JP2017087170A - 調湿材 - Google Patents

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和俊 辻
紀人 酒井
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紀人 酒井
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Abstract

【課題】吸湿性、放湿性両方に優れる調湿材の提供。【解決手段】側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなるポリビニルアルコール系樹脂製繊維を含有する調湿材。側鎖に一級水酸基を有する構造単位を0.1〜20モル%含むポリビニールアルコール系樹脂であることが好ましく、更に前記樹脂が70モル%以上のケン化度であることが好ましい調湿材。更には、式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を有する水溶性ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなる水溶性ポリビニルアルコール系樹脂製繊維を用いて形成された不織布を含有する調湿材。(R1〜R6は夫々独立にH又はC1〜5のアルキル基;Xは単結合又は結合鎖)【選択図】なし

Description

本発明は、吸放湿性繊維を含有する調湿材に関するものであり、更にかかる繊維から形成される不織布を含有する調湿材に関するものである。
従来より、調湿材として、シリカゲルや塩化カルシウムが知られているが、これらは吸湿性に優れるが、放湿性が低く、加工性も悪く、適用される用途・分野が制限されていた。
かかる問題を解決するために、高吸放湿性繊維からなる調湿材が提案されている(例えば、特許文献1。)。
更に、ポリビニルアルコール(以下、PVAという。)繊維や不織布を用いた調湿材も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平06−280110号公報 特開平04−73208号公報
しかしながら、近年ではますます吸放湿性の要求物性が高まっており、上記の調湿材ではまだまだ満足のいくものではなく、さらに吸湿性・放湿性に優れる調湿材が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、吸湿性、放湿性の両方に優れる調湿材を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなるポリビニルアルコール系樹脂製繊維を含有する調湿材が、吸湿性、放湿性に優れることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなるポリビニルアルコール系樹脂製繊維を含有する調湿材に関するものである。
本発明において、上記のような効果が得られるメカニズムは詳細には判明していないが、側鎖に一級水酸基を有することにより、親水性が向上し、吸湿量が増加し、更に側鎖の一級水酸基がPVA系樹脂の結晶性を乱し、放湿性を高めたため、吸湿性、放湿性に優れるという効果が得られると推測される。
本発明の調湿材は、吸湿性、放湿性の両方に優れるものであり、床下、壁、タンス、食材(穀物、芋類等)、楽器、精密機械(カメラ等)、配電盤等の調湿に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明の調湿材は、側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなるポリビニルアルコール系樹脂製繊維を含有するものである。
まずは、本発明の調湿材に用いる側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂について説明する。
本発明で用いるPVA系樹脂は、側鎖に一級水酸基を有するものであればよく、一級水酸基の数は、通常1〜5個であり、好ましくは1〜2個であり、特に好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも2級水酸基を有することも好ましい。
例えば、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂などが挙げられる。中でも本発明の効果が得られやすい点で、側鎖1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂が好ましい。
本発明で用いられる側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、70モル%以上であり、好ましくは80〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%であり、更に好ましくは87〜90モル%である。かかるケン化度が低すぎると、吸湿性が低下する傾向がある。
また本発明におけるケン化度とは、主鎖の水酸基及び側鎖の水酸基の割合である。側鎖の部分は通常、ケン化度は100モル%である。
また、本発明で用いられる側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常は200〜4000、好ましくは250〜2000、特に好ましくは280〜1000である。かかる平均重合度が低すぎると、強度が不充分となる傾向があり、逆に高すぎると、繊維状への成形が困難となる傾向がある。
また、側鎖に一級水酸基を有する構造の含有量(変性度)としては、通常0.1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。
かかる含有量が小さすぎると吸湿性が低下する傾向があり、高すぎると製造が困難となる傾向がある。
本発明の側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂は、側鎖に1,2ジオール構造を有するPVA系樹脂(以下、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂ということがある。)を用いることが特に好ましい。
以下、かかる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂について詳細に説明する。
本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂は、例えば、下記一般式(1)で表される構造単位を有するものである。
Figure 2017087170
(式中、R1,R2,およびR3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4,R5,及びR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
前記炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよいが、R1〜R6のすべてが水素原子であることが好ましい。
前記結合鎖としては、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)の他、−O−、−(CH2O)m−、−(OCH2m−、−(CH2O)mCH2−、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等(Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。)が挙げられる。熱安定性の点や高温下/酸性条件下での構造安定性の点から、単結合が最も好ましい。
したがって、上記一般式(1)で表わされる1,2−ジオール構造単位のうち、最も好ましい構造は、R1〜R6のすべてが水素原子で、Xが単結合である構造単位である。
本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂のケン化度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常、70モル%以上であり、好ましくは80〜99モル%、特に好ましくは85〜95モル%であり、更に好ましくは87〜90モル%である。かかるケン化度が低すぎると、吸湿性が低下する傾向がある。
また本発明におけるケン化度とは、主鎖の水酸基及び側鎖1,2−ジオール構造の水酸基の割合である。側鎖の部分は通常、ケン化度は100モル%である。
また、本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726に準拠して測定)は、通常は200〜4000、好ましくは250〜2000、特に好ましくは280〜1000である。かかる平均重合度が低すぎると、強度が不充分となる傾向があり、逆に高すぎると、繊維状への成形が困難となる傾向がある。
また、側鎖1,2−ジオール構造の含有量(変性度)としては、通常0.1〜20モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。
かかる含有量が小さすぎると吸湿性が低下する傾向があり、高すぎると製造が困難となる傾向がある。
本発明で用いられる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂の製造方法は、例えば、(i)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(2)で表される化合物との共重合体をケン化する方法や、(ii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(3)で示される化合物との共重合体をケン化及び脱炭酸する方法や、(iii)ビニルエステル系モノマーと下記一般式(4)で表される化合物との共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法が好ましく用いられる。
Figure 2017087170
Figure 2017087170
Figure 2017087170
上記一般式(2)、(3)、(4)中のR1、R2、R3、X、R4、R5、R6は、いずれも一般式(1)の場合と同様である。また、R7及びR8はそれぞれ独立して水素原子またはR9−CO−(式中、R9はアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、又はオクチル基であり、かかるアルキル基は共重合反応性やそれに続く工程において悪影響を及ぼさない範囲で、ハロゲン、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい)である。R10及びR11はそれぞれ独立して水素原子またはアルキル基である。R10、R11のアルキル基としては特に限定しないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、共重合反応性等を阻害しない範囲内において、ハロゲン、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
式(2)で表される化合物としては、具体的にXが単結合である場合では、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、Xがアルキレン基である場合では、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン、Xが−CH2OCH2−あるいは−OCH2−である場合では、グリセリンモノアリルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテルなどが挙げられる。
式(3)で表される化合物としては、入手の容易性、共重合性の観点から、R1、R2、R3、R4、R5、R6がすべて水素原子であり、Xが単結合であるビニルエチレンカーボネートが好適に用いられる。
式(4)で示される化合物としては、入手の容易性、共重合性の観点から、R1、R2、R3、R4、R5、R6がすべて水素原子であり、R10、R11がメチル基である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランが好適に用いられる。
(i)、(ii)、及び(iii)の方法については、例えば、特開2006−95825に説明されている方法を採用できる。
なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱い性に優れるという点から、R1〜R6が水素、Xが単結合、R7及びR8がR9−CO−であり、R9 がアルキル基である、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、さらにそのなかでも特にR9がメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましく用いられる。かかる3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、その共重合体をケン化する際に発生する副生物が、ビニルエステル系モノマーとして多用される酢酸ビニルに由来する構造単位からケン化時に副生する化合物と同一であり、その後処理や溶剤回収系に敢えて特別な装置や工程を設ける必要がなく、従来からの設備を利用出来るという点も、工業的に大きな利点である。
なお、(ii)や(iii)の方法によって得られた側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂は、ケン化度が低い場合や、脱炭酸あるいは脱アセタール化が不充分な場合には側鎖にカーボネート環あるいはアセタール環が残存する場合があり、その結果、かかる側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂の薬品の分散剤としての機能が低下する傾向があり、これらの点からも、(i)の方法によって得られた側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂が本用途においては最も好適である。
以上のような側鎖1,2−ジオール構造単位を提供できるモノマーとともに共重合されるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
従って、側鎖1,2ジオール含有PVA系樹脂は、上記式(1)で表される側鎖1,2−ジオール構造単位のほか、下記(5)式で表されるビニルアルコール単位が含まれる。
Figure 2017087170
また、ケン化度が100%未満の場合には、さらに下記式(6)で表されるビニルエステル単位が含まれることになる。式(6)中、R20は、炭素数1〜20のアルキル基、好ましくは炭素数1〜13のアルキル基、最も好ましくはメチル基である。
Figure 2017087170
また上述のモノマー(ビニルエステル系モノマー、一般式(2)、(3)、(4)で表される化合物)の他に、樹脂物性に大幅な影響を及ぼさない範囲であれば、その他の共重合成分として、エチレンやプロピレン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類、およびそのアシル化物などの誘導体;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル;アクリロニトリル等のニトリル類、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、AMPS等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩などの化合物などが共重合されていてもよい。
その他の共重合成分が共重合される場合、その他の共重合成分に基づく構成単位が含まれることになる。
かかる共重合成分は、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
本発明の調湿材は、上記の側鎖に一級水酸基を有するPVA系樹脂以外にも、可塑剤、界面活性剤、滑剤、フィラーなどを含んでも良い。
可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。可塑剤の含有量としては、PVA系樹脂100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部である。
次に、本発明の調湿材に用いられるPVA系樹脂を含有する繊維の製造方法について説明する。
本発明において、溶融紡糸の方法としては、特に限定されないが、公知の溶融紡糸機を用い、単一ノズルまたは複合ノズルから溶融紡糸される。紡糸温度は、PVA系樹脂が溶融し、かつ変質しない温度で実施され、通常は120〜230℃、さらには140〜225℃、特には150〜220℃の範囲で行われる。このような紡糸工程の後、必要に応じて延伸され、その際の延伸温度は80〜190℃が好ましく、延伸倍率2倍以上で処理すると、繊維強度が向上するため好ましい。さらに、必要に応じて、捲縮付与装置で捲縮を与え、巻き取られて本発明のPVA系樹脂繊維が得られる。
このように、PVA系樹脂を含有する形成材料を用いて繊維状に成形した場合の繊維の繊度は、成形方法および用途等に応じて適宜に設定されるが、例えば、好ましくは0.005〜50000デニール、より好ましくは0.01〜500デニール、特に0.05〜5デニールの範囲に設定することが好ましい。このような範囲に設定することにより、適度な繊維強度と柔軟性が得られる。
なお、本発明のPVA製繊維は、通常、不織布または織布として用いるが、特に不織布として用いるのが望ましい。また、単繊維として用い、中空または板状基材に捲き付けて配設した形で用いてもよい。
上記不織布の製法としては、例えば、長繊維不織布の作製に適したスパンボンド法やメルトブローン法、あるいは上述の繊維を所定の長さに切断し、これをカード法、エアレイ法等の乾式法によってウェブ化して短繊維不織布を得る方法等があげられるが、原料PVAから直接製造することができ、長繊維であるため強度に優れた不織布が得られることから、スパンボンド法が好ましく用いられる。
上記スパンボンド法とは、溶融押出機によりポリマーを溶融混練し、溶融したポリマー流を紡糸ヘッドに導いてノズル孔から吐出させ、この吐出糸条を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズル等の吸引装置を用いて、目的の繊度となるように高速気流で牽引した後、開繊しながら移動式の捕集面の上に堆積させてウェブを形成させ、このウェブを加熱等により部分圧着して巻き取ることによって長繊維不織布を得る方法である。
本発明のPVA製繊維により得られた不織布の目付けおよび密度は、その用途に応じて適宜設定されるが、例えば、目付けは、好ましくは5〜200g/m2、特に10〜100g/m2、密度は0.03〜1g/cm3であることが好ましい。
上記で得られるPVA系樹脂の不織布は、不織布単層で使用してもよく、また、その他の材料の透湿性を阻害しないフィルム、不織布、織物と積層させてもよい。
透湿性を阻害しないフィルムとしては、例えば、多孔フィルムなどが挙げられる。
また、他の不織布としては、化学繊維からなる不織布と天然繊維からなる不織布があり、化学繊維の原料ポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ビニロンなどが挙げられ、天然繊維の原料としては、ウール、綿等から製造される不織布が挙げられる。
織物としては、ポリエステル、ナイロン、絹、綿などが挙げられる。
また、積層体にする場合においては、加熱して接着、または各層の間に接着剤を用いることできる。
以下に、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例1
<側鎖1,2−ジオール含有PVA系樹脂1の作製>
還流冷却器、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸ビニル400部、メタノール380部、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン24部を仕込み、アセチルパーオキサイドを対仕込み酢酸ビニル0.058モル%投入し、攪拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、酢酸ビニル600部、および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン36部を10時間等速滴下しながら重合を開始した。また、重合反応中にアセチルパーオキサイドを対酢酸ビニル0.021mol%を4回追加した。酢酸ビニルの重合率が95%となった時点で、m−ジニトロベンゼンを添加して重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により、未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液とした。
ついで、上記メタノール溶液を濃度55%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を35℃に保ちながら、共重合体中の酢酸ビニル構造単位および3,4−ジアセトキシ−1−ブテン構造単位の合計量1モルに対して4.6ミリモルとなる割合で水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を加えてケン化を行った。ケン化が進行するとともにケン化物が析出し、粒子状となった時点で濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的とするPVA系樹脂を作製した。
得られたPVA系樹脂のケン化度は、残存酢酸ビニルおよび3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの加水分解に要するアルカリ消費量にて分析したところ、89モル%であった。また、平均重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、360であった。また、一般式(1)で表される構造単位の含有量は、1H−NMR(300MHz プロトンNMR、d6−DMSO溶液、内部標準物質;テトラメチルシラン、50℃)にて測定した積分値より算出したところ、3モル%であった。
〔PVA系樹脂組成物のペレットの作製〕
上記で得られたPVA系樹脂96部と、グリセリンにエチレンオキシドを8モル%反応させた化合物(ユニオックスG−450 日本油脂(株)製)4部を、二軸押出機を用いて配合し、下記の条件にて樹脂温190℃で溶融押出ペレット化した。得られた樹脂組成物ペレットを以下のように評価した。
ペレット化条件
押出機 :単軸押出機(15mmφ L/D=60)
スクリューパターン=フルフライト CR=3.12
温度パターン:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/D
=90/120/150/170/180/180/
190/190/190℃
スクリーンメッシュ:90/90
スクリューパターン:フルフライト
スクリュー回転数:200rpm
その他:真空ベント 冷却ベルト ペレタイザー
上記で得られたPVA系樹脂組成物ペレットのMFR(210℃、荷重2160g)は、44g/10minであった。
また、DSC(FirstRun:−30〜215℃(10℃/min昇温)、SecondRun:−30〜230℃(10℃/min昇温))にて融点を測定したところ、融点は173℃であった。
<調湿材の作製>
〔PVA系樹脂不織布の作製〕
下記の条件にて、上記で得られたPVA系樹脂組成物ペレットを用いて、不織布を作製した。
単軸押出機:スクリュー径φ65mm、L/D=30
温度条件:C1/C2/C3/C4/C5/ダイ=190/210/210/210/210/210℃
フィルター:ノズルパックフィルター(200メッシュ+350メッシュ+60メ
ッシュ+30メッシュ+20メッシュ)
ノズル:φ0.5mm、501ホール、千鳥配列
吐出量:0.72g/分・孔
熱ロールとして、表面に凹凸模様のあるエンボスロール(100℃)とフラットロール(100℃)とを用いて、線圧40kg/cmで熱圧着することにより、繊維を部分的に熱融着させ、PVA系樹脂不織布を得て、調湿材とした。
上記得られた調湿材の繊維径は、直径平均30μmであり、目付けが40g/m2、厚みが250μmであった。
<初期揮発分の測定>
上記で得られた調湿材の一部(10cm×10cm)を切り出し、105℃で3時間乾燥させ、初期揮発分(V1)(%)を測定した。
V1=(乾燥後の重量)/(乾燥前の重量)×100
<吸湿性、放湿性評価>
上記で得られた調湿材の一部(10cm×10cm)を更に切り出し、重量を測定し(W部)、下記(1)式を用いて初期の揮発分を除いた調湿材のみの重量(W0)を算出した。
30℃、40%RHの条件下で24時間以上調湿し、重量(W1)を測定し、下記(2)式を用いて乾燥下吸湿率(M1)を算出した。
次に40℃、90%RHの条件下で24時間以上調湿した後、重量(W2)を測定し、下記(3)式を用いて高湿度下吸湿率(M2)を算出した。
下記(4)式を用いてΔMを算出した。
W0(g)=W×(1−V1/100) (1)
M1(%)={(W1−W0)/W0}×100 (2)
M2(%)={(W2−W0)/W0}×100 (3)
ΔM=M2−M1 (4)
比較例1
実施例1で用いたPVA系樹脂1を不織布とせずに、粉末(平均粒径112μm)のまま実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、不織布としてPVA製不織布1(原料PVA:ケン化度99.8モル%、平均重合度1570 目付け60g/m2 厚み0.5mm)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、不織布をシリカゲル(和光純薬工業(株)社製 中粒状(青色) 粒径約3mm)に代えた以外は実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2017087170
本発明の調湿材を用いた実施例1においては、乾燥時は吸湿量が少なく放湿性に優れ、高湿度下では吸湿量が多く、吸湿性に優れるものであった。一方、同じPVA系樹脂を用いたが不織布とせずに粉体であった比較例1及び、未変性PVAから製造された不織布からなる調湿材を用いた比較例2、シリカゲルを用いた比較例3は、高湿度下で吸湿量が少なく、吸湿性に劣るものであった。
本発明の調湿材は、吸湿性、放湿性両方に優れるものであり、床下、壁、タンス、食材(穀物、芋類等)、楽器、精密機械(カメラ等)、配電盤等の調湿に有用である。

Claims (6)

  1. 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする原料糸からなるポリビニルアルコール系樹脂製繊維を含有することを特徴とする調湿材。
  2. 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂が、側鎖に一級水酸基を有する構造単位の含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1記載の調湿材。
  3. 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が、70モル%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の調湿材。
  4. 側鎖に一級水酸基を有するポリビニルアルコール系樹脂が、側鎖に1,2ジオール構造を有する構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の調湿材。
  5. 側鎖に1,2ジオール構造を有する構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂が、下記一般式(1)で表される側鎖に1,2ジオール構造を有する構造単位を含有することを特徴とする請求項4記載の調湿材。
    Figure 2017087170
    (式中、R1,R2,およびR3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R4,R5,及びR6はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
  6. 請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系樹脂製繊維を用いて形成されてなる不織布を含有することを特徴とする調湿材。
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