JP2017088770A - サマータイヤ及びスタッドレスタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立させたサマータイヤ、又は低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立させたスタッドレスタイヤを提供する。【解決手段】 天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するサマータイヤ又はスタッドレスタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、所定のゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するサマータイヤ及びスタッドレスタイヤに関する。
従来からタイヤの転がり抵抗を低減させることによる自動車の低燃費化が行われてきた。低燃費化する方法としては、例えば、トレッド部を2層構造(ベーストレッド及びキャップトレッド)とし、ベーストレッドに低発熱性を有するゴム組成物を使用する方法が知られているが、近年、低燃費化への要求がますます強くなり、より優れた低発熱性が求められている。
サマータイヤにおいては、自動車の性能の向上、道路網の発達により、タイヤに対して操縦安定性、特に高速走行時の操縦安定性の向上も要求されている。多量の補強用充填剤をベーストレッドに配合すると、トレッド部の剛性が高まり、操縦安定性が向上するものの、低燃費性能が低下する。他方、補強用充填剤を減量すると、低燃費性能は向上するものの、剛性(操縦安定性)が低下する。このように、サマータイヤにおいて、操縦安定性と低燃費性能とを同時に改善するのは困難であった。
また、氷雪路面走行用としてスパイクタイヤの使用やタイヤへのチェーンの装着がされてきたが、粉塵問題等の環境問題が発生するため、これに代わる氷雪路面走行用タイヤとしてスタッドレスタイヤが開発された。スタッドレスタイヤは、一般路面にくらべ雪上路面で路面凹凸が大きく、材料面および設計面での工夫がされている。例えば、低温特性に優れたジエン系ゴムを配合し、また軟化効果を高める為に軟化材を多量に配合したゴム組成物が開発されてきた。なお、低温特性を追求するため、ジエン系ゴムはハイシスタイプのブタジエンが配合されることが多い。
さらに近年は、氷雪上性能と低燃費性能のバランスのためにシリカを配合されることが多い。しかし、ハイシスタイプのBRを用いるとシリカとの親和性が悪くなり、スタッドレスタイヤにおいて、上記性能をバランスよく改善するという点については、未だ改善の余地を残している。
上述のように、サマータイヤにおいて、操縦安定性と低燃費性能とを高いレベルで両立させることには改善の余地があった。また、スタッドレスタイヤにおいて、低燃費性能と氷雪上性能とを高いレベルで両立させることには改善の余地があった。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立させたサマータイヤを提供することを目的とする。また、低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立させたスタッドレスタイヤを提供することも目的とする。
本発明は、ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有するサマータイヤであって、前記ゴム組成物は、天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを含有し、前記変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを備え、前記共役ジエン系重合体として、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合した共役ジエン系重合体を用いる製造方法により得られるものであり、前記ゴム成分100質量%中、天然ゴム及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量が20〜100質量%であり、前記ゴム成分100質量%中、前記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜90質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が1質量部以上であることを特徴とするサマータイヤに関する。
(a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
(b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
(c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
前記共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、3.5以下であることが好ましい。
前記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合量は、0.5質量%以下であることが好ましい。
前記縮合触媒は、チタン(Ti)を含むことが好ましい。
前記アルコキシシラン化合物は、下記(f)〜(i)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有することが好ましい。
(f);エポキシ基
(g);イソシアネート基
(h);カルボニル基
(i);シアノ基
前記変性工程(A)において、下記(j)〜(l)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物を添加することが好ましい。
(j);アミノ基
(k);イミノ基
(l);メルカプト基
前記縮合工程(B)における縮合反応は、pH9〜14、温度85〜180℃の水溶液中で行われることが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物は、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン化合物であることが好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積は、40〜300m/gであることが好ましい。
前記天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と前記シリカとを混練する工程を含む前記サマータイヤの製造方法に関する。
本発明はまた、ゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤであって、前記ゴム組成物は、天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを含有し、前記変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを備え、前記共役ジエン系重合体として、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合した共役ジエン系重合体を用いる製造方法により得られるものであり、前記ゴム成分100質量%中、天然ゴム及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量が20〜100質量%であり、前記ゴム成分100質量%中、前記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜90質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が1質量部以上であることを特徴とするスタッドレスタイヤに関する。
(a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
(b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
(c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
前記共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、3.5以下であることが好ましい。
前記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合量は、0.5質量%以下であることが好ましい。
前記縮合触媒は、チタン(Ti)を含むことが好ましい。
前記アルコキシシラン化合物は、下記(f)〜(i)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有することが好ましい。
(f);エポキシ基
(g);イソシアネート基
(h);カルボニル基
(i);シアノ基
前記変性工程(A)において、下記(j)〜(l)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物を添加することが好ましい。
(j);アミノ基
(k);イミノ基
(l);メルカプト基
前記縮合工程(B)における縮合反応は、pH9〜14、温度85〜180℃の水溶液中で行われることが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物は、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン化合物であることが好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積は、40〜300m/gであることが好ましい。
前記天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と前記シリカとを混練する工程を含む前記スタッドレスタイヤの製造方法に関する。
本発明によれば、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するサマータイヤであるので、低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立させたサマータイヤを提供できる。また、本発明によれば、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤでもあるので、低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立させたスタッドレスタイヤも提供できる。
本発明のサマータイヤは、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するものである。これにより、低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立できる。また本発明のスタッドレスタイヤは、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有するゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するものである。これにより、低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立できる。
通常、シリカ配合系のゴム組成物におけるゴム成分を天然ゴムとブタジエンゴムのブレンドとすると、シリカは天然ゴム相に偏在することから、組成物中でのシリカの分散には限界があり、低燃費性能、操縦安定性、低温特性、耐摩耗性、破壊特性が悪化する傾向にある。これに対して、本発明におけるゴム組成物においては、シリカ配合系で、ゴム成分として天然ゴムと特定の変性共役ジエン系重合体を用いることから、シリカを天然ゴム相と特定の変性共役ジエン系重合体の相の両方の相に分配して分散させることができるため、シリカの分散性を向上させることが可能である。これにより、このようなゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する本発明のサマータイヤは、歪みが加わった際の応力の集中を緩和することができ、よって、低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立できるものと考えられる。また、このようなゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する本発明のスタッドレスタイヤは、歪みが加わった際の応力の集中を緩和することができ、よって、低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立できるものと考えられる。
本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物について、ゴム成分100質量%中、天然ゴム(NR)及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量は、20〜100質量%であり、前記変性共役ジエン系重合体の含有量は、10〜90質量%である。このように、本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物はNRと前記変性共役ジエン系重合体とを配合するものであり、特に前記変性共役ジエン系重合体の配合量を特定範囲とするものである。NR及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量、前記変性共役ジエン系重合体の含有量がこのような範囲であることによって、充分な低燃費性能及び操縦安定性を発揮することができる。
なお、上記合計含有量の下限は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。このように、NRと前記変性共役ジエン系重合体との合計含有量が多いほど、充分な低燃費性能及び操縦安定性を発揮することができる。
また、上記変性共役ジエン系重合体の含有量の下限は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物について、本発明の効果がより良好に得られるという点から、ゴム成分100質量%中、NRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、他方、好ましくは85質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。
本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物について、ゴム成分100質量%中、天然ゴム(NR)及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量は、20〜100質量%であり、前記変性共役ジエン系重合体の含有量は、10〜90質量%である。このように、本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物はNRと前記変性共役ジエン系重合体とを配合するものであり、特に前記変性共役ジエン系重合体の配合量を特定範囲とするものである。NR及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量、前記変性共役ジエン系重合体の含有量がこのような範囲であることによって、充分な低燃費性能及び氷雪上性能を発揮することができる。
なお、上記合計含有量の下限は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%である。このように、NRと前記変性共役ジエン系重合体との合計含有量が多いほど、低燃費性能及び氷雪上性能を発揮することができる。
また、上記変性共役ジエン系重合体の含有量の下限は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、特に好ましくは65質量%以上であり、上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。
本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物について、本発明の効果がより良好に得られるという点から、ゴム成分100質量%中、NRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、他方、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
上記NRとしては、TSR20、RSS#3などの一般的に用いられているものが挙げられる。
上記変性共役ジエン系重合体は、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを備え、前記共役ジエン系重合体として、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合した共役ジエン系重合体を用いる製造方法により得られるものである。
(a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
(b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
(c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
すなわち、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上である共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行い、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含有される元素のうちの少なくとも1種の元素を含む縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物のアルコキシシラン化合物残基を縮合反応させることによって、本発明において用いられる変性共役ジエン系重合体を製造することができる。
上記変性共役ジエン系重合体はこのような製造方法により製造されたものであるため、低燃費性能、操縦安定性、氷雪上性能、耐摩耗性、破壊特性に優れたものである。そして、本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物は、このような変性共役ジエン系重合体と、天然ゴムと、シリカとを含有するものであるために、そのようなゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するサマータイヤは低燃費性能及び操縦安定性に優れている。また、本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物は、このような変性共役ジエン系重合体と、天然ゴムと、シリカとを含有するものであるために、そのようなゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤは、低燃費性能及び氷雪上性能に優れている。
なお、上記変性共役ジエン系重合体は、多官能の上記アルコキシシラン化合物を導入させ、更に、導入された上記アルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させて得られるものであるから、どの部分で反応しているかを特定することは困難であり、上記変性共役ジエン系重合体をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在する。
上記変性工程(A)は、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う工程である。
上記共役ジエン系重合体は、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体である。上記シス−1,4−結合量は、好ましくは94.6質量%以上であり、より好ましくは98.5質量%以上であり、更に好ましくは99.0質量%以上であり、より更に好ましくは99.2質量%以上である。シス−1,4−結合量が94.0質量%未満であると、変性共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物を用いて作製されるサマータイヤ又はスタッドレスタイヤの氷雪上性能、耐摩耗性、破壊特性、低燃費性能、操縦安定性が充分とはならないおそれがある。なお、本明細書において、シス−1,4−結合量は、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出した値である。
上記共役ジエン系重合体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン及びミルセンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに由来する繰り返し単位を有する重合体を用いることができる。特に、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに由来する繰り返し単位を有する重合体を好適に用いることができる。すなわち、変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記共役ジエン系重合体としては、なかでも、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位を有する重合体をより好適に用いることができる。
上記共役ジエン系重合体の繰り返し単位100質量%中、1,3−ブタジエンに由来する繰り返し単位の割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。これにより、本発明の効果がより良好に得られる。
このような共役ジエン系重合体を製造する際には、溶媒を用いて重合を行ってもよいし、無溶媒下で重合を行ってもよい。重合に用いる溶媒(重合溶媒)としては、不活性な有機溶媒を用いることができるが、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭素数4〜10の飽和脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭素数6〜20の飽和脂環式炭化水素、1−ブテン、2−ブテン等のモノオレフィン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロムベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
上記共役ジエン系重合体を製造する際の重合反応温度は、−30〜200℃であることが好ましく、0〜150℃であることがより好ましい。重合反応の形式としては特に制限されず、バッチ式反応器を用いて行ってもよいし、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。なお、重合溶媒を用いる場合は、この溶媒中のモノマー濃度が5〜50質量%であることが好ましく、7〜35質量%であることがより好ましい。また、共役ジエン系重合体製造の効率性の観点、及び、活性末端を有する共役ジエン系重合体を失活させない観点から、重合系内に、酸素、水又は炭酸ガス等の失活作用のある化合物を極力混入させないようにすることが好ましい。
また、本発明における変性共役ジエン系重合体を製造する際に用いる共役ジエン系重合体としては、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物(以下、「触媒」とも称する。)の存在下で重合した共役ジエン系重合体が用いられる。
(a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
(b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
(c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
このような触媒を用いることにより、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上である共役ジエン系重合体を得ることができる。また、この触媒は、極低温で重合反応を行う必要がなく、操作が簡便であることから、工業的な生産を行う上で有用である。
上記(a)成分は、ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物である。ランタノイドの中でも、ネオジム、プラセオジム、セリウム、ランタン、ガドリニウム、サマリウムが好ましい。本発明の製造方法においては、これらのうち、ネオジムが特に好ましい。なお、上記ランタノイドとしては、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ランタノイド含有化合物の具体例としては、ランタノイドのカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩、亜リン酸塩等が挙げられる。このうち、カルボン酸塩、またはリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩がより好ましい。
上記ランタノイドのカルボン酸塩の具体例としては、一般式(2);(R−COO)Mで表されるカルボン酸の塩を挙げることができる(ただし、一般式(2)中、Mは、ランタノイドを表す。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)。なお、上記一般式(2)中、Rは、飽和又は不飽和のアルキル基であることが好ましく、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であることが好ましい。また、カルボキシル基は、一級、二級又は三級の炭素原子に結合している。具体的には、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、商品名「バーサチック酸」(シェル化学社製、カルボキシル基が三級炭素原子に結合しているカルボン酸)等の塩が挙げられる。これらのうち、バーサチック酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸の塩が好ましい。
上記ランタノイドのアルコキサイドの具体例としては、一般式(3);(RO)Mで表されるものを挙げることができる(ただし、一般式(3)中、Mは、ランタノイドを表す。)。なお、上記一般式(3)中、「RO」で表されるアルコキシ基の具体例としては、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、オレイルアルコキシ基、ステアリルアルコキシ基、フェノキシ基、ベンジルアルコキシ基等が挙げられる。これらのうち、2−エチル−ヘキシルアルコキシ基、ベンジルアルコキシ基が好ましい。
上記ランタノイドのβ−ジケトン錯体の具体例としては、アセチルアセトン錯体、ベンゾイルアセトン錯体、プロピオニトリルアセトン錯体、バレリルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体等が挙げられる。これらのうち、アセチルアセトン錯体、エチルアセチルアセトン錯体が好ましい。
上記ランタノイドのリン酸塩又は亜リン酸塩の具体例としては、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸等の塩が挙げられる。これらのうち、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸の塩が好ましい。
上記ランタノイド含有化合物としては、これらのなかでも、ネオジムのリン酸塩、又は、ネオジムのカルボン酸塩が特に好ましく、ネオジムのバーサチック酸塩、又は、ネオジムの2−エチルヘキサン酸塩が最も好ましい。
上記ランタノイド含有化合物を溶剤に可溶化させるため、若しくは、長期間安定に貯蔵するために、ランタノイド含有化合物とルイス塩基とを混合すること、又は、ランタノイド含有化合物とルイス塩基とを反応させて反応生成物とすることも好ましい。ルイス塩基の量は、ランタノイド1モルに対して、0〜30モルとすることが好ましく、1〜10モルとすることがより好ましい。ルイス塩基の具体例としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、一価又は二価のアルコール等が挙げられる。これまで述べてきた(a)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(b)成分は、アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
上記アルミノオキサン(以下、「アルモキサン」とも称する。)は、その構造が、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物である。なお、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、及びJ.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で開示されている、アルモキサンの会合体であってもよい。
Figure 2017088770
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上記一般式(4)及び(5)中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。pは、2以上の整数である。
上記Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、イソブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、上記pは、4〜100の整数であることが好ましい。
上記アルモキサンの具体例としては、メチルアルモキサン(以下、「MAO」とも称する。)、エチルアルモキサン、n−プロピルアルモキサン、n−ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサン等が挙げられる。これらの中でも、MAOが好ましい。上記アルモキサンは、公知の方法によって製造することができるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶媒中に、トリアルキルアルミニウム、又は、ジアルキルアルミニウムモノクロライドを加え、更に水、水蒸気、水蒸気含有窒素ガス、又は、硫酸銅5水塩や硫酸アルミニウム16水塩等の、結晶水を有する塩を加えて反応させることにより製造することができる。なお、上記アルモキサンは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられる。これらの中でも、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウムが好ましく、水素化ジイソブチルアルミニウムが特に好ましい。上記有機アルミニウム化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記(c)成分は、その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物である。このようなヨウ素含有化合物を用いることで、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上である共役ジエン系重合体を容易に製造することができる。上記ヨウ素含有化合物としては、その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有している限り特に制限されないが、例えば、ヨウ素、トリメチルシリルアイオダイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、メチルアイオダイド、ブチルアイオダイド、ヘキシルアイオダイド、オクチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタン、ベンジリデンアイオダイド、ヨウ化ベリリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化カドミウム、ヨウ化水銀、ヨウ化マンガン、ヨウ化レニウム、ヨウ化銅、ヨウ化銀、ヨウ化金等が挙げられる。
なかでも、上記ヨウ素含有化合物としては、一般式(6):R SiI4−q(一般式(6)中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を表す。また、qは0〜3の整数である。)で表されるヨウ化ケイ素化合物、一般式(7):R 4−r(一般式(7)中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。また、rは1〜3の整数である。)で表されるヨウ化炭化水素化合物又はヨウ素が好ましい。このようなヨウ化ケイ素化合物、ヨウ化炭化水素化合物、ヨウ素は有機溶剤への溶解性が良好であるため、操作が簡便になり、工業的な生産を行う上で有用である。すなわち、上記(c)成分が、ヨウ化ケイ素化合物、ヨウ化炭化水素化合物、及び、ヨウ素からなる群より選択される少なくとも1種のヨウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ヨウ化ケイ素化合物(上記一般式(6)で示される化合物)の具体例としては、トリメチルシリルアイオダイド、トリエチルシリルアイオダイド、ジメチルシリルジヨード等が挙げられる。なかでも、トリメチルシリルアイオダイドが好ましい。
また、上記ヨウ化炭化水素化合物(上記一般式(7)で示される化合物)の具体例としては、メチルアイオダイド、ブチルアイオダイド、ヘキシルアイオダイド、オクチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタン、ベンジリデンアイオダイド等が挙げられる。なかでも、メチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタンが好ましい。
上記ヨウ素含有化合物としては、これらのなかでも、ヨウ素、トリメチルシリルアイオダイド、トリエチルシリルアイオダイド、ジメチルシリルジヨード、メチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタンが特に好ましく、トリメチルシリルアイオダイドが最も好ましい。上記ヨウ素含有化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記各成分((a)〜(c)成分)の配合割合は、必要に応じて適宜設定すればよい。(a)成分の配合量は、例えば、100gの共役ジエン系化合物に対して、0.00001〜1.0ミリモルであることが好ましく、0.0001〜0.5ミリモルであることがより好ましい。0.00001ミリモル未満とした場合には、重合活性が低下してしまうおそれがある。1.0ミリモルを超えて使用した場合には、触媒濃度が高くなり、脱灰工程が必要となることがある。
上記(b)成分がアルモキサンである場合、アルモキサンの配合量としては、(a)成分と、アルモキサンに含まれるアルミニウム(Al)とのモル比で表すことができ、「(a)成分」:「アルモキサンに含まれるアルミニウム(Al)」(モル比)が1:1〜1:500であることが好ましく、1:3〜1:250であることがより好ましく、1:5〜1:200であることが更に好ましい。アルモキサンの配合量が上記範囲外であると、触媒活性が低下したり、又は、触媒残渣を除去する工程が必要となったりする場合がある。
また、上記(b)成分が有機アルミニウム化合物である場合、有機アルミニウム化合物の配合量としては、(a)成分と、有機アルミニウム化合物とのモル比で表すことができ、「(a)成分」:「有機アルミニウム化合物」(モル比)が1:1〜1:700であることが好ましく、1:3〜1:500であることがより好ましい。有機アルミニウム化合物の配合量が上記範囲外であると、触媒活性が低下したり、又は、触媒残渣を除去する工程が必要となったりする場合がある。
上記(c)成分の配合量としては、(c)成分に含有されるヨウ素原子と、(a)成分とのモル比で表すことができ、((c)成分に含有されるヨウ素原子)/((a)成分)(モル比)が0.5〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.2〜2.0であることが更に好ましい。((c)成分に含有されるヨウ素原子)/((a)成分)のモル比が0.5未満である場合には、重合触媒活性が低下するおそれがある。((c)成分に含有されるヨウ素原子)/((a)成分)のモル比が3.0を超える場合には、触媒毒となってしまうおそれがある。
上述した触媒には、(a)〜(c)成分以外に、必要に応じて、共役ジエン系化合物及び非共役ジエン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を、(a)成分1モルに対して、1000モル以下含有させることが好ましく、3〜1000モル含有させることがより好ましく、5〜300モル含有させることが更に好ましい。触媒に共役ジエン系化合物及び非共役ジエン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有させると、触媒活性が一段と向上するために好ましい。このとき、用いられる共役ジエン系化合物としては、後述する重合用のモノマーと同じく、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、非共役ジエン系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、トリイソプロペニルベンゼン、1,4−ビニルヘキサジエン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
上記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物は、例えば、溶媒に溶解した(a)〜(c)成分、更に必要に応じて添加される共役ジエン系化合物及び非共役ジエン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を反応させることにより、調製することができる。なお、調製の際の各成分の添加順序は任意であってよい。ただし、各成分を予め混合、反応させるとともに、熟成させておくことが、重合活性の向上及び重合開始誘導期間の短縮の観点から好ましい。熟成温度は0〜100℃とすることが好ましく、20〜80℃とすることがより好ましい。0℃未満であると、熟成が不十分となる傾向にある。一方、100℃を超えると、触媒活性の低下や、分子量分布の広がりが生じ易くなる傾向にある。なお、熟成時間は特に制限されない。また、重合反応槽に添加する前に、各成分どうしをライン中で接触させてもよいが、その場合の熟成時間は0.5分以上あれば充分である。なお、調製した触媒は、数日間は安定である。
本発明における変性共役ジエン系重合体を製造する際に用いる共役ジエン系重合体としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、すなわち、分子量分布(Mw/Mn)が、3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましい。分子量分布が3.5を超えるものであると、破壊特性、低発熱性を始めとするゴム物性が低下する傾向にある。一方、分子量分布の下限は、特に限定されない。なお、本明細書において、分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量と数平均分子量との割合(重量平均分子量/数平均分子量)により算出される値を意味する。ここで、共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、共役ジエン系重合体の数平均分子量は、GPC法で測定されたポリスチレン換算の数平均分子量である。
なお、上記共役ジエン系重合体の、ビニル含量、シス−1,4−結合量は、重合温度をコントロールすることによって、容易に調整することができる。また、上記Mw/Mnは上記(a)〜(c)成分のモル比をコントロールすることによって、容易に調整することができる。
また、上記共役ジエン系重合体の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、5〜50の範囲であることが好ましく、10〜40であることがより好ましい。5未満では、加硫後の機械特性、耐摩耗性などが低下することがある、一方、50を超えると、変性反応を行った後の変性共役ジエン系重合体の混練り時の加工性が低下することがある。このムーニー粘度は、上記(a)〜(c)成分のモル比をコントロールすることにより容易に調整することができる。
なお、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
更に、上記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合の含量(1,2−ビニル結合量)は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましく、0.3質量%以下であることが更に好ましい。0.5質量%を超えるものであると、破壊特性などのゴム物性が低下する傾向にある。また、上記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合量としては、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、1,2−ビニル結合量は、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出した値である。
上記変性工程(A)に用いるアルコキシシラン化合物(以下、「変性剤」とも称する。)としては、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するものである。アルコキシシリル基以外の反応基としては、特にその種類は限定されないが、例えば、(f);エポキシ基、(g);イソシアネート基、(h);カルボニル基、及び(i);シアノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が好ましい。すなわち、上記アルコキシシラン化合物が、(f);エポキシ基、(g);イソシアネート基、(h);カルボニル基、及び(i);シアノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。なお、上記アルコキシシラン化合物は、部分縮合物であってもよいし、該アルコキシシラン化合物と該部分縮合物の混合物であってもよい。
ここで、「部分縮合物」とは、アルコキシシラン化合物のSiOR(ORは、アルコキシ基を表す。)の一部(すなわち、全部ではない)が縮合によりSiOSi結合したものをいう。なお、上記変性反応に用いる共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
上記アルコキシシラン化合物の具体例としては、(f);エポキシ基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「エポキシ基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランが好適なものとして挙げられるが、これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランがより好ましい。
また、(g);イソシアネート基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「イソシアネート基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられるが、なかでも、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
また、(h);カルボニル基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「カルボニル基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられるが、なかでも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
更に、(i);シアノ基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「シアノ基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)としては、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられるが、なかでも、3−シアノプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
上記変性剤としては、これらのなかでも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシランが特に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
これら変性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上述のアルコキシシラン化合物の部分縮合物を用いることもできる。
上記変性工程(A)の変性反応では、上記アルコキシシラン化合物の使用量は、上記(a)成分1モルに対して、0.01〜200モルであることが好ましく、0.1〜150モルであることがより好ましい。0.01モル未満では、変性反応の進行が充分とはならず、充填剤の分散性が充分に改良されないために、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低発熱性が充分に得られないおそれがある。一方、200モルを超えて使用しても、変性反応は飽和している場合があり、その場合には使用した分のコストが余計にかかってしまう。なお、上記変性剤の添加方法は特に制限されないが、一括して添加する方法、分割して添加する方法、連続的に添加する方法などが挙げられ、なかでも、一括して添加する方法が好ましい。
上記変性反応は、溶液中で行うことが好ましく、この溶液としては、重合時に使用した未反応モノマーを含んだ溶液をそのまま使用することができる。また、変性反応の形式については特に制限されず、バッチ式反応器を用いて行ってもよいし、多段連続式反応器やインラインミキサなどの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作などの前に行うことが好ましい。
上記変性反応の温度は、共役ジエン系重合体を重合する際の重合温度と同様とすることができる。具体的には20〜100℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。温度が20℃より低くなると重合体の粘度が上昇する傾向があり、100℃を超えると、重合活性末端が失活するおそれがある。
また、上記変性反応における反応時間は、5分〜5時間であることが好ましく、15分〜1時間であることがより好ましい。なお、縮合工程(B)において、重合体の活性末端にアルコキシシラン化合物残基を導入した後、所望により、公知の老化防止剤や反応停止剤を添加してもよい。
上記変性工程(A)においては、上記変性剤の他に、縮合工程(B)において、活性末端に導入された変性剤であるアルコキシシラン化合物残基と縮合反応し、消費されるものを更に添加することが好ましい。具体的には、官能基導入剤を添加することが好ましい。この官能基導入剤により、変性共役ジエン系重合体の耐摩耗性を向上させることができる。
上記官能基導入剤は、活性末端との直接反応を実質的に起こさず、反応系に未反応物として残存するものであれば特に制限されないが、例えば、上記変性剤として用いるアルコキシシラン化合物とは異なるアルコキシシラン化合物、即ち、(j);アミノ基、(k);イミノ基、及び(l);メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物であることが好ましい。なお、この官能基導入剤として用いられるアルコキシシラン化合物は、部分縮合物であってもよいし、官能基導入剤として用いるアルコキシシラン化合物の部分縮合物でないものと該部分縮合物との混合物であってもよい。
上記官能基導入剤の具体例としては、(j);アミノ基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「アミノ基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)として、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シランや、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロヘキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、及び、これらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物又はエチルジメトキシシリル化合物などが挙げられるが、なかでも、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが特に好ましい。
また、(k);イミノ基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「イミノ基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)として、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ヘプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン、また、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−〔10−(トリエトキシシリル)デシル〕−4−オキサゾリン、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールが好適なものとして挙げられるが、これらの中でも、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールがより好ましい。
また、(l);メルカプト基を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「メルカプト基含有アルコキシシラン化合物」とも称する。)として、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−メルカプトプロピル(モノエトキシ)ジメチルシラン、メルカプトフェニルトリメトキシシラン、メルカプトフェニルトリエトキシシランなどが挙げられるが、なかでも、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
上記官能基導入剤としては、これらのなかでも、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが特に好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが最も好ましい。
これらの官能基導入剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記官能基導入剤としてアルコキシシラン化合物を用いる場合、その使用量は、上記(a)成分1モルに対して、0.01〜200モルが好ましく、0.1〜150モルがより好ましい。0.01モル未満では、縮合反応の進行が充分とはならず、充填剤の分散性が充分に改良されないために、加硫後の機械特性、耐摩耗性、低発熱性に劣る場合がある。一方、200モルを超えて使用しても、縮合反応は飽和している場合があり、その場合には使用した分のコストが余計にかかってしまう。
上記官能基導入剤の添加時期としては、上記変性工程(A)において上記共役ジエン系重合体の活性末端にアルコキシシラン化合物残基を導入した後であって、上記縮合工程(B)における縮合反応が開始される前が好ましい。縮合反応開始後に添加した場合、官能基導入剤が均一に分散せず触媒性能が低下する場合がある。官能基導入剤の添加時期としては、具体的には、変性反応開始5分〜5時間後であることが好ましく、変性反応開始15分〜1時間後であることがより好ましい。
なお、上記官能基導入剤として、上記官能基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合、活性末端を有する共役ジエン系重合体と、反応系に加えられた実質上化学量論的量の変性剤とが変性反応を起こし、実質的に活性末端の全てにアルコキシシリル基が導入され、更に上記官能基導入剤を添加することにより、この共役ジエン系重合体の活性末端の当量より多くのアルコキシシラン化合物残基が導入されることになる。
アルコキシシリル基同士の縮合反応は、遊離のアルコキシシラン化合物と共役ジエン系重合体末端のアルコキシシリル基の間で起こること、また場合によっては共役ジエン系重合体末端のアルコキシシリル基同士で起こることが、反応効率の観点から好ましく、遊離のアルコキシシラン化合物同士の反応は好ましくない。したがって、官能基導入剤としてアルコキシシラン化合物を新たに加える場合には、そのアルコキシシリル基の加水分解性が、共役ジエン系重合体末端に導入したアルコキシシリル基の加水分解性に比べて低いことが好ましい。
例えば、共役ジエン系重合体の活性末端との反応に用いられるアルコキシシラン化合物には加水分解性の高いトリメトキシシリル基を含有する化合物を用い、官能基導入剤として新たに添加するアルコキシシラン化合物には、該トリメトキシシリル基含有化合物より加水分解性が低いアルコキシシリル基(例えば、トリエトキシシリル基)を含有するものを用いる組み合わせが好ましい。逆に、例えば、共役ジエン系重合体の活性末端との反応に用いられるアルコキシシラン化合物としてトリエトキシシリル基を含有する化合物を用い、官能基導入剤として新たに添加するアルコキシシラン化合物がトリメトキシシリル基を含有する化合物であると、反応効率が低下してしまうおそれがある。
上記縮合工程(B)は、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる工程である。
上記縮合触媒は、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するものであれば、特に制限されないが、例えば、チタン(Ti)(第4族)、スズ(Sn)(第14族)、ジルコニウム(Zr)(第4族)、ビスマス(Bi)(第15族)及びアルミニウム(Al)(第13族)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものであることが好ましい。
上記縮合触媒の具体例としては、スズ(Sn)を含む縮合触媒として、例えば、ビス(n−オクタノエート)スズ、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ラウレート)スズ、ビス(ナフトエネート)スズ、ビス(ステアレート)スズ、ビス(オレエート)スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジn−オクタノエート、ジブチルスズジ2−エチルヘキサノエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズビス(ベンジルマレート)、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジn−オクチルスズジアセテート、ジn−オクチルスズジn−オクタノエート、ジn−オクチルスズジ2−エチルヘキサノエート、ジn−オクチルスズジラウレート、ジn−オクチルスズマレート、ジn−オクチルスズビス(ベンジルマレート)、ジn−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレート)等が挙げられる。
ジルコニウム(Zr)を含む縮合触媒として、例えば、テトラエトキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトラi−プロポキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラtert−ブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキシルオキシド)ジルコニウム、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ラウレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ナフテート)ジルコニウムオキサイド、ビス(ステアレート)ジルコニウムオキサイド、ビス(オレエート)ジルコニウムオキサイド、ビス(リノレート)ジルコニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)ジルコニウム、テトラキス(ラウレート)ジルコニウム、テトラキス(ナフテート)ジルコニウム、テトラキス(ステアレート)ジルコニウム、テトラキス(オレエート)ジルコニウム、テトラキス(リノレート)ジルコニウム等が挙げられる。
ビスマス(Bi)を含む縮合触媒として、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマス等が挙げられる。
アルミニウム(Al)を含む縮合触媒として、例えば、トリエトキシアルミニウム、トリn−プロポキシアルミニウム、トリi−プロポキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリtert−ブトキシアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシルオキシド)アルミニウム、アルミニウムジブトキシステアレート、アルミニウムジブトキシアセチルアセトネート、アルミニウムブトキシビス(アセチルアセトネート)、アルミニウムジブトキシエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ラウレート)アルミニウム、トリス(ナフテート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、トリス(オレエート)アルミニウム、トリス(リノレート)アルミニウム等が挙げられる。
チタン(Ti)を含む縮合触媒として、例えば、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラn−プロポキシチタニウム、テトラi−プロポキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウム、テトラn−ブトキシチタニウムオリゴマー、テトラsec−ブトキシチタニウム、テトラtert−ブトキシチタニウム、テトラ(2−エチルヘキシルオキシド)チタニウム、ビス(オクタンジオレート)ビス(2−エチルヘキシルオキシド)チタニウム、テトラ(オクタンジオレート)チタニウム、チタニウムラクテート、チタニウムジプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムジブトキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムトリブトキシステアレート、チタニウムトリプロポキシステアレート、チタニウムトリプロポキシアセチルアセトネート、チタニウムジプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリプロポキシエチルアセトアセテート、チタニウムプロポキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムトリブトキシアセチルアセトネート、チタニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、チタニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、チタニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラキス(アセチルアセトネート)、チタニウムジアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チタニウムオキサイド、ビス(ラウレート)チタニウムオキサイド、ビス(ナフテート)チタニウムオキサイド、ビス(ステアレート)チタニウムオキサイド、ビス(オレエート)チタニウムオキサイド、ビス(リノレート)チタニウムオキサイド、テトラキス(2−エチルヘキサノエート)チタニウム、テトラキス(ラウレート)チタニウム、テトラキス(ナフテート)チタニウム、テトラキス(ステアレート)チタニウム、テトラキス(オレエート)チタニウム、テトラキス(リノレート)チタニウム等が挙げられる。
これらの中でも、上記縮合触媒としては、チタン(Ti)を含む縮合触媒がより好ましい。チタン(Ti)を含む縮合触媒の中でも、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩であることが更に好ましい。特に好ましくは、テトラi−プロポキシチタニウム(テトライソプロピルチタネート)である。チタン(Ti)を含む縮合触媒を用いることにより、変性剤として用いる上記アルコキシシラン化合物の残基、及び官能基導入剤として用いる上記アルコキシシラン化合物の残基の縮合反応をより効果的に促進させることができ、加工性、低温特性及び耐摩耗性に優れた変性共役ジエン系重合体を得ることが可能となる。このように、上記縮合触媒が、チタン(Ti)を含むこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記縮合触媒の使用量としては、縮合触媒として用いることができる上記種々の化合物のモル数が、反応系内に存在するアルコキシシリル基総量1モルに対して、0.1〜10モルとなることが好ましく、0.3〜5モルが特に好ましい。0.1モル未満では、縮合反応が充分に進行しないおそれがある。一方、10モルを超えて使用しても、縮合触媒としての効果は飽和している場合があり、その場合には使用した分のコストが余計にかかってしまう。
上記縮合触媒は、上記変性反応前に添加することもできるが、変性反応後、かつ縮合反応開始前に添加することが好ましい。変性反応前に添加した場合、活性末端との直接反応が起こり、活性末端にアルコキシシリル基が導入されない場合がある。また、縮合反応開始後に添加した場合、縮合触媒が均一に分散せず触媒性能が低下する場合がある。上記縮合触媒の添加時期としては、具体的には、変性反応開始5分〜5時間後であることが好ましく、変性反応開始15分〜1時間後であることがより好ましい。
上記縮合工程(B)の縮合反応は、水溶液中で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は85〜180℃であることが好ましく、100〜170℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。縮合反応時の温度が85℃未満であると、縮合反応の進行が充分とはならず、縮合反応を完結させることができない場合があり、その場合、得られる変性共役ジエン系重合体に経時変化が発生し、品質上問題となるおそれがある。一方、180℃を超えると、ポリマーの老化反応が進行し、物性を低下させるおそれがある。
上記縮合反応が行われる水溶液のpHは9〜14であることが好ましく、10〜12であることがより好ましい。水溶液のpHをこのような範囲とすることにより、縮合反応が促進され、変性共役ジエン系重合体の経時安定性を改善することができる。pHが9未満であると、縮合反応の進行が充分とはならず、縮合反応を完結させることができない場合があり、その場合、得られる変性共役ジエン系重合体に経時変化が発生し、品質上問題となるおそれがある。一方、縮合反応が行われる水溶液のpHが14を超えると、単離後の変性共役ジエン系重合体中に多量のアルカリ由来成分が残留し、その除去が困難となるおそれがある。
上記縮合反応の反応時間は、5分〜10時間であることが好ましく、15分〜5時間程度であることがより好ましい。5分未満では、縮合反応が完結しないおそれがある。一方、10時間を超えても縮合反応が飽和しているおそれがある。また、縮合反応時の反応系内の圧力は、0.01〜20MPaであることが好ましく、0.05〜10MPaであることがより好ましい。
縮合反応の形式については特に制限されず、バッチ式反応器を用いて行ってもよいし、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と同時に脱溶媒を行ってもよい。
上述のように縮合反応を行った後、従来公知の後処理を行い、目的の変性共役ジエン系重合体を得ることができる。
上記変性共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4(125℃))は、10〜150であることが好ましく、20〜100であることがより好ましい。ムーニー粘度(ML1+4(125℃))が10未満であると、破壊特性を始めとするゴム物性が低下するおそれがある。一方、ムーニー粘度(ML1+4(125℃))が150を超えるものであると、作業性が悪くなり、配合剤とともに混練りすることが困難になるおそれがある。
なお、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)は後述の実施例に記載の測定方法により得られる値である。
また、上記変性共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましい。分子量分布が3.5を超えるものであると、破壊特性、低発熱性などのゴム物性が低下する傾向がある。ここで、変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、変性共役ジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は、GPC法で測定されたポリスチレン換算の数平均分子量である。
また、上記変性共役ジエン系重合体のコールドフロー値(mg/分)は、1.0以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。コールドフロー値が1.0を超えるものであると、貯蔵時におけるポリマーの形状安定性が悪化するおそれがある。なお、本明細書において、コールドフロー値(mg/分)は、後述する測定方法により算出される値である。
更に、上記変性共役ジエン系重合体の経時安定性の評価値は、0〜5であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。この評価値が5を超えるものであると、貯蔵時にポリマーが経時変化するおそれがある。なお、本明細書において、経時安定性は、後述する測定方法により算出される値である。
また、上記変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度は、−40℃以下であることが好ましい。より好ましくは−43℃以下であり、更に好ましくは−46℃以下であり、特に好ましくは−50℃以下である。ガラス転移温度が−40℃を超えると、スタッドレスタイヤに必要な低温特性を充分確保できないおそれがある。他方、該ガラス転移温度の下限は特に制限されない。
ここで、変性共役ジエン系重合体のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の測定方法により測定することができる。
上記ゴム成分は、上記天然ゴム及び上記変性共役ジエン系重合体以外の他のゴムを含んでいてもよい。上記他のゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、改質天然ゴム等のイソプレン系ジエンゴム;ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴム;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等の非ジエン系ゴム等が挙げられる。
なお、上記改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。
本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物について、ゴム成分100質量部に対して、シリカの含有量は、1質量部以上である。このように、本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物はシリカを所定量配合するものである。シリカの含有量としては、ゴム成分100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、20質量部以上が更に好ましい。また、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下が更に好ましく、60質量部以下が特に好ましい。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して1質量部未満であると、変性共役ジエン系重合体の有する性能がサマータイヤにおいて充分に発揮されないおそれがあり、充分な低燃費性能、操縦安定性を発揮できない傾向がある。他方、100質量部を超えると、フィラー量が多くなりすぎて、フィラーの分散が困難となり、耐摩耗性、低燃費性能、操縦安定性が悪化する傾向がある。また、ゴムの加工性が大幅に悪化するおそれがある。
本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物について、ゴム成分100質量部に対して、シリカの含有量は、1質量部以上である。このように、本発明におけるゴム組成物はシリカを所定量配合するものである。シリカの含有量としては、ゴム成分100質量部に対して10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、40質量部以上が特に好ましく、50質量部以上が最も好ましい。また、100質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、75質量部以下が更に好ましい。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して1質量部未満であると、変性共役ジエン系重合体の有する性能がスタッドレスタイヤにおいて充分に発揮されないおそれがあり、充分に低温での硬度の上昇を抑制することができず、充分な氷雪上性能を発揮できない傾向がある。また、充分な低燃費性能を発揮できない傾向がある。他方、100質量部を超えると、フィラー量が多くなりすぎて、フィラーの分散が困難となり、耐摩耗性、低燃費性能、氷雪上性能が悪化する傾向がある。また、ゴムの加工性が大幅に悪化するおそれがある。
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などを用いることができる。シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカ(含水シリカ)が好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上、特に好ましくは110m/gである。40m/g未満であると、充分な補強性、破壊特性が得られず、充分な耐摩耗性、氷雪上性能が得られないおそれがある。また、シリカのNSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは185m/g以下、特に好ましくは180m/g以下である。300m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、耐摩耗性、破壊特性が悪化するおそれがあり、また、スタッドレスタイヤに必要な低温特性を充分確保できない場合がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカの平均一次粒子径は、25nm以下であることが好ましく、22nm以下であることがより好ましく、17nm以下であることが更に好ましい。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、3nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、7nm以上であることが更に好ましい。シリカの平均一次粒子径がこのような範囲であることによって、シリカの分散性をより改善でき、補強性、破壊特性、耐摩耗性を更に改善できる。
なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
本発明におけるゴム組成物は、カーボンブラックを配合する場合、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。該含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは65質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。
カーボンブラックとしては、特に制限されず、ベーストレッド用ゴム組成物に配合される一般的なものを使用することができるが、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。なかでも、ISAF、SAF、HAFが好ましく、ISAFがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は50m/g以上が好ましく、90m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましく、110m/g以上が特に好ましい。50m/g未満では、充分な補強性、破壊特性が得られず、充分な耐摩耗性、氷雪上性能が得られない場合がある。該NSAは、250m/g以下が好ましく、230m/g以下がより好ましく、180m/g以下が更に好ましく、130m/g以下が特に好ましい。250m/gを超えると、分散させるのが困難となり、耐摩耗性、破壊特性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、50ml/100g以上が好ましく、100ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な補強性、破壊特性が得られず、充分な耐摩耗性、氷雪上性能が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBPは、200ml/100g以下が好ましく、135ml/100g以下がより好ましい。200ml/100gを超えると、加工性、耐摩耗性、破壊特性が低下するおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217−4:2001に準拠して測定される。
本発明におけるゴム組成物は、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満では、充分な補強性、破壊特性が得られず、充分な耐摩耗性、氷雪上性能が得られないおそれがある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
また、本発明におけるゴム組成物は、更にオイルを含むことが好ましい。オイルを配合することにより、ゴムの硬度が低下し、より良好な氷雪上性能が得られる。このように、本発明のゴム組成物が、更にオイルを含有することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。そして更には、後述する含有量のオイルを含有することが特に好適な実施形態の1つである。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、その混合物等を用いることができる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル(アロマオイル)等が挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらのなかでも、特にアロマオイルが好ましい。
本発明のサマータイヤにおけるゴム組成物について、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、オイルの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、特に好ましくは10質量部未満である。上記範囲内であると、本発明の効果がより良好に得られる。
本発明のスタッドレスタイヤにおけるゴム組成物について、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。5質量部未満では、充分な氷雪上性能が得られないおそれや、スタッドレスタイヤに必要な柔軟性が確保できないおそれがある。また、オイルの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは40質量部以下、最も好ましくは30質量部以下である。80質量部を超えると、耐摩耗性、破壊特性が悪化するおそれがある。また、ゴムの加工性が大幅に悪化するおそれがある。
中でも特に、前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が20〜80質量部であり、かつ、前記オイルの含有量が10〜50質量部であるような、高シリカ、高オイル配合系とすると、低燃費性能及び氷雪上性能をバランス良く改善し、更にゴムの加工性を特に良好なものとすることができる。
本発明におけるゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等の材料を適宜配合してもよい。
上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤と、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤とを併用することがより好ましい。
上記スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、CBSが好ましく、CBSと、ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤とを併用することがより好ましい。
本発明におけるゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどのゴム混練装置に加硫剤及び加硫促進剤以外の成分(天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分とシリカと、必要に応じて、他の成分)を配合して混練りした後、得られた混練物に、更に加硫剤及び加硫促進剤を配合して混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。該ゴム組成物は、サマータイヤ又はスタッドレスタイヤのベーストレッドに使用される。
本発明のサマータイヤ又はスタッドレスタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法により製造される。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でベーストレッドの形状に合わせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを製造することができる。これにより、前述の成分を配合したベーストレッドを有するサマータイヤ又はスタッドレスタイヤが得られる。
本発明のサマータイヤ又はスタッドレスタイヤでは、トレッドが多層構造を有することとなるため、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でシート状にしたものを所定の形状に張り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法などにより作製することができる。
本発明のサマータイヤ又はスタッドレスタイヤは、乗用車、大型乗用車、大型SUV、ライトトラック、トラック、バスなどのサマータイヤ又はスタッドレスタイヤとして好適に用いることができる。
なお、本発明において、サマータイヤとは、一般的に車に使われるタイヤで、冬用に特化したタイヤであるスタッドレスタイヤ以外のタイヤのことを指す。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<合成例1(共役ジエン系重合体の合成)>
あらかじめ、0.18ミリモルのバーサチック酸ネオジムを含有するシクロヘキサン溶液、3.6ミリモルのメチルアルモキサンを含有するトルエン溶液、6.7ミリモルの水素化ジイソブチルアルミニウムを含有するトルエン溶液、及び、0.36ミリモルのトリメチルシリルアイオダイドを含有するトルエン溶液と1,3−ブタジエン0.90ミリモルを30℃で60分間反応熟成させて得られる触媒組成物(ヨウ素原子/ランタノイド含有化合物(モル比)=2.0)を得た。続いて、シクロヘキサン2.4kg、1,3−ブタジエン300gを窒素置換された5Lオートクレーブに投入した。そして、上記触媒組成物を上記オートクレーブに投入し、30℃で2時間、重合反応させて、重合体溶液を得た。なお、投入した1,3−ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
ここで、共役ジエン系重合体(以下、「重合体」とも称する。)、すなわち、変性前のものの各種物性値を測定するため、上記重合体溶液から200gの重合体溶液を抜き取り、この重合体溶液に2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を重合体とした。
重合体について、以下に示す測定方法によって各種物性値を測定したところ、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が12であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.6であり、シス−1,4−結合量が99.2質量%であり、1,2−ビニル結合量が0.21質量%であった。
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]
JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(商品名;HLC−8120GPC、東ソー社製)を使用し、検知器として、示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した。
カラム ;商品名「GMHHXL」、(東ソー社製)2本、
カラム温度 ;40℃、
移動相 ;テトラヒドロフラン、
流速 ;1.0ml/分、
サンプル濃度;10mg/20ml
[シス−1,4−結合量、1,2−ビニル結合量]
シス−1,4−結合の含量、及び1,2−ビニル結合の含量は、H−NMR分析及び13C−NMR分析により測定を行った。H−NMR分析には、日本電子社製の商品名「EX−270」を使用した。具体的には、H−NMR分析としては、5.30〜5.50ppm(1,4−結合)、及び4.80−5.01ppm(1,2−結合)におけるシグナル強度から、重合体中の1,4−結合と1,2−結合の比を算出した。更に、13C−NMR分析としては、27.5ppm(シス−1,4−結合)、及び32.8ppm(トランス−1,4−結合)におけるシグナル強度から、重合体中のシス−1,4−結合とトランス−1,4−結合の比を算出した。これらの算出した値の比率を算出し、シス−1,4−結合量(質量%)及び1,2−ビニル結合量(質量%)とした。
<製造例1(変性共役ジエン系重合体の合成)>
変性共役ジエン系重合体(以下、「変性重合体」とも称する。)を得るために、合成例1の共役ジエン系重合体の重合体溶液に次の処理を行った。温度30℃に保持した重合体溶液に、1.71ミリモルの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間反応させて反応溶液を得た。それから、この反応溶液に1.71ミリモルの3−アミノプロピルトリエトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。続いて、この反応溶液に1.28ミリモルのテトライソプロピルチタネートを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。その後、重合反応を停止させるため、2,4−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加して、この溶液を変性重合体溶液とした。収量は2.5kgであった。続いて、この変性重合体溶液に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lを添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応させた。その後、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を変性重合体とした。
変性重合体については、以下に示す測定方法によって各種物性値を測定したところ(ただし、分子量分布(Mw/Mn)の測定は、上記重合体と同様の条件で行った。)、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)が46であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.4であり、コールドフロー値が0.3mg/分であり、経時安定性が2であり、ガラス転移温度が−106℃であった。
[ムーニー粘度(ML1+4,125℃)]
JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度125℃の条件で測定した。
[コールドフロー値]
圧力3.5lb/in、温度50℃で重合体を1/4インチオリフィスに通して押し出すことにより測定した。定常状態にするため、10分間放置後、押し出し速度を測定し、その測定値を毎分のミリグラム数(mg/分)で表示した。
[経時安定性]
90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4,125℃)を測定し、下記式により算出した値である。なお、値が小さいほど経時安定性が良好である。
式:[90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4,125℃)]−[合成直後に測定したムーニー粘度(ML1+4,125℃)]
[ガラス転移温度]
ガラス転移温度は、JIS K 7121に準じて、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することによリ、ガラス転移開始温度として求めた。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム:RSS#3
ブタジエンゴム:日本ゼオン(株)製のBR1220(シス含量:96質量%)
変性共役ジエン系重合体:製造例1で合成した変性共役ジエン系重合体
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(ASTM No.N220、NSA:114m/g、DBP:114ml/100g)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g、平均一次粒子径:15nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140(アロマオイル)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
(実施例1〜6及び比較例1〜9)
表1及び2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料(表1及び2中、工程1に示す配合量の薬品)を約150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た(この際、仕様によってはオイルを2分割投入して混練りを行った。)。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を表1及び2中の工程2に示す配合内容で添加し、オープンロールを用いて、約80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で15分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15、乗用車用タイヤ)を製造した。
得られた試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1及び2に示す。なお、表1、2の基準比較例をそれぞれ、比較例1、比較例5とした。
[低燃費性能]
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100としたときの指数で表示した(転がり抵抗指数)。指数は大きいほど転がり抵抗性(低燃費性能)に優れる。
[氷雪上性能]
上記試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、下記条件下で氷雪上を実車走行し、氷雪上性能を評価した。氷雪上性能評価としては、具体的には、上記車両を用いて氷上又は雪上を走行し、時速30km/hでロックブレーキを踏み、停止させるまでに要した停止距離(氷上制動停止距離、雪上制動停止距離)を測定し、下記式により指数表示した。指数が大きいほど、氷雪上性能(氷雪上でのグリップ性能)が良好である。なお、指数の値が100を超えると、氷雪上性能が改善しているといえる。
(制動性能〔氷雪上性能〕指数)=(基準比較例の制動停止距離)/(各配合の制動停止距離)×100
(氷上) (雪上)
試験場所:北海道名寄テストコ−ス 北海道名寄テストコ−ス
気温 :−2〜−6℃ −3℃〜−10℃
[操縦安定性]
試験用タイヤを車輌(国産FF2000cc)の全輪に装着してテストコースを実車走行し、ドライバーの官能評価により操縦安定性を評価した。その際に、10点を満点とし、基準比較例の操縦安定性を6点としてそれぞれ相対評価を行った。数値が大きいほど、操縦安定性に優れることを示す。
Figure 2017088770
表1より、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有する実施例のサマータイヤでは、低燃費性能及び操縦安定性を高いレベルで両立できることが明らかとなった。
Figure 2017088770
表2より、天然ゴム及び特定の変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを所定量含有する実施例のスタッドレスタイヤでは、低燃費性能及び氷雪上性能を高いレベルで両立できることが明らかとなった。

Claims (20)

  1. ゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するサマータイヤであって、
    該ゴム組成物は、天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを含有し、
    該変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを備え、前記共役ジエン系重合体として、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合した共役ジエン系重合体を用いる製造方法により得られるものであり、
    前記ゴム成分100質量%中、天然ゴム及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量が20〜100質量%であり、
    前記ゴム成分100質量%中、前記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜90質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が1質量部以上である
    ことを特徴とするサマータイヤ。
    (a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
    (b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
    (c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
  2. 前記共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.5以下である請求項1記載のサマータイヤ。
  3. 前記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合量が、0.5質量%以下である請求項1又は2記載のサマータイヤ。
  4. 前記縮合触媒が、チタン(Ti)を含む請求項1〜3のいずれかに記載のサマータイヤ。
  5. 前記アルコキシシラン化合物が、下記(f)〜(i)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有する請求項1〜4のいずれかに記載のサマータイヤ。
    (f);エポキシ基
    (g);イソシアネート基
    (h);カルボニル基
    (i);シアノ基
  6. 前記変性工程(A)において、下記(j)〜(l)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物を添加する請求項1〜5のいずれかに記載のサマータイヤ。
    (j);アミノ基
    (k);イミノ基
    (l);メルカプト基
  7. 前記縮合工程(B)における縮合反応が、pH9〜14、温度85〜180℃の水溶液中で行われる請求項1〜6のいずれかに記載のサマータイヤ。
  8. 前記変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン化合物である請求項1〜7のいずれかに記載のサマータイヤ。
  9. 前記シリカの窒素吸着比表面積が、40〜300m/gである請求項1〜8のいずれかに記載のサマータイヤ。
  10. 前記天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と前記シリカとを混練する工程を含む請求項1〜9のいずれかに記載のサマータイヤの製造方法。
  11. ゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有するスタッドレスタイヤであって、
    該ゴム組成物は、天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と、シリカとを含有し、
    該変性共役ジエン系重合体が、シス−1,4−結合量が94.0質量%以上であり、活性末端を有する共役ジエン系重合体を用い、この共役ジエン系重合体の活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを備え、前記共役ジエン系重合体として、下記(a)〜(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合した共役ジエン系重合体を用いる製造方法により得られるものであり、
    前記ゴム成分100質量%中、天然ゴム及び前記変性共役ジエン系重合体の合計含有量が20〜100質量%であり、
    前記ゴム成分100質量%中、前記変性共役ジエン系重合体の含有量が10〜90質量%であり、
    前記ゴム成分100質量部に対して、前記シリカの含有量が1質量部以上である
    ことを特徴とするスタッドレスタイヤ。
    (a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
    (b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
    (c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
  12. 前記共役ジエン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.5以下である請求項11記載のスタッドレスタイヤ。
  13. 前記共役ジエン系重合体の1,2−ビニル結合量が、0.5質量%以下である請求項11又は12記載のスタッドレスタイヤ。
  14. 前記縮合触媒が、チタン(Ti)を含む請求項11〜13のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
  15. 前記アルコキシシラン化合物が、下記(f)〜(i)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有する請求項11〜14のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
    (f);エポキシ基
    (g);イソシアネート基
    (h);カルボニル基
    (i);シアノ基
  16. 前記変性工程(A)において、下記(j)〜(l)からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物を添加する請求項11〜15のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
    (j);アミノ基
    (k);イミノ基
    (l);メルカプト基
  17. 前記縮合工程(B)における縮合反応が、pH9〜14、温度85〜180℃の水溶液中で行われる請求項11〜16のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
  18. 前記変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の共役ジエン化合物である請求項11〜17のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
  19. 前記シリカの窒素吸着比表面積が、40〜300m/gである請求項11〜18のいずれかに記載のスタッドレスタイヤ。
  20. 前記天然ゴム及び変性共役ジエン系重合体を含むゴム成分と前記シリカとを混練する工程を含む請求項11〜19のいずれかに記載のスタッドレスタイヤの製造方法。
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