JP2017085995A - 魚釣用リール - Google Patents

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Takeo Miyazaki
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Abstract

【課題】部品点数を増やすことなく軽量化および小型化を図りつつハイスピード仕様を実現できる魚釣用リールを提供する。【解決手段】本発明の魚釣用リールのピニオンギア13は、ドライブギアと噛合する歯部70と、リール本体に設けられた軸受によって回転可能に且つ軸方向移動可能に支持される両側の軸受支持部71,72と、ピニオンギア13を軸方向に移動させるためにクラッチ機構が係合するクラッチ係合部74と、スプール軸の係合部に係脱される被係合部73とを有し、少なくともクラッチ係合部74が位置するピニオンギア13の部位が非貫通の中実状に形成されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、リール本体に回転可能に支持されたハンドルの回転でリール本体の側板間に支持されたスプールを回転駆動し、釣糸をスプールに巻回する魚釣用リールに関する。
一般に、この種の魚釣用リールは、釣糸を巻回するためのスプールの回転軸であるスプール軸がリール本体の側板間に回転自在に支持されており、また、釣り条件や環境(仕掛け、釣糸、対象魚、気象状況等)を考慮してキャスティング操作時のバックラッシュ現象の防止を図るために、スプール軸の端部を押圧してスプールの回転に適度な制動力を付与するブレーキ装置を備えている。
このようにスプール軸の端部を押圧する制動方式としては、ピニオンギアを貫通するスプール軸の端部を直接に押圧する方式、あるいは、ピニオンギアを貫通するとともにスプール軸とは別軸の中心軸を介してスプール軸を間接的に押圧する方式が、例えば特許文献1および特許文献2で知られている。
特開2015−065961号公報 特開平10−136849号公報
近年、キャスティングから釣糸の巻き取りにまで至る一連の操作を手際よくスピーディーに行なう(手返しを良くする)ために、ギア比の高いハイスピード仕様の魚釣用リールが実釣時に多用される。ハイスピード仕様にする場合には、一般に、ドライブギアを大型化し或いはピニオンギアを小型化してギア比の高い諸元にすることになるが、ドライブギアの大型化は、ギアボックスを構成する側板の大型化および重量化につながり、キャスティング性および糸巻き取り操作性が劣る問題がある。
一方、ピニオンギアの小型化に関しては、ブレーキ装置のための軸が貫通する貫通孔がピニオン軸に設けられていることに加え、外部操作によりピニオンギアを軸方向に移動させてスプール軸と係脱させるための周溝が、ドライブギアと噛み合うためのピニオンギアの歯部に隣接して形成されているため、ピニオンギアの小型化には限界がある。
本発明は、上記した事情に着目してなされたものであり、部品点数を増やすことなく軽量化および小型化を図りつつハイスピード仕様を実現できる魚釣用リールを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、リール本体のハンドル軸に設けられたドライブギアにピニオンギアが噛合されたままの状態で、前記リール本体に回転可能に支持された釣糸巻回用のスプールのスプール軸と前記ピニオンギアとの動力伝達状態をON/OFFするクラッチ機構によって、前記ピニオンギアが軸方向に移動されて前記スプール軸に係脱される魚釣用リールにおいて、前記ピニオンギアは、前記ドライブギアと噛合する歯部と、前記リール本体に設けられた軸受によって回転可能に且つ軸方向移動可能に支持される両側の軸受支持部と、前記ピニオンギアを軸方向に移動させるために前記クラッチ機構が係合するクラッチ係合部と、前記スプール軸の係合部に係脱される被係合部とを有し、少なくとも前記クラッチ係合部が位置する前記ピニオンギアの部位が非貫通の中実状に形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、特にクラッチ機構と係合するために強度が求められ且つ動力伝達系の組み込み構造形態等に起因してピニオンギアにおいて最も小径化されるべき少なくともクラッチ係合部が位置するピニオンギアの部位(中空構造では小径化に限界がある部位)が貫通孔のある中空形態ではなく非貫通の中実形態に形成されているため、少なくともクラッチ係合部が位置するピニオンギアの部位の所要の強度を維持しつつこの部位の小径化を容易に実現することができ、したがって、たとえクラッチ係合部以外のピニオンギアの部位を中実状に形成しない場合であっても全体としてピニオンギアの外径を十分に小さくすることが可能となる。そして、このように、ピニオンギアを中実状にして小型化すれば、部品点数を増やすことなく軽量化および小型化を図りつつハイスピード仕様を実現することができる。言い換えると、リール本体の大型化の防止を図りながら、ハンドル軸上のドライブギアに噛合するピニオンギアの少なくともクラッチ係合部の小径化が可能となり、精度および強度の維持を図りながら、ギア比の高速度化(ハイスピード仕様化)を効果的に行なえる。
また、ピニオンギア(少なくともクラッチ係合部が位置する部位)を中実状に形成するため、ピニオンギア(少なくともクラッチ係合部が位置する部位)の剛性を高くすることができる。上記構成に加えて、ドライブギアと係合するために同様に高い強度が求められる歯部が位置するピニオンギアの部位も中実に形成されることが好ましい。無論、ピニオンギアがほぼ全長にわたって中実状に形成されることが更に好ましい。
なお、上記構成では、ピニオンギアが中実であるため、ピニオンギアを貫通する軸を押圧する前述した従来型のブレーキ装置を実装することはできないが、ピニオンギアを回転可能に支持する軸受を介してスプール側を押圧する方式のブレーキ装置や、反ハンドル側でスプールの過回転を防止する公知の過回転防止装置(例えば、特開2005−52062号に開示されるバックラッシュ防止装置など)を設けることは可能であるため、スプール制動に何ら支障を来さない。また、近年のキャスティングリールにおいては、キャスティングブレーキの高性能化によりスプール回転数に応じた制動力が得られるため、スプール軸の軸方向のガタつきを調整するためのガタ調整機構を設けさえすれば、スプール軸方向に力を加えるメカニカルブレーキ(前述した従来型のブレーキ装置)を敢えて設ける必要がない場合もあるという事実も、ピニオンギアのこのような中実化において見逃すことができない。
本発明によれば、部品点数を増やすことなく軽量化および小型化を図りつつハイスピード仕様を実現できる魚釣用リールを提供できる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールの正面図である。 要部を断面で示す図1の魚釣用リールの正面図である。 図1の魚釣用リールのピニオンギアの軸方向断面図である。 図3のピニオンギアの組み付け形態とその周辺の機構の構造形態を示す軸方向半断面図である。 変形例に係る図2に対応する魚釣用リールの一部断面を有する正面図である。
以下、本発明に係る魚釣用リールの一実施形態について説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態に係る魚釣用リール1を示している。図1および図2に示されるように、本実施形態に係る魚釣用リール1は、歯車配列等から成る増減速機構を伴うことなくピニオンギア13の小径化によってハイスピード仕様を実現する両軸受型リールとして構成されており、左右フレーム2a,2bと、これら左右フレーム2a,2bに装着される左右カバー3a,3bとによって構成される左右側板4A,4Bを有するリール本体4を備える。左右フレーム2a,2bは複数の支柱を介して一体化されている。
左右側板4A,4B間には、スプール軸5が軸受6a,6bを介して回転可能に支持されており、このスプール軸5には、釣糸が巻回されるスプール5aが一体に取り付けられている。
右フレーム2bおよび右側板3bには軸受8を介してハンドル軸9が回転可能に支持されており、ハンドル軸9の端部にはハンドル9aが装着されている。この場合、ハンドル9aを回転操作すると、その操作力は、駆動力伝達機構10を介してスプール軸5に伝達され、スプール5aを回転駆動するようになっている。
駆動力伝達機構10は、ハンドル軸9に回転可能に摩擦結合されたドライブギア11と、スプール軸5と同軸上に位置されて両端が軸受41,42により回転可能に且つ軸方向移動可能に支持されるとともにドライブギア11と噛合するピニオンギア13とを備えており、ハンドル9aの回転操作をスプール5aに伝達する。
また、右フレーム2bと右側板3bとの間には、駆動力伝達機構10の駆動力の伝達を継脱する(リール本体4に回転可能に支持されたスプール5aのスプール軸5とピニオンギア13との動力伝達状態をON/OFFする)公知のクラッチ機構15と、魚釣時にスプール5aから釣糸が繰り出された際にスプール5aに制動力(ドラグ力)を付与する公知のドラグ装置20とが収容されている。
クラッチ機構15は、ピニオンギア13の後述するクラッチ係合部74(図3および図4参照)と係合してピニオンギア13を軸方向に摺動させるクラッチプレート16と、スプール5aの後方側で左右側板4A,4B間に配設されたクラッチ操作部材17とを備えており、クラッチ操作部材17を押し下げ操作すると、クラッチ操作部材17に連動する連結部材17’に形成された公知のカム面(図示せず)に係合するクラッチプレート16が駆動してピニオンギア13を軸方向に摺動させ、クラッチをOFFにする(ピニオンギア13の後述する被係合部73(図3および図4参照)がスプール軸5の係合部5b(図2および図4参照)から離脱される)。また、この状態でハンドル9aを巻き取り操作すると、公知の自動復帰機構(図示せず)を介してクラッチがONになる(ピニオンギア13の後述する被係合部73(図3および図4参照)がスプール軸5の係合部5b(図2および図4参照)と係合する)。このように、本実施形態の構成では、リール本体4のハンドル軸9に設けられたドライブギア11にピニオンギア13(具体的には、ピニオンギア13の後述する歯部70(図3および図4参照))が噛合されたままの状態でクラッチ機構15によってピニオンギア13が軸方向に移動されてスプール軸5に係脱されるようになっている。なお、ピニオンギア13のハンドル側の端部と対向するリール本体の部位では、クラッチOFF切り換え時のピニオンギア13の移動量(図2に二点鎖線で示す)を許容するスペースS(図2参照)が確保されていさえすればよい。そのため、リールの軸方向の小型、コンパクト化を実現できる。
また、前述したドラグ装置20は、ハンドル軸9に設けた制動力調節体22の回転操作によりハンドル軸9に回り止め嵌合した押圧体62の圧接力を加減することによってハンドル軸9に対するドライブギア11の摩擦結合力を調節可能にする。具体的には、ドラグ装置20は、ハンドル9aに隣接してハンドル軸9に回転可能に設けられた制動力調節体22と、ドライブギア11に対して摩擦結合力を付与する環状の摩擦ライニング材60と、摩擦ライニング材60に対して圧接力を付与する環状の押圧体62とを備える。
このようなドラグ装置20では、制動力調節体22を回転操作することで、公知の押圧機構、例えば図示しない皿バネ、軸受、および、ハンドル軸9(ハンドル9a)の逆回転を防止する一方向クラッチ23のスリーブ等を介して、押圧体62に対して、その回転操作量に応じた圧接力が付与される。すなわち、制動力調節体22を回転操作することで、ハンドル軸9に回り止め嵌合されている押圧体62の圧接力を加減してドライブギア11の摩擦結合力を調節し、これにより、釣糸が繰り出されてスプール5aが回転した際、その回転に対してドラグ力を作用させることが可能となる。
スプール5aの前側には、レベルワインド機構50が設けられている。このレベルワインド機構50は、釣糸が挿通される釣糸ガイド51を備えており、ハンドル9aを巻き取り操作した際に、釣糸ガイド51を左右に往復動させ、回転するスプール5aに対して釣糸を均一に平行巻きする。
図3には、本実施形態の魚釣用リール1の前述したピニオンギア13が軸方向断面図で示される。図示のように、ピニオンギア13は、スプール軸5に近い側から順に、端部に位置されるとともにスプール軸5の係合部5bに係脱される一対の対向する凹陥状の被係合部73と、リール本体4に設けられた軸受42によって回転可能に且つ軸方向移動可能に支持される(図1および図4参照)第1の軸受支持部72と、ピニオンギア13を軸方向に移動させるためにクラッチ機構15のクラッチプレート16(図1および図4参照)が係合するクラッチ係合部74と、ドライブギア11と噛合する歯部70と、リール本体4に設けられた軸受41によって回転可能に且つ軸方向移動可能に支持される(図1および図4参照)第2の軸受支持部71とを有する。
そして、このようなピニオンギア13は、少なくともクラッチ係合部74が位置する部位が非貫通の中実状に形成されており、本実施形態では、両端部を除き、歯部70が位置する部位も含めてほぼ全長にわたって非貫通の中実状に形成されているが、スプール軸5の係合部5bに係合する被係合部73を少なくとも除く部位の全長にわたって非貫通の中実状に形成してもよい。なお、ピニオンギア13の被係合部73側と反対側の第2の軸受支持部71に位置する内部を中空部(加工支持穴)として図示しているが、この中空部はなくてもよい。
ここで、図3に示されるように、クラッチ係合部74は環状の凹部75として形成されており、この凹部75の外径Aは、歯部70の歯底70aの歯底径Bよりも小さく形成されている。すなわち、クラッチ係合部74は、ピニオンギア13の最小外径部位となっている。
また、ピニオンギア13の被係合部73側の第1の軸受支持部72の外径Cに対するクラッチ係合部74の外径Aの割合A/Cは、例えば25%〜55%に設定される。また、ピニオンギア13の被係合部73側の軸受支持部72の外径Cに対する歯部70の外径Dの割合D/Cは、例えば35%〜65%に設定される。
また、本実施形態では、ピニオンギア13を中実に形成したことに関連して、ピニオンギアを貫通する軸を押圧する前述した従来型のブレーキ装置の代わりに、スプール5aの過回転を防止するための過回転防止装置90(図2参照)が反ハンドル側に設けられることが好ましい。具体的には、例えば、図4に示されるように、この過回転防止装置90は、スプール5aと左側板4A(左フレーム2a)との間に設けられ、例えば特開2005−52062号に開示されるバックラッシュ防止装置として構成される。
また、本実施形態では、スプール軸5の軸方向のガタつきを調整するための調整機構80も設けられる。具体的には、図4に示されるように、この調整機構80は、左フレーム2aに対してネジ部83を介して螺合される調整部材82の当接面82aを、スプール軸5を支持する軸受6aの内輪の端面に対して突き当てるように押し進めることによってスプール5aを有するスプール軸5の軸方向のガタつきを調整できるようになっている。
なお、調整機構80の変形例として、調整部材82の当接面82aの中央部で、スプール軸5の端部を押し付け可能として、スプール軸5の軸方向のガタツキを調整してもよい。本実施構造により、ハンドル側に設けた従来のスプール軸の端部を押圧するブレーキ装置(メカニカルブレーキ)が不要となるため、ハンドル9a、制動力調整体22を右側板4B側に近づけることが可能となり、軸方向にコンパクトになり且つ重量バランスが良くなって、魚釣り操作性が向上する。また、図5に示されるように、反ハンドル側に調整ツマミ150を設け、この調整ツマミ160の軸部の端面によってスプール軸5の端部を同軸的に押圧してスラスト方向のガタツキを調整してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、ピニオンギア13が中実状に形成されているため、ピニオンギア13の強度を高めつつ或いはピニオンギア13の所要の強度を確保しつつ全体としてピニオンギア13の外径を十分に小さくすることが可能となる。したがって、部品点数を増やすことなく軽量化および小型化を図りつつハイスピード仕様を実現することができる。言い換えると、リール本体4の大型化の防止を図りながら、ハンドル軸9上のドライブギア11に噛合するピニオンギア13の少なくともクラッチ係合部74の小径化が可能となり、精度および強度の維持を図りながら、ギア比の高速度化(ハイスピード仕様化)を効果的に行なえる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、ピニオンギアの材質、形状、各部位の位置関係等は任意である。また、リール本体に対するピニオンギアの支持形態も任意である。
1 魚釣用リール
4 リール本体
5 スプール軸
5a スプール
9 ハンドル軸
11 ドライブギア
13 ピニオンギア
70 歯部
71,72 軸受支持部
73 被係合部
74 クラッチ係合部
75 凹部
80 調整機構
90 過回転防止装置

Claims (5)

  1. リール本体のハンドル軸に設けられたドライブギアにピニオンギアが噛合されたままの状態で、前記リール本体に回転可能に支持された釣糸巻回用のスプールのスプール軸と前記ピニオンギアとの動力伝達状態をON/OFFするクラッチ機構によって、前記ピニオンギアが軸方向に移動されて前記スプール軸に係脱される魚釣用リールにおいて、
    前記ピニオンギアは、
    前記ドライブギアと噛合する歯部と、
    前記リール本体に設けられた軸受によって回転可能に且つ軸方向移動可能に支持される両側の軸受支持部と、
    前記ピニオンギアを軸方向に移動させるために前記クラッチ機構が係合するクラッチ係合部と、
    前記スプール軸の係合部に係脱される被係合部と、
    を有し、
    少なくとも前記クラッチ係合部が位置する前記ピニオンギアの部位が非貫通の中実状に形成されていることを特徴とする魚釣用リール。
  2. 前記クラッチ係合部が環状の凹部として形成され、前記凹部の外径が前記歯部の歯底径よりも小さく形成されるとともに、前記歯部が位置する前記ピニオンギアの部位が非貫通の中実状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
  3. 前記ピニオンギアは、少なくとも前記スプール軸の係合部に係脱される前記被係合部を除くほぼ全長にわたって中実状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の魚釣用リール。
  4. 前記スプール軸の軸方向のガタつきを調整するための調整機構を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の魚釣用リール。
  5. 前記スプールの過回転を防止するための過回転防止装置を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の魚釣用リール。
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