一開口部18の下部合わせ面20SBにおける左右方向Dhの右側部分20SBRと対向している。右扉体15の右側部合わせ面15SRは、第一開口部18の右側部合わせ面20SRと対向している。
左扉体14の上部合わせ面14STは、上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に平行な複数の平面26vhと、左右方向Dhおよび前後方向Dfの各々に平行な複数の平面26hfと、により段状に構成されている。より詳細には、上部合わせ面14STは、平面26vhと平面26hfとが交互に配置された段状に構成されている。第一開口部18の上部合わせ面20STの左側部分20STLは、左扉体14の上部合わせ面14STの形状に対応して、左扉体14の上部合わせ面14STに係合する段状に構成されている。また、右扉体15の上部合わせ面15STは、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において、左扉体14の上部合わせ面14STの形状と左右方向Dhに連続するような段状に構成されている。第一開口部18の上部合わせ面20STの右側部分20STRは、右扉体15の上部合わせ面15STの形状に対応して、右扉体15の上部合わせ面15STに係合する段状に構成されている。このため、第一開口部18の上部合わせ面20STの左側部分20STLと右側部分20STRとは、左右方向Dhに同一の形状で連続する段状に構成されている。
同様に、左扉体14の下部合わせ面14SBは、上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に平行な複数の平面27vhと、左右方向Dhおよび前後方向Dfの各々に平行な複数の平面27hfと、により段状に構成されている。より詳細には、下部合わせ面14SBは、平面27vhと平面27hfとが交互に配置された段状に構成されている。第一開口部18の下部合わせ面20SBの左側部分20SBLは、左扉体14の下部合わせ面14SBの形状に対応して、左扉体14の下部合わせ面14SBに係合する段状に構成されている。また、右扉体15の下部合わせ面15SBは、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において、左扉体14の下部合わせ面14SBの形状と左右方向Dhに連続するような段状に構成されている。第一開口部18の下部合わせ面20SBの右側部分20SBRは、右扉体15の下部合わせ面15SBの形状に対応して、右扉体15の下部合わせ面15SBに係合する段状に構成されている。このため、第一開口部18の下部合わせ面20SBの左側部分20SBLと右側部分20SBRとは、左右方向Dhに同一の形状で連続する段状に構成されている。
左扉体14の左側部合わせ面14SLは、上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に平行な複数の平面28vhと、前後方向Dfおよび上下方向Dvの各々に平行な複数の平面28fvと、により段状に構成されている。より詳細には、左側部合わせ面14SLは、平面28vhと平面28fvとが交互に配置された段状に構成されている。第一開口部18の左側部合わせ面20SLは、左扉体14の左側部合わせ面14SLの形状に対応して、左扉体14の左側部合わせ面14SLに係合する段状に構成されている。また、右扉体15の右側部合わせ面15SRは、上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に平行な複数の平面29vhと、前後方向Dfおよび上下方向Dvの各々に平行な複数の平面29fvと、により段状に構成されている。より詳細には、右側部合わせ面15SRは、平面29vhと平面29fvとが交互に配置された段状に構成されている。第一開口部18の右側部合わせ面20SRは、右扉体15の右側部合わせ面15SRの形状に対応して、右扉体15の右側部合わせ面15SRに係合する段状に構成されている。
第一扉13の第一合わせ面13Sおよび第一開口部18の第二合わせ面18Sが上述のように構成されていることにより、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において第一合わせ面13Sと第二合わせ面18Sとの間に形成される隙間31は、耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって直線状ではなく、ジグザグ状に形成される。隙間31は、いわゆる煙返し部を構成する。このように構成された隙間31では耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かう流体に対する抵抗が大きくなるため、隙間31に侵入する火炎の勢いを低減させることができる。さらに、コンクリートより気化した水分が隙間31を通過して外部に噴出することで、火炎の侵入を防止することができる。加えて、洪水などによる浸水時には、上述の構成を有する隙間31により、隙間31から第一収容空間16に浸入する水の勢いを低減することができる。
また、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において、左扉体14の右側端部14Rに形成された右側部合わせ面(第三合わせ面、第四合わせ面)14SRと、右扉体15の左側端部15Lに形成された左側部合わせ面(第三合わせ面、第四合わせ面)15SLと、が対向している。左扉体14の右側部合わせ面14SRは、複数の面30により段状に構成され、右扉体15の左側部合わせ面15SLは、左扉体14の右側部合わせ面14SRに係合する段状に構成されている。
本実施形態では、左扉体14の右側部合わせ面14SRは、前後方向Dfおよび上下方向Dvの各々に平行な平面30fvと、上下方向Dvおよび左右方向Dhの各々に平行な複数の平面30vhと、上下方向Dvに平行であって左右方向Dhおよび前後方向Dfの各々に対して傾いた複数の平面30viと、により段状に構成されている。より詳細には、右側部合わせ面14SRは、平面30fvに続いて平面30vhと平面30viとが交互に配置された段状に構成されている。右扉体15の左側部合わせ面15SLは、左扉体14の右側部合わせ面14SRの形状に対応して、左扉体14の右側部合わせ面14SRに係合する段状に構成されている。
右扉体15の左側部合わせ面15SLおよび左扉体14の右側部合わせ面14SRが上述のように構成されていることにより、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において左側部合わせ面15SLと右側部合わせ面14SRとの間に形成される隙間32は、隙間31と同様に、耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって直線状ではなく、ジグザグ状に形成される。隙間32は、いわゆる煙返し部を構成する。このように構成された隙間32では耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かう流体に対する抵抗が大きくなるため、隙間32に侵入する火炎の勢いを低減させることができる。さらに、コンクリートより気化した水分が隙間32を通過して外部に噴出することで、火炎の侵入を防止することができる。加えて、洪水などによる浸水時には、上述の構成を有する隙間32により、隙間32から第一収容空間16に浸入する水の勢いを低減することができる。
なお、上述した複数の面25および複数の面30の構成は一例であり、これに限られない。
左扉体14の背面14bに対して前後方向Dfに反対側の面である前面14fには、前面14fから背面14b側に凹んで形成された指掛け部33が設けられている。右扉体15の背面15bに対して前後方向Dfに反対側の面である前面15fには、前面15fから背面15b側に凹んで形成された指掛け部34が設けられている。指掛け部33および指掛け部34は、第一扉13の左扉体14および右扉体15を開閉する際に使用される。
耐火庫10の下部には、平板状に形成された基台部35が設けられている。耐火庫10は、基台部35を介して設置面FLに固定されている。なお、基台部35の構成は、平板に限られない。例えば、基台部35は、前後方向Dfに延びる複数の角状部材から構成されていてもよい。また、耐火庫10の上部には、耐火庫10の上部を覆う平板状に形成された天板36が設けられている。なお、基台部35および天板36は必須の構成ではなく、耐火庫10にこれらの構成が設けられていなくてもよい。
防水庫40は、内部に第二収容空間46が形成され、第二収容空間46が第一開口部18に向かって開口する第二開口部48を有する第二筐体42と、第二筐体42に設けられ、第二開口部48を閉塞可能な第二扉44と、第二筐体42と第二扉44との隙間から第二収容空間46内への水の浸入を防止する防水部50と、を備える。防水部50は、第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間に設けられ、弾性変形可能な弾性部材54と、第二扉44が弾性部材54を第二開口部48に向かって押圧した状態を維持する押圧手段56と、を有する。
本実施形態では、第二筐体42は箱形に形成されており、その内部に第二収容空間46が形成されている。第二筐体42は前後方向Dfにおける一方の端部であって第一開口部18を向く端部42Aのみが開口するように構成されており、この端部42Aに第二開口部48が形成されている。第二筐体42の前後方向Dfにおける他方の端部には、前後方向Dfに対して略垂直な後部筐体壁43Pが設けられている。また、第二開口部48から後部筐体壁43Pまで、上下方向Dvに対して略垂直な上部筐体壁43Tおよび下部筐体壁43B、ならびに左右方向Dhに対して略垂直な左側部筐体壁43Lおよび右側部筐体壁43Rがそれぞれ前後方向Dfに沿って延びて形成されている。上部筐体壁43T、下部筐体壁43B、左側部筐体壁43L、右側部筐体壁43R、および後部筐体壁43Pにより、第二筐体42の筐体壁43が構成されており、第二収容空間46は、これら上部筐体壁43T、下部筐体壁43B、左側部筐体壁43L、右側部筐体壁43R、および後部筐体壁43Pに囲まれて形成されている。第二筐体42の材質として、例えば鋼材などの金属材を用いることができる。
第二筐体42の内部には、左側部筐体壁43Lを補強する左側部補強部材78Lと、右側部筐体壁43Rを補強する右側部補強部材78Rと、が設けられている。左側部補強部材78Lは、左側部筐体壁43Lに設けられ、上下方向Dvから見てハット形の断面を有し、上下方向Dvに延びて形成されている。左側部補強部材78Lは、凹み部78LAが左側部筐体壁43Lを向くように配置されている。また、右側部補強部材78Rは、右側部筐体壁43Rに設けられ、上下方向Dvから見てハット形の断面を有し、上下方向Dvに延びて形成されている。右側部補強部材78Rは、凹み部78RAが右側部筐体壁43Rを向くように配置されている。また、左側部補強部材78Lおよび右側部補強部材78Rには、任意の棚を配置するために使用される複数の穴部78hが上下方向Dvに沿って形成されている。なお、左側部補強部材78Lおよび右側部補強部材78Rは、第二筐体42に設けられていなくてもよい。
第二筐体42の下部筐体壁43Bの下側には、第一支持部材80と第二支持部材81とが設けられている。すなわち、第二筐体42は、第一支持部材80および第二支持部材81を介して第一筐体12の内部に設置されている。第一支持部材80は、左右方向Dhから見てハット形の断面を有し、左右方向Dhに延びて形成されている。第一支持部材80は、凹み部80Aが下部筐体壁43Bを向くように配置されている。第二支持部材81は、左右方向Dhから見て溝形(略C字形)の断面を有し、左右方向Dhに延びて形成されている。第二支持部材81は、第二筐体42の端部42Aにおける下部筐体壁43Bの下側に設けられ、溝部81Aが第一筐体12の下部筐体壁12Bを向くように配置されている。なお、第二支持部材81は、第二開口部48の周縁部52の下側部分52Bを補強している。第一支持部材80および第二支持部材81の材質として、第二筐体42と同様に、例えば鋼材などの金属材を用いることができる。
第二筐体42は、上部筐体壁43Tと第一筐体12の上部筐体壁12Tとの間に、規制部材23Lおよび規制部材23Rを配置可能な空間90を形成するように配置されている。また、第二筐体42は、後部筐体壁43Pを第一筐体12の後部筐体壁12Pに固定することにより、第一筐体12に固定されている。具体的には、図5に示すように、ボルト82により第二筐体42の後部筐体壁43Pを第一筐体12の後部筐体壁12Pに固定している。なお、図6に示すように、ボルト82には防水ワッシャ83が設けられている。図6は、図5のS部分を拡大して示す図である。第二筐体42の後部筐体壁43Pにはボルト82を挿通するための挿通孔43Phが形成されている。このため、ボルト82と挿通孔43Phとの隙間から水が第二収容空間46内に浸入する可能性がある。そこで、ボルト82と後部筐体壁43Pとの間に防水ワッシャ83を設けることで、ボルト82と挿通孔43Phとの隙間を密閉し、この隙間から水が第二収容空間46内に浸入することを防止することができる。
第二開口部48には、第二収容空間46が前後方向Dfに第一開口部18に向かって開口した開口48Aが形成されている。また、第二開口部48は、第二筐体42の端部42Aに設けられ、開口48Aを前後方向Df回りに囲むように形成された周縁部52を有する。周縁部52は、図7および図8に示すように、第二扉44が第二開口部48を閉塞した状態において第二扉44に対向する前面(第一面)52fと、前面52fとは前後方向Dfに反対側の背面(第二面)52bと、を有する。図7は、図4のP部分を拡大して示す図である。図8は、図4のQ部分を拡大して示す図である。また、周縁部52の背面52bは、第二収容空間46に面している。
第二筐体42の端部42Aには、第二扉44が設けられている。本実施形態では、第二扉44は片開き扉であり、第二開口部48の開口48Aの全体を閉塞可能であるように構成されている。第二扉44は、第二筐体42の端部42Aにおける左右方向Dhの右側端部42ARに支持されている。より詳細には、図8に示すように、防水庫40には、第二扉44の右側端部44Rと第二筐体42の右側端部42ARとを接続する蝶番45が設けられている。蝶番45は、上下方向Dvに平行な回動中心O45を有する。よって、第二扉44の右側端部44Rは、蝶番45を介して回動中心O45回りに回動可能に第二筐体42の右側端部42ARに支持されている。
第二扉44の材質として、第二筐体42と同様に、例えば鋼材などの金属材を用いることができる。また、第二扉44は、フラッシュ構造により構成されている。これにより、製作コストを抑えつつ耐水圧性能を高めることができる。
第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間には、弾性変形可能な弾性部材54が設けられている。本実施形態では、弾性部材54は、周縁部52の前面52fに設けられている。また、弾性部材54は、第二開口部48の開口48Aを囲む周縁部52の全周に渡って設けられている。弾性部材54の材質として、例えばシリコンゴムを用いることができる。
弾性部材54は、後述する押圧手段56の作用によって第二扉44により第二開口部48に向かって押圧される。これにより、弾性部材54は前後方向Dfに収縮するように弾性変形する。これに伴い弾性部材54には元の形状に戻ろうとする復元力が働く。これにより、第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間を密閉することができ、第二収容空間46内への水の浸入を防止することができる。
上述のように弾性部材54が押圧される際に過大な押圧力が加えられると、弾性部材54は弾性部材54の弾性限度を超えて塑性変形してしまう可能性がある。この場合には、弾性部材54により第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間を密閉することができなくなる可能性がある。これを防止するため、第二筐体42には、弾性部材54に並列するように配置された補強部材(第一補強部材)58が設けられている。補強部材58は、弾性部材54の剛性よりも大きい剛性を有する。補強部材58の材質として、例えば鋼材などの金属材を用いることができる。
補強部材58は、第二扉44が第二開口部48を閉塞した状態において第二扉44と対向する位置で周縁部52の前面52fから前後方向Dfに第一開口部18に向かって延出している。本実施形態では、図7から図9に示すように、補強部材58は、左側補強部材(第一補強部材)58L、右側補強部材(第一補強部材)58R、および上側補強部材(第一補強部材)58Tを有する。なお、図9は、図5のR部分を拡大して示す図である。左側補強部材58Lは、周縁部52の左側部分52Lにおいて弾性部材54の開口48A側に隣接して、周縁部52の下側部分52Bから上側部分52Tまで上下方向Dvに延びて設けられている。右側補強部材58Rは、周縁部52の右側部分52Rにおいて弾性部材54の開口48A側に隣接して、周縁部52の下側部分52Bから上側部分52Tまで上下方向Dvに延びて設けられている。上側補強部材58Tは、周縁部52の上側部分52Tにおいて弾性部材54の開口48A側に隣接して、周縁部52の左側部分52Lから右側部分52Rまで左右方向Dhに延びて設けられている。通常の使用時に弾性部材54が前後方向Dfへ収縮するように弾性変形することを考慮して、弾性変形していない状態における弾性部材54の前後方向Dfの寸法は、周縁部52の前面52fから延出した補強部材58(左側補強部材58L、右側補強部材58R、上側補強部材58T)の前後方向Dfの寸法よりも大きくなっている。
本実施形態では、図2および図7に示すように、押圧手段56は、第二扉44に設けられたハンドル部60と、第二筐体42に設けられ、ハンドル部60と係合可能なハンドル受け部66と、を備える。ハンドル部60は、第二扉44の第一開口部18に向かう面である前面44fにおいて左側端部44Lに設けられている。ハンドル部60は、ハンドル本体61と、ハンドル本体61を回動可能に支持する支持部62と、を有する。ハンドル本体61は、把持部61Aと、当接部61Bと、把持部61Aと当接部61Bとの間に配置された係合穴部61Cと、を有する。把持部61Aは、使用者がハンドル部60を操作する際に把持できるように構成されている。当接部61Bは、中央部61Baと、第一開口部18に向かう面であって中央部61Baの両側から第二扉44の前面44fに向かって延びる傾斜面61Bbと、を有する。当接部61Bは、ハンドル受け部66の係合片66Aと係合する。係合穴部61Cは、支持部62に設けられ、第二扉44の前面44fに垂直な方向に延びる軸体62Aに回動可能に係合する。軸体62Aは、第二扉44の前面44fに垂直な方向に平行な回動中心O62Aを有する。よって、ハンドル本体61は、回動中心O62Aを中心に回動する。また、支持部62は、第二扉44の前面44fにボルト63により固定されている。ボルト63と第二扉44との隙間に水が浸入することを防ぐため、支持部62と第二扉44の前面44fとの間には防水ワッシャ64が設けられている。支持部62は、ハンドル本体61の当接部61Bが第二扉44の左側端部44Lから左右方向Dhに突出可能となるように、第二扉44の前面44fに配置されている。
ハンドル受け部66は、第二筐体42の周縁部52の左側部分52Lにおいて、ハンドル本体61と係合可能な位置に設けられている。ハンドル受け部66は、左右方向Dhに周縁部52の右側部分52Rに向かって突出して形成された係合片66Aを有する。係合片66Aは、周縁部52を向いており、当接部61Bと当接する面66Aaを有する。係合片66Aは、係合片66Aの面66Aaと当接部61Bの中央部61Baとが当接した状態において第二扉44が弾性部材54を前後方向Dfに押圧するように、前後方向Dfの配置が設定されている。したがって、第二開口部48を第二扉44で閉塞した状態でハンドル本体61を回動中心O62A回りに回動させて、ハンドル本体61の当接部61Bとハンドル受け部66の係合片66Aとを係合させることで、第二扉44が弾性部材54を第二開口部48に向かって押圧した状態を維持することができる。なお、ハンドル部60およびハンドル受け部66の構成は、公知の密閉用ハンドルの構成を採用してもよい。
押圧手段56は上述のように構成されて防水庫40に設けられているため、第一扉13で第一開口部18を閉塞する前に、第二扉44で第二開口部48を閉塞した状態を視認することができる。よって、より確実に、第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間を密閉することができる。
防水庫40において、浸水時には、一次的には主として第二扉44に水圧が加えられる。しかし、第二扉44は弾性部材54を介して第二開口部48に前後方向Dfに支持されているため、第二開口部48に対しても水圧が加えられることになる。このため、本実施形態では、第二開口部48の周縁部52を補強する補強部材(第二補強部材)70が第二筐体42に設けられている。
補強部材70は、第一補強部72と第二補強部74とを有する。第一補強部72は、第一端72Aが周縁部52の背面52bに固定され、第二端72Bが第二筐体42の筐体壁43における第二収容空間46側の面に固定され、第一端72Aから第二端72Bに延びて形成されている。本実施形態では、第一補強部72は、周縁部52の左側部分52L、右側部分52R、および上側部分52Tにそれぞれ設けられている。図7に示すように、左側第一補強部72Lは、周縁部52の左側部分52Lにおいて、第一端72LAが背面52bに固定され、第二端72LBが左側部筐体壁43Lにおける第二収容空間46側の面43Laに固定され、第一端72LAから第二端72LBに延びて形成されている。図8に示すように、右側第一補強部72Rは、周縁部52の右側部分52Rにおいて、第一端72RAが背面52bに固定され、第二端72RBが右側部筐体壁43Rにおける第二収容空間46側の面43Raに固定され、第一端72RAから第二端72RBに延びて形成されている。図9に示すように、上側第一補強部72Tは、周縁部52の上側部分52Tにおいて、第一端72TAが背面52bに固定され、第二端72TBが上部筐体壁43Tにおける第二収容空間46側の面43Taに固定され、第一端72TAから第二端72TBに延びて形成されている。上述のように構成された第一補強部72により、第二開口部48の前後方向Dfに対する剛性を高めることができる。
また、第二補強部(補強部)74は、第一補強部72の第一端72Aから周縁部52の背面52b上を第二筐体42の筐体壁43に向かって延びて形成され、筐体壁43と接触する第三端75Aを有する第一部分75と、第一部分75の第三端75Aから筐体壁43における第二収容空間46側の面上を第一補強部72の第二端72Bまで延びて形成された第二部分76と、を有する。本実施形態では、第一補強部72と同様に、第二補強部74は、周縁部52の左側部分52L、右側部分52R、および上側部分52Tにそれぞれ設けられている。図7に示すように、左側第二補強部74Lは、周縁部52の左側部分52Lにおいて、左側第一補強部72Lの第一端72LAから背面52b上を左側部筐体壁43Lに向かって延びて形成され、左側部筐体壁43Lと接触する第三端75LAを有する第一部分75Lと、第三端75LAから左側部筐体壁43Lの面43La上を左側第一補強部72Lの第二端72LBまで延びて形成された第二部分76L、とを有する。さらに、第一部分75Lは、第一端72LAから背面52b上を開口48Aに向かって延びる延伸部75LEを有する。また、左側第二補強部74Lは、下部筐体壁43Bから周縁部52の上側部分52Tまで上下方向Dvに延びて形成されている。図8に示すように、右側第二補強部74Rは、周縁部52の右側部分52Rにおいて、右側第一補強部72Rの第一端72RAから背面52b上を右側部筐体壁43Rに向かって延びて形成され、右側部筐体壁43Rと接触する第三端75RAを有する第一部分75Rと、第三端75RAから右側部筐体壁43Rの面43Ra上を右側第一補強部72Rの第二端72RBまで延びて形成された第二部分76R、とを有する。さらに、第一部分75Rは、第一端72RAから背面52b上を開口48Aに向かって延びる延伸部75REを有する。また、右側第二補強部74Rは、下部筐体壁43Bから周縁部52の上側部分52Tまで上下方向Dvに延びて形成されている。図9に示すように、上側第二補強部74Tは、周縁部52の上側部分52Tにおいて、上側第一補強部72Tの第一端72TAから背面52b上を上部筐体壁43Tに向かって延びて形成され、上部筐体壁43Tと接触する第三端75TAを有する第一部分75Tと、第三端75TAから上部筐体壁43Tの面43Ta上を上側第一補強部72Tの第二端72TBまで延びて形成された第二部分76T、とを有する。さらに、第一部分75Tは、第一端72TAから背面52b上を開口48Aに向かって延びる延伸部75TEを有する。また、上側第二補強部74Tは、周縁部52の左側部分52Lから右側部分52Rまで左右方向Dhに延びて形成されている。上述のように構成された第二補強部74により、第二開口部48の前後方向Dfに対する剛性を高めることができる。
なお、本実施形態では、第二補強部74と補強部材58とは一体に形成されている。図7に示すように、左側補強部材58Lは、左側第二補強部74Lの延伸部75LEから前後方向Dfに延びて形成されている。図8に示すように、右側補強部材58Rは、左側第二補強部74Rの延伸部75REから前後方向Dfに延びて形成されている。図9に示すように、上側補強部材58Tは、上側第二補強部74Tの延伸部75TEから前後方向Dfに延びて形成されている。なお、第二補強部74と補強部材58とは一体に形成されていなくてもよい。
また、周縁部52の下側部分52Bの背面52bには、下部筐体壁43Bの下側に設けられた第二支持部材81が背面52bに当接するように配置されている。これにより、周縁部52の下側部分52Bの前後方向Dfに対する剛性を高めることができる。
本実施形態に係る二重保管庫1によれば、保管すべき収容物が収容される防水庫40は耐火庫10の第一収容空間16内に配置されているため、二重保管庫1は耐火性を有する。同時に、耐火庫10により第一収容空間16内に配置された防水庫40に向かう水の勢いが妨げられるため、防水庫40の防水性を高めることができる。また、防水庫40の防水部50により収容物が収容される第二収容空間46内への水の浸入が防止されるため、内部の収容物を防水することができる。
また、防水部50は、第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間に設けられ、弾性変形可能な弾性部材54と、第二扉44が弾性部材54を第二開口部48に向かって押圧した状態を維持する押圧手段56と、を有する。したがって、弾性部材54が押圧されることにより第二開口部48の周縁部52と第二扉44との間を密閉し、押圧手段56により第二扉44が弾性部材54を第二開口部48に向かって押圧した状態が維持されるため、第二筐体42と第二扉44との隙間から第二収容空間46内への水の浸入を防止することができる。
また、弾性部材54の剛性よりも大きい剛性を有する補強部材58が弾性部材54に並列するように第二筐体42に設けられ、補強部材58は、第二扉44が第二開口部48を閉塞した状態において第二扉44と対向する位置で周縁部52の前面52fから前後方向Dfに第一開口部18に向かって延出している。さらに、弾性変形していない状態における弾性部材54の前後方向Dfの寸法は、補強部材58の前面52fから延出した前後方向Dfの寸法より大きい。したがって、第二扉44により過大な力で弾性部材54が第二開口部48に向かって押圧された場合に、弾性部材54が前後方向Dfに収縮するように所定量弾性変形すると、第二扉44は補強部材58と接触する。これにより、弾性部材54がそれ以上弾性変形することが防止されるため、弾性部材54が塑性変形するなど意図しない変形を防止することができる。
また、第二筐体42は、第一端72Aが周縁部52の背面52bに固定され、第二端72Bが筐体壁43における第二収容空間46側の面に固定され、第一端72Aから第二端72Bに延びて形成された補強部材70を有する。したがって、補強部材70により第二開口部48の周縁部52が補強されるため、第二開口部48の剛性を高めることができる。これによって、第二筐体42と第二扉44との間に隙間が生じるなどの問題が発生することを防止し、第二筐体内42への水の浸入をより確実に防止することができる。
また、補強部材70は、第一端72Aから背面52b上を筐体壁43に向かって延びて形成され、筐体壁43と接触する第三端75Aを有する第一部分75と、第一部分75の第三端75Aから筐体壁43の面上を第二端72Bまで延びて形成された第二部分76と、を有する第二補強部74を有する。したがって、第二補強部74を有する補強部材70により第二開口部48の周縁部52が補強されるため、第二開口部48の剛性を高めることができる。これによって、第二筐体42と第二扉44との間に隙間が生じるなどの問題が発生することを防止し、第二筐体内42への水の浸入をより確実に防止することができる。
また、弾性部材54は第二開口部48の開口48Aを囲む周縁部52の全周に渡って設けられているため、弾性部材54により第二筐体42と第二扉44との間を隙間なく密閉することができる。このため、第二筐体42内への水の浸入をより確実に防止することができる。
また、第一扉13の第一合わせ面13Sは、第一開口部18に沿う複数の面25により段状に構成され、第一開口部18の第二合わせ面18Sは、第一合わせ面13Sに係合する段状に構成されている。したがって、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において第一合わせ面13Sと第二合わせ面18Sとの間に形成される隙間31は、耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって直線状ではなく、ジグザグ状に形成される。これにより、流体が隙間31を耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって通過する際に流体に対して加えられる抵抗が大きくなるため、火災時に隙間31から第一収容空間16に向かって侵入する火炎の勢いや浸水時に隙間31から第一収容空間16に向かって浸入する水の勢いを低減することができる。
また、第一扉13は左扉体14と右扉体15とから構成される両開き扉であって、左扉体14の右側部合わせ面14SRは、複数の面30により段状に構成され、右扉体15の左側部合わせ面15SLは、右側部合わせ面14SRに係合する段状に構成されている。したがって、第一扉13が第一開口部18を閉塞した状態において左側部合わせ面15SLと右側部合わせ面14SRとの間に形成される隙間32は、耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって直線状ではなく、ジグザグ状に形成される。これにより、流体が隙間32を耐火庫10の外部から第一収容空間16に向かって通過する際に流体に対して加えられる抵抗が大きくなるため、火災時に隙間32から第一収容空間16に向かって侵入する火炎の勢いや浸水時に隙間32から第一収容空間16に向かって浸入する水の勢いを低減することができる。
また、第二扉44はフラッシュ構造により構成されているため、製作コストを抑えつつ耐水圧性能を高めることができる。
なお、上述した実施形態では、第一扉13は両開き扉であるとして説明したが、第一扉13は公知の構成を有する片開き扉であってもよい。
(変形例)
図10は、本実施形態に係る二重保管庫1の変形例を示す図である。図10は、変形例の二重保管庫2において、図7に示された断面に対応する断面を示している。図10に示す二重保管庫2は、押圧手段56に代えて、押圧手段156を備えている点で、二重保管庫1と異なっている。なお、二重保管庫1と同様の構成を有する部分については同一の符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
押圧手段156は、第二扉44に回動可能に設けられたハンドル部60と、第二筐体に設けられ、ハンドル部60と係合可能なハンドル受け部66と、ハンドル部60とハンドル受け部66とが係合した状態におけるハンドル部60とハンドル受け部66との前後方向Dfの相対位置を調整可能な位置調整手段91と、を有する。本実施形態において、位置調整手段91は、ハンドル部60に着脱可能に設けられた第一調整部材92と、ハンドル受け部66に着脱可能に設けられた第二調整部材93と、を有する。
第一調整部材92および第二調整部材93は、板状部材で構成されている。第一調整部材92には、その厚さ方向にボルト63を挿通可能な図示しない挿通孔が形成されている。第一調整部材は、その厚さ方向を回動中心O62Aに沿う方向に合わせて、支持部62と防水ワッシャ64との間に配置されている。また、第二調整部材93は、その厚さ方向が前後方向Dfと合うように、支持部62と第二筐体42の周縁部52の左側部分52Lに固定された基部94との間に配置されている。支持部62は、図示しないボルトなどにより基部94に固定されており、第二調整部材93には、その厚さ方向にこのボルトを挿通可能な図示しない挿通孔が形成されている。
上述のように構成された位置調整手段91により、第一調整部材92をハンドル部60から取り外すことで、ハンドル部60における回動中心O62Aに沿う方向の寸法を第一調整部材92の厚さ方向の寸法の分だけ小さくすることができる。また、第二調整部材93をハンドル受け部66から取り外すことで、ハンドル受け部66における前後方向Dfの寸法を第二調整部材93の厚さ方向の寸法の分だけ小さくすることができる。よって、第一調整部材92および第二調整部材93のいずれか一方または両方を、それぞれハンドル部60およびハンドル受け部66から取り外すことで、ハンドル部60とハンドル受け部66とが係合した状態におけるハンドル部60とハンドル受け部66との前後方向Dfの相対位置を適宜調整することができる。このため、使用による劣化などにより弾性部材54の前後方向Dfの寸法が小さくなった場合でも、位置調整手段91によりハンドル部60とハンドル受け部66とが係合した状態におけるハンドル部60とハンドル受け部66との前後方向Dfの相対位置を調整することで、押圧手段156は第二扉44が弾性部材54を第二開口部48に向かって押圧した状態を維持することができる。したがって、第二開口部48の周縁部52と第二扉44との隙間を確実に密閉することができる。
なお、位置調整手段91は上述した構成に限られず、ハンドル部60とハンドル受け部66とが係合した状態におけるハンドル部60とハンドル受け部66との前後方向Dfの相対位置を調整可能な構成であればよい。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図11を参照して説明する。
図11は、本実施形態に係る二重保管庫3を示す図である。図11は、二重保管庫3において、図5に示された断面に対応する断面の上部を示している。二重保管庫3は、第二筐体42を第一筐体12に対して固定する固定手段100をさらに備える点で、第一実施形態に係る二重保管庫1と異なっている。なお、第一実施形態に係る二重保管庫1と同様の構成を有する部分については同一の符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
固定手段100は、第一収容空間16内において第二筐体42の上側に設けられ、第二筐体42を第一筐体12に対して固定するように構成されている。本実施形態では、固定手段100は、第一収容空間16のうち空間90内であって、前後方向Dfにおいて規制部材23Lの後方に配置されている。固定手段100は、ベース部材101と、固定部材102と、を有する。
ベース部材101は、前後方向Dfおよび左右方向Dhに延びる板状部材から構成され、溶接などにより第二筐体42の上部筐体壁43Tの第一収容空間16側の面43Tb上に固定されている。ベース部材101は、前端部101Aと、後端部101Bと、前端部101Aと後端部101Bとの間に配置された支持部101Cと、を有する。前端部101Aは、後述する第一カバー部材103と係合可能な隙間を上部筐体壁43Tの面43Tbとの間に形成するように設けられた係合片101Dを有する。後端部101Bは、固定部材102に接続されている。支持部101Cは、左右方向Dhから見て略逆U字形状の断面を有し、第一筐体12の上面12tに向かって突出するように形成されている。また、支持部101Cは、平坦な上面101Caを有する。
固定部材102は、当接部102Aと、シャフト部102Bと、固定ナット102Cと、移動ナット102Dと、を有する。当接部102Aは、上面102Aaから下面102Abに向かって径が小さくなる略円錐台形状に形成されている。上面102Aaは、第一筐体12の上面12tと当接し、下面102Abは、シャフト部102Bの上端部102Baに接続されている。シャフト部102Bは、上下方向Dvに沿って延びる棒状に形成され、表面に固定ナット102Cおよび移動ナット102Dが螺合するネジ山が形成されている。固定ナット102Cは、内部にシャフト部102Bに螺合可能なネジ穴(不図示)が形成されており、シャフト部102Bが螺合している。また、固定ナット102Cは、ベース部材101の後端部101Bに溶接などにより固定されている。移動ナット102Dは、内部にシャフト部102Bに螺合可能なネジ穴(不図示)が形成されている。また、移動ナット102Dは、固定ナット102Cよりも上方に配置されて、シャフト部102Bに螺合している。
上述のように構成された固定手段100では、固定ナット102Cに螺合されたシャフト部102Bを軸回りに回転させることにより、固定ナット102Cに対する上下方向Dvにおける当接部102Aの位置を移動させることができる。すなわち、固定ナット102Cはベース部材101の後端部101Bを介して第二筐体42の上部筐体壁43Tに固定されているため、上部筐体壁43Tに対して当接部102Aを上下方向Dvに移動させることができる。よって、シャフト部102Bを軸回りに回転させて、当接部102Aの上面102Aaが第一筐体12の上面12tに当接して押圧するとともに固定ナット102Cがベース部材101を介して上部筐体壁43Tの面43Tbを押圧するように固定部材102を調整することで、第二筐体42を第一筐体12に上下方向Dvの下向きに押し付けることができる。これにより、第二筐体42を第一筐体12に対して固定することができる。
本実施形態では、固定部材102は、上部筐体壁43Tの面43Tb上において前後方向Dfの中間部位に設けられている。また、固定部材102は、左右方向Dhに離間して二つ設けられている。しかしながら、固定部材102の配置や数は上述の構成に限られず、適宜変更してもよい。
また、二重保管庫3には、第一収容空間16内において第二筐体42の上側に配置され、固定手段100を覆う第一カバー部材103および第二カバー部材104が設けられている。第一カバー部材103および第二カバー部材104は、第二筐体42の左側部筐体壁43Lの面43Laから右側部筐体壁43Rの面43Raまで左右方向Dhに延びて設けられている。
第一カバー部材103は、板状部材から構成され、前後方向Dfに延びる第一部分103Aと、第一部分103Aの後端から上下方向Dvに延びる第二部分103Bと、第一部分103Aの前端から上下方向Dvに延びる係合爪部103Cと、を有する。第一部分103Aは、ベース部材101の支持部101Cの上面101Ca上に配置されている。第二部分103Bは、第二カバー部材104と当接している。係合爪部103Cは、左右方向Dhから見てL字形状の断面を有する。係合爪部103Cは、係合爪部103Cのうち前後方向Dfに延びる部分がベース部材101の係合片101Dと上部筐体壁43Tの面43Tbとの隙間に挿入されて、係合片101Dと係合している。
第二カバー部材104は、左右方向Dhから見てL字形状の断面を有する板状部材から構成され、上下方向Dvに延びる第一部分104Aと、前後方向Dfに延びる第二部分104Bと、を有する。第二カバー部材104は、規制部材23Lおよび規制部材23Rから前後方向Dfに離間して配置されている。第一部分104Aは、第一カバー部材103の第二部分103Bと前後方向Dfに当接している。なお、第一部分104Aは、第一カバー部材103の第二部分103Bに接着剤などにより固定されていてもよい。第二部分104Bは、第一筐体12の上部筐体壁12Tの上面12tに接着剤などにより固定されている。
上述のように構成された第一カバー部材103および第二カバー部材104により固定手段100が覆われるため、第一筐体12の内部における二重保管庫3の外観の体裁を良好にすることができる。
また、二重保管庫3では、第二筐体42は固定手段100により第一筐体12に対して固定されている。このため、第一実施形態に係る二重保管庫1とは異なり、本実施形態に係る二重保管庫3では、第二筐体42にボルト82および防水ワッシャ83は設けられておらず、第二筐体42の後部筐体壁43Pにボルト82を挿通するための挿通孔43Phは形成されていない。よって、挿通孔43Phから第二筐体42の内部に水が浸入する可能性を排除することができる。
本実施形態に係る二重保管庫3は、第一収容空間16内において第二筐体42の上側に設けられ、第二筐体42を第一筐体12に対して固定する固定手段100をさらに備える。このため、第二筐体42の自重のみにより第一筐体12に対して固定される場合に比べて、第二筐体42をより確実に第一筐体12に固定することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。