JP2017088418A - SiC繊維強化SiC複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造段階で高い温度に曝すことなく、SiC繊維の強度低下を少なくすることができる高強度のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】SiC繊維とSiCマトリックスからなるSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法であって、上記SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程と、上記SiC繊維に形状を付与し繊維集合体を形成する賦形工程と、上記繊維集合体を骨材としてCVD法または前駆体法でSiCマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、からなることを特徴とするSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、SiC繊維強化SiC複合材料の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si)等のセラミック材料は、耐熱性、化学的安定性、機械的特性に優れている。そのため、これらのセラミック材料は、原子力分野、航空・宇宙分野、発電分野等の過酷な環境下や、ポンプメカニカルシール等の一般的な分野で使用される材料として開発が進められている。これらのセラミック材料のうち、SiCは、上記の特性に優れていることから、広範囲な分野において有望視されている構造材料である。
ただし、SiC自体は脆い材料であるため、SiC繊維とSiCマトリックスとからなるSiC繊維/SiC複合材料が提案されている。しかしながら、SiC繊維/SiC複合材料であっても、SiCマトリックスに亀裂が生じると、マトリックス中に亀裂が進展し、SiC繊維にまで亀裂が伝播することがあった。
そこで、例えば、特許文献1には、SiC繊維表面に炭素、窒化ホウ素及び炭化ケイ素の少なくとも1種を含む被覆層が形成されてなる被覆SiC繊維に対し、SiC微粉末及び焼結助剤を含み、かつ、有機ケイ素高分子を含まないスラリーを含浸させることにより予備成形体を得る第1工程と、上記予備成形体を加圧焼結させる第2工程を含むことを特徴とするSiC繊維強化型SiC複合材料の製造方法が開示されている。
具体的には、SiC繊維は、その表面に炭素、窒化ホウ素及び炭化ケイ素の少なくとも1種を含む被覆層が形成されているとされており、被覆層は、a)荷重伝達(負荷された荷重を繊維とマトリックスに分配)、b)亀裂進展抑制機能、c)繊維とマトリックスの間の物質拡散の抑制等の効果を発揮することができるとされている。
特開2010−70421号公報
特許文献1に記載の方法により製造される複合材料では、SiC微粉末及び焼結助剤を用い加圧焼結が、5MPa以上の圧力下1600〜1900℃で行われている。SiC自体は、耐熱性、強度の高い素材であるが、SiC繊維には不純物として原材料である有機珪素化合物を由来とする酸素を含有している。酸素を含有するSiCは、1400℃程度からSiO、COを生成する酸素の脱離反応がおき始め、内部に微細な気孔を形成し、強度低下をもたらす原因となっている。このため、酸素含有量の少ないSiC繊維を用いること、製造段階も含めできるだけ高温に曝さないことがSiC繊維の高い強度を維持するために重要である。特許文献1に記載の方法は、製造段階で1600〜1900℃で加圧焼結を行っているため、実際に使用する温度以上に高温に曝され、SiC繊維が含有する酸素の脱離反応によってSiC繊維の強度低下をもたらす原因となっている。
上記課題を鑑み、本発明では、製造段階で高い温度に曝すことなく、SiC繊維の強度低下を少なくすることができる高強度のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は、
(1)SiC繊維とSiCマトリックスとからなるSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法であって、
上記SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程と、
上記SiC繊維に形状を付与し繊維集合体を形成する賦形工程と、
上記繊維集合体を骨材としてCVD法または前駆体法でSiCマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、からなる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法では、焼結プロセスを経ることなく、高い処理温度を必要としない前駆体法またはCVD法でSiCのマトリックスを形成している。このため、SiC繊維中に含有する酸素の脱離反応の影響を最小限に抑えることができ、SiC繊維の強度低下を小さくすることができる。なお前駆体法とはSiC前駆体を上記骨材に含浸したのち焼成し熱分解させる製造方法であり、CVD法とはSiC原料ガスをCVD炉内で熱分解させる製造方法である。
また本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は、SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程を有している。h−BNとは、六方晶系の窒化ホウ素であり、c軸方向にファンデルワールス力で結合する劈開性を有する素材である。このため、h−BN被膜をSiC繊維の表面に有していると、マトリックスとSiC繊維とは互いに強く結合していないのでマトリックスに発生したクラックをSiC繊維に進展しにくくすることができる。また、h−BN被膜は、劈開性を有しているので、マトリックスのクラックの先端に発生する応力を、SiC繊維の広い範囲に分散させ、応力集中を起こりにくくする効果が特に強く高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
(2)上記コーティング工程は、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法である。
コーティング工程を、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法で行うことにより、SiC繊維を過剰に高温に曝すことがなく、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
(3)上記コーティング工程は、h−BNの原料ガスを熱分解するCVD法である。
CVD法は、原料ガスを熱分解させて目的の被膜を得る方法であり、粉末原料を使用する焼結法と比較して、反応に必要な温度が低いことが特徴である。このため、コーティング工程を、h−BNの原料ガスを熱分解するCVD法で行うことにより、SiC繊維を過剰に高温に曝すことがなく、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
(4)上記繊維集合体は、織布、ブレーディング成形体(組紐成形体ともいう)、及び、フィラメントワインディング成形体のいずれかで構成される。
織布、ブレーディング成形体、及び、フィラメントワインディング成形体のいずれかで構成された繊維集合体を骨材とすることで、SiC繊維を用いて目的の形状を形成するとともに、SiC繊維の配向方向を適宜設定することによって強度を高めることができる。
(5)上記SiC繊維は、複数本がまとまってSiC繊維束を構成している。
SiC繊維が複数本まとまってSiC繊維束を構成していると、繊維間にできる空間を少なくすることができる。このため、SiC繊維強化SiC複合材料のSiC繊維の比率を高めることができ、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法では、焼結プロセスを経ることなく、高い処理温度を必要としない前駆体法またはCVD法でSiCのマトリックスを形成している。このため、SiC繊維中に酸素を含有していても、酸素の脱離反応を最小限に抑えることができ、SiC繊維の強度低下を小さくすることができる。このため、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法を提供することができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造工程を示すフロー図であり、図1(a)は、賦形工程、コーティング工程、マトリックス形成工程の順の製造プロセス、図1(b)は、コーティング工程、賦形工程、マトリックス形成工程の順の製造プロセスである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法について説明する。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は
(1)SiC繊維とSiCマトリックスとからなるSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法であって、
上記SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程と、
上記SiC繊維に形状を付与し繊維集合体を形成する賦形工程と、
上記繊維集合体を骨材としてCVD法または前駆体法でSiCマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、からなる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法では、焼結プロセスを経ることなく、高い処理温度を必要としない前駆体法またはCVD法でSiCのマトリックスを形成している。このため、SiC繊維中に含有する酸素の脱離反応の影響を最小限に抑えることができ、SiC繊維の強度低下を小さくすることができる。なお前駆体法とはSiC前駆体を上記骨材に含浸したのち焼成し熱分解させる製造方法であり、CVD法とはSiC原料ガスをCVD炉内で熱分解させる製造方法である。
また本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は、SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程を有している。h−BNとは、六方晶系の窒化ホウ素であり、c軸方向にファンデルワールス力で結合する劈開性を有する素材である。このため、h−BN被膜をSiC繊維の表面に有していると、マトリックスとSiC繊維とは互いに強く結合していないのでマトリックスに発生したクラックをSiC繊維に進展しにくくすることができる。また、h−BN被膜は、劈開性を有しているので、マトリックスのクラックの先端に発生する応力を、SiC繊維の広い範囲に分散させ、応力集中を起こりにくくする効果が特に強く高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。 なお、h−BN被膜は、X線回折法で確認することができる。
さらに、本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は、以下の態様であることが好ましい。
(2)上記コーティング工程は、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法である。
コーティング工程を、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法で行うことにより、SiC繊維を過剰に高温に曝すことがなく、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
(3)上記コーティング工程は、h−BNの原料ガスを熱分解するCVD法である。
CVD法は、原料ガスを熱分解させて目的の被膜を得る方法であり、粉末原料を使用する焼結法と比較して、反応に必要な温度が低いことが特徴である。このため、コーティング工程を、h−BNの原料ガスを熱分解するCVD法で行うことにより、SiC繊維を過剰に高温に曝すことがなく、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
(4)上記繊維集合体は、織布、ブレーディング成形体、及び、フィラメントワインディング成形体のいずれかで構成される。
織布、ブレーディング成形体、及び、フィラメントワインディング成形体のいずれかで構成された無機繊維集合体を骨材とすることで、SiC繊維を用いて目的の形状を形成するとともに、SiC繊維の配向方向を適宜設定することによって強度を高めることができる。
(5)上記SiC繊維は、複数本がまとまってSiC繊維束を構成している。
SiC繊維が複数本まとまってSiC繊維束を構成していると、繊維間にできる空間を少なくすることができる。このため、SiC繊維強化SiC複合材料のSiC繊維の比率を高めることができ、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
図1(a)及び図1(b)は、本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造工程を示すフロー図であり、図1(a)は、賦形工程、コーティング工程、マトリックス形成工程の順の製造プロセス、図1(b)は、コーティング工程、賦形工程、マトリックス形成工程の順の製造プロセスである。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法において、SiC繊維としては、NGSアドバンストファイバー社製Hi−Nicalon、宇部興産社製Tyranno−SA等を使用することができる。
SiC繊維の直径は、SiC繊維強化SiC複合材料の用途に応じて適宜設定できるが、5〜25μmであることが望ましい。SiC繊維の直径が5μm以上であると、表面の傷、内部の気孔の影響を小さくすることができるので、高強度の複合材料を得ることができる。SiC繊維の直径が25μm以下であると、SiC繊維が曲がっても表面の延び率を小さくすることができるので破断しにくくすることができる。SiC繊維束を構成するSiC繊維の本数は、例えば50〜2000本である。
SiC繊維の直径は、SiC繊維強化SiC複合材料の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより測定することができる。
[コーティング工程]
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法において、コーティング工程は、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法と、h−BNの原料ガスを熱分解させるCVD法のいずれでも利用することができる。
塗布法及びCVD法は、SiC繊維に形状を付与する賦形工程の前の素線の段階、SiC繊維を繊維集合体とした賦形工程の後いずれでも適用することができる。
さらにSiC繊維に形状を付与する賦形工程の後でコーティング工程を適用する場合には、塗布法は液状のスラリーを用い浸透性を有しているので、内部まで浸透しやすく効率的に行うことができる。
塗布法を適用する場合、h−BNの粉を水、アルコールなどの溶媒に分散させたスラリーをSiC繊維または繊維集合体に塗布する。賦形工程の前にコーティング工程を適用する場合にはSiC繊維に直接塗布することとなり、賦形工程の後にコーティング工程を適用する場合には、繊維集合体に塗布することになる。
CVD法を適用する場合、h−BNの原料ガスを用いて、SiC繊維または繊維集合体にh−BNを沈積させる。h−BNの原料ガスは、ホウ素源と窒素源を用いる。ホウ素源は、ジボラン、デカボラン、トリメチルボロン、トリメチルボレート(TMB)などが利用できる。窒素源は、窒素ガス、アンモニアなどが利用できる。また、ホウ素源と窒素源を同時に有するアンモニアボランを利用することができる。
CVD法における製膜温度は特に限定されないが、例えば1000〜1500℃が好ましく、1000〜1300℃がさらに好ましい。1000℃以上であれば、原料ガスを効率的に分解することができ、1300℃以下であれば酸素を含有するSiC繊維を用いた場合であっても、劣化させにくくすることができる。
賦形工程の前にコーティング工程を適用する場合にはSiC繊維に沈積することとなり、賦形工程の後にコーティング工程を適用する場合には、繊維集合体に沈積することになる。
[賦形工程]
賦形工程では、SiC繊維からなる繊維集合体を形成する。
具体的には、繊維集合体は、織布、ブレーディング成形体、または、フィラメントワインディング成形体からなる。SiC繊維は、単繊維で用いてもよいが、SiC繊維を束にしたSiC繊維束を利用することが望ましい。
織布は、SiC繊維またはSiC繊維束を用い、織布を形成する。織布は、平織り、綾織りなどどのような形態でも利用することができる。
例えば、織布の場合、SiC繊維を50〜2000本束ねたSiC繊維束を織布してシート状にしたものを繊維集合体とすることができる。
ブレーディング成形体の場合は、SiC繊維またはSiC繊維束を用い、ブレーディング機(組紐機ともいう)を用いてブレーディング成形体を形成する。
フィラメントワインディング成形体の場合は、SiC繊維またはSiC繊維束を用い、マンドレルに巻回することによりフィラメントワインディング成形体を形成する。
[マトリックス形成工程]
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法において、マトリックス形成工程では、前駆体法またはCVD法を利用することができる。
まず前駆体法について説明する。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法に前駆体法を適用する場合、前駆体法はSiC繊維からなる繊維集合体に、前駆体のスラリーを含浸し、含浸体を得る含浸工程と、上記含浸体を焼成する焼成工程とを含む。
以下、マトリックス形成工程における前駆体法について詳しく説明する
準備した繊維集合体に、前駆体を含むスラリーを含浸し、含浸体を得る(含浸工程)。
含浸の方法としては、ディップ、吹き付け、塗布、コーター、真空加圧含浸等の方法が挙げられるが、いずれの方法であってもよい。
スラリーに含まれる前駆体は、有機珪素化合物であってもよいし、SiC粒子を含有する有機珪素化合物であってもよい。
前駆体が有機珪素化合物である場合、有機珪素化合物を焼成することによって、SiCからなるマトリックスを形成することができる。
有機珪素化合物としては、例えば、ポリカルボシラン、ポリビニルシラン、ポリメチルシラン等のケイ素系ポリマーが挙げられる。
前駆体法において、スラリー中の有機珪素化合物の濃度は特に限定されないが、20〜65重量%であることが望ましく、40〜65重量%であることがより望ましい。20重量%以上であると、高い収率を得ることができ、65重量%以下である場合、粘度を低くすることができるので、骨材内部まで浸透させやすくすることができる。
マトリックス前駆体が、SiC粒子を含有する場合、マトリックス形成工程で焼成した際の収率を高めることができ、緻密なマトリックスを容易に得ることができる。
SiC粒子を用いる場合、SiC粒子の平均粒子径は、10〜1000nmであることが望ましく、250〜800nmであることがより望ましい。SiC粒子が10nm以上であるとスラリー中の固形分濃度を高めることができる。またSiC粒子が1000nm以下であるとスラリーの浸透性を高めることができ、骨材内部まで前駆体を浸透させることができる。
なお、SiC粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器を用いて測定することができる。
スラリー中のSiC粒子の含有量は特に限定されないが、固形分量で25〜65重量%であることが望ましく、45〜65重量%であることがより望ましい。
続いて、含浸体を焼成する(焼成工程)。
焼成温度は、適宜設定することができるが、1000〜1500℃であることが望ましく、1100〜1300℃であることがより望ましい。
含浸体の焼成は、非酸化性雰囲気下で行えばよく、例えば、不活性ガス雰囲気下、還元性雰囲気下、真空雰囲気下等で行うことができる。これらのなかでは、水素等の還元性雰囲気下、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
次にマトリックス形成工程においてCVD法を適用する場合、SiCの原料ガスを用いて、繊維集合体にSiCマトリックスを沈積させる。SiCマトリックスの原料ガスは、珪素源と炭素源を用いる。珪素源は、例えばシラン系ガスを用いることができ、クロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシランなどのハロゲン化シラン、炭素源はメタン、エタン、プロパン、エチレンなどの炭化水素などが利用できる。また、メチルトリクロロシランなどの炭素源と珪素源を同時に持つ原料ガスを使用してもよい。
CVD法における製膜温度は特に限定されないが、例えば1000〜1500℃が好ましく、1000〜1300℃がさらに好ましい。1000℃以上であれば、原料ガスを効率的に分解することができ、1300℃以下であれば酸素を含有するSiC繊維を用いた場合であっても、劣化させにくくすることができる。
以上の工程を経ることにより、高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を製造することができる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法においては、SiCマトリックスとしてSiC繊維間にSiC層が形成されるだけでなくSiC繊維強化SiC複合材料の表面にSiC層が形成されていてもよい。SiC層は、SiC繊維強化SiC複合材料にCVD処理を施すことにより形成することができる。
以下、本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法及び本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法によって得られるSiC繊維強化SiC複合材料の作用効果について説明する。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法では、焼結プロセスを経ることなく、高い処理温度を必要としない前駆体法またはCVD法でSiCのマトリックスを形成している。このため、SiC繊維中に含有する酸素の脱離反応の影響を最小限に抑えることができ、SiC繊維の強度低下を小さくすることができる。なお前駆体法とはSiC前駆体を上記骨材に含浸したのち焼成し熱分解させる製造方法であり、CVD法とはSiC原料ガスをCVD炉内で熱分解させる製造方法である。
また本発明のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法は、SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程を有している。h−BNとは、六方晶系の窒化ホウ素であり、c軸方向にファンデルワールス力で結合する劈開性を有する素材である。このため、h−BN被膜をSiC繊維の表面に有していると、マトリックスとSiC繊維とは互いに強く結合していないのでマトリックスに発生したクラックをSiC繊維に進展しにくくすることができる。また、h−BN被膜は、劈開性を有しているので、マトリックスのクラックの先端が発生させる応力を、SiC繊維の広い範囲に分散させ、応力集中を起こりにくくする効果が特に強く高強度のSiC繊維強化SiC複合材料を得ることができる。
本発明のSiC繊維強化SiC複合材料は、原子力分野、航空・宇宙分野、発電分野等の過酷な環境下で使用することできる。例えば、本発明のSiC繊維強化SiC複合材料は、原子力用構造部材、ジェットエンジン用のタービンブレード、ケーシングなどに使用することができる。

Claims (5)

  1. SiC繊維とSiCマトリックスとからなるSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法であって、
    前記SiC繊維の表面にh−BN被膜を形成するコーティング工程と、
    前記SiC繊維に形状を付与し繊維集合体を形成する賦形工程と、
    前記繊維集合体を骨材としてCVD法または前駆体法でSiCマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、
    からなることを特徴とするSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
  2. 前記コーティング工程は、h−BN粒子を含有するスラリーを塗布する塗布法であることを特徴とする請求項1に記載のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
  3. 前記コーティング工程は、h−BNの原料ガスを熱分解するCVD法であることを特徴とする請求項1に記載のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
  4. 前記繊維集合体は、織布、ブレーディング成形体、及び、フィラメントワインディング成形体のいずれかで構成される請求項1〜3のいずれかに記載のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
  5. 前記SiC繊維は、複数本がまとまってSiC繊維束を構成している請求項1〜4のいずれかに記載のSiC繊維強化SiC複合材料の製造方法。
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