JP2017085956A - 牛乳の濃縮方法及びそれに用いる濃縮装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】タンパク質等の変質を抑え、保存性の向上を図ることができる牛乳の濃縮方法の提供、及び、簡単な構造で濃縮性に優れた濃縮装置の提供。【解決手段】牛乳の貯留部11と、貯留部11と所定の空間部を設けて囲んだ概ね密閉状態の外壁部12を備え、貯留部11は上部側に開口部を有し、外壁部12は天井部と当該天井部の下に貯留部11の開口部の上方に配置した仕切部13を有し、仕切部13は貯留部11から発生した水蒸気を通過させるための通気孔13aを有し、通気孔13aを経由して前記水蒸気を外部に放出するものであり、前記空間部に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気発生装置20を有する牛乳の濃縮装置10。牛乳を過熱蒸気雰囲下で、加熱し、更に還元性雰囲気であることが好ましい牛乳の濃縮装置10。【選択図】図1

Description

本発明は、生牛乳の濃縮方法及びその濃縮に適した濃縮装置に関する。
牛乳には脂肪、タンパク質、乳糖、無機質、ビタミン類等の栄養分が多く含まれているものの、80〜90質量%は水分である。
そこで加工用途に応じて予め濃縮した方が、輸送、保管に適している。
しかし、単に加熱しただけではタンパク質等が変質してしまうために減圧下で加熱することが行われているが、設備が大がかりである。
また、減圧下では牛乳に発泡が生じ、腐敗が進行しやすい課題もあった。
特許文献1には、アルコールを添加した後に減圧蒸留する牛乳の濃縮方法を開示するがアルコールを添加する操作は実用的ではない。
特開平11−299418号公報
本発明は、タンパク質等の変質を抑え、保存性の向上を図ることができる牛乳の濃縮方法の提供を目的とする。
また、簡単な構造で濃縮性に優れた濃縮装置の提供を目的とする。
本発明に係る牛乳の濃縮方法は、牛乳を過熱蒸気雰囲気下で加熱し、濃縮することを特徴とする。
ここで過熱蒸気とは水を加熱し、発生した蒸気をさらに加熱し、100℃を超える温度まで上昇させた蒸気をいい、ドライスチームとも称され活性である。
このような過熱蒸気雰囲気下では、相対的に酸素濃度が下がり、還元性雰囲気となる。
また、過熱蒸気の発生用源水に水素が多く含まれた水素水を用いると、さらに強い還元性条件下となる。
上記のように還元性の条件下で牛乳を加熱し濃縮すると、タンパク質等の含有成分の変質を抑えるとともに、保存性が向上することが明らかになった。
上記の牛乳の濃縮に適した本発明に係る濃縮装置は、牛乳の貯留部と、当該貯留部と所定の空間部を設けて囲んだ概ね密閉状態の外壁部を備え、前記貯留部は上部側に開口部を有し、前記外壁部は天井部と当該天井部の下に前記貯留部の開口部の上方に配置した仕切部を有し、前記仕切部は前記貯留部から発生した水蒸気を通過させるための通気孔を有し、当該通気孔を経由して前記水蒸気を外部に放出するものであり、前記空間部に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気発生装置を有することを特徴とする。
このようにすると、貯留部に牛乳を投入し、外壁部の内側の空間部に過熱蒸気を供給し、その雰囲気下で牛乳を加熱すると、この牛乳から水分が蒸気となって蒸発するが、そのままでは外壁部の天井に当たり、水滴となって落下してしまう。
そこで本発明では、牛乳を入れた貯留部と外壁部の天井部との間に通気孔を有する仕切部を設けることで牛乳から発生した水蒸気が、この通気孔を通過した後に外部に放出するようにしたので水滴として落下するのを抑えることができる。
本発明は、牛乳を過熱蒸気の雰囲気下で加熱濃縮するので、牛乳の表面に膜が形成することもなく、含有成分の変質が無く、保存性も向上した濃縮牛乳が得られる。
本発明に係る濃縮装置の構造例を示す。 過熱蒸気発生装置の構造例を示す。
以下、牛乳の濃縮方法を説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1に濃縮装置の構造例を示す。
生牛乳を投入するためのタンク状の貯留部11を有し、この貯留した牛乳を加熱するためのヒーター部14を下部に有する。
貯留部11の上部は開口しており、この貯留部11の側部及び開口部から所定の間隔を設けた空間部を有するように外壁部12にて、この貯留部11を囲んである。
外壁部12は、過熱蒸気発生装置20とその供給部21を介して連結されている。
また、外壁部12の天井部12aと、貯留部11の開口部との間は、複数の通気孔13aを有する板状の仕切部13にて仕切ってある。
また、天井部12aからは外部に水蒸気等を放出する為の排気部15を有する。
従って外壁部12の内側は、この排気部15及び過熱蒸気の供給部21とを除いて、密閉された概ね密閉状態になっている。
なお、貯留部11には、投入した牛乳を撹拌するための攪拌機を必要に設けてもよく、側壁の上部に冷却ジャケット11aを設けてもよい。
また、必要に応じて濃縮した牛乳の取り出し手段を設けてもよい。
取り出し手段としては底部側に排水バルブを設ける方法やポンプアップ手段を設ける方法がある。
冷却ジャケット11aは、牛乳が濃縮され液面が低下すると液面よりも上側の貯留側壁部が必要以上に加熱されないように冷却するのに用いる。
本発明において、過熱蒸気の発生装置に制限はないが、例えば図2に示した構造例が挙げられる。
断面L字型のタンクの下部を水留め部23とし、立上げ部を水蒸気の過熱部22とした例である。
水留め部23には横方向にヒーター23aを設け、過熱部22に上下方向のヒーター22aを接地する。
このようにすると、下部にて発生した水蒸気がこの立上げ部の過熱部で、そのまま過熱されるのでコンパクトである。
また、水留め部23は水位制御されている。
源水に水素水を使用する場合には、水素水発生セラミックスを投入してもよい。
この種のセラミックスとしては、珪藻土5〜15%、カオリナイト30〜50%、ベントナイト15〜20%、ケイ酸ソーダ15〜20%、マグネシウム15〜25%含有する鉱物を用いたものがよい。
なお、水素の供給方法に制限はない。
上記のような試験装置を製作し、水分86%牛乳を貯留部に投入し、約300℃前後の過熱蒸気を、外壁部12の内側空間部に供給し、その空間部の雰囲気温度を約150〜160℃にした、その状態でヒーター部14をONにし、牛乳が沸騰しない範囲で加熱制御した。
すると、牛乳から発生した水蒸気は過熱蒸気とともに仕切部13の通気孔13a及び排気部15を経由して外部に放出された。
これにより仕切部13に水滴ができることもなく、濃縮が進行した。
これにより生の牛乳の投入量に対して液量として約1/3までに濃縮されたが、液面に膜ができることもなく、何ら変色も発生しなかった。
次にこのように濃縮した濃縮牛乳と、濃縮前の牛乳をシャーシに入れ、1週間の放置テストをした。
その結果、濃縮牛乳には何ら腐敗の様子が認められないのに対して、比較対象とした濃縮前の牛乳には変色及び腐敗臭が認められた。
これにより、本発明による濃縮方法は単に牛乳が濃縮されるだけでなく、保存性が向上することも明らかになった。
10 濃縮装置
11 貯留部
12 外壁部
13 仕切部
13a 通気孔
14 ヒーター部
15 排気部
20 過熱蒸気発発生装置
21 供給部

Claims (3)

  1. 牛乳を過熱蒸気雰囲気下で加熱し、濃縮することを特徴とする牛乳の濃縮方法。
  2. 前記過熱蒸気雰囲気下は、還元性であることを特徴とする請求項1記載の牛乳の濃縮方法。
  3. 牛乳の貯留部と、当該貯留部と所定の空間部を設けて囲んだ概ね密閉状態の外壁部を備え、
    前記貯留部は上部側に開口部を有し、
    前記外壁部は天井部と当該天井部の下に前記貯留部の開口部の上方に配置した仕切部を有し、
    前記仕切部は前記貯留部から発生した水蒸気を通過させるための通気孔を有し、当該通気孔を経由して前記水蒸気を外部に放出するものであり、前記空間部に過熱蒸気を供給するための過熱蒸気発生装置を有することを特徴とする牛乳の濃縮装置。
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